転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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先月末、弟とカラオケに行き休憩中に日刊ランキングを見たら13位にいて、お気に入り登録者数が怖いぐらい伸びていた件()
もしかしてこれがGW効果……ってコト!?

変な声出て喜びました。ありがとうございます(笑)


余談ですが今回難産でした。
頭の良いキャラの会話書くの難しいんだ……。

これデミウルゴス出すことになったらもっと難産になるやつじゃ……!?




アレーティアとロクシー、ラナーとジルクニフ 〜大好きな相手〜

 

 ザナックとの面会後、やたら気合を入れておめかしをしたラナーを連れて帝都アーウィンタールへと転移しました。転移魔法は本当に便利ですね。いつも帝都に行くたびに思います。

 そして流れる様にジルクニフに謁見しました。ジルクニフも私が来た時は基本的に何事も後回しにして応対してくれます。

 

「…と言うわけでして」

 

「と言うわけじゃない!! 裏でそんなことしてたのか!?」

 

「だって、ジルクニフが王国が欲しいって言うから……ラナーに協力してもらって策は任せただけで」

 

「それが一番の問題だろ!? なんでこの女を野放しにした!? せめて逐一報告は上げるべきだろう!」

 

「野放しだなんてそんな。報告はちゃんと受けてましたよ。ただ、こちらに実害がないので陛下に報告しなかっただけで

 

「尚のことタチが悪いわァッ!!」

 

 ジルクニフと会ってから、ここまでに至った経緯を全て話しました。

 バルブロに八本指が近づいてクーデターが勃発したのも、朱の雫が長期他国に依頼に行っているのも、蒼の薔薇が依頼で遠方に行った矢先襲撃にあったのも全部、ぜーんぶラナーの仕業です。末恐ろしいですね。

 どんな手を使えばこうなるのかって? 聞いたけど理解出来なかったので割愛します。ジルクニフはそれを聞いて青褪めてましたけど。

 

「……ですので、なるべく早めにこの事態を解決すれば国民の心は帝国に傾くのは間違いありません。後は間者を使ってバルブロお兄様や八本指の各部門の長を誘き出せば、文字通り一網打尽に出来ます」

 

「……王国には同情するな。この二人を敵に回したら勝てる気がせん」

 

 豪華なソファーにどかっと座り天を仰ぐジルクニフ。お望みの王国がもうすぐ手に入るところまで来ているのに喜んでくれません。

 

「なので、各地に散っている私の手勢の鮮血騎士が集まるまでに……」

 

「ちょっと待て! 鮮血騎士とは一体何だ!?」

 

「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

 

「聞いていない!聞いていないぞ!なんだその鮮血帝から取ったような物騒な名前の騎士は!?」

 

 粛清騎士も鮮血帝も物騒な名前だと思うんですけど。

 

「私が直接勧誘した騎士と言う名の私兵です。メンバーには帝国騎士もいれば神官や流浪の剣士、魔法詠唱者(マジック・キャスター)や他種族まで幅広い層を集めたなんちゃって六色聖典です」

 

 全員集まれば、小国程度なら落とせるぐらいには強いです。

 ちなみに私は単騎で王国を滅ぼせる自信があります。やりませんけど。

 

「彼らには私が必要な時に協力してもらう契約をしてまして、今は主にズーラーノーンの残党の処理やトブの大森林、カッツェ平野の強力なモンスターの処理などを頼んでいます。勿論、個々で可能な範囲でですけど。

 以前出した成果だと、ズーラーノーン高弟の一人をブレイン・アングラウスとティラが討伐しましたね」

 

 鮮血騎士の()()()()()()()()、ブレインが一番強いですね。二人がかりとは言え、「英雄の領域に踏み入った、人外」と自称するクレマンティーヌを倒したことは賞賛に値します。

 ちなみに鮮血騎士最強はゴ・ギンかサフォロン辺りになりますね。サフォロンは元々私預かりですけど、ゴ・ギンに関してはオスクさんと交渉し、本人が納得した上で協力関係を結べました。

 この両名はそうそう動かせないんですけどね。闘技場の試合の関係なんかで。それでも今回は鮮血騎士は全員召集するので集まってもらいますけど。

 正直サフォロン一匹、もとい一人でも六腕全員倒せると思うんですけどね。氷のブレスで凍らせて後は砕くだけの作業です。

 

