転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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今回の胃痛枠:イミーナ

アレーティアが出ないと……というよりオリキャラばかりだとウケが良くないっぽいので、今後は巻きでいきます。
……聖王国編はアレーティアの出番無いけど大丈夫かな?と心配になったり。

大分先の投稿になるので、聖王国編の情報お漏らししておくと、聖王国編の主人公はカルカ様になります。
聖棍棒?知らない武器ですね……。


気づいたら厄介事に巻き込まれていた一般ハーフエルフ

 

 

「全員揃ったようね。 まずは紅茶でも淹れましょうか」

 

 円卓に座ったエルフ達へティーカップが配膳され、淹れたての紅茶が注がれる。

 「香りだけで分かる。これ、高いやつだ」と現実逃避しているイミーナを他所に交流会の議長であるロータスが口を開く。

 

「全員に行き届いたわね? では早速──と言いたいのだけど、今日はゲスト……いえ、新たに議会に加わるイミーナさんがいらしているので、自己紹介からにしましょうか」

 

「………………え?」

 

 ナニソレ聞いてないと心の声が口から転び出そうになるイミーナだったが、その心中を知って知らでかロータスはクスリと笑い話を続けた。

 

「改めて──妖精議会の議長をしていますロータス・ロタティオンです。普段はエ・ランテルの神殿で神官長をさせていただいてます」

 

「アタシはレモンだ。レモン・ハニービー。 普段は帝国内で貴族共の監視と不穏分子の処理をしてる。 ……そう、()()()()()()()のようにアタシも──」

 

「は~い、そこまでですよレモンちゃん。 私はマスカット・エイヴィスです。エ・ランテルの各村々の特産物や農作物の管理などの大本を任されているのですよ。 カルネ村にも何度かお邪魔したことがあるのだけれど、タイミングが合わなくて会えたことはありませんでしたね~」

 

「アセロラだ。 今はヴァイセルフ辺境伯領で統治補佐の騎士の任を受けている」

 

「ドラフル・オキワナーと申します。 元鮮血騎士で、現在は『妖精の歌声亭』の管理人をしています」

 

「ワタクシは──」

 

「ボクは──」

 

 ──と、順々に自己紹介を終えイミーナへと順番が回る。

 

「えー、カルネ村で用心棒をやっています、イミーナ・ターマイトです。 よ、よろしくおねがいします」

 

「これからよろしくねイミーナさん。それと、言葉遣いもそんなにかしこまらなくて結構よ。私たちは立場こそ違えど、あの御方の前では全員が平等なのだから」

 

「そ、そうです──フゥー……。 それなら、楽にさせてもらうわ」

 

 咎めるような視線を受け、イミーナは渋々ではあるが普段通りの口調を意識することにした。

 それを見て満足したのかロータスがそのまま話を続ける。

 

「そうそう。この交流会を行うにあたって、もう一人紹介しなければいけない御方がいるの」

 

 そう言われ他にも誰かいるのかと周囲を見渡すが、全員自己紹介を終えた者ばかりで目新しい人物の姿が見えないイミーナは戸惑った。

 

「ああ、探しても此処にはいないわ。 あの方はお忙しいですから」

 

「あの方って?」

 

「……我らが主、アレーティア様よ」

 

「アレーティア様……?」

 

 記憶を辿るもその名前は記憶にない。 エ・ランテルに来る前に都市内の有力者や有名人については叩き込んだつもりだったが漏れがあったのかと疑う。

 ただ、その反応を見ていた鮮血騎士であるアセロラが疑問に思ったのか問いかけてきた。

 

「ロバーとかつて行動していたなら会っているはずだぞ?」

 

「え?ロバーと? ワーカー時代にエルフと会ったことはないはず……ですけど」

 

「おいアセロラ。 あの方は基本姿を隠していらっしゃる。会っていても気づかなくて当然だろうが」

 

「……そうだったな。失念していた。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()──」

 

「バイザー?」

 

 それを聞いて、ロバーデイクと別の道を歩くことになったキッカケになった人物──粛清騎士ことエ・ランテル領主アルス・ティアーズ辺境侯のことを思い出した。

 顔をバイザーで隠し、黒い鎧を装備した粛清騎士と遭遇した時は生きた心地がしなかったのをよく覚えている。

 まさか、ワーカーの仕事で何か越えてはいけない一線を越えてしまったのではないかと、竜の逆鱗に知らずの内に触れてしまったのではないかと色んな思考が脳内を廻って、殺されると悟った時は震えて動けなくなった私をヘッケランが支えてくれて──結局、それは杞憂でロバーデイクをスカウトしに来ただけだったというのは今となっては笑い話だ。

