転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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お待たせしました。

遅れた原因は活動報告にて。

今後も更新遅れる時は活動報告にて状況報告しますので、よろしくお願いします。

今回結構キャラ崩壊あるのでご注意を。



蒼と朱と辺境侯 〜私は許そう、だがコイツが許すかな!?〜

 

 

 皇城での報告会を終え数日が経ちました。

 私は一度リ・エスティーゼ王国旧王宮の元ラナーの私室にいます。

 今日何をするかというと、また対談です。

 とはいえ、また知った顔なんで気負う必要はないので安心です。

 ……一名、こちらが一方的に知っている相手がいる点を除いては。

 

 

「アルス辺境侯、お忙しい中お時間を取っていただきありがとうございます」

 

「いえいえ、構いませんよ。ラナーの友人でもあるラキュースの頼みなら融通を利かせましょう」

 

 そう、相手は蒼の薔薇の皆さんです。

 今回の革命でも多くの八本指の拠点を潰すことに協力してくれたので、私としても今後とも良い関係を築いていきたいですね。

 あ、報酬には当然多額の金銭を用意しています。相場の五割増しで。

 

「それと、改めてご紹介します。

 こちらは同じくアダマンタイト級冒険者チーム『朱の雫』のリーダーであり、私の叔父の──」

 

「アズス・アインドラだ。どうぞ、よろしく頼む」

 

「はじめましてアズスさん。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そして、もう一人。この女だらけの空間に一人だけ混ざっている男こそ、アズス・アインドラ。

 先日まで連絡が取れなかったとのことですが、革命の日には彼らも合流し独自のルートで探った八本指の拠点を私たちより先に潰しまわっていたとか。流石はアダマンタイトと褒めてやりたいところです。

 

 さて、ここで何故蒼の薔薇の皆さんとアズスと対談することになったのかを話す必要があります。

 それは革命の夜明け、八本指の全勢力の制圧が終わり鎧の残骸を回収しに戻った際に、その場に蒼の薔薇の面々が揃っており、念の為に警護を任せていた神の国の戦乙女(アースガルズ・ワルキューレ)たちと向かい合っていました。

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

「──つまり、貴女方はアルス辺境侯に喚ばれて降臨されたのですか?」

 

「その通りです。主人(マイマスター)は我ら戦乙女(ワルキューレ)を統べるに相応しいお方。喚ばれれば馳せ参じるのは当然のことです」

 

「故に、神に仕えし神官騎士とその一行よ。それ以上近づけば我々も対処しなければならない。

 主人からはこの残骸を守り通すよう命じられているので」

 

 これは私も知らなかったんですけど、召喚者がいないと召喚されたモンスターは基本的に危害を加えられないと攻撃しないみたいです。

 今回の場合は恐らくラキュースが神に仕える職業を習得しているからか、少し友好的にも見えました。

 

「え、ええ分かりました。私たちも事を構えるつもりはありませんので。

 ……あの、個人的に幾つか戦乙女である貴女方にお聞きしたいことがあるのですが──」

 

「……敵意はないようなので我らに答えられる範囲であれば構いません」

 

「それじゃあ──」

 

 与えられた命令次第でしょうけど、こうしてラキュースと普通に対話するのは意外でしたね。モンスターによって知能の差もあると思うんですけど、神の国の戦乙女(アースガルズ・ワルキューレ)神の国の戦女神(アースガルズ・ブリュンヒルデ)は高い知能を持っているようでした。

 

 

 

 

「なあイビルアイ。アレ一人とお前、どっちの方が強い?」

 

「……あまり言いたくはないが、向こうの方が上だ。一人に対して私たち全員で挑んでも敵わないだろう。

 私の見立てなら二百年前に単騎で魔神を葬ったという最高位天使をも上回っている。それに()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そんなにかよ……。辺境侯っていったい何者なんだ?本当に神様とかそういう存在なんじゃないか?」

 

「あまり詮索しない方がいい。辺境侯──粛清騎士という存在自体、私たち最高位の冒険者ですら素性を一切掴めない程に国によって隠されていた存在だ。

 正体を知れば私たち(蒼の薔薇)が帝国に取り込まれることもあり得るぞ」

 

