夢原のぞみがロジャー海賊団に出会って色々頑張る話   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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アニメのロリウタちゃん可愛かったね。
あんな子でも容赦なく曇らせる尾田先生…さすがだぜ。


覚悟を決めろ

のぞみがロジャー海賊団の船員として加わってから、早くも数週間が過ぎた。

 

 

「おーい、のぞみ!起きろー‼︎今日の甲板掃除は俺達だぞ‼︎」

 

「えへへ…このハンバーグ美味しい〜♪」

 

「寝言言ってねェで起きろォ!この寝坊助ェ‼︎」

 

「ふぇ⁉︎」

 

 

ハンモックの中で寝息を立てていたのぞみは、バギーにスパコーン‼︎と額を叩かれ、飛び起きるも勢い余って床に転げ落ちる。

 

 

「痛たた…。もう!何すんのよバギー!」

 

「何すんのよ!じゃねェ!ほら、さっさと着替えて甲板に来いよ!シャンクスと俺は前部をやっとくからお前は後部な!」

 

 

バギーはそう言うと、のぞみを置いて足早に部屋を出て行く。

 

 

「掃除………あーっ‼︎今日は掃除当番だった‼︎」

 

 

漸く目が覚めたのぞみは、慌てて服を着替えて甲板へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

爽やかな太陽の日差しが降り注ぎ、波は穏やか。

潮風が心地良く吹く中で、のぞみはブラシを手に甲板の掃除に精を出していた。

 

 

「お、終わんない…広過ぎだよ〜!」

 

 

オーロ・ジャクソン号の甲板は意外に広く、思わず泣き言が口を吐いて出てしまうのぞみ。

とは言え手を止める訳にもいかないので、なんだかんだ言いながら手は動かし続けているが。

 

 

「よう、のぞみ!朝から寝坊したんだって?」

 

 

後ろから声を掛けられたのぞみが振り返ると、其処にはサングラスを着けた男…ギャバンが笑いながら立っていた。

 

 

「ギャバンさん!え、え〜とその、つい………」

 

「ハッハッハ!まあ済んだ事は仕方ねェさ。この船にはもう慣れたか?」

 

「は、はい。まだ、少しだけですけど………あはは」

 

「ま、直ぐに慣れるってのは無理だろ。ウチの船長も破天荒だからな。少しづつ慣れてきゃいいさ」

 

 

そう言って、ギャバンはバシバシとのぞみの背中を軽く叩くと歩き去って行く。

 

 

「のぞみー!そっちはもう終わったのか?」

 

「あ、シャンクス!ちょうど良い所に…って、ヘブっ⁉︎」

 

 

様子を見に来たシャンクスに気を取られ、足元のバケツに足を取られた

のぞみは派手に水をぶち撒けながら転んでしまう。

 

 

「あー…大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫…。またやっちゃった………」

 

 

若干気まずそうに、床に転がるのぞみに声を掛けるシャンクス。

因みに、のぞみがバケツをひっくり返すのは何時もの事であるとして、ロジャー海賊団では周知の事実と化している。

 

 

「気にすんなって。俺達の方はもうすぐ終わりそうだから、終わったら手伝うよ。俺とバギーとのぞみの3人でやれば一瞬さ。さっさと終わらせて、何かうまいもんでも食おうぜ!」

 

「ホントに⁉︎ありがとう、シャンクス〜!よーし、そうと決まれば掃除を一気に終わらせちゃうよ!けって〜い‼︎」

 

「おい、のぞみ!床濡れてんだからあんまり動くと転け「あだらばっ⁉︎」………やれやれ」

 

 

またも足を滑らせてドスン!と尻餅をつきながら転ぶのぞみの姿に、シャンクスは額に手を当てながら、思わず溜め息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

掃除がひと段落した後、オーロ・ジャクソン号の甲板で、のぞみ・バギー・シャンクスの3人は寄り集まって色々な話題に花を咲かせていた。

 

 

「そう言えば前から気になってたんだけど、シャンクスのそれって本物なの?」

 

 

のぞみがシャンクスの腰に差してある剣を指差しながら問い掛けると、シャンクスは勿論だと言って剣を抜いて見せた。

 

 

「俺達は海賊だからな。偽物を持ち歩いてる奴なんて居ねェさ」

 

