転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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なんと!二周年です!
いつも読んでくださり、ありがとうございます!

連載予定のIFアレーティアの続編……短話を一つ記念に投稿します!
どうぞ、お楽しみください!


【二周年記念番外編】もしもアレーティアの見た目が至高の四十一人の妹君と瓜二つだったら②

 

 

 

「はふぅ……」

 

 ああ~、いい気持ちです。日頃の疲れが取れるというか、心が洗われるというか……。 そんなリラックス状態の私、アレーティアは今ナザリック地下大墳墓第九階層ロイヤルスイートにある『スパリゾートナザリック』にて絶賛入浴中です。

 私の母が至高の四十一人のひとりである“やまいこ”さんのリアル妹の“あけみちゃん”と判明してから私はナザリックの一員に迎え入れられました。 この世界で百年近く生きていますが、百年前の私に「この先の未来でお前はアインズ・ウール・ゴウンのメンバーになるよ!」と言っても信じられないでしょう。

 

「お湯加減はいかがですかアレーティア様?」

 

 声のする方へと顔を向ければそこには戦闘メイドプレアデスの長女ユリ・アルファの姿がありました。なお、ここは浴場なので当然ユリも一糸纏わぬ姿──タオルで大事なところは隠している──になっています。こうしてみると抜群のプロポーションですね。至高の御方に創造されたNPCなんで当然ですが。ちなみに眼鏡は着けたままです。曇らないのかなと思いましたが、多分そういうのはどうにかなるマジックアイテムなんでしょう。

 余談ですが、私がナザリックに滞在している間は専属の護衛としてプレアデスの誰かが常に控えてくれることになっています。ただ、創造者のこともあって気を使ってくれているのかユリが就いてくれることが多いです。

 

「最高だよ。 これでもアダマンタイト級冒険者なので高級宿や王宮の浴場を使ったことはあるけど、この場所には敵わないね」

 

 ちなみに私が入浴しているのはゆず風呂です。この浮かべてあるゆずもナザリッククオリティなのできっと高級なものなのでしょう。香る匂いが心地よいですね。

 

「そうだ、折角だからユリの背中も流してあげる」

 

「ええっ!? ボ、ボクの……んんっ、私の背中をアレーティア様が!? そんな恐れ多い……!!」

 

「様はつけなくていいって言ってるのに……」

 

「いえ、やまいこ様の妹君であらせられるあけみ様の御息女でいらっしゃるアレーティア様をそんな呼び捨てだなんて……!」

 

 気にしなくてもいいのにと思っていますが、これがNPCの創造者の親族に対するリスペクトだとすると否定していいものではないのかもしれません。 ちなみにルプスレギナは性格からか割とすぐ呼び捨てで気安い関係になりました。

 後はシズから一円のシールをおでこに貼られたことがありましたね。場所が場所だけにちょっと恥ずかしくて剥がそうとしたら剥がれなかったんで、シールはがし的なもので剥がしてもらってから別の場所に貼ってもらいました。 この一円シールって原作にも何か出てきていた気がするんですけど、原作を読んだのがもう百年以上前になるので覚えていません。

 そういえば創造者関係で言えば私とユリの関係ってどうなるんでしょう?

 

「……それを言うとやまいこさんは私からすると伯母に当たるのかな? そうなるとやまいこさんに創造されたユリは実質娘であって、私とは従姉妹ってことに──」

 

「いッ、従姉妹!? そんな私がやまいこ様の娘だなんて」

 

()()()()()()も自分が創造したパンドラズ・アクターを私の子だって言っていたから間違いないと思うよ」

 

 私は至高の御方捜索チームの実働隊を任されていて、補佐としてアルベドとパンドラズ・アクターが就いています。顔合わせの際にモモンガさんがあまりの羞恥に何度も精神を抑制されている姿を見て、前世でこんなシーン見たなぁと感慨深く思いましたね。その時に「私はお前を私の子のようなものだと思っている。だから、同じあけみちゃんの子であるアレーティアを助けてやってほしい」とか言ってくれたんで、パンドラズ・アクターとは割と良い関係を築けています。この世界のマジックアイテムを持っていって解説するとすごく楽しげにしてくれるので持って行き甲斐がありましたね。

 

