転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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本当は5,000文字ぐらいで収めるつもりだったのに、伸びに伸びてしまった……。
反省はしていない。


お姉ちゃんと一緒!

 

 

 忙しい。とっても忙しい。

 法国を落として、新国家『神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国』を建国してから忙しすぎて困っています。

 

「アレーティア様、魔導国より治安維持のため異形種、亜人に理解のある騎士団を派遣してほしいとのことです」

 

「それは陛下に任せちゃって」

 

「ではそのように。 では次に、被害の大きい大神殿や都市部の修繕、および再建のためドワーフの建築家たちの協力を設けたいとのことだ」

 

「ドワーフ国に書状を私の名前で送っておいて。 多分、向こうは向こうでゴーレムや悪魔を使って建設を進めるつもりだろうから、その辺りに理解のある人を選出してくれって」

 

「伝えておこう」

 

 ルミリアと共同で私が対応すべき案件を捌いていく。

 重要な案件は全部ラナーが受け持ってくれているので、私は結構楽をさせてもらっているけれど、それでも忙しい。

 やはりというか、悪魔という存在は帝国でもドワーフ国でもあまり受け入れ難いらしく、いざとなったら私が対応するという約束で協力を取り付けました。

 多分、魔将程度なら問題なく倒せるし、アインズ様も邪険にしたりはしないはずなので、大丈夫だとは思いますが念には念をということです。

 

「次の件だが、聖王国から──」

 

「あ、それも陛下に投げておいて」

 

 まだまだ仕事は終わらないようです。

 

 

 ◯

 

 ◯

 

 ◯

 

 

 

「や〜っと終わった〜!」

 

 本当に忙しい。

 今回の法国との戦いでの騎士たちへの褒賞は私がすることになっていて、戦果と元々の評価などを合わせて勲章やら金銭を授与しなければならない。

 本来、これは騎士団を掌中に収めているジルクニフの仕事なんですが、実質的に現在騎士たちの面倒を見ているのは私なので、そのお鉢が回ってきてしまいました。

 

 他で言うと神殿勢力は現状、エ・ランテルにおいては元奴隷エルフのロータスが神官長になったので問題ありませんが、帝都アーウィンタールでは離反の動きが確認されているとか。

 まあ、四大神ではなく魔導神──アインズ・ウール・ゴウンへと信仰対象を変えたので納得いかないのは分かりますが、こっちは後々ラナーがどうにかしてくれるとか。

 後は聖王国関係で少々面倒ごとが起きているので、こっちもラナーたちに任せてあります。実に頼りになりますね。

 ……ふと思ったんですけど、ラナーってもしかして知らぬ間に帝都まで手を伸ばしてます?ジルクニフから簒奪しようとか思ってませんよね?

 

 ──っと、そんなことを考えている間に目的地へと到着しました。

 

「さてさて、今頃どうしてるかな」

 

 この部屋に入るための鍵は私とラナーともうひとりしか持っていません。入るにも私の組んだギミックを解除しないといけないので入ることも出ることもそこそこ面倒ですが、誰にも邪魔されないようにという仕様なので仕方ないんですよね。

 

 そんなラナーの愛の巣へ入ればそこにいるのは、白と黒のモノクロヘアーにオッドアイ──そう、元漆黒聖典番外席次『絶死絶命』私の腹違いのお姉ちゃんです。

 

「夜ご飯を持ってきましたよ、お姉ちゃん」

 

 三人寝転がっても十分な広さがあるベッドの中心に下着姿でボーッと横たわっていたお姉ちゃんはむくりと起き上がると気怠そうにテーブルへと身体を動かしました。

 お姉ちゃんは来る度いつも下着姿なんで、法国でも任に就いていない時はこういう格好だったんじゃないですかね?意外でした。

 まあ、私との食事中に下着姿はマズイと思ったのか、そそくさと服を着ているのですが。

 

「……今日は何?」

 

 席に着いたお姉ちゃんは心なしか期待をしているようでした。

 この部屋に監禁してから、彼女の食事は基本私が用意しています。騎士たちにもジルクニフにも絶賛だった私の料理の腕前は『くっ殺せ』状態のお姉ちゃんの胃を掴み、心も解してくれたようです。

 普段は素っ気ないですけど、食事の時だけは素直になるあたりが可愛いですね。多分私の五倍は年上なんですけど。

 

「今日はピザです。五種類焼いてきたんで好きなのを選んでください」

 

 そんな今日のメニューはピザです。たまにはジャンクフードもいいでしょう。一応、ナゲットやポテトフライに某炭酸飲料を再現したものまで用意しています。

 ピザって言うとパーティ的なイメージがあるのは私だけでしょうか?

