怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 今回は野良も含め登場キャラがやや多め。そしてセカンドステージでの本格的なレイオニクスバトルも今回が初ですかね。
 ていうか、怪獣バスターズシリーズはやりこんでて印象に残っているせいか、それに出てきた亜種怪獣が割と作中で登場させている気がする。


真水vs海水!!

 惑星アシヨシでのレイブラッド星人後継者レースも、既にセカンドステージに突入した。それにより、レイオニクス達のレイオニクスバトルもより激しさ、そして情け容赦のなさを増してきた。

 バトルで怪獣が敗れれば最期、敗者は即座に殺されることもしばしば。だが、それでもレイブラッド星人の後継者となりたければ、戦い続けるしかない。

 ここまで来れば、もう諦めて星から逃げ出す者も皆無である。勝者も敗者も、共にここまで勝ち残ってきた精鋭なのだから。

 

 

 

 

 

 ――とある湖――

 

 平原地帯に存在する、豊かな水を湛えた湖。水質は極めて良く、深い湖底も見えそうなほどに澄んでいる。

 しかし、その反面水中の栄養塩類の乏しい貧栄養湖であり、植物プランクトンを始めとする水生生物はほとんど生息していない。

 とはいえ、野生動物が飲むことは問題ない。そのため時折湖の周囲に暮らす野生動物、さらには怪獣が水分補給のために立ち寄ることがあった。

 

「………………」

 

 そうして今日もまた、何処からか怪獣がやって来た。

 その怪獣は手足のない長い体を這いずらせながら、ゆっくりと水辺へと近づいてくる。

 

「ギュルル」

 

 超空間共生怪獣 アネモス

 

 約6億年前の先カンブリア紀に生息していた、まさにナマコそのもののような見た目の巨大生物。環境適応能力こそ高いものの、戦闘能力は怪獣としてはかなり低い。その弱点を補うためもあるのか、二足歩行の甲殻類のような怪獣クラブガンと共生する生態を持ち、さらには彼との合体能力を有していた。

 既に絶滅した種だが、意識のみが幽霊のような形で現代に残存していた。そして絶滅を哀れんだある女性の精神に反応して、なんと実体化して暴れ出し、同じく蘇ったクラブガンと共にウルトラマンガイアと戦っている。

 尚、この個体は幽霊ではなく、四次元怪獣ブルトンの力で先カンブリア紀から呼び寄せられた生者である。地球と同じ環境である惑星アシヨシには問題なく適応している。

 

「ギュ」

 

 アネモスはイソギンチャクのような口を開き、湖に口をつけた。そのまま全身を蠕動させ、水を飲む。

 

「!?」

 

 アネモスには目はないので視覚はない。しかしながら、それでも頭部の感覚器官により、この湖には少なくとも自分の気づく範囲内に脅威となる生物がいないことは確認済みであった。そのはずだったのだ。

 

「ギィィィィ!!」

 

 しかし不可解にも、アネモスのすぐ目の前の水底にはっきりと怪獣の姿が浮かび上がった。そのまま口から長い舌を伸ばしてアネモスに巻き付け、水中に引きずり込む。

 

「ギュルル!!」

 

 アネモスは必死にもがいて抵抗する。けれども、力強い敵にはそれもほぼ無意味であり、そのまま水中で何度も噛みつかれて、その度肉を食い千切られていく。

 そうして多量の血と肉があっという間に失われ、体の各所を深く抉り取られてしまったアネモスはすぐに絶命してしまった。

 

「ギィィ!」

 

 捕食者は尚もアネモスの死体に噛みつき、喰らう。やがてほとんど平らげたところで、澄んだ水を真っ赤に染める血までも自らの体に取り込んだ。すると、見る見る内に水がまた透明さを取り戻していき、今起きた惨劇が嘘の如く清らかな水へと戻ってしまった。

 

「ギィィィィ!!」

 

 液体大怪獣 コスモリキッド

 

 かつてウルトラマンタロウと戦った怪獣の別個体。肉食性で、後述の能力で多摩川上流に潜み、人間や動物を捕食していた。

 体色は緑がかっており、頭部に3本の角が生え、他に首の後ろからは皮膜が伸び、背中には背骨に沿って長い棘と、その周囲に大きな吸盤が揃っている。

 水棲怪獣だが、1番の特徴は体を自在に液体化出来る能力である。液体状態では物理攻撃が一切通用せず、また実体化時に負った傷も治ってしまう。さらには、再生怪獣ライブキングに呑み込まれても消化されず、怪獣の胃に穴が開けられた際はそこから無事に帰還している。

 

「ギィィィィィィ!!」

 

 湖に居座るこのコスモリキッドは、生き物が水を飲んでいる瞬間に実体化。長い舌を巻き付けることで湖に引きずり込んで捕食していた。さらにはこのアネモスを含め、既に数体の怪獣まで捕食しており、そのせいかタロウの個体よりパワーアップしていたのである。

 

「……ふぅん。なかなか強そうねェ……」

 

 このように、水辺での待ち伏せ型の狩りを繰り返しているコスモリキッド。この星にやって来てから、野生動物だろうと怪獣相手であろうと狩りは全て成功させてきた。

 それ故に、彼は自らを絶対の捕食者、熟練の狩人であると自負していた。そう思い込む彼だからこそ、自らの狩りの様子を遠方から監視されているなどとは夢にも思わなかった。

 コスモリキッドも気づかない遠方、北へ1kmほど離れた地点。そこに着陸していた宇宙船の側で、昆虫のような顔つきのレイオニクスが電子双眼鏡で狩りの様子、さらには怪獣の戦闘力や能力を観察していたのだ。

 

「戦力になりそう」

 

 変身怪人 ピット星人(RB)

 

 かつて宇宙怪獣エレキングを操り、地球を侵略しようとした宇宙人の同種族の女性。一説には女性しか存在しない種族とも言われる。

 黒色の全身タイツのような服装に、女性らしい細身の体躯だが、頭部は昆虫のものと似ており、頭頂部の両側に目がある。また、頭部の色は個体ごとに異なるようであり、彼女の場合は薄い桃色となっている。

 

『バトルナイザー、モンスロード!』

「いきなさいエレキング!」

 

 あの怪獣を戦力としよう。そう決めた彼女に早速召喚されたのはエレキング。

 バトルナイザーから放たれた光が遥か遠く、水辺近くまで飛んでいって実体化し、黒いエレキングとなる。

 

「キシィィィィ」

 

 宇宙怪獣 エレキング(ブラック)

 

