転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
更新が遅れたのは「ダークソウル リマスター」に手を出してしまったのと「俺だけレベルアップな件」にハマっていたからですね。
両方とも面白い……ダークソウルは3との繋がり探しながらやるのが楽しいし、「俺だけレベルアップな件」はマンガの方にも手を出しちゃって……。
無事、ダークソウルはトロコンしました。
ナイトレイン発売までに達成できて一安心ですね。
何が言いたいかって言うと、私は元気ですってことです。
「……はっ!? ここは!?」
目が覚めると私はベッドの上にいました。
着ていた鎧は脱がされ、下着姿になっていました。
そして目の前には──。
「お目覚めになられましたか。 あ、わん」
ナザリックのメイド長ペストーニャ・S・ワンコの姿が。
掛け布団を剥いで自分の身体を確認すれば、傷はどこにも見当たりません。きっと彼女が治癒してくれたのでしょう。
「えーっと……私が負けてからどれぐらい時間が経ちましたか?」
「大体二時間ぐらいになりますワン。 神前試合は無事終わりましたわん」
「そうですか……、お手数おかけしました」
「いえいえ、これもメイドの務めですわん」
可愛い。
流石ナザリック切っての善良NPCと言うべきか……彼女の創造者の餡ころもっちもちさんもきっとペストーニャのような人なのでしょう。
「お目覚めになられたので状況をお伝えします。
神前試合後は魔導国、帝国、評議国、聖王国での首脳会談が開かれております……わん」
「あー、そんな話もありましたね」
元々、そういう話になっていましたけど、私は試合に集中したかったので丸投げしていたんでした。
ジルクニフとラナーが上手くことを済ませてくれるでしょう。あの二人仲悪いけど、手を組めばほぼ無敵ですし。アルベドとデミウルゴスが組んだら勝てませんけど。
「アレーティア様は会談が終わるまで闘技場内で自由にしていて構わないとのことですわん。
来賓の方の多くはお帰りになりましたが、帝国の方々の多くは別室にてアレーティア様のお目覚めをお待ちになっていますわん」
「分かりました。 ところで……私の着ていた鎧はどこに?」
「……それなのですが」
ペストーニャが少し言いづらそうにしながら、部屋に備えつけられたテーブルへと視線を促しました。
そこには私の半壊した白金の竜鎧がありました。
「コキュートス様の〈倶利伽羅剣〉で修復が困難なほど破壊されてしまいまして……武器の方も跡形も無く……」
「これは……」
見たところ全体的にボロボロですね。まああんな一撃〈倶利伽羅剣〉ノーガードで受けたらそうなりますわ。
まあ、私も〈星砕き〉でツアーの鎧ぶっ壊したことがあったからそこまで気にしてませんけど……。
「破損してしまったアイテムに関しては後ほど弁償、ないしは補填させていただきたいとアルベド様より伝言を預かっていますワン」
「分かりました。 こう言うのもなんですけど、形あるものはいずれ壊れるのでそこまで気にしないでくださいと伝えていただけますか?」
「……多分な配慮、感謝いたしますわん」
こんな感じで私とペストーニャは会話を終え、着替えをして一先ず私の目覚めを待っている面々に挨拶しに行きました。
○
○
○
「アレーティア様!?」
「なんでそんなに驚いているんです?」
「いや……そりゃああんな戦い繰り広げた上に、あんな攻撃受けてぶっ倒れたんだから、下手したらって……」
「私は死んでも死にませんよ。 死ぬのは二度で十分です」
私を待っていたのは鮮血騎士と蒼の薔薇の面々でした。しかし、ラナーやお姉ちゃんたちの姿が見えません。
聞けば、ラナーとお姉ちゃん、ジルクニフや四騎士は会談に参加しているとか。
「さて、貴方たちどうして残ったんですか? 私が心配だったから、だけじゃないんでしょう?」
そう訊ねれば全員口を噤んでしまいました。なんなんだ君たち。
しばし沈黙が続き、意を決して口を開いたのはブレインでした。
「アレーティア様、聞きたいことがある。 ……先の戦い、あれがあなたの全力か?」
「……そうですね、本気でやったのは間違いありませんよ」
全力は出していません。
言い訳にはなりますがあの
それをしなかった理由は私自身にあります。
明確に私が負けたと思ったからですね。負けを認めたからそうしなかった。それだけの理由です。
「そうなのか……。 なあ、アレーティア様。俺は……俺たちはあの領域にまで辿りつけるのだろうか?」
ん?何か雲行きが怪しくなってきた気が……。
「この神前試合、最初から最後まで俺は持てる全てを駆使して観ていた。 でも、ほぼ目で追うことが精いっぱいだった。魔導国の者が俺たちが最低限観戦できるように魔法を使ってようやく観えるようになったが……それでもレベルが違いすぎた。正直、あのコキュートスという守護者には勝てるとは思えなかった。ここにいる誰もがそう思っただろう。
でも、アレーティア様ならきっと勝つと信じていた。信じてた……」
「ブレイン・アングラウス……アレーティア様に失礼だと思わないの? あの戦いを観て、よくもそんなことを言えましたわね」
「よせレイナース。 アレーティア様の前だぞ」
レイナースがブレインに掴みかかろうとしましたが、ルミリアが押さえてくれました。
しかし、ルミリアの顔を見ればレイナース同様にブレインの発言をあまり良くは思っていないようでした。
「……なるほど、なるほど。 要は私が負けたことで不安になりましたか」
ある意味、これは神前試合は大成功と言える成果でしょう。
この神前試合は魔導国の力の一端を知らしめる目的がありましたし、今行われている会談も魔導国有利で進められることでしょう。
そして、この場にいる人間たちは私が負けたことで不安を抱いた、ということでしょうかね?
