転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
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前世含めれば二度死んだ私は改めて思う。死にたくない、と。
だからこそ、目の前の脅威──腹違いの姉である
もう殺さないなんて甘いことは言わない。
──確実に殺す。これぐらいの気概でいかないとダメだ。ザイトルクワエの時も無意識に負けないなんていう油断があったから死にかけたのだから。
ナザリックに手を隠すなんてことも考えない。もう持てる全てをぶつけるぐらいのことをして確実に、安全に、圧倒的に勝つ。
幸いというかなんというか、復活した際に消えたバフは
でも、まだ安心できない。
「〈
あのクソ親父から習った第十位階魔法を発動。魔力消費は大きいけれど、この魔法ならさっきの様な
「お姉ちゃん、行くよ──〈
宣言と共にスキルを発動。長らく出番がなかった
〈
「モンスター……いや、精霊の召喚? エルフ王は土の精霊、
「ああ、ニグンからの報告ですかね?確かに水の精霊も召喚出来ますけど──あれらとはこの根源の星霊は格が違いますから、ご覚悟を」
私の発言が終わると同時に根源の星霊が光りの如き速さで──スキルによる光速移動──でお姉ちゃんへと急接近。そのまま出現させた光の剣でお姉ちゃんへと斬りかかります。
「──!?」
お姉ちゃんも反応できなかったのか袈裟斬りをまともに受けてしまったようです。
根源の星霊は近距離、中距離、遠距離全てをこなすことが出来る精霊系モンスターです。しかもどれもが高威力。
かつて私が初めて根源の星霊を召喚し、制御できなかった時にクソ親父とベヒーモスが満身創痍になりながら倒したのはよく覚えています。
そんな根源の星霊相手にお姉ちゃんはどう立ち回るでしょう?
「まあ、私もいるんですけ──どッ!」
今度は私が入れ替わるようにお姉ちゃんへと接近。
「武技〈超回避〉」
躱されてしまいました。流石に二度も受けるほど甘くはなかったようです。
ただ、こっちは二人掛かりということを忘れないでもらいたい。根源の星霊が〈
「……
武器たちを射出。次いで根源の星霊が再び光速でお姉ちゃんへと近づこうと──
「スパルティアト!」
再びアンデッドが五体召喚され、阻まれてしまいました。しかし、根源の星霊相手には敵にすらなりません。自身を中心に重力で攻撃する〈
すると、お姉ちゃんの身体が光り出し──二人になりました。これは!
「これで二対二」
〈
そうなると、清浄投擲槍や不浄衝撃盾も使え──いや、あれらは
恐らくあれらはシャルティアと同じ
エインヘリヤルが根源の星霊を攻撃し、それを後ろへの移動で回避した根源の星霊は一度私の前へと戻りました。
二人になったお姉ちゃんは隙無く構え──。
「そしてこれで──」
この時、私は信じられないものを見ました。
それは、再度お姉ちゃんの身体が発光し、
「三対二、数の不利は覆したわ」
〈死せる勇者の魂〉の二度目の使用──それもこの短時間で発動するのは不可能なはず。
しかし、先程発動した本来ならエクリプスを習得していないと使えないThe goal of all life is deathを発動した前例がある。つまり──
「さあ、今度はこっちから行くわよ」
お姉ちゃんたちが襲い掛かってくる。でも戦いながらの考察が必要だ。下手をするとお姉ちゃんは私以上の隠し玉があってもおかしくない。
本来発動できないスキルをここまで行使できるとなると、それはユグドラシルのシステムではなく──
「
それしか考えられない。私の一日三度願いを叶える能力とは違う、もっと強力な能力!