「ア、アインズ様がそんなことを仰っていたのですね」

 

「そう、だから私としてはもっとユリと仲良くしたいなって。 ……ダメかな?」

 

 あざとく上目遣いでユリをジッと見つめ続けると、意を決した顔をして向き直ってくれました。これは落ちたな。 後多分ゴリ押せばユリは割とあっさり折れてくれるかもしれません。

 

「……分かりました。アレーティ──」

 

「あ、どうせだったらアリィって呼んでよ。 お父さんや親しい友人たちからはそう呼ばれてたから」

 

 ルプスレギナのこともルプーって呼んでた……よね確か? ならこれぐらいハードルは低いはず。押せ押せ押せぇッ!

 

「ア、アリィ……」

 

 ──勝ったな。風呂入って──もう入ってましたね。そりゃあ勝ちますわ。

 というか頬を赤らめるユリが可愛い!

 

「よく言えました。 じゃあ、そこ座って。洗ってあげるから」

 

「えっ!? そ、それとこれとは──」

 

「ほら! 遠慮しないで!」

 

 

 この後互いに体を流しっこしました。

 

 

 

 ○

 

 ○

 

 ○

 

 

 

 そんなことがあってから数日後、アウラに誘われて第六階層でとある実験に協力することになりました。

 

「あっ!来た来た! アレーティア!」

 

「こんにちは、アウラ。 それに、アルベドとシャルティアも一緒だったんですか」

 

 この場には完全武装しているアルベドといつもの格好のシャルティアとアウラ、私にシズと女性だけのメンバーが勢ぞろいしています。 なんかこの光景どこかで見たことがあるような……。

 

「おや、アレーティアも呼びんしたんか?」

 

「そりゃあ、アルベドの特殊技能(スキル)の実験だし、同じチームで働く仲なんだから知っておいた方がいいでしょ? それに私もアレーティアの召喚する騎獣がどんなものか気になってるしね」

 

「私の騎獣ですか?」

 

 私はこの世界で唯一ソロで活動しているアダマンタイト級冒険者ですが、ぼっちというわけではありません。別の冒険者チームと組んで依頼を受けることもありますし、冒険者たちを引率して育てるなんてこともしていたりします。決してぼっちではないんです。信じてください。

 そんな私ソロで活動できる理由は母あけみが残してくれたアイテムの中に〈騎獣の手綱〉というマジックアイテムがあったから。母が昔使っていたもので、移動に便利だと時折使用していたらしいです。 私がまだ一緒に暮らしていた頃はお母さんが召喚した大きなライオンに親子で乗ってピクニックをしたことを覚えています。これをきっかけにお母さんから召喚魔法を学び、今に至ります。

 ちなみにお母さんは料理が下手だったらしく、その手の作業はお父さんが担当していました。

 

「私が召喚できるのは一角獣(ユニコーン)天馬(ペガサス)ですね。 後、位階魔法なら霊角獣や天狼なんかを召喚出来ます」

 

 といっても、どれもレベル的に言えばナザリック基準だと弱めの部類でしょうけど……。

 

「へぇ~! 後で見せてよ!!」

 

「いいよ。 でもその前にその実験というのを終わらせてからね」

 

「では──来なさい、私の騎獣」

 

 アルベドが召喚したのは全身武装して鞍や手綱までついた双角獣(バイコーン)。大きさは私の一角獣と同じぐらいですね。でもその迫力は私の一角獣を遥かに上回っています。確かレベル百でしたっけね?

 

「おお! 普通の双角獣とは違う! 角が立派だし身体も引き締まっているね」

 

「そうよ。 私の能力に合わせて強化されているこれは戦用双角獣王(ウォーバイコーンロード)とも言うべき存在。 ……実際は双角獣百レベルともいうべきものなんですけどね」

 

「翼が無いから飛べはしない……いや、空を駆けたりすることは出来るんですか?」

 

「いや、それは無理だわ。基本的な能力は双角獣と何も違わないの。特殊能力が増えたわけではなく、体力や筋力、敏捷性が強大化したに過ぎないわ」

 

 それでも十分強いんですよね……。私でも勝てません。

 

「やっぱり、ライダー系の特殊技能とかがないと騎獣強化は無理かー。 アレーティアはライダー系の特殊技能持ってそうだけど、双角獣はアルベドの騎獣だからねー」

 

