転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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UA約5000、お気に入り約200件と嬉しいことに多くの方に読んでいただき気に入って貰えて嬉しい限りです。

3話もお楽しみいただければ幸いです。


私アレーティア、今カッツェ平野にいるの!

 

 皆さんごきげんよう、アレーティアです。

 

 今私は…

 

 

 

 

 アンデッドの大群に囲まれています。

 

 

 

 

 

 時は少し遡りまして森を出て迷子になって早数日、やたら霧に覆われ昼夜問わずアンデッドがわんさか湧いてくるなんとも不気味な場所に来てしまった様です。

おぼろげな前世の記憶を思い起こせば恐らくここはカッツェ平野。リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の中間地点にあったアンデッドが多発する地域のはず。

 

 骸骨(スケルトン)に始まり、動死体(ゾンビ)獣の死体(アンデッドビースト)など…ここは前世のバイオなハザードの世界かと勘違いしそうですね。

 生憎銃は無いので片っ端から魔法を駆使して排除して進んで行きました。

 この時、路銀稼ぎに討伐した証を集めて、いずれ冒険者ギルドに顔を出そうかとも考えたのですがやめました。

 何故かって?そりゃあ絶賛迷子なのに、そんないつ換金出来るかも分からないものを持っていても仕方ないでしょう?ただただ荷物が増えるだけです。

 クソ親父から貰っていた無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)があるから持ち運びには困らないものの、500㎏までしか入らないので──袋の中身を整理するのが面倒なので──あまり不要なものは入れたくありません。無限とは一体。

 まあ冒険者ギルドで正式に登録してから集めても遅くはないでしょう。

 

 

 さて、またそれから数日が経ち現在。私は戦い方を変えてこの平野を進んでいました。

 具体的には魔法ではなく武技を駆使してアンデッドと戦う感じですね。

 魔法だと余計に魔力を消費してしまっている気もするので体を動かして鍛えるにはある意味持ってこいです。

 何を隠そう私はこの強さに見合う程の体力がありません。これはレベル的な問題というより年齢的な問題ではないかと思っているのですが。

 私はまだ13歳。人間なら体力が溢れる子供の時期ですが、私はエルフ。エルフは長寿のため成長が遅いせいなのか、こうした素の身体能力は割と低く感じる……。魔法でバフを盛れば問題ないとは思いますが、あまり魔法に頼りすぎるのも良くありません。

 魔法抜きで身体能力を鍛えなければこの世界を生き抜くのはきっと厳しい。

 ……例外として魔法が使えない状態でも、大の大人を投げ飛ばせるぐらいのパワーなら何故かあります。あのクソ親父も最初はここを伸ばそうとしてたっぽいんですけど、自分でも気づいていなかったのにどうやって知ったんでしょう?知らぬ間に魔法とかでステータス見られてたのかな?

 なので魔法ではなく武技を鍛える必要があると判断し、戦士生活をしようと意気込んでいました。

 

 …そして気づけば冒頭の通り大量のアンデッドに囲まれてしまった私です。

不覚というか、なんかやたら統率された動きしてるんですよねこいつら。

 あ、なんかボスっぽいのいました。骨で出来た竜みたいなアンデッドの上にエルダーリッチっぽいアンデッドがいます。

 骨で出来た竜は察するに骨の竜(スケリトル・ドラゴン)か。これこの世界基準だと中々ヤバい状況なのでは?

 第六位階魔法以下の魔法を無効化する骨の竜(スケリトル・ドラゴン)、それに乗って盾にしながら魔法を撃ち下級アンデッドの指揮を執るエルダーリッチらしきモンスター。そして大量のアンデッド。うーん、誰かここで不死の軍勢(アンデス・アーミー)でも使いました?確か第七位階魔法だったと思うんですけど、使えるヤツがいるのかな?

 

 激流(レイジング・ストリーム)辺りを最強化すれば、周りを囲んでるアンデッド達も一掃出来ますし、骨の竜も倒して乗っているエルダーリッチっぽいやつも運が良ければそのまま倒せそうです。ただここで私のクソ親父の虐待こと英才教育が活きてしまってます。

 ある意味この状況は強くなるチャンスでもあるのです。

 弱いとはいえこれだけの数のアンデッド。骨の竜(スケリトル・ドラゴン)に乗るあのエルダーリッチ。これらを1人で近接戦闘で倒せばどれだけの経験になるか。

 魔法を使ったとしても倒すことに変わりはないですが、私の性質上魔法は魔法、武技は武技で鍛える必要があります。なのでここは魔法無しで切り抜けます。いわば縛りプレイです。

 

 私は無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)に放り込んでいたメイスを取り出す。このメイスは何年か前戦ったスレイン法国の神官と思わしき大男を倒した時にパク……もとい拝借した一品。アンデッドには殴打武器がよく効くとどこかで読んだ気がするので、こういう時に重宝します。

 メイスを片手に戦闘態勢へ。なにやらエルダーリッチっぽいやつがアンデッドに命令を与え始めています。なので先手必勝!