「そうだ。 俺はアレーティア様、あなたを目標に剣を振ってきた。他の奴だってそうさ。
でも結果は敗北……やはり、人間という種族では上を目指すことに限界があるんじゃないか……そう思っちまったんだ」
なんでしょうこの空気。私が負けたことを遠回しに責めてません?
それに人間じゃ限界があるとか言い出して……まさかWEB版みたいに
『おれは人間をやめるぞーっ!!』って感じで。まあ、ああなったのはシャルティアの力ででしたけどね?
「……考え方が随分と女々しくなっているようだな、ブレイン・アングラウス」
「ちょ、ちょっとイビルアイ!」
「ラキュース、少し黙っていろ。
アングラウスよ、お前が人間をやめたところで今のお前では高みになど届くまい」
「そうですね。まあ人間をやめたとしても剣の腕前は落ちますね。異形になった代償として」
これは確かWEB版で吸血鬼になった影響で職業レベルのいくつかが吸血鬼に置き換わったから……だったかな?
人間種と異形種では職業構成に大分違いがありますからね。種族を変えたとして、レベルが上がるのではなくて置き換わってしまうんですから。
すると全員一斉に私を顔を向けてきました。なんでそんなこと知ってるんだ的な顔で。
唯一、仮面で顔が見えないイビルアイだけは何か心当たりがあるような反応をしてましたが。
とりあえず、それっぽいことを言っておきましょう。
「人間という種族は弱く、互いに手を取り合って生きていかなければならない、というのがかつてのスレイン法国の教義のひとつでした。
この考え自体は間違ってはいないと思います。人間のみならず、どの生物にとっても生まれ持っての才能などには個人差がありますし、手を取り合って足りないところを補うという考え自体は悪くないですからね。
ただ、個人がより強くなるため異形の存在──人間が一番成りやすいのはアンデッドでしょうか。外傷さえなければ永遠に生きられるでしょうが、アンデッドになったことでそれまでの人間性が失われます。
人だった頃に身につけた強さはアンデッドになったことで失われ、かつて抱いた志も失くし、生者を憎み、肉体は疲れを覚えず眠ることも出来ずに悠久の時間を過ごすことになります。
──それでも、人間をやめたいですか?」
私の言葉に気圧されたのかブレインが、他の面々が一歩後退りしました。
またもイビルアイだけが違う反応を見せている……ああ!忘れていましたけど彼女も吸血鬼でしたね!どういう経緯でそうなってしまったのかは私は残念ながら知ることが出来ずに前世を終えてしまいましたが。
ただ、イビルアイは望んでそうなったわけじゃなさそうなので彼女には悪いことをしましたね。今度謝り──いや、それをしてしまうと私がイビルアイの正体を知っていることになってしまうので、知らない振りをしておくのがいいですね。
「ア、アレーティア様……その、俺は一言も人間をやめたいなんて言ってないんだが……」
「………………言われてみればそうですね」
おそるおそるそう答えたブレインの言葉に思わず鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてしまいました。
なんでそういう話になったんでしたっけ?
えーっと………ああ、イビルアイがそんなことを言い出して、私が彼女の話の腰を折ったからでしたね!