 温暖な海洋惑星ワッカで発見された、禍々しい見た目のエレキングの変種。姿形は変化していないが、体表のクリーム色の部分が不気味な黒色へと変化しており、黒と黄色の斑模様となっている。この色彩変化については、夜の闇に紛れるための適応という説もある。

 変異に伴い、放電能力及び戦闘能力がパワーアップしており、一部の弱点属性も変化している。

 

「まずは…」

「キシー」

 

 ピット星人は黒いエレキングにバトルナイザーで指示を下す。

 

「頼んだわよ」

 

 この怪獣は主人のレイオニクスバトルでの快進撃を支え続けてきた相棒である。

 しかし、惑星アシヨシでのレイオニクスバトルもセカンドステージに突入してからは敵レイオニクスのレベルも上がってきたため、苦戦することが多くなってきた。

 そのため、ピット星人は今後のバトルでの勝利のための戦力拡充の必要性を痛感し、強い野良怪獣を探してアシヨシの様々な土地を巡っていた。そして、今回あのコスモリキッドに白羽の矢が立ったというわけである。

 

「キシー」

 

 エレキングは水辺まで歩いていき、そのまま湖に入……らなかった。怪獣はそこでくるりと背を向け、その長大な黒い尻尾の先端を水に付けて放電を開始したのである。

 強烈な電気が湖に流れ、水の電気分解が起きているせいか湖は煙を上げて沸き立つ。

 

「………………」

 

 そうして2分ほど経った頃だろうか。

 

「!」

「ギィィィィィィ!!!!」

 

 湖全体に流される強烈な電撃に耐えかね、コスモリキッドは再び実体化して水辺から飛び出してきた。

 

「叩きのめしてやりなさい!」

 

 遠方からバトルナイザーで指示を受け、エレキングは怒り狂うコスモリキッドを迎え撃つ。

 

「ギィィ!?」

 

 襲いかかるコスモリキッドだが、黒いエレキングは再び背を向け勢い良くその長大な尻尾を叩きつけ、たまらず液体大怪獣は吹っ飛んでしまう。

 

「ギィ…」

 

 起き上がったコスモリキッドはこの一撃で我に返ったが、今度は尻込みしてしまう。エレキングの能力が自分との相性が最悪であることに、冷静になったことで改めて気づいてしまったからだ。

 液体化能力も驚異ではあるが絶対無敵というほどではなく、弱点は存在する。その内の1つが液体である故に電撃に弱い点で、強烈な電気を操るエレキングはまさに天敵である。

 

「うふふ。どうするの?」

 

 バトルナイザーに映るエレキングの視界からの映像を眺め、ピット星人は笑った。

 

「ギィィ!!」

 

 進退窮まったコスモリキッドは、やけっぱちになったのか。両腕を振り上げエレキングに襲いかかる。

 

「キシー!」

「ギィィィィィィィィ!!!!」

 

 突進するコスモリキッドを黒いエレキングはガッチリ受け止め、そのまま敵の胴体に長い尻尾を巻き付け放電した。これにはたまらず、今更ながら液体化して拘束から逃げようとするが、電撃で強制的に実体に戻されてしまい、液体大怪獣は逃げることも出来ず電撃を受け続けた。

 

「ギィアア!!」

 

 こうなったらイチかバチか、コスモリキッドはエレキング諸共湖に飛び込む。いくら電撃を流されようがなんとか耐えきり、その前に水深の深い所までエレキングごと潜り、やがて溺死させようという作戦だった。

 しかし、最後の最後で思いついたこの策も結果は大失敗であった。エレキングはそもそも水陸両用の怪獣で、水中でも普通に呼吸出来る。むしろ水中こそ他の怪獣を圧倒出来るホームグラウンドだというのはコスモリキッドと同じであったのだ。

 

「そこまで! もういいわよ!」

「キシー」

 

 こうして、コスモリキッドは湖の中でも体を尻尾で締め上げられ、反撃すらままならない状態で電撃を流され続けた。それはしばらく続いたところで、これ以上やれば死ぬと思った主人はエレキングを制止する。

 放電が終わったところで、エレキングはコスモリキッドを掴んで浮かび上がったが、無傷のエレキングに対し、コスモリキッドは水面に出た瞬間口から煙を吐くという死にかけの状態であった。

 

「これぞ完璧な勝利だわ」

 

 そう自慢気に言うが、戦力として捕まえようと思っているぐらいだから、ピット星人はコスモリキッドを弱いとは思っていない。ただ単にこちらとの相性が悪かっただけ、そして彼女のエレキングがそれ以上に強かっただけだ。

 

 

 

 

 

 こうして、コスモリキッドはピット星人に捕獲された。相性の関係でエレキングに一方的にやられはしたが、それでも戦力として大いに期待出来る怪獣だ。

 しかしながら、そう思っていたのは実はピット星人だけではない。コスモリキッドを狙っていたのは彼女だけではなかったのである。

 

「先を越されたか…」

 

 湖に潜むコスモリキッドの存在を嗅ぎつけ、ピット星人と同じく遠方から監視していたものの、彼女より僅かに出遅れてしまったレイオニクスは苦々しく呟く。乱入しようにも、黒いエレキングはそれを許さぬほどスムーズに圧勝してしまったがため、それすら出来なかった。

 

「だが、まぁいい」

 

 宇宙海人 バルキー星人(RB)

 

 かつて海獣サメクジラを操り、地球の海の支配を目論んだ宇宙人の同種族。地球防衛の任に着いていた時代のウルトラマンタロウが最後に戦った侵略者でもある。

 くすんだ金色のプロテクターに所々覆われた人間寄りの細身の黒い体躯に、額と胸中央にある青いクリスタル、いくつもの突起が髪の毛のように伸びた仮面のような顔が特徴。

 サメクジラに各国のタンカーを襲わせることで多くの被害を出した。荒っぽい上に卑劣な性格をしているが、本人の戦闘力は高くなく、特殊能力もテレポーテーション程度である。

 

「それならば、あのエレキングごといただいてやればいいだけのことよ」

 

 あのコスモリキッドは見事ピット星人の物となってしまったが、ならば敵のバトルナイザーごと奪えばいいだけの話である。

 そして、それを可能とするだけの戦力を彼は持っている。

 

「待ってろよ。今すぐレイオニクスバトルで――」

「キシャアアオオ!!」

「あん!? 何だ!?」

 

 人目がないのを良いことに小躍りして喜んでいたピット星人。そんな彼女を電子双眼鏡で覗きながら、早速敵の元へと出向こうとするバルキー星人だったが、突如辺りに響き渡る怪獣の声に警戒して身構える。

