転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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今回でようやく数十話に渡る伏線っぽいものを回収出来る……。

あ、今回特に独自要素強めです。
詳しくは本編をどうぞ。

アンケートもありますので、回答いただけると助かります。


アレーティアのしょうもない絶望 〜ああ、これはそういう反応になるわ〜

 

 

 

 

 

 

 

 突然ですが私は今絶望しています。

 

 

 

 

 

 

 ツアーとの対談を終え帰国し、スマートフォンもどきで思いついたようにツアーに連絡し各地方にある鉱石を根こそぎ集めてくれと頼み、ツアーの軽く引いた声を聞きながら私はアズスのパワードスーツと向かい合っていました。

 

 前世が男だった私の心をくすぐるパワードスーツ。 なんとしてでも、私の専用機を作ってやろうとありとあらゆる箇所を調べ、フールーダやドワーフたちの協力を得て──時折フールーダが何かの皮で何かしているのは見ないふりをして──データ取りから素材、構造などを調べ上げ出た結論。

 

 

 

 ──ユグドラシルの素材無しにはパワードスーツの作製は不可能という、信じたくもない現実が突きつけられてしまったわけです。

 

 

 

 当然、生まれながらの異能(タレント)による解決も試みたものの、某作品のように『それは無理な願い。異能で叶う範疇を超えている』という追い討ちが脳内に虚しく響きました。

 ならばならばと超位魔法〈星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)〉まで使用し──経験値消費は異能(タレント)で経験値消費を補填して──これならばと期待したものの『それは無理な願い。叶えるならば()()()()()()()()()()()()()()』というどうしようもない現実を叩きつけられてしまいました……。

 

 私はかつてない程の無力感に襲われました。

 どんな困難も乗り越えてきて、ルーン技術から刻印魔法(ルーンマジック)という私にしか使えない技術(スキル)まで手に入れたというのに、パワードスーツを作ることは不可能という理不尽には抗えなかったのです。

 私の出自とかもうどうでもよくなってしまいました。 とりあえず報告したジルクニフたちが驚愕の表情を浮かべて、色々聞きたそうにしてるのをガン無視してパワードスーツに向かい合ったというのにこのザマです。

 

 とりあえず、パワードスーツのメンテナンス自体は出来たのでアズスを呼び出して返却するとしましょう。

 ついでにツアーから鉱石を受け取ってこいとも付け加えて。

 私が取りに行くのが一番手っ取り早いんですけど、今は何もしたくない……いや、こういう時こそ何かに打ち込むべきなのか?

 手っ取り早く鮮血騎士を呼び出して稽古で鬱憤を……ダメですね、これじゃただの八つ当たりになってしまいますね。

 ではトブの大森林の──ああ、丁度いい癒し枠がいましたね。

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

「姫〜!お久しぶりでござるな!」

 

「久しぶりですね『森の賢王』。 お元気そうで何よりです」

 

 はい、やって来たのはトブの大森林。ここに来る途中に襲いかかってきた〈愚か者()〉を〈土竜叩き〉で犬神家したことは置いておいて、オーバーロードにおける癒し枠である『森の賢王』ことハムスケ──まだ命名してませんが──に会いに来ました。

 

 彼女との出会いは王国との戦争が終わってからですね。

 トブの大森林近くのカルネ村は、今後色々な意味で重要拠点となる可能性が高いため、出来るだけ森の中を安全にしておきたかったので緊急避難用のエルフツリーを植えて育てたり、危険度が高いモンスターを騎士を派遣して訓練がてら退治させていました。

 しかし、ある日森に向かった騎士たちが帰ってこないと派遣していた魔法詠唱者(マジック・キャスター)から報告があり、現地へ向かえばそこには死んだ騎士たちの姿が。

 ここで私はようやくハムスケのことを思い出し、この辺りが縄張りだったことを完全に失念していたことに気がついたわけです。

 

 

『侵入者でござるな!? 目元を隠しているようでござるが、驚愕した様子までは隠せてはいないでござるな!』

 

『あ、私はこんな顔をしてますよ』

 

