怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 ファーストステージ終わって燃え尽き症候群になっちゃってしばらく書けませんでしたが、残り滓を絞り出して書きました。
 それと今回のレイオニクスと怪獣の一部はkitto-様原案の物を手直ししました。


セカンドステージ
始動・新究極巨大超獣!


 惑星アシヨシでのレイブラッド星人後継者レース・ファーストステージも終了し、セカンドステージに突入した。

 ――とは言っても、レイオニクス達のやることは変わらない。覇を競うライバル達に勝負を挑み、怪獣同士を戦わせる。以前と同じくそれだけだ。

 ただし予選を突破しただけあり、今いるレイオニクス達は皆粒揃いである。彼等の内の誰かが、レイブラッド星人の『真の望み』を叶えることになるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――とある荒野――

 

 ある日の正午ほど。今日は珍しく曇り空であった。

 その曇天の下で倒れるレイオニクスと、焼け焦げた怪獣の死体。そして、それを見下ろすもう1人のレイオニクスと怪獣がいた。

 

「後継者レースの足切り(ファーストステージ)は既に済んだはずだが、君のような弱者がまだこの星にいたとはな」

「うぅ…貴様一体何をした……」

「キリキリッ、君は悪夢を見ただけだ。そして夢から醒めたばかりのところ申し訳ないが、今度は本当の地獄に行ってもらおう」

「! やっ、やめ――」

 

 そう言い切る前に見下ろす者の右手から敗者に向け、容赦なく火球が放たれる。

 

「ギャアァァァァァァァァァァァァ」

 

 倒れるレイオニクスは灼かれる苦痛のあまり凄まじい断末魔を上げ、1分も経たぬ内に灰となった。

 

「だが、嘆くことはない。君の犠牲は必要なこと。無駄にはならない」

 

 炎魔戦士 キリエロイド(RB)

 

 太古の昔に地球に侵入し人類に干渉していた精神生命体・キリエル(びと)の戦闘形態。自分達より後からやって来たにもかかわらず好き放題をしている(と彼等が思っている)ウルトラマンティガの存在が許せず、排除しようと二度に渡って戦いを挑んできた。

 灰白色と黒に染められた硬質な体表と、左胸の発光体、同じく額に発光体がある泣き顔の悪魔のような不気味な面相をしている。体型自体はウルトラマンティガ同様細身でかなり人間に近いもので、またティガのタイプチェンジに相当する形態に変化することも出来る。そして別名の通り、強力な炎を操る能力や超能力を持つ。

 

「キリエル人によって管理・運営される神聖な宇宙。その秩序を築くためにもな」

 

 キリエロイドは風で飛ばされていく灰を見上げながら、そう嘯いた。

 

「君もそう思うだろう?」

 

 同意を求め、空を舞う怪獣にキリエロイドは語りかける。

 

「ピャピャピャピャピャピャ」

 

 悪夢魔獣 ナイトファング

 

 他の怪獣とは一線を画す、おぞましい姿と生態の魔獣。悪魔そのもののような姿に加え、人の啜り泣く声とも笑い声ともつかぬ不気味な鳴き声を上げる。

 触手を幾本も備えた両腕、背中から生える一対の大きな翼、無数の触手が生えた両肩、赤い目の紫色の髑髏のような胸部、頭部前面から伸びる一本角を持つ。また額の部分に口があり、その直上の角の根本部分に単眼が隠されている。

 この単眼から邪悪な催眠音波を放って対象に悪夢を見せ、それをエネルギーに変換して喰らうというおぞましい生態を持つ。口からは火球を放つことも出来、また敵の必殺技が直撃しても意に介さないほどの防御力と飛行能力も持つ。

 

「キリキリッ。聞くまでもないか」

 

 ナイトファングの鳴き声を、キリエロイドは肯定と受け取ったらしい。しかし、元々尊大傲慢で知られた種族。仮に悪夢魔獣が否定しようが、それを怒って見苦しく喚くか、あるいは都合良く捻じ曲げて解釈したであろう。

 

「ピャピャピャピャ」

「ふむ、まだエネルギーが喰い足りないのか? この食いしん坊め」

 

 敵レイオニクスと怪獣に悪夢を見せ、そのエネルギーを吸い取ったナイトファング。しかし、彼はまだそれだけでは食い足りないらしく、主人にさらなる戦闘と捕食の機会を与えるよう訴えた。

 

