怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 今回は久しぶりにあの帝王の再登場。そして、レオ特集です。


帝王の戯れ

 暗黒物質(ダークマター)が生み出した生命体の頂点、究極進化帝王メンシュハイト。四次元怪獣ブルトンにより、彼が元居た次元からこの次元へ、さらには惑星アシヨシに喚び出されてからしばらく経つ。

 レイブラッド星人によりレイオニクスにされたが、彼にその気はない。何故なら、この星で鎬を削る野蛮な生命体達と違い、レイオニクスバトルなどを行わずとも、そもそも彼には最初から全次元を武力制圧出来る力がある。レイブラッド星人などという亡霊の後継者などにならずとも、彼は最初から全次元を支配する資格のある帝王なのである。

 ところが、ザム星人も地球人もその事実を認めなかった。嘆かわしいことに、この惑星アシヨシにいる野蛮人達もまた然り。飼っている怪獣を戦わせ、最後まで勝ち残った者がレイブラッド星人の後継者となり、全宇宙を支配する資格を得るのだという。

 馬鹿馬鹿しい。なんという思い上がりか。帝王である自分を差し置いて、この宇宙の支配権を懸けて戦うなどとは。

 帝王メンシュハイトは怒りを覚えた。故に、レイオニクスバトル、ひいては惑星アシヨシでのレイブラッド星人後継者レースそのものを滅茶苦茶にしてやろうと考えた。さらには、それだけでは終わらない。

 帝王の最終目標は全次元の征服である。そんな彼にとって、同じく究極生命体であるレイブラッド星人の存在は邪魔にしかならない。帝王は後継者レースを台無しにするだけでは飽き足らず、レイブラッド星人存在そのものもまた抹殺するつもりであった。

 

 

 

 

 

 ――とある荒野の野営地――

 

 メンシュハイトは後継者レースの撹乱と、全次元征服のための戦力拡充のため、レイオニクスを次々と手駒に加えていた。けれども、順調かというとそうではない。帝王の圧倒的な力に屈したレイオニクスはいるにはいたが、そいつらはどれも小物ばかり。とりあえず配下にはしてみたものの、戦力として到底満足出来るようなレベルではない。

 かと言って強豪と呼べるレイオニクスは野心やプライドといったものもまた強く、殺されても従わないような愚かな輩ばかり。そして、とりあえず交渉に赴かせたレイオニクス達は大体が殺される始末。戦力は日々微増減を繰り返すも、全次元征服には遥か遠い有様である。

 

「………………」

 

 ある日の午後。石造りの玉座に座り、帝王は物思いに耽っていたが、その顔は心なしか苛立ちが浮かんでいた。

 しかし、それも無理はない話である。より強い戦力拡充のため、手下にしたレイオニクス達を交渉に赴かせたが、いずれも失敗したか逃げ出したかしたらしく、まともな成果が上がることはなかった。

 ナターン星人、ゴルゴン星人、バム星人――皆戻ってこず、結局は戦力が減っただけである。もっとも、バド星人はレイオニクスバトルでの敗北を理由に彼自身が処刑してしまったが。

 

(結局頼りになるのは自分だけか…)

 

 左手で頬杖を突きながら、帝王は嘆息する。結局、レイオニクスを複数手下にするもまともな成果は上がらず、無駄な時間と労力を使っただけだ。

 

(仕方ない。今度からはレイオニクスを生かさず殺し、怪獣だけ奪うか)

 

 初手の躓きにより、メンシュハイトは今後はレイオニクスを服従させるのでなく抹殺し、怪獣だけ奪うことを考えたが、皮肉にもこれこそがレイオニクスバトルの本来の姿である。無論、そのことはメンシュハイト自身理解しており、だからこそ面白くなかった。結局はそうなることを見越したレイブラッド星人の掌の上で踊らされているようだったからだ。

 

「ん」

 

 今後の方針についてそうやって頭を巡らせていたところ、そこでメンシュハイトは何かに気づき、顔を上げる。すると上空に僅かに見える何かが目に入る。

 

「ちょうどいい。気分転換がしたかったところだ」

 

 飛んで来た物を見て、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるメンシュハイト。

 帝王は右手を空に向け、光弾を発射。撃ち落とされた巨大な刃が地面に突き刺さる。

 

「フン!」

 

 ブーメランのような刃は1枚だけでなく、次々と飛来。しかし帝王は慌てることなく玉座に座ったまま光弾を連射、正確に当てて撃ち落としていく。

 

「この程度の攻撃で私を殺そうなどとは片腹痛い」

 

 彼がそう語りかけるのは、刃に続いて転がってきた緑色の巨大な球体であった。

 球体は帝王の少し前で止まると共に手足が生え、さらに球体の下部からも顔を覗かせた。

 

「ギギギギィ!」

 

 植物怪獣 ケンドロス

 

 かつてウルトラマンレオと戦った宇宙怪獣の別個体で、植物惑星のケンドロス星出身の怪獣である。

 植物怪獣らしく緑色の体色に、花の萼のような大きな鱗で覆われた真ん丸の球体という異形の体、球体下部に位置する植物らしからぬトカゲのような頭部が特徴。球体から生えた手足は短く、一見バランスが悪く不格好だが、最大の特徴は球体頂部から生えた『剣輪草』。これは同じくケンドロス星に生える植物であり、成長しきると花びらが金属の刃の如く硬く鋭くなり、さらには花びらをブーメランの如く敵に投げつけることも出来るようになる。

 

