それにしてもあんな化け物が平気で彷徨いているとか、惑星アシヨシの魔境ぶりは作者である私にも恐ろしく感じますね。
アルゴ星人一行に襲いかかったファイブキング・ネロンガ・エレドータス。しかしファイブキングが突如黒い稲妻を浴び、両膝を突いて沈黙してしまう。
「貴様ら何をやっている!!??」
「「「………」」」
ファイブキング以外の自陣の怪獣は皆電撃使いであるため、てっきり攻撃を誤射したと考えたチブル星人は怪獣達を叱責する。しかし、3体は皆ファイブキングに攻撃を誤射などしておらず、主からの叱責に戸惑うばかりであった。
第一、彼等の扱う電撃と違い、今落ちた稲妻の色は黒かった。3体共それぐらい気づいてほしいとは思ったが、不幸にも主は気づかず怒りのままに叱責してくる。
「私達以外にも闖入者か?」
ギマイラも電撃は使うが、目の前の怪獣達と比べて射程自体は非常に短く、少なくとも飛び道具としては使えないレベルである。無論、真隣にいたアルゴ星人がそもそも攻撃の瞬間を見ていないのだから、ギマイラの仕業ではないと断言出来る。
「だが、このチャンスを逃す手はない。やれっ!!」
「ゲァァァァァァ!!」
「ウゴオアアアア!!」
ファイブキングが誰にやられたのかは大いに気になるが、その疑問をアルゴ星人は一旦心にしまいこむ。誰かが今このレイオニクスバトルにちょっかいを出してきたとしても、それは後で対処すればいい。敵が想定外の事態に動揺している今しか逆転の好機はないからだ。
そんな主の決意に応え、わざわざ両膝立ちになって頭の位置を下げてくれたファイブキングの頭を、ギマイラはちょうどいいとばかりに尻尾を叩きつけて殴り飛ばす。そうして、超合体怪獣は為す術もなく吹っ飛んだ。
「デェャァァァァン!!??」
「ギギィィィィ!!??」
我に返ったネロンガとエレドータスがギマイラを止めようと電撃を放とうとしたが、無防備な背後からガイガレードが隕石弾を連射して攻撃。両者は悲鳴を上げて倒れてしまう。
「クッ、クソがッ!! このタイミングで仕掛けてくるんじゃネェェェェ!!!!」
「ピキィ!! オォォォォ~~!!」
ファイブキングが倒れ、呆気に取られたのがまずかった。圧倒的優勢なはずがあっという間に覆されてしまったチブル星人は残ったメガフラシに攻撃を命ずるが、すぐさまガイガレードに飛びつかれる。
密着した彗星怪獣は頭部のカッターを何度もメガフラシの殻に叩きつけた。それにより、バランスを崩したスペースビーストはすぐ地面に叩きつけられてしまったのだった。
「キュキュキュキュキュキュ!!」
「ゲァッ!」
もがくメガフラシ。それをギマイラがまたおもいきり蹴り飛ばし、ビーストは再び転がっていった。
「いくら強力な怪獣を持っていようが、ちょっとしたことで形勢はひっくり返るものだ。勉強になったな?」
「勝ったつもりかァァ!!?? 下等生物風情が調子に乗るなよクソがァァァァ!!!!」
勝敗は決したとばかりにアルゴ星人に見下ろされる。そんな態度が許せなかったのか、先ほどまでの余裕ぶった慇懃無礼な態度は何処へやら、チンピラじみた口調で口汚く罵るチブル星人。
さすがに特別製というだけあり、怪獣から振り落とされて地面におもいきり叩きつけられてもチブローダー自体に大した損傷はなかった。けれども、中のチブル星人は落ちた衝撃で上下がひっくり返っており、操縦は出来そうにない。
「これが知性に特化した進化の果てだと? それとも、これこそが君の言うエレガントさというものなのか?」
この宇宙人の主張していたエレガントさが欠片もない。その見苦しさと醜悪さには、さしものアルゴ星人も頭脳喰いに対する本能が失せるほどだった。
「まぁ、そんなことは私にとってはどうでもいいことだ。
私はお前とは違う。せっかくの好機をふいにしたりはしない」
はっきり言って、ファイブキングの実力があればギマイラとガイガレードを始末するのは容易かっただろう。けれども、チブル星人は慢心から敵をあえていたぶり絶望させようと余計な余裕を見せたために、こんなくだらない結末となった。
それを教訓とし、アルゴ星人は油断せず、チブル星人を即座に始末するつもりだった。
「レイオニクスバトルの敗者として、君にはさっさと死んでもらおう。それから君の戦力はいただくよ」