「ブレイン・アングラウスとティラか。ティラに関しては例の装備を貸し出してから、目覚ましい成果を発揮するようになったのは覚えている。

 ブレイン・アングラウスについては、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフと互角の戦いを繰り広げたと言う話を聞いたぐらいだな……」

 

「今のブレインは、四騎士でも勝てるのはナザミぐらいですよ」

 

 四騎士最強のナザミも英雄の領域は超えているのでガゼフより強いです。今も研鑽を続けていて"勇猛"の他に"絶対防御"なんて言う風に呼ばれているとか。

 今度、私の殴打系最強武技〈星砕き〉を耐えられるか試してあげましょう。

 ナザミとブレインが戦った場合ですが、ブレインの〈領域〉がナザミに通用するかどうかが明暗を分けると思います。

 ナザミの鉄壁の防御を掻い潜り、鋭い一撃を与えられるのなら勝機は十分あるでしょう。

 後はブレインはガゼフ超えしているのに気づいていないので、その内ガゼフもテコ入れしないと……。

 

 

「なんと言うか、私より人材集めるの上手くないか?」

 

「いや、そんなことないですよ? 全体的に見れば、陛下の周りの方が優秀な人が多いです。私の周りには特化した才能を持つ者が多いだけで」

 

 帝都の方も文官が育って増えたからか、それとも一度ジルクニフがぶっ倒れたのを体験してからか政務が少し落ち着いたらしいです。

 ちなみに私は出来そうな人を探して、有り余る資金をチラつかせて働いてもらってます。

 特に文官志望の方は知識がある人が多いので、もう少ししたら稼働させる予定の教育施設の方も任せたいですね。この件はラナーに一任しているので報告が楽しみです。

 

「とりあえず、エ・ランテルの騎士を動かすと王国にバレるかもしれないんで帝都に駐在している帝国第一軍をお借りしたいんですけど」

 

「それに関しては構わない。それと王国についてだが──」

 

「あ、その辺りはラナーと話し合ってもらっていいですか? この一件は、基本的にラナーによる立案がほとんどなので」

 

「ダニィ!?」

 

 なんのためにラナーを連れてきたと思ってるんですか。この為ですよ。

 うわ、すっごい嫌そうな顔してる。そんなに嫌いですか。

 それはそれとして、ラナーはラナーで満面の笑みを浮かべているんですよね。なんででしょう?

 

「では私は後宮でロクシーと会ってくるので、終わった頃に呼んでください」

 

「お、おいアレーティア待て!」

 

「まあまあ、ジルクニフ皇帝陛下。ここからは私が引き継ぎますので──どうぞ、よろしくお願いしますね?」

 

 

 

 

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 ジルクニフとの会談を終え、私は後宮へロクシーとジルクニフの子供達に会いにやってきました。

 最低でも月に一度は顔を出すようにしていますが、やはりここは落ち着きますね。ロクシーといる時間が心地いいと言うかなんと言うか。

 

「それにしても、本当にここまで上手くいくなんて驚きましたわ」

 

「これも全部ラナーや優秀な部下たちのおかげです」

 

「それでも、その人材を集めたのは貴女でしょう? もっと誇ってもいいと思うわ。今の帝国は陛下と貴女がここまで大きくしたと言っても過言じゃないのだから」

 

 手放しにこうも褒められると嬉しくなってしまいますね。思わず頬も緩んでしまいます。

 ロクシーの前では私はただの子供になってしまいますね。なんと言うか、以前も言った気がしますが溢れんばかりの母性を感じます。ついつい甘えたくなってしまうんですよね。

 森にいた頃は、割と早々に母親と離されてクソ親父と生活してましたから。アイツ褒めてくれるのはいいんですけど、毎回私より強い格上ばかり相手にさせてくるから嬉しくもなんともなかったんですよね。毎回死ぬような目に遭わせやがって……! ……と言うのが本音でした。

 

 

「あ、アレーティアさんきてたの!?」

 

「おや、エクセレフ君ですか」

 

 現れたのはエクセレフ君。ジルクニフの子供の一人で最年長の男の子です。既に頭角を表していてロクシーや教師達からは大変優秀と言う評価を得ています。

 しかし、まだ四歳で遊びたい年頃なのか──時折、私が後宮に来ると授業を抜け出すとか。悪い子ですね。まあ、可愛げがあっていいかなと思いますが。

 

