転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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ありのまま起こったことを話すぜ!
私は帝国ルートを書いているはずなのに気づいたらエルフ国ルートの導入を書いていた。
何を言っているのか分からないかもしれませんが、私も何が起きたのか分からなかった……。


という更新遅れた言い訳です。
3000文字ぐらい書いてからエルフ国ルート書いているのに気づきました。何やってるんでしょうね(苦笑)


アレーティアと戦争 ~王国攻略作戦会議編~

 

 

 ロクシーさんにドレスを着させられてから幾日かが経ちました。

 

 …今まで女らしい格好をするのに正直躊躇いがありました。

 理由としては前世が男であったため、心のどこかで未だ自分は男だと思っていた自分がいたのだと思います。

 帝国でも周りが男だらけの生活でしたからね。顔も基本隠してましたし自分を女と思うこともあまりなかったのもあります。

 例外はルミリアや一部の女性騎士や司書ぐらいです。

 

 後、最大の理由としては……クソ親父ですね。言わずもがな諸悪の根源です。

 かつてクソ親父にベッドに入り込まれ身体を弄られたことは絶対に忘れられないし、絶対に許しません。

 アレがキッカケであまり肌を見せるような格好はしなくなった気がします。

 

 そんな私ですが後宮、貰った屋敷の中限定ですが多少おめかしするようになりました。

 ロクシーさんがもっと身嗜みに気を使わないと、いざという時に困ると窘められました。

 いざという時がどういう時なのかは理解出来ませんでしたが、ロクシーさんが貴族教育に当てはめて教えてくれたので助かりました。

 

 例えるなら王国のアダマンタイト冒険者である蒼の薔薇のリーダー、ラキュースは貴族令嬢であり冒険者でもある人物でしたが、そんな彼女はラナーと会う際は冒険者ではなく貴族令嬢として相応しい格好──ドレスを着ていたことを思い出しました。

 

 それに比べて私は基本的に今までは支給された装備しか着用しておらず、私服と言っても動きやすい格好やワンピースなんかを好んで着ていました。

 私は貴族ではないとはいえ果たしてこれはジルクニフの、皇帝の隣に立つものとして相応しい格好なのかと問われると首を横に振らざるを得ません。

 今までそう言ったことにまで気を回したことは無かったので気づかせてくれたロクシーさんには感謝の念しかありません。

 問題はこのバイザーが外せないことですが、フールーダに協力してもらって新しく日常生活用に認識阻害の眼鏡を作ってもらいました。

 これなら目元をバイザーほど隠さずに済みますし、自然と素顔を晒せます。

 ジルクニフにあのラナー王女より上と言われたこの顔を出し惜しむことなく使えます。主に怪しい夜会なんかに行って寄ってきた馬鹿な貴族をターゲットに狩ってやりましょう。

 いわゆるハニートラップというやつです。

 

 しかし、まだ人前であの格好をするのには抵抗があるのでジルクニフとロクシーさんに頼んで少しずつ慣らしていこうと思います。

 

 

 さて、そんなこんなで今日は後宮ではなくジルクニフの私室に招集されています。

 来てみれば帝国四騎士の面々や将軍と言った軍務に関わる人たちが集められていました。何事でしょう?戦争でもする気ですか?

 

「アレーティア、待っていたぞ」

 

「遅れてしまい申し訳ありません。先ほどまで武器製作に勤しんでいたもので」

 

「それは例のルーン技術とやらで作られた物か?」

 

「もちろんです。とりあえず、騎士団全員分の支給武器に簡素ですがルーンを二文字ほど刻み鎧などの防具は軽量化と耐久力が向上するように、武器は組み合わせを変えて刻んだので騎士達で話し合って支給してください」

 

「粛清騎士殿の配慮に頭が上がらないばかりです。いつもいつも騎士達のために申し訳ない」

 

「お気になさらず、これも陛下より受けた命ですので。それに、よりよい装備を支給されれば騎士達はその力をより大きく振るってくれるでしょう」

 

 将軍の一人が申し訳なさそうに頭を下げてきますが、そこまで大したことはしていないので下げられると困ってしまいます。

 

 確かに帝国でルーン工匠を名乗れるのは私だけですし、騎士全員分の武具全てをルーン技術で作れと言われたら流石に厳しいですが、やりようはいくらでもあります。

 武具は基本的に私が作るのではなく、一般的に普及しているものを買い集め、その後で〈刻印魔法(ルーンマジック)〉で一気にルーン文字を付与していきます。〈刻印魔法〉本当に便利ですね。通常なら一つ作るのにそれなりに時間が必要ですが刻印魔法を使えば一瞬ですからね。命名するなら〈刻印魔法付与(ルーンエンチャントマジック)〉、なんてどうでしょう?