「イビルアイがそんなことを言い出したのがいけませんね、はい」
「おい。 勝手に人の話を遮ってぺらぺらと話し出してそれはないだろう」
「でも私はその後誰も何も言わなかったから話し続けただけで、やっぱり話の大本を辿ればイビルアイに行きつくので私は悪くありません」
「このっ……!!」
「イビルアイよしなさい! 八つ当たりはよくないわ!」
「そうだぜ。 それにあの粛清騎士さんに歯向かって勝てるわけないだろ?諦めて受け入れるしかないっての」
羽交い絞めにされて押さえつけられるイビルアイ。あれでこの場にいる誰よりも年上なんですよね。威厳が全くありません。
「ああ、ブレイン。話を戻しますけど、私は確かに負けました。 でも、負けたことで得たものもありました。それに貴方は覚えがあるでしょう?」
ハッとしたブレインがガゼフとの初めての対決を思い出したようです。
そう。負けとは必ずしも悪いことではないのです。生きてさえいれば得られるものは多くあります。後はそれをモノに出来るかという話です。
「ええ、私は確かに今回負けました。 ですが、同時に私は敗北を知り──上には上がいるということを知りました。
ねえ、ゴ・ギン。ひとつ聞きたいのですが、貴方は私に負けた時どう思いましたか?」
「……ん?お、俺か? そ、そうだな……俺はお前たちとは違い人間ではないから、参考になるかは分からんが……そうだな。楽しい、嬉しいと感じたぞ」
突然話題を振られたゴ・ギンは少しあたふたしたものの、しっかりとした答えをくれました。
これは原作でもアインズ様との戦いで言っていたことですね。
「俺たちの種族──ウォートロールは戦い、勝利し、打ち倒した強者の血肉を食い、その力を取り込むといった風習がある。
だが俺はオスクと出会い、人間の世界を学び強者と戦い、ウォートロールの風習を脱却し強くなったと思っていたが……それはあくまで俺が種族の特性から来た強さ。真の強さなどではなかった。
特に戦士としての技量を積んでからは敵などいないも同然だった。
しかしだ、その常識を打ち破ってくださったのがアレーティア様だ。生まれて初めてだった。人間に一方的に負かされたのなんて。
加えて今まで得難かった
くつくつと笑いながらゴ・ギンは答えを示してくれました。
それに感銘を受けたのかブレインたちの顔から不安の色が拭われたようです。
「それにだ、アレーティア様が負けて、それで終わると思うか?」
「あっ……」
ようやく気づきましたね。私が負けたことばかりに目が行って、私がこれからどうするのかまでは考えが至っていなかったようです。
「ありがとうございます、ゴ・ギン。 お前たちに敢えて聞きましょう。
──私がただ負けて終わるとでも?」
語気を強くし、この場にいる全員を見据える。
全員が自然と姿勢を正し、私の言葉を聞く体勢になっていました。
「私は今までただ勝ち続けてきました。 勝ったからこそ得られる経験というものは大きいですが、私は負けた時こそもっと得られるものがあると、そう思っています。
私は無敵でもありませんし、最強でもありません。 最近だと法国との戦いで一度死にましたし、ブレインの木刀の素材になったモンスターとの戦いでも死ぬ寸前まで追い詰められましたし、森で暮らしていた頃なんか何度死ぬ寸前まで追い詰められたか……」
「え?なにそれ初耳なんですけど」的な言葉が聞こえましたが敢えて無視します。私にもそんなことがあったんだよってことを知って欲しいだけなんで。
今だからこそ言えますけど森でのクソ親父との生活を思い出すとよく生き延びられたなと思いますね。 これも大部分が生まれながらの異能などの恩恵のお陰ですが。
しかし、そういった経験から私が強くなったのも事実。ザイトルクワエとの戦いでは曖昧にしか理解していなかった生まれながらの異能を自分の意思で使うきっかけになりましたし、お姉ちゃんとの戦いでは同格との戦いの心構えや対策を身をもって理解しました。
そして、今回コキュートスとの戦いでは私の未熟さを痛いほど痛感しました。
「私は今日の神前試合に負け、多くの課題が見えてきました。 後々に魔導国側から講評を聞く予定ですし、やるべきことは多いです。
ですが……これらを乗り越えれば私はまた強くなれる。 ブレインも似たことに覚えがあるでしょう?」
「……そう、だな。 ガゼフに負けた後、いつか必ずリベンジしてやると鍛え直して、魔法なんかの知識も身につけてと……色々やったな」
人間との戦いの訓練を積むために傭兵団「死を撒く剣団」にいたことは濁しましたね。あれは一種の黒歴史というやつなんでしょう。
「そうです。私も同じです。 だから──私もいつか再び
しばらくは研鑽を続ける必要がありますが、必ずものにしてリベンジを果たします」
やることは山ほどある。武具の新調、職業構成の見直し、基礎のやり直しなど気づかされたことは多い。
後々、ナザリックからの講評を受けた上で改めてコキュートスに指導してもらうのも有り……いや、いっそ鮮血騎士や帝国騎士も巻き込んでというのもいいかもしれない。これは後で提案してみましょう。
とりあえず今後最大の課題は私だけの
「どうやら、納得してもらえたようですね。 では、今日は解散ということで。
私は会談の方に顔を出しに──「それはもう終わりましたよ?」──うおぉっ!? ラナー!? いつの間に!?」
マジでいつの間に私の後ろに!?気配察知は私の得意分野のはずなのに!?