「ひさしぶりですね! きょうはいっしょにあそんでくれるの!?」

 

「こら、エクセレフ。貴方授業はどうしたんですか。まさかまた抜け出したんじゃ……」

 

「そ、そんなこともうしません!」

 

 流石にロクシーには頭が上がらないですね。育ての親ですし仕方ないですね。とは言え、日頃頑張っているのは聞いているので今日ぐらいはいいでしょう。

 

「なら、久々に遊びましょうか。それとも物語でも話してあげましょうか?エクセレフ君がやりたいことをしましょう」

 

「いいの!? じゃ、じゃあ、チェスをしよう! ぼく、これとくいなんだ!」

 

「ええ、いいですよ。折角ですし持ってきた果物を食べながらやりましょうか」

 

 ロクシーが困った顔をしていますが、なんだかんだで折れてくれました。エクセレフ君だけでなく、まだ幼いジルクニフの子供たちへの鞭はロクシーや教師達、ジルクニフが担い、飴は私が与えればいいでしょう。飴に関してはロクシーも与えるでしょうけど、私はいつもいるわけではありませんからね。

 それに……

 

「えへへ、アレーティアさんだいすき!」

 

 こんな天使の様な微笑みでこんなことを言われたら、嬉しいじゃないですか。

 ちなみにチェスですが、この世界では六大神が広めた遊戯として知られている様です。貴族も嗜む遊戯だとか。何処の世界でもそこは変わらないですね(偏見)

 

 それからしばらく、三人でチェスを楽しみ、ラナーとジルクニフの話し合いが終わるまでのんびりとした時間を過ごしました。

 

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

 ところ変わってジルクニフとラナーは早々に会議を終えていた。

 この世界最高峰の知能の持ち主とその次点に準ずる二人が話し合えば、今後の王国についてなど早々に──本来はザナック達を交えてじっくり話すべきだが──片付いた。

 

 しかし、こうも早く片付いたのには理由がある。主にジルクニフにだ。

 ジルクニフはとにかく、ラナーと二人きりの空間にいることが耐えられなかった。

 ラナーは優秀……いや、それ以上だった。直接話してみて、自分を上回る智者であることを理解させられた。

 だからこそ味方となった今は心強いが、それでも腹に一物以上のナニカを抱えていそうな不気味な女だ。本心から帝国に協力しているとも思えない。

 

 そして何よりも、嫌いな女ランキング一位を不動のものにした原因──アレーティアと形だけとは言え結ばれたこと。

 これがこの場に二人きりでいる事に耐えられない最大の理由だ。

 

 ジルクニフからすれば想い人を取られたも同然。何度も何度もこの打診を拒絶し続けたのは、アレーティアが誰かのものになることが耐えられなかったからだ。

 ここまでしてこの女の協力を得るぐらいなら、王国など要らんと突っぱねる気でもいたが……アレーティア自身がかなり乗り気かつ、拒絶すれば最終手段を取ろうとするぐらいに、この女に入れ込んでいたことを知った。

 

 ──何故だ?

 俺ではダメなのか?

 ずっと一緒に居たじゃないか。

 

 そんな感情がしばらく──少なくとも一月以上──己の中で渦巻き、胃の痛みと抜け毛に苦しめられた。

 最終手段を取られた際に、せめてアレーティアとは別の存在として結ばれることを条件にアルス・ティアーズ辺境侯と言う存在を生み出させた。

 これにより、精神衛生が整ったからか少しばかり胃の痛みからは解放され、手につかなかった政務も滞ることなく進めることができた。

 

 

 そして今、ここに目の上のたんこぶが如き女が正面にいる。

 話も終わり、これ以上話すこともない。後宮に出向いたアレーティアを呼び出そうと──

 

「陛下、宜しければ私の旦那様のことで少しお喋りしませんか?」

 

 それをこの女は許さなかった。

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

 そもそも、今回ラナーを連れてきたのはアレーティアだったが、今回は無理にでも着いて行くつもりだった。

 理由はジルクニフと直接話すため……と言うのは建前で、アレーティアのことを聞くためだった。

 

