空の追憶   作:西条

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第4話 合縁奇縁

「「…………」」

 

 ひぅ、と小さく喉が鳴る。

 威圧感のある漆黒のローブ。脂っぽい黒髪に、奥の瞳は昏く冷たい。

 

「………………」

「あ、わわわ、う……」

 

 蛇に睨まれたカエルの気分だ。冷たい汗が背中を伝う。目を逸らしたいのに、逸らせない。

 金縛りにあったように動けなくなって、ただぷるぷると身を縮こまらせた。

 

「………………、まったく……」

「ひぁあぅ、あっ、ごめんなさいぃっ」

「まったく、貴様という奴は……」

 

 眉間に消えぬ皺をくっきりと刻み込んだ、その人は──

 

「アキ・ポッター! 貴様の娘が私を見て泣き出すのは、いい加減どうにかならんものか!」

 

 セブルス・スネイプ教授は苦り切った表情で、声を張り上げわたしの父の名を呼んだ。

 

 

 

 

 

「だってそれは、教授がにこりともしないのが悪いよ。教授の無愛想ヅラは、子どもにとっては怖いのさ」

 

 父はケラケラと笑っている。父の腰にしがみついたまま、わたしはそうっとスネイプ教授を見上げた。

 

 日本から英国へと戻ってきて、早三日。わたしたちは父と共に、幼馴染のスコーピウス・マルフォイの家を訪れていた。

 普段は夜にしか家にいない父は、ホグワーツが休みの間はずっと一緒にいてくれる。それでも自宅にいることは稀で、大体誰かのおうちにお呼ばれするのが日常だ。今回もそう。

 

 スコーピウスのお母さん、アストリアおばさんは、ここ数年ずっと病で臥せっている。

 血の呪いというものらしい。ご先祖に掛けられたその呪いは、アストリアおばさんの華奢な身体を、今もずっと蝕み続けている。

 

 スネイプ教授は、父がまだ学生の折、ホグワーツで魔法薬学の先生を勤めていた人だという。

 父と仲が良いようで、こうしてスネイプ教授が教職を退いてからも、わたしたち家族とはずっと交流がある。それこそ、わたしが赤ん坊の頃から見知っている人……

 

 では、あるのだが。

 

「それでも、だ! 毎度毎度のことなんだぞ! いい加減慣れても良い頃だろうに!」

「あっはっは、教授にもまだ、子供にビビられて傷つく心があるとは驚きだなぁ。私の記憶が正しければ、教授ってば、自寮の生徒にはともかくとして、他寮の子が相手だと、それこそ怖がられて当然とばかりにいたぶってたようにも思いますが?」

 

 父の笑いまじりの声に、苦虫を噛み潰したような顔でスネイプ教授は黙り込む。眉を寄せてわたしを見下ろす教授に、ひゃあと声を上げて父の後ろに隠れた。父はわたしの頭をぽんと撫でる。

 

「教授、だからあんまり睨んじゃダメだって」

「睨んだつもりはない、これが私の素の目付きだ」

「うっわ、だから怖がられるんだよ。そう言えばアリスも、ソラにはすっごい怖がられてたっけ。やっぱ目付きが悪いのがいけないんだと思うよ?」

「貴様の息子の方は、私を見てもちっとも怖がる気配がないんだが?」

「そりゃあきっと、教授ってばヒカルに舐められてるんだ。歳上の威厳というものをもっと表に出すべきだね」

「貴様は一体、私にどうしろと言うのだね!」

「──あなたたち二人は、相も変わらず仲がいい」

 

 と、そう笑いながら登場したのは、スコーピウスのお父さんであり、この屋敷の主人でもあるドラコおじさんだ。

 

「アキ、そしてスネイプ先生、来てくれて嬉しいよ。充分なもてなしが出来ず申し訳ない」

 

 そう言って微笑むドラコおじさんに、父も笑顔を見せる。

 