「そうですね、賢明な判断ですよイビルアイさん」

 

 ここで私がこの場に帰還しました。

 タイミング的にはエルヤーが一度死んで、王国の残存戦力にバルブロと八本指の部門長たちを捕らえたから降伏しろと告げて革命が収束した辺りです。

 後始末をラナーに任せて鎧の回収に来たわけです。

 

 いきなり現れた私に驚いたのか蒼の薔薇はそれぞれが臨戦態勢へと移行して──相手が私だと気づいてすぐに気を緩めました。

 もしもそのままでいたら、今にも攻撃を仕掛けそうな戦乙女たちが皆殺しにしていたでしょうから、流石の判断です。

 

「アルス辺境侯、お久しぶりです。 革命の方は──」

 

「無事に収束しました。バルブロは拘束し、八本指の各部門長も全員……一人死にましたが残りはクライムが捕らえました。

 最大戦力である六腕も全員倒しましたし、最早王国に脅威と呼べるものはありません。革命は成りました」

 

 本当は六腕全員私が潰そうと思っていたんですけど、思わぬ邪魔が入ったんで断念せざるを得ませんでした。

 まあ結果的に鮮血騎士の実力の再確認ができたのと、このツアーの残骸が手に入っただけでもお釣りがくるレベルの戦果を得られたので良しとしましょう。

 

「なので依頼の方は達成ということで構いません。後ほど報酬をお渡しするので冒険者ギルド……はダメですね。八本指の手にかかっていた場所は信用できませんね。どうしましょうか、手元にすぐに渡せるものは……」

 

「そ、それならアルス辺境侯。実は貴方にお話ししたいことがあるので、宜しければ時間を取って話せる機会をいただけませんか?報酬もその時で構いません」

 

 

「話したい事?今この場で聞いても構いませんけど」

 

「いいえ、出来ればこの場にいる者だけで話したいと……」

 

 辺りを見渡せばこの場には私と蒼の薔薇のメンバーと神の国の戦乙女たちだけ……あれ?あの赤い全身鎧ってもしかして?

 

「分かりました。確かアセロラから伝言板(スマートフォンもどき)を受け取っていますよね?貸してもらっても?」

 

 伝言板を受け取ると、〈伝言(メッセージ)〉相手に私を追加します。

 

「はい、これで私の登録が完了しました。空いてる日時が分かり次第こちらから連絡しますので、それは肌身離さずお持ちください」

 

 数日後──即ち今日ですね。時間を作ることが出来たので連絡し、こうした場を設けることが出来たわけです。

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

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 元ラナーの私室は比較的和やかな雰囲気に包まれている。蒼の薔薇とアズスにはとても都合の良い状態だ。

 この場を用意してもらったラキュースの目的は大きく分けて二つ。

 一つは叔父の勘違いによって起きてしまった革命の妨害についての謝罪。

 これについては早々に謝罪しなければ目の前の相手がどう動くのか一切分からないため、なるべく時間が経たないうちに済ませた方が傷は小さく済むだろうという考えから。

 無論、アルス辺境侯への謝罪の他に何かしらお詫びをしなければならないだろうが、そこからは叔父がするべきこと。血は繋がっているが、共に冒険者チームを率いる身だからこその判断だ。

 

 そしてもう一つ。あの破壊され尽くした平原について。

 こちらは望み薄だが、確認だけはしたい事情がある。

 かつて、トブの大森林奥地で何らかの異常が発生し、組合から依頼を受けて王都から調査へ向かったことがあった。

 辿り着いた先には何か巨大なものがあった痕跡と、その周りを底が見えないほどの大穴が囲っていた。

 周囲を探索するも何も発見出来ず、分かるのはこれを引き起こしたモンスター、もしくは人物がトブの大森林か周辺国家に存在すること。

 イビルアイは当初、竜王の手によるものではないかと疑っていたが、それならあれだけの巨体が目撃されないはずがないということでその考えは取り消された。

 組合にはあるがままを報告し、念のためトブの大森林の奥地へは最低でもミスリル級冒険者でなければ危険なため近寄らないようにと発表された。

 

