転生したらオバロ世界のエルフだった件について   作:ざいざる嬢

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Bloodborneのアメコミ買って読みました。
アメコミって初めて読みましたけど、あれはあれで新鮮な感じがしていいですね。話も割と好きでした。

Bloodborneは二周目終わったんで、三周目始める前に地底人になってきます。




ナザリック会議

 

 

 ナザリック地下大墳墓第十階層『玉座の間』

 この場にはアインズを始め、全階層守護者に加え──第四階層守護者ガルガンチュア、第八階層守護者ヴィクティムは除く──パンドラズ・アクターも集められていた。

 

「面を上げよ」

 

「ははっ」

 

 平伏していた守護者たちが顔を上げ、話を始める。

 

「今日お前たちに集まってもらったのは、この件についてだ。アルベド」

 

「はい、アインズ様」

 

 アルベドが一枚の羊皮紙を取り出し、その内容を読み上げる。

 差出人はナザリックの面々なら誰もが知ることとなった人物、アレーティアからだった。

 始まりは挨拶から始まり、やがて本題へと移る。

 

「──神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国とバハルス帝国の今後の友好を願い、御前試合を提案する。

 叶うのであれば、互いの国家の代表を選出して各々の国の代表の観戦があるのが望ましい……とのことです」

 

 その要望書の内容にアインズは頭を悩ませた。 正直に言って、この提案──観戦ありきの御前試合は避けたい事案でもあった。

 この世界の情報収集を進め、現状ナザリックの脅威足りえるのはアレーティアとそれに並ぶという真なる竜王や未だ見ぬプレイヤーぐらいだということは把握しているが、それでもナザリックの情報を伏せていられるのであれば伏せたままであった方が望ましい。未知とは脅威であり、ひとつの情報戦の防壁になり得るのだから。

 しかし、この提案をやたら無暗に断れない事情もあった。

 

「……それって、要は人間どもの前で戦えということでありんすか?」

 

「端的に言うとそうね。 ただ、あくまでこれは希望であって、拒否されれば個人的な模擬戦でも構わないとのことよ」

 

「それなら受けるメリットがないんじゃない? 要は衆人環視の中で戦うことによってこっちの手の内を晒そうとしてるってことでしょ? アインズ様の友人ですけど、失礼じゃない?」

 

 アウラの疑問に他の守護者たちも同意する。

 

「確かにそうだね。 我々にメリットは無いに等しい……が、この一件断ろうにも断り切れない理由があるのだよ」

 

「ど、どういうことですか?」

 

 マーレの疑問にデミウルゴスが答えようとし──それを躊躇った。

 それを察したアインズは「私は構わないぞ、デミウルゴス」と一言告げ、デミウルゴスはそれに「かしこまりました」と苦い顔で答えた。

 

「先日、アインズ様のご友人になられたアレーティア様から世界級(ワールド)アイテムである熱素石(カロリックストーン)を献上されましたが……この時、とある条件を提示されていたことを覚えているかね?」

 

「えっと、確か今後協力してほしい……とかでしたっけ?」

 

「ああ、その通りだとも。 熱素石を差し出す代わりに我々は彼女に協力しなければならない。 実に拡大解釈出来る条件だとは思わないかい?」

 

 そう、これこそアレーティアの世界級アイテムで張った罠であり、彼女の会心の策であった。

 アレーティアは熱素石を献上する際に『今後私に協力していただけると約束される場合』という条件を提示しており、アインズはそれを呑んでしまったのだ。 この条件にどのようなことへの協力なのか、そしてその時期を曖昧にしたまま。

 受け取ってしまった以上アインズは──ナザリックはアレーティアに協力しなければならない義務が課せられたも同然だった。

 

(完全に俺のミスだよなぁ……。思い返せばデミウルゴスもそれに気づいていたからか忠告してくれていたし、それを無視したのは俺だ)

 

 あの時にもっと考えて受け取るべきだったとアインズは深く後悔する。だが同時にアレーティアの人柄からそれを悪用するとは思ってはいないが、こうして事実をつらつらと並べられるとやはり軽率な判断だったと思わざるを得ない。

 

「でも、それってもう協力したって突っぱねても良いんじゃないの? そんな騙し討ちみたいなことされたんだから──」

 

