転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
ものすごい勢いでUAとお気に入りが増えていく…嬉しい…嬉しい…!
連続投稿とか出来てしまうぐらいには嬉しいですね。
ありがとうございます。
親方!空からお爺さんが!!
…冗談です。いえ、冗談じゃなく〈
私の目の前に降って来たお爺さん。その名もフールーダ・パラダイン。バハルス帝国の首席宮廷魔術師。またの名を
そう思うと私も逸脱者の括りに入るのでしょうか?一応この人より高位の魔法を使えるし……あっ。
気づいてしまった。マズい、非常にマズい。何がマズいかってこの人魔法に狂っているのです。魔法のためなら持っているもの全部を捨てられるぐらいに。
そう、私は第七位階以上の魔法を使える。ここまではいい。しかしフールーダには
正直、期待に応えられる気が全くしません。アインズ様も一冊の本を手渡して誤魔化していたし。私が教えられるとでも?
…魔法…クソ親父…戦場…キラリと光る星……ハッ!私は一体…ああ、過去の嫌な記憶がフラッシュバックしていました。現実逃避している場合じゃありません!
「どうしたのかな?ボーっとしているようじゃが……」
お気になさらず、貴方への対処を考えているだけ…あれ?
「おーい、お嬢さん。そろそろ私の質問に答えてほしいのじゃが……」
あれ?あれ?フールーダが普通だ?なんで?
もしかして、今私が戦士状態なのが原因か?戦士状態の時、魔法は封じられる。だから
まあ狂っていない限りは理知的な人です。皇帝からの信頼も厚い──アインズに会うまでは──ので普通に応対しましょう。そして、しばらくは魔法を封印しよう。それがいい。
「…あぁ、すいません。少々疲れていたので答えるのに時間がかかってしまい…。そうです。私がやりました」
「おお、そうかそうか!大したものじゃのぉ。見渡す限りアンデッドの残骸が広がっておる。中には…エルダーリッチ、
ああ、ナイトリッチのことですね。原型が残っていないぐらいに潰れてしまいましたが、二百年以上生きる人物の知識に無いとなるとかなり希少な──もしくは原作にいない──モンスターだったのかもしれませんね。
「お嬢さん、よくこの場を切り抜けたのう。この潰れているアンデッド、かなり強力なマジックアイテムを身に着けている。私とて戦うことになれば苦戦は必至だったろう。いったいどうやって倒したのかね?」
尋ねるフールーダに疑惑の目をむけられる。それもそうでしょう。こんなぱっと見少女にしか見えないエルフがこの惨状を作り上げ、挙句未知のアンデッドを倒しているのですから。
何か裏があると考えるのも不思議ではありません。例えば、他にこの場を作り出した強者がいるとか。強大な魔法を使ったとか。
まあ、そんな事実はありませんし真実のみを口にしましょう。
「このメイスで武技を使って殴ったらこうなりました」
「…すまんのう。耳が遠くなってしまったのかもしれん。もう一度聞いてもいいかの?」
「殴ったら死んだ」
ちょっと荒々しい口調になりましたが簡潔に事実だけを伝えました。
でも、フールーダはポカーンと呆けています。背景を宇宙にした猫みたいな顔をして。まだそんな齢ではないのでは?いや二百歳越えでしたね。十分以上に高齢です。誰か代わりに聴取してくれないでしょうか?
そんな風に思っていた矢先、馬の駆ける音が聞こえてきました。これは…帝国の騎士団のようですね。アニメで見た金属鎧を着た方々が困惑するようにこの場にたどり着きました。
「師よ!ご無事ですか!」
「この場の惨状は一体…。これだけの数のアンデッドの残骸が広がっているとは…」
「各自、警戒を怠るな!まだ生き残っているアンデッドがいるかもしれん!気を引き締めよ!」
騎士たちが規律を持って隊列を組んで動き出しました。もしかしたら彼らはここにあのアンデッド達と戦いに来たのかもしれません。よく見るとフールーダの高弟と思わしき人たちの姿も見えます。
原作で語られていない箇所でこういった戦いもあったのかもしれません。ただまあ、その戦いの機会を丸ごと奪ってしまったのですが。
「あ、あのよろしいでしょうか?」
「はい?」
呆けているフールーダの代わりに高弟の一人と思われる
なので同じように答えます。
「アンデッドの大群に囲まれて襲われたのでこのメイスと武技で全部殴殺しました」
「えぇ…?」
なんで同じような反応をするんですかね?なにもおかしいことは言っていないのですが。
◯
◯
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時は少し前、バハルス帝国。
ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスが皇帝に即位し、親兄弟を処刑。
無能な貴族たちの大粛清を開始していた頃、その報告は上がった。
「カッツェ平野に千を超えるアンデッドの大群が発見されただと!?」
「はい!
なんでこの時期なんだとジルクニフは頭を抱える。皇帝になったばかりの自分を軽んじて王国が攻め込んで来ないかの確認のための警備巡回をしていたというのにまさかの事態だ。
即位したばかりの自分に味方は少なく、騎士団とフールーダという味方としては十分だがこの事態には流石にこの両方をカッツェ平野に派遣し事態を収拾しなければ大変なことになる。
スレイン法国が動いてくれていればいいが、発見された場所は帝国に近い場所だ。ならばかの国を頼るわけにはいかない。
ジルクニフは皇帝として多くの民を守るために騎士団とフールーダの派遣を命じた。自分を守る味方がしばらくいなくなるが全員いなくなるわけではない。暗殺を警戒し近衛を侍らせ吉報を待ち、執務を行う。これが今のジルクニフに出来ることだ。
しかし、いかに皇帝としての心持があろうとまだジルクニフは十三歳。まだ少年としての心を──肉親を処刑したことで一部壊れているが──持っているジルクニフは内心不安でいっぱいだった。最も頼れる爺、フールーダの不在は彼に不安、恐怖といった感情を与えた。先代皇帝である父が亡くなった時もフールーダが一緒にいたから死の恐怖に襲われずに済んだのだ。
頼れる爺はおらず何度か暗殺者を近衛が退けて数日が経った頃、フールーダは転移の魔法で帰ってきた。一人の少女を連れて。
「陛下、遅くなり申し訳ありません」
「ああ、構わないとも。それでカッツェ平野の一件はどうなったんだ。他の騎士たちはどうしたんだ?」
私の質問に、爺はニッコリと微笑み言った。とても信じられない話を。
「あのアンデッドの大群は私共が現地にたどり着く前に彼女がたった一人で全て片付けておりました。ご紹介します。さあ、前へ。」
フールーダに促され後ろにいたエルフの少女が前に出て頭を下げ挨拶をする。
この出会いが、やがて帝国の、ジルクニフのとある運命を変えることを彼はまだ知らない。
「初めまして陛下。アレーティア・ホウガンと申します。家名は嫌いなのでアレーティアとお呼びください」
少女は見惚れるような笑みを浮かべていた。
帝国編本番は~じまるよ~!
人物同士の会話って難しいですね。次回から登場人物が増えるんで頑張ります。
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次回は早ければ一週間以内に投稿したい…!