転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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こちらではお久しぶりです。
本編が中々上手く書けていないので、いくつか書いてある番外編──もとい聖王国編の投稿を開始します。

何も更新ないままよりもいいかなって……。本編楽しみにしていた方には申し訳ありませんが、アレーティアがいる世界線での聖王国編、楽しんでいただければ幸いです。



番外編 聖王国編
破滅の序章


 ローブル聖王国。かつてのリ・エスティーゼ王国から南西に位置する半島国家であり、四大神信仰を掲げ聖王を中心とした宗教国家だ。

 ただ、現在聖王が初の女性であるカルカ・ベサーレスが聖王女として王座に着いたものの国内の王侯貴族の反対する声は多く、特に王家の威光が届きづらい南部貴族からは反発を受けている。

 だからだろうか。この手の内乱をその身で以って知っていて、利用する事で自国を他国に捧げた女にとって、聖王国を遠方から操ることなど容易なことであった。

 

 

 南部聖王国でとある侯爵が反聖王女派閥の貴族を集め、日々悪だくみをしていた。

 如何にしてあの憎き聖王女を貶め、辱め、玉座から引きずり落とすかという妄想や、具体的にどう聖王女派閥を後退させるかなどの話し合い──会議とは言えない──が行われていた。

 そんなある日、他国の使者が侯爵たちに接触した。その使者は「今の聖王国は間違っている」、「あなた方の行いは正義そのものだ」、「是非我々にも協力させてほしい」など耳障りのいいことを言い、派閥に取り入った。

 次第に使者の手腕もあり、同志の貴族が増えていく中使者はあるマジックアイテムの存在を語った。

 

「我が国のとある遺跡から神代の魔法が込められたマジックアイテムが発掘されました。主人は正しき聖王国を取り戻すためにこれを侯爵様方に託したいと仰せです。その代わりといっては何ですが、見返りに──」

 

 それほどの超級のマジックアイテムを託す代わりにと多くの契約──実権を握った後、様々な便宜を図るなどの多くの条件を呑み、そのマジックアイテムを手に入れることが出来た。

 いつもの彼らならば、思慮深くこんな明らかな罠に引っかかることはなかっただろう。しかし、彼らは使者による精神支配を徐々に徐々に受けており、会うたびに掛けられるそれは最早呪いと化していた。

 故に彼らは何も疑わない。そんなマジックアイテムがあるのなら何故使者の国がそれを使おうとしなかったのか等、考えることすらしなかった。

 

「おおっ……これが召喚者の願いを叶えるというマジックアイテムか!」

 

「正確には願いを叶える力を有した存在を呼び出し使役するマジックアイテムだとのことです」

 

「ええい!細かいことは構わん! これさえあれば聖王女なぞ恐るるに足らんというわけだな!わはははは!」

 

 南部の有力貴族である彼は異形を模った像をこれみよがしに掲げ、同派閥の貴族たちに見せつける。己の力を誇示するが如く。

 

「さあ諸君!今この時より正しき聖王国を取り戻そうではないか!」

 

「「「「おおーっ!!!!!!」」」」

 

 南部貴族たちは誰も気づかない。誰かに誘導され思考を操られていることなど微塵も思っていない。

 彼らにあるのは今の聖王国の在り方を変えるため聖王女を引きずり下ろし、自分たちに都合のいい新たな聖王に挿げ替えることだけだ。

 

 マジックアイテムを起動させるとおどろおどろしい雰囲気が辺りに漂う。

 異様な雰囲気に怖気づく貴族たちだが、起動したマジックアイテムは止まらない。黒い風を巻き起こし、ナニカが顕現する。

 

「お、おおっ……!」

 

「あ、あれが我らの願いを叶える…………!?」

 

 貴族の言葉はそこで止まった。顕れたナニカを見て何を呼び出したのかを瞬時に悟ったからだ。

 

「あ、悪魔……!?」

 

「なっ!?悪魔だと!?」

 

