転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
更新遅れました。詳しくは活動報告にて。
前回から評価がグーンと上がって満面の笑みは浮かべていました(笑)
お気に入り数も7000を超えて嬉しい限りです。
読者の皆様、ありがとうございます。
「だから、なんでお前は毎回毎回面倒ごとを持ってくるんだァァァァアアアアアアッ‼︎‼︎」
「へ、陛下落ち着いてください!」
「これが落ち着いていられるか!? ああッ!?」
「陛下、ガラが悪くなってますよ」
「誰のせいだと思ってる!?」
開幕早々ジルクニフが激昂していますが、私は元気です。
まず、何故ジルクニフがこんなに怒っているのか説明しなければなりません。
一応、ツアーは評議国の永久評議員という名前だけなら会社の会長みたいな役職についているので、建前上
手紙には「出来れば一対一で話したい」という旨が書かれており、万が一の事態があってもまたぶちのめせばいいかと考えていたので、それを伝えました。
そこまでは良かったんですが、この報告を聞いたジルクニフは顔を真っ青にしていて「俺も行くぞ。お前だけに任せておくと何があるか分からん」と言い出す始末。
更にここに新たなる爆弾が投下されました。
法国の野郎共です。書状を送ってきてやたら小難しいことが書いてあったようですが、要約すると──
「王国で起きた革命の夜。聖典がエルフの王女と白金の戦いを目撃。
その戦いに勝利したエルフの王女について情報共有がしたいので、会って話がしたい」
こんな感じの内容でした。
それを読んだジルクニフが私を見ると同時に、私は目を合わせないように──バイザーをつけているので目元は見えませんが──顔を逸らし、そして冒頭へと戻るわけです。
「そもそも何故法国にバレている!? お前に情報系監視の魔法の類は通じないはずだろう!?」
「多分ですけど目撃って書いてあるんで、あの戦いの場の近くに聖典がいたんじゃないですかね?」
「何故それでバレる? いつものように顔は隠して──」
「いや、バイザーを外してかつてのザイトルクワエとの戦いのように本気で戦ったんで──あ、これ言ってませんでしたね」
十三英雄の白金こと白金の竜王と戦った報告はしましたが、顔を晒して戦ったとまでは言いませんでした。 うっかりしてましたね、反省。
あ、ジルクニフが石になったかのように固まってしまいました。
同時にこの場にいた四騎士(現在三名)とフールーダも「やりやがったなコイツ」みたいな顔をしてこっちを見てきます。そんな顔で私を見るな。
「お、おま、お前……!」
ジルクニフが怒りすぎて震えてます。
ここは神殿の治療院でも使ったコレの出番ですね。
「陛下、とりあえずこちらを。 これの匂いを嗅げば少しは落ち着きますから」
「……なんだこれは?」
「私の領地の村で生活している、とある植物系モンスターから採取出来る素材で作った精神を安定させる香を放つマジックアイテムです。 効果は神殿で元奴隷の女たちで実証済みですのでご安心を」
簡単に言えばアインズ様みたいに昂った感情を抑制してくれるタイプのマジックアイテムです。まあ、あそこまで強力ではないのであくまで気休め程度ですが、現場ではかなり役立ちましたね。
「……神殿?元奴隷?なんだその話は?」
あ、やべ、神殿で素顔晒して仕事したこと報告してないですわ。
「……えっと、怒らないで聞いてくれます?」
「内容による。 話せ、早く」
ええい、ままよ!
「えーっとですね。 王国の娼館で働かされていた奴隷たちが身体は治療できたけれど、精神の方がどうにもならないと神殿勢力から鮮血騎士のロバーデイクに報告があり、私と神殿に勤めてるエルフを連れて一月ほど治療のお手伝いをですね……」
「顔や身分は?」
「身分は隠しましたが顔は素顔でやっちゃいました! あ、耳は隠しましたよ?」
ジルクニフが両手で顔を覆いながら上を見上げ、そのまま動かなくなってしまいました。
やっべえですね。ものすごく怒られる自信しかありません。
「……この際だ他に何か隠していること、報告していないことがあれば今すぐ言えさあ!!」
息つく暇もないぐらい早口で再起動したジルクニフが迫ってきました。目が血走って怖いんですけど!?
