転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
アニメ観ながら、完全設定資料集眺めながら書いてて思ったのは……
もしかしてこの世界、大砲が存在しない?
アレーティア辺境侯のエ・ランテル統治part1 〜人手が足りない!だったら他所から借りてこよう!まずはアゼルリシア山脈から!!〜
私、アレーティアは今エ・ランテルの元都市長邸宅の執務室でとある計画を練っていた。
先日正式にこの地が帝国のものになり凱旋と共に私が領主であると大っぴらに発表した。エ・ランテルの住民は青褪めた顔をしていたけど悪いようにはしません。
私が治める領地ですからね、なんだったら帝都アーウィンタールより発展させてやると意気込んでいます。
さて、そんなことより少しばかり困ったことがあります。
そう、圧倒的に人員不足です。
まず騎士団の見習いや騎士団四軍、五軍辺りの騎士達を千人ほど借り受け、文官も十名ほど派遣してもらいましたがそれでも足りない。このままでは私がデスクワークをしなければなりません。
ん?何か変なことを言いましたか?デスクワークは私の仕事ではないので何もおかしいことはありませんね。ルミリア達に押しつけます。
まあ、私がフリーで動けてもやはり手が足りません。
そもそもどうして手が足りないかと言えば、やりたいこととやらないといけないことが同時にやって来ているからですね。
原作でもあのアルベドですら仕事で手一杯になりうんざりする程でしたから。まああちらは私にはない最高の頭脳と無数のアンデッドを使うことで諸々を解決出来ていますが。
そんな私がやりたいことを簡単にまとめれば
●共同墓地にあるズーラーノーンの拠点の破壊、及び改築
●ブレイン・アングラウスが所属している傭兵団の征伐、捕縛
●インフラ周りの整備、及び改造
●魔術師組合を取り込みエ・ランテル全体への魔法技術の普及
●教育施設を作る
こんなところでしょうか?まだまだやりたいことは山ほどありますが一先ずはこれらが最優先事項です。
ああ、そう言えば王国の片付けないといけない件は片付けてきたのでこちらは一安心です。
後は戦後交渉で王国が帝国の要求を全て呑む形になっているので、ジルクニフにあれこれ頼んでそれで解決です。
その内の一つに関してはジルクニフが「これは絶対に無しだ」とか言ってきましたが、これに関しては退くことが出来ないので交渉が続いてます。
この件ばかりはどうしても時間がかかってしまってますね。
建前上呑まないといけないけど呑みたくない王国と無理にでも呑ませる帝国の舌戦です。飲み会かな?
ああ、中にはガゼフが負けたせいにする馬鹿な貴族もいたようですが、その条件破棄してもいいけどそれならこれから王都に攻め込むぞと脅しをかけたら黙りました。口だけならなんとでも言える無能は引っ込んでいてください。
後は計画通りに行けば数年後には綺麗に整備された王国が手に入りますね。彼女を味方に引き入れることが出来て本当に良かったです。
さて、話を戻します。やりたいことが多くある中、どれもこれも人手が足りないのです。
……あ、そうか。
よし、難しいことを考えるのはやめましょう。とりあえず人手に関してはどうにかなりそうです。
◯
◯
◯
はい、思い立ったら吉日、その日以外は全て凶日という言葉があるように私は即座に思いつきを行動に移しました。
まずはアゼルリシア山脈から。
「おお!神匠様!神匠様がいらしたぞおおおお!!」
「お久しぶりですゴンドさん。……というかその神匠様って私のことですか?」
「その通りだとも!貴方のお陰でルーン技術の復興が進み、より効率的にルーン武具を生産出来ないか研究を進めているところじゃ!これも全てあの時貴方がルーン技術を会得し高みを見せてくれたからじゃ!故に、ルーン工匠の多くは貴方のことを神匠と呼んでおるんじゃ」
私、いつの間にか神になっていたようです。とはいえ嬉しいものですね。原作とは違う形ですがルーン工匠の方々が生き生きとしているようでなによりです。
「それで、神匠様は何用ですかな?ただ顔を出しに来たわけでもないでしょう?」
「ええ実は最近とある領地を治めることになったのですが、路上や街道の整備、城壁の強化などを行う人手が足りず困っていましてね。もしも手が空いている方がいましたら手伝ってもらえないかと思いまして。勿論その間の生活の面倒は勿論、報酬などは色をつけて支払わせていただくつもりです」