「俺だって持ってるぜ。海賊なんだから当然だろ!」

 

 

バギーもそう言うと懐から複数のナイフを取り出して見せる。

平和な日本での生活ではまず見る事のない代物に、のぞみは興味半分怖さ半分で眺めていた。

 

 

「ちょっと持ってみるか?」

 

「え?いいの?でも………」

 

「いいよ。何だ、もしかして怖いのか?」

 

「む!こ、怖くなんかないもん。ほら!」

 

 

若干ムキになりながらも、のぞみはそーっと剣の柄を握って剣を構える。

 

 

「ギャハハハ!似合わねー!」

 

「ちょっと!それどういう意味よ、バギー!」

 

 

バギーからすれば、のぞみの剣を持っている姿が面白かったのか、ゲラゲラと腹を抱えて笑いながら転がり回る。

 

 

「そんなに笑わなくたっていいじゃない。ふーんだ!」

 

「あーあ。のぞみが拗ねちまった。お前の所為だぞ、バギー」

 

「ハァ⁉︎シャンクス、お前だって笑ってたじゃねェか!俺だけが悪い訳じゃねェだろ⁉︎」

 

 

シャンクスに剣を返し、プイッ!とそっぽを向くのぞみ。

肩を竦めて笑うシャンクスと騒ぎまくるバギー。

なんだかんだで仲が良いのか悪いのかよくわからない3人組だった。

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

「のぞみ、悪かったって!機嫌直せよ。ほら、面白いもん見せてやるからさ!なあ、バギー?」

 

「……!ああ、そうだ!スゲェの見せてやるからよ!」

 

「………ホントに面白いの?」

 

 

ジト目で振り返ったのぞみが、訝しげにシャンクスとバギーを見ると、2人は何やら目算があるのか自信満々の表情を浮かべた。

 

 

「あったりめェだろ!よし、シャンクス!早速やってくれ!」

 

「おう、任せろ!いくぞ………!」

 

「え?ちょ、ちょっと!何してるの⁉︎」

 

 

両手を広げたバギーが言うと、シャンクスは徐ろに剣を抜いて身構える。

急に剣を抜いたシャンクスに、のぞみは困惑しながら問い掛けるも彼は「よ〜く見とけよ〜!」と言い、剣をバギーの右腕に振り下ろした。

 

 

「きゃあっ⁉︎何してるの、シャンクス⁉︎びょ、病院に…いや救急車………⁉︎」

 

「落ち着けって!大丈夫だからさ、見てみろよ!」

 

「え………⁉︎」

 

 

シャンクスが斬られたバギーの右腕を指し示すと、不思議な事に腕からは血の一滴も出てはいない。

それどころか、斬り落とされた腕が起き上がると、フワフワと宙を漂いながら元の位置に戻っていく。

斬られたバギー本人も全く痛がる素振りを見せず、イタズラが成功したかのような笑みを浮かべている。

何が起こっているのか分からず、頭に???のマークが浮かび、ますます混乱するのぞみ。

 

 

「驚いたか?これが俺の『悪魔の実』の能力だぜ!」

 

「あ、悪魔の実…?手品とかじゃなくて?」

 

「あー…そういや、のぞみは悪魔の実の事を知らないんだよな」

 

 

悪魔の実という聞き慣れない単語に首を傾げると、シャンクスが悪魔の実について何も知らないのぞみにも分かりやすく解説を始める。

 

 

「悪魔の実は『海の秘宝』『海の悪魔の化身』と呼ばれている不思議な果実で、一口でも食べると実に宿っている特殊な能力を手に入れることが出来るんだ。『超人(パラミシア)系』『動物(ゾオン)系』『自然(ロギア)系』ってな感じで色々な種類もある。んでもって、バギーが食べたのは超人系の『バラバラの実』だな」

 

「その通り!俺はバラバラの実のバラバラ人間!体のあらゆる部分をバラバラにして動かしたり出来る!どうだ、スゲェだろ!」

 

「へー…!悪魔の実かぁ…バギーって凄いんだね!」

 

「おうともよ!もっと俺を褒めたって構わねェぞ!」

 

 

得意気に自身の能力をのぞみに自慢するバギー。

そんな2人のやり取りを見ていたシャンクスは、近くにあった海水の入っているバケツを手に近寄って行く。

 