 そしてその直後、彼のすぐ近くで地面を突き破り、怪獣が現れた。

 

「キシャアアオオ!!」

 

 超空間共生怪獣 クラブガン

 

 約6億年前の先カンブリア紀に生息していた巨大生命体で、アネモスと共生関係を築いていた。二足歩行となって立ち上がった茶色いザリガニのような姿をしており、手の鋏で器用に人間を掴むことも出来る。

 飛び道具は持たないが、体表は攻撃したウルトラマンガイアが逆に怯んだ程に硬く、また見た目よりかなり機敏に動ける。アネモスと合体することも出来、その場合『完全生物』となる。

 尚、この個体もアネモス同様幽霊でなく、ブルトンの力によって先カンブリア紀から呼び寄せられた生者である。

 

「このタイミングで野良怪獣か。だが、レイオニクスバトルの前の準備運動にはちょうどいいぜ」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 レイオニクスバトルをここまで勝ち抜いてきただけあってバルキー星人も怯むことなく、すぐさまバトルナイザーより怪獣を召喚する。

 

「やれぇサメクジラ!!」

「キュイイイイ!!」

 

 海獣 サメクジラ 

 

 かつて地球の海の支配を企むバルキー星人によって地球に送り込まれた怪獣の別個体。各国のタンカーを襲い多くの被害を出した怪獣で、ウルトラマンタロウ=東光太郎の恩人も殺害し、彼とその家族の心に暗い影を落とした。

 鼻先にはノコギリザメのようなノコギリ状の吻が伸びており、これは分厚い鉄やタンカーをも貫くという最大の武器である。サメと同じように頭頂部からはヒレが、臀部からは尻尾が伸びているが、その名に反して四足歩行の怪獣であり、海だけでなく陸でも動ける。ただし、陸では海ほど機敏に動けないので、やはり本領は水中戦である。

 突如東京に上陸しバルキー星人と共にタロウと戦うが、激しい戦いを乗り越えてきたタロウの敵ではなく、奮戦虚しくストリウム光線で倒されている。

 

「キシャアアオオ!!」

 

 先制攻撃を仕掛けたクラブガンに右手の鋏で頭をぶん殴られるも、サメクジラはビクともしない。続けて小さく跳び上がり、今度は両手の鋏を頭に叩きつけられるも同じであった。

 

「おい、本気でやってんのか?」

 

 バルキー星人も首を左右にひねりながら、挑発する余裕を見せる。

 

「………キシャアアオオオオオオ!!??」

 

 埒が明かないと見たクラブガンは今度は右足で蹴ろうとするが、それより早くサメクジラは頭を軽く下に向けたことで、ノコギリ状の吻が甲殻を貫きそのまま脛に突き刺さる。たまらずクラブガンは悲鳴を上げたところで、サメクジラは力任せに突き刺したことで吻が貫通、傷口から血が噴き出す。

 さらにはそのまま海獣は首を左右に振ったことで傷口が広がったところで、ダメ押しとばかりに左に大きく振り、そのまま足を半分切断してしまう。

 

「へっ! 甲殻が硬くても中の肉はさすがに柔らかいか」

 

 半分千切れかかったクラブガンの右足を見て、そう感想を漏らすバルキー星人。

 

「ん、見た目の割に器用だなコイツ!?」

 

 右足が千切れかかり、もう勝負は半ば決したかと思われた。しかし、ここでクラブガンは両手の鋏を使い倒立する。

 そして逆立ちしたまま、先ほどと変わらぬ俊敏な動きを見せたのだ。

 

「結構グロいな…」

 

 先ほどと違い、今度は素直に感想を吐露するバルキー星人。逆立ち状態で動き回るのが予想外だったのもあるが、見た目と動きからして宇宙人の感覚でもそう思うところがあるのだろう。

 

「だが、その努力も無駄だったな」

「キシャアアオオ!!」

「キュイ…」

 

 倒立して動けるというのは驚いたが、それでもバルキー星人の評価を覆すには至らなかった。

 咆哮を上げて突進するクラブガン。そんな彼にサメクジラはまっすぐ向き、四肢に力を一瞬籠め、そのまま矢の如く突っ込んだ。

 

「ギシャッ……!!」

 

 フレシェット弾の如く、回転しながら飛び出したサメクジラは、そのままクラブガンの胴体をノコギリ状の吻で容赦なく貫いた。

 吻の先端が突き抜けた背中から盛大に血が噴き出したクラブガンは痙攣し、やがてその目から光が消え絶命したのだった。

 

「悪いな。面白えモンは見せてもらったが、やっぱりお前はいらねえや」

 

 轟音と共に倒れたクラブガンの死体に冷酷にそう告げ、バルキー星人はバトルナイザーにサメクジラを回収したのだった。

 

「さーて、奴さんの腕前はどれぐらいのモンかな?」

 

 黒いエレキング、さらにはコスモリキッドを合わせても、バルキー星人には十分な勝算があった。相棒のサメクジラ、そしてさらなる切り札があった彼には、敵を恐れる理由はなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、姉ちゃん。お疲れのところワリィが、今度は俺と遊ばねえか?」

 

 準備運動で体が温まったところで、早速テレポートでピット星人の所まで訪れたバルキー星人。

 

「あら、ナンパかしら? 悪いけど、あなたみたいな男は好みじゃないのよねぇ」

 

 せっかくなので湖の風光明媚な景観を楽しんでいたところ、突如現れた敵。ピット星人は遊びの誘いを受けるも、素気なくあしらう。

 

「つれねえなあ」

 

 そうは言うが、お前に拒否権はないとばかりにバルキー星人はバトルナイザーを見せた。

 

「あら、自信満々なのね」

「こう見えて今まで連戦連勝、無敗でね」

「うふふ、そうなの? まぁ、実は私もそうなんだけどね」

 

 軽口を叩きながらも、ピット星人もバトルナイザーを構えた。

 

「そりゃ面白え。それなら俺がその記録をストップさせてやるよ!!」

「あなた如きにそれが出来るのかしら?」

『『バトルナイザー、モンスロード!』』

「キシィィィィィィ!!」

「キュイイイイ!!」

 

 両者の間の緊張感も最高潮に達したところで、2人はついに怪獣を召喚する。

 

「キシー!」

 

 エレキングはまず小手調べに、口からの光弾を連射。

 

「キュイ!」

 

 サメクジラは当たる前に吻を素早く横薙ぎにし、それらを全て跳ね飛ばす。

 