まずはダメ元でドワーフの手を借りたいと思いました。魔導国の時もそういった事にドワーフが携わっていたので力を借りられれば百人力なんですが。
「なるほど……神匠様の頼みなら快諾したいところじゃが、少々困ったことになっていての。少しばかり難しいかもしれん」
「一体何に困っているのです?」
「いやのう、クアゴアという亜人が鉱石を求めて度々ワシらを襲撃してくるんじゃよ。ワシらでさえ最近ミスリルすら見つけられたら御の字だというのに困ったもんじゃい」
ああ、そういえばクアゴアとドワーフはバチバチにやり合ってたんですね。確かにそれだと難しいかもしれませんけど……そうだ、クアゴアの王であるリユロとは知った中ですししばらく侵攻を止めてもらうようお願いしてみましょう。
ついでに久々にフロスト・ドラゴン一家にも会いに行って何匹か借り受けましょう。運搬に便利ですからね。
「……しばらく時間をいただければクアゴアの方はなんとかしてみせるので摂政会の方に話をしていただいてもいいですか?答えをいただけるまで待ちますので」
「なんと!?神匠様が手を貸してくれるのか!?あのラーアングラー・ラヴァロードを倒せるだけの力を持つ貴方が力を貸してくれるなら百人力……いや、千人力じゃな!少し待っておいてくれ!すぐに摂政会にこのことを伝えよう!」
「よろしくお願いします。」
さて、待っている間少々暇なのでルーン工匠の方々に挨拶でもしてきましょうか。
「よくぞ来てくださった神匠様よ!」
「どうか!あなた様の作られたルーン武器を見せて欲しい!もう少しで何かが掴めそうなんじゃ!」
「いや、どうか我らに改めてご指導ご鞭撻を!何卒、何卒おおおおお!!!」
「うわ……」
熱量がすごい。出会って数秒でこれとは()
もうフールーダ化してますね。なんということでしょう。職人というかその道一筋の人ってこういう人ばかりなんでしょうか?だからこそ前へ前へと進めるんでしょうが。
とりあえず現状の最高傑作であるフロスト&フレイム・オブ・アゼルリシアを取り出し披露しました。
そして全員号泣しだしました。情緒不安定すぎて怖いんですけどもう!?
「さ、流石神匠様じゃ。ワシらがこうも手古摺っている間に更に先へと進んでいらっしゃる!それに対してワシらのなんと不甲斐ないことか……!!」
「これほどの一品に出会える機会はそうそうないぞ……ああ、この美しい造形に彫り込まれたルーン文字の神々しさたるや……」
「十文字じゃぞ十文字!ワシらでも四文字が限界だというのに、流石は神匠様じゃ!」
以前見せたセブンスター・ルーンを超えた剣ですからね。まあ、妥当な反応かなと。しかし突然泣き出すのは本当にやめてほしいです。
とりあえず、行き詰まっている彼らにアドバイスというか体験談を話しましょう。それがきっかけでまた新たな発見があるかもしれませんし。
「この剣たちは素材に鉱石だけでなくフロスト・ドラゴンの鱗やラーアングラー・ラヴァロードの皮や骨を使って加工しています。なので普段使っている鉱石よりもルーンを刻む魔力に耐えられるのではないかと」
「なるほど、モンスターの素材か。ワシらは金属を主に使うからそういうところは盲点じゃったな……」
「とはいえワシらは所詮はルーン工匠でしかない。そういった素材に関しては外部を頼らねばならんな」
「では、後ほどいくつか帝国でも流通しているモンスターの素材を提供しましょう」
「よ、よろしいので?」
「はい、私も多忙の身でしてそこまで手が回っていないので色々検証していただけると助かります」
余談ですが、現状ルーン文字を最も刻める素材はザイトルクワエの素材です。やはりというかユグドラシル産のモンスター素材は格が違いますね。試しに適当に刻んでみたら
今はこの素材を使って最強の杖を作ることを目標としていますがかなり時間がかかりそうです。素材もできるだけ良いものを使いたいので。
「「「「お任せください!我らルーン工匠一同、必ずや神匠様のご期待に応えてみせますとも!!」」」」
「頼りにしていますよ。では、まだゴンドさんも戻ってきそうにないですし、少しばかり私の
ルーン工匠全員からおお!と歓喜の声が上がりました。
まあ、造るのはルーン武器ではないんですけどね。?