 唯一難点を上げるとすれば、私がまだ未熟なせいかこの方法で刻めるルーン文字の種類は低位かつ種類が少ない点ですね。後は刻印魔法そのものの効果に耐えられる素材が少ないのが残念です。

 ミスリルぐらいならどうにかなりそうですが、騎士全員分となると絶対足りなくなるのでまたアゼルリシア山脈に掘りに行かねばなりませんね。

 

「それで、今日集まった理由をお聞かせください陛下」

 

「ああ、そうだな。本来ならお前が姿を消した半年前にはこの話をするつもりだったが、もう事は起きているからな。確認も含めて改めて話そう」

 

 

 さて、ここでされた話は──王国との戦争でした。

 原作でも幾度となく行われていたカッツェ平野での小競り合いですね。いつから行われていたかは定かではなかったですが去年……いえ、聞く限りだと私がいない間に始まっていたようですね。

 初戦では四騎士陽炎トーマス率いる帝国軍が王国軍との戦いののち、一時休戦。しかしこちらの被害は軽微であり、むしろ王国軍を後退させ拠点を作る基盤を獲得したとのこと。

 流石はトーマス、四騎士一の働き者ですね。後で日頃の労いも兼ねてルナリアと一緒に何か企画してあげましょう。

 

「それでだ、これより数年をかけて王国の収穫の時期を狙い戦争を起こす。これにより王国は収穫の時期に農民たちを戦争に駆り出さねばならず、収穫量は落ち国力は低下していく。そして、弱り切ったところで王国全土を帝国へ併合する、という長期計画だ。後は帝国の貴族の大部分の無能共からは戦争費用を捻出させることにより最早欠片ほどしか残っていない余力を削ぎ落し、貴族の大粛清はようやく終わりを迎えるという事になる。ここまでで聞いておきたいことなどは……なんだ?ものすごく嫌そうな顔をしているなアレーティア」

 

 はっ!しまった!露骨に戦争への嫌悪感が全面的に出てしまってました!反省。

 とはいえ……この戦争割と反対なんですよね。勿論、原作のことを思えば戦争を継続させておよそ五年後のナザリックが表に出る辺りで終結するのが望ましいですが、帝国にデメリットが多すぎるんですよね。

 まず、帝国四騎士が二人……原作通りならトーマスとルミリアが死ぬことになります。そしてその穴埋めとしてニンブルとレイナースが加入することになるのですが、私としてはこの二人に死んでほしくはないんですよね。四騎士でなくなるぐらいなら許容出来ますが死ぬとなると……。

 ちなみにですがもうニンブルとレイナースの二人は次期四騎士の候補筆頭としてピックアップされています。

 うーん、これが歴史の強制力というやつでしょうか?気のせいだと思いたいですね。

 

 また、最後の戦争でのアインズによる超位魔法、〈黒き豊穣への貢ぎ(イア・シュブニグラス)〉による黒山羊たちの出現とその殺戮規模で騎士たちがジルクニフから離れようとしてしまうのもよろしくないです。

 まあ、私がいる限りそんなことはさせませんが。私と黒山羊、どっちが強いか分からせてやります。

 

 少々脱線しましたが後は個人的理由です。

 

 

 

 

 

──もう戦争とか正直懲り懲りなんですよね。

 

 

 

 

 エイヴァーシャー大森林にいた頃のスレイン法国との戦争は本当に地獄でした。戦う相手が常に格上、私が王の娘と知ってからか敵からの殺意は尋常じゃありませんでした。中には私を殺せば莫大な賞金が出る、なんて言っていたヤツもいました。そいつは私の〈土竜叩き〉で二度と地面から出てこないように潰してやりましたが。