「よかろう。餌はいくらでもある。また狩りに行くとするか」

 

 配下の訴えを認め、キリエロイドはまたレイオニクスバトルを行うために敵を探すことにした。

 自らの望みを叶えるためにも、それは必要だからだ。

 

「フフ、存分にまた悪夢のエネルギーを喰らうがいい」

「さらなるレイオニクスバトルを所望するか? それなら、今度は私達が相手をしてやろう」

「!? 誰だ!」

 

 優越感に浸っていたところでいきなり虚空に声が響いたので、キリエロイドとナイトファングは警戒する。

 

「レイブラッド星人の遣いとだけ言っておこう」

 

 突如現れた燃え盛る青白い炎。それが長い蒼髪を生やした黒い服装の女へと実体化し、先ほどの敗者が燃やされ焼け焦げた痕へと降り立った。

 

「それはギガバトルナイザー! そうか…それを持つ君の噂は聞いているぞ」

 

 白いギガバトルナイザーを持った、黒い服装で蒼髪のペルフェクト星人の女。強いレイオニクスの前に現れては試練と称し、怪獣を差し向けるという。

 面識はないが、キリエロイドも噂でだけだが存在は知っていた。

 

「君が差し向けられたということは、私の実力が少しはレイブラッド星人に認められたということか。フフ、それは光栄だな」

 

 そう解釈し、敵と邂逅しながらもキリエロイドは再び上機嫌となった。

 

「そして勝利した場合、そのギガバトルナイザーもいただけるというわけか」

「その場合は、私も試練でなく死力を尽くさねばならんがな」

 

 試練というが、このペルフェクト星人の言うそれはかなり理不尽なものである。負ければそのレイオニクスには当然死が待っており、かと言って勝てば命は助かるが、褒美に何か貰えるわけでもない。ただ単にこの女が相手のレイオニクスの実力を見定めるというだけの話だ。

 しかし、今まで相手した全てのレイオニクスが、勝利してギガバトルナイザーを奪うつもりで戦っている。そうでなくてはいつも以上に命懸けで、強敵と戦う気概など湧かないであろう。

 無論、万が一敵にギガバトルナイザーを奪われそうになるなら、試練という体でなく、1人のレイオニクスとして死力を尽くしてバトルしなければならない。だが幸か不幸か、今のところそのような互角の実力を持った強敵と出くわしたことはない。

 

「ピャピャピャピャピャピャ!!」

「では、早速だが始めてもらおうか。先ほどの弱いレイオニクスと怪獣の悪夢のエネルギーでは、我が相棒も満足していないようでね。待ちきれないらしい」

 

 空に浮かぶナイトファングだが、すぐにレイオニクスバトルを行えるということで興奮しているらしい。頭部の角が持ち上がり、その根本にある単眼がギョロギョロと忙しなく動いている。

 

「やる気があるのは大いに結構。こちらとしても望ましいところ。

 では、望み通り試練を与えよう。見事くぐり抜けてみせよ!」

 

 女は白いギガバトルナイザーを両手で持ち上げ、頭上に掲げる。

 

「さぁ、いでよ!」

 

 ギガバトルナイザーはウルトラマンベリアルがかつて実践して見せたように、100体同時召喚を可能とする、まさに特別製のバトルナイザーである。

 にもかかわらず、白いギガバトルナイザーから放たれた光は1つ。それがそのまま地面に吸い込まれていくのを見たキリエロイドは拍子抜けする。

 

「キリキリッ。召喚したのは1体だけか? ギガバトルナイザーは100体同時召喚が出来る特別製のバトルナイザーだと聞いていたが、これは拍子抜けしたな」

 

 腹立たしさは覚えるが、こちらを甘く見ているのならしめたもの。上手くいけば、ペルフェクト星人ごと速攻でナイトファングの催眠音波で悪夢を見せて無力化し、面倒なレイオニクスバトルを行わずともギガバトルナイザーを奪い取ることが出来るだろう。ギガバトルナイザーさえ奪えれば、あとは如何様にも料理出来る。

 

「ナイトファング! 地獄のような悪夢を見せた後、本物の地獄に叩き落してやれ!」

「ピャピャピャピャ」

 

 キリエロイドの顔が怒り顔に変化する。そして、その怒りに同調するかの如く、ナイトファングから不気味な紫色のオーラが噴き出す。

 

「出来ればいいがな…」

 

