悩みとしては、思っていた以上に怪獣・レイオニクス募集が集まり、どの案を使おうか悩むところですね。
――とある山脈地帯――
『キュルルルルルル』
『オオー!』
ロボット怪獣同士は手四つで組み合う。現時点で力比べは互角であり、どちらも一歩も譲らない。
「ほほう。何が素体かは知りませんが、私のレゾリウムと互角に張り合えるとはね」
両者互角の様相に、感心するエンディール星人。ゴモラもどきの攻撃をテレポートで避けたエンディール星人は、戦闘の余波の及ばないギリギリの範囲と思われる場所へと移動していた。そこにあった岩に先ほど同様に腰掛けながら、自分のロボットの両目から送信される映像をバトルナイザーの画面から投影、観戦していたのである。
『キュルル!』
しかし、一向に勝負がつかないことに痺れを切らしたのか。ここでゴモラもどきは体を粒子化、後ろに回り込む。
「へぇ、そういう能力もあるんですか」
だが、その流れを観ていたエンディールは全く驚いていなかった。
『オッ!』
急に相手が消失して一瞬体勢こそ崩しかけはしたものの、再び実体化して背後から攻撃を加えようとしたゴモラもどきに対し、レゾリウムはその行動を予想していたとでも言うような左後ろ蹴りを叩き込んだ。
『!?』
それ自体は別段致命的な威力の蹴りではない。だが、何故かゴモラもどきは『押され』、バランスを崩して倒れてしまう。
『オオー!』
その隙を見逃さず、ロボットは右腕手甲部の砲口から赤黒い稲妻状の光線を放つ。
『キュル!?』
倒れていたゴモラもどきは、命中前に粒子化し間一髪躱す。あと2秒遅ければ、強固な金属製のボディといえど光線によって破壊されていただろう。
それを証明するかのように、光線を浴びた地面は高熱でドロドロに溶融し、蒸気と共に未だエネルギーの余波の紫電が迸っている。
「ふぅん……躱したということは、この光線は通用するようですねぇ。
そして『押せた』ということは、粒子化さえされなければ格闘の方も通じますね」
映像を観ながら、エンディール星人は敵に対して何が有効かを検証していく。
『キュルルルル!』
ゴモラもどきは粒子化、やや間合いを取ると、今度は分身をする。数十体もの数となり、ロボットは囲まれてしまう。
「これではどれが本体か分かりませんね…」
分身自体は仕入れた情報から既に知っていたため驚きはしないが、見破り方は向こうも知らなかったので分からない。
「ま、やってみますか」
エンディール星人はバトルナイザーでレゾリウムに指示を下す。
『オオー!』
レゾリウムはすぐさま両目から透視光線を分身達に照射。すると分身達はあっさり消滅し、本体らしき1体だけが残った。
『キュル!?』
「ほぉ、効きましたね」
分身があっさり消されて驚くゴモラもどきとは逆に、光線が効いたことに安堵するエンディール星人。ちなみにこの光線はウルトラマンの透視光線を、エンペラ軍残党の科学力で再現したものであった。
「さて、分身も消滅。そして粒子化能力も戦局に大した影響はない。この後どう出ますか?」
楽しげなエンディール星人。敵の取る手段を1つ1つ丹念に潰していき、どうにも出来ない状況に追い詰めてから始末することをこの宇宙人は好んでいた。それは自分でなく手駒のロボット怪獣を闘わせるレイオニクスバトルでも変わらない。
『キュルルルルルルルルルル!!!!』
『オッ!?』
分身も消えてしまい狼狽していたかに見えたゴモラもどき。しかし、ここで双角中央に開いていた青い単眼から青い稲妻状の拘束光線を照射、レゾリウムの動きを封じてしまう。
「!」
「そう言えばこんな能力もあったと聞いていたな」とエンディール星人は思い出したが、もう遅い。青い稲妻が全身に流れて漆黒のロボットはその動きを拘束されている。
「ふ~む。耐えきれますかね?」
手持ちのロボット怪獣がピンチにもかかわらず、何処か危機感を感じさせない他人事な様子のエンディール星人。それだけこの漆黒のロボットに対する深い信頼を抱いているようである。
『オオオオオオッ!!!!』