「構わないよ。ドラコ、少し痩せたかい?」

「あぁ、えっと、まぁ……ソラも、来てくれてありがとう。スコーピウスも喜ぶことだろう」

 

 わたしの目線に合わせるよう、ドラコおじさんはそっと片膝をつくと笑った。

 

「は……はい」

 

 頷いて、また父にしがみつく。そんなわたしに、ドラコおじさんは苦笑した。身を起こしては、父とスネイプ教授に向き直る。

 

「アクアとヒカルは、今日は?」

「アクアは緊急の呼び出しでね。ヒカルの方は、ジェームズのところに行っちゃったよ。放置していた宿題を手分けしてやっつけたいらしい」

「あぁ……確か、ヒカルは三年生になるのだっけ」

「手のかかる悪戯坊主たちだよ。スコーピウスは今年入学だろう? ソラと一緒だ」

「君の娘と同級生というのは、なんだか少しホッとするな」

「そいつは光栄だね」

 

 アストリアの元へ案内しよう、と言って、ドラコおじさんは歩き出した。その後ろを連れ立って進む。

 

「血の呪い、だそうだな」

 

 静かな声で、スネイプ教授は呟いた。ドラコおじさんは「ええ」と肯定する。

 

「とても旧く、そして強大な呪いです。グリーングラスの血に掛けられているとなると、事はアストリアだけの問題ではない。彼女の姉、ダフネ・グリーングラスだって呪いが発現する可能性はあるし、私の息子のスコーピウスだって……」

 

 一瞬目を伏せたドラコおじさんは、やがて瞳に強い光を灯した。

 

「だから、なりふり構ってはいられないんです」

「……そうか」

 

 スネイプ教授は言葉少なに頷く。

 やがて、ある一室で、ドラコおじさんは足を止めた。「アストリア、入るよ」と優しい声で尋ねかけ、静かに扉を開け放つ。

 

「父上」

 

 アストリアおばさんの眠るベッドに軽く腰掛けていたスコーピウスは、わたしたちを見て慌てて立ち上がった。

 

「スコーピウス、ここにいたのか」

「その、ごめんなさい。邪魔ならすぐに出ていきます」

「構わないさ。ね、教授?」

 

 父が朗らかに言う。教授は黙って首肯した。

 

 ベッドに横たわるアストリアおばさんは、見るたび痩せ細っていくようだ。浅い呼吸に、毛布で覆われた胸が上下する。

 アストリアおばさんは、そっと目を開けては父たちを見、微かに微笑んだ。

 

「あぁ……アキに、ソラじゃない。それに、スネイプ先生。会えて嬉しいわ……すみません、こんな姿で」

 

 見た目通りのか細い声だった。

 身を起こそうとするアストリアおばさんを、そっとドラコおじさんが押し留める。

 

 普段通りの笑みを浮かべたまま、父はアストリアおばさんの元に歩み寄った。

 

「こんにちは、アストリア。前に会ったときより、ずっと顔色が良くなった。少し安心したよ」

「あら、わかります? ……以前、あなたに先生を紹介して頂いたでしょう? あれから、だいぶ調子がいいの」

「あぁ、ライ先輩。それは良かった、紹介した甲斐がある……彼はグリフィンドール筋だから、君は少し抵抗があるんじゃないかと思っていたんだけど」

「そんなこと……スコーピウスの成長を、できる限り長く見ていたいの。そのためなら、私、なんだってするわ……」

 

 父がアストリアおばさんと話している横では、スネイプ教授がサイドテーブルに置かれている処方箋の中身をチェックしている。

 どうしよう、わたし、邪魔じゃないかな。そう思った瞬間、アストリアおばさんにそっと名前を呼ばれた。

 

「あ、う、はいっ」

 

 そろそろとアストリアおばさんに近づく。と、おばさんは笑顔でわたしの両頬に手を当てた。

 

「来てくれてありがとう、ソラ。ソラも、スコーピウスと同じで、もうじきホグワーツに通うのね……大きくなったわ」

 