 ラナーはアレーティアと生活をしており、寝所で定期的に一緒に過ごして欲しいと願えば最低でも二日に一度は共に夜を過ごす仲だ。

 他にも食事や庭園の散歩、政務や領地の見回りなど、願えば快く叶えられる限りのことをしてくれていた。

 そして、目下最大の願いであるクライムと結ばれること。これを叶えるための条件として王国を捧げることに全力を注いでおり、今回の会議で擦り合わせや今後の王国についての草案など、帝国に多くのメリットを与える案を出し──王国では終ぞ誰からも見向きもされなかった案の数々──認められ、後に実施することとなった。

 

 ラナーは今とても満たされている。

 もうすぐ、愛しいクライムと結ばれることが出来る。

 エ・ランテルにいる文官や騎士達はクライムを馬鹿にしないし、私の言うことを妄言だとも薄気味悪いとも言わない。

 目の前の皇帝は私の案を全て吟味した上でやる価値があると──憎々しい表情を浮かべながらも受け入れた。

 

 王国では得られなかった全てをラナーは享受出来ていた。

 そして何より──自分とは違う同類との、アレーティアの出会い。これが私の全てを変えた。

 

 今までクライムがいれば満たされていたラナーはアレーティアの下に来たことで、完結されていた世界が少しばかり── ()()()()()()()

 

 そして気づいた。クライムと違い、アレーティアのことを断片的にしか知らないことに。

 エルフの王族。帝国に来た経緯。その強さ。その目的など、本人から聞いたことや周りの人間の言う体験談から多くのことは推測出来た。

 ()()()()()()()()

 彼女のことを知るには情報が足りなさすぎるのだ。

 

 なので、最も付き合いが長く、アレーティアを知っている人物──即ちジルクニフと話したいと思ったのはごく自然なことだった。

 

 

 

 

「……と言うわけで、旦那様のことをお聞きしたいなと」

 

「その旦那様と言うのをやめろ。不愉快だ」

 

「あら、ごめんなさい。アレーティア様の──」

 

「お前の旦那はアルス・ティアーズだ。アレーティアではない」

 

「……陛下は辺境侯の過去をご存知なのでしょう? 私、あまりそう言う話を聞いたことがないので、この機会に是非──」

 

「断る!」

 

(この女、アレーティアのことを根掘り葉掘り聞いてどうするつもりだ!? 利用する気か!?)

 

 ジルクニフはアレーティアの情報──もとい、過去の思い出話を守るのに必死だった。

 下手なことを言えば、弱みを握られる事にもなる。

 そして何より──

 

(俺とアレーティアの日々をこんな奴に教えてたまるか!!)

 

 私情が勝っていた。

 

 しかし、ラナーも負けてはいない。

 

「では私の話でもしましょうか。先日、寝所を共にした時の話なのですが──」

 

「な、何ィイイイッ!?!?」

 

 こうかは ばつぐんだ!

 ラナーはほくそ笑んだ。──計画通り、と。

 

「ど、どういうことだ!? し、寝所を共にしただとぉッ!? お、俺でさえそんな……ッ!!」

 

「あら、長い付き合いですのにそう言ったこともしたことがなかったのですね。それでなんですけど……」

 

 

 

 

 

 

 

「ここからは秘密です」

 

 

 

 

 

 

 プチッと何かが切れる音がした。

 

 

 

「き、貴様アアアアアアッ! 一体何をした!? 吐け!さもなくば……」

 

「落ち着いてください陛下。そんなに知りたいのであれば、陛下も辺境侯の昔のことを話してください。そうしたら、私も口が緩むかもしれませんよ?」

 

 

 ラナーに浮かぶは勝者の笑み。対してジルクニフは視線で射殺さんとばかりの形相だ。

 しかし、ジルクニフは冷静になって考える。このままただ昔話をしてもこの女は口が緩むだけで語るつもりがないかもしれない。

 もしそうなら話すだけ無駄になることになる。それを避けるため条件を──泣く泣く提示した。

 

 

 

 ジルクニフは負けたのだ。ラナーにではない。己の好奇心にだ。

 

 

 

「条件だ。お前が一つ話す代わりに、俺の知ることを一つ話す。ただし、話す内容はこちらで決める」

 

「……まあいいでしょう。この辺りで折れてあげましょう。可愛い可愛い陛下?」

 

「やめろ。ゾッとする」

 

「フフフッ。では、寝所で何があったかと言うと──」

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

「さて、そろそろ終わった頃ですかね?」

 