さすがの怪力でも単にそれだけでは突破出来ないようで、レゾリウムは上半身を拘束された状態で悶えるしか出来なかった。
『キュルルルルロロロロロロ!!!!』
そんな敵に対し、ゴモラもどきは双角からの振動波、全身からのミサイル及びビームを叩き込む。
「………………」
さすがのエンディール星人も、この時ばかりは余裕げな態度は鳴りを潜め、神妙な面持ちで成り行きを見守った。
「………………」
ありったけの攻撃をゴモラもどきは叩き込んだため、辺り一帯が猛烈な爆炎と白煙に覆われていた。
『ギュ!?』
『オオー!』
「でしょうね」
再び安堵するエンディール星人。あれだけの攻撃を受けておきながら、レゾリウムにはなんとほとんど外傷がなかった。
「レゾリウムの装甲はアーマードダークネスと同じ材質ですからねぇ」
エンディール星人が誇る通り、レゾリウムの装甲はあの暗黒魔鎧装と同じ材質で出来ている。それだけでなくその厚みはさらに上回っており、同等以上の次元の違う防御力を誇る。
かつてウルトラマンメビウスフェニックスブレイブがアーマードダークネスが闘った際にも、結局はダークネスブロードを奪いそれを用いてようやく初めて傷を付けられた。
ウルトラセブンとの交戦時及びレイブラッド星人が憑依した際にもアイスラッガー、スペースペンドラゴンのペダニウムランチャー、レイのEXゴモラとグランデのEXレッドキングの攻撃でようやくまともなダメージとなったほどである。
それと同じ防御力を持つのだから、これほど攻撃を叩き込まれたとて、無傷であっても別におかしくはない。
「とはいえ、まだ脱出は出来てませんが…」
とはいえ、まだ拘束から脱出出来ていない以上、油断は出来ない状況ではあるが。
「膠着状態。さて……」
右手で顎(?)の下を撫でながら、エンディール星人はどうしようか考える。
「いや……?」
しかし、その直後何かに気づいたエンディールの単眼が細くなる。
「………」
唸り声を上げるレゾリウムに再び振動波を放つゴモラもどき。しかし、攻撃に夢中になっているせいか、足元で起きている変化に気づいていないようだった。
「……ふむ、どうやら闖入者のようですねぇ」
その時点で気づかなかったのは、両者の戦闘の余波により森は焼け、辺りが炎上していたからかもしれない。元々高熱が発生していたから、足元が急速に赤熱、融解しつつあったことに気づかないのかもしれない。
「――――――!!」
“それ”はマグマ状になった地面を泳ぎ、ゴモラもどきの背後に現れた。
『キュル!?』
「ガハハハハハハハハ!!!!」
それは昨日ゴモラもどきが逃れたはずの怪獣、閻魔獣ザイゴーグであった。
「ガア!!」
『ギュ!?』
ザイゴーグは再登場直後、いきなりその棘付き棍棒状の右手でゴモラもどきを殴り飛ばした。あまりの威力にゴモラもどきの金属ボディがもんどり打つ。耳障りな甲高い音を鳴らしながら地面を何度もバウンドし、どうにか止まるまでに500m近くもぶっ飛んだ。
『ギュ……ギュガガガガ……』
「ふぅん、なるほど……不意打ちなら単なる打撃でも通じるのですねぇ……」
エラーでも起こしたかのように、くぐもった不快な金属音を鳴らしながらゴモラもどきは痙攣する。先ほど何度も粒子化して攻撃を回避していたから分かってはいるものの、無敵の防御力を持つ存在というわけではないようだ。
「囮になってもらってて助かったよ。あいつは攻撃を当てる瞬間、粒子化して逃げてしまうからな」
「あの怪獣は貴方の怪獣ですか?」
「そうだ」
岩に座っていたエンディール星人の前に現れたのは、ザイゴーグの主であるスーパーヒッポリト星人。
いきなりやって来た挙げ句、わざわざ逃がしてやった敵を目の前で殺され、怒り心頭だった。元々ゴモラもどきを危険視していたのもあって、きっちり仕留めようと追いかけてきたのだ。
「奴にはちょっと遺恨があってな」
「ほう。共闘希望、ですか?」
「ハッ、まさか。私達はレイオニクスだぞ?」
エンディールの問いかけに、ヒッポリトは馬鹿にしたかのように両手を上げる。彼の言う通り、本来レイオニクスは自分以外のレイオニクスとは相容れない孤高の存在なのだ。
