転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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お待たせしました。後半です。



神になってしまった一般ギルマス 後編

 

 それからしばらくして、アレーティアが謁見することになり、いきなり協力してくれるならと世界級(ワールド)アイテムの熱素石(カロリックストーン)を差し出すという出来事に、アインズはもう思考を放棄した。

 アレーティアという人間はこういう人物なのだと。彼女は例外だと結論づけた。

 

 そして話は進み──

 

「どうか我らの神になっていただけませんか?」

 

「……………………え?」

 

 動かなくなっていた頭が動き出したと思ったらショートし始めた感覚をアインズは感じた。

 

「ア、アレーティア殿、その、それは一体どういう?」

(神って何!?どういうこと!?)

 

「少々性急でしたね、申し訳ありません。

 これは、これから先アインズ様──並びにこのナザリックに所属する皆様に表舞台に立っていただくために必要なことなのです」

 

「ほ、ほう?」

 

 未だ頭が上手く働いていないアインズを置き去りにアレーティアは話を進めていく。アインズは支配者ムーブをするので精一杯だ。

 

「まず、私がスレイン法国を潰したことで周辺国家最強の座には私が所属しているバハルス帝国が着くことになります。

 そして、スレイン法国は今後バハルス帝国の属国になるのですが……先日アルベド様を通じて伝えてもらったように、この地は皆様に──アインズ様に献上させていただきたいのです」

 

「それは聞いているが、それと神になるということに何の関係があるのだ?」

 

「かの国では六大神が信仰されており、その一柱である死の神スルシャーナは……過去面識を持っていた知人によればアンデッドのプレイヤーだったのです。

 当の本人は別のプレイヤー……八欲王に敗れ死んでいますが」

 

 死の神、という言葉に守護者たちがピリついた雰囲気を醸し出した。

 

「至高の存在であるアインズ様を差し置いて死の神を自称するとは、身の程を弁えない愚か者がいたでありんすね」

 

「シャルティア、静かにしなさい。 アインズ様に恥をかかせたいの?」

 

「そ、そんなつもりは……」

 

「──騒々しい。静かにせよ」

 

 シャルティアとアウラの諍いにアインズが支配者らしい態度とポーズでそれを諌める。

 場が静寂を取り戻した頃、再びアレーティアが口を開いた。

 

「そう、死の神であるスルシャーナはアンデッドだったのです。そして人類の守護者でもあった。

 で、あれば……成り代わることも可能だと思いませんか?」

 

「……ほう?」

 

「歴史は勝者が築き上げるもの。ならば、敗れ去った六大神を踏み台に、新たな──いや、真なる神が現れてもおかしくはないでしょう?

 そして真なる神であるアインズ様は、この世界にその名と力を知らしめ、全てを束ねる。

 ──素晴らしいことだと思いませんか、皆さん?」

 

 アレーティアはこの場にいる守護者とシモベたちに問いかける。

 至高の存在であるアインズが神であるなど、至極当前のこと。

 そしてその御方を知らぬ者がいるなど、あってはならない。

 気がつけば守護者もシモベも頷き、同調していた。

 置き去りにされているのはアインズだけだった。

 

(え?なんで皆乗り気なの? 俺が神? 訳がわからないよ。

 第一、一介のサラリーマンに神様なんて出来るわけないだろ!)

 

 口には出さない慟哭をアインズは心で叫ぶ。

 そして、冷静にこの現状を打破するため、神にならないためにアインズは口を開いた。

 

「なるほど、話は分かった……が、問題がいくつかある」

 

「と、おっしゃいますと?」

 

「まず、君たちバハルス帝国へのメリットがあるように思われない。

 アレーティア殿がこの熱素石を差し出してまで協力してほしいことが、現状建国と私の神としての君臨なのは分かった。

 だが、言っては何だが──その頼みが世界級アイテムに匹敵しているかと言われれば決して釣り合っていないと私は思うのだが」

 

 アインズはこの世界に来た初日からアレーティアに対して色々と恩義を感じていた。

 未だ知らぬこの世界の情報や金銭面、ルーンというユグドラシルにはなかった要素などをナザリックに齎してくれた相手だ。アインズは恩には恩を、仇には仇で返すべきだと考えているため、現状一方的に恩を受けているこの状況が申し訳なくて仕方ないのだ。

 だからと言って、神なんて立場にはなりたくないというのが本音だ。正直に言って、身に余る立場なのには違いないとアインズは心の中で呟く。

 

「そうでしょうか?この計画が上手くいけば我々バハルス帝国は神の庇護下にあると堂々と周辺国家に知らしめられますし、長い目で見ればメリットはあると思うんですが……。

 それに他にも頼みたいことはあるので、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ」

 

 アレーティアは容赦なく逃げ道を塞いだ。

 しかも、まだ頼みたいことがあるという。最初にいくつか頼みたいことがあると言っていたので当然なのだがアインズ的には「(これ)以上のことはないよな!?」と叫びたい気持ちでいっぱいになってしまった。

 

「それに、神になることはアインズ様にとってメリットにもなり得ると思うんですが……」

 

「うん? それはどういうことだ?」

(正直デメリットしか感じていないぞ!)