「ど、どういうことですか侯爵殿!? 願いを叶える存在というのは天使のことではないのですか!?」

 

 集まった貴族たちが騒めき立ち、呼び出した貴族──侯爵も現状が理解できずにいた。

 こんなはずではないと動揺している。彼らは腐敗しているがそれでも敬虔なる四大神の信徒であり、神に仕える存在でもある。

 それがまさか悪魔を呼び出してしまうなど思ってもおらず、言ってしまえば悪魔を召喚するということは四大神信仰の教義を破るに等しく、異端認定されてもおかしくない。

 どうこの状況を打破するかを侯爵は必死に考える──よりも早く召喚された悪魔が口を開く。

 

「……お前か。我を召喚した愚物は」

 

 その悪魔は大きく前の開いた鎧を着用し、見事な腹筋を晒している。黒い蝙蝠の翼とこめかみから伸びる二本の角が無ければ人間の美男子と言っても通じただろう。

 しかしその全貌は人型の悪魔であり、その瞳は全てを欲する欲望に輝いていた。

 その悪魔の放つ重圧に耐えきれず、多くの貴族たちは地に伏せる。唯一、侯爵だけはその重圧から震えが止まらないものの、この場の貴族たちを統べる者として維持で立ち続けた。

 

「しょ、しょうだ! お、お前は私の願いを叶えるために呼び出されたのだ!さあ我が願いを叶えよ! 我らの聖王国を取り戻すため、聖王女を排せよ!!」

 

 恐怖で思わず噛んでしまい、膝は笑っているが、それでも侯爵は召喚についての知識は有していた。曰く、召喚した天使などは召喚者には逆らわないと。

 そう考えれば、目の前の圧倒的な強者のオーラを放つ悪魔は自分に従う。なら恐れる必要はないと気持ちを持ち直し、命じた。

 

「……何故我がお前如きの願いを叶えねばならぬのだ?身の程をわきまえよ人間風情が」

 

「なっ……!?」

 

 だが、目の前の悪魔はその常識を破った。破ってしまった。

 それでも侯爵は怯まない。その手にはこの悪魔を呼び出したマジックアイテムがあるのだから、これさえあればこの悪魔も従うだろうと高を括った。

 

「な、何を言うか! お前はこのマジックアイテムによって召喚されたシモベだろう!?」

 

「……ああ、それか。昔、我らを従えようとした連中が作り出したマジックアイテムか……」

 

「そうだ! 分かったなら私にしたが──」

 

「だが……それは失敗に終わった。我らがその程度のアイテムで従うとでも思ったのか?

 ──なあ、お前たち?」

 

 お前たち、と目の前の悪魔が口にした矢先、この場にかかっている重圧が増した。

 なんとか、一人の貴族が気配を感じ後ろを向くと、そこには先程まではいなかった異形が──悪魔が二体立っていた。

 

「ええ、そうね。我ら大罪の悪魔を従えることなぞ、かのお方以外にありえないわ」

 

 その悪魔は黒い皮で出来たようなボンテージファッションに身を包んだ女の体と黒いカラスの頭を持っていた。

 

「おい『強欲(グリード)』の。我らを従えられると思い上がった人間どもに身の程を教えてやった方がいいんじゃないか?」

 

 その悪魔は、文字通り悪魔のごとき恐ろしい顔つきで口には牙を生やし、鱗に覆われた肉体に鋭い爪を備えた豪腕。蛇のように長い尻尾に燃え上がる翼を持っていた。

 

 そんな身も震えるほどの圧力プレッシャーを放つ悪魔──否、大悪魔に囲まれてしまい、貴族たちは身を寄せ合い震えることしかできない。

 一体これからどうなるのか──と。

 

「『憤怒(ラース)』よ。我に考えがある」

 

「ほう?」

 

「折角だ。我らを呼んだ人間共の願いを叶えてやろうではないか。()()()()()()()()

 

