今回はウルトラシリーズ屈指のホラー回で登場した、あのトラウマ宇宙人。通り魔系宇宙人はマジで質悪い。
――とある荒野に着陸中の宇宙船――
「幸運にも、この惑星にやって来てより未だレイオニクスとは遭遇しておりませぬ」
「引き返すなら今の内、とでも言いたいのですの?」
「左様にございます」
従者として、主人が惨たらしく死ぬのを見たいはずがない。セバスティアンは内心では、この星でプラティーナが留まり、過酷な戦いに身を投じるのには反対だった。
「物見遊山程度の半端な覚悟で
「それでも…」
「それにもう退路はありませんわ。分かっているでしょう?」
食い下がるセバスティアンに、ばつが悪そうな顔をするプラティーナ。
この惑星アシヨシの危険さを今更書く必要はあるまい。そんな場所にわざわざ出向こうとするプラティーナに両親と兄姉達は当然猛反対した。だが、本人の強い希望と覚悟に家族も折れ、政府の方もプラティーナの王位継承順位の低さからかえってあっさり認めた。そうして、プラティーナはこの惑星アシヨシに旅立つことが出来たのである。
こうしてやって来た以上は、出会った敵レイオニクスは全て叩きのめし、レイブラッド星人の後継者となるつもりである。しかし、彼女が望むのは全宇宙の支配ではなく、むしろ宇宙の平和と、レイブラッド星人の思惑で傷ついた故郷フローレス星を始めとする宇宙の星々の復興だった。
「ここでおめおめ逃げ帰るという選択肢はありませんわ。願いが叶うか、叶わず死ぬか。その2つですわ」
「………………」
真剣な面持ちでそう語る主人に、執事はもう反論することは出来なかった。
――とある森――
現在、生活必要な物資は揃っていたが、プラティーナ一行は今日も探索は続ける。戦力になりそうな野生怪獣の捕獲はもちろんだが、(願わくばこちらが勝てるぐらいには弱い)レイオニクスを見つけバトルを挑み、怪獣を奪うためもある。
「見つかりませんわね」
「その前に私が死にそうです…」
鬱蒼とした森林にて、相変わらずの速度超過運転でエアバイクを走らせながら見回るが、幸か不幸か誰にも出会わない。たまに野生動物に出くわすが、プラティーナの運転するエアバイクの速度に驚いてか、一目見た途端に皆逃げてしまった。
「ふう。少し休憩しましょう」
森林の中に開けた場所を見つけ、そこに向かうプラティーナだったが――
「……何ですの? これは?」
到着しエアバイクから降りてすぐ、そこにいくつも立つ白い物体に違和感を覚える。
「これは蝋の塊ですね」
セバスティアンは早速物体の1つの前に立ち、センサーで解析した結果を主人に告げる。
「蝋? なんでこんな場所に? それもいくつも?」
訳が分からず、困惑する姫。
「それにこれは…」
そう言い淀む通り、蝋『人形』であった。ヒューマノイドらしき造形のそれらがいくつも立っており、こんな森の中にある物体にしては不自然としか言いようがない。
「姫、ここを今すぐ離れましょう」
セバスティアンも何か異状を感じ取り、姫にそう忠告する。
「ヒュウウウウ………いいや、その必要はない」
「「!!」」
「歓迎するよ、お客人達」
しかし、2人が嫌な予感を感じて逃げようとした矢先に、虚空に声が響く。
そして丸く開けた空間の端に立つ2人のちょうど向かい側の空間が揺らめいたかと思うと、1人の宇宙人が現れる。息苦しいのかは分からないが、女の啜り泣くような呼吸音を発している。
「ようこそ、私の蝋人形の館へ」
黒い花の星人 アトラー星人(RB)
暗黒星雲にある死の星アトラー星からやって来た、かつてウルトラマンレオと戦った宇宙人の同種族。今まで地球侵略に来た宇宙人の中でも特に凄まじい被害を出した凶悪な種族で、レオが地球防衛の任に就いていた時代にもシルバーブルーメに並ぶほどの大量の犠牲者を出している。
灰色の体色、乱れた長い白髪、青い目、トカゲのような顔、両肩の盛り上がった鱗状の甲殻、鋭い爪の付いた両手、そして胸部中央に生えた黒いランの花が特徴。
このランの花から蠟化光線を発射し、くらった相手を蝋人形化させて殺すという猟奇的な手口で知られる。また巨体であるせいか怪力で、蝋化光線とのコンボによって肉弾戦においてもレオを圧倒した。さらには変身能力もあり、不気味な女の姿に化けて犠牲者を求めて街を徘徊している。