 骨と皮ばかりのアストリアおばさんの手は、白く冷たい。その手に、自分の手を添えた。

 

「うん。アストリアおばさんは、ホグワーツって楽しかった?」

 

 わたしの問いかけに、アストリアおばさんはうんと優しい目をする。

 

「……えぇ。とぉーっても、楽しかった……大変な時代だったけれど……いろんなことが、あったけれど……それでも、とっても、楽しかったのよ……」

 

 アストリアおばさんの腕から力が抜けた。支えると、そっとベッドに戻してやる。

 

「アストリア、もう疲れただろう。私たちはもう少し下で話しているから、何かあったら呼んでくれ」

 

 ドラコおじさんが声をかけた。えぇ、とアストリアおばさんは頷く。

 

「来てくださって、ありがとう……まさかスネイプ先生がいらっしゃるなんて、思いもしなかった。また、来てくださいますか?」

「あぁ、必ずや」

 

 スネイプ教授の返事に、アストリアおばさんは嬉しそうに笑った。

 

「スコーピウスをよろしくね、ソラ」

 

 そう囁くアストリアおばさんに、にっこり笑って手を振る。

 わたしたちは、そのまま廊下へ出た。階下へ向かって歩いていく。

 

「どう見る?」

 

 父の低い声に、スネイプ教授は素早く答えた。

「現状、シュレディンガーの治療で一時的に良くなっているというのなら、対処の余地はまだある」

「あの人はマグルの薬学にも手を出していたからね。当たりはそちらが近いかな。他のアプローチとするならば──血の呪い。過去のマレディクタスの例は?」

「かつて、ナギニがそうであったとの噂はあった。が、遺骸はもうないだろう」

「聖マンゴで過去の治験を当たれないかな? 教授の血清、残ってたりしない?」

「あれの毒は、貴様が大半を中和してしまったんだぞ。貴様の方が詳しいのでは?」

「あー、あれは幣原が魔法式を組んだやつだから、真似をするのはちょっとなぁ……」

 

 教授と父は、何やら難しそうな話をしている。

 スコーピウスはそのままアストリアおばさんの元に残るのかなと思っていたけれど、わたし達と一緒についてきた。

 わたしの隣に並ぶと、挨拶もなしに呟く。

 

「『スコーピウスをよろしくね』だって。僕は君に『よろしく』されなきゃいけない立場だったのか、知らなかったな」

「言葉の綾だよ、スコーピウス。わかってるでしょ? お母さんは、君のことが心配なんだ」

「そんなこと、わかってるよ……わかってるんだ。でもさ……」

 

 スコーピウスは、なんだか少し苦しげだった。やがて、悔しそうに口を開く。

 

「こうして……きみの父上だったり、いろんな人が、母のために力を貸してくれている。それなのに、僕は、母のために何もしてやれない。それが……」

 

 悔しいんだ、と、スコーピウスは吐き捨てた。

 

「……何、言ってんのさ」

 

 だからわたしは、スコーピウスの額をぴんと弾いてやった。スコーピウスはおでこに両手を当てては、信じられないといった顔でわたしを見返す。

 

「スコーピウスがここにいるから、アストリアおばさんは生きようとするの。スコーピウスがいるから、一緒に生きていたいと思うの。……そんなの、スコーピウスはもう、知ってるはずだよ」

「…………、はは。違いないや」

 

 痛そうにおでこをさすりながら、それでもスコーピウスは、わたしに笑顔を見せてくれた。

 

 

 

 

 

 マルフォイ家の地下には大広間がある。真ん中に据えられた大きなテーブルは、大人数での会議にだって役立ちそうだ。でも今日は、そのテーブルに既についているのは、たったの三人しかいなかった。

 

 そのうちの一人であるシリウスおじさんは、ドラコおじさんに連れてこられたわたしたちを──正確には、スネイプ教授を──見て目を剥いた。

 

「スネイプ!?」

「ブラック!!」

 