「やるじゃない」

「そっちもな」

 

 初手の攻防は互角だった故、称賛し合う両者。彼等ぐらい熟練のレイオニクスともなれば、敵怪獣の一動作で大体の実力は分かる。

 

「今度はこっちからいくぜ!」

 

 サメクジラは先ほどクラブガンを一撃で葬った、あの弾丸の如き突進を繰り出そうと四肢に力を籠める。

 

「エレキング! 跳びなさい!」

「キシー!」

 

 敵怪獣の挙動に危険の予兆を感じ取ったピット星人は、サメクジラが飛び出す約2秒前にエレキングを跳躍させる。僅かに遅れてサメクジラが飛び込むも、ノコギリ状の吻は空を切ると共に、そのままエレキングに背中に跳び乗られてしまう。

 

「躱された!?」

「ギュイイ!!」

 

 バルキー星人が驚くのも束の間、背中に馬乗りになったサメクジラは頭上からエレキングに殴られまくる。クラブガンに硬い鋏で殴られても平然としていたぐらいなので、今の時点では大したダメージはないが、エレキングは本来電気を扱う怪獣。このままでは電気を流し込まれることは目に見えている。

 

「背鰭だ!」

「ギュイ!」

「キィィィィ!!??」

 

 バルキー星人の指示を受け、サメクジラは折り畳んでいた鋭利な背鰭を広げる。すると背鰭がちょうどエレキングの股の間に刺さる形となってしまい、エレキングはつい敵怪獣の背中から跳び上がってしまう。

 

「後ろから来るわよ!」

 

 股を刺された激痛で悶絶し、エレキングは地面をゴロゴロ転がる。そんなエレキングの無防備となった背中をすかさず鋭い吻で突き刺そうとするサメクジラ。

 だが、ここで主人の指示を受け、迫るサメクジラにエレキングは尻尾を叩きつけて跳ね飛ばす。

 

「小癪な! 刺し殺せサメクジラ!!」

「ギュ!」

 

 体勢を立て直したサメクジラは必殺技を今度こそ決めるべく、再び四肢に力を籠める。

 

「転がりなさい!」

 

 それをさせぬべく派手に転がり、敵の狙いから外れるエレキング。

 

「チッ、一瞬のタメがいるのが難点なんだよな…」

 

 サメクジラのこの回転突進は強力であるが、大技だけあって若干発動まで隙がある。そこを潰されたり、あるいは直前に大きく移動されたりすれば当てられない。

 

「キシー」

「! 今だ!」

 

 だが、ここでよろよろと起き上がるエレキングを見て、好機を逃すなとばかりに再びサメクジラを突っ込ませようとする。

 

「確かに厄介なのよねぇ。でも…」

 

 意味深にそう呟くピット星人。そう、この明確な隙は実は罠であったのだ。

 

「キシー!」

 

 サメクジラが飛び出す直前のタイミングで、エレキングは全身から電気を放出。すぐに強力な電磁バリアを体表面に張ったのである。

 

「え!?」

「ギュガッッ」

 

 これがこの黒いエレキングの隠し玉である。本来エレキング種が持たない能力であり、だからこそ敵の意表を突くのに使える。

 そして今更軌道など変えられるはずもなく、サメクジラは電磁バリアにまともにぶつかってしまう。確かに強力な一撃なのだが、それでも電磁バリアは突き破れず、むしろその反動を自分がモロに受ける羽目になってしまった。

 バルキー星人が驚くのと、サメクジラのノコギリ状の吻がへし折れるのはほぼ同時であった。

 

「ギュ、ギュガガガガガガ」

 

 声にならない叫びを上げ、ひっくり返ったサメクジラは痙攣し、吻のもげた鼻先から血が噴き出す。それは皮肉にも、つい先ほど彼等が殺したクラブガンを思い起こさせる光景であった。

 

「これで私達の勝ちみたいね。ねぇ、どうする?

 あまりにあっさり勝っちゃったから、今回は見逃してあげてもいいけど?」

 

 勝者となり、尊大な態度ではあるが命は取らぬ寛大さを見せるピット星人。

 

「……チッ。戻れ、サメクジラ」

 

 サメクジラは吻がもげて大ダメージを受けた上、電磁バリアに頭からまともにぶつかったせいで脳震盪まで起こしていた。この有様では殺されるのを待つだけのため、バルキー星人は戦うのを即座に諦め、バトルナイザーに相棒を回収する。

 

「認めてやるぜ。一回戦はアンタの勝ちだ」

「あら、ありがとう」

 

 悔しいが、それは認めざるを得ない。

 

「だがな、このレイオニクスバトルの決着はまだ着いていないんだぜ」

「負け惜しみ…じゃなさそうね……」

 

 使役怪獣を全て失った敵レイオニクスが必死に命乞いをするのを、このピット星人は今まで散々見てきた。だからこそ、今回の敵の落ち着いた態度から彼がまだ予備戦力を残しており、そしてその強さに自信を持っていることを見抜いたのだった。

 

「サメクジラがやられるのは予想外だったが、まだ俺の手札は尽きちゃいねえ」

 

 バルキー星人のバトルナイザーから2体目の怪獣が召喚される。

 

「それを今から見せてやるぜ!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

「クオックオオウ!」

 

 大海魔 ボクラグ

 

 かつてウルトラマンガイアと戦った怪獣の別個体。手足が生え、両手が鋏になった、直立二足歩行する深海魚とでも言うような外見をしている。

 質量及び体の成分が塩化カリウムを大量に含む海水で構成されており、体温が非常に低く、そのせいで海中ではセンサーやスキャナーが反応しない性質を持つ。また体の大半が海水で構成されていることから防御力自体は低いが、その分もげた部位が一瞬で再生するほどの強力な再生能力を持つ上、ミサイルなどの火器も通用しない。武器は鋏状の両手から放つ電撃と、手からのエネルギー吸収。

 

「ちょっとヤダ!? この子えらく磯臭いわね!!??」

 

 現れたのは、全身がほぼ海水で構成されているという怪獣ボクラグ。そして召喚された途端に、独特の強烈な磯臭さが辺りに充満したため、ピット星人は思わず鼻を押さえて顔を背けた。

 

「ハハッ! レイオニクスバトルの最中に目を離していいのかぁ!?」

「クオックオオウ!!」

 

 敵が怯んでいる隙に突進を仕掛けてきたボクラグ。

 

「キシィィィィィィ!」

 