「ところで皆さんは自分がどんな職業(クラス)を持っているか把握しているんですか?」

 

「そりゃあそうでしょ。 私たちは至高の御方たちに創造されたんだから……って、もしかしてアレーティアは知らないの?」

 

「私はそういうことは一切知らないまま生きてきたんで……お母さんも一言もそういうことを口にしなかったし。 多分、あなたたちと違って私はこの世界で生まれたからユグドラシルのようにはいかなかったんじゃないかな? それに創造と誕生は違うものだし」

 

 NPCはプレイヤーに設定とを与えられこうあれと生み出されたのに対して、私は両親の愛によって育まれて生まれた存在です。産まれ方が違うんですから常識も違って当たり前ですよね。

 

「まあ、私も出来ることは分かっているので、そこから皆さんの知識を借りられればどんな職業を持っているか推測できるんじゃないかな? それにモモ──アインズ様ならそういった事にも詳しいでしょうし」

 

 思わずモモンガと口にしようとしたらアルベドから凄まじいプレッシャーを感じたので即座に言い直して正解でした。 モモンガガチ勢に目をつけられたくない!アニメのEDでヤンデレだっていうのだけは覚えているんですッ!! 下手するとラナー並みのヤンデレでしょう!?絶対回避しないと!

 

「そうでありんすね。 この実験が終わり次第、私たちでもアレーティアの調査に協力してあげんしょう」

 

 シャルティアの言葉と共にアウラとアルベドも首を縦に振って同意してくれました。

 

「皆さんありがとうございます」

 

「いいっていいって。 そういえばこの子はなんて名前なの?」

 

「なんてって……双角獣よ?」

 

「違う違う、アウラが言いたいのは種族名じゃなくて個体名のことだよ。 一応私は一角獣はユニ、天馬はクロフォードって呼んでるよ」

 

 一角獣は安直につけた呼び名ですけど、天馬はもうこれしかないって感じでつけたんですよね。二匹とも嫌がらず普通に受け入れてくれましたし、悪くない名前でしょう。

 

「ああ、そういうこと。 でも召喚されたものって毎回同じものなのかしら?」

 

「あー、そこまで考えたことはなかったな。 お母さんも普通にライオン召喚してたし、関係も良好そうだったから同じか記憶を引き継いだ別個体なのかもしれないね」

 

「そういうことなら恐怖公に聞いてみたら?あれは同族の──はっ!?」

 

 恐怖公……ゴキブリ……うっ、頭が……なんか気分が悪くなってきた……。

 

「シャルティア! この馬鹿!その話はアレーティアの前ではしないってことになってたでしょう!!」

 

「つ、ついうっかり! ああアレーティア、すまないでありんす!」

 

 ああ、なんか前世でも見た黒い影の大群がこっちに向かってくる!? 王冠を被った一際大きいソレが私に向かってくる幻覚が──!!

 

「と、とりあえず精神を落ち着かせる吐息を吐くよ? ふぅー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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アウラが頑張ってふぅーふぅーしているので

しばらくお待ちください

 

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「……はっ! あれ、私寝てました!?」

 

 あれ?さっきまで召喚された騎獣が同一個体かどうかを話し合っていたはずなのに、その直後の記憶がありません。一体何が……?

 

「シャルティアがうっかり魅了の魔眼を発動させちゃって、それを解除したから寝てたと勘違いしてるんだよ」

 

「ご、ごめんなさいねアレーティア。 わらわがうっかりしていたせいで……あはははは」

 

「そうなんですか? まあ見ての通り無事ですし気にしないでください」

 

 シャルティアがうっかり魅了の魔眼を使ってしまう状況って一体……。 もしかして狙われてる!?高レベルの精神防御系のマジックアイテムは持っていないから後でモモンガさんに相談してみよう。このままじゃ美味しく頂かれてしまうかもしれないし。

 

「なんとか誤魔化せたでありんす」

「アインズ様が記憶を消したっておっしゃられてたけど、やっぱりトラウマになっているみたいね」

「恐怖公でこれなんだから、絶対に餓食狐蟲王のところには行かせないようにしないと」

 

 なんかひそひそと三人で話し合ってますね。一体何の話をしているんでしょう?