ちなみに、空気が存在しないアトラー星で生まれた生物であるせいか、彼等が大気のある星で活動する際には女の啜り泣くような独特の呼吸音を発する。
「アトラー星人……ッ!」
「ヒュウウウウ……ほう? 一目で見抜かれるとは、我等アトラー星人も有名になったものだ」
プラティーナは恐怖で顔が引きつる。怪獣と宇宙人の広範な知識を持つ彼女だが、そんな彼女の知る中でも格別に凶悪で猟奇的な種族であった。
一方、そんな彼女の態度を見て、満足気に頷くアトラー星人。
「まさかこんな星で出会えるなんて思いもしませんでしたわよ…」
強い嫌悪感を滲ませ、プラティーナはそう苦々しく呟いた。
「ヒュウウ………では、お近づきの印に、早速だが如何かね?」
アトラー星人は携えていたバトルナイザーをプラティーナに見せる。
「意外ですわね。アトラー星人は出会った相手を問答無用で蝋人形に変えてくるものだと」
「私も本来はそうしたいところだが、それはレイオニクスのルールに反する。故に、私が蝋人形に変えるのは、あくまで私が勝った相手だけだよ」
このアトラー星人はレオと戦った個体とは違い、出会った相手を見境なく蝋人形に変える真似はしないらしい。もっとも、勝った相手を蝋人形にして殺害しコレクションしている時点で十分猟奇的な危険人物ではある。
「それに、私にも蝋人形を作る際のこだわりというものがあってね」
「こだわり?」
「そうさ。命以外の全てを失い、そして今命の灯火が尽きようかという今際の際。その真の絶望に顔を歪めている時こそが、蝋人形として最も映える表情だと私は考えている」
「なるほど、そのこだわりに合致するのがまさにレイオニクスが怪獣を失い敗北したその瞬間というわけですのね。
貴方、頭がおかしいって言われたことありません?」
今もまだとてつもなく怖い。だが、それでも尚こう言ったように、それ以上にプラティーナの中で留まることなく増し続けるのは嫌悪感だった。
「ヒュウウウウ………あったかもしれないが、覚えてはいないな。
まあ、言った者も今は蝋人形。最早確かめようもない」
『バトルナイザー、モンスロード!』
ここでプラティーナとの問答を打ち切り、アトラー星人はバトルナイザーからついに怪獣を召喚する。
「ンガアオオオオ」
岩石怪獣 ガクマ
かつてウルトラマンティガと戦った四足歩行型怪獣の別個体で、本来は久良々島の地底に棲む。岩石を餌とし、島では石を産む神獣と呼ばれていたが、餌である岩石を人間が採掘したことにより餌がなくなりつつあったため、α及びβと呼称される2体のガクマが地上に現れた。
岩を思わせる灰色の甲殻及び長い尻尾を持つが、頭部から背中にかけて連なる峻険な岩山のような鋭い背甲はオレンジ色である。鼻先には角が生えているが、本個体は3本となっている。前足には3本の鋭い爪を持ち、攻撃時にはある程度伸長させられる。
最大の武器は口から吐く石化光線で、これで人間を石に変えて捕食し、さらにはティガの下半身さえも一時石化させてしまった。また角先からは電撃を浴びせることも出来る。
「ガクマ……なるほど。納得のコンビですわね…」
木々を踏み潰しながらいきなり現れた四足歩行の怪獣を見て、またも苦々しげにそう呟くプラティーナ。
ガクマは石化光線を放つ能力を持つ。当然くらえば全身が石化して即死であり、そういうところは奇しくも蝋化光線を放って犠牲者を蝋人形に変えるアトラー星人とよく似ている。
「姫様、こちらも怪獣を」
「ええ、セバスティアン」
『バトルナイザー、モンスロード!』
執事ロボットに促され、こちらも怪獣を召喚する。
「おいきなさいレッドキング!」
「ピギャアアアアオオオオオオ!!」
召喚されたレッドキングも木々を踏み潰しながら着地、咆哮する。初のレイオニクスバトルであるが、その勇猛さはいつもと変わらない。
内心では初のレイオニクスバトル、それもあのアトラー星人相手で大いに緊張していたが、その姿にはプラティーナも勇気づけられた。
「レッドキングか……」
しかし、アトラー星人の方は猛々しいレッドキングを見ても実に素っ気ない反応であった。
「
「なっ…なんですってぇぇ~~!!」
上から目線で自分の怪獣をそう評され、プライドの高いプラティーナは青筋を立てて激怒する。しかし、彼女は分かっていないが、この評価自体は実に的確なものである。