 そう不気味に呟くペルフェクト星人の顔にもまた酷薄な笑みが浮かぶ。

 

「!」

 

 光が大地に吸い込まれて数十秒後、怪獣が地面を突き破り現れる。

 

「ギィィィィィィギャオオオオオオ」

「ほう、見たことのない怪獣だ。ん、何だ? 上半身だけか?」

 

 金切り声のような咆哮を上げながら現れたのは、くすんだ金色と青色の刺々しい甲殻に包まれた凶々しい怪獣。だが、キリエロイドがそこで違和感を覚えたのは、その怪獣の腰から下が地面に埋もれているということだった。

 

「キリキリッ。地底怪獣か? なるほど、地面に潜ればナイトファングの能力が通じないと考えたわけか」

 

 そんな程度でナイトファングの催眠音波を100%遮断出来ると考えたのなら、所詮浅知恵に過ぎない。キリエロイドはそう判断し、嗤った。

 

「文字通り目の前のことしか見えていない浅い見立てだな」

「なにィ!!」

 

 しかし、ペルフェクト星人の方からも鼻で笑われ、キリエロイドは激昂する。

 

「そんなチャチな戦法など私は使わんよ」

「!? 地震か!?」

 

 辺り一帯の大地が振動していることに気づき、すぐさま空中に浮遊するキリエロイド。見れば、現れた怪獣を中心に周囲に地震が起きている。

 

「な…!」

 

 地震と共に怪獣の腰回りを中心に土が盛り上がり、さらに巨大な何かが飛び出したのを見て、声を失うキリエロイド。

 ペルフェクト星人の召喚した怪獣だが、腰の下にあったのは両足ではなく、尖塔にも似た巨大な支柱のような物。怪獣の上半身だけがそこに繋がり、載っかっているような奇妙な姿であったが、ここで終わりではない。

 周囲の岩盤を破壊しながらさらに大地が振動、盛り上がると、支柱の下から現れたのは蟹のような超巨大な怪獣。これが最初の怪獣と支柱を介して繋がっているのである。

 いや、違う。最初の怪獣と蟹のような巨大な怪獣は一心同体、文字通り同一の存在なのだ。

 

「ギィィィィィィギャオオオオオオ」

 

 新究極巨大超獣 Rキラーザウルス

 

 かつてウルトラマンメビウス及びウルトラ兄弟と横浜で死闘を繰り広げた異次元人ヤプールの最終兵器だった超獣が、レイブラッド星人抹殺のためにさらなる強化をされたもの。Rはレイブラッドの略である。

 全体的にはUキラーザウルス・ネオの見た目に準じるが、全体の大きさがさらに巨大化しており、上半身背部から生える触手の数は8本に増え、先端もより鋭い形状となっている。蟹のような巨大な下半身は1対の巨大な鋏が増え、先端が鋭く凶々しい刃が付いた蠍のような超巨大な尻尾が追加されているなど、ますます凶々しい見た目の超獣へと変化している。

 その名の通り、本来はレイブラッド星人及びレイオニクス抹殺のためのヤプールの最終兵器で、惑星アシヨシ完成直前に刺客として差し向けられたのだが、レイブラッド星人及びペルフェクト星人との死闘の果てに敗れた。本個体はその時敗死した個体から落ちた破片の一部を回収、時空の歪みの中で密かに培養・再生させた複製体(クローン)である。

 

「な、何だコイツは!?」

 

 信じ難い巨体の超獣の出現に、キリエロイドは仰天する。あまりのサイズの差から、こちらの攻撃が通用するのかも怪しいと思うほどであった。

 

「ヒュオオオオ…」

 

 ナイトファングの方も面食らっていた。悪魔のようなおぞましい姿と生態を持つことで知られる魔獣が、今は主人同様に驚き慄いていた。

 空高く浮かんでいる自分が、地に足をつけている敵に見下されているという矛盾。一瞬納得がいかなかったほどだ。

 

「紹介しよう。私の新たなる配下、新究極巨大超獣Rキラーザウルスだ!