 

 そして先日のあの場で、それに似通った現場を目撃してしまった。

 つまり──トブの大森林奥地の惨状はアルス辺境侯が引き起こした可能性が高いとラキュースたちは考えている。

 如何なる魔法や武技を使用したかまでは聞けずともやったかどうかの確認さえ取れればそれでいい。認めればアルス辺境侯の強さの指針が少し分かる。認めなければ、アルス辺境侯と同等かそれ以上の存在があることの裏付けになる。

 

 

「さて、皆さんに紅茶は行き渡りましたし、そろそろお話というのを聞かせていただきましょうか?

 王国に二つしかないアダマンタイト級冒険者がわざわざ私にだけ話したい内容が気になりますし」

 

 卓に着いた私たちの前にはメイドのエルフによって淹れられた紅茶が並べられている。メイドエルフたちはアルス辺境侯によって退室させられたのでこの場には七人の姿しかない。

 口火を切ったのはアルス辺境侯。ティーカップを手に取り優雅に紅茶を飲む姿は余裕が見て取れる。

 ここであまり待たせるのは心象に良くないとラキュースがそれに応える。

 

「それでは、まずは感謝の言葉を送らせてください。

 貴方が──帝国が動かなければ、王国は今も八本指や無能な王に支配された独裁国になっていたでしょう。

 王国民を代表して、またアインドラ家の令嬢として感謝を」

 

「何もそこまで畏まらなくても構いませんよ。公の場でもありませんし、私も所詮騎士上がりの貴族ですから礼儀には疎いんです。

 それに、あのまま王国が腐っていくのを見るのも心苦しいものがありましたから。王国を愛していたラナーを想って動いたとでも思っていただければ。

 ああ、朱の雫の皆さんにも協力してもらったので満額とは言えませんが報酬は用意させていただきますね」

 

「……ありがとうございます、辺境侯。しかしながら、それを受け取る事は出来ません」

 

「何故でしょう?依頼をしていないとはいえ、アダマンタイト級冒険者チームを二つもこの革命に協力してもらったのですから、払うものを払わなければこちらの面子に関わりますので受け取っていただきたいのですが……」

 

 アズスが報酬の受け取りを拒否する姿を見て、アルス辺境侯が困惑すると同時に、何かを察知したらしい。視線をラキュースに移し「どういうこと?」と目で語った。

 その問いに答えたのはラキュースではなくアズスだった。

 

「実のことを言えば、この場で話があるのは俺──いや、私です」

 

 ここで一度間を置き、呼吸を整える。これから口に出すのは自分の勘違いから起こしてしまった革命作戦への妨害の謝罪の言葉。

 既に起こってしまったことは変わらない。故に求められるのは誠心誠意謝罪することだけ。

 

「先の革命で王宮にいたはずの辺境侯があの場に飛ばされることになった要因ですが……実は私が──ッ!?

 

 

 瞬間、この部屋にいる全員に殺気が濁流の如く押し寄せた。

 殺気を放ったのは言うまでもなくアルス辺境侯からだ。

 

「へぇ……()()を仕向けたのお前だったのか……」

 

 地獄の底から響くような声を発したアルス辺境侯が取り出した袋──無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)から出てきたのは、あの日見た見るも無惨な姿になったツアーの白金の鎧。

 先程までの丁寧な口調が乱れていることから、余程腹に据えかねていたのだろうと他人事のようにイビルアイは思った。

 

「アズス・アインドラ……よくもやってくれたな。お陰で私はあの日六腕を一人も倒せなかったと言うのに。

 六腕全員の首を討ち取ってやろうと意気込んでた私の邪魔をした罪は重い──が、弁明があるなら聞かせてもらおうか?」

 

 アンタあの日そんなこと考えて参加してたのか、などという思考はアルス辺境侯の怒り、苛立ち、憎悪といった感情が殺気へと形を変え重圧(プレッシャー)となり思考の海の底へと沈められた。