 

「そうよ、そのバイザーの人物で合っているわ」

 

「──へ?」

 

「ごめんなさいね、私の生まれながらの異能(タレント)は相手の思考を読むことが出来るの。 だから、イミーナさんの考え事を読ませてもらったわ」

 

 ──絶句。そんな異能(タレント)聞いたことがない。イミーナも異能を持っているが、そこまで強力な異能ではないし、下手をするとあのフールーダ・パラダインと同等、もしくはそれ以上の異能ではないかと驚くと同時に思考が読まれていることを知り迂闊なことは考えられないと冷や汗をかく。

 

「ああ、安心してちょうだい。 そんなに便利な異能ではないの。それに読めると言っても断片的だから全てではないわ」

 

「そんなこと言っても初対面なんだし警戒するわよ~? ほら、いつもの異能殺し着けてね~」

 

「ええ、その方がいいわね」

 

 腕輪を着け直したロータスはイミーナへと向き直り話を続けた。

 

「イミーナさん、貴女の記憶の中のバイザーを着けた粛清騎士こそが──我らエルフを統べる()()、アレーティア様なの」

 

「…………ん? いや、待ってください。辺境侯ってエルフじゃないわよ!? それに名前も性別も──」

 

「あの方は全てを超越しているから、そんな常識持ってても無駄だぞ?」

 

「そうね~、あの方の秘密を一言で言うのならアルス(辺境侯)とはアレーティア(エルフの王女)である』という感じかしら~」

 

「どういうことなの!!?」

 

 意味が分からない。それがイミーナの率直な感想だ。

 

「大丈夫、これからアレーティア様のこと、ぜ~んぶ教えてあげるから」

 

 そうして語られたのはアレーティア様──帝国に伝わる粛清騎士の出自と成し遂げてきた功績。

 彼女たちの過去──平和な生活を送る中で、突如法国に急に襲われ奴隷として虐げられてきたという悲惨な過去も語られ、同時にアレーティア様に救ってもらった経緯を各々が涙ながらに語った。

 法国の存在のせいでその姿(王の相)を衆目に晒すわけにはいかず、粛清騎士という出自が不明な騎士が生まれたことや、アルス・ティアーズという偽りの人物を作り出すことで皇帝からの褒賞を与えられていたことなども語られ──。

 

「待って!? 少し整理させてもらえない!?情報量が多すぎる!!」

 

「ええ、どうぞ」

 

「まず辺境侯が実はエルフの王女様で!? 女だけど男にも成れて!? 何故かラナー夫人とも子供がデキてて!? 単独で国を滅ぼせる実力(ちから)を持っていて!? 帝国中のエルフはほぼ全員アレーティア様を崇拝しているって!?」

 

「いや、ラナー夫人の御子様は人間だからアレーティア様との間の子供ではないわ」

 

「じゃあ辺境侯夫人のラナー様の子供って誰の子なの!? 女同士じゃ子供はデキないでしょ!? ──あ、でも男にも成れる(アルス・ティアーズ)ならデキても──」

 

「アルス様状態だと勃つものは勃つけど、元が女だからデキないっておっしゃってたわね」

 

「何聞いてんの!?」

 

 最早イミーナに当初はあった遠慮という言葉は存在しない。常識をぶっ壊し続ける存在に只々突っ込むハーフエルフと化していた。

 

「あまりそこに踏み込まない方がいいぞ。 ラナー様に目をつけられると厄介だし、アレーティア様も納得の上での関係だ。 夫人のパートナーについては我々が口を出していいことじゃあない」

 

「あの方は恐ろしいですからね~。 アレーティア様も敵にはしたくないっておっしゃってましたし~」

 

(そのアレーティア様を恐れさせるラナー様とはいったい……)

 

 色々と聞かされて疲れたイミーナはこの後もアレーティアの話を延々と聞かされることになり、気がつけば日が落ちる頃になっていた。

 

 

「あら、もうこんな時間ね。本題に入る前にアレーティア様の話でほとんど潰れちゃったわね」

 

「本当よ……」

 

 もう帰りたい。帰ってヘッケランと買ったお酒を飲んで抱き潰すんだとイミーナは心で弱音を吐き──ばっちりロータスがそれを異能で聞いていることを失念していた。

 

「そう。それよ。 私たちが貴女に求める役割は」

 

「ふぇ?」

 

 机に突っ伏していた頭を上げれば、そこには先程までとは打って変わって真剣な面立ちをしていた。

 ここからが本題だと言わんばかりに。

 