 主からの指示がなくとも、エレキングは迎え撃つ。突進してきたボクラグの頭を掴んで止め、左脇に抱えると、そのままDDTで地面に叩きつけたのである。

 

「これで決まりね」

 

 これで勝利を確信するピット星人。自分の全体重に加え、エレキングの体重まで加わった一撃。並の怪獣なら悪ければこの一撃で即死である。

 

「へっ…」

 

 だが、何故かバルキー星人は平然としている。

 

「!?」

 

 続けて、エレキングが驚く。叩きつけた際、ボクラグの頭は粉々に吹っ飛んでおり、当然これにて即死したかと思われた。

 けれども、ボクラグはすぐさま頭が再生し、元通りに復活したのである。

 

「キシ!?」

 

 復活したボクラグは倒れたままエレキングの体に両手の鋏で触れると、そのままエネルギーを吸い取り始める。慌ててエレキングは拘束を解くと、ボクラグを蹴り飛ばして間合いを離した。

 

「さっきは不覚を取ったが、今回は違う。そいつじゃ俺のボクラグには勝てねえぜ!」

「クオックオオウ!」

 

 再び突進してくるボクラグ。その様は実に無造作、無防備なものであり、先ほどのサメクジラの方がまだ考えて行動していたと言えるほどであった。

 

「やってみなきゃわかんないわよ!!」

「キシィィィィィィ」

 

 苛立つピット星人に共感するかの如く、ボクラグの突進が当たる前にエレキングは尻尾を体に巻き付かせ、放電する。

 

「クオオオオオオウウウウ!!」

 

 ほぼ水分だけで出来た体に電撃はこれ以上ないほど効いたのか、絶叫するボクラグ。だが――

 

「んん!?」

 

 体からもうもうと立ち籠め始める水蒸気と、そして黄緑色の気体。

 

「! まさか!!??」

「キシィィィィ!」

「エレキング! そのガスを吸い込んではダメ!」

「へっ! そうはさせるかい!」

 

 電撃を流すエレキングの両肩に、ボクラグは鋏を当ててエネルギーを吸い取り返す。

 

「ここは根比べといこうかい! もっとも、勝つのは俺達だがな!」

「キシィィィィィィ……」

 

 だが、バルキー星人が相棒に持久戦を持ち込ませるまでもなく、すぐに効果が表れた。

 エネルギーを吸われる以上にエレキングは急速に弱っていき、やがて電撃を放つどころか、立っていることさえ出来なくなり、尻尾を解いて倒れてしまったのである。

 

「もしボクラグの体が真水で出来てたんなら、そのままアンタの勝ちだろう。だがな、ボクラグの体を構成してるのは海水だ。

 真水と違って、海水は電気分解されれば含まれている塩分まで分解されて、猛毒の塩素ガスも一緒に発生しちまうのよ!」

 

 勝ち誇るバルキー星人はいつの間にかガスマスクを被っていた。

 そう、真水と違い、海水は電気分解される際は含有されている塩化カリウムも分解される。そして、塩化カリウムが電気分解されるとカリウムと塩素ガスが発生するのだが、それは水の電気分解よりも性質上早く発生するのだ。

 先ほどのコスモリキッドと同じく液体で構成されている怪獣だからと、ピット星人が安易に考えた故の失態であった。

 

「くっ…!」

 

 今は風向きの関係でピット星人の方に塩素ガスは流れていないから、間一髪助かっている。だが、放電中に塩素ガスを吸い込み続けてしまったエレキングの方は戦闘不能なのは間違いなかった。

 

「ボクラグ! とどめを刺せっ!」

 

 ボクラグは主人の命令を受け、右手の鋏を振り上げ、エレキングの頭に突き刺そうとする。

 

「戻りなさい!」

「クオッ!?」

 

 だが、ここでピット星人は黒いエレキングをデータ化させてバトルナイザーに回収したことで、振り下ろしたボクラグの鋏は標的に当たらず、そのまま地面に突き刺さったのだった。

 

「チィ~~! あとちょっとでとどめが刺せたのによう!」

 

 地団駄を踏んで悔しがるバルキー星人。

 

「コスモリキッド! 早速働いてもらうわよ!」

 

 入れ替わりに、今度はバトルナイザーからコスモリキッドを召喚するピット星人。

 

「ギィィィィ!」

「頼むわよ!」

 

 捕らえられたばかりだが、コスモリキッドは素直に主人の言うことを聞いてボクラグに立ち向かう。

 

「面白え! 俺もそいつを狙ってたんだ! さっきのエレキング共々是非戦力にさせてもらおう!」

「クオックオオウ!!」

 

 ボクラグの方もコスモリキッドを迎え撃つ。

 

「ギィィ!」

 

 両手でのダブルスレッジハンマーをボクラグの頭に叩きつけるコスモリキッド。しかし、確かにボクラグの頭部は変形するも、すぐに元に戻ってしまう。

 

「ギ!?」

 

 驚いたコスモリキッドは何度も敵を殴りつける。しかし、ボクラグの体は水飛沫を吹きながら抉れはするものの、やはりすぐ元に戻ってしまう。

 

「クオッ」

「ギィ!?」

 

 敵の攻撃を鬱陶しく思ったのか、今度はボクラグの方が殴る。しかし、逆にコスモリキッドは攻撃を無効化出来ずモロにくらい、倒れてしまう。

 

「なんだぁ!? 思ってたよりずっと弱ぇじゃねえか! 期待していたのにガッカリさせやがって!」

 

 この体たらくに、先ほどまでコスモリキッドを狙っていたはずのバルキー星人も呆れ、一気に興が削がれてしまう。

 

(まずい……ボクラグの体と違って、コスモリキッドの液体化能力は任意かつ時間がかかるのだわ…)

 

 ボクラグの体と違い、コスモリキッドの液体化能力は任意な上、発動にも若干時間がかかる。よって戦闘用ではなく、先ほどのように水の中での待ち伏せや逃走のための能力と言えよう。

 

(当てが外れたかしら…)

 

 強いと思って捕まえた怪獣をいざ戦わせてみると、思っていたよりずっと弱かった。

 おまけにその事実を知ったのが、よりによって追い詰められたタイミングでとくれば、ピット星人の深い絶望も理解出来るだろう。

 

「ボクラグ! そいつももういらん! 殺ってしまえ!」

「クオックオックオオウ!!」

 

 主人の命を受けたボクラグは咆哮し、右手の鋏でコスモリキッドの首を掴む。

 

「ギィィ!」

 