レイとグランデは一時的に共闘したが、それは例外的なケースである。彼等がレイブラッド星人の後継者の座ではなく、レイブラッド星人の打倒そのものを目指したからこそ成立したと言える。
「それに私はあの怪獣を手駒に加えようと思ってはおらん」
「もったいない話ですねえ。あの殺傷力はかなりのものだと思いますが?」
「ご指摘通りだが、何故だかどうも私は奴が気に入らなくてな」
その危険性故に、そして何より己のプライドを傷つけられたため、ヒッポリトはゴモラもどきを抹殺するつもりだった。
「それなら、私と貴方も敵同士ということになります」
「元よりそのつもりだろう? そもそも、お前は信頼とか友情などという概念は微塵も持ち合わせていないんじゃないのか?」
「よくお分かりで」
「少しは噂が入ってきているのさ。闇の勢力を何度も裏切ったエンディール星人が、この惑星アシヨシにやって来ているってな」
レイオニクスは皆敵同士とはいえ、それでも噂や情報などというものはある程度共有していたりする。あくまでたまたまではあるが、スーパーヒッポリト星人は3つの悪の組織を裏切ったというこのエンディール星人の素性をある程度知っていたのだ。
「ハァ~。私も有名になってしまったものですね」
うんざりした様子でため息をつくエンディール。彼の場合、各勢力の追手に見つかるのを恐れ、活動自体は割と密やかに行なってきたつもりだった。しかし悪事千里を走る、とはよく言ったもの。彼の悪事はこの片田舎の惑星にさえ伝わっていたのだった。
「で、貴方はそんな私とのレイオニクスバトルをご希望で?」
「そのつもりだ。しかし、お前の手持ちがあのロボットしかおらんのだったら、この場は見逃してやっても構わんぞ?」
嘲笑うかの如くヒッポリトは目を細める。見え透いた挑発である。
「ご心配なく。手持ち1体だけの状態でレイオニクスバトルに臨む馬鹿者は少なくはありませんが、私はその手合ではないので」
しかし、それを無視出来るほどエンディールは大人しくはないし、何より戦力も少ないわけではない。
「本来ならレゾリウム1機だけで捕獲は出来ると踏んでいたのですが……やれやれ、物事というのはどうも予定通りに行かないもので」
他のレイオニクスの邪魔が入ること自体も想定していないわけではなかったが、それでも思っていたよりは早く起きた。
『『バトルナイザー、モンスロード!』』
自分の想定の甘さを反省しつつも、エンディールはバトルナイザーを天に掲げ、ヒッポリトもまた同じくネオバトルナイザーを天に掲げた。
「キシャオー!」
超力怪獣 ゴルドラス
金色と黒を基調としたボディに頭部の双角が特徴的な、かつてウルトラマンティガと戦った怪獣の別個体。剛力怪獣シルバゴンと同じく時空界の出身で、かつて地球に出現した際は世界各地のミステリースポットの磁場を集めることで自分の世界である時空界を侵食させようとした。
ウルトラマンティガを軽々振り回す怪力と俊敏さを持つだけでなく、角からは閃光と光線を放ち、球体状のバリアを張ることも出来るなど多芸で、知能もかなり高いという隙のない怪獣。
本個体はスーパーヒッポリト星人が捕まえたものだが、強力な能力と知能の高さにより捕獲時は相当手こずった。
「ガシュー!」
無双鉄神 インペライザー
黒灰色の金属製ボディに天体望遠鏡を3つ束ねたような頭部、両肩の砲門が特徴的な、かつてエンペラ星人の尖兵として地球に送り込まれた自立起動型ロボット怪獣。ロボット怪獣の中でも群を抜く戦闘能力・数々の特殊能力を持ち、ウルトラマンメビウスとウルトラマンタロウを相手に互角の戦いを繰り広げた。その後のエンペラ星人襲来時にはなんと13体も送り込まれているなど、高性能なのに量産までされていることが発覚している。
この機体は後期生産型に属し、メビウス及びタロウと戦った機体より性能が20%アップしている。さらにはエンディール星人による個人的なカスタマイズとレイオニクスパワーにより、一層のパワーアップを遂げた。
「ゴルドラス!」
「キシャオー!」