○
○
○
「戻ったぞい!……ってなんじゃあこれは!?」
「ああ、お帰りなさいゴンドさん。どうでしたか?」
「あ、ああ、そうじゃ。摂政会は詳しい話を聞かせて欲しいと神匠様を連れてきて欲しいと言われての。すまんが一緒に来てもらいたいんじゃが……」
「そういうことですか。構いませんよ、今すぐ向かいましょう。」
思いの外反応が早くて助かりました。原作のようにまだこの地(フェオ・ライゾ)を捨てていないのでそこまで切羽詰まっていないから断られる可能性も視野に入れていただけに、これは嬉しい反応です。
ゴンドさんに連れられて摂政府へと向かいました。
「……なあ神匠様、先程のアレは一体?」
「アレですか?ルーンではありませんけど今後アレにルーンも組み込めればいいと思って作ってみたんです。万が一断られたとき、アレを量産して数を補おうかと」
アレを造るスキルは人手が足りないから増やせばいいという発想から
ただ、
こういうスキルを会得するとアインズ様が毎日のように使っている〈中位アンデッド作成〉が羨ましいですね。アレ死体があればずっと存在できるの割と手軽で便利ですよね。
もしかすると、アレと同じように触媒的な何かがあれば増産出来るかもしれません。
「なるほどのぉ、もしアレが量産できるのであればドワーフもクアゴアなんぞに怯えずに済むかもしれんの」
「ふふっ、今後はこういうところに力を入れるのもいいかもしれませんね。ドワーフの
「いや、おらんな。そもそもがドワーフでそういう魔法を使える者は希少なんじゃ。
ああ、そんな話もありましたね。確か空気を綺麗にする魔法は森祭司を習得していると使えるんでしたっけ?それが少ないから薪や石炭は主流ではなかったとかいう話があった気がします。
確かに地下暮らしの中で物を燃やして空気が薄くなって一酸化炭素中毒なんかになったら目も当てられませんからね。
そんな話をしていると見えてきました摂政府。ゴンドさんがいるからか顔パスで通れました。いいですね顔パス。ただこの世界だと幻術で騙せる可能性もあるのでその点は注意しないといけませんが。
「ルーン技術局長ゴンド・ファイアビアド、神しょ……アレーティア殿を連れて参った!」
中に入り案内された部屋には八人のドワーフが。
魔法全般を管理する大地神殿長。
軍事警察関係を管理している総司令官。
鍛治以外の生産物、食料品などを管理する食糧産業長。
内務全般を管理する事務総長。
酒造りの管理をしている酒造長。
鉱山の発掘などを管理している洞窟鉱山長。
現状有名無実化した外務の仕事を担当している商人会議長。
そして、鍛治などを主とする生産関係を管理している鍛冶工房長の八人が──あれ?
以前会った鍛治工房長と人が変わってます?あれれ?
「ゴンドさん、以前お会いした鍛治工房長はどちらに?」
「ん?ああ、そういえば言っておらんかったな。アレーティア殿がいなくなってからルーン技術に革命を起こした貴方のことが都市に知れ渡ってな。その時貴方を無下に扱ったとして多くの工匠の非難を浴びて引退したんじゃよ」
ええ!?まさかそんなことになっているとは……。かつての鍛治工房長には悪いことをしてしまいました。もしまた会うことがあれば謝らねば。
「ようこそおいでくださったアレーティア様。私は軍事を預かっております総司令官です。率直にお聞きしますが今行われているクアゴアとの抗争、こちらをなんとか出来るとお聞きしてお招きしたのですが」
「ええ、彼らの侵攻を止めることは容易です。クアゴアを治める王であるぺ・リユロとは個人的な付き合いがありまして。私の頼みなら快く聞いてくれるものかと」
「おお、そうですか。しかし、貴方とクアゴアの王にどの様なお付き合いがあったんですか?」
「そうですね、あれは私がこの都市に来て鍛治を習い始めた頃です。鍛治をするのにも鉱石が必要で当時は何も持っていなかったので、鉱石を求めて探索していたところクアゴアの集団に出会いまして。クアゴアはどうやら鼻で希少な鉱石を嗅ぎ分けられるらしいので、全員叩きのめして案内させたところリユロと出会いまして、いくつかの鉱山を紹介してもらったことがあります」