 とはいえ、安心しろ。私も今回初めて使う代物だ。故に、誰かとレイオニクスバトルをして慣らしておきたくてなァ」

「ふ、ふざけおって!」

 

 キリエロイドが相手の舐めきった発言にまた激昂するのも無理はない。尊大で傲慢だが同時に聡明なキリエロイドは、自分達がこの超獣のデビュー戦のための噛ませ犬にされたことを理解してしまったからだ。

 恐怖はあったが、それ以上にこの巨大超獣の慣らし運転のための生贄扱いの怒りが上回ったのだ。

 

「図体ばかり如何に大きかろうと、ナイトファングには関係ない!」

「よろしい。ならば、その実力を示してみせよ!」

「ギィィィィィィギャオオオオオオ」

 

 レイオニクスバトルが始まった。Rキラーザウルスは8本の触手を空のナイトファングに向けて伸ばすも、悪夢魔獣は見た目に似合わず俊敏に躱し、逆に間合いを詰める。

 

「プヒャヒャヒャヒャ」

 

 奇妙な鳴き声を上げ、ナイトファングは額の一つ目から催眠音波【ナイトメアウェイブ】を放つ。この催眠音波を浴びた者は強制的に悪夢を見ることとなり、夢の中の世界で非常に苦しむ。そうして、その悪夢をエネルギーに変換し糧とするのがナイトファングの食事なのだ。

 催眠音波は一帯に広がり、当然そこに佇む巨大超獣に浴びせられる。例え、如何なる巨体とて関係ない。ある程度知性のある存在ならば等しく有効である。

 

「ギュルルルル」

「プヒャ!?」

「!? 効いていないのか!?」

 

 けれども、魔獣の案に相違して、敵の超獣には催眠音波が全く効いていなかった。ナイトファングが何度催眠音波を放って浴びせても、目の前の超獣は様子が全く変わらないのである。

 

「目の付け所自体は悪くない。だが、使う相手が悪かったな。

 知っているか? 超獣は怪獣より強いだけではない。知性は確かにあるが、痛みや恐怖といった高等生物が本来持つ感覚・感情は超獣には初めから無いのだ」

 

 驚く主従に対し、ペルフェクト星人は余裕からか丁寧に解説してやる。

 ちなみに彼女もモロに浴びているが、それを見越して既に己の体の周囲に超能力を防ぐバリアーを張り巡らせていたため無事であった。

 

「な、何だと…!」

 

 予想だにせぬ衝撃の事実に戦慄くキリエロイド。幸か不幸か、キリエロイドとナイトファングは今まで超獣と戦ったことがなく、その事実を今初めて知る羽目になっていた。

 

「くっ…!」

「どうした? ()()はそれで終わりかな?」

「この私をナメるなよ小娘ぇッッ!!!!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 相棒の最大の武器がいきなり潰されて自棄になったのか。空に浮かぶキリエロイドはバトルナイザーを構え、新たに怪獣を召喚する。

 

「ケェーン!」

「ヒューイ!」

 

 2体の怪獣が新たにバトルナイザーから召喚される。どちらも翼を持った飛行怪獣である。

 

「ケェーン!」

 

 超古代竜 メルバ

 

 かつて超古代怪獣ゴルザと共にウルトラマンティガと最初に戦った怪獣で、相棒と同じく闇の勢力に属する。赤茶色の体色に、クチバシのある翼竜のような顔と長い首、胸にはゴルザと共通する岩石状の甲殻、背中の一対の大きな翼、両腕の大爪が特徴。

 二足歩行の翼竜のような姿をしているだけあり、高い飛行能力・飛行速度を持つ。他には目から放つ怪光線を武器とする。

 

「ヒューイ!」

 

 高速怪獣 デキサドル

 

 かつて念力種族ゼネキンダール人に操られ、ウルトラマンダイナと戦った怪獣で、南米アンデスにあった地上絵から実体化した。灰色の体色をしており、鷲のような翼と尾を持った二足歩行の翼竜のような怪獣。

 高い飛行能力を持ち、戦闘機群の背後に回り込んだり、ダイナの攻撃も楽々躱すほどである。戦力は飛行時の格闘及び、対象の頭や体に巻き付くリング光線を口から放つ。

 

「やれっ!」

 

 ナイトファング・メルバ・デキサドルの3体は襲いかかる触手を躱して飛行しながら、超獣の上半身に対して火球や光線で攻撃を加える。

 

「ほう。非常に雑な指示の割にはよく動けている。ちゃんと連携も取れているな」

 

 女は意外そうな様子で敵怪獣を称賛する。3体とも高い飛行能力を誇る怪獣だけあって、高速かつ縦横無尽に動き回る触手にもよく対応していた。また、1体が躱しきれないとなると他2体が攻撃を加えることで触手の動きを逸らさせて助けるなど、連携もよく取れている。