「時にイミーナさん。 貴女は人間とはいい関係は築けているようね」

 

「え、ええまあ。 この通り結婚していますし……父と母の仲も悪くはなかったと思いますケド」

 

「……実のところ、そういう間柄はエルフでも珍しいわ。 ……特にこの国にいるエルフなんかは」

 

「それってまさか……」

 

 イミーナはその言葉だけで大体のことを察してしまった。

 元奴隷のエルフが大多数の帝国でのエルフ達の人間へ抱く感情は決してよくないものだということを。

 現にこの話を始めたロータスはその眼に憎悪を宿しているのを露わにしていた。

 他のエルフ達も同様に何らかの暗い感情を宿しているのが見てとれた。

 

「ああ、誤解しないで。 私たちは確かに人間を恨んでいる──けれど、全てではないわ。

 法国の人間のような人間至上主義を掲げる、人間様こそがという考えを持つ者以外にはそれほどの感情は抱いていないわ」

 

「……尤も、アタシたちは人間の暗い部分ばかりを見てきたから、人間を好ましく思ってはいない。 例外はアセロラやお前みたいな極一部ぐらいだ」

 

「そうねぇ~。 私も胸をジッとみられると襲われるんじゃないなって身構える時があるわ~。 私を………いた男はそういう趣味だったから……」

 

「マスカット、護衛を増やすか?」

 

「大丈夫ですよ~。 アセロラちゃんありがとうね~」

 

「というわけで、私たちはこういった対人間に関して一部問題を抱えているの。 此処もそういったエルフに向けて人間から少しでも離れられる場所をと用意された場所のひとつ。

 でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そこで貴女のような人間と良い関係を築けているエルフに今後のことを考えて協力を求めているのよ。

 特に……ハーフエルフでありながらも、一般的な道徳を有している貴女には是非ね」

 

 そこまで語られたことによってイミーナはようやく自分の立ち位置を理解した。

 エルフの王女(アレーティア)に救われたエルフ達の多くは、かつて人間によって虐げられ、尊厳を貶められる人生を送ってきた。

 勿論、全ての人間がそうではないと理解はしているというが、心では納得していない。そういう状況なのだろう。

 それならとイミーナはひとり意気込み、彼女らだけでないエルフのため──そして、今後ヘッケランとの間に生まれるであろう未だ見ぬ子のために協力することを決めた。

 ただ、ひとつだけ。どうしても気になる一点をここで確かめる。

 

「事情は理解したわ。 そういうことなら出来る限りのことはする──けど、どうして今になって協力を?

 それこそ、ロバーがスカウトされた時に私の存在を知っているのだから、そこで声が掛かっても良かったと思うのだけど」

 

 実際、ワーカーチームを解散してから数年の月日が流れている。

 その間、ロバーと交流を絶ったこともなければ法国こそ亡くなったものの、取り分け帝国ではエルフ絡みで国を揺るがすほどの事件が起きたわけではない。いたって平和だ。

 だが、態々今になってこうした場に呼びつけるということは、彼女たちしか知らないナニカがあるとイミーナの直感が働いた。

 そしてそれは正解だった。

 

「流石は名うてのワーカーだっただけあるわ。 そう、我々は今からでもこの問題解決──解消に尽力しなければならなくなった事情があるの」

 

「それは一体……」

 

「…………アレーティア様が故郷へ……エルフ国へ帰郷する、というお触れが全エルフへと発せられたわ」

 

 一枚の羊皮紙を取り出しイミーナへと差し出す。

 それを受け取り、書かれている内容を要約すると

 

 

『エルフ国へと帰郷するため、同じく帰郷希望者や身内の捜索などのために同行を希望する者は書面にて参加希望を届けること』

 

『長期の活動も考慮されるため、参加希望者は業務の引継ぎや申し送りなどを徹底できるものに限る』

 

 

 といったことが書かれていた。

 

 

「読んだなら分かるでしょう? これはただの帰郷ではないと」

 

「要はあの方が──アレーティア様が遂に王位を継ぐ……いや、簒奪する時が来たって知らせだ」

 

「え? 何がどうなったらそうなるの???」

 

 イミーナは混乱した。

 だって書いてあるのは帰郷するから、一緒に帰郷したい人は連れていってあげるよというような内容じゃいかと。

 だが、ロータスらはそうは受け取らなかった。

 

「イミーナさんはエルフ国をあまり知らないと思うけれど、正直国というのも憚られるわ。ド田舎よド田舎」

 

「え」

 

「奴隷時代も酷かったけど、今思うとあの暮らしはもう出来ねェな……。文明もあって無いようなもんだしな」

 