「あ~、その、隠していたわけじゃないんですけど、報告し忘れたことがそれなりにいっぱい……」
「~~~~ッッッ!!!!」
「へ、陛下落ち着いてください! 報告忘れはアレーティア様のいつものことではありませんか!? それよりも何を報告していないのかを吟味するのが先決かと!」
「そうですぜ陛下。 今更怒ったところでアレーティア様が変わらないのはご存知でしょう?」
割と辛辣なことを言われてますが、ニンブルとバジウッドがどうにかジルクニフを抑えてくれました。
ナザミとフールーダは静観してますね。いや、フールーダは新しいマジックアイテムに興味津々なだけでしたわ。
一先ず二人の尽力で落ち着きを取り戻した(?)ジルクニフへ報告していなかったあれこれを話しました。
中でもと言うかスマートフォンもどきには興味津々ですね。
「このマジックアイテムで特定の相手とだけ〈
だが──」
「ガテンバーグの二の舞にならないよう、使用には細心の注意が必要ですな陛下」
「ガテンバーグってなんですか?」
「なんだ知らなかったのか? 三百年程前にあった国で〈伝言〉による情報網を敷いていたが三つの嘘の情報で内乱が起き、不幸なことに他種族の侵攻が重なり滅んだ国だ」
「それ故に〈伝言〉を過信する者は愚か者と言われているのです。 今でも〈伝言〉を利用して一般の民を騙すという犯罪行為も一部確認されております。
……ですが、このマジックアイテムは素晴らしい。 登録した者同士でのみやりとりが出来るのならば虚偽の情報を流される可能性はグッと下がりますからな」
あー、そんな話ありましたね。アインズ様は便利だからと〈伝言〉を多用していたけれど、フールーダと……確かアインザックでしたね、この二人にはあまり信用されずに合言葉を使ったやり取りなんかをしていて便利なはずなのに逆に不便になっていました。
それだけこの世界では〈伝言〉を過信するのは危険だという常識となっているのでしょう。とはいえ〈伝言〉が便利な連絡手段なのは周知の事実。このスマートフォンもどきでそれが解消されれば……と思いましたけど、まだ少し早かったみたいです。
「問題は現状私しか作れないことですよね。 サンプルをいくつか渡すので魔法省の方で作れないか研究してみてください」
「おお、これはありがたい。 早速弟子たちに命じて量産に向けて研究させますが──アレーティア嬢が作り方を教えてくだされば良いのでは?」
「多分無理ですよ。 今まで私が作ったマジックアイテム、どれか一つでも作り方を教えて作れた魔法詠唱者がいましたか?」
そう言うとフールーダが悔しげな顔をして俯いてしまいました。ただ、こればっかりは仕方ないと思うんですよね。 何せ私と帝国の魔法詠唱者では文字通りレベルが違いすぎるんですから。
それでも私の指導のお陰か、はたまたフールーダが第七位階へ到達したからかは分かりませんが、高弟の中から限定的にではあるものの第五位階に到達した者が出たとか。
その内の一人はエ・ランテルに頻繁に来るのでよく覚えています。 確かゾフィと言いましたね。今はカルネ村を中心としたモンスターと共生する村々で研究を重ねつつ魔法詠唱者としての技量も磨いているはずです。
「課題はまだあるとはいえ、これは朗報と言えよう。 これを量産し帝国の諜報部隊に持たせて各地に散らせば──帝国は周辺国家の情勢をいち早く獲得出来る」
ジルクニフが悪い顔をしています。 まあ帝国の強化に繋がりますからね。基本的には物理的手段──手紙などのやりとりが一般的ですし、それが全て魔法的手段に切り替えられればその恩恵は計り知れません。
「この件はエ・ランテルに魔法省の支部が出来上がってから続きを進めるとしよう。 でだ、話を戻すぞ」
「何の話でしたっけ?」
「白金の竜王と法国の先触れについてだ。忘れるな」
「ああそうでした。 まあ、白金の竜王には私一人で会ってくるんで、陛下は法国を顎で使ってズーラーノーンを始末させる方向へ誘導してくださいな」
「だから白金の竜王とは私も会うと言っているだろうがッ!!」
「いやだって……」
「なんだ?何か言いたいことがあるなら言ってみろ」
どっかの鬼の祖並みの威圧感出してくるんですけど、正直に言っていいんですかね?