 彼女が思っていた以上に、このレイオニクスと怪獣達は実力があるようである。

 

「くっ…!」

 

 けれども、キリエロイドの焦りは増すばかりであった。

 確かに怪獣達の連携は見事なものであり、攻撃自体も被弾していない。だが、8本の触手はこちらがいくら攻撃を叩き込んでもせいぜい怯む程度。行動不能に追い込むためには後どれだけの攻撃を加えればいいのかさえ分からない始末。

 そして彼がすぐ気づいたのは、敵の超獣の方は明らかに手を抜いているという事実である。動かしているのはあくまで触手だけであり、他の戦力は一切使用していないのだ。

 おまけに触手以外に上半身にも3体の怪獣は時折攻撃を加えているのだが、現時点で多少甲殻が焦げる程度の痛手にしかなっていない。

 

「ふむ。これぐらいでいいか」

「!」

 

 そうして攻撃と回避を続けた3体の怪獣に疲れが見え始めた頃。ここでペルフェクト星人はRキラーザウルスの慣らし運転をやめ、本格的な戦闘を開始することを決めた。

 

「触手の動きと各部位の防御力については大体分かった。あとは武器の性能を知りたい」

「……!」

 

 キリエロイド自慢の3体の配下の懸命の攻撃も、結局はペルフェクト星人のRキラーザウルスにとってはデータ取りに利用される程度でしかなかった。それにキリエロイドは今更になって気づいてしまう。

 

「ギィィィィィィギャオオオオオオ」

「では、お手並み拝見」

 

 金属同士の擦れるような不快な咆哮を上げ、巨大超獣はついに本格的な攻撃へと移る。

 それを見て、3体の怪獣の運命を示唆するかのような陰惨な笑みを浮かべながらそう呟くペルフェクト星人。

 

「ピャ!?」

 

 まず8本の触手がナイトファング目がけ、先端から破壊光線を連射。反応が一瞬遅ければ躱せず蜂の巣になっていただろう。

 

「………!」

 

 一旦回避に専念しようと、3体は触手の届く間合いのギリギリ外側へと飛んで退避する。

 

「ギィィィィィィ」

 

 だが、巨大超獣はここで全身の棘を生体ミサイルとして発射。超巨体のため、相当の数が存在したそれらは周囲一帯の空を埋め尽くさんばかりの量であった。

 

「ケェーン!!」

 

 3体は必死で躱すか、攻撃して撃ち落とし続けるも、やがてメルバが防ぎきれず何発か被弾。落下していったところでさらにミサイルがいくつも命中し、空中で爆散した。

 

「メ、メルバ!!」

「ヒュウーイ!!」

 

 キリエロイドがメルバの死に驚愕したところで、同時にデキサドルが仲間の死に激昂。生体ミサイルを叩き落しながら触手の1本に肉薄するも、直後それを待ち構えていたかのように4本の触手に捕らわれてしまう。

 

「ギッギギッッ……」

 

 触手の先端はデキサドルを掴んで引っ張り、残酷にもバラバラに引き裂いた。

 

「デキサドル!!!!」

 

 2体目の死に、キリエロイドの絶叫が轟く。

 

「ゆ、許さん!!!!」

 

 後がなくなったキリエロイドは起死回生を懸け、全力でレイオニクスパワーをナイトファングに注入する。

 

「ピャアアアア!!」

 

 悪夢魔獣 ナイトファング(レイオニックバースト) 

 

 ナイトファングは全身が赤みを帯びると共に、禍々しい紫色のオーラを先ほどよりさらに濃く放つ。

 

「さぁて、どこまで喰らいつけるかな?」

 

 それを見ても、この超獣との間にはどうしようもない隔絶した差があるのを理解しているのか。ペルフェクト星人には、むしろナイトファング1体でどこまでRキラーザウルスに抵抗出来るか愉しむ余裕さえあった。

 

「いけぇええ!!!!」

 

 キリエロイドの絶叫と共に、ナイトファングは凄まじい飛行速度で触手の妨害を掻いくぐり、ついに巨大超獣の上半身へと肉薄する。そして、両腕の触手を上半身に絡ませて絞め上げる。

 こうすれば絶対に躱せない――その確信を持って、悪夢魔獣は口からの火球【ファングヴォルボール】を全力で連射する。

 

「ギィィィィィィ」

 