 

「……これまた見たことない料理を作ったのね。ピッサとも違うみたいだし……あなた、一体どこでこういう料理を学んだのよ?」

 

「それは秘密です。 ほら、冷めないうちに食べて食べて」

 

 私も同席し一切れを口に運びます。 うん、チーズが伸びるこの感じが良いですね。前世を思い出します。

 お姉ちゃんもそれを見て一口。 見たところすごく気に入ってくれたみたいです。五種類それぞれに手を出していますが、キノコとベーコンのピザが一番気に入ったみたいです。

 

「次作るときはそれを多めにしましょうか?」

 

「むぐっ……お、お願いするわ……」

 

 ちょろい(確信)

 会話こそないとはいえ、家族で食べる食事というのはいいものです。

 ああ、あれこれの諸事情を片付けたらクソ親父をボコって妹弟たちを救ってあげなければ……。 その為にもお姉ちゃんとの交流は欠かせません。

 ただ、そのせいで最近ラナーと一緒に過ごす時間が減っているので、そろそろご機嫌取りに伺わないといけません。

 ラナーは怒らせてはいけない。

 

 

 さて、食事を終えた後はいつもなら一言二言交わして別れますが、今日はちょっと違いました。

 

「……ねえ」

 

「なんですかお姉ちゃん?」

 

「……もう少し、付きあってもらえる?」

 

「……まあ、いいですよ。 なんでしょう?」

 

 片づけを終えたテーブル席へと座ると、お姉ちゃんは何度か口を開きかけますが、すぐに閉じてしまいます。

 何か言いづらいことでもあるんでしょうか?

 

「ねえ、あなたは私をどうしたいの?」

 

「……はい?」

 

「……法国が無くなって、私は……エルフ王の娘のあなたに負けた。そしてこの部屋にあれからずーっと監禁されてる。

 つまり……負けた私の利用価値は……強い子を産むための孕み袋、なんでしょう?」

 

「……………」

 

「そうよね。 ……それにしても上手くやったのね。

 あなたの働きで帝国も王国も実質エルフ王のものになって、法国すら手中に収めた。

 そうなれば……あの白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)も動かざるを得ないだろうけど、あなたがいるならあの竜王すら敵じゃ──「待って」──えっ?」

 

「確認させて、お姉ちゃん。 なんでそんなこと思ったの?」

 

「……だって、あの日からこのベッドと拘束具がやたら多いこの部屋に監禁されてるのよ? 言われずとも神人である私の使い道なんてそんなものでしょう?

 でも、あなたは監禁するだけでずっと私に手を出さなかった。まあ、同性だからかもしれないけれど、あなたは男にもなれるんでしょう?

 それなのに手を出さないってことは、私の容姿があなたの好み、もしくはエルフ王の好みではなかったから、こうして餌付けをして肉付きのいい身体にしようとしている。違う?」

 

 

 やっべぇ、とんでもない勘違いをされてる。

 

 

 どうしてこうなった。 いや、確かに監禁したけど!お姉ちゃんほどの強者を捕えられる部屋ってこの部屋しか現状なかったんだもん!

 武装は解除してもレベルは多分九十から百は間違いないお姉ちゃんは素手でも大抵の相手はボコボコに出来るし、生半可な場所だと脱走されるし……仕方なくラナーに頼んでこの部屋を借りたのがまさかこんな誤解を生むことになるとは!このリハクの目を以ってしても見抜けなかった……!

 と、とりあえず誤解を解かねば!

 

「こ、この部屋に監禁している理由は、お姉ちゃんを閉じ込められる部屋がこの部屋しかなかったからで……そういう意図は一切無いです」

 

「……え?違うの?」

 

「違います」

 

「…………」

 

「…………」

 

 き、気まずい!こんな気まずい雰囲気初めてなんですが!?

 

「と、とりあえず、私はあのクソ親父と違って世界征服とかエルフ至上主義とかそういう思想は一切ないです」

 

「クソ親父って……報告だとあなた随分と可愛がられていたって、常に一緒に戦場にいるところを目撃されていたみたいだけど」

 

「冗談じゃない! いいでしょう、お姉ちゃん。この際私の身の上話をしてあげましょうか!」

 

 ここに来て互いに言葉を交わしていなかったのが裏目に出るとは……!

