――初期刀として――
僕が顕現した頃、主は既に『刀剣男士を束ねる存在』として確固たる姿を見せていた。あの時は何も思わなかったが、もし僕を初期刀に選んでいたらこの本丸はどうなっていたんだろう。
「はあ? 主んこと? そがなこと聞いてどうするが」
「だって陸奥守くんは初期刀だろ? 初めて会った時の印象とか、どうだったのかなーって」
着々と朝餉の用意を進めながら、僕の代わりに燭台切が尋ねる。それに対し陸奥守は「そぉやのぉ」と視線を上げながら窯の火を少し弱めた。
「どうもこうも、普通の女子やのう。と」
「……え? それだけ?」
「……え? それだけかい?」
あまりにも淡白な感想に燭台切と共に目をむけば、彼は困ったように頭を掻きながら当時を振り返る。
「まぁ最初は距離が近かったけんど、今は色々気を付けちゅうよ。あがなでも主も女子やき」
「距離が近い? 主がかい?」
僕たちの主は本人も気にしているがふくよかな体型をしている。短刀たちはその丸っこさ、柔らかさが好きらしいが、本人は「あまり触れてくれるな……」と後ずさっていく。
そもそも主と触れ合う機会など滅多にない。宴の席でも「下戸だから」という理由で最初の挨拶だけ済ませるとすぐに下がってしまう。おやつの時間だって交代で近侍をしている陸奥守か小夜が持って行ってしまうので、直接お茶をしたことがない。
主の姿を見るには近侍になるか、出陣や遠征の報告に行く時だけなのだ。その主が僕らとの距離が近かっただなんて、俄には信じがたい。
「物理的な距離もそうやったけんど、わしらのことを知ろうと色々聞いてきたもんぜよ」
「そうだったのかい」
「おん。確かに見た目は普通の女子じゃけんど、根はしっかりとした人ちゃ。そこは変わってないきに」
笑う陸奥守を見れば、主が刀によって態度を変えているわけではないと分かる。だが同時に『どうして距離を置くようになったのか』という新たな疑問が湧いてくる。それは燭台切も同じだったらしく、首を傾けていた。
「でも、それじゃあどうして主は僕たちとあんまり接しなくなったんだい?」
「あー……ほりゃあ知っちゅうけんど、わしの口からは……」
普段は快活な陸奥守が口ごもるなんてよっぽどのことに違いない。一体何があったのか。視線を合わせる僕たちのもとに、早起きの短刀たちの朝の挨拶が響き渡る。こうなるとこれ以上主の話は出来ないな。と思い、名残惜しいが朝餉の仕上げに取り掛かった。
――へし切長谷部と――
懐かしい名前と、福岡の話をされた時。俺は動揺してしまった。それがどれほど主を傷つけたのか。考えれば考えるほど後ろめたくて、主の顔を見られなくなった。
「今日の畑当番は長谷部と鶯丸さんだったような……」
「小夜か……。まぁ、見ての通りだな。あいつは今日もさぼりだ」
泥の付いた軍手をパンパンと払いながら立ち上がれば、近侍である小夜は「お疲れ様です」と頭を下げてくる。その手には数枚の書類が握られていた。
「それは明日の出陣表か?」
「はい。それと資材の確認表。主が管理している“でぇた”と合っているか、週に一度確認するから」
「そうか。一振りで大変そうなら、俺も手伝うが?」
うちの本丸は常に資材が足りないが、それでも俺が顕現した頃に比べ遥かに増えてきた。背の小さい小夜だけでは大変だろうと口を出せば、小夜は暫し迷った後コクリと頷いた。
「じゃあ、お願いします。僕じゃ背の届かない場所に保管している資材もあるから」
「ああ、分かった。こちらもあの一帯の雑草を取り除けば終わる。片づけが終わり次第顔を出そう」
小夜はこの本丸の二番目に顕現した刀だ。主がご自身の力で初めて呼んだ刀。――羨ましい。と、思わなくはない。
「……あの、少しいい?」
「ん? どうした?」