懐かしいですね。もうこの山脈で欲しい鉱石が掘れないのは残念ですが、まだクアゴアで持っている希少鉱石があれば譲ってもらいましょう。まあ欲しいのはアダマンタイトやオリハルコン辺りですけど。
そんな話を聞いた摂政会の面々は「はぁ?」と思わず声を出しそうな顔でこちらを見つめてきます。確かににわかには信じられませんよね。
「な、なるほど。しかし、その関係だけではクアゴアを止めることは難しいのでは?」
「すまん、発言よろしいか?」
すると後ろからゴンドさんが出てきました。
「アレーティア殿はかの王都への三つの難所の内の一つ、溶岩地帯に潜むあのラーアングラー・ラヴァロードを単独で倒すだけの実力を持っておる。アレよりクアゴアの王が強いなら話は別じゃが儂にはとてもそうは思えん。ならばアレーティア殿はその力を持ってクアゴアを説得出来ると言っているのではないか?」
そういえばゴンドさんには私の強さの一端を見せていましたね。ナイスフォローです。
「ええ、リユロ相手なら何の問題もなく下せます。それを察知してか向こうも私との交戦は避けている様子がありましたので」
それを聞いてか安心した?様子を見せてくれました。
「では、クアゴアの件どうかお願い申し上げます。対価としてですが、工匠を借り受けたいとのことですが」
「ええ、もう聞いているかもしれませんがこのアゼルリシア山脈から南のトブの大森林を抜けたさらにその先にあるエ・ランテルという都市を治めることになりまして。お恥ずかしい話、人手が圧倒的に足りておらずその道の達人たちが集うドワーフの皆様に力を貸してもらえないかと思いやって来たのです」
どれぐらい貸してもらえるかは分かりませんが三十人も借りられれば御の字ですかね。後はエ・ランテルの貧民街で日々の生活に困っている人たちにも手伝ってもらいそのまま手に職を身につけて貰えれば一石二鳥なんですが。
あ、そうだ。どうせなら交易都市としての利点も加味してみましょう。
「加えて、私の治める都市とドワーフの国で貿易が出来ないものかと思いまして。こちらからは木材や食料品、酒など多様なものを提供出来ます。対してそちらからはドワーフ製の武具や酒類などを仕入れられればと。こちらはまだ草案ですので検討していただく程度で構いません」
「分かりました。ではその話は今回のクアゴアの件が落ち着き、派遣する工匠たちの話を聞いてからでもよろしいでしょうか?」
「ええ、勿論です。では交渉成立ということで」
こうして無事摂政会との交渉を終えることができました。概ねいい反応を貰えてよかったです。
また、派遣される工匠については希望者を募ってその中から国の運営に損なわない程度の人数を派遣してもらえるとのこと。
一体何人集まるか……まあ、あのスキルの検証が済めば数は補えそうですからなんとかなるでしょう。
◯
◯
◯
「と、いうことで侵攻やめてもらえません?」
「わ、分かった!すぐに兵を引き上げる!だからこれ以上は勘弁してくれ!俺たちも鉱石が集められずに困ってるんだ!もう献上できる貢ぎ物すらギリギリなんだ!」
リユロは話が早くて助かります。私がシャルティアじゃなくて良かったですね。
ん?貢ぎ物?
「貢ぎ物ってなんです?」
「あ、ああ。フロスト・ドラゴンの奴らがここ数年ほどしきりに要求してくるんだ。お前たちを使ってやってるんだから定期的に貢ぎ物を出せってな。お陰でお前が分けてくれた鉱石も大半がなくなってな」
……オラサーダルクそんなことしてたんですね。逆を言えばアイツのところにいっぱい鉱石があると、これはいいことを聞きました。後で拝借しに行きましょう。
「……なあ、アレーティアさんよ。アンタ、あのフロスト・ドラゴンより強いんだろう?どうだ、俺たちを使う気はないか?」
「ん?どういうことですか?」
「正直、あのドラゴンたちに仕えるのも限界が近い。ここしばらく鉱石が掘り尽くされたのか遠征してやっと幾らか程度の鉱石が集まる程度。奴らに貢ぎ物が贈れなければ俺たちは間違いなく見捨てられる。その程度のものだ。
だがアンタは違うだろ?アンタなら俺たちを、クアゴアをもっと上手く使って繁栄させてくれる。そうだろう?」
……なんで私の評価こんなに高いんですかね??