 首を締め上げられ、苦しむ液体大怪獣。さらにボクラグは抜け目なく左手の鋏でエネルギー吸収にかかり、その苦しみは増すばかりである。

 

「ギィ~~!」

 

 苦しみに耐えかねたのか、ここでようやくコスモリキッドは液体化能力を発動する。

 

「させるか! ボクラグ、電撃だ!」

 

 しかし、エレキングと同じくボクラグにも実は電撃を発する能力があった。エネルギー吸収を継続しつつ鋏から電撃を流し出し、ボクラグはコスモリキッドの液体化を妨害する。

 

「あぁぁぁぁ~~!!」

 

 絶体絶命の危機となった中、ここでついにピット星人も覚悟を決めた。咆哮と共に全身からレイオニクスパワーを漲らせ、コスモリキッドに流し込む。

 

「ギィィィィィィ!!」

 

 液体大怪獣 コスモリキッド(レイオニックバースト)

 

 コスモリキッドの全身は赤みを帯びると共に、振り下ろした左手でボクラグの右手の鋏を叩きつけ、切断する。これで放電を止めることが出来た。

 

「悪あがきだな!」

 

 バルキー星人がそうせせら笑う通り、所詮一時的なものに過ぎない。腕がもげようが頭が潰れようが、ボクラグにとっては大したダメージにはならないし、再生させてまたやればいいだけのことだ。

 

「全ては無駄なんだよ! 感電死するのがイヤなら、このままエネルギーを吸い尽くして液体化すら出来なくして死なせてやるぜ!」

 

 レイオニックバーストになっても焼け石に水だとばかりに、バルキー星人は豪語する。

 

「ギャーギャーうるさいのよ」

「なにィ!!」

 

 しかし、“真のレイオニクスバトル”によってダメージがリンクしながらも、ピット星人はまだ勝負を捨ててはいない。

 そして、コスモリキッドもボクラグのもげた手首に半ば液体化しながらも噛みついている。

 

「クオッ!」

 

 噛みつかれたボクラグは鬱陶しそうに右手を激しく振るが、コスモリキッドは意地でも放さなかった。

 

「無駄だというのがわからんのか!――――ん!?」

 

 エネルギー吸収で妨害されつつも、どうにか液体化を完了したコスモリキッド。しかし、液体となった彼は、なんとボクラグの傷口から体内に侵入し始める。

 

「クオッ!? クオオウ!?」

「な、何をする気だ! やめろ!」

 

 この行動に猛烈に不吉な予感を覚えたバルキー星人は制止するが、敵がその願いを聞くはずもない。

 

「クオックオオウ………」

 

 コスモリキッドはレイオニックバーストもあってか、すぐに同化に成功。ボクラグも動きが止まってしまう。

 

「クオッ、クオッ………」

「お、おいやめ――」

 

 やがて、ボクラグの全身の表皮がボコボコと盛り上がり始める。

 

「グオッ――」

 

 そして、ボグラグは海水以外の大量の液体が自身に混ざったことで体内の浸透圧が急激に狂わされた結果、体を維持出来ずついに崩壊してしまった。

 

「なああああああああああ!!!!????」

 

 本命の怪獣が地面の大きな水たまりとなってしまったことをバルキー星人は信じられず絶叫する。

 

「あ、危なかった……」

 

 レイオニクスパワーの消費による疲労から、ピット星人もその場にへたり込む。

 

「ギィィィィ~~」

 

 ボクラグは四散したが、コスモリキッドはその水分を吸収しながら体を再形成、再び実体化する。

 

「やるじゃない。当てが外れたかと思って悪かったわね」

 

 体育座りの体勢のままで、ピット星人はコスモリキッドにサムズアップする。

 

「じゃ、第3ラウンドといきましょうか」

 

 主人はまだ戦う気なのを受けて、コスモリキッドがバルキー星人をジロリと睨む。

 

「ええい! 今日は俺の負けを認めてやる! だがな、俺はここでは死なん! 俺の夢を叶えるまでは死なん! 死んではならんのだ!」

「レイオニクスバトルで二連敗したのに往生際が悪い奴ね! コスモリキッド!」

「次会う時には、もっと強い怪獣をゲットしてくるぜ! あばよ!」

 

 そう捨て台詞を言うなり、バルキー星人はテレポーテーションでその場から消えてしまった。

 

「あっ!? ああもうッ、まんまと逃げられたわ!」

 

 一応とどめを刺すつもりであったのだが、寸前で逃げられてしまったピット星人は悔しそうに頭を両手で押さえた。

 

「ふん。でもまぁ、敵だけど妙に憎めない奴だったわ」

 

 とはいえ、やたらテンションが高い小悪党だったせいか、ピット星人としては憎むべき敵という印象ではなかったらしい。

 

「疲れたわ。今日はもう帰りましょう」

「ギィィ」

 

 ピット星人もコスモリキッドをバトルナイザーに回収し、自分も宇宙船に乗ってこの地を去っていった。




用語解説

 超空間共生怪獣 アネモス

 約6億年前の先カンブリア紀の地球に生息していた巨大生命体で、当然ながら現在は絶滅している。どんな環境でも生きられる完全生物を目指して進化したが、自らだけでは無理だと知ったため、全くの別種の生物であるクラブガンと共生することでそれを叶えようとした。
 茶色いナマコそのままのような姿をしており、戦闘能力は怪獣として見れば極めて低いが、自らが危機に陥ると紫色の警報フェロモン(川を紫色に染めたが人間や環境への実害はない)を放出してクラブガンを呼び寄せる。クラブガンと共生するよう進化したのか、クラブガンとの合体能力を備えており、合体時は誘導フェロモンで餌となる人間を招き寄せ捕食しようとしている。
 現代でも意識が幽霊のような形で残存しており、アネモスの絶滅を憐れむ女性の意識の波動に反応して実体化している。その後暴れ出し、呼び寄せたクラブガンと共にウルトラマンガイアと戦うも諸共撃破されている。
 惑星アシヨシに現れた本個体は幽霊でなく、四次元怪獣ブルトンによって先カンブリア紀からクラブガンと共に呼び寄せられた正真正銘の生者である。地球と同じ環境である惑星アシヨシにも問題なく適応しているが、クラブガンと別行動していた時にコスモリキッドの縄張りの湖に水を飲もうとやって来てしまい、そのまま捕食されて死亡した。その際警報フェロモンを出す暇さえなかったようで、クラブガンはアネモスの危機に終始気づかぬ仕舞いであった。