 

「だけど、悪魔の実は凄い能力が得られる代わりに弱点もあるんだ。こんな風に。そらっ!」

 

「お、おい!シャンクス…海……水…ぶっかけんじゃ…ねェ…よ……」

 

 

バッシャーン!とバケツに入っていた海水がバギーにぶち撒けられる。

すると、どう言う訳かバギーがヘナヘナと脱力し、床にへたり込んでしまう。

 

 

「バギー⁉︎大丈夫⁉︎」

 

「これが悪魔の実の最大の弱点。悪魔の実を食べた人間は海に嫌われてカナヅチになっちまうんだ。しかも海水を浴びると、こんな風に脱力して力が入らなくなっちまう」

 

「そうなんだ………。シャンクスも能力者なの?」

 

「俺は違うさ。でも腕っ節には自信あるぜ」

 

 

海水を浴びた事で脱力するバギーは自分を尻目に会話している2人を見ながら「シャンクス〜…後で覚えてろよ〜!」と恨めしげに呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

ロジャー率いるロジャー海賊団とオーロ・ジャクソン号は、唯ならぬ喧騒に包まれていた。

それもその筈、海賊にとって最大の敵ともいうべき存在『海軍』の軍艦がオーロ・ジャクソン号の行手を阻むかのように現れたからだ。

 

 

 

 

 

「今日という今日こそは、お前をとっ捕まえて牢にぶち込んでやるぞロジャー‼︎」

 

 

「ガープ…!お前もしつこいな!」

 

 

 

 

 

オーロ・ジャクソン号に船を接舷させ、意気揚々と飛び乗ってきた男…海軍中将ガープの拳とロジャーの剣が交差すると、ドォン‼︎という衝撃波が辺りを駆け抜け、戦闘が始まった。

 

 

「バギー!何なの、あの人⁉︎」

 

「ありゃ、海軍のガープだ。昔からロジャー船長を追い回してるバケモンだよ!」

 

 

バギーの説明を受けながら、のぞみは壮絶な戦いを繰り広げる2人を視界に収めつつ驚嘆する。

 

 

「海兵がこっちにも来る!やるしかねェ!」

 

 

シャンクスがそう言って剣を抜くと、彼の言う通りガープに続いて乗り込んできた海兵が幾人かのぞみ達の方へ向かってくるのが見えた。

 

 

「後ろは任せたぜ、バギー!」

 

「おうよ!派手にやってやらァ!」

 

 

互いに笑みを浮かべて海兵達へと立ち向かっていく2人。

 

 

「ま、待ってよ2人とも!」

 

 

バギーとシャンクスを追いかけようと、駆け出すのぞみ。

しかし、そうは問屋が下さんとばかりに海兵が立ちはだかる。

 

 

「お前も海賊か⁉︎子供だろうと容赦はしないぞ!」

 

「ひぃっ⁉︎もうやだぁ!」

 

 

ブン!と振り下ろされる剣を間一髪で避けながら逃げ惑うのぞみ。

平和な日本で生きていた彼女にとって、剣戟と銃弾が飛び交うこの世界は余りにも酷であった。

 

 

「ハァッ、ハァッ…!あ痛っ‼︎」

 

「ちょこまかと逃げやがって!終わりだ、海賊め!」

 

 

走り疲れ、足がもつれて転んだのぞみ目掛けて海兵の剣が勢いよく振り下ろされる。

しかし………。

 

 

「貴様………⁉︎」

 

「ハァッ、ハァッ……私は、もう逃げない!逃げたくない…!」

 

 

偶々落ちていた剣を拾い上げ、咄嗟に受け止めたのぞみ。

先程までみっともなく逃げていた少女が、予想外の抵抗をしてきた事で海兵にも僅かに動揺の色が浮かぶ。

ここに至り、のぞみは遂に逃げる事を止めた。

この世界は平和だったあの世界とは違う。

どんなに辛く過酷であろうとも、生き残る努力をしなければならない。

そして何より、のぞみには帰らなければならない場所がある。

両親、親友、学園………。

いつか帰るその時まで、生きていかなければいけない。

逃げてばかりでは駄目なのだ。

 

 

 

 