「故郷の──村の仲間が残っていれば、エ・ランテル(こっち)に来るように勧めるな。 あんなモンスターもうじゃうじゃしている森に住むよりよっぽど安全だ」

 

「村々での交流もほぼなかったものね~」

 

「ワタクシの村はモンスターに襲われてボロボロになったところを法国に襲われて全滅しましたわね」

 

「……ボクはあまりいい思い出がないや」

 

 他にも出るわ出るわ、かつての故郷への罵倒と過去。

 イミーナも流石にそんな暮らしは送っていなかった。あれはもしかしたら人間の母親のお陰だったのかもしれない。

 

「と、まあこんな具合にあの国──大森林は酷い所なの。私たちも辛い記憶があるからあまり帰りたいと思わなかったわ。

 でも、王族であるアレーティア様が帰郷されるとなれば話は変わるわ。 あの方はこのエ・ランテルをわずか数年で帝都を超えると言われるほどの都市を作り上げた。

 そんな我らの王女が帰郷されるということは、遂に王になる決心をしたということ。

 ならば、救われた我々はあの方の忠臣として、共にあの大森林を真なる国家として築き上げるべく馳せ参じなければならないでしょう?

 そして、アレーティア様は御父上と違いエルフ至上主義を掲げてはいない。 帝国でそうだったようにエルフと人間が共存できる国を目指すには──先程も言ったように貴方のような人の力が必要なの」

 

「ぶっちゃけ話を聞けば今のエルフ王は愚王以下もいいとこだからな。 エルフを想うならアレーティア様が女王に成るべきだろ」

 

「………」

 

 ぶっちゃけイミーナは新たに投下された爆弾にやられてしまい、思考停止に陥ってしまった。

 予想よりも酷い話が多すぎた。

 

「そういう事情もあるから、アレーティア様が帰郷される前に出来ることをしておこうって話になったわけなの。

 だから、これから一緒に頑張りましょうねイミーナ!」

 

「アッハイ」

 

 

 そこから先、イミーナは何があったかあまり覚えていない。

 ただ、厄介事に巻き込まれたことは確かであり、そのストレスを夫であるヘッケランへとぶつけることになるのは必然であった。

 

 

 

 

 





妖精議会
アレーティアの知らないエルフの代表たちで行われている会議。
会議内容は全エルフが閲覧可能。(アレーティア、アンティリーネは知らない)
主な議題は如何にしてアレーティアの力になるか。現在、帝国を百年単位の時間を掛けてエルフの影響力を向上させ、フールーダのように永らく仕えることを目標にしている。
この議会の恐ろしいところは長寿故に大胆に時間を掛けて事を運べること。長い年月を掛ければ帝国を乗っ取れる可能性が大。
ジルクニフはそれを危惧してエルフをアレーティアへの義理立てで重用しているが、要職などの立場にはあまり就かせていない。
それでもロータスの時は、上手くいけば神殿勢力を完全に取り込むことが出来ると目論み後方支援していたりする。


ロータス
実は異能持ち。条件付きで相手の思考を読むことが出来る。オンオフ不可。
思考だけでなく感情まで受け取ってしまうため、奴隷時代は同じく捕まった他の奴隷エルフのあれこれまで受け取ってしまい発狂し、廃人同然になっていた。見た目だけはいいのでそれでもいいと安く買い叩かれた過去がある。
そこをアレーティアによって解放され、心身ともに癒された。異能もアレーティアがデメリット付与のマジックアイテム/異能殺しを作製し、あらゆる不都合が取り払われた。
その為、アレーティアへの崇拝度は奴隷エルフ内でも他の追随を許さない。狂信一歩手前ぐらい。
王国陥落後の奴隷娼婦の治療には同じ境遇ということもあって、誰よりも献身的に接していた。

イミーナ
巻き込まれた可哀想な一般ハーフエルフ。
お土産は貰ったが、同時に仕事も増えた。
日々のストレスは酒で発散し、ヘッケランを押し倒すことで解消される。




おまけ
アレーティア製作のアレを見た守護者たちの反応

アルベド
「まあ……(余計なもの作りやがって!)」

デミウルゴス
「ほう……これは素晴らしい出来栄えですね。それはそれとして次は私も協力しましょう」

シャルティア
「ねえ、次はこれを作らない?いや別に他意はないでありんすよ?」

コキュートス
「……素晴ラシイ。是非手合ワセヲ──」

アウラ、マーレ
「へぇ~!!本当に○○○○○○○みたい!」
「えっと、その、次はボクたちにも作ってくれませんか?」




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