 

 この戦争はそういった事態にはならないでしょう。何せ相手も違い、環境も違い、何より感情も違います。言ってしまえば王国帝国間の戦争は小競り合いと言われる程度のものですが、エルフ国とスレイン法国は一部を除いて全員が本気で殺し合う本気の戦争です。面構えが違いますから。

 ですが、戦争は戦争です。それを後五年もダラダラ続けるのかと思うとうんざりしますね。戦争歴六年は伊達じゃありません。なので…

 

 

「陛下、やり方が生ぬるいです。王国のことですから、年々戦争を続ければ何も考えず兵を派遣して国力を低下させ続けるでしょう。しかしですね、これは帝国が侮られていると同義だと思うんです」

 

「しかし、一度の敗北で王国が膝を折るとは思えん。だからこそ、毎年王国の収穫の時期を狙って戦争を起こし無能な貴族や王家の力を削いだ後に帝国のものにするという計画を立てたのだ。今侮られても構わん。最後に勝つのは我々なのだから」

 

 ジルクニフが不敵な笑みを浮かべてますけど残念ながら原作のままなら最後に笑うのはアインズ・ウール・ゴウン魔導国なんですよ。

 ん?最後に笑うのは魔導国なら過程は違えど結果が同じならそれで良いのではないでしょうか?

 

「いえ、それで構わないならいいんですが……数年もかけてあげるなんて鮮血帝の名が泣くのでは?」

 

「フッ、その鮮血帝の剣である粛清騎士が何を言うか。だが……お前は数年戦争を行うよりもっと容赦ない手を打ちたいということか?」

 

「はい、どうせなら──次の戦争で完膚なきまでに王国軍を壊滅させエ・ランテル近郊の土地を割譲するように要求します。」

 

 周りのからの視線が驚きに包まれる。壊滅なんて荒唐無稽な話をされれば驚かずにはいられないでしょう。とりあえず周りの目を無視して話を続けます。

 

「エ・ランテルは王家の直轄領地だったはずなので、恐らく割譲までに時間がかかるものと思われますが、その間に王国の貴族で有能な者を選出し帝国に協力させ派閥間での内乱を起こし内側からボロボロにしてやります。そして、疲弊が見えたところでトドメの戦争を仕掛けます。名目は……そうですね、エ・ランテルの割譲が遅ければそれを理由に。もしくは王国の裏社会の組織″八本指″から帝国に麻薬の密輸が貴族によって行われているのを見過ごした、というのはいかがでしょう?」

 

 誰もが黙ってしまいました。呆気にとられるというのはこういうことを言うのですね。とはいえ、これでも物足りなく感じます。

 正直今後厄介になる″八本指″は今のうちに根絶したいので各部門のトップが集まったあの会議場を土地ごと吹き飛ばしたいですね。〈隕石落下(メテオフォール)〉で。

 

「あ、相変わらず容赦が無さすぎるよな粛清騎士サマ。思わず王国に同情しちまったぜ……」

 

「いや、アレーティア様のやることですから当然では?微力ながらこのルミリアがお力添えを」

 

「絶対にやめてください!!あなたと粛清騎士殿が一緒に事を起こすと毎回頭を抱えることになるんです!」

 

「落ち着けトーマス。まだそうなるとは決まっていない。最終的な判断を下すのは陛下だ。だからそんなに頭をかきむしるな、禿げるぞ」

 

「ナザミさんはいいじゃないですか!基本皇城の守衛を任されてるだけなんですから!大体の後始末任されるの私なんですよ!?ルミリアと粛清騎士殿の後始末に駆り出される身にもなってくださいよおおおお!!」

 

 何故かトーマスが荒れ狂ってます。ここしばらくは私は何もしてませんよ?精々ドラゴン連れて帰ってきたり、魔法使えることバラしたり、後宮の警護の任務に任命されたぐらいでこれと言った問題を起こした覚えはないんですが……。

 随分前にはルミリアと謀反を企んでいる貴族の屋敷を襲撃して、偶々やりすぎてしまい近隣に多大な被害を出したり、どこぞの貴族の息子が騎士になりルミリアが女だからとナメた態度をとってきたので、二人で叩きのめして全身の毛を剃ってピカピカの状態で土下座させたりとちょっとやり過ぎたことなど色々ありましたがアレは過去のことですからそんなに荒れなくても……。

