転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
予想以上に筆が乗ったので更新。
感想でバラしてしまったので、ここでもバラします。
ジルクニフがアレーティアとナザリックが来る世界線で結ばれる為には、ナザリックにアインズ様が不在であることがまず第一条件です。
第二に、悪魔の襲撃でエ・ランテルが崩壊することが第二条件。
第三に、帝都まで悪魔が襲撃してきていよいよ国が滅ぶって時にジルクニフを部下である騎士たちやロクシーに託されて亡国することになるのが第三条件です。
要は亡国の吸血姫ルートですね。 これが一番のバッドエンドかな?
今回、オリジナル要素かなり強めですのでご注意を。
白金の竜王ことツアーとの対面の日、アズスが態々迎えに来て──諸々の事情で私とツアーとの便利な連絡役になっていました──対面の場へと案内するとのことで、先導させていたのですが……。
「アズス、遅いです。 もっと速く出来ないんですか?」
「無茶言わないでもらえないか? これでも鎧パワードスーツの最高速度だぞ?それについてこられる速度の〈
「パワードスーツもその程度の速度しか出せないんですか、少々ガッカリですね」
どうせなら幾つかのパーツをパージして真っ赤になって三倍の速度で動けたりしたらロマンがあって大変よろしかったのに。
いや、これから作ればいいんです。ツアーとの対談が終わり次第、アズスからパワードスーツを貸してもらうことは決定しているので、ドワーフ達と研究するのが楽しみで仕方ありません。
その為にはまず無事に生きて帰る必要がありますけどね。
「アズス、ちょっと失礼しますよ」
「えっ?お、おい辺境侯何をッ!?」
「私が貴方を抱えて飛ぶんで、ナビゲートお願いします」
「ちょっ、待ってくれ! 抱えてるんじゃなくてそれは襟首を掴んで──」
「行きますよー? 〈
「どわあああああああぁぁぁぁぁぁ…………ッッ‼︎‼︎」
◯
◯
◯
「ようやく着きましたね。 途中でアズスが音を上げなければもっと速く着いたんですけど」
「勘弁してくれ……あのスピードに長時間耐えられるのはアンタぐらいだろ……」
何を言ってるんですかね?パワードスーツ着てるんですから、アレぐらい耐えられないとダメ──そういえば耐久面はそんなに高くないんでしたっけ? アルベドパンチで結構なダメージ負って豆腐みたいに脆いって言われてましたもんね。
仮に私が
おっと、そんなことを考えている場合ではありませんでした。
着いた場所は旧王国と評議国の国境付近の山脈にある渓谷でした。
「悪いが案内はここまでだ。ここから先は道なりに沿っていけば着くらしい。
ツアーは一対一で話したいって言っていたからな。俺がいたら邪魔になるだろう」
「本当に一対一ならいいんですけどね」
某ロボットゲームみたいに『騙して悪いが』なんてことがないことを願うばかりです。
まあ、そうなった場合命尽きるまで暴れまくりますが。
というか、アズス以外の迎えを出してくれません? むしろお前が来いって今更ながら思ってしまいました。
とりあえず、渓谷を進み辿り着いたのは何かしらの拠点のような場所でした。よく観察すると何らかの魔法による防御が──隠蔽も兼ねてる──施されています。
アニメでもこんな場所に見覚えはないんですけど、ここにツアーがいるんですかね?
『ようこそ、私たちの隠れ家へ』
現れたのは──あれ?私が破壊したあの鎧? 私の
『驚いているようだね。 なに、私が操る鎧は一つではないということさ』
……え?あの鎧他にもあるんです? 初耳なんですが?? もう鎧もないだろうし本体とご対面だと思ってたんですけど。
──いや待て、逆に考えましょう。ここでアレを今度は半壊しない程度に体力を削り切れば丸々私のものになるのでは?
『……一応言っておくんだが、君と争う気は無いんだ。 だからその「今度こそ倒してやる」っていうその姿勢をやめてもらえると助かるんだが……』
「いやだって、一対一で会いたいって言う割には鎧で来ますし、
『そこは申し訳ない。だが私本体は諸事情であの場を動けなくてね。このような対談になることをどうか許してもらえないだろうか?