お姉ちゃんたちの攻撃を浮遊する武器で受け止め、弾きながら考察を続ける。
私の考察の妨げになると判断した根源の星霊が自傷覚悟の〈
「さっきより随分攻めに消極的じゃない? 精霊がいるから行動が制限されているのかしら?だとしたら召喚したのは悪手だったかもしれないわね」
「言ってくれる……ね!」
お姉ちゃんは魔法で受けた傷を癒しながら軽口を叩く。そして斬撃を二つ飛ばしながら一定距離を保つ。
斬撃は──おそらく〈空斬〉の上位武技──大剣で防ぎ、お返しに刀を操作し遠心力をつけて斬り払うように腕を振るう。その動きに刀が追従するように。
これはエインヘリヤルに阻まれたものの、傷は与えた。
ここで根源の星霊に一度仕切り直すために広範囲の魔法を放つよう指示する。 そうすると「待ってました!」と言わんばかりに魔法を行使。
……発動したのは〈
攻撃の規模に驚いたお姉ちゃんはエインヘリヤルと共に一時後退したようだった。飛来した隕石は再び法都を破壊する。同時に空を虫のように飛んでいた上位天使もそれに巻き込まれ消えていった。部下たちが巻き込まれていないことを願うばかりだ。
この隙に考察に戻る。お姉ちゃんの異能について。
もしかするとンフィーレアと似たような能力の可能性がある。ンフィーレアの異能は「あらゆるマジックアイテムの発動条件を無視して使用できる」というものだ。めっちゃ強い。
他の根拠として漆黒聖典はユグドラシルのマジックアイテムを装備している……という設定があったはず。そうなるとお姉ちゃん程になると六大神自身が装備していたマジックアイテムを装備している可能性が高い。
つまりもしもンフィーレアと同じような異能なら、六大神のマジックアイテム全てを扱えるということになるけど……それがThe goal of all life is deathや〈死せる勇者の魂〉の二度使用と結びつくとは思えない。
正直私程度の頭で考えたところで答えに辿り着くとは──あ。
「そうじゃん、
完全不可知化を行い、一時戦闘は根源の星霊に任せる。伝言板を取り出し掛ける相手は──
「もしもしラナー? 急ぎで悪いんだけどちょっと相手の能力考察に力を貸してくれない?」
○
○
○
「ありがとうラナー。 本当に助かった」
『いえ、今回はこの程度しか出来ませんので……。
無事に帰ってきてくださいね?』
「勿論、今後のこともあるし私は絶対死なないよ」
直近で一度死んでいるなんてとても言えません。
それにしてもラナーが何時になく協力的なのはどうしてでしょう? いつもは仕方ありませんね、って感じなのに。
まあ、何かしら心境の変化があったのか、それともアルベドとの間に何かを取り決めたのかもしれないので、あまり詮索するのはよしておきましょう。
兎にも角にもラナーほど頼りになる仲間はいませんね。あれだけの情報でお姉ちゃんの異能が「装備に宿る六大神の能力を呼び起こし行使できる」というものだと考察したのですから。
私だったらそんなこと思いつきもしませんでしたし、これ以上ないぐらい納得できる能力でした。
そうなればやることはひとつ。
お姉ちゃんの装備を全て解除──もしくは破壊します。
そうすればあの異能は脅威ではなくなりますから。
後は単純に何もさせずに殺すのが一番ですね。
「さあ、反撃開始と行きますか」
繋がりからして根源の星霊も流石に同格かそれ以上を三人相手にするのは厳しいようで、随分と体力を減らしている。
だが、十分注意を引き付けてくれているし、今の私は完全不可知状態だから奇襲も容易だろう。
根源の星霊にはエインヘリヤルをどうにか一体倒すよう指示を出し、私はお姉ちゃんへと向かう。
途中で〈
お姉ちゃんは私を警戒してか周囲を見渡しながら、隙をついて根源の星霊に遠距離攻撃を仕掛けている。
そんなお姉ちゃんに〈
『どこ見てるの? こっちこっち』
「──ッ!?」
よし、かかった。 いつぞややった「伝言メリーさんごっこ」が役に立ちました!
この世界で〈伝言〉の信用度が低くとも、突然聞こえる声に反応しない人なんていない。 そしてそれが最大の隙になる!