「ぶっちゃけると……邪魔だなって」
「…………」
「無言の圧を飛ばさないでくださいよ……。だって考えてみてください? 仮にも相手は
そんな相手と会って話すのに陛下を守りながらというのは正直無理があります」
「……一度その白金の竜王が操る鎧を倒したのだろう?なら」
「あの鎧程度なら問題ありませんが、あのレベルの鎧を操れる時点でそれより強いのは確定じゃありませんか。
それに仮に交渉が決裂した場合、その場で血を血で洗う決戦になること間違いなしなので。 躊躇いなく私〈
〈大厄災〉を使うのを躊躇わないと言った時点で場の空気が凍りつきました。 まあ、私がそれを使うということは以前戦ったザイトルクワエ以上の強さは確実というのを理解出来たのでしょう。
正直言えばツアーと戦うことになった場合、私でも勝てるかどうか分かりません。
単純なステータス上の話なら
鎧とアインズ様(偽物)との戦いでも偽の情報を掴まされていたとはいえ、
なので、その場にジルクニフがいると護りながら戦わないといけないので集中できないんですよね。 護衛用のモンスターでも召喚すればいいとも──クソ親父が好んで召喚しているベヒーモスみたいなのを──思いましたが、それをするぐらいなら私のサポートに回したいんですよね。
「そういうわけで私一人で会うことにします。 評議国との国交関連の話になった場合は私には手に負えないので、後々書状を出してもらうことにしましょう。 その時はよろしくお願いしますね」
「……分かった、最早この件については何も言うまい。 ただ一つ言わせてくれ」
「なんでしょう陛下?」
「……死ぬなよアレーティア。 必ず生きて帰ってこい」
「ええ勿論。 万が一、なんて事態にならないように精一杯努めてまいります」
○
○
○
アレーティアが話は終わったから帰ると転移した後、ジルクニフの私室ではそのまま法国への対応をどうするかの検討会が行われた。
結果、エルフの王女については知らぬ存ぜぬを通し情報を全て聞き出したうえでエルフの王女──アレーティアと敵対するような話を持ち掛けられた場合、表向きには協力するふりをしつつ協力しないという方針に決まった。 逆に敵対ではなく友好を築くためという話ならば論外だ。人間至上主義国家のスレイン法国が、エルフの国と長い長い戦争を続けているような国がいきなりアレーティアと友好関係を築きたいなどと口にしようものなら間違いなく裏がある。 どちらにせよスレイン法国は現状警戒するに越したことはない。
そして何よりも当のアレーティアがスレイン法国のことを毛嫌いしているので、いい返事をすることなど余程のことがない限りないのだが。
「後はアレーティアが無事に帰ることを願うばかりだ」
「……陛下、前々から伺いたいことがあったのですが、お聞きしても構いませんか?」
「この場には私と
「何故アレーティア様をあれほど自由にさせているのですか? 正直申しますと……今の帝国において下手をすれば陛下よりもアレーティア様の方が影響力が大きいと愚考します。
エ・ランテルにも何度か伺いましたが、あの都市の発展具合は最早帝都アーウィンタールに比肩する……いえ、今後のことも考えれば上回るでしょう。 更に言えばあの方が抱えている戦力も我々四騎士……ナザミさんは別としてもそれらを上回る者を多く揃えている例の鮮血騎士と言い、武力、経済でも敵うとは思えません。 ならば、せめて陛下の威光を示すためにも何かしらの枷を付けておくべきではありませんか?」
ニンブルの発言に場の空気がシンと静かなものになる。 確かにアレーティアが抱えている人材もマジックアイテムも優秀を通り越して逸脱しているものがほとんどだ。
仮にアレーティアが反旗を翻した場合、ジルクニフ及びバハルス帝国の敗北は必至だろう。 だからこそ、ニンブルはアレーティアのことを上司として敬いつつ警戒していた。
それに対してジルクニフの回答は──
「アレーティアに枷をつけようとしても無駄だ。寧ろ反感を買うだろう。
逆に自由にやらせて後始末をしてやった方が恩を感じて従ってくれる。
それに──アレーティアが裏切ることなど決してない」
アレーティアに対する絶対的信頼だった。
長く仕えているナザミとバジウッド、そしてジルクニフと同等の付き合いがあるフールーダはアレーティアという人物のことをよく理解している。
しかし、ニンブルは比較的付き合いはまだ浅い方でエ・ランテルにアレーティアが本拠地を移してからは接する機会が大幅に減ったことがこの疑念をもたらしたのだった。
「確かに、アレーティア個人が有する力は間違いなく帝国そのものを上回る。より強固になったエ・ランテルの三重城砦も正直過剰じゃないかと思ったりもしたが……それには必ず意味がある」
「意味があるっていうのはどういうことですかい? 俺はアレーティアサマの趣味趣向でエ・ランテルはああいう風になったと思ってたんですが」
「その可能性も……ないとは言い切れないが、アレーティアはああ見えて本当に無駄なことはしない女だ。
愚かな旧時代の遺物である貴族たちの粛清に始まり、帝国騎士の武具の調達にドワーフ国との国交、
それでなお満足せずエ・ランテルを発展させているのは──
「これから来る何か……ですかい?」
「そうだ。 ここ数年──特にエ・ランテルを与えてからそれが顕著に見えている。 忌々しいあの女とも話したが、明らかに数年以内に何かがあるのは間違いない。
それが一体何なのかは分からないが、ソレと場合によっては激突する可能性があると考えているのだろう。
だからこそ、私は──いや、俺はアレーティアを自由にしている。 それが帝国に利益をもたらすと判断したからだ」
ジルクニフはアレーティアを絶対的に信頼していた。十年近い付き合いの中で振り回されることも多かったが、それでもただの一度もアレーティアは裏切ることなく側に仕えてくれていた。支えてくれていた。
ジルクニフは少し思い返す、アレーティアが来る前のことを。
──アレーティアが来るまでは護衛がいても日夜気を張り続けていた。
──アレーティアが来るまでは食事の時間すら毒に怯えなければならなかった。
──アレーティアが来るまでは歳の近い友人などいなかった。肉親は皆処刑したから。
──アレーティアが来るまでは味方は騎士とフールーダしかいなかった。
それがアレーティアが来てからはどうだったか?