「逃げてばかりの自分は嫌!私は、帰らないといけない場所があるの!だから、貴方に負けてられない!」

 

 

「こ、このガキ…!」

 

 

 

 

強引に剣を弾き返したのぞみは、立ち上がると無我夢中で剣を振り回す。

剣術も何もあったものではない無茶苦茶な攻撃だが、それでも海兵の体勢を崩すには充分だった。

 

 

「うっ…‼︎やりやがったな…!」

 

 

「………っ!もういいでしょ⁉︎それ以上こっちに来ないで!」

 

 

僅かに掠ったのか、海兵の腕から血が流れ落ちるのを見たのぞみは、表情を曇らせるも身構えたまま動かない。

互いに出方を窺いつつ、膠着状態になる2人。

そんな状況を打ち破ったのは、彼方から飛んできた他の海兵だった。

 

 

「な、何だ⁉︎うわああああっ⁉︎」

 

 

のぞみと対峙していた海兵も別の海兵に巻き込まれる形で吹き飛ばされ、海へと落下していく。

何が起こったのか分からないのぞみが、海兵達の飛んで来た方を見ると、そこには体格の良い1人の男が佇んでいた。

 

 

 

 

「邪魔なんだよ、雑魚が…!」

 

 

「ダ、ダ…ダグラス・バレットだァ〜〜〜〜‼︎」

 

 

 

 

海兵からバレットと呼ばれた男は詰まらなさそうに自身を取り囲む彼等を一瞥すると無造作に拳を振るう。

拳が振るわれるたびに塵芥のように吹き飛ばされていく海兵。

 

 

「凄い………!」

 

 

一方的な蹂躙ともいうべきバレットの戦いぶりに、思わず見入ってしまうのぞみ。

 

 

「おい、戦闘中に気を散らすな。まだ戦いは終わっちゃいねェんだぞ。ここはバレットに任せて、バギーとシャンクスの加勢に行ってやりな」

 

「あ、は…はい!」

 

 

ロジャー海賊団の船員の1人が、バレット戦いを眺めているのぞみを嗜めるとバギー達の元へ向かうよう促す。

 

 

「にしても相変わらず強ェよな、アイツ………」

 

 

ロジャー海賊団の船員は、暴れ回るバレットを横目で見遣りながら再び戦闘に加わるのだった。

 

 

 

 

 

 

その夜。

あの後、ガープ率いる海軍を何とか撃退し、逃げ切る事に成功したロジャー海賊団。

船員達は皆、戦いの疲れを癒そうと宴を開いて酒に興じていた。

 

 

「バギー!それ、私が食べようと思ってたパンだよ!」

 

「ギャハハハ!何言ってんだ、早い物がちに決まってんだろ!悔しかったら海賊らしく奪ってみやがれってんだ!」   

 

 

自分が食べようとしていたパンをバギーに先取りされ、抗議するのぞみだがバラバラの実の能力で上半身を浮かしたバギーはのぞみの手が届かない位置で悠々とパンを食べてみせる。

 

 

「あー!私のパン!」

 

「残念だったな!いや〜、このパンは格別に美味ェなァ!」

 

 

ニヤニヤと笑いながらのぞみを見下ろすバギー。

それにイラッときたのか、のぞみは良い笑顔を浮かべると船上にあるバギーの足へと近づいていく。

 

 

「やったわね、バギー!食べ物の恨みは怖いんだから!」

 

「は?おい、待て待て!…痛ェ⁉︎俺の足を踏むんじゃねェ!それは卑怯だろ⁉︎」

 

 

パンを食べられた仕返しとばかりに、のぞみは船上にあるバギーの足を踏み付ける。

足を踏まれるとは思っていなかったのか、バギーがのぞみに食ってかかるも、今度は傍らで一部始終を見ていたシャンクスがやれやれと肩を竦めながら言う。

 

 

「お前、海賊には卑怯もクソもないって前に自分で言ってたじゃねェか」

 

「うるせェ!お前は黙ってろ、シャンクス!この際だ、今日こそハッキリさせようじゃねェか!南極と北極、どっちが寒ィのか!」

 

「そんなの南極に決まってんだろ!」

 

「いーや、北極だ!」

 

 

今度はバギーとシャンクスの言い合いになり、周りの船員達も「いいぞ、もっとやれ!」と煽り始める。

完全に蚊帳の外になってしまったのぞみは、ポツーンと1人立ち尽くしてしまった。

 