 思った以上に会議が難航している様で、後宮に声がかかることがありませんでした。

 まあ、その代わりにエクセレフ君だけでなく、他の子とも時間を作って戯れられたのですが。

 みんな可愛いですね。優秀な者がジルクニフの跡を継ぐことになりますが、そうでなくても幸せになれる道へと導いてあげたいですね。

 ラナーとクライムの子も勿論、対外的には私の子供として扱うので……まあ、こちらはラナーが率先して教育するでしょうから、私はそのお手伝いぐらいが丁度良いかもしれません。

 そんな幸せな未来に行く為には、ナザリックをどう対処するかにもよるのですが……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そうすれば……おっと、考え事をしていたらもうジルクニフの私室に着いてしまいました。

 

 護衛の騎士達に声を掛けてから中に入るとそこには……

 

 

「何故だ……何故アイツはお前とはそんなことを……」

 

 

 何故か真っ白に燃え尽きてるジルクニフがいました。何があったんでしょう??

 

「あ、旦那様!」

 

「ら、ラナー? これは一体?」

 

「王国の今後の課題や併呑方針などを話し合って、後はザナックお兄様に呑んでもらえれば問題ないところまで話を詰めていたんです。休憩無しでずっと話していたので、陛下も流石にお疲れになってしまったのかもしれません」

 

 改めてジルクニフを見る。うーん、とてもそうには見えません。

 どっちかと言うと打ちひしがれてる様な……?

 

 ……ああ、きっとラナーと知恵比べでもして負けたんでしょう。ジルクニフも今まで自分を上回る智者と出会ったことがなかったはずなので、初めて敗北を知った感じなのでは?

 

「そうなんですか。とりあえず、今日のところは帰りましょうか。ザナック王子にも報告しないといけませんし」

 

「ええ、お兄様に吉報を持ち帰ることができてよかったです。……あ、旦那様。今晩も……」

 

 今晩も……ああ、同衾ですね。

 正直、一人で寝て欲しいのですが周りの風聞を考えると、定期的に夜を共にしないと不仲を疑われると説得されましたね。

 私もそれで納得した記憶があります。それに、仮に寝ても即座に目覚めることはできますし、今のこの世界に私の寝首を掻ける相手もそうそういないので問題ないでしょう。

 

「分かりました。では、諸々が終わり次第と言うことで」

 

「ありがとうございます!」

 

 そう言ったラナーは私に──誰かに見せつける様にして──抱きついてきました。

 スキンシップがいつもより激しい……どうしてでしょう? 一応ジルクニフの目もあるんで程々にして欲しいんですけど。

 

「陛下? 陛下〜? 今日のところは私たち帰りますので、また後日報告しに来ますね?」

 

「……ああ」

 

 心ここに在らずのジルクニフが少し心配なので、後でロクシーさんに〈伝言〉で話を聞いてもらう様にしましょう。

 

 こうして、ジルクニフとの会談は終わりました。

 

 

 





エクセレフ君
ジルクニフの子供の一人。オリキャラ。
今いる子供たちの中では一番優秀。
アレーティアのことが大好き。ロクシーも好き。ジルクニフはそんなでもない。

ジルクニフ
今回最大の被害者。
知らないうちに王国の裏でとんでもないことが進んでいるのを知らされ、知らない組織が生まれていて、憎たらしくて仕方ない女がマウント取ってボコボコにしてきた。泣いてもいい。
抜け毛に関しては原作と違いアレーティアの異能を受けているため直ぐに生えてくるから安心。
しかし、胃はどうにもならない。
この後ロクシーに泣きつくことになる。
需要があればアレーティアに恋心を抱いた回を番外編で書くかもしれない。多分それなりに重い。


ラナー
ジルクニフ相手に様々な面でマウント取ってボコボコにした女。
エ・ランテルでの生活が楽しくて仕方がない。色々欲を抱き始めた。
アレーティアとの仲は非常に良好。初めてを一つ奪っていて、それがジルクニフにトドメを刺した。

「初めての相手はジルクニフではない!このラナーだーーッ!」


アレーティア
無自覚にジルクニフのあれこれに大ダメージを与えた天災。
ラナーもジルクニフも狙っているが、ナザリックが来る世界線で結ばれることはない。
ラナーが初めてを一つ奪っているが、本人は知らない。補足すると純潔のまま。
ちなみに好みの相手は包容力のある、もしくは甘えさせてくれる人物。
ナザリックだとセバス、ペストーニャ、ユリ辺りが該当する。


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