 

「あー、あれだなトーマス。すまなかった、お前の苦労分かったつもりでいたがここまでとはなぁ……今度飲みに行こうぜ?色々聞いてやるから、な?」

 

「ルミリア、お前しばらく粛清殿とは一緒に仕事するな」

 

「何故だ!?ようやくアレーティア様と戦場に立てるのに!?私が何をしたというんだ!」

 

「「「「どの口がそれを言う!?」」」」

 

 ジルクニフまで口を揃えて大声上げてます。ま、まあルミリアは単純と言うか、言い方を変えれば頭が残念なので……でも一緒にいると気楽で楽しいんで個人的には付き合いやすいんですけどね?

 

「トーマスの慟哭については後々話を聞こう……それでだ、アレーティア。お前の案は悪くないとは思うがどうやって王国軍を壊滅させるつもりだ?お前の魔法ならば容易く壊滅させられるとは思うが、それをすれば間違いなく周辺国──スレイン法国はお前を、いやお前だけでなく帝国も危険視するだろう。そうすれば法国は王国に手を貸し更なる争いが起こる可能性は十分にある」

 

「魔法を使って壊滅させるならフールーダ様やその弟子達で十分かと。もしくは、前回……私は参加していないので知りませんがその時と同じだけの軍を出撃していただければ、後はそこに私が参戦します。勿論、魔法抜きでも私は強いので使用しなくとも問題ありません。仮にスレイン法国も魔法さえ使わなければ、使った時より警戒されることはないのではないでしょうか?

それがダメならサフォロンに乗ってドラゴンライダーとして、竜騎士として突撃します

 

「最後のは絶対に却下だ。」

 

「なんでですかぁ!?」

 

「フロスト・ドラゴンを従えている人間の方がよっぽど脅威に思われると自覚しろ!!」

 

 くっ!私のさり気ないドラゴンライダー計画が却下されてしまいました。この流れならイケると思ったのに!

 

「とはいえ、そうだな。アレーティア、お前の案自体は良いものだ。後でこの計画における案を纏めて提出してくれ。詳しい内容は再度吟味しよう。」

 

「え……書類書くんですか?また半年ぐらいかかると思うんですけど」

 

「後ほど書記官を向かわせるから今度は案を出すだけでいい。……頼むからまた遠征の時のような暴走はしてくれるなよ?」

 

 そんなに警戒しなくても一月戦争を延ばしたりなんて地獄みたいなことはしませんよ。むしろナザリックが来る前に戦争関連は終わらせたいですね。

 

「では──粛清騎士を筆頭に帝国四騎士ナザミ・エネック、ルミリア・リイル・アーチゾルテ、トーマス・アルトランドの三名、及び帝国騎士団に命ずる。次の王国の収穫時期に起こす戦争で帝国に勝利を捧げよ」

 

 

 

 こうして王国との二度目の戦争に向けて慌ただしい日々が始まるのでした。

 

 

 

 






・ルミリア
優秀だけどどこか残念な女性。アレーティアと組むとスーパー脳筋になる。テンション上がると生まれながらの異能の影響もあってか周りが見えなくなる。


・トーマス
アレーティア&ルミリアの後始末を不運にも任されることになる被害者。二人のせいか髪が抜けやすくなったことがある可哀そうな人。でもジルクニフのことは尊敬しているし、アレーティアのことも仕方が無いと受け入れつつ事故報告書なんかを書いてくれていたりするすごくいい人。実はもうすぐ結婚する。


・アレーティア
遂に女を受け入れ始めるが、ジルクニフとそういう関係になったりしない。
眼鏡属性を手に入れる……が、オーバーロードに眼鏡キャラって多分ユリしかいないよなと思ったり(作者談)

・ラキュース
アダマンタイト級冒険者で貴族令嬢のハイスペックレディ。
蒼の薔薇ルートではカッツェ平野でアレーティアを勧誘し仲間になる。



この度UAが遂に25万を突破しました。こんなに読んでもらえて嬉しい限りです。
完結目指してこれからも書いていきますのでよろしくお願いします。


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