 立ち上がったシリウスおじさんと、スネイプ教授はしばし睨み合う。

 そこで父がため息をついた。軽く眉を寄せながら、ドラコおじさんに問いかける。

 

「なるほど、なるほど、こういう……もしかして、今日私が呼ばれたのは、彼らの仲裁をするためかい?」

「いや、その、勿論、アキの意見も当然、聞きたかったのもあり……ただ、うん、まぁ、一概に否定は、できないかな……」

 

 ドラコおじさんはしどろもどろだ。

 はいはい、と父は肩を竦めた。大股で二人の元へと歩み寄っては、今にも杖を抜かんとしているシリウスおじさんとスネイプ教授に「はーい、ストップ、ストーップ」と割り込む。

 

「アキ!」

「貴方達、懐かしの旧友と久方ぶりの再会に喜ぶのはいいけどね、ちょっとはしゃぎすぎじゃないかな?」

「「喜んでない!!」」

「はい息もぴったり、仲良き事は美しき哉。それでも家主に少しは気を遣おうか。時間は贅沢品だからね」

 

 父の言葉に、シリウスおじさんとスネイプ教授はしぶしぶ矛を収めたようだ。最後に互いを睨み付けあっては目を逸らす。

 

「ユークおじさん!」

 

 シリウスおじさんの正面の椅子に腰掛けていたのは、母の弟でもあるユークレース・ベルフェゴールだ。わっと駆け寄ったわたしを、ユークおじさんはにっこり笑って抱き留める。

 

「お久しぶりです、ソラ。一昨日まで日本にいたんでしたっけ。だったら『おかえりなさい』と言うべきですかね?」

「あ、うん、そうなの。ただいま、ユークおじさん。お土産もあるんだよ」

「それは楽しみです。良い旅行になったことでしょう」

「うん、とっても楽しかった。アレクは元気? あとで、ユークおじさんのとこに行ってもいい?」

「えぇ、今日の夜にでも、姉上やヒカルを連れて来てください。アレクが喜びますよ。あ、アキ・ポッターは来なくていいです、邪魔なので」

 

 ニコニコしながら、ユークおじさんはさらりとそんなことを言う。父は頬を引きつらせていた。

 とそこで、シリウスおじさんが私の方へ身を乗り出しては笑いかける。

 

「ソラ、私にも挨拶してくれよ」

「あっ、ごめんね。シリウスおじさんもピーターおじさんも、なんだか久しぶり」

 

 シリウスおじさんの隣にいるピーターおじさんにも声を掛けると、ピーターおじさんはにこっと笑って手を振った。

 ピーターおじさんは、シリウスおじさんの元で働いている。「私が見張っておかないと」とシリウスおじさんは言っていたっけ。見張っているというけれど、実際は秘書のようにいつも隣に付き従わせている、って感じだ。

 

 パン、とドラコおじさんが、仕切り直すように手を叩いた。今から真面目な話が始まるらしいと、わたしは慌ててスコーピウスの隣に行く。

 

「さて。忙しい中、今日は我が妻、アストリアのために集まってくれてありがとう。早速だが、今回あなた方を呼んだのは、なりふり構ってはいられなくなったからだ。ブラック家当主にベルフェゴール家当主、あなた達の人脈が欲しい」

「本当になりふり構ってないな。ルシウス・マルフォイが聞けば、そんな戯言は笑い飛ばすだろう。溺愛した息子がまさか、あの血を裏切った出来損ないのブラックに縋るなど、と」

「零落した名門、名ばかりのスリザリン派閥ですね。そもそも派閥だなんて、もはや意味など成しません。今ここにいるスリザリン卒業生は、貴方とスネイプ教授のたった二人。過半数なんて、とうの昔に割っていると言うのに」

 

 シリウスおじさんが鼻で笑った。ユークおじさんも笑みを浮かべて肩を竦める。

 ドラコおじさんは、落ち着き払った声で言った。

 