「〈星砕き〉ッ!!」
「なっ──ッ!?」
直撃。これ以上ないほど完璧にお姉ちゃんへ〈星砕き〉を決めることが出来ました。
〈完全不可知化〉を使っていたのもありますが、お姉ちゃんは防御すら出来ていなかったのでいつぞやのツアーのように、その破壊力を一身に受けることとなりました。
出来上がったクレーターの中心にお姉ちゃんが横たわっています。鎧は全体にヒビが入りもうまともに機能していないでしょう。兜に至っては半分壊れ、隠された顔が見えています。
ただ、こちらもそれなりの代償を払いました。そう、明けの明星が限界を迎えようとしています。
元々この〈星砕き〉を使うように作った明けの明星でしたが、この日だけでも既に三度それを放ち、最後に至ってはとある職業の能力で武器の耐久度を消費することで攻撃力を増加するスキルを使った影響もあり、明けの明星全体に亀裂が走ってしまっています。
「これはもう修繕しないとダメですね」
明けの明星を背部に格納し、虚空から新しい武器──大剣を取り出す。
余談ではありますが、この
なので、他の武器を使うということは同時に白金の竜鎧の機能を使わないということになりますが、
「ぐ……ぐぅ……ッ! 一体どこから……」
「よく〈星砕き〉をまともに受けて無事でいられましたね。
白金の鎧も半分消し飛ばすぐらいの威力なのに……。やっぱり、ユグドラシルで作られたか否かの差かな?」
「何を……言ってる!」
ボロボロになった身体を押して私に迫るお姉ちゃん。しかし、さっきよりも弱々しいのはダメージのせいでしょう。
だからといって、こちらも容赦しませんが。
──と、向こうも片が付いたようです。
エインヘリヤルの一体をどうにか根源の星霊が倒し、残りの一体もそれなりのダメージを与えて散ったようです。よくやってくれたと褒めてあげましょう。
残ったエインヘリヤルも合流し、お姉ちゃんの前衛を担うようです。その間に再びお姉ちゃんは傷を癒しているようですが、武装までは直せていません。
「さっきの一撃で私を倒しきれなかったのが運の尽き……ここからは私の──」
「悪いけどお姉ちゃん。私が勝つよ」
ここからはお姉ちゃんのターン、なんて言わせない。
油断なく再びスパルティアトと呼ばれたアンデッドを五体召喚しているお姉ちゃんだが、この大剣と武技の前には壁にすらならない。
「お姉ちゃんが勝ち誇れる理由はその異能のお陰でしょう?
──六大神の能力を呼び起こし行使する、それがお姉ちゃんの異能。違う?」
兜が半壊しているからお姉ちゃんの表情が丸分かりだ。不敵な笑みを浮かべているけど顔に「なんでバレた」と書いている。あまり腹芸──この場合は顔芸かな?──が得意じゃないようだった。
これでお姉ちゃんの異能は理解した。後は無力化した上で倒すだけ。
「もしそうだとしたらどうするの? まだ私には手札があるってことになるわよ」
「そう、まだお姉ちゃんには手札が残ってる。
だから──私の最強の剣と武技でその手札を捨ててもらいましょうか」
先ほど虚空から取り出した夜空を思わせる輝きを放つ黒い大剣を見せつけるように掲げる。私の自信作だ、存分に見て欲しい。
「この剣の名は星剣ゾディア。かつての十三英雄のひとり暗黒騎士が持っていたとされる四大暗黒剣のひとつを見て──オリジナルを超える程に鍛え上げた一振りです」
私は羨ましかった。ラキュースの持つ魔剣キリネイラムが。
あの木刀程度でいいならいくつ作ってでもいいのでキリネイラムと交換してほしかったのですが、残念ながらそれは叶わず。
なので、キリネイラムを模して、かつ私専用に作ったのがこの星剣ゾディアです。キリネイラムとは違い、魔力を込めればそれに呼応したルーン文字が星座のように剣身に浮かび組み合わさり様々な追加効果を得られるという剣です。
私の白金の竜鎧とは違う最高傑作のひとつ。この剣で放つ──否、この剣でしか使えない最強の武技でお姉ちゃんを今度こそ倒す。
「武技──」
剣を両手で掲げ、構える。ルーン文字が輝き周囲を照らす。
お姉ちゃんはエインヘリヤルとアンデッドを前衛にし、直撃を避けるように盾としての役割を設けていますが──それもこの武技の前では無駄です。
「──〈
武技の発動と同時に私はエインヘリヤルとアンデッド、そしてお姉ちゃんを置き去りに、剣を振り終わった姿勢で二人の真後ろにいました。
「み、見えなかった……でも、不発……?」
お姉ちゃんが不思議そうな反応を見せましたが、その直後斬られたエインヘリヤル、アンデッドが斬られただろう箇所が光りだし、そこから膨大な魔力が発生し──文字通り爆散しました。
次にお姉ちゃんも斬った箇所が光り始め──
「がああああああああああッ!!!!」
──爆発。お姉ちゃんはその爆発と受けた斬撃で鎧は完全に砕け、大鎌も手放してしまいました。