小夜は普段自分から話しかけてくることは滅多にない。無駄口を叩く質ではないからだ。だからこそ「珍しいな」と思いつつ視線を下げれば、小夜はどこか言いづらそうに口を開いた。
「長谷部が知っているかは分からないけど、主が『最近皆がやけに構ってくるんだけど、何かあったの?』と……。僕は何も知らないけど、主が心配しているみたいだから、皆に話を聞いてみようと思って……」
小夜の口から零された主の心境。確かに、今まで付かず離れずどころか一定の距離を保っていた俺たちが突然周りをうろちょろし始めたら戸惑うのも無理はないだろう。だがこれには訳があるのだ。
「ああ、そうか。小夜は聞かされていなかったんだな。もう二週間ほど前になるか。演練先で主が侮辱されてな」
「え! それは、一体……」
ただでさえ大きな瞳が更に開かれる。吊りがちな目が動揺に揺れたが、すぐさま静かな怒りを燃やしたのを俺は見逃さなかった。
「主自身は受け流されたらしいが、余所の審神者に『貴女は刀剣男士たちとコミュニケーションをしっかりと取っていないんですね』と嘲笑われたらしくてな。前後の会話は知らないが、聞いたのは主を呼びに行った乱藤四郎だけで、随分と腹を立てていた。それが広まってな。“もっと主とコミュニケーションを取ろう!”となったんだ」
我らの主は優しい方だ。怪我や疲労は決して見逃さず、けれど我々を『戦う刀』として、一振りの『武器』として扱ってくださる。だからこそ余所みたいに過剰なスキンシップを図ろうとは思わないのだろう。そういった事情も知らず、自身の物差しだけで主を嘲笑った輩が許せない。
だが主ともっと話がしたい。とは多くの刀が思っていたことだ。皆『主の刀』として働くことに誇りをもっている。だからこそこれを機に皆動き出したというわけだ。
「主は、自分のことに関しては結構無頓着だから……」
「ああ。乱も言っていた。『主さんは優しすぎる!』とな。まぁその相手方は乱たちが存分に斬り倒したらしいが」
「そう……」
だが、俺はどうしてもその輪に参加することが出来なかった。
「でも、長谷部は今までと変わらないよね。あんまり主に近づこうとしない」
「……俺が傍にいると、主を困らせるからな」
顕現した時、主は自身の発言を「しくじった」と評し落ち込んだらしい。それとなく陸奥守に教えてもらった。
だが決して主のせいではない。あの時反応できなかった俺が悪いのだ。福岡を好きだと言ってくれたこと。一度でも俺を見に来てくれたこと。黒田の誇る槍を存じていてくれたこと。嬉しかったのに、それが表に出なかった。主を、困らせてしまった。
「はあ……。うちに『日本号』が顕現したら、また俺は主に嫌われてしまうのだろうな」
「そんなことはないと思うよ。主は、僕たちの中で誰かを特別に嫌ったりするような人じゃないから」
「……そうだな」
主はお優しい方だ。しくじった俺を前にしても気丈に振舞ってくださる。勝手に回る口が前の主の恨み言を募っても、黙って聞いて苦笑いしていた。
だが福岡でのことは、もう聞いてはこなかった。
心のどこかでそれに甘えている自分を酷く情けないと思いながら、俺は主の御心に救われているのだ。本当に、何て情けない刀だろう。こんな俺が余所の『へし切長谷部』のように主の周りをうろつくことは正直憚られた。本当は誰よりも主のお力になりたいのに。
「それじゃあ、僕は資材保管庫に行くから」
「ああ。後で向かおう」
軽く手を上げ、去っていく小夜の小さな背を見送る。
初めて主と見えたと時、とても嬉しそうな声音で話しかけてくれた。手を差し伸べてくれた。あの時、素直に反応出来ていたら――。
俺と主の関係はもう少しマシになっていたのだろうか。
「はあ……。後悔先に立たずとはよく言ったものだな」
肉の器を得て学ぶことは、未だに多い。
――左文字兄弟で――
戦が嫌いだと言ったその口で、我々に『敵を斬れ』と命じる。その矛盾した姿に疑問を覚えると同時に、彼女の『仕事人』としての確固たる姿を見た気がした。