 液体大怪獣 コスモリキッド

 かつてウルトラマンタロウと戦った怪獣の別個体。多摩川上流に潜み人間や動物を捕食していたが、後述の能力で巧みに隠れていた。
 青緑色の体表、頭部に生えた3本の角、首から肩にかけて生えるコウモリの翼状の皮膜、長大な尻尾が特徴。他に長い舌を持ち、これで獲物を絡め取って食べる。
 最大の特徴が別名通り、体を自在に液体化する能力である。これで川の水と一体化して紛れて隠れている他、液体なので物理攻撃が通用せず、実体化時に受けた負傷もなかったことにしてしまう、防御・回避・回復・逃走において驚異の能力となっている。液体化時は再生怪獣ライブキングに飲み込まれた時も消化されず、腹に穴を開けられた際に脱出している。
 ただし、実体化時は攻撃が普通に通り、また液体化時も電撃や冷凍攻撃によって液体化が維持出来ないためそれらが弱点となっている。また同時に出現したライブキングに比べ、単純な腕力・防御力は劣る上飛び道具も持っていないようであり、ライブキングを殴りつけまくっても向こうが平然としていたため地団駄を踏む場面もあった。
 多摩川上流で人を捕食するもウルトラマンタロウ=東光太郎に発見され攻撃されたため液体化しやりすごすも、ZATに川へ電流を流されその正体を表す。その後タロウと戦うも、途中で河川敷に潜んでいたライブキングの鼻の穴に飲み込まれてしまう。やがてZATの作戦で後から飲み込まれた東光太郎と犬も脱出するが、コスモリキッドもついでに脱出してしまう。しかしライブキングには攻撃が全く通用しなかったところで、ウルトラフリーザーで凍らされそのまま破壊、ついに倒された。
 本個体は惑星アシヨシのとある湖に普段は液体状態で潜んでおり、水を飲みに来る動物や怪獣がやって来た時に実体化して舌で水中に引きずり込んでそのまま捕食していた。今まで狩りに失敗したことがなく、それ故自らを絶対の捕食者、熟練の狩人だと考えていたが、その驕り故に自分が2人のレイオニクスの監視対象となっているなど夢にも思っていなかった。
 ピット星人(RB)に戦力として狙われており、エレキング(ブラック)を差し向けられる。今まで無敗だった彼だったが、エレキングとは相性が悪すぎて為す術もなくすぐに敗北し、使役怪獣となってしまった。
 その傷が癒えぬ内に今度はバルキー星人のボクラグと戦わせられるが、液体化能力が任意発動という弱点により苦戦する。しかし根性で食い下がり傷を負わせたところで、液体化した自分の体を同じくほぼ液体であるボクラグの体に同化させ、浸透圧のバランスを崩して崩壊させるという残虐戦法で勝利した。

 変身怪人 ピット星人(RB)

 二つ名は“特級エレキングブリーダー”。かつてエレキングを操って地球侵略を目論んだ宇宙人の同種族。一説には女性しか存在しない種族と言われ、実際確認された個体は全て女性である。
 黒い全身タイツのような服装で女性らしい体躯を覆っているが、頭部は昆虫に似ており頭頂部両側に目がある。また頭部の色は個体ごとにそれぞれ異なる。戦闘能力は低いが、その分振る舞いは狡猾であると共に無邪気な残酷さも持つ。
 ウルトラセブンと戦った2人組はウルトラセブン=モロボシ・ダンからウルトラアイを盗み出すと共に基地の機器を狂わせ、ウルトラホーク2号まで奪取するなどかなりいいところまでいった。だが、結局は差し向けたエレキングも倒され、自分達も負け惜しみを吐きながら円盤で逃げるも撃墜される。その際の会話から、エレキングより強い怪獣も戦力として持っていたようである。
 本個体はエレキング(ブラック)のみで惑星アシヨシでのレイオニクスバトルのセカンドステージまで勝ち進むという強豪レイオニクスである。しかし、セカンドステージ突入後はさすがにライバル達のレベルも上がって辛勝が続いたため、限界と戦力拡充の必要性をを痛感し、新たな使役怪獣としてコスモリキッドに白羽の矢を立て、見事捕獲した。
 他レイオニクスと同じくレイブラッド星人の後継者となって全宇宙征服の野望を持つが、仮に優勝してもあくまで名目上の支配者になって崇められればそれで満足で、人々の実生活まで支配する気はない。

 宇宙怪獣 エレキング(ブラック)

 夜の闇に溶け込むような禍々しい漆黒の体色へと変化したエレキングの変種。初めて発見されたのは常夏のリゾート地として知られる温暖な海洋惑星ワッカである。
 両目の代わりに存在する三日月型のアンテナや他の怪獣よりずっと長大な尻尾、ミトンタイプの両手などは原種と同じだが、クリーム色だった体色が漆黒へと変化しており、黒と黄色の斑模様となっている。変化は体色だけではなく、放電能力・戦闘能力共に原種からパワーアップしている。
 ピット星人(RB)によって使役されており、たった1体でセカンドステージに勝ち進んだほどの戦闘能力を持つ。彼女曰く、戦闘能力はあのレイのエレキングを上回っており、例えグランデのタイラントと戦っても倒せると豪語するほどである。発言の真偽はともかく、事実相性もあるとはいえ凶暴なコスモリキッドを完封勝利するほどの戦闘能力を見せている。
 ただし、そんなエレキングでも最後まで彼1人で戦い抜くのもほぼ不可能と主人に思われたのは事実である。エレキング自身最後まで孤軍奮闘させられるのは理不尽だという思いはあったようで、戦力拡充のために他の怪獣の捕獲を打ち明けられた時、特に主人に異議を唱えたりはしなかった。
 尚、こんな見た目ではあるが、一応塩素ガスは効くらしく、ボクラグの戦いでは多く吸ってしまい戦闘不能となってしまった。