 

「はぁ…何だか眠くなってきちゃった。ご飯も食べたし、部屋に戻ろうかな」

 

 

朝から忙しなく動き、海軍との戦いによる疲れも出てきたのか、のぞみは大きな欠伸をしながらガヤガヤと騒いでいる皆より一足早く戻ろうと船室を目指して歩く。

 

 

「明日も早いし、もう寝よう………⁉︎」

 

 

その時だった。

ドン!という何かがぶつかったような音が船首の方から響く。

しかし、他の船員達は特に気にしていないのか見向きもしない。

不思議に思いつつ、船首の方へと足を運ぶのぞみ。

 

 

 

 

「ぐっ………⁉︎強ェ…!だが、俺は必ずアンタを超えてみせる…!」

 

 

「お前ェは強ェぜ?いつでも来い、バレット‼︎」

 

 

 

 

 

船首に居たのは2人の男。

1人は船長のロジャー。

もう1人は、浅黒い肌にオールバックに撫でつけた金色の髪が目立つ筋骨隆々の男………ダグラス・バレット。

 

 

「(あの時、暴れてた凄く強い人だ。ロジャー船長と何してるんだろ?)」

 

 

物陰から2人の様子を伺っていたのぞみだったが、どうやって気付いたのかロジャーがのぞみの方に振り返ると、笑いながら声を掛けた。

 

 

「ん?おお、のぞみじゃねェか!宴を抜け出して来たのか?」

 

「あ…あははは。ちょっと眠くなっちゃったから、早めに休もうと思ったんですけど…」

 

「わはははは!そうか!そういやお前、海軍とやり合った時に偉く大声で啖呵切ったそうじゃねェか!上等上等!生きててなんぼの世界なんだ、お前が向こうの世界とやらに帰る時まで頑張ってみろ!」

 

 

ニィと笑いながらロジャーは言うと、背後から自分目掛けて拳を振り抜いてきたバレットを軽くいなし、床に叩きつける。

 

 

「ガハッ…⁉︎ち、畜生…!」

 

「今の一撃は悪くねェ!………が、流石に今日はここまでだ。俺も呑んで騒ぎてェからな!バレット、お前も来いよ!待ってるからな!」

 

 

ロジャーは倒れ伏すバレットに、そう言うと宴で盛り上がる仲間達の元へと歩いていく。

バレットとロジャーが何故戦っていたのか疑問に思ったのぞみは、歩いていくロジャーを追いかけて聞いてみる事に。

 

 

「ロジャー船長!」

 

「!わはははは!何だ、休むんじゃなかったのか?」

 

「そのつもりだったんだけど、船長が何であの人と戦ってたのか気になっちゃって」

 

「そうか、お前は知らないんだったな。アイツはダグラス・バレット。俺をぶっ倒す為にロジャー海賊団に入った仲間なんだ!だから、ああやってよく戦ってる。強いんだぜアイツは!今日も海兵をバタバタと薙ぎ倒してたしな!」

 

 

自分を倒す目的で仲間になったというバレット。

そしてそれを容認するどころか、楽しんでいるロジャーに、のぞみは呆気に取られてしまう。

自由で何にも縛られない人だと思ってはいたが、まさか自分の命を狙う人物まで受け入れるなんて。

………自分とは大違いだと、のぞみは若干目を伏せる。

 

 

「ホントに凄いなぁ、船長も皆も。でも私は、りんちゃん………りんちゃんは前いた世界の大事な友達なんだけど…とか他の皆みたいに何か色んな事が出来る訳じゃないし、これといった夢もないんだよね…。分からないんだもん、自分が何をしたいのか何て………」

 

 

「何言ってんだ、俺は別に凄くなんてねェよ!相棒や仲間が居てくれねェと何も出来ねェしな!それによ、お前は何も出来てねェ訳じゃねェさ!もしそうだと思ってんなら、まだ自分の可能性に気づいてねェだけだ!」

 

 

自信なさげに呟くのぞみに、ロジャーは向き直ると彼女の頭を軽く撫でて言う。

 

 