 さすがにこれは効いたのか、今度ばかりはRキラーザウルスの鳴き声が苦悶に満ちたものにも聞こえた。

 

「やれぇナイトファング!!!! 死ぬ気で撃ちまくるのだ!!!!」

 

 キリエロイドはナイトファングをそのまま死なせんばかりの勢いで攻撃させる。無論、そうしなければ勝てない相手であったことは間違いないだろう。

 

「ゼェー……ゼェー………」

 

 超至近距離から100発近くも火球を撃ち込んだ。そのせいで、さすがの悪夢魔獣も肩で息をしており、飛ぶことすらやっとの有様である。

 

「ギィィィィィィ」

「!!」

「な……っ!!」

 

 巨大超獣の上半身の周りには、火球の連射により煙がもうもうと立ち籠めていた。しかし、超獣は両腕を✕字に組んでから大きく振るうことで煙が散らされて晴れたことにより、その姿が再び露わになる。

 見れば、あれだけ超至近距離からの火球をくらっておいて、その金と青と黒の甲殻には大した痛手が見られない。所々焼け焦げた痕が見られるが、せいぜいその程度の話であった。

 それを見たキリエロイドとナイトファングは愕然とし、絶望に包まれる。

 

「どうやら心が折れたようだな。お前のレイオニクスパワーがどんどん失せていくのを感じるぞ」

 

 ここまでやってこの程度のダメージしか与えられなかったことにキリエロイドは絶望し、ついに心が折れてしまう。それにより、ナイトファングに注がれていたレイオニクスパワーがどんどん消えていき、やがてレイオニックバーストが解除されてしまった。

 

「どうやらここまでのようだな」

 

 主従の心が完全に折れたのを感じ取り、ペルフェクト星人は冷酷にそう宣言する。

 

「ピャ!!」

 

 呆然とするナイトファングの背後から超獣の触手が掴みかかる。ナイトファングの方の触手はRキラーザウルスの両肩に絡ませたままであるが強引に引っ張ったせいで、悪夢魔獣の両手の触手を無理矢理引き千切られてしまう。

 

「ピャアアアア!!!!」

 

 痛みのあまり絶叫するナイトファング。おぞましい姿と生態を持つことで知られる魔獣が、今はあべこべに自分が苦痛を味わわされ、絶望を叩き込まれている。

 

「や、やめろ!!」

 

 キリエロイドが配下の怪獣へのこれ以上の暴行をやめるよう懇願するが、女も超獣も聞きはしなかった。

 

「ピャ、ピャ…」

 

 触手の巨大な爪がナイトファングに喰い込み苛む。その強靭な甲殻も、巨大超獣の触手の誇る圧倒的握力の前には薄絹同然であった。

 

「ピャガッ!!」

 

 そして触手が一気に力を籠めたことで、悪夢魔獣は断末魔と共にグシャグシャに握り潰され、バラバラの肉片へと変わった。さらにはそのまま触手から光線が放たれることで、爆発音と共に肉片はさらに木っ端微塵となって蒸発したのである。

 

「これでゲームオーバーだな」

「あ――――」

 

 敗れ去ったショックから、呆然とするキリエロイド。最早自分に向けられる触手にも反応することは出来なかった。

 

「では、ごきげんよう」

 

 そうして、傲慢な精神生命体は触手から放った大出力の破壊光線に呑み込まれ、配下の怪獣達同様跡形もなく消え去ったのである。

 

「敗者には死あるのみ。それがレイオニクスバトルだ」

 

 何の感慨もなく機械的にそう呟くと、ペルフェクト星人はRキラーザウルスを見上げた。

 

「思っていた以上の強さだったぞ、Rキラーザウルス」

「ギィィィィィィギャオオオオオオ」

 

 主からの称賛に、金切り声のような咆哮を上げながら、巨大超獣は頭を垂れたのだった。




用語解説

 炎魔戦士 キリエロイド(RB)