確かにそこそこ迷惑はかけたものの、それなりに良い付き合いは出来ていたとは思いますが。
「どうだ?……いや、どうですか?」
思えば私がアゼルリシア山脈の希少鉱石を根こそぎ掘り尽くしてしまったのが原因ですからね……。
それに太陽光下でなければ普通に生活出来ることも考えれば私のバイザーのような、サングラス的なアイテムを渡せばクアゴアという種族が力になってくれるのは頼もしいことです。
とはいえ私だけで判断していいものでもないでしょうけど。
「そうですね、大変魅力的な話ですけどこの場で即決するのは難しい話です。なので、少しばかり時間をいただいても?」
「勿論です。良いお答えをお待ちしてます」
その声はなんとも切実さを感じさせました。本当にギリギリなんでしょうね。可哀想になってきました。
なのでちょっと灸を据えてきましょうか。
◯
◯
◯
「き、貴様!?」
「元気でしたか?オラサーダルク」
相変わらず集めた財の上で寝そべるのが大好きなんですね。ベッドか何かと勘違いしてません?
「あの時と同じと思うなよ!?お前を倒すため私は更なる力を──」
「〈土竜叩き〉」
先手必勝、静かになりましたね。ピクピクと痙攣しているので生きていますね。問題なしです。あ、ちょっと鱗剥ぎ取っておきましょう。後爪も。こんなのでも霜の竜の王ですからね。素材としては貴重です。
「よ、ようこそおいで下さいましたアレーティア様!此度は何用でございますか!?」
「えーっと確かキーリストランでしたか?久しぶりですね。最近コイツが横暴でクアゴアが困ってるって聞いたから灸を据えに」
すると身震いしながら身体と頭を地に伏せた格好になりました。確かドラゴンにおける最大の敬服のポーズでしたね。人間で言うところの土下座でしょう。続けて他の二匹の妃も同じポーズをしています。
「も、申し訳ありません!貴方様に敗れて以来、オラサーダルクは心の傷を癒すためと財宝にこだわり続けており、そのため……」
「あー、なんとなく理解しました。とりあえず、この辺りの鉱石半分ぐらい貰って行っても?」
「ええどうぞ!お持ちください!」
許可は得たので遠慮なく貰って行きます。お、意外と金や宝石類が多いですね。欲しいのはアダマンタイトやオリハルコンといった鉱石ですけど、それも十分にありますね。助かります。
とはいえ貰いっぱなしも良くないですし、貴族向けに作った金の装飾品でもプレゼントしておきましょう。そうすればクアゴアに八つ当たりすることもないでしょうし。
「代わりと言ってはなんですけどこれをあげます」
「こ、これは!?」
「
「あ、ありがとうございます!ほら、貴方達も礼を言うんですよ!」
「ああ、結構ですよ。交換みたいなものなんで。では、また来ますね」
とりあえず、この山の一件はこれで解決ですかね。
再び宝物庫の扉を開き借りてた技術書なんかを元に戻してから私はドワーフの国へと転移しました。
・ドワーフ国
原作と鍛治工房長が変わっている。また、ルーン技術の研究が盛んに行われ始めた。
最近希少鉱石が掘れずに困りがち。
エ・ランテルへの派遣は九割の工匠が名乗りを上げたため抽選になった。
・クアゴア
希少鉱石が掘れずに割と本気で滅びかけ寸前だった。
フロスト・ドラゴンより話が分かる強者のアレーティアに乗り換えようと画策。
アレーティア的には八万も手数が増えるなら有りだけど、地上で活動させるにはそれ相応の用意と亜人種と人間での価値観などを示し合わせないといけないので即座の採用は難しいと思っているが、考えとしては前向き。親友が早く出来るかもしれない。
・フロスト・ドラゴン
オラサーダルクは屈辱的敗北(炎斬、宝物庫の開閉)から傷ついた心を癒すためクアゴアに財となる物を集めさせまくってた。
また、敗北をバネにして鍛えた結果オラサーダルクのレベルは四十六から五十を超えた。でも勝てない。
その後はアレーティア謹製の金の装飾品を身につけて複雑ながらも献上された物だと思い込むことで一応落ち着いた。ちょろい。
・アレーティア
ドワーフ工匠の手を借りに行った結果、八万のクアゴアが手に入りそうになった。今後ジルクニフに丸投げする予定。
さり気なく新スキルを会得済み。詳細はその内。
王国でやりたいことは一先ず済ませた。その際に大量のミスリルや金を入手したためしばらく金銭に困ることはない。
・ジルクニフ
アレーティアのとある要望を個人的感情から却下しようとしている。
なお、ただでさえ忙しいのにこの後アレーティアから多くの仕事を押し付けられる予定。
胃が悲鳴を上げる。