 いや、話そうとする気が今日まで一切なかったお姉ちゃんも悪いと思うんですけどね!?

 

 ここから、私はエイヴァーシャー大森林で暮らしていた頃の話を余さず話しました。

 如何にあのクソ親父がクソであったかを丁寧に。

 

「……要するにあなたは貞操と自分の命の危機を感じて逃げ出したってことでいいのね?」

 

「そうですよ。 いや、強く鍛えてもらったことに感謝はしていますけど『将来、私の子を沢山産むんだぞ』とか、寝ている時に身体をまさぐられて成長具合を調べられたりとかされたら感謝の念も綺麗さっぱり消え去りますって。 むしろ嫌悪感でいっぱいです」

 

「……それを知っていれば、法国も今とは違った未来があったでしょうね」

 

 今と違う未来でも、原作通りの展開になるのなら多分法国が滅ぶ未来は変わらない気もするんですよね。 この世界だと傾城傾国を持ち出す動機が破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)の復活ぐらいしかありませんし。 聞いたところだとアインズ様の攻勢防壁はなぜか私の仕業だと勘違いされていたようです。

 ……そうなるとまだ破滅の竜王は存在しているんでしょうか?一応警戒しておかないといけませんね。ツアーにも聞いてみましょう。

 

「……私はね。望まれない子だったの」

 

 おや?お姉ちゃんが自分のことを語りだしてくれました。

 私の前世の記憶は『滅国の魔女』で終わってしまっているので、お姉ちゃんのことは詳しく知りません。色々と考察されていたとは思いますが、転生した先で真実を本人から語られるとは思ってもいませんでした。

 

「当時のスレイン法国はエルフとも──人間種とは協力関係にあったと聞いているわ。でもそれが人間至上主義に変わったのは私の誕生が関わっている。

 私の母──当時の漆黒聖典の隊長は協力関係にあったはずのエルフ王の罠にかかり犯された。

 捕らえられていた母を助けるために駆けつけた他のメンバーの大半がエルフ王に殺されたらしいけど、なんとか救出は叶った。

 でも、母の腹には望まぬ子である私が宿っていたの。六大神信仰では堕胎は許されていなかったから産むしか選択肢はなかった」

 

 ここで一度、お姉ちゃんは言葉を切り、深呼吸をしました。

 今語っていることはお姉ちゃんにとって、とても辛い記憶なのは想像に難くないです。

 私は無言で一度席を立ち、ポットで茶を用意してお姉ちゃんへと淹れてあげました。

 ありがとう、と一言告げお姉ちゃんはそのままごくごくと飲み干してしまったのには少し驚きです。 テーブルマナー的には一度で全部飲み干すのはアウトだった気もしますけど、この場にいるのは私とお姉ちゃんだけですしどうでもいいですね!

 

「ふぅ。 続きね。私が生まれてすぐにあなたと同じ『王の相』が確認出来たことから私は神人である、と当時の神官長たちから認められたわ。

 でも、誰も私の誕生を祝福はしなかったわ。 だって、犯されて孕んだ子供だもの。良い感情を抱くわけがなかった。

 物心ついた頃には、母から毎日訓練を受けさせられたわ。 殴りとばされて、叩きのめされて、気を失っても傷を負っても魔法で元に戻されての繰り返し」

 

 お姉ちゃんの目尻に僅かな涙があるのが見えた。昔の記憶を掘り起こすことはお姉ちゃんにとって辛いことなのに、あえてそれを私に語り聞かせるのは……一種の信頼、と受け取っていいんでしょうか?