「見れば分かる。レッドキング自体は悪くないが、君の方がダメだな。レイオニクスパワーをちっともその怪獣から感じられないからねえ」
「姫様抑えて! 怒って冷静さを失っては敵の思うツボです!」
「おまけに御守り付きとはな。私もこの星に来てそこそこ経ったが、付き添いのいるレイオニクスは初めて見た。
そんな者が何故、今のアシヨシで生き残っていられるのか。大変不思議ではあるが、その幸運も今日で終わりだろう」
「ンガアオオオオ」
アトラー星人が指をパチンと鳴らすと、ガクマが咆哮し、口内を光らせる。
プラティーナの指示を受けるまでもなく、レッドキングは図体の割には身軽な動きで右に飛び退いたところで、ガクマの光線が一瞬遅れて通り過ぎる。そして、その射線上にあった木々と地面は石化してしまった。
「ヒュウウウウ、反応はなかなかだ。なるほど、君が生き残ってきたのは幸運が第一、こいつのおかげが第二というところかな」
アトラー星人は余裕綽々といった様子でそう述べる。先手はあちらの不意打ち気味ではあるが、それでもプラティーナ達を射線から外し、レッドキングの反応速度ならば十分躱せる程度であった。
無論、これは小手調べ。この“弱小”コンビが最低限の実力は備えているかを測るための挨拶代わりの攻撃にすぎない。
「ずいぶん余裕がおありですのね」
「実力差は弁えている。真の強者がザコ相手に本気になるのもみっともないだろ?」
「ならば、その評価を覆して差し上げますわ!」
ここまで来てしまったのだ、逃げることは出来ない。いや、敵も逃がしてはくれないだろう。
「その表情、どうやら覚悟を決めたようだな。その気高さは実に私好みだ」
「それはどうも」
「気高き者ほど、その心をへし折った時の落差が大きい。
敗北し蝋化していく君が最期に見せる、真の絶望に歪む美しい顔。それを是非とも私に見せてくれ!!!!」
ここで下衆な本性を全開にし、アトラー星人はそう叫ぶ。
「残念。変態野郎は願い下げですわ!!」
「ピギャアアアアオオオオオオ!!!!」
アトラー星人とは逆に、プラティーナの方は全く好みではなく、口汚くそう拒絶の意思を叫ぶ。
その怒りと嫌悪が伝わるかのように、レッドキングは両腕を振り上げて咆哮した。
「ヒュウウウウ………せいぜいあがいて見せろ。私が見たいのは絶望する君の表情!
それを心ゆくまで愉しみたいからねえ……」
「ンガアオオオオ」
主人の残忍な歓びに反応するかのように、ガクマもまた歩を進める。
「電撃だ!」
主人の指示を受け、またもガクマの方が仕掛ける。3本の角先からレッドキングに向け電撃を発するが、これもどくろ怪獣はひらりと飛び退いて躱した。
(これは牽制。レッドキングの体力を削るのが目的ですわ……)
レイオニクスバトルは初めてながらも、聡明なプラティーナには敵の狙いが分かっていた。レッドキングは意外に素早いが、それが出来るのもあくまで体力にまだ余裕があるからこそ。攻撃を躱させ続け、やがて疲れて躱せきれなくなったところで、あの石化光線を浴びせるつもりだろう。
「レッドキング!」
「ピギャオオ」
プラティーナがバトルナイザーで指示を伝えると、今度はレッドキングが動く。
「接近戦か」
ガクマのすぐ目の前まで近づいたレッドキング。それはガクマに電撃を一方的に浴びせられるのを嫌ってのことだろう、とアトラー星人は考えた。
実際、こういう飛び道具は近距離の方が案外躱しやすかったりする。そして、レッドキングの得意な接近戦に持ち込むためだろう。
「面白い。付き合ってあげよう」
「ピギャアア!?」
アトラー星人がニヤリと笑ってそう言うと、ガクマの両前足の鋭い爪が伸びる。直後、レッドキングはガクマの顔に左フックを繰り出す――が、寸前でガクマの右前足の引っ掻きにより迎撃される。
鋭い爪で手首の裏側を引っ掻かれ悲鳴を上げ、レッドキングはつい後ろに飛び退く。しかし、ここで追撃の石化光線がガクマの口から放たれる。
「ピギャー!?」
着地間際を狙われるも、なんとか体を横倒しにして躱す。しかしレッドキングの左脇腹にかすっており、そこが石に変わる。
「上手く躱したな………ッ!?」
「ゴッ!?」
そう得意気にアトラー星人は笑うが、その直後何故かガクマは怯む。驚いてそちらを見やると、ガクマは顔面に石を投げつけられていたのだった。