『なんと!エルフでござったか! だが、関係ないでござる!侵入者よ、命の奪い合いをするでござる!』

 

 

 と、こんな感じで接敵し──

 

 

『ひぃいいい……! そ、それがしの負けでござる!なんて強さでござるか……手も足も出なかったでござる……』

 

『いや、尻尾は出てましたよね?』

 

『それはものの例えというやつでござるよ』

 

 

 結果はもう想像通り、私が勝ちました。

 それでも〈愚か者〉より強いですね。アイツただの脳筋ですし、学習能力ありませんし。ゴ・ギンとどこで差がついたのやら……種族的にはゴ・ギンが異端なのは分かってるんですけどね。無いもの強請りというやつです。

 

 話が少し逸れましたが、これが私と森の賢王──ハムスケとの出会いです。

 それから命乞いをされたので、基本的に私に従うことと、帝国の紋章が刻まれた鎧や腕章を持つ人間は襲わないように命じました。

 ハムスケはやはりというか〈愚か者〉より賢く

 

『了解でござる! それがしは今後、姫に従う忠臣になるでござるよ!』

 

 こんなにあっさりと主従関係が築かれました。強さのヒエラルキーというやつですね。一応獣なので強い相手には逆らえないというか……。

 

 それから、度々会いに来てはちょっと疲れた時や癒しが欲しい時に戯れています。見た目デカいハムスターなんで目の保養にもなりますからね。

 

「ひ、姫〜くすぐったいでござるよ〜」

 

「ああ、柔らかい……癒しです……」

 

 もふもふ、もふもふ……ああ、お腹が柔らかくて気持ちいいですね。

 毛もふさふさしています。今使ってるベッドより寝心地はいいですね。このまま寝れるまであります。(個人差があります)

 

「姫、何かあったでござるか? なんだかいつもより落ち込んでいるように見えるでござるよ?」

 

 ハムスケは勘がいいですね。前世でもペットを飼っていると落ち込んでいたり、病気になっていたりすると側にいてくれたりするらしいので、それに近い物なんですかね?分かりません。

 

「いや、今まで挫折したことがなかったので、落ち込んだというか……」

 

「おお、そうでござったか。 それがしにはあまり分からないでござるが、あまり気にしすぎても良くないと思うでござるよ?」

 

「そうですねぇ……もふもふ」

 

 こうしてハムスケのお腹に顔を埋めて一度精神を癒してから今までのことを振り返ると、逆に今までが順調過ぎたのだと思えてきました。

 

 そりゃあ、エルフ国にいた時は毎日がデスゲームみたいな日々でしたけど生き残れましたし、帝国での生活基盤を築けたのも幸運にもフールーダと出会えたから。

 原作でルーン技術の扱いを知っていたからこそ、先んじて学び利用して私しか使えない刻印魔法を習得しました。

 他にもザイトルクワエとの戦いで一度は死にかけましたが、生きて帰れたのはこの異能のお陰です。

 ずーっと順調に物事が進んでいたので、いつの間にか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これはいけませんね。

 なにせ、ここはオーバーロードの世界。慢心や油断一つで命が容易く失われる異世界であり、今の私の現実なのですから。

 

 

「うーん、やはり悩んだ時はこうして癒されるに限りますね。 お陰で少し気持ちの整理が出来ました」

 

「姫が元気になったようなら良かったでござるよ!」

 

「よし、じゃあ少し遊びましょうか」

 

 この後めちゃくちゃ遊びました。

 

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

 ハムスケに癒され、遊ぶ事で無力感とおさらばしてから数日。

 ツアーから鉱石が届いたと連絡があったので、取りに向かいました。 アズスに取りに行かせるつもりでしたが、量が量なので断念。しかし、飛んで運べばよかったのでは……?