「江雪兄様、寝ないの?」
夜半。小夜を真ん中に並べた布団の中。廊下に座していた私の背に小夜が問いかけてくる。
「おや……。起こしてしまいましたか?」
「ううん。何だか目が覚めてしまって……」
隣で眠る宗三を起こさぬよう、そっと布団を抜け出した小夜が隣に座る。その小さな頭を撫でた後、夜空に浮かぶ月を見上げた。
「……主のことを、考えていました」
私が顕現した時、主は困惑していた。当然だろう。『敵を斬る』ために呼ばれた刀が戦を拒否するような言葉を口にしたのだから。驚くのも無理はない。それでも二言三言交わすうち、主は私に『戦いたくなければそれでもかまわない』と言い切った。
「私が初めて顕現した時、近侍は小夜でしたね」
「うん。僕もあの日のことは、よく覚えているよ」
こちらにしっかりと向き合い、顔を隠す御簾の向こう。声だけの存在でありながらも、その嘘偽りのない真摯な言葉は私の胸を確かに刺した。
「主は江雪兄様に『酷いことを言ってしまった』と、今でも後悔しています」
「……そうですか。本当に、あの人は不思議な方ですね」
私に『戦は嫌いだ』と言ったその口で、皆に『敵を斬ってこい』と言う。自分など他の審神者の足元にも及ばない。と笑い飛ばす割に、負けじと仕事に従事する。演練先で出会った刀の中には『主が仕事をせずに遊んでばかりいるから困る』と零す刀も複数いたが、私たちの主は決して仕事を途中で投げ出したりはしなかった。
「でも、戦が嫌い。って言った主の言葉は本心だよ。だって、主は痛いことも血を見ることも嫌いだから。だから、僕たちの怪我を放ってはおかないし、お守りだって欠かさず用意してくれる。僕たちに『帰る場所』を作ってくれる。主は『皆が笑ってくれていると安心する』って、よく口にしているから」
「そうですか……」
近侍である小夜は、初期刀である陸奥守吉行と同じぐらい主と接点がある。用事がなければ言葉を交わすどころか姿さえ見られない私たちとは違う。だからこそ、主の普段は見えない心を知ることが出来る。
「主は自分に関してはすごく無頓着だけど、僕たちのことは常に気にしているよ。疲労を感じていないかとか、怪我をしていないかとか、生活に不満を持っていないか、とか。本当、心配性」
「フッ……。それが、主の良いところです」
戦が嫌いだと、この世が地獄だと嘆く私に、自分たちの本丸がいかに逼迫しているか。それでも嘆かず、進む道を模索していることを説いた主の強さを好ましく思う。
「まだ特が付く前のことです。同田貫正国と畑当番をしていた時、文句ばかり口にする彼に主がこう言いました」
『同田貫は負けるために自分を振るうの? 違うでしょ? 勝つために振るうんでしょ? こんな仕事、と思うかもしれないけど、これは遠回りじゃなくて近道に繋がっているんだよ。もしそれが嫌だというなら、あんたはずっとこの本丸で弱いままだからね』と。
「それを聞いて彼は『絶対ェ誰よりも強くなってやる!』と、むきになって畑を耕し始めました。それから『強くなって主を見返してやる』とも言いながら。主は別段鼓舞するつもりで発言した様子はありませんでした。ただ淡々と、事実だけを述べ、彼に考えさせようとしていました」
結果的に彼はちゃんと畑仕事をこなし、主は『おお、やるじゃん!』と笑っていた。その屈託のなさが滲んだ声音が、耳の奥にこびりついて離れない。
「主は裏表がないからね」
「いっそ不安になりますがね。悪い輩に付け込まれやしないかと、私でもヒヤヒヤします」
同田貫正国を鼓舞した時も、共に演練に参加した山姥切国広に『“写し”だから、なんて言った奴には自分の力でその切れ味教えてあげな』とその背を押した時も、主に計算している素振りはなかった。