 二つ名は“黄泉の国の番人”。かつてウルトラマンティガと2度に渡り戦った、精神生命体キリエル(びと)の実体化時の姿及び戦闘形態。遥か昔に異次元からネオフロンティアスペースの地球へ侵入し、「人類をより良い方向に導く」と称し人類に干渉を続け、支配しようとしていたらしい。
 傲慢かつ極めて自己顕示欲が強いことで知られ、現代にいきなり現れたティガを自分達より遅くやって来たにもかかわらず好き放題しているとして敵視している。ティガではなく自分達が人類の救世主となるべく、様々な謀略や扇動・洗脳を狡猾に行うも、ティガ及びGUTSによりなんとか防がれている。ただし、ガタノゾーアが本格的に活動を開始しティガを石像に変えた時には、それまで執着していた人類と地球をあっさり見捨て、捨て台詞を吐いて地球から去っていった。
 キリエロイドとしての姿は全身が灰白色と黒に染められた禍々しい悪魔のようなものであり、顔は泣き顔のようになっている。それと額と左胸にはオレンジ色の発光体が存在する。
 その名の通り、強力な炎を操る能力を持つ。超能力自体も多彩で、人間の死体への憑依能力、洗脳能力、空中浮遊能力、他のキリエル人との合体能力などを持つ。またティガのタイプチェンジに相当する能力を持ち、パワータイプ・スカイタイプに相当する形態へと変化した他、両者を同時に発言させることも可能。
 本個体はキリエル人(より正確にはその中で最も優れた自分1人)により管理・運営される神聖なる宇宙を創るべくレイオニクスとなった。今までの個体同様性格は尊大傲慢で独善的だが、レイオニクスとしての実力は高く、3体の飛行怪獣を操りレイオニクスバトルを勝ち抜いてきた。
 しかしある時、ペルフェクト星人のRキラーザウルスの慣らし運転のための実験台に選ばれてしまい、圧倒的な実力差を見せつけられ怪獣を皆殺しにされてしまう。そして敗北を受け入れられず呆然としていたところ、失格を告げられそのまま抹殺されてしまった。
 尚、ペルフェクト星人から実験台に選ばれた理由には、彼にセカンドステージ突破は無理だと見做されたこともあるようである。それでも当初の予想よりは善戦していたが、結局は最低ライン以下ではあったらしい。

 悪夢魔獣 ナイトファング

 自然発生した生物とは到底思い難い、悪魔のようなおぞましい姿と生態で知られる魔獣。詳しい出自は不明だが、宇宙怪獣だと思われる。
 体色は黒と紫で、顔とは別に赤い目のある胸部、幾本もの触手が連なる両手、無数の短い触手の生えた両肩、背中には大きな黒い翼がある。1番特徴的なのが頭部で、赤い目の上に口があり、さらにその上には太い一本角の基部に隠された単眼があるという悪魔じみた姿である。
 この単眼からは催眠音波【ナイトメアウェイブ】を放つことで対象の生物に悪夢を見せ、それをエネルギーに変換して糧とするという生態を持つ。他に触手による殴打と、口からは火球【ファングヴォルボール】を放つ。また飛行能力も高く、敵の必殺技が直撃しても意に介さず飛行を続けるほどの防御力を誇る。
 本個体は惑星アシヨシに現れたところを、キリエロイド(RB)に捕獲され主戦力となった。主には忠実に従っているが、主曰く大食らいらしく、1度のレイオニクスバトルでは満足出来ず立て続けに戦いを行おうとするなど、捕食本能にもまた忠実である。ちなみにキリエロイド(RB)の配下の中では最強の怪獣とのことで、特にレイオニックバースト時には今まで負けなしであった。
 しかし、ある時出くわしたペルフェクト星人のRキラーザウルスには、痛みや感情のない超獣故に催眠音波が効かないという特性が発覚、最悪の相性もあって苦戦する。それでもかなり食い下がったが力及ばず、最期は自分の方が絶望を叩き込まれながら触手で握り潰されて肉片に変えられ、そのままダメ押しの光線で蒸発させられた。

 超古代竜 メルバ

 かつてウルトラマンティガと戦った超古代怪獣の別個体で、ゴルザと共にティガが最初に戦ったことで知られる。イースター島から出現し、巨人達の石像の収められたピラミッドを襲い石像を破壊するが、最後に残った石像がティガへと変わり戦いとなるがスカイタイプとなったティガに倒された。
 相方のゴルザと比べ、シャープな印象を持つ二足歩行の翼竜のような飛行怪獣。赤茶色の体色で、クチバシを持った鳥にも翼竜にも似た小さな顔の付いた前傾した長い首、背中の大きな翼、鎌状の大きな爪となった両手、ゴルザと共通する岩石状の胸部甲殻が特徴。両目からは破壊光弾【メルバニックレイ】を放ち、マッハ6で空を飛び回る。
 本個体は四次元怪獣ブルトンによってこの惑星アシヨシに呼び寄せられた後、キリエロイド(RB)に捕らえられて配下となった。戦闘力は高く、飛行怪獣らしく空中戦を得意とした。しかし、ある時戦ったRキラーザウルスの生体ミサイルの弾幕は、メルバの飛行能力をもってしても躱しきれず被弾してしまい、そのまま追撃を受け爆散してしまった。