「クソォォォォォォ!!!! 宇宙の全てを支配するべき存在たるこのワタクシがこんな所で死んでいいはずがないんだァァァァァァァァァァァァ!!!!」
絶叫を上げ、チブル星人は上下ひっくり返った体をなんとか元に戻そうと四苦八苦している。そんな中、アルゴ星人が命ずるまま近寄って来たガイガレードが口から光弾を発射しようとする。
「………グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「ん!!??」
「おおっ!!」
ギマイラに殴り倒されても反応を見せなかったファイブキング。しかし、ここで突如意識を取り戻して復活し、立ち上がる。
「ハハハハッ!! 馬鹿めェ!! やはりワタクシはここで死ぬ運命ではないのだァ!!!!
奴等を殺せファァァァイブゥゥゥゥキングゥゥゥゥ!!!!」
まだ上下を元に戻せていないながらも、逆転勝利を確信したチブル星人は歓喜する。
すぐさま咆哮し、全身から光線と光弾を乱射するファイブキング。だが――
「うおおおおおおおおおおおおおお!!?? 貴様何して――――!!!!」
その内の1発がアルゴ星人――でなく、なんとその隣の主へ命中。チブル星人はチブローダー諸共勢いよく吹っ飛んでいった。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「な、なんだアイツは!!?? 完全に暴走しているぞ!!」
アルゴ星人が驚愕する通り、ファイブキングは黒い稲妻を浴びたせいか、先ほどまで青かった目は血のような真紅に変わっている。それもゴルザの頭部だけでなく、メルバ・レイキュバス・超コッヴ・ガンQの部位全ての目がだ。
見境のなくなったファイブキングが、光線と光弾で周囲を無差別に爆撃する。おまけに圧倒的だった先ほどから、さらに攻撃の威力がパワーアップしていた。
それはギマイラとガイガレードの両者が直撃すれば致命傷は免れぬと即座に気づき、回避に専念したほどだった。
「デェ!!??」
そんな無差別に放たれた光弾の1発が、ネロンガの背中に命中・爆発。透明怪獣はひっくり返って泡を吹きながら痙攣する。その様子から見て、最早戦闘続行は無理だろう。
「ギギィィ!!??」
エレドータスは慌てて地面に伏せ、防御に専念する。そのおかげか幸運にも攻撃は全て甲羅に命中したせいで大ダメージは負わなかったものの、甲羅は所々砕けてしまった。
「キュキュキュキュキュキュ!!」
あれからなんとか起き上がっていたメガフラシだったが、突如味方から発射された攻撃を慌てて飛んで躱し続けていた。しかし、動作からは明らかな動揺が見て取れる。
そして今のままでは躱しきれないと判断したのか、やがてメガフラシは主を見捨てて攻撃の届かない高度まで飛んで逃げてしまった。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「ウゴオ!!??」
ファイブキングは今度は左手の目玉から破壊光線を照射。狙われたガイガレードは慌てて飛んで躱すも、超合体怪獣はそのまま周囲を薙ぎ払う。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「ゲァァ!!??」
ファイブキングは続けて右手の鋏から火炎と冷気を同時発射。手を交差させてギマイラは防御するも攻撃の勢いでそのまま吹っ飛び、倒れる。
「クソッ!! 化け物が!!!!」
レイオニックバースト状態での被弾のため、ダメージがアルゴ星人にもリンクする。それだけで意識が飛びそうになるほどのレベルだった。
ギマイラは元々強豪怪獣の上、アルゴ星人のレイオニックバーストによってさらにパワーアップしている。にもかかわらず、防御した上でこれほどダメージを受けるとは信じられなかった。
「一体何が起きてる!!」
苛立ち、口汚く叫ぶアルゴ星人。敵のチブル星人こそ排除出来たものの、これはもうレイオニクスバトルと呼べる状態ではない。
ファイブキングをこちらの戦力としてゲットしたかったが、超合体怪獣の攻撃はさながら爆撃である。今は少しの油断と回避のミスが死を招き、最早そんな余裕はない。
故に、ここは撤退すべきか今決断を下さねばならない。幸い、自分の能力を利用して逃げることは可能で、あとはギマイラとガイガレードさえバトルナイザーに回収すればいい。
(だが、そんな暇もない! それにもう保たん…!)