 

 アインズ的に言えばこの頼み事はデメリットだらけでもある。

 まだこの世界の情勢を完全に把握出来ていない中で表舞台に立つのは些か早すぎるというのもある。

 何せギルドとしてのアインズ・ウール・ゴウンはユグドラシル時代にDQNギルドとして知られており、千五百人規模の──傭兵NPCなどを含む──プレイヤーの侵攻を返り討ちにしたという伝説を残している。他にも悪名が轟いているため、他のプレイヤーがこの世界にいる場合アインズ・ウール・ゴウンという名はそのプレイヤーに良い印象を持たれず、敵対する可能性は高い。

 勿論、ナザリックに挑んできたとしても二十である世界意思(ワールドセイヴァー)光輪の善神(アフラマズダ―)などの世界級アイテムがなければ単騎、もしくは複数パーティでは攻略は厳しいだろう。三十人程度なら一気に殲滅出来る自信もある。

 しかし、そのプレイヤーの持つ影響力次第では()()()()()()()()()()()()()()もあり、そうなるとかつての千五百人を超える敵や不確定要素を相手にしなければならなくなる。

 そうなると、やはり表舞台に立つのは時期尚早だと言える。 まだ、法国の統治に協力してくれと言われた方が国の後ろ盾を得られるし、多くの情報を得られる可能性もあるし、ナザリックの存在を秘匿することも出来る。

 

 そんな考えを抱いているアインズにアレーティアは不思議そうに答えた。

 

「ええっと、アインズ様に一つ確認しておきたいのですが、警戒しているのは他のプレイヤーの存在ということでいいですか?」

 

「え、あー……そうだな。 正直我々は悪名高かったからな。プレイヤーによっては敵愾心を抱かれる可能性もある」

 

「……現状、他のプレイヤーが転移している可能性は無いとは言い切れませんが──同時にもうひとつあるかもしれない可能性に対して、非常に有効だと思うんですが」

 

「それはなんだ?」

 

「……アインズ様のお仲間がこの世界に来ているかもしれない、という可能性です」

 

「──!!」

 

 アインズはこの世界に来たばかりの時を思い出す。

 アレーティアと出会ったあの夜、星が宝石のように輝く夜空を見て、この世界に来たのは自分だけなのかと疑いを持った。

 そして、このアインズ・ウール・ゴウンの名が世界に轟けば、来ているかもしれない誰かの耳に入るかもしれない、と星に願いを祈ったことを。

 

「スレイン法国は解体され、アインズ様たちの国を建国し──善政を敷けば無暗に敵に回るようなプレイヤーもいないと思いますし、なによりその名をより多くの者へと知らしめることが出来ます。

 そうすれば、アインズ様のお仲間──失礼、至高の御方々にも必ずその名が届くのではないでしょうか?」

 

 アレーティアの回答にアインズは激しく心を揺さぶられるのを感じた。

 仲間(ギルドメンバー)との再会。それは孤独にユグドラシルを続け、いつか戻ってくるかもしれないメンバーのためにナザリックを維持してきたアインズ──鈴木悟が望んで止まない願い。

 最終日にヘロヘロを含めて三人のメンバーは会いに来てくれたが、他のメンバーとは会えず仕舞いだった。

 もしかしたら、自分が転移しているから他のメンバーも何かの拍子でこの世界に来ているかもしれない。直前までログインしていたヘロヘロもいるかもしれないという希望がアレーティアの提案を掴んで離さない。

 

「そう……だな。 ああ、そうだ。

 ……もしかしたら、皆も来ているかもしれない、な」

 

「アインズ様?」

 

 俯くアインズを心配してアルベドが声をかける──が、アインズは何の反応も示さない。

 一体どうしたことだと守護者とシモベたちがざわつき始め──

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アインズは玉座から立ち上がった。覚悟を決めて。

 

「ではアレーティア殿、先程の件だが協力しよう。

 ──私が新たなる神となり、国家を建設することを!