戦いに入る前、主人の指示によりゴルドラスは周囲の空間を自らの出身地である『時空界』へと塗り替えていく。
「これは…」
虹色に輝く空間へと変異していく様をエンディールは呆然と見上げる。
「あいつに逃げられちゃ困るのは私も同じだ」
「なるほど……デスマッチがご希望ですか」
「私が勝つから、そう呼んでいいのかは分からんな」
レゾリウムとザイゴーグ、ゴモラもどきは時空界に取り込まれ姿を消す。そしてゴルドラスとインペライザーもまた時空界に呑み込まれ――
「ガシュー!」
「ギシャ!?」
――なかった。空間転移でゴルドラスの前に瞬間移動したインペライザーは、時空界に半身をめり込ませていた敵の尻尾を掴んで引っ張り、そのままこの次元に引きずり出したのである。
(バトルナイザーでも様子は分かりませんが、レゾリウムなら大丈夫でしょう)
異次元空間に呑み込まれたため、バトルナイザーからも両者の情報は得られないが、それはまず敵のレイオニクスを倒した後に考えればいいことだ。
「貴様!」
「その怪獣、ゴルドラス…でしょう? 異次元空間である時空界の怪獣だと聞いてます。
いくらインペライザーが強いと言っても、敵の土俵で戦うのはさすがに不利ですからねぇ」
ゴルドラスは多芸な怪獣だとエンディールは聞いている。いくらインペライザーの高い機体性能でも、そんな怪獣相手に敵の土俵で戦う羽目になるのはよろしくない。
(チッ、時空界で戦うならインペライザーの空間移動は潰せると思ってたが、そうさせてはくれんか)
向こうがゴルドラスを甘く見ていないように、ヒッポリトもまたインペライザーの機体性能を脅威だと考えていた。そのため時空界に取り込み、この世界とは次元法則が異なる空間で特殊能力のいくつかを潰そうと考えたのだが、敵はその思惑に乗ってはくれなかった。
「ガシュー!」
「キシャオー!」
インペライザーは両肩のガンポートから光弾を発射する――が、ゴルドラスは上半身に張ったバリアで防御、さらには跳ね返して無双鉄神を吹っ飛ばす。だが、それでも敵は尻尾を掴んだままだったため引っ張られて一緒に倒れた。
「ガシュー!」
インペライザーは単に光線の威力が優れているだけではなく、そのパワーもまたゴルドラスが容易に振り切れないものを備えていた。
「キシャオー!」
ゴルドラスは器用にも双角から後ろ向きに電撃光線を発射、何度も無双鉄神に命中させる。しかし、敵の装甲はウルトラマンメビウスのメビュームシュートに平然と耐えた時代からさらに強化されており、びくともしない。
「ぬっ!?」
立ち上がったインペライザーはゴルドラスの尻尾を軸に上に持ち上げ、地面に叩きつけた。さらには尻尾を掴んで振り回すジャイアントスイングを仕掛ける。
「キシャオー!?」
振り回され悲鳴を上げるゴルドラス。単純だが予想外の攻撃であった。
「意外に効くんですよね、これ」
ジャイアントスイングで回転させられ、遠心力によりゴルドラスは平衡感覚を奪われていく。これはバリアでも防げない。
一方、技の掛け手であるインペライザーも同じく回転しているが、そもそも機械であるためこちらは平気であった。
「はい!」
エンディールがパンと手を叩くのと同時に、インペライザーは尻尾から手を放す。そのまま勢い良く吹っ飛んだゴルドラスは地面に叩きつけられ、グロッキー状態となる。
「キシャアアアア……」
立ち上がるも脳が揺さぶられたせいで、まだ足元がおぼつかない。
「強力な怪獣でも、案外単純な手が効いたりするものなのですよ」
ニンマリと笑うかの如く単眼を細めるエンディール。
ゴルドラスは超常的な能力を持つが、脳のある陸生生物には違いない。飛行怪獣や水中怪獣のように強靭な平衡感覚は持っておらず、そこが仇となった。
「ホホホホ! まずは一匹目ぇ!」
「ガシュー!」
とどめを刺すべく、インペライザーは頭部のガトリングビームキャノンを回転、破壊光線を撃ち出す。
「ぬぁぁああああ!!!!」
迫る光線にゴルドラスに為す術はないと思われた。だが、ここでヒッポリトがレイオニクスパワーを開放、ゴルドラスに流し込む。
「キシャオオオオ!!!!」