「主は僕たちのことを『慣れない体で沢山働いて、戦って、本当にすごい』と言うけれど、僕からしてみれば素直に誰かを褒めたり、叱ったりすることのできる主の方が凄いと思うんだ」
「それは、私も同感です」
主は誰かを特別扱いしない。よく言葉を探す素振りを見せることはあるが、殆ど飾らない本心を述べる。しかもそれを何の躊躇もなく直球で投げてくるのだ。受け取るこちら側が驚いていることすら気づかずに、彼女は『当たり前のことをしている』と言わんばかりにケロリとした顔で心を与えて来る。
「ふあぁ……。まったく、二振り揃って何です? 僕を仲間外れにして。酷いじゃないですか」
「おや、宗三も起きてしまいましたか」
「ごめんね、兄様。うるさかった?」
小夜を挟んで座った宗三は眠そうに欠伸を零した後「いいえ」と首を横に振る。
「別にうるさくはなかったですが、気配で目が覚めました。それにしても何です? 珍しいじゃないですか。二振りが主のことについて話すだなんて」
「そういえば、宗三はあまり主の話をしませんね」
宗三左文字。私たちの兄弟刀であり、過去織田信長の元にいた刀。自らを侍らせるために呼んだのかと審神者に聞いた彼は、我らの主にサラリと言い返されていた。
「あの人は本当、何なんでしょうね。何も考えていないといいますか、審神者としての自覚があるのか正直不安になります」
「不満そうだね、兄様」
小夜が指摘した途端、宗三は顕現した時のことを思い出したのか、むすりと唇を尖らせる。
「失礼な人ですよ、まったく。『悪いけど刀を飾る趣味はない』なんて。これでも天下人の元を渡り歩いた身ですよ?! もっと何かあるでしょう!」
フン! と顔を背ける宗三には申し訳ないが、少しだけ頬が緩んでしまう。顕現した宗三に主がどんな具合で言い返したか、想像に容易かったからだ。
「主は良くも悪くも正直だからね」
「ええ、そうですね。私に『戦が嫌いでなければ戦ってください。侍らせたりなんてしませんよ。そんな余裕うちにはないですから』と言い放ったことは絶対に忘れません」
プリプリと怒った顔を見せる宗三だが、その実ここでの生活を好んでいることは知っている。自らを戦場に出し、戦刀として扱う彼女は我々を決して『美術品』として扱わない。常に戦う道具として我々に接する。だからこそ言葉とは裏腹に、好戦的な所のある宗三の心をかき回すのだ。
「いっそ余所の審神者みたいに刀に懸想するぐらいの可愛げがあればいいものを。それすらもないんですから。どんなに見目がよくとも『男士』としてではなく『刀』として見られていることを喜べばいいのか……。正直複雑な気持ちです」
そういえば、宗三は先日余所の審神者と恋仲になったという宗三左文字に出会ったそうだ。相手方の宗三左文字から『僕は今幸せですよ』と自慢げに囁かれたことが尚の事腹立たしかったらしく、今でも『袈裟切りにでもすればよかった』と口にしている。
「そもそも主は無防備が過ぎるんですよ! 何なんです?! 男所帯にいるという自覚があるとは思えないんですが!」
主に対する不満はまだあるらしく、宗三の口は止まらない。
「これは誰にも言っていないんですけど、この前主と書庫で会ったんですよ。背伸びをして本を取ろうとしていたので、僕が取ってあげたんです」
宗三曰く、主は脚立を使わず本を取ろうとしていたらしい。普段は効率重視な癖に、時折こういう訳の分からない負けず嫌いを発揮するのが我らの主だ。そこで宗三は少しからかうつもりで、現世で一時話題になった『壁どん』とやらを試してみたらしい。
「加州が『現世で超話題らしいよ~。主も誰かにやられたりして!』なんて騒いでいたものですから、ちょっとからかいたくなって試してみたんですよ」
主はとても小さい方だ。ふくよかではあるが、細身である宗三でも囲うことが可能な範囲内だ。現に宗三は主の顔のすぐ横に手を突き、顔を近づけたらしい。