 

「何かありましたか?」

 

「「「いいや、なにも?」」」

 

 それならいいんですけど。

 

「えーっと気を取り直して、アルベド。双角獣に乗ってみてよ」

 

「分かったわ」

 

 双角獣に跨ったアルベドでしたが……双角獣の様子がおかしいです。具体的に言うとガクガク震え始めて苦しんでいるような感じです。

 

「ど、どうしたの!?」

 

「ア、アルベドとりあえず降りなよ」

 

「え、ええ」

 

 アルベドが背から降りたと同時に双角獣は息を荒らげて座り込んでしまいました。 …あれ?確か双角獣って私の一角獣と逆で……。

 

「一体どうしたんだろう?」

 

「アルベド、重くなりんしたんではない?」

 

「失礼ね! 筋肉多めであることも考慮した適正体重の範囲内に収まっているわ!」

 

 食い気味に否定してました。そりゃあ、女性同士でも体重の話はNGですよね。前世の男だったころなら何とも思わなかったでしょうけど、今の私なら聞かれたら怒る自信があります。 百年も女やってれば性自認も女になるんですよ。

 

「一体どうしたんだろう?」

 

「どうしたのかしら」

 

「あー……」

 

「アレーティア、何か知ってるの?」

 

「いえ、心当たりがありまして……〈騎獣召喚〉」

 

 召喚したのは一角獣。アルベドの双角獣のように武装はしていませんが、頼れる私の相棒です。

 

「おお! 毛並みが綺麗な一角獣だね!」

 

「ええ、私が頼りにしている相棒ですよ。 アルベド、試しに私の一角獣に乗ってみてもらっても?」

 

「それは双角獣がこんなことになったことに関係しているの?」

 

「ええ、多分乗ってもらえれば全て分かると思います」

 

「それならいいわ。 じゃあ早速」

 

 するとあっさり一角獣に乗ることが出来たアルベド。 一角獣はご機嫌な様子です。多分私が乗っている間もこんな感じなんでしょうね。

 ……でも心なしか足元がふらふらしている気が?気のせいだといいんですけど。

 

「乗ったけどこれで何かわかったの?」

 

「ええ──アルベドが処女ということが分かりました

 

 瞬間、この場の空気が凍り付きました。 そりゃあ、この状況で処女暴露されると誰も思わなかったでしょうね。

 

「そ、それがどうし──」

 

「一角獣は純潔を司る獣で、清らかな乙女しかその背に乗せないんです。 対して、双角獣は清らかな乙女をその背に乗せることは決してないという話がありまして……」

 

「……ホ、ホントでありんす。 このエンサイクロペディアバイペロロンチーノ様にもそう書いてありんす」

 

 いつの間にか取り出した百科事典を手に取ったシャルティアからトドメの一言。すっごい気まずい雰囲気。誰か助けて。

 

「「ええええええええっ!?」」

 

「どういう意味よ!?」

 

「だ、だってアルベドってサキュバスだよね!?」

 

「サキュバス、サキュバス……」

 

「ええそうよ! 男性経験が無くてごめんなさいね! でも仕方ないじゃない! 私は守護者統括としてずっと玉座の間に詰めていたのよ!誰かと会うのだってほとんどなかったんだから! 大体アインズ様は私のことを全然ベッドに呼んでくれないし……アインズ様以外の男なんてまっぴらごめんだし……。 そういうシャルティア、あなたはどうなの!?」

 

「ど、同性経験なら……」

 

 ああ、配下の吸血鬼ですね。あれ愛妾だからそういう相手に使ってるんですね。アウラもそれに気づいて「うわーっ」と引いた声を出してます。私も正直配下とよろしくやってるのは如何なものかと……でもそういう光景を望んだのはペロロンチーノさんだろうし……うん、全部ペロロンチーノさんが悪いということにしよう。必死に弁明しようとしているシャルティアを遠い目で見つめながらそう思ったのでした。

 

 

 

「原因は分かったけれど、ありえないでしょう。 何よこれ」

 

「アルベドの能力が一部封じられているようなものだしね。 でも、アレーティアと一緒なら問題ないんじゃない?一角獣には乗れるんだし」

 