「味な真似を」
光線をかすらせたことに対する咄嗟の反撃か。しかし、頭より小さな石を顔にくらった程度では戦闘不能にはならない。
しかし、ガクマはその瞬間目を瞑って顔を背け、またアトラー星人もまたそちらに気を取られてしまった。それは短いとはいえ、明確な隙であった。
そして、姫とどくろ怪獣はそこを見逃さなかった。
「!」
レッドキングは起き上がると、すぐさま大きく跳躍した。視界から消えたとガクマが認識した次の瞬間、レッドキングはガクマの背中に飛び乗り、馬乗りになった。
「ンガアオオオオオオオオオオ!!??」
レッドキングはまず3本角を右手で掴むと、そのまま馬鹿力で容赦なくもぎ取った。角は電撃を発するだけでなく、地中ではレーダーになるなど重要な器官である。そんな部位がいきなりもぎ取られてしまい、痛みとショックのあまりガクマは絶叫を上げる。
「なっ!!」
驚くアトラー星人をよそに、レッドキングはそのまま素早く腕を絡ませ、縦四方固で絞め上げる。レッドキング種は絞め技も得意であり、その腕力でガクマと同じ岩石怪獣のサドラを絞殺したことがあるほどだ。
そして、いきなり凄まじい力で締め上げられたガクマは、体勢を変えて光線を当てることも出来ず――
「カッ…」
そのまま絞め落とされてしまう。
「………」
完全に落ちたことを確認し、レッドキングもそのまま立ち上がって離れた。
「まず一勝…」
「姫様、初勝利おめでとうございます」
神妙な表情で戦いを見守っていたプラティーナだが、レッドキングの勝利を見届け、笑顔となった。そして、そんな主従をセバスティアンが祝す。
「評価は覆せたようですわね」
「………~~~~~~ッッッッ!!!!」
一方、アトラー星人の方はというと、怒髪天を衝くという言葉が似合うような怒りを見せていた。無言ではあったが、怒りで体を震わせている。
そして、それは無理もない。レイオニクスバトルは今回が初めてだという素人同然の小娘に負けたのだ。しかも、敵怪獣は大したダメージも負っていない。これほどの屈辱があるだろうか。
「ヒュウウウウ………!」
しかし、アトラー星人の怒りはプラティーナではなく、ガクマの方に向いていた。
「……恥をかかせおって、この役立たずが! 貴様のようなゴミにもう用はない!」
そう吐き捨てたアトラー星人の胸の黒いランの花が光ると、蝋化光線が放たれる。
「えっ!?」
「ピギャ!?」
光線を浴びせられたガクマの全身は見る見る内に蝋化し、巨大な蝋人形と化してしまった。この凶行にプラティーナもレッドキングも驚愕した。
「正気ですの貴方!? 敵ではなく自分の怪獣ですのよ!?」
「無様に負けるような怪獣はもういらん。ましてや、素人の小娘にあっさり負けるような奴は尚更な!!」
自分の怪獣を処刑したことに姫が抗議するも、アトラー星人は外道らしい理由で反論する。
「最低ですわね貴方。敗れたとはいえ、ガクマは貴方のために懸命に戦ったというのに」
プラティーナは憎悪に満ちた目で敵レイオニクスを睨みつける。生物学者らしく、怪獣にも慈しみの心を持っているプラティーナは、アトラー星人の心情が理解出来なかった。
「ヒュウウウウ……ガクマを倒したぐらいで調子に乗ってもらっては困る。断っておくが、あれは私の本命の怪獣じゃないんだよ…!」
「でしょうね…」
そうでなければ、あんなあっさり処刑したりはしないことはプラティーナにも分かっている。
「では、二回戦といこうか!」
『バトルナイザー、モンスロード!』
「どうやら勝ち逃げはさせていただけないようですわね。さっさと拠点に帰って、祝賀会と参りたかったのですけれど…」
続けてアトラー星人が怪獣を召喚したのを見て、プラティーナとレッドキングは身構えた。
用語解説
黒い花の星人 アトラー星人(RB)
二つ名は“悪夢の蝋人形師”。かつてウルトラマンレオと戦った宇宙人の別個体で、暗黒星雲の中にある死の星アトラー星からやって来た。アトラー星は真空の星らしく、そこで進化したせいか、大気のある星で活動する際は女の啜り泣くような独特の呼吸音を発する特徴がある。
今まで地球にやって来た侵略者達の中でも特段の凶悪さと猟奇性で知られており、現れる度に相当の犠牲者を出している。尚、ウルトラセブン及びウルトラ警備隊の時代にも集団で地球にやって来たようで、防衛隊の追跡部隊を蝋人形にして皆殺しにしている。