「……そう出来ればよかったのだがね。 何しろ受け取った物が物だ。世界級アイテム──至高の御方がこのナザリックに集められた至宝に匹敵するものを献上されて、こちらはもう協力したからと突っぱねたら、アインズ様の器量が疑われるとは思わないかい?」

 

「そ、それは……」

 

「それに仮に協力するとしても──それが彼女の頼みではなく、彼女を介した帝国からの要望という可能性も考えられる。下手をすると我々は帝国にいいように使われてしまう、ということなのだよ」

 

 デミウルゴスの発言に守護者各員──パンドラズ・アクターを除く──は怒り、苛立ちといった感情を浮かばせる。

 至高の存在に創られた我らナザリックをたかが人間ごときがアインズ様の友人という立場を利用して、便利に使おうとは何事かと。

 

「……どうしよう、いっそ先手を打って帝国を滅ぼしちゃう?」

 

「ダガ、ソレハアレーティア様ニ牙ヲ向ケルコトニナル」

 

「別にいいんでありんせんか? 至高の存在たるアインズ様を軽んじたんでありんすから、死を以って償わせるべきよ」

 

(な、なんだかマズいことになってきたぞ!?)

 

 アインズは焦る。確かに守護者たちの言う通りなら、アインズ・ウール・ゴウンを軽んじたアレーティア──あるいはバハルス帝国には重い罰を与えるべきだが、まだ未遂どころか推測の話だ。 それだけで滅ぼす、というのはやりすぎだと考え──。

 

 

「お待ちください皆様方」

 

 

 ──一人の領域守護者が立ち上がった。

 

 

「おや、パンドラズ・アクター。 何か意見があるのかね?」

 

 守護者たちの視線がパンドラズ・アクターへと向けられる。 向けられた視線に対し、パンドラズ・アクターはフッと笑う仕草をし──

 

「その通りですッ!!」

 

 右手で帽子のつばを掴み斜め上を向き、左手を腰に当てる──俗にいうカッコいいポーズをキメていた。

 同時に羞恥心と自分の不甲斐なさからアインズは無言の叫び声を上げた。

 

「まず初めに、アレーティア様を殺す、敵対するという行為はナザリックに多大な損害をもたらすことを具申します」

 

「損害?」

 

 パンドラズ・アクターの演説が始まる。少しばかり過剰な身動きも加えて。

 これにアインズは在るはずの無い胃の痛みを感じるが、パンドラズ・アクターがさり気なく目を合わせ、ウィンクのような仕草で『私にお任せ下さい』と訴えてきたため、甘んじて受け入れるしかない。

 

「アレーティア様は、先日の滞在の際にルーン技術、並びにそれを利用したデータクリスタルの情報の書き換えという新たな革新をもたらしてくださいました。

 ルーン技術は現状彼女とエ・ランテル、並びにドワーフ国でのみ利用されている技術ですが、これらはこの世界では一般的な魔化という技術に比べて時間こそかかるものの、使われる材料は少なく魔化に比べれば大幅なコストカットが見込めます。

 また、彼女が作ったルーン製のマジックアイテムをいくつか触れさせていただきましたが、伝説級(レジェンド)に匹敵するものもございました」

 

 守護者たちから感嘆の声が上がる。伝説級ともなると自分たちが所持している──至高の御方より与えられたものに匹敵するものをルーンという技術で作れるというのは凄いことだろう。 同時に、それだけのものを作り上げられる相手を警戒しなければならないとも。

 それを察しているパンドラズ・アクターはアレーティアのためにバックアップを行う。

 

「彼女は材料さえ提供してもらえればナザリックのためにマジックアイテムを製作してもいいと証言してくれました。こちらがその書状です」

 

 パンドラズ・アクターが取り出した用紙には、その旨が書かれた契約とアレーティアの署名が記入されていた。

 

「加えて──データクリスタルの情報の書き換えですが、こちらは未だ検証が済んでいませんが、もしも理想通りの結果になれば宝物殿で保管している低級のものから最上級のデータクリスタルまで望むデータへと変更が可能になり、大いにナザリックの強化へと繋がります。 この世界にはデータクリスタルは存在しないとのことなのでアレーティア様の協力が得られればその技術は我々で独占できるということです」

 

 パンドラズ・アクターの演説に守護者たちはアレーティアへの評価を改める。有益な人物であると。

 だが同時に改めてナザリックの脅威足りえる人物であるとも。

 