 高速怪獣 デキサドル

 かつて念力種族ゼネキンダール人によって操られ、ウルトラマンダイナと戦った怪獣の別個体。アンデス地方の地上絵から主人の念力により実体化したが、実体と地上絵の状態は自在に行き来出来、地上絵の状態でやり過ごして探査を逃れることも可能。
 鷲のような大きな翼と尻尾を持った二足歩行の翼竜のような見た目の怪獣。飛行能力は非常に高く、最高速度マッハ7.5のガッツイーグルα以上のスピードで自在に飛び回り翻弄する。その速度を生かした格闘攻撃と、口から放ち相手を締め上げるリング光線を武器とする。
 本個体は四次元怪獣ブルトンにより惑星アシヨシに現れたところを、キリエロイド(RB)によって捕獲され戦力となった。ちなみに配下3体の中でも、空中格闘能力については随一とのこと。しかしRキラーザウルス相手には相性が悪すぎ、飛び道具も拘束専用で決め手に欠けていたが、それでも一応仲間を攻撃から助け出せる程度には強かった。
 仲間意識も強いようで、メルバが殺されたことに激昂して激しい攻撃を仕掛けている。しかしその結果触手に捕まり、そのまま引き裂かれてバラバラにされるという無惨な最期を遂げた。

 新究極巨大超獣 Rキラーザウルス

 Rはレイブラッドの略。かつてウルトラマンメビウスとウルトラ兄弟が死闘の末撃破した究極巨大超獣Uキラーザウルス・ネオを、レイブラッド星人及びレイオニクス抹殺のために強化したもの。強化前と同じく、異次元人巨大ヤプールによって圧倒的な怨念の力とマイナスエネルギーで生み出された。
 その強さはUキラーザウルス・ネオを超え、以前敗れたメビウスインフィニティー、さらにはかつて配下となったエンペラ星人をも打倒出来るとヤプールが豪語したほど。
 惑星アシヨシ完成直前に、レイブラッド星人の新たな目論見を何処からか嗅ぎつけたヤプールに、超獣軍団と共にアシヨシ破壊のための切り札として投入された。だが、迎え撃ったレイブラッド星人及びペルフェクト星人によって死闘の末撃破され敗死し、指揮を取っていた巨大ヤプールもレイブラッド星人によって消滅させられた。
 しかしその強さはレイブラッド星人の目に留まり、自身の宿る肉体のスペアも兼ねて、ペルフェクト星人に回収させた体組織を元に密かに再生を命じた。よって今回現れた個体は再生に成功した複製体(クローン)であり、レイブラッド星人抹殺のための切り札が皮肉にもレイブラッド星人直属の配下の走狗と成り果てたことになる。
 全体的な見た目はUキラーザウルス・ネオに準じるが、新たに蟹型の下半身に巨大な1対の鋏と蠍のような巨大な尾が追加され、加えて背中から生える触手も8本となって爪がより鋭い形状となり、両腕もより大型化した。さらには全体的なサイズが巨大化しており、身長も500mを軽く超え、体重も80万tほどに増加している。そのため、惑星アシヨシで最大の怪獣(厳密には超獣)となっている。
 攻撃・防御共に桁外れであり、超至近距離からのレイオニックバースト状態のナイトファングによる火球100連発が大した痛手になっていない。生体ミサイルの弾幕も厚すぎて、マッハ6の飛行能力を誇るメルバが躱しきれず爆死してしまった。また超獣なので恐怖や痛覚といった感情や感覚がなく、ナイトファング最大の武器である催眠音波が全く効かない。
 このように戦闘兵器としてはほぼ完全無欠といっていいほどの超獣であるが、あまりに巨大過ぎてバトルナイザーの枠を普通の怪獣20体分も食ってしまうのが難点。とはいえ、強いて上げるなら欠点はその程度である。
 尚、レイブラッド星人が後継者レースの優勝者に求めるのは、この超獣をも撃破するほどの強者である。そうでなくては自身の宿る器に相応しくなく、また自分を裏切ったレイへの復讐も出来ないと考えているのだ。
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