「時代は変わった。寮の垣根は何ら重要ではない。そんなことに、卒業してから思い知らされる。……出身寮は違えど、それでも魔法界に重要なパイプを持っているのは名門旧家のあなた方だ。今は喉から手が出るほど、人脈と情報が欲しい。アストリアを助けるためなら、なんだってする……でも、私の力だけでは足りないんだ。あなた方の力が必要なんだ。頼む、どうか……アストリアを、私の妻を、助けてください」

 

 頭を下げたドラコおじさんに、しんとした空気が部屋を包む。

 沈黙を破ったのは、父だった。指を組むと口を開く。

 

「……さて。何から始めようか。ホグワーツの蔵書は、禁書の棚も含め一通り攫った」

「ブラックの蔵書は古いが、その分ホグワーツよりも曰くのあるものが五万と揃っている。後で確認しておこう」

 

 シリウスおじさんが即座に続いた。

 あまりにも自然に議論が始まる。

 

「新規の論文に関しては、魔法薬学会から取り寄せが可能だ。査読前のものも手に入れられるツテがある。王立図書館は?」

「あそこは『中立不可侵』の領域ですが、アリス・フィスナーに協力を求めるのは容易いでしょう。ベルフェゴールは本の類はあまり取り扱っていませんが、錬金術と心理学は得意分野です」

「魔法省も聖マンゴも『中立不可侵』。思うが、フィスナーの対応領分はどうも広すぎないか? かつてはともかく、今は分家も滅びて直系しか残っちゃいないだろう?」

「だからあそこは激務なんだよ。下手に権限を他所へ譲渡したくはないのだろうね。ただ、ディゴリー家と手を組むことを考えていると言っていた」

「ハッフルパフの名門か。悪くない選択なんじゃないか? 貴族と言うほど肩肘張ってはいないが、魔法大臣輩出家系だし、英国魔法界への忠誠は尽くすだろう」

「兎にも角にも、『中立不可侵』フィスナーと、英国最大手のサリューマン研究所が身内にいるのはやりやすいな。そういやアキ、知ってたか? ライ・シュレディンガー、あそこの局長に就任したらしい」

「聞いた聞いた、あの人なら納得だよ。この会合に彼も呼べば良かったのに」

「呼んだんだが、今日は妹の結婚式ということでオーストラリアだと。申し訳ないと連絡が来ていたよ」

「マジで!?!?」

「国内はわかりました。国外はどうですか?」

「ブラック家がホグワーツの理事であった時代には、他校との交流も多かった。そこから探ってみよう。ヨーロッパ一帯なら、大凡はカバーできる」

「ベルフェゴールも事業は手広くやっています。お望みならばマグルとの接点だって用意できそうです」

「ならばMACUSA──アメリカ合衆国魔法議会あたり、誰か繋がりがあったりはしないか?」

「グリンデルバルドの有事の際に、闇祓い間で多少繋がりがあったとは聞いているよ。だいぶ昔の話ではあるけれど、何人かはまだコンタクトが取れるはずだ」

「よし、ピーター、お前行け」

「えっ私が!?!?」

「オッケー。東洋魔術なら私に任せてくれていい。それじゃあマグルの医学について、何か知見がある者は?」

 

 スコーピウスはぽかんとした顔で、大人たちの議論をただ見つめていた。灰色の瞳が落ち着きなく揺れている。

 

「……ねぇ、ソラ? ひとつ、聞いてもいい?」

 

 スコーピウスの声は、僅かに震えていた。

 

「……母さんは……助かる、かなぁ?」

 

 スコーピウスの問いに答える代わりに、スコーピウスの手に手を重ねる。冷たいその手を、そっと握り込んだ。

 

 アストリアおばさんが助かるかどうかなんて、誰にもわからない。

 未来がどうなるかなんて、誰にもわからない。

 

 ──それでも。

 それでも、さぁ。

 

「きっと、大丈夫だよ」




合縁奇縁……人と人との気心が合うも合わないも、どれも全て不思議な因縁によるものだということ。
生きている者達がわちゃわちゃしている世界です。
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