この武技〈星光剣超新星爆発〉はこの星剣ゾディアでのみ発動できる武技……というのは〈星砕き〉と明けの明星と同じです。
ただ、この武技は相手にルーン文字を刻みながら斬りつけ、星剣ゾディアの追加効果と刻み付けたルーンによって斬った相手を爆発、もしくは爆散させるという武技です。
あの感じからしてお姉ちゃんはまともに受けましたし、いくら防御系の武技、スキルを発動しようとも大ダメージは不可避でしょう。
とりあえず大鎌を蹴り飛ばしお姉ちゃんから遠ざけ、息があるかを確認し──息はありますね、ギリギリ生きています。暴れられてももうこの状態なら難なく対処できますが、万が一ということもあるので手足を拘束し、お米様抱っこで抱え運びます。
「お姉ちゃんも倒したし、残すは漆黒聖典と……
確か隊長はお姉ちゃんがボコボコに出来るぐらいの強さだから……」
多分、漆黒聖典はオラサーダルクたちフロスト・ドラゴンを相手にしているでしょう。腐ってもオラサーダルクは竜王級ですし、妃の三匹とサフォロンもそれに準ずる強さを持っているので。
警戒するならシャルティアが本気でぶん殴って無事だった隊長ですけど、漆黒聖典がいるっていうことはカイレも近くにいる可能性があります。
支配するならオラサーダルクか私の二択になると思います。仮にお姉ちゃんが私を倒していたらオラサーダルク一択になるでしょうけど。
と、ここでひとつ良い案が思いつきました。
「〈死せる勇者の魂〉」
私もエインヘリヤルを呼び出し、エインヘリヤルに漆黒聖典を相手させることにします。
隊長を除けばあのイビルアイと同じぐらい強いらしい筋肉モリモリマッチョマンぐらいなので、エインヘリヤルで様子を見ることにします。
仮に支配されても退去させればいいだけなので便利ですね。
さあ、この戦いも終わらせに行くとしますか。
法国の上層部もお姉ちゃんのこの姿を見れば負けを認めざるを得ないでしょうし。
○
○
○
数時間後、漆黒聖典はフロスト・ドラゴンにエインヘリヤル、鮮血騎士たちとの戦いに敗れた。
漆黒聖典が敗れたことにより、事実上スレイン法国は最大戦力を失うこととなり戦闘継続は困難と判断。更に魔法陣からほぼ無尽蔵に現れていた上位天使が全て討ち果たされ、上層部は制圧に来たアレーティアに降伏を宣言しこの戦いは幕を下ろした。
特殊部隊である六色聖典は全員が拘束され、漆黒聖典に関しては番外席次を含め全員がエ・ランテルへと護送されることとなった。
法都に関してはアレーティアと絶死絶命の交戦の結果、全体の二割程が崩落。一部法都住民にも被害はあったものの、破壊の規模と比べるとその数はごく僅かだったという。
法都はその後帝国より援軍で送られてきた騎士団により完全に制圧され、法国民はしばし六大神に縋り祈ることしかできない日々を送ることとなった。
そして、およそ一ヶ月後──
「スレイン法国の民よ、そしてこの世界に生きとし生けるものたちよ、聞くがよい。 ──私は帰ってきた!!」
アレーティア
一度死んでからそれなりに慎重に、出し惜しみなく戦って勝った。
魔法をあまり使用していないのはお姉ちゃん相手に魔法だけで押し切れないと感じたため。(経験不足)
それでもナザリックや現地民からしても全く理解できない存在に変わりはない。
困った時には迷わずラナーに頼る。ジルクニフにはあまり頼まない。
戦い方は雑。伸びしろ有り。
絶死絶命
アンティリーネ・ヘラン・フーシェ
母に育てられた自分は、結局エルフ王──父に育てられた妹に勝てなかったことから尊厳が破壊されてる。
詳しいことはまた別の回で詳しく。
タレントに関しては使用回数などの縛りやクールタイムがあるか分からなかったので、この作品ではタレントに縛り無しにしている。なのでThe goal of all life is deathを使った後に自分と鎧から〈死せる勇者の魂〉をそれぞれ発動させた。
なお、輝煌天使ねこにゃんの鎧はアレーティアによって失われた。
漆黒聖典
ナレ死ならぬナレ負け。
アンケート結果が漆黒聖典を含むものだったらアレーティアに全員ボコボコにされた上で絶死絶命戦に入る展開だった。
ブレインと一人師団が戦う話も書いていたけどお蔵入り。
なお、カイレに関してはエインヘリヤルに速攻で狩られた。
ラナー
まさかの参戦(通話)名誉挽回すべく、絶死絶命のタレントを考察し的中させた。
困った時のデミえもんならぬラナミちゃん。アレーティアに原作知識を与えられている点を加味すると、この世界線ではデミウルゴスやアルベドを上回る可能性が僅かにある。
????
最後に登場した至高の御方。一体何ンズなんだ……!?
感想、高評価してもらえると嬉しいです!
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