 ああ。と大悪魔たちがその顔を醜悪に、残酷に、凶悪に笑みを浮かべる。良いことを思いついた、と。

 

「『嫉妬(エンヴィー)』、この辺りにはこの人間共と敵対する亜人共の暮らす場所があるらしい。そやつらを煽り、侵攻させよ」

 

「フフッ、任せて頂戴」

 

「『憤怒』、配下(悪魔共)を率いゆっくりとここら一帯の都市や砦を落とせ。呼び出された我らの力を──恐怖をその身と魂に刻み付けてやれ」

 

「いいだろう」

 

「我はこの南側の首都を陥落させ、そこに我らの楽園を築こう。ああ、そうだ。人間共はいくら殺しても構わんが、可能なら見目の良い生きた人間を捕えて連れてきてくれ。我が支配する地だ。人間とはいえ傍に置くなら華やかな者を置きたいのでな」

 

「ま、待て!」

(──こいつらは何を言っているのだ?!)

 

 願いを叶える。そう言ったが、願いはなにも叶ってなどいない。

 ただ聖王女を排し、元の正しい聖王国を取り戻す。それだけのはずなのに、どうしてこんなにも恐ろしい話をしているのだ。

 

「なんだ?我らなりに貴様の願いを叶えてやろうとしているというのに、不満でもあるのか?」

 

「あ、ああああるに決まっている! 私たちの願いは聖王女を──」

 

「ああ。だから聖王女は排除してやろう。だが──その対価にこの国を貰っても構わんだろう?」

 

 ──絶句。

 この時、ようやく侯爵は取り返しのつかないことをしてしまったと気づいた。

 悪魔とは人を誘惑し、堕落させ、弄び、破滅させる存在だと知っていながら、侯爵はそんな簡単なことも忘れ、ただ欲望のまま動いてしまった結果がこれだ。

 

(こ、こうなると分かっていればこんなマジックアイテムなぞ使わなかったのに!)

 

 このマジックアイテムを託してきた使者に今更ながら恨みを持つ。

 ──だがもう遅い。破滅への片道切符は既に切られてしまった。

 

「さて、お前たちの願いが叶うまでは我がお前たちの身の安全を保障してやろう。対価は……そうだな、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 美男子の悪魔の──強欲の魔将(イビルロード・グリード)の悪魔の微笑みが彼らの末路を物語っていた。

 自分以外の全てを──爵位も、領地も、屋敷も、財産も、家族も、そして国も全て奪われる、と。

 

「い、いやだああああああああああ!!!!!!!」

 

 絶叫。最早なりふり構ってなどいられない。子供の様に現実を受け入れらず泣き叫ぶ。

 だがそれは逆に悪魔たちの嗜虐心をそそらせるだけに過ぎない。

 

「そう遠慮するな。我なりの心遣いというやつだ。遠慮なく受け取るがいい。 ──〈集団人間種支配(マス・ドミネイト・パースン)〉」

 

 貴族たちの精神は呆気なく支配され──そこから彼らが意識を取り戻したのは全てが終わってからだったという。

 

 

 

 

 




南部貴族
とある使者によって精神を徐々に支配され、都合のいい様に操られ利用された。
王国貴族をもっとアホにした感じ。
後々利用するために全員生かしてある。

魔将の皆さん
ナザリック地下大墳墓第七階層を守護するデミウルゴス配下の魔将。
今回はアレーティア作のマジックアイテムの発動に合わせ転移し現れた。
全員レベル八十台のモンスター。今回の作戦のリーダーは強欲が担当。魔女教大罪司教ではない。

とある国の使者
実は魔導国の手の者。その実態はデミウルゴス配下のサキュバスであり、見た目はアレーティア作のマジックアイテムによって擬装している。魅了によって精神を支配していた。

自国を他国に捧げた女
聖王国編の序章の絵を描いた女。
ナザリック協力のもと、誠意活動中。
一体どこのラナーなんだ……?


感想、高評価あるとモチベーションが上がりますので、よろしくお願いします。
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