「……そうね。アレーティアには悪いけれど一角獣を私が借りて、もう一体別の──きゃあ!?」

 

「ユ、ユニコォォォォォンッ!!?」

 

 なんと、アルベドを乗せていた一角獣が「すまん、もう限界……!」という思念を私に送った後に崩れ落ちました。アルベドも想定外の出来事に対応できず、落馬してしまいました。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「今度は何よ!? 今の今まで乗れていたじゃない!!」

 

「やっぱりアルベドの体重が重いから一角獣が耐えられなかったのではありんせんか?」

 

「いい加減にしなさいシャルティア!! さっきも言ったけど私の体重は適正範囲内に収めてあるわ!」

 

「いや、でも結果は……ねえ?」

 

 流石に可哀想なのでフォローするとしましょう。場合によっては殺し合いもあり得るので。

 

「多分一角獣が原因です。 アルベドの双角獣はレベル百なので問題なかったけど、私の一角獣はそこまでレベルが高くないのでアルベドの乗せ続けられるほど能力がなかったんだと思う」

 

「ああー、そういうことね。 じゃあ、一角獣をアレーティアから借りるっていうのはダメだね。他のを召喚する方法とか……」

 

「マジックアイテムだと特殊技能での召喚よりも一回多くの手番を使ってしまうし……ああ、それはアレーティアに与えればいいかしら?」

 

「それはいいかもしれないね! アレーティアの強化にもつながるし、アインズ様に報告を──」

 

「そうよ! アインズ様にご協力を仰げばいいのよ!」

 

「ずるいでありんす!」

 

 ──と、アルベドとシャルティアの不毛な争いが始まり、アウラと私で諫めることになりました。 ちょっと大変でした。

 

 アルベドの双角獣は一先ずそのままということで落ち着きました。

 その後は私の召喚出来る騎獣を披露して、私の戦い方や武技、特殊技能、魔法の確認をし、各々からアドバイスを貰い──気がつけば日が暮れる頃になりました。

 

「もうこんな時間か。 皆この後どうする?」

 

「そうでありんすね……結構動いて汗もかきんしたし。 そういえば第九階層にスパリゾートがあると聞いたことがありんす。皆で入りに行く、というのはどうでありんすかえ?」

 

「それはいい……ですね……。 疲れた体を癒すにはお風呂が一番です」

 

 レベル百の守護者三人にしごかれた私はボロボロのヘトヘトです。ヘロヘロとまではいきませんが、この百年で感じたことがないぐらいの疲労感に襲われています。 こんな時は風呂に入ってサッパリするに限ります。

 

「そうね。 じゃあ皆でスパリゾートへ向かいましょう」

 

 

 

 ○

 

 ○

 

 ○

 

 

 

 そんなこんなでやってきましたスパリゾートナザリック! この前はユリと二人で入りましたけど、今回は四人という大所帯。折角四人で入るので大きめのお風呂がいいかもしれません。なので選んだのはジャングル風呂。ここは露天風呂とは違った感じがして結構好きです。第六階層にある感じの秘湯って感じがするんですよね。

 

 

「おお~私のお風呂より広いでありんすね」

 

「このスパリゾートナザリックの中では一番大きいお風呂だからね。 他にも男女混浴の露天風呂やゆず風呂、ジェットバスや電気風呂もあって──」

 

「……アレーティア、あなた随分ここに詳しいのね?」

 

「そりゃあ、ナザリックにいる間は毎日入っているからね。 一応全風呂入浴コンプリートしたよ。この前はユリとも一緒に入ったし」

 

 某ネコ型ロボットが出てくる女の子程ではないが、入浴は好きだ。 しかもこんな多種多様な豪華な風呂にタダで入れるのだから利用しない手はない。

 王宮の浴場を使わせてもらったこともありましたけど、あそこは気が休まらなかったんですよね。具体的にはお姫様の視線が気になって。

 

「ねえアレーティア、良ければ次は私の風呂に来ない?ユリも連れて」

 

「シャルティア……アンタさぁ」

 

「べ、別に他意はないのよ!? ただ私は誘っているだけで!」

 

 あー、さっき死んでる(アンデッド)のが好みって言ってましたもんね。ユリはああ見えてアンデッド、首無し騎士(デュラハン)なのでシャルティアの好みのドストレートなんですね。下心丸出しじゃないか。