彼女が終日身の回りを警護することで、この身に傷がつくことは一度もなかった。
食事の時間も共にし、さり気なく彼女が自分の皿と私の皿と取り換えていたのを後から知った。
彼女に毒は効かないからと毒のある皿を自分に移していた。
執務の時間、彼女は警護をしながら自分と友好を築こうと勉学に励みながら、さり気なく質問という体で会話を試みてくれていたことも知っている。
一度は騎士たちとの間に軋轢が生じたが、彼女が動いたことでその軋轢はなくなり、むしろ騎士たちとの関係もよりよくなった。
多くの迷惑をかけられたこともあったが、逆に多くの恩も感じている。
(だからだろうか、無意識にアレーティアに惹かれていたのは)
かつて、アレーティアが置手紙を残し半年ほど姿を消した際には激しく動揺した。思わず後宮でロクシーに愚痴ってしまったほどには。
そして、ロクシーに告げられたのは「自分の気持ちに気づいていないのか」という問いかけ。
それをきっかけにアレーティアへの感情を理解し、受け入れた。
「そこまでおっしゃられるなら、私からはこれ以上言うことはありません。 出過ぎた真似をしてしまいました。申し訳ありません」
「構わんさ。 お前の言うことも尤もだからな。
……さて、私たちも出来ることから始めようか。 まずは法国との会談からだな」
惚れた
アレーティア
ここぞとばかりにジルクニフの胃にストレートを叩き込んだ張本人。
ジルクニフが荒れるぐらいには効果は抜群。怒られて反省はする。するだけ。
なお、公にはサフォロンと卵から孵ったフロスト・ドラゴン二匹を支配下にしているがアゼルリシア山脈のオラサ―ダルク一家を支配していることは教えていない。
次回いよいよ……?
ジルクニフ
胃にストレートどころかボディーブローを叩き込まれて滅茶苦茶キレた。報連相は大事。
一応アレーティアのことはラナーより理解している。していると言え(脅迫)
なお、アレーティアを自由にやらせている最大の理由は貴族教育で一度逃げられたのが相当堪えたから。
それから仕事は任せるけど、基本的に縛るようなことはさせていない。
今回割と重めのアレーティアへの感情を零したが、何度も何度もしつこく書くようでジルクニフには大変申し訳ないが、ナザリックが来る世界線でアレーティアと結ばれることはありません。
仮にナザリックが来る世界線で結ばれるとしたら、条件としてまず帝国が滅んで、アレーティアが大切なものを全て失った場合。 原作のラナーとクライムとはまた違う感じ。
書くとしたらバッドエンド(ビターエンド?)番外編。
ニンブル
アレーティアを尊敬しつつも、あまりに自由にやっているのをずっと疑問に思っていた。
疑問は解消されたものの、これから来る何かについて考えることに。
バジウッド
もう早く告っちまえばいいのにと温かい目でジルクニフを見守っている。
奥さんたちとの仲は良好。
スレイン法国
「あの忌々しいエルフの王女が白金の竜王が操る鎧を倒したと報告が!」
「アレを退けられるとは……いよいよ本格的に我々もヤツを排除しなければならなくなったな」
「
「いや、それよりもまず先にヤツが現れた場所を統治することになった帝国に接触してヤツのヤバさを共有しよう!」
「もしかすると粛清騎士を動かして処理してくれるかもしれんし」
ザックリこんな感じの会議をしていた。
カイレを含む漆黒聖典が動く用意は出来ている。番外席次は現状お留守番。
なお、粛清騎士=エルフの王女には気づけていない。
理由はドラゴンに乗って粛清騎士が王宮に突撃してから動きを見せていないため、王宮にいて指揮を執っていたと勘違いしているため。
まさか拉致されていたなんて思いもしない。
感想、高評価いただけますと大変嬉しいです!
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