転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
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真なる神
その日、スレイン法国は六百年の歴史に終止符を打つこととなった。
バハルス帝国との戦い──粛清騎士アルス・ティアーズ、もしくはエルフ王女アレーティア・ホウガンの手によって法国最強の特殊部隊は敗れ、神殿も制圧されてしまった。
それからおよそ一ヶ月、法都を除く地方都市なども侵攻に耐えきれず敗れていき、法国上層部はこれ以上の被害を食い止めるため、法国全域に敗北、及び降伏の通告を行なった。
流石に法都を落とされ、上層部が降伏したとなれば従わざるを得ない。
幸い、派遣されてきた帝国騎士が横暴な振る舞いをすることなく、法国民はこれからどうなるのかという不安を抱えながら過ごすこととなった。
そして、その日。法都から法国全域に帝国製のマジックアイテムを使った演説が行われることとなる。
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戦いの余波によって半壊した法都の六大神を讃える大神殿を帝国騎士団の精鋭が囲み、入り口にはバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスに加え、帝国はおろか大陸最強と名高い粛清騎士。そして、帝国騎士四騎士──アンドレが殉職したため三人しかいないが──がジルクニフを護るように取り囲んでいる。
その他にこの場にいるのは、法国上層部である最高執行機関──最高神官長を始めとし、六つの宗派の最高責任者である六人の神官長たちに司法、立法、行政の三機関長。研究機関長、大元帥の総勢十二人が簡易的な拘束を受けた上でこの場に立たされている。
法国民がそれを見てまず思ったのは公開処刑だろう。
帝国に敗れた法国は今後、帝国の傘下に置かれることは間違いなく、鮮血帝と粛清騎士はかつて逆らった貴族たちをその異名の通り粛清し、多くの血を流してきた。
その対象が最高執行機関になっただけで、言わばこれは見せしめのようなものだろうと誰もが思っていた。
「さて、始めさせてもらおう。 私はバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスだ。今日はこのスレイン法国に新たな……否、真なる神の降臨を祝うべく訪問させてもらった」
拡声のマジックアイテムによるジルクニフの第一声は多くの法国民を混乱させた。
真なる神とはなんなのだ?この声が一番多かっただろう。
「六百年間、スレイン法国は六大神を信仰し、その教義に倣い諸君らは生きてきただろう。 だが、嘆かわしいことに先日我が国土、エ・ランテル領において許されぬ虐殺が六大神信徒によって行われた」
その事実に法国民は顔を歪めた。
「確かに、スレイン法国は人間至上主義であり、エルフは奴隷として扱われ、亜人は殺すべき対象だ。 だが、我が帝国ではエルフもドワーフも、亜人も理解が得られるのであれば親しき隣人として迎え入れられている。
国が違えば文化も違う。確かにその通りだが、まず我々がすべきだったのは対話だ。 対話無くして分かり合うことなど出来ない。違うか?」
ジルクニフの演説に法国民は顔を俯ける者や、亜人やエルフと親しくするなど教義に反すると騒ぐ者などそれぞれ異なった反応を見せた。
「だが先程諸君らが異を唱えなかった虐殺を行なった信徒はそれを拒み、行動を起こした。 それを真なる神は大いに嘆いている。故に我が国に、愛すべき祖国に神罰を下せと命じなさった」
すると、法都上空が暗雲に包まれる。今にも雨が降るのではないかと思うほどの曇天だ。
ジルクニフの演説は続く。
「その命に従い我々は法国へと攻撃を行なった。罰を下すために。 それがこの有様なのは諸君らが最も理解しているだろう」
雲り空がゴロゴロと音を鳴らす。時折稲光が発生し、それが法国民の不安を煽る。
「そして、今日この時! 真なる神がこの国を再び導くため再降臨なされる!」
瞬間、ドオォォォオオン!という轟音と共に雷が大神殿へと落ちた。
あまりの威力か、大神殿にあった六大神を象ったステンドグラスは全て割れ、屋根も吹き飛び、荘厳な扉は内側から跡形もなく破壊された。
しかし、雷が止むと同時に雲は霧散し晴れ間が広がる。 そして──破壊された大神殿からひとつの影が現れた。