 

「あー、考えておきますね。 あ、折角だからアウラ背中流すよ?」

 

「本当?じゃあ次は私がアレーティアの背中を流すよ」

 

 そんな感じでアウラと体を流しあいました。

 

「思ったんだけどアレーティアって結構発育がいいよね? まだ百歳ぐらいなんでしょ?」

 

「自分ではそう思ったことはないんだよね。 実のところ私以外の同年代のエルフと会ったことが無いから発育に関してはどうなんだろう?」

 

 ちなみに私の発育具合は結構いい方です。出るところはそれなりに出て、引っ込むところは程よく引き締められています。アスリートボディとでも言えばいいのでしょうか?一応まだ身長が伸びているので成長途中だとは思いますけど。

 

「へぇ~、私も七十六歳だけどアレーティアと同い年ぐらいになればそれぐらいになるのかな?」

 

「なるんじゃないかな? もしかしたら最古図書館(アッシュールバニパル)にエルフについて詳しい本が置いてあるかもしれないし、今度探してみようか?」

 

 ユグドラシルのエルフではない別媒体のエルフの本とかありそうだけど、あの図書館は結構楽しい場所です。 前世の世界では見られないタイプの本や漫画なんかが置かれているので暇つぶしには困らないんですよね。 この前は至高の御方の一人のホワイトブリムさんが描いたであろうイラストの画集が見つかり、それを見たモモンガさんが懐かしげにしていたなんてことがありました。

 

「いいの? でも折角ならマーレも誘って探した方が効率がいいんじゃない?」

 

「マーレが良ければそれでもいいよ。 ただ無理やり連れてくるのはやめてあげてね?可哀想だから」

 

 マーレもアウラには逆らえないからね。ペロロンチーノさんがぶくぶく茶釜さんに逆らえないのと同じで。

 

「大丈夫、大丈夫。マーレもアレーティアのこと嫌いじゃないから、きっと来るよ」

 

「じゃあ、日取りはまた改めて決めようか。 ……はい、これでばっちり。綺麗になったよ」

 

「ん~ありがとう! じゃあ今度は私の番だね」

 

「はい、じゃあよろしくお願いしま~す」

 

「まっかせて~! おりゃ~!!」

 

「あははははっ! アウラくすぐったいよ~!」

 

 この後滅茶苦茶洗われた。

 

 

 

 

 

 体を流し終えたら入浴。いつもながら思わず声が出てしまいます。

 

「はふぅ……」

 

「ああ~良い気持ち」

 

「私もこれからもここに来ようかしら。 私は身体が大きいから洗うのが大変だし」

 

「ん? アルベドは身長高めではあるけど翼とか洗うのが大変なの?」

 

「違うでありんすよアレーティア。 今のアルベドは言うなれば人型形態。真の姿は大口ゴリラでありんすの」

 

「なによ、あなただって真の姿はヤツメウナギでしょうが」

 

「あんたたちこんな所でまで争うのはやめなよ……」

 

 ヤツメウナギと聞いておぼろげだった記憶からシャルティアの真の姿を思い出して、アルベドもああいう姿があるのかと納得しました。 そりゃあナザリックだし、クトゥルフ神話なんかを含んでいるならまあそれはきっとおぞましい姿なんでしょうね。大口ゴリラというぐらいですから。 なのでその姿は出来ることなら見たくありませんね。綺麗なものだけ見ていたいです。

 

「ああ、隣の男湯にアインズ様がいらっしゃれば……覗き穴とかないかしら?」

 

「それって普通逆じゃないの?」

 

「そんなことしなくてもアインズ様が見せろと命じればいいわけでありんすから」

 

「私も見てもらいたいけれど、それはそれとしてアインズ様の裸を見たいの!」

 

「そんな大声で言うこと……?」

 

 まあ、裸の付き合いだからこそ言えることがあったりするわけで……あ、そうだ。

 

「ねえアルベド、一つ提案があるんだけど」

 

「提案? 一体何の──」

 

「アインズ様と合法的に混浴できる案なんだけど──」

 

「「詳しく聞かせて(ほしいでありんす)」」

 

 おお、二人の剣幕がすごい……! アウラ助けて!目が血走ってて怖いの!!