 

「唯一の救いは……そうね、ナズルお婆ちゃんがいたことね。あの人だけが私を気にかけてくれていた。日頃の面倒もあの人だけが見てくれていたの。 だから私は……頑張れたんだと思う。

 そうして時は流れて、ナズルお婆ちゃんが死んで、神官長たちも母も死んで、ようやく私を蔑む人たちがいなくなった。同時に私は法国の──人類の守護者になるだけの強さを得ていた。

 それからは漆黒聖典の番外席次として、英雄級の強さを持った同僚たちの躾を担ったり、どうしようもない強敵に私が挑むってこともあったわね」

 

「『弱いと踏みにじられるだけ。だから強くなれ』これが母の教えだった。間違った教えではなかったわ。 でもね、時々思うの。母は何を考えていたんだろうって」

 

 ここでお姉ちゃんは私をジッと見つめて、私に答えを求めた。

 実に難しい問題だと思う。 私とお姉ちゃんの境遇は似ているようで違う。

 お姉ちゃんの母親はお姉ちゃんを愛していなかったと思う。望まぬ子であるし、憎い相手の子だから憂さ晴らしも兼ねて虐待染みた訓練を幼少期から受けさせていて、自分の負の感情を全てお姉ちゃんに押しつけた毒親だ。

 対して私はと言うと、あのクソ親父はなんだかんだ私のことを溺愛していたのは確かだ。

 そこにどんな思惑があったかと言えども、心配してか常に戦場に一緒に来るし、魔法も嬉々として教えてくれたし、成果を出せば両手を上げて褒めてくれた。誕生日なんかも盛大に祝われたのを覚えている。

 あの押しつけがましい愛と思想が無ければただの娘を溺愛する父親で終わったのに。

 さて、ちょっと長く考えすぎたので、そろそろ答えなければならない。

 

 

「きっとお姉ちゃんのお母さんは自分の弱いところを、汚された自分をお姉ちゃんに押し付けることで心の平穏を保っていたんだと思います。

 もしくは、自分の子ではなく、もう一人の自分として見ていたのかもしれません」

 

「もう一人の自分?」

 

 お姉ちゃんの母親は漆黒聖典の隊長だったことから、当時人類最強だったのでしょう。

 しかし、それを上回った(?)クソ親父に仲間もプライドも全て奪われたことで、自分より上という存在を知ってしまった。

 だから、そんな憎い相手との間に出来てしまった子を──お姉ちゃんを弱かった自分として見ていたのではないかと思う。

 二人目の自分として、今度はより強い自分を作り出して憎い相手クソ親父を殺せる自分を育てるのだと。

 

「──と、要はお姉ちゃんを強く育てることで自分のトラウマを払拭しようとしていた、とも考えられると思うんです」

 

「なるほど、ね。 ……そう思い返すと哀れな人だったわね」

 

 少し遠い目をしていたお姉ちゃんは何かに納得出来たようで穏やかな笑みを見せてくれました。

 

「……あなたに負けて、自棄になってた。 同僚や神官長には敗北を知りたい、なんて言っていたけど実際負けると絶望しかなかったわ。

 意識を失う寸前──母親から与えられた力を否定したかったけど、その力で法国を、大事なものを守れたなら少しは許してやれたかもしれないのに、負けたことでそれも叶わなくなったってね。

 だから、この部屋に監禁されてあなたが来た時……身体は許すけど心までは屈しない、なんて思っていたわ」

 

「とんだ濡れ衣ですね。 まあ、法国を滅ぼしたことについてはお姉ちゃんには申し訳なく思いますけど、結果的にお姉ちゃんを縛り付けていた鎖が無くなったと思えばいいんじゃないですか?

 白金の竜王にバレたところで、私の言うことならなんだかんだ受け入れてくれますし。受け入れなくてもゴリ押しますけど」

 

 すると、お姉ちゃんは驚いた顔をして私を凝視してきました。信じられないようなことを聞いたとばかりに。

 

「え?あなたって白金の竜王と敵対しているんじゃないの? 王国の革命騒動の時にかの竜王の鎧と交戦していたって聞いたのだけど」

 

「ああ、あれはちょっとした誤解ですよ。 あの後和解して、今では協力関係を結んでいます。 なんで、お姉ちゃんの存在がバレたところで小言が増えるぐらいで何の影響もありません。

 世界のために協力するって言えば大抵のことは許してくれますよ」

 

 そう言うとお姉ちゃんは目元に手をやり天を仰いでしまいました。

 まあ、私とツアーが和解していたなんて想像も出来なかったのでしょう。 血縁的に言えば私もお姉ちゃんも八欲王の血を引いていることは間違いありませんから、バレれば敵対待ったなしと考えるのも理解できますが。

 しばらく天を仰いだお姉ちゃんはふぅと溜息を吐き「過ぎたことは仕方ないわよね」と割り切ったようでした。

 

 

「ありがとう。あなたのお陰で少し気持ちの整理が出来た気がするわ」

 