しかし、ファイブキングの無差別爆撃は絶え間なく続いている。いくら強力な怪獣だとて、さすがに息切れしてもいいだろうに、一向にその気配はない。
そしてさらに悪いことに、ここでアルゴ星人のレイオニクスパワーの消耗により、怪獣達のレイオニックバーストが解けてしまう。一応大ダメージこそ回復をさせられていたものの、それでも大きな疲労は残っている。
「ゼーゼー…」
「ハーハー…」
懸命に回避に専念していたギマイラとガイガレードも疲労から肩で息をしている。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「「「!!」」」
そうこうしている内に爆撃は止まったが、荒ぶる闘争本能のままファイブキングは飛行。こちらのすぐ目の前に降り立った。
「ゲァッ!?」
まずレイキュバスの右手で驚くギマイラを挟み、持ち上げると、そのまま後頭部から地面へ豪快に叩きつける。さしもの吸血怪獣もこれには悶絶したところでおもいきり蹴り飛ばし、今度は自分がバウンドしながら転がっていった。
「ウゴオオ!?」
背後からガイガレードが隕石弾と口からの光弾を連射するも、ファイブキングは素早くガンQの左手で吸収、撃ち返す。それに驚いたせいで対処が遅れ、ガイガレードはモロに被弾し倒れてしまう。
「万事休すか…!」
幸か不幸か、レイオニックバーストはガス欠で既に途切れていたせいで、アルゴ星人にダメージはない。だが、怪獣が全て倒れた今、もうファイブキングに対抗する術もない。
それでも、自分だけなら能力を使って逃げることは出来るだろう。しかし、怪獣を置いて逃げるのはこの惑星アシヨシでのレイブラッド星人後継者レースの実質脱落も同然。これほどのレベルの怪獣が再び手に入る保証もなく、戦力を再編している間にライバルに先を越されるのは目に見えている。
自分の命か、野望か。どちらを選ぶのか、アルゴ星人は選択を強いられた。
「ゴオオオオオオ!!」
「バオオオオオオ!!」
ゆっくりとアルゴ星人に近づくファイブキングだったが、ここでまだ死んでいなかったラブラスゴルゴンとラブラスバムの襲撃を背後から受ける。そのままゴルゴンは右手を、バムは左手を押さえつけた。
「なけなしのパワーだが…受け取れ!」
ここでアルゴ星人は最後のレイオニクスパワーをギマイラとガイガレードに流し込む。そのせいで泡星人は立っていられずへたり込むが、それでも両者は気を失ったままである。
「ダメか…」
体力の極度の消耗により、段々意識が朦朧としてきたアルゴ星人。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
「ゴオ!!」
「バオッ!!」
2体がかりで超合体怪獣の動きを封じることが出来たかに思われた。けれども、そこで右手からの火炎と冷気を、左手からの光線をくらい、ゴルゴンとバムはついに爆散する。
しかし、暴走状態から無闇矢鱈に攻撃したことで体力を消耗していたせいでファイブキングも大分消耗していたらしく、ここでふらつく様子を見せた。
「………」
しかし、そうであろうとたかが等身大の宇宙人1人始末することは造作もない。霞む視界の中、こちらに歩を進めるファイブキングを見て、アルゴ星人は己の死を覚悟した。
「ゲァァァァァァ!!!!」
「ウゴオオアアアア!!!!」
だが、ここで天からの二条の黒い稲妻が、今度はギマイラとガイガレードに直撃する。両者は咆哮と共に息を吹き返すも、ファイブキング同様暴走状態に陥った。
「……イチか…バチか…か」
叩きのめされはしたが、ファイブキングほど無意味に攻撃を繰り返したわけではないので、息を吹き返した両者にはまだ余裕があった。一方、ファイブキングは相当消耗しているようで、動きに精細がない。