 超空間共生怪獣 クラブガン

 約6億年前の先カンブリア紀の地球に生息していた巨大生命体で、当然ながら現在は絶滅している。完全生物を目指していたが自らの力だけではそれが叶わぬと知ったアネモスが共生相手として選んだ種で、アネモスとの合体能力を持つ。
 直立二足歩行するずんぐりとした茶色いザリガニのような姿をしている。戦闘能力はほとんどないアネモスと違い、甲殻類型の怪獣らしく硬い甲殻と両手の鋏を持ち、見た目よりはかなり機敏に動くことが出来る。またアネモス側の頭部が上になった逆立ち状態でも戦うことが出来、この時は素早い突進や鋏での攻撃を披露している。
 飛び道具は持たないが、炎を一瞬で消し止められる消火ガスを吐くことが出来、これで炎に包まれたアネモスを救助した。その後合体し、ウルトラマンガイアと戦うも諸共撃破された。他にも多数の個体が東京湾から川を遡上してきていたが、最初に現れた個体が倒されると同時に全て消滅している。尚、このアネモスとクラブガンは根源的破滅招来体によって人類の天敵として蘇らせられた可能性もあるとのこと。
 本個体はアネモスと共に先カンブリア紀からブルトンによって呼び寄せられた生者である。ただし、アネモスがコスモリキッドに襲われた時は地中で別行動を取っており、警報フェロモンさえ出す暇がなかったためか、終ぞ相方の危機を知らなかった。
 餌にしようと地上にいたバルキー星人(RB)を襲ったが、彼のサメクジラには終始圧倒されていた。右足に重傷を負うも逆立ち状態で抵抗するが、サメクジラの矢のような突進によって胴体を貫かれて倒された。バルキー星人の見立てとしては防御力に光るものはあるものの他は水準以下で、自らの戦力として加える魅力はなかったようである。

 宇宙海人 バルキー星人(RB)

 二つ名は“リゾートキング”。かつて地球の海を支配しようと企んだ宇宙人の同種族。ウルトラマンタロウが地球防衛の任に着いていた際、最後に戦った侵略者である。のちにウルトラマンメビウスの時代にも別個体が宇宙剣豪ザムシャーを襲撃した後成り行きで地球に降り立つが、結局返り討ちにあって斬り捨てられている。
 体の各所を覆う金属のプロテクター、額と胸部中央にある青いクリスタル、いくつもの突起が髪の毛のようになった、金属で出来たくすんだ金色の仮面のような顔(造形自体は微妙にウルトラ戦士に似てなくもない)が特徴。バルキーリングという刃の付いたリング状の武器を使用する。
 サメクジラを操って各国のタンカーを襲撃後、突如東京をも襲うが、サメクジラ共々大した強さではなく、途中でZATの攻撃に怯んでテレポートで逃げた始末である。ただしタンカー襲撃の過程でウルトラマンタロウ=東光太郎の恩人を殺害しており、その心に深い影を落とした。その後ウルトラマンタロウへの変身を封印した東光太郎を巨大化して襲撃するも、最期は自らひっくり返した石油タンクにZATガンで引火させられ火達磨となり爆死した。
 本個体は惑星アシヨシでのレイオニクスバトルをセカンドステージまで突破した強豪レイオニクスである。本来そこまで強くないはずのサメクジラをかなりの強豪怪獣まで育て上げたが、本命の怪獣は驚異的な再生能力を持つボクラグの方である。レイブラッド星人の後継者となった暁には全ての惑星を海洋惑星に変え、自分の別荘兼リゾート地として巡りながら永遠に遊び呆けて暮らすという、遊び人の極みのような野望を抱いている。
 尚、テンション高めの血の気の多い小悪党といった性格であり、レイオニクスバトルをした後、捨て台詞を吐いて逃げられたピット星人からも妙に憎めないと評されている。

 海獣 サメクジラ

 地球の海を支配しようと企むバルキー星人によって使役される水陸両用の四足歩行怪獣の別個体。有名な怪獣兵器である同時にバルキー星人からペットしても飼われる存在らしく、幼体時には他の凶悪宇宙人に侵略用の手駒として狙われた例もある。
 くすんだ水色のずんぐりとしたノコギリザメやノコギリエイに、太く短い四肢を付けたような見た目が特徴。最大の武器はノコギリ状の吻であり、これでタンカーさえ切り裂く。名前に反して陸上でも動けるが、水中よりは動きが落ちるらしく、本領発揮出来るのはやはり水中戦のようである。尚、飛び道具の類は持っていない模様。
 バルキー星人に操られ各国のタンカーを襲った後、突如東京に上陸してウルトラマンタロウを襲うが、ここまで激戦を乗り越えてきたタロウの敵ではなく、最期はストリウム光線を浴びせられ爆死した。ただし、本怪獣の強さはそこまででもなかったものの、タンカー襲撃の際にウルトラマンタロウ=東光太郎の恩人を諸共殺害しており、その家族と東光太郎の心に深い絶望を遺している。
 本個体もバルキー星人(RB)に使役されており、この惑星アシヨシでのレイオニクスバトルをセカンドステージまで勝ち上がってきた。タロウと戦った個体と違い、襲いかかってきた野良怪獣であるクラブガンをあっさり返り討ちにするほどの戦闘能力を持つが、これでもバルキー星人の本命の怪獣ではない。必殺の突進は凄まじい威力だが、飛び出すまでに若干の隙がある。

 大海魔 ボクラグ

 かつてウルトラマンガイア及びウルトラマンアグルと戦った怪獣の別個体。後述の驚異的な能力を持つが、根源的破滅招来体の手先ではないただの地球怪獣らしい。
 手足を生やし、両手が鋏状になった、直立二足歩行する深海魚といった見た目の怪獣。体のほとんどが塩化カリウムを含む海水とほぼ同じ成分で出来ており、体温が非常に低いため、海中ではレーダーやスキャナーの探査に引っかからない性質を持つ。ほぼ水分で構成された体が一見脆いが、その分再生能力が異常に高く、頭や手足も潰れたそばから再生されるほど。飛び道具は持たないようだが、鋏を敵の首に掴ませたまま引き千切り苦しめるという使い方を見せた。
 全身が冷えた海水なので熱攻撃にも強く、ミサイルなども効かない上、大質量の海水故に蒸発させるには原爆以上の熱エネルギーが必要。市街地だった場合それも無理なので、ガイアとアグルを苦戦させたが、最期はアグルのリキデイターをくらい衝撃波により蒸発した。
 本個体はバルキー星人(RB)の使役怪獣であり、サメクジラを差し置いて本命とされている。ピット星人(RB)のエレキング(ブラック)とのレイオニクスバトルの際には海水故に電撃をくらえば電気分解により塩素ガスも発生するという性質により戦闘不能に追い込んでいる。
 コスモリキッドとの戦いでは同じ液体怪獣同士でありながら性質の差により当初は圧倒する。しかしコスモリキッドが液体化して体内に侵入・同化するという起死回生の一手により、全身の浸透圧を崩され肉体が維持出来ず、崩壊して死亡した。
 防御力に関しては無敵に近い能力を持つが、一方で攻撃手段は鋏での殴打と手からの電撃ぐらいなので、攻撃力はそこまで高くない、持久戦向きの怪獣である。
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