「スレイン法国の民よ。そしてこの世界に生きとし生けるものたちよ、聞くがよい。 ──私は帰ってきた!!」
現れたのは──アンデッドだった。ただ、そのアンデッドは見たこともないような漆黒のローブを纏っており、その手には一振りの大鎌を持っていた。
それは、スレイン法国におけるとある神のようで──。
「我が名を皆知っているだろう。 我が名はスルシャーナ。かつて死の神と呼ばれた者だ」
そのアンデッドは死の神を自称した。 この発言に多くの法国民は憤ったが、同時にその佇まいや風格、そして背後に漂う漆黒のオーラが死の神そのものではないかと思わせ始める。
だが、スルシャーナは五百年前に悍ましき八欲王によって弑されてしまっていることを明確に知っているのは最高執行機関の者たちだけである。
そして、スルシャーナの口が開かれる。
「五百年前の八欲王との戦いで私は力を失い、永き眠りにつく必要があった。 だが、目覚めてみれば我が国の民が他国の住民を虐殺していた──嘆かわしい。私はそのようなことを望んだ覚えはないのだがな」
発せられる声には怒気が含まれており、アンデッドの風貌もあってか法国民は冷たいものを感じる。
自称死の神が教義に則った行動を非難するとは思わなかったのもあった。
「故に私は、我々の教えに最も忠実に従い、被害に遭ってしまった帝国へと神託を下しお前たちに罰を与えた。ここまでがこれまであったことの総括だ。
そして……これからの話をしよう」
パンッとスルシャーナが肉の無い手を叩くと壊れた大神殿に異変が起きる。 突如、黒い裂け目が現れた。そして、その裂け目から人影が続々と現れる。
「あ、悪魔だ……」
「悪魔が何でこの法都に!?」
まず現れたのは二人の悪魔。一人は絶世の美女で白いドレスを纏い、腰から生える黒翼が彼女が人ではないことを表している。 もう一人は遥か南方の地で作られているらしい赤いスーツを着た蛙のような頭を持つ悪魔。
続いて、
そして──。
「
「……王の相、だと?」
二人のダークエルフの姉妹が現れた。先の言葉は最高執行機関の者が発した言葉で、法国民はエルフがさも当たり前のように現れたことに困惑する。
神官長たちはダークエルフの姉妹をエルフ王の子供として警戒しつつ、エルフ国で何か起きているのではと思案に耽る。 ……尤も、この場で何があってもどうすることも出来ないのだが。
ダークエルフの姉妹を最後に裂け目が閉じ、現れた人ならざる者たちはスルシャーナの背後に控える。
「彼らは我が新しき配下である。 私はこの五百年、ただ眠りについていたわけではない。こうして世界のため、新たな力を得たのだ。
……ああ、君たち人間にとっては悪魔は恐れるべき存在だったな。だが、安心してほしい」
スルシャーナはそう言い、両手を空へと向け何かを呟く。 すると──突如、空が光に覆われる。そこから五つの人影が現れ、スルシャーナの前に跪いた。
「……偉大なる御方。我ら天の使い──
光の中から現れたのは背に白い翼を持った五人の女性。 法国で見る
「この通り、私は天使も悪魔もこの手に収めた。 法国の民よ、案ずるな。
──全ては、我が手の中にある」
この時点で法国民はあの死の神スルシャーナを自称するアンデッドが本物ではないかという考えが生まれ始める。
五百年の時を経て、再降臨なされたのだと受け入れ始めていた。
「どうやら、私がスルシャーナだと納得してもらえたようで何よりだ。 では、これからのことを話そう。
──今日この時より、誤った信仰を続けてしまったスレイン法国を解体する。 そして──私も偽りの名を捨てよう」
再び混乱が法国民を襲う。 スレイン法国の解体。間違った信仰とはどういうことか? あれは本当にスルシャーナ様なのか?という悲鳴じみた声が聞こえ始め──
「騒々しい、静かにせよ」
スルシャーナの発したただ一言──支配者然とした所作と共に放たれたたった一言で一時混乱は収まった。
続けて、スルシャーナはこれからのことを話し始める。
「既に誤った教えにより虐殺という私が望まぬ事態が起きてしまった。この大罪を雪ぐにはスレイン法国という名を改める必要があると私は考える。
そして同時に、この六大神信仰という教えも忌まわしき八欲王によって歪められたもの。 ならば私が直々に君たちに新たな教えを授けよう」
「そして、スルシャーナという偽りの名を捨て──我らの真の名を知るがよい!