右手の鋏を振りかぶり、ギマイラに殴りかかるが、あっさり躱され逆に腹へ膝蹴りを入れられる。よろめいてつい前屈みになったところで、今度はガイガレードの両手の鎌で頭部を執拗に攻撃される。
「ゲァァ!!」
「ウゴオオ!!」
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ」
ついに2体によって地面に引きずり倒されたファイブキング。追撃とばかりにギマイラは角からの電撃を、ガイガレードは口からの光弾を浴びせまくる。さしもの超合体怪獣もこれには耐えかねたらしく、悲鳴を上げていた。
この様から、アルゴ星人は賭けに勝ったかと思われた。けれども、そうは問屋が卸さない――
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ………ヒャハハハハハハハハ」
辺り一帯に響き渡る哄笑。いや、そのように聞こえる鳴き声か。
メガフラシの張ったフィールドの中で黒い稲妻を降らせながら、棘の付いた球体のような見た目をした
「ゲァァァァァァ!!!!」
「ウゴオオアアアア!!!!」
ギマイラはその触手のような舌を上空に伸ばし、ガイガレードは飛行しながら接近しつつ隕石弾を連射する。ところが彼等の攻撃が球体に到達した瞬間、すり抜けるかのように当たらない。
球体は攻撃を不自然にもくらわずにガイガレードに肉迫、そのまま体当たりで撃墜する。さらには急激なカーブを描きながらギマイラにも体当たりをくらわせ、吹っ飛ばした。
「「ガガ……!」」
それでも両者はすぐ起き上がるが、その様子には明らかな動揺・恐怖が見て取れた。ファイブキングと対峙しても尚、恐れなかった歴戦の怪獣である両者がである。
間違いない。先ほどファイブキング、そして今ギマイラとガイガレードに黒い稲妻を浴びせたのはこいつだ。そう思ったアルゴ星人だが、視界は霞みつつあり、身構えることも出来ない。
「ヒャハハハハハハハハ」
不気味な桃紫色の光を明滅させながら、球体は姿を歪ませると、今度は人型へと変わった。
(怪獣なのか、こいつは…)
直感で怪獣だとはアルゴ星人は思ったが、人型のスマートな体型であり、一見宇宙人にも見える。しかし、オレンジ色のツルツルとした頭部には顔がなく、蒼・金・銀色で縁取られた硬質な体表は鎧を着たような姿は、生物感のない不気味な印象を与える。
そして一番異様なのは姿形が朧気というか、不規則に歪み、また出たり消えたりする幻影のようであるということだ。
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ――――ヒャハハハハハハハハ」
虚空怪獣 グリーザ(第2形態)
“虚無の化身”、“宇宙の穴そのもの”と言われる存在で、実態は生物というより超常現象にも近い。生命エネルギーを
顔のないオレンジ色のツルツルとした頭部、胸部中央の発光体、青・金・銀色で縁取られた鎧のような無機質な体表が特徴。また、怪獣に分類される存在ではあるが、この形態での体型はスマートなヒューマノイド型であり、一見宇宙人にも見える。
ただし、その輪郭は朧気で、揺らめき、歪み、また出たり消えたりする様は不気味で恐ろしく、他の怪獣とは根本的に異なる超常的な存在であることを見た者に強く印象づけるだろう。
「ゲァッ」
「ウゴー」
2体は震える体に鞭打ち殴りかかるが、グリーザは躱す――いや、両者の攻撃が勝手にそれたように見えた。2体が驚くのも尻目にギマイラは右手で掌底をくらって倒され、ガイガレードも飛行からの突進を繰り出すも難なく受け止められ、そのまま投げ飛ばされる。
この後何度も起き上がり挑むも、その度空間の歪曲を思わせる不可解な事態が続き、両者の攻撃は届かなかった。一方でグリーザは重い打撃を繰り出し、両者にダメージを蓄積させていった。