勿論、まずは君への労いへの対価としてこちらを差し出そう』
すると、どこからともなく大きな宝箱がやってきました。 私の目の前に鎮座した宝箱は独りでに開き、その中身を披露しました。
中にはかなり純度の高い宝石類がギッシリと積められていました。〈
……一先ず罠はなさそうですが、正直言ってそんなに嬉しくないんですよね。精々贈り物に使うかマジックアイテムの装飾に使うかぐらいしか使い道が……。
『あまりお気に召さなかったようだね』
「そうですね。宝石類よりも欲しいものは沢山ありますから。 でも、貰えるものは貰っておきますね」
『そ、そうかい……。 さて、立ち話もなんだろう?よければ掛けてくれ』
誘導された方には円卓と幾つかの椅子が鎮座しています。私とツアーは対面になるように椅子に腰掛け、いよいよ対談が始まりました。
『まずは謝罪から。 先の革命で私とアズスが君に対して大変無礼なことをしてしまったことをお詫びする。
ただ、先も言ったように君と事を荒立てるつもりはなかったことは、どうか理解してほしい』
「その話はアズスからも聞きました。貴方があまり乗り気でなかったことも。
……ただ、いきなり背後に現れて拉致して脱走出来ないように監禁するのは些かやり過ぎだったのでは?」
『返す言葉もない。 あれは私の判断ミスだった。結果的に君の怒りを買ってしまい、取り返しのつかない事態を招いてしまった』
取り返しのつかない事態? ……ああ、鎧が見るも無惨なことになったことですね。
ツアーとしても予想外だったんですね。
『その件の君個人への詫びの品を考えたんだが……先程の品があまりお気に召さなかったようだし、何か希望のものはあるかい?』
「……なんでもいいんですか?」
『……ああ、
なんかすごい意味深な言い回しですね。ここで私のことを見極めようとしてます?
んー、ツアーが持ってる欲しいものと言えば、まず一番に彼が守ってるギルド武器ですね。まあ、これは絶対渡さないでしょうし口に出した途端に敵対ルート待ったなしです。
次に欲しいものと言えばツアーの操る武器鎧一式です。目の前にある鎧のようにスペアがあるなら一つ貰いたいですね。
そして最後、正直これが本命です。
「
『──ッ!!』
え?なんです?そんな身構えて?やっぱり私を殺そうと?
「突然身構えてどうしたんですか?」
『……すまない。続けてもらっていいだろうか?』
「いきなり襲いかかってきたりしないでくださいね?
私が欲しいのはかの八欲王の最後に残した都市エリュエンティウにある超級のマジックアイテム。 十三英雄だけが持ち出すことを許されたと言いますが、貴方なら持ち出すことが出来ますよね?」
これぐらいなら許されるでしょう。 エリュエンティウは間違いなく八欲王のギルド拠点。そこにあるアイテムはほぼ間違いなくユグドラシル由来のもの。使い物にならなくてもこれから来るナザリックへの贈り物として使える可能性も十分にあります。
エリュエンティウには
『……君は自分の出自を知らないのか?』
「はい?私の出自?」
なんで急に私の身の上話に?
「……私はこの通り、エイヴァージャー大森林にあるエルフ王の血を引いたエルフですよ。 父と同じく、王の相というものを受け継いで生まれましたが」
バイザーを外し、素顔を晒した私はツアーをジッと見据えます。相手はあくまで鎧なので反応は窺えませんが、それでも私からの視線は感じているはずです。
『知っているのはそれだけかい?』
「ええ、後知っているのは祖父が凄まじい強さを誇った軽戦士だったというぐらいですね」
祖父の話をする時はあのクソ親父も童心に帰ったかのようにキラキラとした顔で語っていた。余程すごい人物だったらしいのですが私の原作の記憶にはそう言った人物の存在は無いので、もしかすると今後の続刊で──確か次の副題が『半森妖精の神人』だったのでそこで語られたのかもしれません。
『そうか──どうやら杞憂だったようだ。重ねて失礼な態度をとってしまって悪かったね。 ただ──エリュエンティウにあるマジックアイテムは渡せない』
「とりあえず無理なのは分かったんですけど、そういう態度をとった理由を教えてくれませんか?
一々何かに警戒しながら話すのも面倒なので」
一応謝罪される立場なのにどうしてこうも警戒されるのか。私がプレイヤー並みの力を持っているから警戒するのは分かるんですけど、どう見てもそれだけじゃないんですよね。
『……いいだろう。どの道、君には話さなければならないことだった。
ん?他の竜王が?どういうことでしょう?