「それならよかったです」

 

「それと少しだけ。少しだけだけど、あなたのことをようやく知れた気がするわ」

 

「私もです。 あ、そういえばお姉ちゃんの名前ってなんて言うんです? それと、そろそろ『あなた』じゃなくて名前で呼んでもらってもいいですか?」

 

「あら。あなたもそんな風に思っていたのね」

 

「そうですよ。 私たちはようやく再会した姉妹なんですから」

 

 そう言えばお姉ちゃんはふふっと年頃の少女のように笑っていました。

 

「私の名前はね、アンティリーネ。 アンティリーネ・ヘラン・フーシェ。 でも、お姉ちゃんって呼んでくれた方が嬉しいわね」

 

「分かりましたよ、お姉ちゃん」

 

 お姉ちゃんの名前、そんな名前だったんだなと前世で読めなかった『半森妖精の神人』の中身の一端を知れて感激しました。

 今まで番外席次、絶死絶命としか呼べなかった相手の本名を知れるってこんなに嬉しいことだったんですね。

 この世界で二十年生きて来た甲斐がありました。

 

「……ねえ、次はオムレツが食べたいわ。とろとろのやつ」

 

「オムレツ、ですか? いいですよ。明日の朝にでも作ってきますね」

 

「楽しみにしてるわ。 ……アレーティア」

 

 こうして多くの誤解はあったものの、私とお姉ちゃんは姉妹としての一歩を踏み出しました。

 

 翌日、リクエストのオムレツを出せば「ナズルお婆ちゃんのオムレツと同じぐらい美味しいわ」とお褒めの言葉をいただきました。やったぜ。

 

 それからしばらくして、お姉ちゃんも叛意を持っていないのを確認出来たので、ラナーの寝室から解放し城にお姉ちゃんの部屋を用意しました。

 家具なんかは全部法国にあったお姉ちゃんの部屋から運び出したんで、暮らしやすいかな?とは思います。

 

 

 

 

 後日、お姉ちゃんに仕事として二人目の粛清騎士に迎えるとジルクニフに報告しに行ったら

 

「お前に姉がいたとか聞いていないんだが!? それにお前に割り振った仕事が私に返ってきたのはどういうことだ!? 説明しろ!!」

 

 めっちゃキレられました。 こういう時は一方的に報告して逃げるに限ります。

 

「待てアレーティア! 今日という今日は逃がさんぞ……!」

 

「行きますよお姉ちゃん。 私に掴まって」

 

「え? い、いいの逃げちゃって? あれって皇帝陛下でしょう?」

 

「いいのいいの。 私とジルクニフの間だとよくあることだから。 ──〈上位転移(グレーター・テレポーテーション)〉」

 

「……アレーティア、あなたのことが少し分かった気でいたけど、また分からなくなったわ」

 

「ま、待てぇぇぇぇえええッ!

 逃げるな!責任から逃げるなアレーティアァァァアアアアッ!!!!

 

 

 ジルクニフの絶叫は私室に空しく響くこととなったのでした。

 

 

 

 

 






アレーティア
やってることは実質某所長と同じようなこと。胃袋を掴め。
流石に身内に拷問は出来なかった。ただしクソ親父、テメーはダメだ。

アンティリーネ・ヘラン・フーシェ
負けて身体なら好きにすれば?というスタンスで監禁されていたのに一切手を出されない上に、美味しいご飯を仇敵が運んでくるため何が目的なのか分からず、胃袋を掴まれてしまった。
決心して何が目的かを聞いて、互いの身の上話をして和解に至った。
今後はもう一人の粛清騎士として一時的に活動することになる。 エ・ランテルを最大限楽しむ彼女の姿が見られるかもしれない。

ジルクニフ
被害者。 即位した頃よりも忙しくなってしまい、寝る間も惜しんで仕事をしている。
そんな中、これぐらいは出来るだろうとアレーティアに任せた仕事がそのまま返って来た時は絶叫した。
今は胃よりも頭が痛い日々を送っている。
この後、トーマスやロウネに「あんまりアレーティア様に仕事を任せるといつかの様にいなくなってしまいますよ」と説得され折れるしかなかった。いなくなられるよりマシだとなんとか飲み込んだ。

ラナー
部屋の貸し出しが終わってから、寝具を買い替えた。
アンティリーネのことは義姉さんと呼びながら牽制している。


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