「うぅ…」
このままでは2体は殺される。そして、あの怪獣に勝つ策はない。
怪獣達をバトルナイザーに回収し、一刻も早くこの場から逃げなくては。
だが、体が動かない。このままでは死を待つしかないにもかかわらずだ。
「!」
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
グリーザは発光体から電撃のような光線を放ち、くらったギマイラとガイガレードは倒れた。いくらあの黒い稲妻による強化を経ても、もう限界だろう。
その様を見たアルゴ星人が絶望感に打ちひしがれていたところ、同じくこの攻撃を浴びたファイブキングがショックで蘇生を果たして立ち上がり、代わってグリーザに挑んだ。
「キヒャララララ!!」
ファイブキングはガンQの左腕をグリーザに叩きつけ、そのまま吸収しようとする。
ガンQもまた不条理の塊。不条理には不条理で対抗する作戦なのだろう。
「い…今だ」
最後の力を振り絞り、掲げたバトルナイザーを起動。アルゴ星人はギマイラとガイガレードを回収する。
「まさか…敵に助けられるとはな……」
自分の命運はまだ尽きていない。そう確信したアルゴ星人の全身が泡に包まれ、そして消え去った。
「グオオオオキュイイイイキヒャララララ!!!!」
敵レイオニクスが消えるのをよそに、ファイブキングは渾身の力を籠めてグリーザを吸い続ける。
「ヒャハハハハハハハハ」
しかし、そんな努力も虚しくグリーザからエネルギーが逆流し、やがて左手が爆発。ガンQの目が潰れたせいで能力を行使できなくなってしまう。
続けて最後の力を振り絞って全身から爆撃を浴びせかけるものの、これも大したダメージにはならず、グリーザに蹴り倒された挙げ句、逆に頭部からの光線を浴びせられて大ダメージを負う。
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ」
グリーザは胸部の発光体から光で出来た多数の触手を伸ばし、ファイブキングを取り込もうとする。
「ヒャ!!??」
絡ませられ絶体絶命――というところで、両者の立つ地面へミサイルの雨が命中し爆発、足場が崩れる。
さしものグリーザも不意打ちで足場が崩れ体勢を崩したところで、ファイブキングに何者かが体当たりをして突き飛ばす。
「殺されちゃ困りますゥ! そいつを作り出すのには大分苦労したんですからネェ!」
地面を攻撃したのは、チブル星人のチブローダーアルティメットのミサイルであった。チブローダーアルティメットの頑丈さにより、チブル星人はファイブキングの暴走による攻撃をくらっても生存していたのである。
さらには逃げていたメガフラシに指示を出し、体当たりさせてファイブキングを逃がしたのだ。
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ」
相変わらず姿を揺らめかせながら、虚空怪獣はチブル星人を見据える。今の攻撃で明確に存在を認識させてしまい、ターゲットにされたのは明白だった。
「残念ですがァ、私もアナタみたいな化け物と戦うのはノーサンキューですゥ。
ここは気に入っていたのですがァ、放棄するしかなさそうですネェ」
ファイブキングをもさらに超える怪物の存在には、チブル星人もさすがに手の打ちようがないらしく、撤退を即断した。
「戻りなさいィ!」
そうと決まれば、チブル星人はファイブキング、さらにはメガフラシ・ネロンガ・エレドータスを素早くバトルナイザーに回収する。
「ヒャハハハハハハハハ」
「おっと!」
チブル星人は再びチブローダーのミサイルランチャーでグリーザの立つ一帯を爆撃、地面を崩した。そしてグリーザが爆炎に呑まれたところで、自分もテレポートで逃走したのである。