「いいか、のぞみ。人には必ず、その時の『出番』ってもんがある。何も急ぐ必要はねェ。まだ13だろ?まだまだこれからじゃねェか!俺は時間に限りがあるが、お前はそうじゃねェ!時間が掛かっても良いんだ、焦らずにじっくり考えろ!」

 

「………うん。ありがとう、ロジャー船長」

 

「わっはっはっは!いいって事よ!よっし、そんじゃ宴だァ〜!」

 

 

ロジャーのその言葉に、のぞみは少しだけ胸が軽くなったような気持ちになる。

のぞみは普段の明るい笑顔を取り戻すと、ロジャーに連れられて宴をしている皆の輪の中へ飛び込んでいく。

 

 

 

 

「レイリー!酒だ、酒!」

 

「今日は体調を考えて、クロッカスから飲むなと言われていただろう。我慢しろ」

 

「えー!ヤダヤダ!飲みてェ!あと、水水肉も食いてェ!」

 

「ガキか、お前は!それに水水肉は前の宴で食っちまっただろ!」

 

 

2人のいつものような遣り取りに、思わず笑ってしまうのぞみ。

見れば、シャンクスとバギーも仲直り?したのか一緒に肩を組んで歌を歌っている。

 

 

「あれ、のぞみ何処行ってたんだ?まあいいや、それよりこっちに来いよ!ビンクスの酒、教えてやるからさ!」

 

「ビンクスの酒?それって、今さっき歌ってた歌?」

 

「おうよ!いいか、ビンクスの酒ってのはな…」

 

 

 

 

 

まだまだ宴は終わりそうにない。

ロジャー海賊団での日常は、『夢原のぞみ』の在り方に大きな影響を与える事になるが………それはまた後の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

tips①『UTA』

 

 

 

春日野うららの夢は女優になる事だ。

だから、その為の努力は怠らないしどんな些細な役所でも全力で取り組んでいる。

それは当然だろうと言われてしまえばそれまでだが、意志の弱い者は脱落していく芸能界で生きる彼女は、小学6年生にしては周囲の子供達に比べて何処か浮いている感があった。

 

 

来年入学する私立サンクルミエール学園を選んだのも、学園の生徒個人の事に関してとやかく言わない自由な校風に惹かれたからだ。

 

 

しかし、彼女は時々不安になる。

本当に自分は女優に向いているのか。

もっともっと、頑張らなければいけないのではないか。

自分の芽が出なければ、毎日頭を下げて各所を駆けずり回っているマネージャーにも顔向け出来ない。

 

 

「駄目駄目!こんな事考えてちゃ…。私は絶対に女優になるって決めたんだから!」

 

 

学校からの帰り道で、うららは自分を叱咤しながら家路へと急ぐ。

そんな時だった。

 

 

 

『〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜〜♪』

 

 

 

何処からか、歌声が聞こえて来る。

引き込まれるような、綺麗で心地よい歌声にうららは導かれるように声の方向へと歩いていく。

声は公園から聞こえ、よく見るとベンチに腰かけた女性が歌ってるのが見えた。

体に対してサイズの大きなスタジャンを着込み、頭にはフードをかぶっている為、顔は窺い知れない。

何処かで聞いた歌だと思いながら、うららは近づいた。

 

 

「〜〜〜〜♪………えーっと。何か用かな?」

 

 

歌声を聞くのに夢中になり過ぎたのか、立ち尽くして歌に聞き入っているうららに気付いた女性は、歌うのをやめるとうららに問い掛けてきた。

 

 

「あっ…ごめんなさい。とても綺麗な歌声だったので、つい」

 

「あははっ!いいよ、別に。今度、ライブをする予定だったから練習してたの。………本当はもう、歌うつもりはなかったんだけど…やっぱり私にはこれしかないって思ったから」

 

 

そう言って、何処か陰のある表情を浮かべながら彼女は微笑む。

 

 

「………あの、もしかしてですけど、貴方はひょっとして………」

 

「ああ、気付いちゃった?まあ、あれだけ歌えばバレるよね」

 

 

女性はそう言うと、パサリと頭のフードを外す。

特徴的な紅白の長い髪がよく似合う彼女の名は。

 

 

「私はウタ。世界の歌姫って呼ばれてる。宜しくね」

 

 