するとグロッキー状態だったはずのゴルドラスはすぐさま立ち上がり、全身を覆う球形状のバリアを展開、破壊光線を跳ね返す。
「素晴らしい!」
「ガシュー!」
ゴルドラスの復活にエンディールは感嘆すると共に、無双鉄神に跳ね返る光線を空間移動で躱させた。
「キシャアアアアオオオオオオ!!!!」
超力怪獣 ゴルドラス(レイオニックバースト)
咆哮を上げるゴルドラスは全身が赤みを帯びると共に、全ての能力を飛躍的に増大させる。
「これはこれは。貴方達もなかなかやるようですねぇ」
「当然だ! 私は全宇宙、さらには全てのマルチバースを支配する男だ。
そのためにも貴様のような輩とそこの鉄屑相手に躓くわけにはいかん!」
このスーパーヒッポリト星人はレイブラッド星人の後継者となり、エンペラ星人やウルトラマンベリアルさえ超えた支配者として全次元に君臨するという野望を抱いていた。そのためにはこんな所でこんな輩に敗れるわけにはいかないのだ。
「臆面もなくそんなことを言うとは。どうやら貴方には恥というものがないようですねぇ」
「エンペラ軍、グア軍団、ベリアル銀河帝国の3つを裏切った奴はさすがに言うことが違うな」
「ホホホホ。これは一本取られましたね」
強力な怪獣のレイオニックバーストを見ても尚、エンディールは怯まず、皮肉の応酬をするほどであった。平然と悪の勢力を裏切りまくっている以上、肝が座っているのは間違いないであろうが。
「そのネオバトルナイザーから相応の実力者だとは思っておりましたが、どうやら私も本気を出さねばならないようです」
カッと単眼を開き、エンディールもまたレイオニクスパワーを開放する。
「ガシュー!」
無双鉄神 インペライザー(レイオニックバースト)
レイオニクス特有の怪獣強化であるレイオニックバーストは、ロボット怪獣でも可能である。
「これで条件は五分です!」
「あとはお互いどちらかが先に音を上げるかだな!」
怪獣の能力が飛躍的に高まるレイオニックバーストをお互い発動している以上、『真のレイオニクスバトル』が行われることを意味する。
怪獣の受けたダメージはそのままレイオニクスにも伝わり、怪獣の死は即ちレイオニクスの死となる。
「撃てぇゴルドラス!」
「キシャオー!」
ゴルドラスは双角から強化された電撃光線を放つ。
「ガトリングビーム!」
「ガシュー!」
それをインペライザーは頭部のガトリングビームで相殺する。
「ぬっ!」
「くぅっ!」
両光線の激突で周囲には目も眩むような閃光が発生する。
「ガシュー!」
「キシャアアアア」
しかしその隙に乗じ、インペライザーは空間移動でゴルドラスの目前に移動。右手を大剣【インペリアルソード】へと変換し叩きつけるも、すんでのところでバリアを発動され弾き返される。
「くらえ!」
攻撃を跳ね返して敵がよろけた隙に、ゴルドラスは再び電撃光線を放つ。
(しめた!)
今度はインペライザーに効いたため、エンディールは伝わった痛みで顔を歪めるが、バリアが消え攻撃に移行したのはむしろ待ち望んでいた瞬間だった。
「ガンポート!」
インペライザーは吹っ飛びながら両肩の砲門から光弾を発射。追尾型光弾は大きく横に弧を描きながら進み――
「キシャオ!?」
ゴルドラスの背後から襲いかかりそのまま双角へ命中、見事叩き折った。
「何ィ!」
それに連動して頭部の触角にダメージを受け、驚愕するヒッポリト。それが何を意味するかを知り、動揺する。
「その怪獣の強さの秘密はその角にあります」
一連の攻防でそのことをエンディールは見抜いていたのだった。
一方、時空界内部。
『オオー!』
『キュルルルル』
「ガハハハハハハ」
レゾリウム、ゴモラもどき、ザイゴーグは三つ巴の戦いを繰り広げていた。
「ガァ!」
『オオー!』
ザイゴーグはレゾリウムの頭部を右手でおもいきりぶん殴るも、レゾリウムは負けじとその剛腕で殴り返す。ザイゴーグの異常な硬度の体表でも、さすがにアーマードダークネスと同じ素材で出来た拳で顔面を殴り返されれば、よろけるぐらいのダメージにはなった。
『………』