「いや、なんだかお話に夢中になっているようだったので、ティラさんの
悪戯が成功したとばかりに可愛げのある笑顔を浮かべるラナー。やってることは全然可愛くないよ!
同時に「私は何も教えていない」と見ただけで自分以上の
……もしかして職業のジーニアスの使い方は私以上なんじゃないですかね? まあ、元々の素質なんかを考えたら当然と言ったら当然なんですけどね?
「ああ、そうそう。陛下から伝言を頼まれまして『今日のところはゆっくり休んで、傷が癒えてから顔を出すように』とのことです。
なので、今日はエ・ランテルへ帰って私がお世話をしてあげます」
「いや、もう怪我も治って「治ってませんよね?」……治ってないから休みます」
圧が!圧がすごい!!さ、逆らえない!!
こうして、鮮血騎士+蒼の薔薇との交流を終え、ついでとばかりに蒼の薔薇の面々に
ラキュースが特に良いリアクションをしていましたね。今後もラナーの良き友人であってほしいです。
その後は全員でエ・ランテルへと転移し、私はラナーに甲斐甲斐しくお世話されました。
すごく活き活きしてましたね。クライムもそれを微笑ましく見守っていました。
………………ただ、シレッとまた襲い掛かってきそうな気配を出すのはやめていただきたい。
私でも感知できなかった隠蔽で何かされそうで怖いんですよね。 仮に襲われても前回のアレで返り討ちにはするつもりですけど……。
それからしばらくして、私は再びナザリックへと赴くことになるのでした。
アレーティア
原点回帰したからか、考え方が少し変わった。
負けたことにより、強くなることにより貪欲になった。つまり仕事をしなくなる。
現時点でレベル100+。壁を破ったためレベル100以上になれるが、レベルひとつ上げるのにとんでもない経験値が必要なため、年掛かりじゃないと上がらない。
レベル100から101になるためにはレベル1から100までの経験値が必要。こればっかりはタレントでもどうにもならない。
余談ではあるものの、アレーティアがここまでレベルを上げるのにかかった時間はおよそ20年。
ブレイン
自分が信じた最強が負けた姿に激しく動揺。
アレーティアは必ず勝つと信じていただけにショックが大きかった。
そこから人間ではやはり異形の存在には勝てないと自棄になるも、イビルアイとアレーティア本人から説教を受け前向きに考え直す。
それはそれとしてアレーティアにそんな考えが出来なくなるぐらいに扱かれる。
どれぐらい扱かれるかと言うとフリーザのトレーニングに付き合わせられたタゴマぐらいに。
イビルアイ
女々しくなったブレインを遠回しに励ましてやろうとした結果、とんでもない流れ弾に当たってしまった亡国の吸血姫。
仮にキュアイーリムの手が伸びなければ、レベル的に彼女も人間の逸脱者に成れていた可能性があったかもしれない。
なお、この作品のイビルアイは「モモン様♡」とかにはなれない。
蒼の薔薇ルートではラキュースと一緒にアレーティアに振り回されるポジションになる。顔隠しのマジックアイテムを用意してくれるなど面倒見はいい。
蒼の薔薇
アレーティア様の秘密を暴露されてしまい、実質的に帝国に帰属することになってしまった。
(一応まだ)国家機密を知ってしまったからにはもう逃げれられない。
ラナー
この神前試合をキッカケにとあるナザリックのNPCとも仲良くなり、色々と借り受けた。普段は隠してある。
地味にレベルが上がっていて、基本的に一般職にしか置き換えられないジーニアスが条件付きで上級職に置き換えられるように成長している。
多分アレーティアのお世話をしている時は基本楽しそう、というか独占出来ていることに満足している。
これをネタにジルクニフを煽るつもり。
ゴ・ギン
アレーティアのお気に入り。レベル的に言うと40は超えている。
〈星砕き〉は使えないものの〈地砕き〉はアレーティアから教えを受けて習得済み。
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
次回はナザリック会議を予定しています。この回が今作におけるナザリック最大の変化になり、一番書きたかった回でもあるので気合入れて書き上げます!
なので、応援として感想、高評価、ここ好き、お気に入りなど諸々していただけると励みになりますので、どうぞよろしくお願いします!