転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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遅くなり申し訳ありません。
何度も書き直して内容も変えたら週一更新出来ませんでした。


アレーティアと戦争準備 〜人の顔見て吐くとか失礼では?〜

 

 

 王国に布告官を送り戦争をすることが正式に決定してからしばらく経ちました。

 この頃には私の屋敷も完成し、私の鍛冶場も正式に稼働しました。日々ジルクニフからの無茶振りに応えて武具に順々にルーンを刻んでいきます。流石に全ての武具に刻むのは私でも無理があるのでそれぞれの部隊に合ったルーンを最低限刻む程度に済ませています。

 今回の戦争では主に自動回復効果を持ったルーンを刻み死傷を避ける方向で進めています。まあオーバーキルされてしまっては意味がないのですが無いよりマシでしょう。

 

 そんな忙しい中ですが、遂にフロスト・ドラゴンとラーアングラー・ラヴァロードを使った武器が完成しました!

 嬉しいことにそれぞれ過去最大の十文字ルーンを刻むことが出来ました。あの二体には感謝しないといけませんね!特にフロスト・ドラゴン……名前は残念ながら忘れてしまいましたが、彼のお陰で防具も新調できたので大満足です。

 ただ、武器の方はお披露目はまだ先になりますね。少なくとも戦争には使えません。何故かって言えば現地の武器にしては強すぎる部類なので迂闊に使おうものなら警戒されるってジルクニフに言われてしまい断念。機会はまだあるので待つしかありませんね。

 防具の方は許可は貰えたので戦争に問題なく使用出来ます。今回は全身鎧なのでバイザーは不要になりました。ジルクニフたちがドラゴンライダー計画を一向に認めてくれないので、せめて気分だけでもと竜を思わせるようなデザインになっています。当然、フロスト・ドラゴンの素材を惜しみなく使っています。持ち帰った分じゃ足りなかったのでサフォロンたちに少々協力してもらいました。(意味深)

 

 戦争準備も慌ただしくも順調に進んでいます。最近では騎士たちに発破をかけるため訓練にも参加して手解きしてあげています。

 ただ、悲しいことに訓練が終わった後の騎士たちの目が化け物を見る目なのはどうしてでしょう……?身体で覚えさせるために最大限手加減して武技をお見舞いしてあげているだけなのに。これで武技を使える騎士が増えているのは事実だというのに。不思議です。

 

 そういえば今回の戦争には参加しませんが、魔法省にも何度も顔出ししていて魔法の研究に協力しています。魔法を使う度、フールーダがものすごく興奮するので諫めるのが大変です。

 ただ、この魔法を目にして研究出来る、と言うのが良かったのかフールーダが第七位階魔法を使える様になったのは驚きでした。やはり暗中模索するよりも、こうして手本があると習得するスピードも違うんですかね。これを見習って他の三十人の高弟たちや他の弟子たちにも頑張ってもらいたいですね。

 

 ただフールーダがあまりの嬉しさにはしゃぎ過ぎて腰をやってしまったのはどうなんでしょう。もう歳なんですから……。

 

 さて、今日の用事はそのフールーダからの相談でした。

 相談内容は自分と同じ生まれながらの異能(タレント)を持っている弟子が突然弟子を辞めると言い始めたので引き止めるのを手伝って欲しいとのことでした。

 フールーダ曰く、若くして第二位階魔法を習得し第三位階魔法ももう習得目前だというのにここで辞めてしまうのは人財の喪失になると早口で捲し立てられました。なにより、自分と同じ生まれながらの異能を持っているからか、どこか過去の自分を投影しているのかもしれませんね。もしかしたら、諦めてしまった自分の姿があれなのかもしれない、と。

 

 ともあれまだ辞めるという話で止まっているので、どうして辞めたいのか事情を聞かなければいけません。

 例えば魔法省内でのいじめだとか、貴族間のやっかみならば私が介入すればなんの問題もありません。今の帝国は力ある者たちが手を取り合い、力なき者を引き上げる時代です。足を引っ張るような真似をする無能は必要ありません。クビにしてやります。

 経済的な理由ならば帝国が支援してあげればいいんです。その辺の採択はジルクニフに頼めば下ろしてくれるでしょうし。最近は金銭的なことでは頭を痛めていないようですし懐は暖かいはず……。

 そんなことを考えながら時は過ぎていきました。

 

 

 

 

 後日、フールーダ同伴で事情を聞くことになりフールーダにその弟子を連れてきてもらいました。さて、どんな人でしょうか。

 

「お待たせしましたな。こちらが件の弟子です」

 

「はじめまして、アルシェ・イーブ・リイル・フルトと申しま……!??」

 

「ようこそ、アルシェ・イーブ・リイル・フルトさん。どうぞ、そちらの席にお掛けください」

 

「は、はい……なんで粛清騎士が……!?