『君の祖父であるエルフは──五百年前、この世界に現れ世界を歪め、汚し、一度は大陸を支配した悍ましい存在。 即ち、八欲王と呼ばれる者の一人だ』
「……………は?」
『その驚き方は本当に知らなかったようだね。 そういう訳で八欲王の血を引く君に彼らの拠点であるエリュエンティウの品を渡すことが出来ないんだ。
もしもあの都市にいる彼等に君の存在を知られたら……分かるだろう?』
「ちょっと待ってください。頭の中を整理しますんで」
は?私が八欲王の子孫!?嘘でしょ!?直系なの!?
でもクソ親父は祖父のことをエルフの大英雄だって──あー、語る者が違えば中身も変わるってやつですか。なんてことをしてくれやがりましたか。クソ親父が祖父は八欲王と呼ばれてとか言ってくれていたらもっと早く気づけたじゃん!私の存在自体ツアーとか他の竜王からしたら厄ネタそのものじゃん!
ん?つまり、クソ親父の血を引いてるであろう腹違いの姉の番外席次も八欲王の血を引いていることになるってこと? 確か六大神って八欲王に殺されたんじゃ──あー、だから当時冷遇されてたみたいな話を神官長たちがしてたんですね。 そりゃあ、私のことも率先して殺しにきますわ。宗教上の最大の敵みたいなものじゃないですか。
知りたくなかったけど、この場で知れてよかったと思うべきか……。
『だ、大丈夫かい?』
「はい、大丈夫です」
正直とんでもない情報の爆弾を投げつけられた気分です。
あ、これがジルクニフの気持ちか。言葉ではなく心で理解しました。次からはもう少し優しくしてあげましょう。
『私はエイヴァージャー大森林にその子孫がいることを知っていたが──あの森の中で暮らすなら見逃してもいいと考えていた。
罪を犯したのはあくまで八欲王だからね。 私はそう割り切ったが……他の竜王はそうはいかない。特に“ぷれいやー”や“えぬぴーしー”を嫌う竜王はね』
「その穢らわしい血の一滴も残さないって考えで合ってます?」
『その考えで構わない。 そして、私は君が大森林から抜け出してから定期的に監視していた。“ぷれいやー”の血を覚醒させた君がこの世界に何をもたらすのかが気になってね。
結果的に君は帝国に収まり、人のためにその力を振るっていた。無闇矢鱈にその力を振り翳したかつての八欲王とは違うと判断した。
だから、今まで手出しすることはなかったんだが、先の革命で接触する機会を得た。 そこで君を見定めようと思ったんだが……』
それはツアーが悪い。 わたし、わるくない。
突然拉致されたら誰だってそうしますから。 しますよね?
『結果として手痛い反撃を受けてしまったが、君の実力と人となりはある程度把握出来たし、最後に君が残した言葉がまだ敵対関係まではいっていないと受け止めた。
だから、かつての魔神戦争で私たちが使っていたこの隠れ家に案内したんだ』
ここ十三英雄たちの隠れ家だったんですね。イビルアイとかも知ってるんでしょうか?