ゴモラもどきは初めこそ両者を相手取っていたが、やがて両者を争う形に誘導した方が自身の安全を保てるということに気づいた。
事実、両者共ゴモラもどきから互いを攻撃する形へとなりつつあった。
「ガゴ!!」
しかし、互角かと言われると違う。初めこそ凄まじい殴り合いが続いていたが、レゾリウムの人工知能はザイゴーグの攻撃パターンを学習し、効果的な戦法を段々取り始めていた。
右手の大振りの一撃を躱したところで右手に飛びつき、なんとそのまま三角絞めからのフランケンシュタイナーを見舞ったのだ。
「!?!?」
逆さになった状態からおもいきり頭部を地面に叩きつけられる。そんな技をやられた経験はなかったため、ザイゴーグはワケが分からず動転する。
『オオ!』
「ガバ!!」
起き上がる前にそのまま右足爪先でサッカーボールキックを顔面にぶちこみ、先ほどゴモラもどきにしたのとは逆に今度は自分がバウンドさせられながらぶっ飛ぶ。この残虐殺法にはたまらずザイゴーグも悲鳴を上げた。
「ガアアアアアア」
これにはさすがのザイゴーグも激昂し、すぐさま起き上がる。
「ガ!?」
――も、そのまま背後のミサイルランチャーからのミサイルの雨と、両手からのレゾリューム光線を浴びせられ、たまらず膝をつく。
『………』
ザイゴーグはレイオニックバーストを発動していなかったので、スーパーヒッポリト星人にダメージは伝わっていないが、今まで経験したほどがないほどに追い詰められていた。そもそも膝をつくこと自体が初めての経験である。
そんな動揺を見透かしてか、レゾリウムは膝をつくザイゴーグにとどめを刺そうと、ゆっくりと歩を進める。
「ガァァ!」
『!?』
しかし、ここでザイゴーグは奥の手である胸からの触手を放った。それは凄まじい速さで伸びてレゾリウムに絡みつく。
『オオー!』
暗黒魔鎧装と同じ素材の装甲こそどうにも出来なかったようだが、動きを封じることには成功した。さらには触手はレゾリウムの表面からエネルギーを吸い取り始める。
「ガァァ」
だが、吸ってすぐにザイゴーグは苦しみ始めた。ウルトラマンのエネルギーとは真逆のレゾリューム・エネルギーは、いくらザイゴーグといえど扱いきれなかったのである。
レゾリウムは動けず、ザイゴーグは苦しむ。両者は膠着状態に陥った。
『…!』
両者共に動けぬ今の状況は、ゴモラもどきには千載一遇の好機であった。
『キュルルルルルルルルルル』
今だとばかりにレゾリウムの背中に、ゴモラもどきはありったけの攻撃を叩き込む。漆黒のロボットも、押さえ込まれている今振り返ることさえ出来ず、何も出来ず攻撃を受け続けるだけであった。
『………!』
さしものレゾリウムの重装甲もダメージが蓄積し始める。
『キュルルルル!』
動きが鈍ってきたところを頃合いと見て、ゴモラもどきは突進。鼻先の角をレゾリウムの背中に叩きつけ、超振動波ゼロシュートを叩き込む。
『オオー!!』
普段と違い、今度の声は苦悶の叫びにも聞こえた。
『オ…』
やがて、レゾリウムの両目から光が消えると、力なく膝をつく。
『キュルルルル』
勝利の雄叫びか、それとも歓喜か。ゴモラもどきは天を仰ぎながら咆哮を上げる。
『………………』
だが――
『!』
再びレゾリウムの両目に光が灯る――も、何処かその様子はおかしく見えた。
「ガアアアア」
悲鳴を上げたのはザイゴーグの方だった。触手に先ほどとは比べ物にならぬほどのレゾリューム・エネルギーを浴び、苦しんだのだ。たまらず触手を解除・収納し、胸の甲殻を閉じる。
「ガァァ」
怒りのまま、口からの破壊光線をレゾリウム目がけて浴びせる。
『――――』
光線が直撃し、レゾリウムは倒れる。
『キュルルルルルルルルルル』
倒れるレゾリウムの背中に、ゴモラもどきは再び超振動波ゼロシュートを浴びせる。
『――――』
『ギュ!?』
だが、ここでゴモラもどきは苦しみ出す。たまらず、メカゴモラのボディから“中身”が一瞬抜け出て、実体化してしまう。
『キュルルルルルルルル』
幽霊船怪獣 ゾンバイユ