 

 

 

「武技〈流水加速〉〈能力向上〉」

 

 

 バフ盛りは必須。まず正面の敵から叩きのめします。

 

 

「〈殴打(スマッシュ)〉」

 

 

 ドゴォォォオン!という音とともに大量のアンデッドが種類問わず宙を舞いやがてバラバラになり地面へと落下していく。

 私の元々のパワーに加え〈流水加速〉による速度上昇、〈能力向上〉による更なる強化。ここに〈殴打(スマッシュ)〉という衝撃を放つ武技を放つ。

 相手はどうなるか?答えは簡単。相手は死ぬ。

 

殴打(スマッシュ)〉を連発するだけで正面のアンデッドが見えなくなる。いや、もう全員宙を舞って地面で見るも無残なことになっているだけでした。

 正面の穴を埋めるようにアンデッドが周囲から迫って来ますが、何ら問題はありません。

 

 

「〈即応反射〉、〈連撃〉」

 

 

 体勢を整え〈連撃〉で周りをボコスカ殴る。殴る。殴る。

 もう面白いぐらいにアンデッドが地面に還っていきます。一撃で何体倒しているのか?正直〈能力向上〉はやりすぎたかも…?

 そんなことを考えていると不意に魔法が襲ってきました。あれは……エルダーリッチ!骨の竜(スケリトル・ドラゴン)に乗っていないのが三体も!

 

 

「よくも我らの軍を!生かして返さぬ!〈火球(ファイヤーボール)〉」

 

 

「食らえ愚か者!〈雷撃(ライトニング)!〉」

 

 

「〈魔法の矢(マジックアロー)〉死ぬがいい!」

 

 

 

 怒り心頭のエルダーリッチ`s。この軍勢でどこかに攻めようとでもしていたのだろうか?まずはこの魔法への対処から。

 

 

「〈不動〉」

 

 

 

 魔法がそれぞれ直撃しましたが意にも介す必要はありません。この武技を使うと痛みを感じずに動ける。故に〈不動〉。そのままエルダーリッチに肉薄し、まずは一体を殴殺。

 ついに私に恐れを抱き始め逃げようとしたようだがもう遅い。そこは射程範囲内。〈流水加速〉を再度使用し新たな武技を放つ。

 

 

「〈投擲(スローイング)〉」

 

 

 武技を使用してなげたメイスは残りのエルダーリッチ二体の頭を破壊しただけでは飽き足らず付近のアンデッドも巻き込み飛んでいく。あんまり遠くに飛びすぎると回収が面倒ですね…今後は使用を控えていきたいところ。

 一先ず無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)から別のメイス(別の神官から拝借した同じメイス)を取り出し再び〈殴打(スマッシュ)〉を繰り出す。

 

 エルダーリッチという統率が取れるアンデッドがいなくなった影響か、アンデッドの動きが次第に群ではなく個としてのものに変わっていく。

 最早軍隊としての統率はとれておらずアンデッドの数もさらに減っていく。

 残すところ骨の竜(スケリトル・ドラゴン)とそれに乗っているエルダーリッチもどき。何度見てもエルダーリッチとは違う印象を受ける。

 ついにそいつが降りてきた。

 

 

 

「…我が弟子と配下をこうも容易く仕留めるとは。やってくれたな人間」

 

 

 その声は人間味がありつつも人を恨むアンデッド特有の冷たさを感じた気がした。

エルダーリッチもどきは話を続ける。

 

 

「貴様は殺す。ナイトリッチなるこの私自らの手で死ねるのだ。光栄に思うがいい」

 

 

 …ナイトリッチ?いや、知らないですね。ドラゴンなクエストでは知ってますけど。デザインがデスナイトっぽいあれですよね?見た目全然違いません?

 むしろそんなのいたんだって驚いてます。

 

 

 

 

 

「貴様の死体は私の部下としてこき使ってやろう!死ねい!〈焼「武技〈土竜叩き〉」

 

 

 

 

 

 

 ドグシャァッ!という音を立ててナイトリッチは地面に潰れたトマトのような何かと化した。

 …えーっと、弁明させてください。だって、明らかに私は強いぞ!ってやつが出てきて、ぺちゃくちゃ喋ってるんですよ?隙だらけでいつでも攻撃してどうぞ!っていう風に見えたから遠慮なく脳天から叩き潰しただけなんです!こんなあっさり死ぬなんて思わないじゃないですか!!

 そんな主を失って呆然としているであろう骨の竜(スケリトル・ドラゴン)を見ながら私はメイスを持ち直し、せめて主人と同じように土に返してやろうと跳躍し〈土竜叩き〉をその顔面に叩きつけた。骨の竜(スケリトル・ドラゴン)は粉々になった。

 

 

 …これはいい経験になったのだろうか?なんだかレベル差的なアレで倒してしまった感が否めない。

体力的には少々疲れを感じてはいるもののまだまだ戦える。さてこれからどうしよう。と考えながら歩きだそうとした矢先──

 

 

 

 

 空から豪奢なローブを着たお爺さんが降ってきた。

 

 

 

「偵察部隊からアンデッドの大群が現れ進軍しているという報告を受けて急いで来てみればこれは一体…。もしや、お主がすべて倒したのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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