 この重圧の中、誰一人として動くことなどできなかった。動けば即座に殺されると錯覚さえしていた。

 あのイビルアイでさえも、二百年前の戦いで感じた魔神との戦いでの重圧を上回っていると戦慄し、改めてその強大さに畏怖の念を抱いた。

 同時に、この殺気を正面から浴びているアズスは生きた心地がしないだろうなと同情した。

 さながら気分は処刑台で刑の執行を待つ罪人と変わらないだろう。

 

「──ッハァ……ハァ……弁明をさせて……いただきたいので……その殺気を収めてはもらえないだろうか辺境侯……?」

 

「………これは失礼。激情のあまりスキルを使ってしまったようです。

 では、弁明をどうぞアズス・アインドラ」

 

 室内を支配していた重圧が解かれたことにより、各々が安堵の息を吐く。

 しかし、アズスはここからアルス辺境侯へと弁明をしなければならない。下手なこと言えばパワードスーツを纏っていない今、呆気なく首を落とされることも容易に想像出来る。

 

「実は──」

 

 そうしてアズスはツアーと交わしたやり取りをありのまま話した。

 粛清騎士という万を超える王国の兵を虐殺し、それを何とも思っていないようなその在り方が恐ろしく、王国の混乱に乗じて攻め込んできて王国を滅ぼすのではないかという恐怖心に駆られたこと。

 万が一に備えて粛清騎士が襲撃した場合、知り合い(ツアー)に被害の拡大を防ぐために抑えてもらうように頼み込んだこと。

 その知り合いが元々この案に乗り気ではなかったことなど、自身が語りえる全てを話し切った。

 

 

「後にラキュースから聞いた話から私が辺境侯のことを誤解していたことが分かり、こうして謝罪しに来たという訳です。

 改めて辺境侯、申し訳ありませんでした」

 

 語り終え、謝罪の言葉と共に頭を下げたアズスの額からは汗がとめどなく流れている。

 言えることは全て話した。後はどういう処断が下されるのか。

 事によっては仲間に迷惑をかけることになってしまうと心の中で詫びながら辺境侯の動きを待つ。

 そして──

 

 

「……なるほど。それなら仕方ありませんね。

 アズス・アインドラ、貴方の罪を許しましょう」

 

 

 バッとアズスが顔を上げれば、先程までの不機嫌さはなくなり──それでもやや不快感は残っているようだが──表情を和らげているアルス辺境侯の姿があった。

 

「これもある意味では私の悪名が原因でもありますからね。殺すことはやめましょう。

 ただ……当然ですが、謝罪の言葉だけで済ませる訳にはいきませんので、二つほど要求を飲んでいただきます」

 

「……私に出来ることであれば」

 

「では、まず一つ目。貴方が所有するあの(パワードスーツ)をしばらく貸していただきたい」

 

 いきなりの要求に思わず息を呑む。

 アズスの鎧はこの世界のものではなく、朱の雫における最大戦力の一つだ。それをおいそれと貸し出すわけにはいかないが、逆に呑まなければ関係に亀裂が入るのは違いない。

 

「あの鎧……鍛治師(スミス)としても魔法詠唱者(マジック・キャスター)としても、とても興味深いので一度色々と調べさせてほしいんです。

 勿論、何かしらの依頼があるのならばそれを優先してもらって構いません。

 ただ、じっくり調べたいので可能なら数日を通して貸していただきたい」

 

「……了解した。 チームメンバーと相談して貸し出す日取りを決めさせてもらいます」

 

「よろしい。 では二つ目ですが……その評議国にいる私を抑えようとした知り合いに一度会って話したいと伝えてください。

 可能であれば直接本人に会いたいですが……それは叶わないでしょうから、コレ()と同じようなものがあるならそれでも構わないと」

 

 辺境侯が望んだツアーとの会談。恐らく、ツアーは直接顔を合わせることは躊躇うだろう。それに一度敗れたことで更に慎重になっているはず……そんな中で会うことを良しとするかどうか分からないアズスは内心頭を抱えた。