 残念ながら、そんなに珍しい鉱石はなく──アダマンタイトは十分珍しい分類なのですが──目新しい物はありませんでした。

 ともかく、現状帝国付近の山からは鉱石をほぼほぼ掘り尽くしてしまったので、無いよりはある方がありがたいんですけどね。

 鉱石自体値上がりしてしまっているので、ドワーフの皆さんがやりくりが大変だと言っていました。

 錬金術師の職業なら鉱石も錬成出来るのではないかと思ったものの、こちらは不可能でした。まあ、これが出来たのならユグドラシルでもレアな鉱石を時間をかけて増やすなんてことも出来たでしょうし、鉱山を奪い合うなんてことも起きなかったでしょう。

 

 とりあえず、鉱石も集まったので気晴らしに新しい武器でも作ろうかと思い、鉱石を保管している倉庫へ向かうと……目を疑うような光景が私の目の前に広がっていました。

 

「………は? 鉱石がない??」

 

 そう、少なくともこの倉庫に保管していた鉱石を一日で消化し切るのは私でも無理です。倉庫の半分を占める程の量があったというのに、根こそぎ奪われたかのようにすっからかんになっています。一体何が……?

 

 そう思った矢先、倉庫の中心にぽつんと一つだけ残されている鉱石を見つけ──それが妙に存在感があると気づいたのはこの時でした。

 近づいてみればその存在感は増していき──そして、その鉱石に触れると()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「まさか……ね?」

 

 念の為に〈道具上位鑑定(オール・アプレイザル・マジックアイテム)〉を使用し、これが何なのかを鑑定すると──

 

 

 

 

 

 

熱素石(カロリックストーン) 世界級(ワールド)アイテム

 

 

 

 

 

 

 

 ……ええ?(困惑)

 これ世界級アイテムなの?なんだか有り難みもクソもない気がす──いやいや、どう考えても嬉しいんですよ?ただ現実を理解できないというかなんというか。

 確かこの熱素石の入手方法ってユグドラシルの超希少鉱石を大量に保有して、一定数消費したら入手出来るとかじゃなかったかな?

 そうなるとこれがここにあるのはおかしいんですけど……まさかですけど、ユグドラシルとは入手方法が違うか変わったのかな……?

 というかこれどうしよう……。ツアーにバレると厄介なことになるのは違いありませんし。

 

 

「……とりあえず、隠し持っておくことにしましょう」

 

 世界級アイテムであることには変わりないので、持っておくに限ります。

 これで法国の世界級アイテムも始原の魔法も警戒度がグッと下がりますから。

 とはいえ……根こそぎ鉱石が失くなった件、どう報告すればいいでしょうか?

 

 

 この後、めちゃくちゃ怒られました。 ラナーに。

 しばらくは補填するためにツアーにもっと鉱石を頼むのと同時に、ツアーの抜け落ちた鱗だとか爪を要求しつつ、私は私で評議国から幾らか鉱石を枯渇しない範囲で盗く──拝借してくることでことなきを得ました。

 ツアーには事後報告しましたが、その程度ならまあ……と目溢ししてもらったので万事解決ですね。

 なお、鱗や爪なんかは今後生え変わることがあれば譲ってもらえるそうなので、今後は竜王の素材で出来た武具も作れそうで楽しみが増えましたね。

 

 そうして、しばらくの間平和なひと時が過ぎていきました。

 

 

 

 

 

 

 

* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚ ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚* ੈ✩‧₊˚*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして、前日譚は終わり物語は幕を開ける。

 

 

「素晴らしい──素晴らしいぞ!守護者たちよ! お前たちならば私の目的を理解し、失態なくことを運べると今この瞬間、強く確信した!」

 

 かつての仲間が去り、『YGGDRASIL(ユグドラシル)』のサービス終了と共にギルド拠点(ホーム)ナザリック地下大墳墓と共に転移した鈴木悟ことモモンガは、かつての仲間の面影を残した──作り上げたNPCたちが自由に動き出した。

 

(過去の遺物などではない……皆がここにいる……。

 皆の想いの結晶は──今もなおここにある!!)