青い単眼とケンタウロス体型が特徴的な、かつてウルトラマンダイナと戦った怪獣の別個体。生物の持つプラズマエネルギー…“魂”を餌とする怪獣であり、かつて数多の星団から魂を貪り、数限りない犠牲を出した凶悪な存在である。
アシヨシを訪れたこの個体は宇宙船でなくメカゴモラに憑依し乗っ取っていた。
『キュルルルル』
慌ててもう一度メカゴモラに憑依、復活する。
『オオ……』
起き上がるレゾリウム。だが体は痙攣しており、普通ではない。
『――オオオオオオオオオオオオ!!!!』
『!』
「!」
そして天を仰ぎながら咆哮を上げる。その尋常でない様子に怯むゾンバイユとザイゴーグ。
『オオオオオオ』
レゾリウムは全身から凄まじい量のレゾリューム・エネルギーを迸らせる。
「!!」
ロボットは太い四肢を痙攣させながら変貌させていく。
『…!?』
ゾンバイユがたじろぐ通り、レゾリウムの四肢には“あの男”を思わせる装飾が生えていった。
『オオオオ…』
それも途中で止まってしまうが、それでもその姿はよく似ていた。
『………………』
かつてのウルトラの一族の最強の敵の1人、エンペラ星人に――
用語解説
幽霊船怪獣 ゾンバイユ
頭部の青い単眼に爪の生えた二つの腕と四足を持った、生物の持つプラズマエネルギー…即ち“魂”を餌とする怪獣。ネオフロンティアスペースにおいて、『数多の星団からあらゆる生物の魂を貪り尽くし死を広げた伝説の怪獣』として知られる存在で、普段は宇宙空間で幽霊船として漂っている。
(“本体”だけでも移動・行動そのものは可能だが)宇宙船やロボットなど、宇宙空間での移動能力を持つ物体や機械へ優先的に憑依・寄生する性質を持つ。これらに寄生する理由は定かではない。
ウルトラマンダイナと闘った個体はシルバック星人の宇宙船に取り憑き地球に来訪、宇宙船形態でその下部から怪光線を照射、その下にあった街から人々の魂を吸収し大被害を出した。ただし魂は吸い取られた後に即消化されるわけではないらしく、苦戦の末打倒したダイナはゾンバイユの体内に残っていた魂を人々に戻している。
時空波あるいはレイオニクスや怪獣の魂に惹かれたのかは不明だが、本個体は惑星アシヨシに来訪。その際、“依代”にしようとサロメ星人(RB)の宇宙船に寄って行ったのだが、彼女は護身のためメカゴモラを繰り出したため、より強いエネルギーを持つそちらにターゲットを変更、機体を乗っ取ってしまう。そしてすぐさまサロメ星人を殺害後、アシヨシに降り立ち、多数の怪獣やレイオニクスの魂を食い散らかした。
青い単眼から放つ怪光線は生物の体内から魂を吸引する効果があり、魂を吸われた生物は仮死状態となって体がドス黒く変色する。またこの光線はその性質上相手の防御力・再生能力を一切無視するため、スペシウム光線の効かない光熱怪獣キーラや、全身が木端微塵になっても短期間で再生可能な再生怪獣ライブキングでさえ一撃で殺害した。あの閻魔獣ザイゴーグですら直撃すれば死を免れないため、慌てて光線で相殺したほどである。
また魂吸引光線だけでなく宇宙怪獣らしい大気圏・宇宙問わずの飛行能力、分身能力、拘束光線などの多彩な能力を持ち、しかもメカゴモラの武器も合わせて使いこなしている。
だが1番厄介なのは、機体が破壊されてもあくまで依代が破壊されただけにすぎず、本体が無傷のまま再び別の物体や機械に乗り移ってしまうという点である。このように単なる物理攻撃では倒すことは出来ず、特別な手段が必要となるが、エンディール星人の見立てではアンチプラズマエネルギーの一種であるレゾリューム光線に弱いと推測されている。
その捕食活動は既に惑星に居着いていた強大な怪獣達の縄張りを荒らしていたことでそれらから怒りを買ってしまい、また身を守るためと自身の戦力強化のために強豪レイオニクス達もその動向を注視していた。やがてスーパーヒッポリト星人(RB)と交戦後、今度はエンディール星人(RB)に誘き寄せられ、彼の愛機であるレゾリウムと戦闘になる。
超力怪獣 ゴルドラス