 いざ戦闘になった場合、鎧ではなく本体が戦えば負けることはない──とは最早言えない。そう思わせるほどの力を辺境侯は持っている。

 なので苦し紛れに返せる言葉はこれだけ。

 

「……伝えはしますが、いい返事が返ってこなかった場合は?」

 

「そうですね、それならそれで構いません。

 ハッキリさせたいのは、私が別に積極的に敵対する気がないことなので。()()()()()()()()()友好的に接したいとは思いますが、叶わないならそれはそれで構いません」

 

 割り切った答えが返ってきたことにより、少しばかりアズスの心が軽くなった気がした。

 これで間に立って交流の仲介を頼まれていたらアズスはその責任の重大さからストレスに苦しめられることになっただろうが。

 

「では、謝罪は済んだということで。ああ、報酬の件は別なのでそれはちゃんと受け取ってくださいね?」

 

「あ、はい」

 

「ではお待たせしてしまい申し訳ありませんね、蒼の薔薇の皆さん。

 何か話したいこと、聞きたいことがあるのでしょう?全てに答えられるとは限りませんが……」

 

「…………」

 

「おや?どうしました?」

 

 この時、蒼の薔薇のメンバーは全員同じことを思っていた。

 下手に地雷を踏むようなことを話したら、またさっきのような殺気、重圧が発せられるのではないかと。

 アダマンタイト級冒険者である彼女たちは偉大な先人であるアズスのやらかしから辺境侯への警戒度を跳ね上げた。主にこの後聞く内容についてだが。

 

 

「実は、先日のアルス辺境侯の戦った跡を見てどうしても確認したいことがありまして」

 

「確認したいこと?……あの天使──戦乙女たちのことですか?」

 

「それも私個人としてはものすごく聞きたいところなんですが、今回は別件です。

 実は数年前、トブの大森林の奥地で何かしらの異常が起こったらしく、調査に向かったことがあるんです」

 

 ピクッと何かに反応を示した様子の辺境侯。何に反応したのかは定かではないが、反応から見て現状不興は買っていないと判断し話を続ける。

 

「そこで私たちが見たのは──何か巨大なものがあった痕跡と、その周りを底が見えないほどの大穴が囲っている破壊の痕跡でした。

 その巨大なものが一体何だったのかまでは判りませんが、それでもあれだけ大規模な何かを成したモノがいるということしか分かりませんでした……。

 そして、先程のアルス辺境侯の戦った跡。それがトブの大森林の惨状と非常に似ているんです。

 ……聞きたいことはもうお分かりだとは思いますが、トブの大森林で起きた異常は──貴方が引き起こしたものですか?」

 

 

 聞いた。遂に聞いてしまった。

 

(後はアルス辺境侯が不機嫌にならずに答えてくれればそれで──)

 

 ラキュースは様々な感情に襲われながら、回答を待ち──

 

「ああ、私ですねそれ」

 

「ええ!? そんなあっさり認めます!?」

 

 先程とは異なり、実にあっけらかんとした態度で認めた。これにはラキュースたちもアズスも驚きを隠せない。

 何せ聞いていると言いつつも、その実疑っていたのだから不快になっても仕方ないだろうと──先程の重圧がまた発せられるのも覚悟していたのにこの始末。困惑するのも無理はない。

 

 

「帝国の上層部なら知っている国家機密なので──あ

 

 場が凍り付く。コイツ、国家機密を堂々とバラしやがった!と悪態を吐きたくなる気持ちを押し込み──

 

「な、何か聞こえたかしらガガーラン?」

 

「い、いいや、おれは何も聞いてねえぜ?なあ?」

 

「「うん、そう。 私たちなーんにも聞いてない」」

 

「……すまない、少し耳が遠くなっていたようだ」

 

「す、すまないな辺境侯。 俺も聞いてなかった」

 

 流石はアダマンタイト級冒険者、何も言わずとも連携が取れている。国家機密を知ったとなれば、政治に関わらざるを得ない場面が出てくるかもしれないので、自由を求める冒険者としては何としても回避しなければならないと団結した場面であった。

 

 