「仮に彼女を失うことがあれば、これらの計画は全て水の泡と化します。 ならば我々は寛大な心で今回の一件は受け入れるべきかと」

 

「なるほどね。 だが、それでもまだ彼女が帝国に使われる可能性はあるんじゃないかね?」

 

「──それなのだけど、その可能性は限りなく低いと思うわ」

 

 デミウルゴスの問いかけに答えたのはアルベドだった。

 

「彼女の奥方であるラナー夫人とは()()()()()()()のは皆知っていると思うけど、彼女曰くアレーティア様はその手の策謀は不得意で、なんだったら自分の主人である皇帝を振り回しているそうよ」

 

(自分の上司である皇帝を振り回すってあの人どんなメンタルしてるんだよ!?)

 

 アインズは心の中で思わずツッコんだ。社会人としての記憶を多く残すアインズ──鈴木悟としては上司を振り回す部下というものが想像できなかったが、かつてのギルドメンバーである、るし☆ふぁーのことを思い出し、多分アイツみたいな感じなんだろうと納得した。

 

「彼女からも定期的に帝国の内部情報を貰っているし、アレーティア様の動向も率先して報告してくれているわ。

 不測の事態が起こる前にこちらに情報が回ってくる手筈になっているから、そんな指示でアレーティア様が動けば──」

 

「なるほど。それならば間者は防げますね。 しかし、それならば何故今回はその報告が上がらなかったのでしょう?」

 

「それは今回の件が互いに不利益にならないから……と言ったらどう?」

 

(不利益にならない?どういうことだ?)

 

「……なるほど、そういうことですか。 それならば、報告がなかったのも頷けます」

 

 アインズはナザリック最高の頭脳を持つ二人の会話に置いてけぼりにされていた。 ふと、他の守護者を見やれば──どうやらパンドラズ・アクター以外はアインズと同じく理解出来ていないようだった。

 ここでアインズは悩んだ。皆が──守護者が望む支配者としてのアインズ・ウール・ゴウンを演じるか否か。 この世界に来てはや数ヶ月、既に守護者が謀反を起こすなどということは無いと判断しているが、それはそれとして守護者たちの理想を、期待を裏切ってしまうのではないかという不安がある。

 だがしかし、知ったかぶりをするのは自分を信じてくれている守護者に不義理ではないのかと判断し──

 

「デミウルゴス、お前が理解したことを皆に話してみよ。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう告げた。

 すると、守護者たちは驚きを隠せず一瞬だが空気が騒めいた。

 

「ア、アインズ様、その様な御冗談を──」

 

「いや、そうではない。 実際のところ、我々(アインズ・ウール・ゴウン)はこういった問題が起きた時はとある手段によって解決していてな。その際にまずは互いの主張を細かに聞き、多数決で判断を下していたのだ」

 

 その言葉に守護者たちは至高の御方がそのような問題の解決をしていたのかと知り、頬を緩める。

 そう、アインズ──モモンガがかつてこのナザリック大地下墳墓を攻略したときに作ったルールは、今この時活かすべきだと判断したのだ。

 

「故に、今回もその(ルール)に倣おう。その為に、ナザリック最高の智者であるデミウルゴス、お前の理解したことを聞きたい」

 

「──かしこまりました。至高の御方の法に従わせていただきます」

 

「ああ、頼む。

 それと──お前たちの望むような全能の主人でなかったことをここに詫びよう」

 

「……何をおっしゃいますかアインズ様。我ら守護者は御方々に創造された身。唯一残られたアインズ様に頼られ喜ばぬ者がナザリックにおりましょうか」

 

 デミウルゴスは深く頭を下げ、守護者へと向き直る。

 守護者たちはアインズに決して失望しておらず、むしろ至らない点は我々に任せてくれとばかりに張り切っていたように見えた。

 

(……ああ、これで良かったんだな。これがある意味理想の形なのかもしれない)

 

 最初にパンドラズ・アクターに頼ったことにより、自分に出来ないことは他人に頼るという選択肢が生まれたアインズはかつての仲間たちの子供とも言えるNPCと手を取り合う選択を取ることができた。

 これによりアインズと守護者の関係性は原作とは少し変わることとなる。

 そのひとつとして、この日ナザリックにおいて在りし日の仲間たちとのルールが蘇ることとなった。

 