宇宙の孔というアクシデントにより、結局このレイオニクスバトルは水入りとなった。とはいえ、生き延びた両者は傷を癒やしつつ、次なるレイオニクスバトルに臨んだのだった。
「ここにいたのか。大分探したぞ」
そして、グリーザを追っていたペルフェクト星人がこの山頂に辿り着いたのは2人が逃げてからすぐ、グリーザがまだ次の獲物を求めて移動する前であった。
「ヒャハハハハハハハハ」
「未だに言うことは聞きそうにないか。ならば、まだまだ躾の必要がありそうだな」
そう言って、蒼髪の女は
「お前が虚無の化身だろうと、そんなことは関係ない。
私もまたレイオニクス。お前が怪獣である以上は服従させてやるっ!!」
「ギィィィィィィギャオオオオオオ」
女の高まる戦意に反応するかの如く、巨大超獣は金切り声を上げたのである。
用語解説
虚空怪獣 グリーザ
空間の歪みにて、ファムがブルトンを殺したことで開いた“宇宙の孔”。その性質は“無”にして不条理の極みであり、多くの謎がある。怪獣に分類されているが、どちらかと言えば超常現象に近い。
複数の形態を持ち、高速移動形態の第一形態と、戦闘用の第二形態を持つ。
第一形態は中央に発光体のある棘付き球体と呼ぶべき姿であり、この姿で宇宙を高速で移動出来る。
第二形態は一見ヒューマノイド型宇宙人にも見えるスマートな人型であり、オレンジ色のツルツルとした頭部、胸部中央の発光体、青・金・銀色の鎧のような無機質な体表が特徴。
それ以外にもイレギュラーな形態に変化する可能性があるが、理由などは分かっていない。
その性質は“無”であると言われ、『空間に開いた穴』であると例えられる。彼には位置エネルギーがゼロ=存在しないにもかかわらず、確かに実在しているという矛盾した存在である。また、今見えている姿も脳が“無”を無理矢理知覚した結果であり、そもそも実体自体がないという。そのせいか今見えている姿が不規則に歪み揺らめく、攻撃がすり抜ける、といった不可解な現象が起きる。
生命エネルギーをゼロに変換するという性質・本能を持ち、全ての行動はこれに基づく。その過程でいくつもの生命豊かな星を滅ぼしたと言われるが、生命を取り込みゼロへと変換するという行為自体は代謝に近く、彼自身に何らかの意思や悪意などはない。ただし、生命体らしく知能は存在するようであり、敵の攻撃に的確に対処するという面も見せる。
生命エネルギーをゼロにするという行動を生きている限り行い続け、そのために生命エネルギーを求めて宇宙を彷徨い続ける。その過程で放つ黒い稲妻状のエネルギー『ダークサンダーエナジー』はセンサーの役割を果たすと共に、怪獣が浴びた場合戦闘能力の強化と凶暴化を果たす。しかし、凶暴化については怪獣がグリーザに取り込まれる恐怖による抵抗の裏返しでもある。
無の化身という性質から凄まじい防御能力を持つが、攻撃性能もまた破格。様々な破壊光線を操り、その威力は強豪怪獣クラスでも大ダメージを負うほどで、また単純な格闘能力も攻撃を透過するという性質が合わさって凶悪極まりない。
このように能力的には隙がないが、対抗手段自体は存在しているという噂がある。その内の1つが『宇宙の孔を縫う“針”』と呼ばれる何らかのアイテムだという。
また、そもそも強大な力で攻撃すれば通じるというが、それが出来るのは現状レイブラッド星人やエンペラ星人、あるいはウルトラマンキングといった真の超人のみであると思われる。
本個体はファムが生み出すも、その後レイブラッド星人の手により捕獲され、ギガバトルナイザーの中に封印されていた。しかしすぐに脱出、ペルフェクト星人によって再び捕獲が試みられることとなる。ゼヴォスやRキラーザウルスと違い、彼女ですら一旦は従えるのを諦めたほどの力を持った怪獣である。