 

「ありがとうございます」

 

 アインズの宣言と共に玉座の間が先程のざわめきとは違う歓声に包まれる。

 

 

「さて──これよりお前たちに厳命する。 アインズ・ウール・ゴウンを不変の伝説とせよ!

 数多いたであろうプレイヤーの記録を全て塗りつぶしアインズ・ウール・ゴウンこそが至上の存在だと。生きとし生ける全てに知らしめてやれ!

 地上に、天空に、海に、知性持つ者全ての者にこの名を轟かせるのだ!」

 

「ご命令承りました。 いと尊き御方、アインズ・ウール・ゴウン様、ナザリック地下大墳墓全ての者よりの絶対の忠誠を!

 そして、必ずや知らぬ者がいなくなるほど、御身の名を轟かせてみせましょう!」

 

「アインズ・ウール・ゴウン様、万歳! アインズ・ウール・ゴウン様、万歳!」

 

 守護者たちとシモベたちが唱和し、万歳の連呼が玉座の間に広がる。

 アレーティアはそれを見てひとり、満足げに唱和に参加していた。

 

 

 

 

 ○

 

 ○

 

 ○

 

 

 

 それからは、神としての名を決めたり、バハルス帝国の皇帝との対談や、演出相談など忙しい日々を送りこうして今日、神デビューを果たしたのだった。

 

(まあ、これが俺の選んだ道だしな。 もしも、この時代に転移していなくてもアレーティアさんの話なら百年後にプレイヤーがまた転移してくる可能性がある。

 それなら、その時までに皆に誇れる国造りをしてみせるぞ!)

 

 苦労が絶えない日々になりそうだが、それでもアインズは生き生きと──アンデッドだが──していた。

 

「さて、()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

 そう言って手を振ればコンソールが現れる。 これはスレイン法国──ギルド拠点の管理画面だ。

 アレーティアが攻め落とし占拠したこの法都はとあるギルドの拠点都市だったらしく、ギルド拠点を占拠したことのなかったアインズはその扱いを任されていた。

 色々と情報を見てみればNPCは全滅しており、ギルドの数多ある機能のほとんどが資金不足で動かなくなっていた。

 

(まあ六百年続いていて、途中からプレイヤーがいなくなって維持できなくなった……ってことかな? これはある意味今知れて助かったな。ナザリックもこうならないよう、調整する必要があるかもしれない)

 

 アインズは()()()()()()を手に取りながら、色々と操作を始める。

 久しぶりに見た未知に対して、心を弾ませながら。

 

 






アインズ様
アレーティアの話術に敗北。でも原作よりも良い方向に向かっている。
スレイン法国という名のギルド拠点を任されたため、コンソールをいじってあれこれ試す日々がしばらく続く。
なんだかんだ今を楽しめている。
余談だがアレーティアが使った〈指輪の戦乙女たち(ニーベルン・Ⅰ)〉を見て「絶対敵にしないようにしよう」という決断を下した。理由は言わずもがな相性が悪すぎるから。

古めかしい槍
第一席次の槍。聖者殺しの槍(ロンギヌス)疑惑がある(?)槍でしたが、この作品ではギルド武器扱いにしています。
Q.ギルド武器を持ち出すってバカじゃない?
A.ツアーは知ってたけど、法国は失伝していたか、法国の至宝ぐらいにしか認識していなかった。ということで。

スレイン法国神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国
国家の運営に関しては今後は基本アルベド、デミウルゴス主導でアインズは基本大雑把な指示を出すだけの立場。
実行するのは旧法国執行機関の者たち。彼らに処罰を与えないのは魔導神の慈悲によるもの、という表向きの事情。本当は魔導国民の不満のはけ口になるヘイト役をやらされてる。なお、お披露目の後に黒棺を体験済み。要は八本指枠。
六色聖典については漆黒を除く五色は再教育(意味深)


アレーティア
過去一頭を使って頑張っていた我らが主人公。
作中では語られていないが、この時点であと二つ協力を約束出来ている。詳細はその内。
なお、これからもっと振り回す予定。具体的に言うと三人は確実に振り回される。



一番書きづらいところは乗り越えたので、ここからはようやく(?)はっちゃけるアレーティアを書ける!
難しいことをいっぱいしたら、はっちゃけるのがアレーティアです。一緒に怒られてお姉ちゃん(巻き込み)



感想、高評価貰えるとモチベが上がるので、どうぞよろしくお願いします!

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