「これで少しは動揺すればいいものを、あの人なんて言ったと思います?『わー、宗三の目って本当にオッドアイだったんだ~。綺麗だねぇ。でも刀のどこの部分なんだろ?』ですよ? 全く! 男として意識されていないという! 本当何なんですあの人!!」
キーッ! と両手で悔しさを表すかのように忙しなく指を開閉させる宗三は、何だか顕現した当初よりも吹っ切れて楽しそうではある。それもこれも飾らない主のおかげだろうか。と、少しだけ頬が弛む。
「主は男性とお付き合いした経験がないんだって。だから逆に吹っ切れたらしくて、僕たちに懸想することはない。って言っていたよ。『だって刀だし、神様じゃん。神様と恋愛なんて出来ないよ~。畏れ多くてさ。罰当たりだしね。あははは』ってこの間笑ってた」
「本当……刀剣でありながらも男士として器を与えられたこちらとしては、腹立たしい限りですねぇ……」
不満げな宗三にくすりと笑えば、兄弟たちの瞳がそろってこちらを向く。
「江雪兄様は、主のこと……どう思っているの?」
小夜の瞳が物語る。きっと、彼はこれが聞きたかったのだろう。近侍として、主の懐刀として。小夜は常に主のために動いているのだから。
「好ましい方だと思います。同時に、矛盾した方だとも。戦が嫌いだと言ったその口で、私に『敵を斬れ』と言う。その口が嫌いで、けれど、心の底からは憎めない。……そんな、酷いお人ですよ」
私の言葉に二振りの弟たちは「そうですか」と揃って口にする。月が初めより僅かに傾いていることに気づきながらも、私たちは暫く言葉を交わし続けた。
――初期刀と初鍛刀――
「――というわけで、皆が主に構うのはこういう理由があったからだそうです」
「成程にゃあ。ほがなことがあったがか。まっこと主は自分に無頓着ぜよ」
「全くです。主は僕たちが悪く言われたらすごく怒るのに、自分のことはケロッとしているんですから……。皆が怒るのは当然です」
「けんど、これを主に報告するがは……」
うーん。と悩む僕たちの元に、間の悪いことに主自身が登場してしまう。
「あ。むっちゃんと小夜くん! こんなところにいたんだ~。探しちゃったよ」
「まっはっは! すまんすまん!」
笑いながらも僕より先に立ち上がって主に近寄る陸奥守さんは、やはり初期刀として絶対的な存在感がある。それは主も同じなのか、多分自分では気づいていないとは思うけど、陸奥守さんといる時は安心しているようだった。
主は仕事熱心だ。本人は自分のことを『結構ちゃらんぽらんだよ~』なんて言っているけれど、責任感は強い方だと思う。だけど同時にとても柔軟な人でもあるから、僕たちは気負うことなく主に意見することが出来る。場合によってはそれを聞き入れ、予定を変更することもある。そうして皆の意見を大事に、一つ一つ丁寧に仕事をしてくれるのが主の最大の長所だと思っている。
「主」
「ん? 何?」
主が持ってきた書類を受け取りながら、僕は自分より少しだけ背の高い彼女を見つめる。御簾で顔は分からずとも、きっと穏やかな表情をしてくれているだろう、その人に。
「僕たちは、あなたの刀だから。あなたのことは、僕たちが守るよ」
え? え? と困惑する主を尻目に、陸奥守さんが声を上げて笑った。
愛されている自覚が全くない審神者と、仲良くなりたいしもっと話がしたいけど上手くいかない刀たちの話を書きたくて始めたシリーズです。大体こんな感じの本丸です。
自分に自信がないというより、女として無頓着な女審神者が好きなので、鈍感系ドタバタ喪女審神者として覚えてくださったら嬉しいです。
他にも色んな刀剣男士がいますが、書くの諦めました。
あと土佐弁は本当に分からなかったので、土佐弁変換に頼りまくりました。高知県民の方からしてみれば違和感だらけの台詞ばかりだとは思いますが、ご容赦くださいませ。