さらに、被害にあったのは地球だけでなく、これまで数多くの星々を滅ぼしてきたという。質が悪いのが、地球にやって来た目的も厳密には不明で、一説には彼等が望むのは全宇宙の生命体を蝋人形にすることだとも言われている。
ウルトラマンレオと戦った個体は不気味な女の姿に化けて夜な夜な街を徘徊し、通行人を蝋人形に変えて殺害していった。ついには一夜で街一つを廃墟に変え、レオさえも一度は撃退したが、再戦の際モロボシ・ダンの援護とレオの猛攻でついに倒されている。
普段は変身能力で人間の女に姿を変えているが、正体は巨体かつ醜い姿である。灰色の体色に、乱れた長い白髪にトカゲのような顔立ち、両肩の盛り上がった鱗状の甲殻、両手の鋭い爪、そして胸部中央にある黒いランの花が特徴。この花から蝋化光線を乱射し、当たった相手を蝋人形に変えてしまう。これは人間ならば問答無用で即死し、ウルトラマンレオですら足を蝋に変えられて動けなくするほど強力である。また巨体のためか怪力で、肉弾戦も強力と隙がない能力を持つ。ただし、胸の花は弱点でもあり、ここを攻撃・破壊されると光線が発射出来なくなる。
本個体は他のレイオニクス同様、レイブラッド星人の後継者となるべく惑星アシヨシでのレイオニクスバトルに参加している。しかし、彼が望むのは全宇宙の支配などではない。
彼の目的はレイブラッドの後継者となって力を得て宇宙最強の生物となり、その後は勝手気ままに宇宙中の生物を順次蝋人形に変えて虐殺していくのを未来永劫愉しむという狂気的かつ破綻したもの。そもそも全宇宙最強の生物になるという前段階も、あくまでどんな相手だろうと強さで上回り抵抗させずに蝋人形にするためである。
怪獣もそれらのための手段としか考えておらず、常に蝋化光線による処刑をチラつかせて絶対服従を強いていた。一方で、レイオニクスとしてのルールを遵守して見境なく敵を蝋化させることはせず、あくまでレイオニクスバトルに敗北した相手のみ蝋化させるなど、独自のルール・美学を持つ。とはいえ、アトラー星人の本能は隠しきれておらず、また美学も裏を返せばただのゲーム感覚かつ異常性癖であるため、本性を垣間見たプラティーナからは蛇蝎の如く嫌われている。
一次予選を突破しただけあり、レイオニクスとしては優秀である。ただし、敗北したガクマを問答無用で処刑した冷酷さと身勝手な下衆さ・幼稚さから、プラティーナからはそのやり口を非難されている。
岩石怪獣 ガクマ
かつてウルトラマンティガと戦った四足歩行怪獣の別個体。岩石を主食とする怪獣で、元々は西南諸島の久良々島の地底に生息していたが、人間による岩石採掘によって餌となる岩石がなくなり、そのせいで地上に度々現れるようになった。島では石を産む神獣と呼ばれていたらしく、昔から信仰の対象となっていたようだ。また、α及びβと呼称される2体が存在していた。
餌となる岩石を思わせる灰色の体色・体表だが、峻険な岩山の如き尖った背甲部分だけは鮮やかなオレンジ色となっている。鼻先には地中でのレーダー機能がある角が生えているが、αは1本、βは2本と本数には個体差がある。前足には鋭い爪が生えており、これは戦闘時にはある程度伸ばして攻撃することが出来る。
鼻先からは電撃を発するが、最大の武器は口からの石化光線。これは人間がくらえば石となって即死、ティガですら下半身が一時石化してしまった。これを利用し人間や重機を石に変えて喰らっていた。
人間の活動のせいで餌がなくなった被害者とは言えるが、αはガッツウイング2号に倒され、βもウルトラマンティガとの死闘の末倒された。
本個体はアトラー星人(RB)に使役されている。メインでなくサブの怪獣とはいえ、それなりに戦闘経験を積んでおり、石化光線もあってかレイオニクスバトル序盤はレッドキングを圧倒した。ちなみに角の数は3本で、αやβとも異なる特徴である。
アトラー星人(RB)には大人しく従っていたが、それはバトルナイザーの拘束力のせいもあるが、一番の理由は常に主人が処刑をチラつかせて脅していたため。また、主人は彼を酷使していたにもかかわらず思いやりは微塵も見せなかったせいで、内心では主人をかなり憎悪しており、バトルの結末次第ではプラティーナ側に寝返っていただろう。