「……えーっと、そうですね。まあ、私も悪いんでお気になさらず。

 それで、今回の戦闘で使ったのはトブの大森林で使った魔法を基に編み出した私の最強の武技ですね」

 

「最強の武技……あのヴェスチャーが編み出した最強の武技は余裕で上回ってるよな……」

 

「名は〈星砕き〉。とはいえ、あれほどの威力を出すには相応の武器も必要なので、おいそれと使えないのが欠点ですが。

 あ、ガガーランもこの武技を使える武器系統ですし、伝授しましょうか?」

 

「い、いやぁ、遠慮しておくぜ……」

 

 

「そうですか。まあいいでしょう。 それで聞きたいことはそれだけですか?」

 

「……ならば私から。 率直に聞く。辺境侯、貴方は一体どれほどの魔法を行使出来る?正直言って戦士としても、魔法詠唱者としても貴方は異質で異常だ。」

 

(──私たちのリーダーを上回るほどに)

 

 かつての仲間の姿を思い浮かべながら──イビルアイはあの白金(ツアー)を打ち破った辺境侯のその強さを知るべく見据えた。

 そして──

 

 

「魔法ならば第十位階を超えた──第十一位階、もとい超位魔法までなら行使できますよ?

 例の戦乙女たちもその魔法で召喚したので」

 

 ──絶句。誰もがその事実に衝撃を覚えた。

 第十位階。あるのは知られているが誰もその領域にまで到達できなかった神話の領域にある魔法。更にそれを上回る第十一位階を行使できるとなれば──。

 

「……化け物、か」

 

 思わず口に出してしまいイビルアイはハッとなり「すまない、失言だった」と謝罪する。

 

「化け物と称されてもまあ仕方ありませんね。今のところ私に匹敵する存在と相対したことは──帝国に来てからは一度しかありませんので。

 ああ、勿論ですがこの話はこの場に留めてください。さもなければ──

 

「も、もちろん口外するつもりはないわ! ねえイビルアイ!?」

 

「あ、ああそうだとも」

 

「それならよかったです。 さて、聞きたいことはお終いですか?」

 

「え、ええ、もしもトブの大森林での惨状が辺境侯でなければ警告するつもりだったので」

 

「ああ、なるほど。そういう話だったんですね。 では、これから報酬をお持ちするので此処でもうしばらくお待ちください」

 

 そう言い残し、アルス辺境侯はこの場を後にした。

 残ったのはアルス辺境侯の真の力の一端を知ってしまったアダマンタイト級冒険者たちだけだった。

 

 

 

 

 ○

 

 ○

 

 ○

 

 

 

 

 ──スレイン法国──

 

 

「皆様、緊急の招集に応じていただきありがとうございます」

 

「今回、招集をかけたのはレイモンだったな。一体何があった?」

 

「……王国で起きた革命の一件はご存じでしょうか?」

 

「ああ、一度は介入を考えたが納まるところに納まってよかった」

 

「その革命時、偶然でありますが風花聖典が額冠を奪った裏切者を追っている中、王国郊外にて──

 

 

 

 

 

 

十三英雄が一人、白金と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 






アレーティア
パワードスーツを調べるチャンスを得て内心ウキウキ。
なお、アズスとツアーの所業は寛大な心で許したものの、謝りに来なかったらボコボコにしてた。
うっかり国家機密をばらすお茶目なところも(ポンコツ)

ラキュース+蒼の薔薇
とんでもない事実を知ってしまったため、後々ラナーにマークされてホームが旧王都からエ・ランテルに移る。
余程の筝がない限り処分されたりはしない。

アズス
正面からアレーティアのガチ殺気を受けてしまったので寿命が縮んだと思われる。
パワードスーツは貸し出した後、ピカピカになって返ってきた。

スレイン法国
エルフの王女を見つけた。見つけてしまった。



今回ちょっと詰め込みすぎたなと反省。
次からは5、6000文字ぐらいに収めたいですね。
書くにつれて段々一話一話の長さが伸びちゃってるのが難点ですね。


感想や高評価いただけると大変嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!
内心、平均評価8.50になったのめっちゃ喜んでます。


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