 

 はい、辞めたがっていたのはまさかのアルシェでした。WEB版ではシャルティアのペット、原作では悲しき末路を辿ってしまったあのアルシェです。妹たちがアルシェが死んだことを知らずに帰りを待つシーンは胸が痛くなりましたね……。つまり辞めたい理由はそういうことでしょう。

 そういえば以前魔法を披露した時に青い顔して気分悪そうにしてたのってこの娘だったんですね。気づきませんでした。

 ただ、今は戦士化しているので魔力は無いはずなんですが、なんで今にも吐きそうな顔しているんですかね?部屋に入る前はそんな顔色していなかったのに……。

 

「どうしました?体調が優れない様に見えますが……」

 

「い、いえ!そんなことはありません!はい!!」

 

「そうですか?では、本題に入らせてもらいますね?どうして急に弟子を辞めるということになったのでしょう?フールーダからも将来有望な弟子の一人で目を掛けていたと聞いていたのですが何か理由があるのですか?」

 

 体調を気遣って優しく、優しく問いました。すると逆にもっと震えだしました。本当に大丈夫ですかね??

 

「ア、アレーティア嬢、あまり問い詰めないでくだされ。アルシェが怯えておりますので……」

 

 え?怯えてる?……怯えてるんですか!?なんで!?

 私今回ばかりは何もしていませんよ!?むしろ気遣った方なんですが!?

 

「そ、そうですか。すいませんアルシェさん、そんなつもりはなかったのですが……」

 

「はぁ……はぁ……こ、こちらこそすいません。し、しかし先に一つだけお願いがあります。どうか聞いてはいただけませんか?」

 

「ええ、どうぞ」

 

「わ、私と両親はどうしてもらっても構いません。ですが、妹は!妹たちだけはどうか見逃してください!!」

 

 ……え?あれ?どうしてでしょう?

 ありのまま起こったことを話します。アルシェさんが意を決してお願いを口にしたと思ったら涙目で土下座をしていた。

 何を言っているのかサッパリ分からないかもしれませんが、私が一番分かってません。どうしてこうなったんでしょうか??

 

 するとフールーダが助け舟を出してくれました。

 

「何か勘違いしているようじゃなアルシェよ。今回ここにアレーティア嬢がいるのはお前を……元貴族であるフルト家を粛清するためではない。ワシが呼んだんじゃ。だからそうアレーティア嬢を困らせるようなことをするでない」

 

 ……ああ、そういうことですか。

 アルシェは私に粛清されると勘違いしていたわけですか。

 貴族に恐れられている自覚はありましたが、まさかこれ程とは思いませんでした……。

 これはアレですね。アルシェの心情的には原作でセバスが審問されている時に近いものがあったのではないですかね?下手なことをしたら処分されるという恐怖が。

 私ももう少し気を遣えばよかったですね。粛清騎士の装いではなく、もっと俗っぽい装いをするべきでした。

 こういう時にロクシーさんの教えが身に染みて分かります。

 

「その通りです。現在私は騎士団、魔法省にそれなりのポストを貰っていて才ある者たちを育てるべく動いています。そんな中、帝国魔法省主席のフールーダ・パラダインが気にかけている者が何も告げずにただ辞める、とだけ告げようものなら何かあったと思うのは自然ではありませんか?」

 

 私は席を立ち土下座の姿勢でいるアルシェに手を差し伸べ話を続けます。

 

「何があったのか言ってみなさい。それが私の力で解決出来ることなら手を貸しましょう。」

 

 すると、安心したのかアルシェが泣き出してしまい……

 

 

オエエエェェェ……

 

 

 ……えぇ?どうして吐いたんですか……?(困惑)