 

「ほら二人とも落ち着いて! というかアレーティアもそんなこと言いだすなんて」

 

「いや、私は他の守護者の方々とも親睦を深めたいと思ったのでいいかなーって」

 

「で、どんな内容なの?」

 

「ええ、混浴と言うとやましい考えをするかもしれませんが、要はそうならなければいい訳で。 全員水着着用で入浴すれば性別の垣根を越えて入浴を楽しめるのでは? それに風呂に入ることで解放感があるのもまた事実。日頃の疲れを癒しつつ、語らって互いに労いあう……というのはどうです?」

 

「……一理あるわ。アレーティア、後で草案をまとめて私に提出して頂戴。必ず形にしてみせるわ」

 

「分かりました。 じゃあこの話はここまでにして、お風呂を楽しみましょうか」

 

 

 こうしてしばらく入浴を楽しんだ後はリラクゼーション施設でマッサージを受けたり、何故かある卓球でボコボコにされたり、解散した後はアウラとマーレの住処で三人で各々の思い出話で盛り上がったりしました。 また一つお母さんに再会したら話す話が増えたなと思い、この日は泊まりアウラとマーレとで川の字になって眠りました。

 

 

 

 

 

 

 

 余談ですが、アインズ様とナザリック守護者+私で水着入浴慰安会が行われることが決まりました。アルベドの仕事が早すぎる……!!

 

 

 





アレーティア
スパリゾートナザリックの常連。全風呂を網羅している。
ユリと従姉妹ということは実質プレアデスとも従姉妹になるってこと!?と後から気づく。
ナザリックで様付けされて呼ばれるのが慣れずに、自分から対等でいいから呼び捨てで構わないと守護者に宣言している。なので気安く接し合っている。
プレアデスとの関係はかなり良好。仲がいい順番ならユリ、シズ、ルプスレギナ、ソリュシャン、ナーベ、エントマになる。オーレオールとは会ったことがない。
実はエントマが苦手。理由は良かれと思ったエントマにサプライズで黒棺(ブラックカプセル)に連れてこられたから。アレは流石に無理と気を失ってエントマと恐怖公の手で搬送された。
それを知った守護者たち+アインズ様は流石に不憫に思ったのかそのことを絶対に口外しないようにしているし、アインズ様が記憶操作でその記憶を消している。しかし、トラウマになってしまったため、恐怖公、G、エントマのおやつという話題が出ると精神が不安定になる。

ユリ・アルファ
アレーティアの従姉妹にあたる。とっても仲良し。ここにペストーニャとアウラが加わるとかつての女性メンバーの様な語らいが見られるモモンガにとっての清涼剤になる。

エントマ
アレーティアと仲良くなりたくて、自分のお気に入りの場所にサプライズで連れて行った結果、トラウマを植え付けてしまった。当然、ユリに怒られた。それ以来、アレーティアに不快な思いをさせないようある程度の距離を保っている。

アルベド
アレーティアに色々と思うところありだが表には出さない。
一応、真の姿を知らないアレーティアに配慮して普段の姿でいる。真の姿は大口ゴリラ。
混浴のため、アインズ様の水着姿を見るために爆速で草案を仕上げた。欲望に忠実なのはサキュバスゆえか。

シャルティア
ユリのことがタイプ。真の姿はヤツメウナギ。

アウラ
皆の良心。守護者の中では一番アレーティアと仲がいい。
一番アレーティアの強化に向けて色々アドバイスしてるし、ぶくぶく茶釜から与えられたアイテムを貸し与えたりしている。
ふぅーふぅーしているのはアウラの特殊技能。決してASMRではない。それはそれで需要がありそうだけど。




ここまで読んでくださりありがとうございます。
三年目もよろしくお願いします。
お風呂回、もっと叡智にしたかったんですけど私には無理でした。まあ、そういう作品じゃないんでね。雰囲気で楽しんでください。
なお前回アンケートで多かったナザリック不在泡沫の夢は本編が終わり次第投稿予定です。

今回のアンケートもかなり接戦で面白かったですね。締め切らせていただいたので、続きを楽しみにお待ちください。


感想、高評価よろしくお願いします!

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