ウタ。

それは、ある日突如として音楽界に現れた稀代の天才。

出自、来歴の全てが謎に包まれた世界の歌姫。

現れてから僅か一年で頂点まで駆け上がった彼女を知らぬ者など、この世に居ないと言っても良い。

そんな超大物人物に偶然とは言え出会したうららは、驚きながらも問い掛けた。

 

 

「やっぱり…!どおりで聞いた事ある歌声だと思ったんです。でも、どうして世界の歌姫のウタさんがこの街に?」

 

「特に理由はないよ。偶々、休暇がとれたからお忍びで来たの。だから悪いんだけど、今日私に出会った事は内緒にしてくれないかな?その代わり、一曲特別に歌ってあげるからさ」

 

「ほ、本当にいいんですか⁉︎」

 

 

まさかの提案に、うららは同意するとウタの歌に聞き入る。

直に聞いた彼女の歌は、世界の歌姫と呼ばれるのも納得の素晴らしい魅力に満ちていた。

程なくして、ウタとうららは互いに打ち解け合うと色々な話に花を咲かせた。

 

 

「………そっか、うららちゃんは女優さんになりたいんだ?」

 

「そうです。でも…最近少し悩んでて。自分が女優に向いてるのか分からなくなる時があるんです」

 

「そうなんだ。う〜ん………それじゃあここは一つ、うららちゃんが元気になれる曲を歌っちゃおう!特別にもう一曲ね!」

 

 

そう言うと、ウタは再び歌い出す。

その歌は確かに奮い立つような、力強さに満ちた曲だった。

 

 

「どうかな?これで、うららちゃんも気分は最強だよ!間違いない!」

 

ニッ!と微笑むウタに、うららは笑顔を浮かべながら元気よく答えた。

 

「はい!悩む私なんて、私らしくないですよね!春日野うらら、女優になる夢を叶える為に頑張ります!」

 

「夢かあ…あの時を思い出しちゃうな。頑張ってね。どうせなるなら、世界一の女優になるんだよ」

 

 

そう言って笑うウタ。

 

 

「世界一…はい!必ず女優になって、世界一にもなって見せます!」

 

「その調子!それじゃ、私はもう行くよ。またね、うららちゃん」

 

 

世界一になると宣言したうららに、満足そうな顔をしたウタは公園から去っていく。

その背中を、うららは見えなくなるまで見続けていた。

 

 

 

 

誰もいない通りを歩くウタ。

 

 

「人生って分からないよね。ある意味罰なのかも。死んだと思ったら別世界に来ちゃうなんてさ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

人が聞けば何を訳の分からない事をと、言われるような事を口走りながら歩き続けるウタは、自嘲したような笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

「会いたいよ…シャンクス(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

悲哀感に満ちた声が、虚しく通りを駆け抜けていく。

 

 

 

後に。

伝説の戦士プリキュアとなる春日野うららは、ウタの存在を巡ってエターナルという組織と壮絶な戦いを繰り広げる事になるのだが…それはまだ別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




夢原のぞみ………ロジャー海賊団の見習い海賊。
シャンクスやバギーと騒ぎながら、海賊という非日常にも徐々に順応しつつある。
今話では海兵との戦いで『元の世界に帰る』という目的の為に海賊としての自分を受け入れ、戦う覚悟を決めた。
その際に、海兵を薙ぎ倒すバレットを目撃。
その後の宴で一足先に休もうと抜け出した所、ロジャーとバレットの戦いの場に遭遇。
自分を殺す為に乗り込んだバレットを受け入れているロジャーに、改めて凄いと思った。
自分には何も無いとロジャーに弱音を漏らすも、彼に「人には『出番』がある」「時間が掛かっても良いんだ、焦らずにじっくり考えろ」と諭されて、取り柄が無い・夢を持っていない自分に対するコンプレックスを払拭した。
 
夢を否定する奴絶対許さないガール。
 
ところで、実はのぞみも曇らせ被害にあっている事を知っているかな?
鏡の国の大冒険(無印版映画)を見れば分かるよ!
最後のシーンで、敢えてのぞみの顔を映さない。
皆に呼ばれて振り返った時に笑顔になっているけど無理してる感が凄い。
あれ、絶対心の傷になってそう。
 
 
 