 

 骨の顔は変わることはないが、眼窩に宿る輝きは綺麗な赤みを強く宿していた。

 そうして、各階層守護者たちから異常がないかを聴取し──

 

「モモンガ様、至急お知らせしたいことが」

 

 セバスが小走りで向かって来る。姿を見せたセバスはモモンガの元まで来ると、他の守護者と同様に片膝をつき跪く。

 

「どうしたセバス。周囲の状況以外にも何か異常があったのか?」

 

「はい、実は──侵入者と思わしき人物がナザリック地下大墳墓の正面におりまして。

 ただ、こちらに敵意はないようでこの地の支配者であられるモモンガ様と話したいと……」

 

 

 

「……………………え?」

 

 

 

 

 どうやらモモンガの異世界生活は波乱から始まるらしい。

 

 





熱素石(カロリックストーン)
世界級(ワールド)アイテム。原作での入手方法は七色鉱を大量に集め、それら全種を一定量消費することで入手可能だったが、この世界では入手方法が変わったという設定。
入手条件はこの世界で採掘される多種多様な鉱石を集め消費することに変更されている。
一見容易に見えるものの、消費量がとんでもない量になっている。具体的には初めてプレイヤーがこの世界に降臨してから誰一人として入手することが叶わなかったことから、その難易度は計り知れない。
これをアレーティアが入手出来た理由は、簡単に言えば漁夫の利。
六百年で消費された鉱石量に加えて、アレーティアが鍛治で鉱石を大量消費したこととドワーフを含む鍛治師が一気に増えたことで消費量が一気に増大し、ようやく消費量が入手条件に達した。
後はアレーティアがツアーから得た鉱石に加えて、元々保有していた鉱石が必要量に達した為、熱素石へと変化した……というのが真相。
余談ではあるがアレーティアはアゼルリシア山脈と旧王都周辺の鉱山は一部を除きタレントで掘り尽くしてしまっているため、鉱石の入手に少しばかり手間取ってしまっている。その内、スレイン法国へ不法侵入して掘り尽くしてやろうと検討中だとか。

プレイヤーが熱素石を入手出来なかった&入手できない理由
『アダマンタイトが最高? ユグドラシルの鉱石の方がレア度高いし、そんなの使わんわwww』
『七色鉱じゃないと熱素石は手に入らないしな……アダマンタイトはこの世界だとレアだけど、うーん……』
大体こんな感じ?


アレーティア
初めての挫折を味わい、初めての世界級アイテムを入手する。
現状、熱素石の使い道は世界の加護を得る程度に留まっている。というより、熱素石を使ったアイテムを作るにしろ、それに見合ったレア度の素材がないため加護を得るぐらいしか用途がない。
ハムスケは癒し。

ジルクニフ
とんでもない厄ネタをぶん投げられた上、当の本人が別のことに夢中になってしまったため法国との会談の話が出来なかった。
なお、法国には暗に粛清騎士を動かせた言われたので、適当に検討すると告げた上で逆にカジットとクレマンティーヌと言う手札を使ってズーラーノーンを掃討してこいとあしらった。

スレイン法国
実は国民が亜人やモンスターと共存しつつあるエ・ランテルに対して良い感情を持っておらず、不穏な空気が漂っている。
首脳陣は一応抗議の声明を出してはいるものの、粛清騎士を怒らせる事態だけは避けようとしている。

森の賢王
ジャンガリアン・ハムスター。トブの大森林におけるモンスター狩りを担っている。アレーティアの癒し。
地味に原作より強くなっている。フルアーマーガゼフに勝てる。

ツアー
早速振り回されている。物資的なアレで。
ついでに爪やら鱗まで寄越せと言われた彼の心境を答えよ。
【解答例】
自分に置き換えて髪の毛やら皮膚をくれって言われたらどう思う?それと同じだよ。

なお熱素石のことは何も知らされていない。知ったら尚更アレーティアが手放せなくなる。



これにて、原作前完結です。
ようやく原作合流です。長かった……!
もうちょっと色々書けたんですけど、長すぎるのもあれなのでカットしました。
総UA数も遂に90万突破!100万まで後少しですね!
ありがとうございます!

これからも拙作をどうぞよろしくお願いします。

【番外編】もしもアレーティアの見た目が至高の四十一人の妹君と瓜二つだったらの続きは

  • このままこの作品の合間合間に更新でいい。
  • 別枠で投稿して欲しい。
  • それより他の番外編読みたい。
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