 何か込み上げるものでもあったんでしょうか。それにしたって目の前で吐かないでもらいたい……。でも、元を正せば私が悪いから何とも言えないのが……。

 

 

 

「し、失礼しました。お手を煩わせてしまい大変申し訳ありません」

 

「いえいえ、スッキリしたようで何よりです。先ほどより顔色も良くなったようで安心しました」

 

 吐いた後、アルシェと周りを綺麗にして話を聞きました。

 話は原作通り、実家が没落して貴族でなくなっても親の浪費が止まらず、後ろ暗いところから借金を重ねてしまい学院に払える金がなくなってしまい泣く泣く辞めてワーカーになろうと思っていた、ということでした。

 

 あの父親ホントどうしようもないですね。私のクソ親父といい勝負ではないですか?もう処すしかないのでは?

 

 

 手始めに両親を処そうと思いましたが、思えばまだアルシェの妹は生まれて一年ほどらしく親亡きアルシェでは育てきれるか分かりません。

 ロクシーさんに預けるのも一つの手ですが、ロクシーさんの仕事はあくまでジルクニフの子供と妾を預かるものなので赤の他人の子をお願いしますとは言えません。

 なので、ジルクニフに相談してこうすることにしました。

 

 

 

 

 

 

「は、はなせ!私が何をしたというんだ!?」

 

「詳しい話は詰所で聞きます。連行しろ!」

 

「おいやめろ!私は貴族だぞ!?騎士如きが私に触れるな!」

 

「ちっ、黒粉の密輸に関わっておいて何を言ってやがる。さっさと馬車に放り込め!!」

 

 

 はい、王国の八本指から流れてきている麻薬「黒粉」の密輸に関わっていたとして捕縛しました。

 そんな事実はありませんが、彼の親類が近しいことをしていたので半ばこじつけですが関係者として連行しました。後はジルクニフが上手く処理してくれるので父親の浪費はこれにて解決。

 

 後の金銭問題は借金と屋敷の維持費や使用人を雇う金銭が無いとのことなので屋敷は帝国で買い上げそこから捻出し、使用人の内何名かは他の貴族への紹介状を書いてそちらに勤めてもらい、残りの雇える最低限の使用人と母親、アルシェと妹二人で暮らせる家を紹介しそこで生活するように促しました。

 後は学業に専念出来るだけの資金援助。原作では諦めた夢をこちらでは叶えてもらいたいです。

 

 そんな感じで無事、アルシェは借金から抜け出せ貴族生活とまではいきませんがそれなりに幸福な生活を送れるようになったと思います。

 

 ただ……アルシェがワーカーにならないことによってフォーサイトが結成しなくなる可能性が濃厚になってしまいました。どうしましょうね?

 まあ、ワーカーは他にもわんさかいますし、きっと大丈夫でしょう!

 

 




アルシェ、アレーティア初遭遇時──見たことないオーラを見て吐き気を催す…がまだ吐かない。披露された魔法を見て絶対に逆らってはいけないと認識。

アルシェ、アレーティア事情聴取時──父親が絶対何かやらかした。このタイミングで辞めると言いだした私もきっと疑われている。間違いなく殺されるがせめて何も知らない妹だけでも助命して貰おうと涙ながらに訴える。思いの外アレーティアが優しく、恐怖とか混乱とか安心とか様々な感情がごっちゃごちゃになった結果吐いた。
その後は母親がやらかさない限りは幸せに暮らせるはず。

フールーダ──原作では理由も聞かされずに辞めていったアルシェを惜しむ気持ちがあった。
アレーティアがいるためもっと多くの人に魔法を広めたい一心で才能あるのに辞めようとするアルシェを勿体ないと引き止めようと

サフォロンたちフロスト・ドラゴン──むしり取られた。

アルシェの父──個人的にフィリップと同格レベル。ほぼ冤罪でぶち込まれるもクソ親父だから仕方ない認定。オバマスのイベントで更に評価が下がった。

アレーティア──ドラゴンライダー計画が白紙になってしまったので、せめて鎧を新調。バイザー不要の全身鎧に早変わり。
デザインはツアーの鎧を黒くして、モンハンワールドのドラケン装備っぽくしたものと想像してもらえれば。

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