 
シャンクス………のぞみと仲良く見習い海賊生活を送っている。
のぞみに悪魔の実の事を教えたりしていた。
ここでは描かれていないが、海兵との戦闘後に剣の持ち方や戦い方を教えていた。
海兵と戦った時はバギーと一緒に戦っていた。
のぞみにビンクスの酒を教えた。
後の四皇。
 
 
 
バギー………のぞみと仲良く見習い海賊生活を送っている。
宴の時にバラバラの実の能力でのぞみのパンを奪う事に成功するも、足を踏まれて悶絶する。
のぞみにビンクスの酒を教えた。
後の四皇。
 
 
 
ゴール・D・ロジャー………ロジャー海賊団船長。後の海賊王。
この海で最も自由な男。
今話では、いつものようにガープと戦い、バレットととも戦っていた。
のぞみの抱えている弱音を知り、彼なりに励ました。
恐らく、今後における夢原のぞみの価値観や在り方に最も影響を及ぼす人物になる。
 
 
 
 
 
ウタ……… tips①にて登場。
今話では描かれてはいないが、エレジアの騒動後シャンクス達に看取られながら死亡したが、何故か目覚めるとプリキュア5の世界に転移していた人。
訳が分からず混乱したが、徐々に現実を受け入れ、こちらの世界でも歌唱力を活かして世界の歌姫と呼ばれるに至る。
ウタウタの実の力は顕在。
能力は滅多に使わないようにしている。
今話では、偶々訪れていた公園で春日野うららと出会い仲良くなった。
一番最初に歌った曲は『新時代』
元気づける為に歌った曲は『私は最強』
シャンクスには会えない事を頭では理解しているが、それでも諦めきれない様子。
 
作者的には更に曇らせたい。
ウタに何の恨みがあるんだ⁉︎
絶望の仮面をウタに付けさせてトットムジカ歌わせたら、どんな化け物が生まれるのか想像が滾るぜ。
 
 
※因みに有名になり過ぎたが為にエターナルに目を付けられる模様。
館長に「貴様の歌は保存するに値する」とか言われて拐われる。
ついでに曇らされる。
館長は何らかの力でプリキュアの世界に来たシャンクスに切り刻まれそう。
 
 
アニメのロリウタちゃんは可愛かったな。
 
 
 
春日野うらら………学校帰りに公園でウタと出会う。
新時代と私は最強を聞いてウタファンになる。
ウタに悩みを打ち明け、歌で元気づけてくれたウタに恩を感じている。
後に再会した時はウタを助ける為に誰よりも奮闘する模様。
 
 
 
 
以下、本編と関係ない書き殴り↓
 
りんちゃんに「ねぇのぞみ。プリキュアやめなよ」って言わせたい。
アニメの2話でやめろって実際言ってるし。
 
 
 
因みに、のぞみのIFルートだとロジャー海賊団解散後にシャンクスに誘われて赤髪海賊団の一員になる。
ただ、元の世界に帰れないので暫く精神的に辛い日々を送る(割りと直ぐに立ち直る)。
覇王色を極め、シャンクスに負けず劣らずの強者になりルフィとかウタとも関わる。
フィルムレッドでは、ウタを守る為シャンクスと一緒に覇王色の覇気を放って黄猿が冷や汗ダラダラになります。
 
問題として、のぞみが帰れない事でプリキュア5が結成されない。
パルミエ王国は滅亡したまま、ココはドリームコレットを守りきれずナイトメアに奪われてしまい絶望。
その後、ナイトメアとエターナルが何らかの利害の一致で対プリキュア同盟(プリキュア版ロックス海賊団)を結び大混乱に。
但し、マックスハート組とスプラッシュスター組(満と薫も含む)プリキュアの参戦で普通に負けます(プリキュア版ゴッドバレー事件)
初代と二代目は格が違うのだ。
因みに、ミルクはココとナッツを失ったショックで変な方向に覚醒。
原作より早くミルキィローズになるも、赤犬みたいな性格になってるので容赦がなくなります。
やさぐれてそう。
 
 
ミルク「望みどおり、バスターコールじゃあ‼︎」
 
↑ミルキィローズの姿で葉巻を咥えながらキレ散らかす。
 
 
 
 
長々と書きましたが、IFルートとプリキュア版ゴッドバレーを書くつもりはないです。
いいかんじに補完して下さいね。
 
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