 

「今回のこの公開御前試合は、いわばナザリックとしての力を世に知らしめるためのものだという事だ」

 

「知らしめる? でもさっきは情報は知られていない方がいいって言ってたじゃん?」

 

「そうだねアウラ。それには同感なのだが──それには我々のことがある程度知れ渡っていないといけないんだ」

 

「知れ渡っていないといけないのに、知られてはいけない?」

 

「では順を追って話そう。まず、神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国が建国した時、この国の神として君臨されたのはアインズ様なのは理解しているね?」

 

「それは当然でありんす」

 

「ソノ通リダ」

 

「だが──この国の前身であるスレイン法国と戦い力を示したのは?」

 

「……我々デハナク、アレーティア様ダナ」

 

「そう、帝国とアレーティア様だ。我々ではない。 そんな状態でアインズ様はその御力を披露されたが我々はどうだい?」

 

 現在、ナザリックの守護者たちは魔導神の従属として表でも活動しているが、大っぴらにその力を振るったことはない。

 神としての奇跡を起こし、その力を見せつけたのはアインズだけだった。

 

「この国で最もその力を披露したのはアインズ様とアレーティア様だ。

 そして、アレーティア様は元々粛清騎士としての活動が知られ恐れられているが、我々は違う。

 人間からしたら悪魔やダークエルフ、吸血鬼に蟲の亜人程度にしか思われていないだろう」

 

「……それは不快でありんすね」

 

「だが、我々はこの力を見せてはいない。人間如きでは我々とのレベル差を理解できないのだ。

 ──だからこそ、この公開御前試合が活きるというわけだ。この場でこの世界最高峰の実力を持つであろうアレーティア様と我ら守護者が戦うことによって我々の持つ力を世に知らしめることが出来る、というわけだよ」

 

「なるほど、そういうことだったか」

 

 確かにそれなら納得出来る。要は今のままだと神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国という国はバハルス帝国、ひいてはアレーティアという人物によって祭り上げられたという風に見られているということだ。

 それを打開するのに、この御前試合はうってつけだった。

 

「勿論、こちらも手の内をひとつ晒すことになるのでデメリットもありますが、この結果次第では我らを軽んじるような者はいなくなるかと」

 

 そうデミウルゴスが話を締めた。

 

「デミウルゴス、解説ご苦労だった。

 さて、このデミウルゴスの話を聞いた上で皆に問おう。この御前試合、受けるか否か。

 受けるべきだと思う者は諸王の玉座の右側に、受けるべきではないと思う者は左側に立て。数の多い方を採用とする」

 

 アインズが手を叩き移動を促す。

 そうして各々が自らの考えに従い移動し──。

 

 

「決まりだな。 では、今回の御前試合は受けることとする。では次に会場やアレーティア殿との今後の交渉についても話し合おう」

 

 御前試合は受け入れられることとなり、その後の話し合いも恙なく進んでいった。

 

 

 

 





アレーティア
罠という名の餌でナザリックの協力を取り付けた我らが主人公。
なお、当の本人はそこまで考えていない。

ラナー
ナザリックと協力関係にある。
とある計画を裏で進めていた。それが成就した際にとある報酬を約束されている。

アインズ様
今回の一件で自分が守護者たちが思うより凄い人じゃないんだよという事を伝えられて、肩の荷が少し下りた。
昔を懐かしみながら、今後はかつての仲間の面影を残すNPCたちといい方向に進んでいってる。
なお、あそこで原作と同じムーブをしていたらバッドエンド直行の可能性があった。

守護者たち
原作と同じくアインズに仕えているが、今回の一件で我々でアインズ様をお支えするのだ!という思考になる。いや、原作とそのスタンスは変わっていないが、アインズが素を晒したことでより力になれると張り切っている。

るし☆ふぁー
至高の四十一人のひとり。ナザリックの困ったちゃん。
アインズがアレーティアと同じような人物だと感じた。
なお、アレーティアのお気に入りの武器の名は明けの明星(ルシファー)である。



次回は帝国サイドの話を書いて、御前試合になりますかね。
戦う相手は一体誰になるのか。どうぞ予想してお待ちください。


感想、高評価、お気に入り、ここすきなどあるとモチベーション上がりますのでよろしくお願いします!


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