黄金と黒を基調とした体色に頭の双角が特徴的な、かつてウルトラマンティガと戦った時空界の怪獣の別個体。剛力怪獣シルバゴンの同種族にしてボス格とも言われ、同じく怪力に加え多彩な超能力の数々を持つ。
主な戦力は頭部からの閃光と電撃光線。シルバゴンと違い視力に問題はないが、防御力はそれほどでもない。その代わりに強力なバリアを張る能力を持ち、ウルトラマンティガのデラシウム光流をも跳ね返した。ただしその能力の数々は双角から放たれており、ここを破壊されると一気に弱体化する。
人間の手の出せない安全圏である時空界に潜みながら侵略行為を行う、ティガの張ったバリアを光線の重ねがけで破るなど、行動に計画性や狡猾さが見られるなど知能も高い。
本個体はスーパーヒッポリト星人(RB)の使役怪獣であるが、時空界を自在に出入りする能力を駆使して捕獲にかかった彼を苦戦させている。尚、かつての個体と異なり、時空界を広めるつもりはない模様で、主人に忠実に従っている。
無双鉄神 インペライザー
かつて暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人によって使役されていたロボット怪獣で、ウルトラマンメビウスを一度は完膚なきまでに叩きのめしたほどの圧倒的な攻撃力・防御力・特殊能力を持つ。他のロボット怪獣と違い、ある程度量産されていることが確認されており、エンペラ軍壊滅後も他の悪の勢力により使役されていることがしばしば目撃されている。
今回エンディール星人(RB)の使役するこの機体は後期生産型に属し、メビウスが戦った機体より攻撃力・防御力・俊敏性・出力などが約20%向上している。
かつてエンディール星人(RB)が皇帝敗死後に急速に衰退しつつあったエンペラ軍残党を出奔する際、退職金代わりとして多額の資金や物資と共に量産されていた1機を盗んで逃げた。この他にはビームミサイルキングとクラッシュライザーも彼は盗み出しており、そのせいで裏切りだけでなく損害まで被ったエンペラ軍残党の怒りを買い、彼は最優先の抹殺対象となっている。
やや黒灰色の金属ボディに、両肩の砲門、天体望遠鏡を3つ束ねたようなレンズの付いた三眼(?)型の頭部が特徴。この頭部からはウルトラマンタロウのストリウム光線と同等の威力の光線を放ち、両肩の砲門からは追尾機能を持った光弾を放つ。上半身は360°の高速回転が可能で、これを利用し頭部と両肩のビームを乱射し、周囲を破壊し尽くす攻撃を得意としている。
全身の装甲もメビュームシュートが通用せず、ストリウム光線の命中でようやく上半身を木端微塵にしたが、それでも機能停止には至らなかった。上半身に再生装置を持っており、これで内部機構を含めた再生が可能だが、この装置自体は唯一の弱点にもなっており、破壊されれば当然再生は行使不可能となる。
おまけに空間転移まで可能としており、自在に出現・消滅を繰り返す。敵の撹乱、死角からの不意打ち、絶体絶命時でも即座に逃亡が可能など厄介極まりない。
このようにただでさえ強力な機体だが、エンディール星人(RB)によりさらなる強化改造及びレイオニクスパワーによるパワーアップを遂げており、20%の能力向上をした後期生産型からさらに15%の強化を遂げている。主人は「この機体ならウルトラ兄弟でも倒せる」と豪語しているほどである。
ただし今回の機体は個人的なカスタマイズを繰り返している分コストもある程度上がってしまっており、主人曰く以前のモデルよりコストパフォーマンス自体は劣るらしい。
ゴーストリバース
エンペラ星人が復活するための依代、疑似肉体となる装置のこと。暗黒機靭メカザムの正体であり、地球で死した皇帝の怨念を注入されたギガバトルナイザーを取り込むことで機体が皇帝の肉体へと変化し、エンペラ星人が現世に復活する仕組みであった。
メカザムがその前にウルトラマンメビウスに破壊されたことで、皇帝は二度と現世に蘇ることはないと思われた――が、この度暗黒魔兇機レゾリウムが戦いの途中に制御不能となり暴走。レゾリュームエネルギーをコアから溢れさせたことで、かつてのメカザム同様に皇帝の疑似肉体となる条件を期せずして満たしてしまう。