「理由は分かりました。 エリュエンティウ関連の品を渡せない理由も。
とはいえ、そうなると別のものならいいってことですよね?」
『そういうことになるね。 さあ、何を望む?』
そういうことなら武器鎧一式が欲しいんですけど……ああ、そういえばああいう品もありましたね。
「始原の魔法で作られたアイテム……なんてありますか?」
そう、原作ではガゼフが持っていて最終的にクライムが着けていたあの指輪みたいな始原の魔法によって作られたマジックアイテム。
レア度で言えば下手するとユグドラシル由来のアイテムより高いはず。
『あるとも。 ただ数はそんなにないから全て欲しいと言われても困ってしまうな』
「では、二つでお願いします。両手に一つずつということで」
『ああ、分かった。少し待ってくれ──〈道具転送〉』
なんらかの始原の魔法を発動したツアーの手には六つの指輪がありました。
赤、青、黄、紫、白、黒とそれぞれ別の色の宝石が輝いている指輪です。緑がないのは──ああ、確かアニメであの指輪は緑でしたね。
二つ貰えるのでどれにしましょうか。とりあえず〈道具上位鑑定〉で性能を──
『どれにする?』
「では……この二つで」
そうして超希少アイテムである二つの指輪を得ることが出来ました。いやもう、これだけで大満足ですね。 この後にはパワードスーツの研究も待ってますし、内心ウハウハです。 私の生まれのルーツなんてどうでもよくなりました。
『それは竜の秘宝。同じものを作るのはもう難しくてね。 丁重に扱ってくれ』
「分かってますよ! ……それで、これでお終いではないでしょう?」
『……そうだね。ここからが本題だ』
少しばかり空気が引き締まったのを感じました。ここまではあくまで私に対する謝罪でしたが、ここからは恐らく……
『君とは今後とも良い付き合いをしたいと思っている。
君のその力、是非世界のために使ってほしい』
「つまるところ、貴方の協力者になれということですね」
正直、私は現時点でこの世界でも最上位の強さを持つと自負しています。ツアーを退けられる程度には強いのは確実ですし、プレイヤーしか使えない超位魔法に加え、現状私しか使い手がいない
そんな相手を実質野放しにしておく訳にはいかないのでしょう。
『そういうことなんだが、どうだろうか?
勿論、協力してくれるというのなら私も色々と便宜を図れる。
例えば、他の竜王と何かしら不利益が生じた際には私が間に立とう。 他にも私は多くの地で組織運営の実験をしていてね、その地における特有のアイテムや技術なども提供出来る』
正直、悪くない話だとは思います。
ツアーは世界各地に拠点を持っていると最新刊に書いてありましたし、私が知らない場所にある素材や技術が得られるのであればこれ以上ないアドバンテージを得られます。
ただ、協力する代わりに何をさせられるかが気になるところです。
「悪くない話だとは思いますが、私に何をさせるつもりですか?」
『君は普段帝国で騎士として、貴族として働いているのは知っているからね。 世界を巡ってくれともいう気はないさ。
主に私のサポートをお願いしたいのと……ここ数年で起こるかもしれないとある事象が起きた際に、八欲王のような存在が現れた時に一緒に戦ってほしいんだ』
ごめんなさいツアー。あと二年しない内にナザリックがやってきます。なんだったら世界征服する気満々にNPC達が動き出します。
私がナザリックと戦うってなったら敗北不可避では?一対一ならなんとかなっても、ナザリックに勝てるかと言われれば……。
やっぱり、あのタイミングで出会うことが必須ですね。毎日〈星に願いを〉でもしてタイミングが合いますようにとでもお願いするしかない気がしてきました。
「……万が一の場合は私は私の事情を優先しますけど構いませんか?」
『ああ、それで構わない。 君という個人が味方になってくれるなら、これ以上ない頼りになる』
「分かりました。 今から私たちは協力者です」
『ああ、共に世界のために協力し合おう』
そうして私とツアーは握手を交わし、その後はルーンについて聞かれたり少しばかり情報交換して事なきを得ました。
ジルクニフにも今回はちゃんと一報を入れたので安心ですね。
さあ、アズスを連れて帰ってパワードスーツの研究に入るとしましょうか!
アレーティア
遂に自分が八欲王の血筋だと知ってしまう。流石に予想外過ぎたとは本人の談。
だからといってやることに変わりはない。いつも通り。
ついでと言わんばかりに超希少アイテムである始原の魔法の指輪を手に入れている。何色でどんな効果かはまたいずれ。
この後、アズスとツアーを振り回すのは確定事項。
ツアー
思いっきり下手に出て、あえて超希少アイテムである指輪を二つも渡すことで、勧誘を断りにくくした。
結果的に特大戦力を得ることに成功したが、この後アレーティアに散々振り回されることになる。
どこかの皇帝「ようこそ、こちら側へ」
十三英雄の隠れ家
オリジナル設定。二百年前の戦いの際に作った拠点の一つ。ツアーやリグリットが管理しているという設定。
ツアーの鎧
この作品ではツアーの鎧が複数あることとして、その数は一パーティ分=六体とします。
なお、始原の魔法製なのでこれ以上は作れないし、ついでに言うとツアーでは直せない。
他の物作りに特化した竜王か神匠アレーティアぐらいにしか修繕できない。
(原作でもシャルティアのスポイトランスで刺された箇所が直っていなかったため)
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