我が名は──魔導神アインズ・ウール・ゴウン! これより、スレイン法国は名を『神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国』と改め、私が導こう!」
スルシャーナ──アインズ・ウール・ゴウンの宣言に騒めく法国民だったが、その中から数名新たな君主に歓声を上げた。
「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」
「真なる神よ! 愚かな私たちをどうかお導き下さい!」
「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」
「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」
「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!!!」
歓声はやがて広がり、困惑していた者たちも次第にそれに呑まれ、新たなる神を──魔導神アインズ・ウール・ゴウンを受け入れた。
その大歓声に応えるよう手を振るアインズを守護者たちは拍手で讃え、ジルクニフたちは引きつった笑いでこれからのことを憂い──最高執行機関の者たちはこれからのことを思い、絶望した。
この日、スレイン法国は『神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国』として再誕することとなった。
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──アーグランド評議国──
「……あれが今回の“ぷれいやー”か」
『ええ、そうですよ。 同時に現れたのがあなたの言うNPCというやつです』
ツアーはこのアインズ・ウール・ゴウン降臨を遠くの地から監視──観察していた。
この計画はアレーティアから持ち掛けられたもので、一部ではあるが“ぷれいやー”、並びに“えぬぴーしー”について目視で確認できると誘われたのだ。
結果、ツアーとしては上々の収穫を得ることが出来た。
「現時点では、彼らは協力的なんだね?」
『ええ。 ただし、逆鱗に触れなければ、ですが』
アレーティアは知っている。逆鱗に触れた時のアインズ──ナザリックの恐ろしさを。死がこれ以上の苦痛を与えられないという意味で慈悲となるという言葉の意味を、原作知識で知っている。
「そうか。 ところで、彼らに協力を得られるための対価は何を差し出したんだい?」
『一つは現物を。 もう一つは……ツアーの協力も必要ですね』
「協力? 私に出来ることなど限られているが」
『そうですね。 でも、
意味深にアレーティアはその言葉を口に出しながら微笑む。
そう、アレーティアはツアーも巻き込む気満々なのだ。 それを理解したツアーはため息を吐きながら、再度問うた。
「それで、他の竜王を抑えさせるほどの頼み事とは、一体何なんだい?」
『そんなに警戒しないでください。 彼ら──いえ、彼の唯一の望みは──この世界に来ているかもしれない仲間との再会、です』
「…………え?」
ツアーは困惑した。 かつての“ぷれいやー”は自分の欲望を叶えようとその力を振るい続けた。
そんな多くの“ぷれいやー”を知るツアーからすれば、そんな小さな望みでいいのか?と疑問を抱くほどに。
これはモモンガという個人を知らなければ、そんな小さな願いと思えてしまう。 原作において、名を広めてこの世界に来ているかもしれない友人たちまでその名が届くようにと功績を重ねるつもりが、ちょっとした勘違いのせいで世界征服へと目的が変わっていたというある意味恐ろしい願いであることに気づくことなど出来ない。
『かつて降臨したプレイヤーの多くは六大神や八欲王のように複数人で転移したものだと思います。 無知の賢者などは個人で降臨していると思いますが、彼は違います。
彼──アインズ様はこの世界に来る直前まで仲間と会っています。そして、この世界に来る頃にはプレイヤーは彼ひとりだけ。 彼はもしかするとその直前に会ったプレイヤーもこの世界に来ているかもしれないと、僅かな希望を胸に抱いています』
「……なるほど、ね。 つまり、この世界に来ているかもしれない彼の仲間が逆鱗か」
『そういうことになります』
ツアーもかつての仲間たち──リクのことを想起し、一つため息を吐く。
「……分かったよ。私の方でも協力させてもらおう」
『そう言ってくれると信じていましたよ』
よくもまあぬけぬけと、とツアーは思いながらもグッと言葉を飲み込む。
いまやアレーティアは“ぷれいやー”との関係上決して外せない駒だ。不興を買うわけにはいかない。
「では、彼の友人の情報──名前や見た目などを教えてもらえると助かるのだが」
『その辺りはまた追々連絡します。 私も彼らもしばらく忙しくなりそうなんで。 では』
そうして、アレーティアとツアーの会話は終わった。
アレーティア
今回は裏で色々演出を頑張ってた。裏で超位魔法〈指輪の戦乙女たち〉を発動している。
〈転移門〉もアレーティアが発動している。
粛清騎士
なんと今回は別人。その正体は上位二重の影である。
アレーティアが裏で色々動くため、任さざるを得なかった。
アインズ様
神になってしまった元一般営業職。
この場における台本はアレーティアとアルベドが一生懸命考えた。
初めて支配者っぽいポーズとかを披露した。
ジルクニフ
演出協力人。アレーティアの見た目を真似たモノに内心嫌悪感を抱いている。
スレイン法国
滅んだよ!
法国上層部
この後、許されたけど馬車馬の如く働かされる未来が待っている。
最早、逆らうことさえ許されない。
ツアー
ナザリックの戦力を一部確認。
でもあれで理解した気でいると100%痛い目に遭うのは確定。
次回辺りで裏の話を色々書けたらいいなと思いつつ、先に進みたい気持ちもある……。
感想、高評価よろしくお願いします!