「それと私の勘だが、お前は野生ではなさそうだな」

「その通り!」

「やはりな」

 

 目の前のケンドロスはなんとなく野生怪獣では気がしていたのだが、案の定であった。それを肯定した怪獣の主人が、テレポートで続けて現れる。

 

「君がこの怪獣の主人かね?」

「そうだ!」

「ふむ、そうか。しかし、なんとも嫌悪感の湧く姿をしているな、君は」

 

 メンシュハイトも思わずそう呟いた通り、現れたレイオニクスの姿はなんとも受け入れ難い姿をしていた。まさに二足歩行で立ち上がった昆虫そのものといった姿であり、虫を苦手とする者には耐え難い見た目であろう。とはいえ、さすがに知的生命体だけのことはあり、不気味な一方で佇まいからは知性も感じられる。

 

「招いておいて、ズイブンな言い草だな」

「ほほう? どうやら私の不出来な部下の中にも少しはマシな者がいたらしい」

 

 メンシュハイトのかき集めたレイオニクス達は全員任務に失敗したかと思われたが、どうやら招聘に成功した者がいたらしい。

 

「貴様がメンシュハイトだな? 貴様の寄越したグリーンベルト星人とかいう奴の主人か」

「勧誘に成功したのはグリーンベルト星人か。彼女はどうしたのかね?」

「殺したよ。怪獣諸共な」

 

 レイオニクスはそう吐き捨て、殺意と悪意の籠もった視線で帝王を見据える。

 どうやら、グリーンベルト星人は勧誘するも失敗し怪獣諸共返り討ちにあい、挙げ句主人のメンシュハイトの居場所まで喋ってしまったらしい。一瞬だけ期待したが、やはり今回も失敗かとメンシュハイトは落胆した。

 

「それでもあえて問おう。どうだね、私の下に来ないか?」

「断る!」

「ギギギギィ!」

 

 レイオニクスと怪獣は共にその勧誘を即座に断る。

 

「残念だ。君もまた宇宙に必要のない野蛮な生命体だったか」

 

 そうとなれば、もう下手に出る必要はない。帝王は即座に気持ちを切り替え、戦闘態勢に入る。

 

「いらんのは貴様の方だ! その命、貰い受ける!!」

 

 昆虫星人 バーミン星人(RB)

 

 かつてウルトラマンレオと戦った宇宙人の同種族で、宇宙で最も植物の種類が多いというバーミン星のレイオニクス。昆虫型種族ながら狡猾な宇宙人であり、強力な睡眠作用のある植物を使って子供達を眠らせ、残った大人達を皆殺しにして地球を征服しようとした。

 暗い緑色の体色、頭部から生えた一対の太く長い触角、赤い複眼、鋭い爪と長く太い棘の生えた4本の手、棘だらけの脚など、見た目はまさに立ち上がった昆虫そのものという見た目。

 触角からは破壊光線、手の先端からは毒ガスを放つ。しかし最大の武器は植物の種をガス状にして噴霧する能力で、成長促進光線を後から放つことで、敵の体に植物を繁茂させ絡め取ることが出来る。

 

「レイオニクスバトルをするのは、あの男の思惑に乗るようで癪だが、私自身が相手するのもそれはそれで億劫だ。仕方ない、ここは素直に怪獣を出そう」

 

 レイオニクスにしては珍しくレイオニクスバトルそのものに消極的・批判的なメンシュハイトだが、一々自分が本気を出して戦うのもそれはそれで面倒だった。

 そのため本当に仕方なく、帝王はバトルナイザーを起動する。

 

『バトルナイザー、モンスロード!』

「ウィィィィィィ!!」

 

 合体恐竜 キングダイナスⅡ

 

 かつてウルトラマンネオスが戦った恐竜の別個体。暗黒物質の力により、地面に埋められた恐竜の化石が融合、合体怪獣として誕生した。ちなみにネオスと戦った個体と違い、本個体はさらに多くの種の恐竜が混じっているため、事実上別種ではある。

 頭部はトリケラトプス、顔はティラノサウルス、頑丈な背中はアンキロサウルス、長い首と胴体はブラキオサウルス、棘の付いた尻尾はステゴサウルスという風に、複数の恐竜の特徴が入り混じっている。また、暗黒物質の吸収量も前回の個体よりかなり多く、口からは火炎弾だけでなく破壊光線まで放つようになった。

 

「なかなか強そうだな」

「当然だ。使った暗黒物質の量が違う」

 

 バーミン星人からも見ても、この合体恐竜は強そうに感じるらしい。実際、帝王にもこのダークマター怪獣はそれなりに自信作ではあるらしく、そう返答する。

 

「ウィィィィィィ!!」

 

 開始の合図はないが、既にレイオニクスバトルは始まっている。合体恐竜は咆哮し、真正面からケンドロスに突進するが、ケンドロスは膨らんだ体型の割に身軽な動きで横にひらりと飛び退く。

 

「んおっ!?」

 

 ケンドロスは背後に回り込むが、キングダイナスⅡは振り返りもせず、そのまま強靭な棘付きの尻尾を植物怪獣に叩きつける。まともにくらったケンドロスは野球ボールのように吹っ飛び、転がっていくのを見たバーミン星人は驚いて間抜けな声を上げた。

 

「ギギギギ」

 

 難儀しながらも起き上がったケンドロス。しかし間髪入れず、合体恐竜は頭の角を向けた突進を行う。ケンドロスは口で噛み付いて角を押し止めるも、怪力を誇る恐竜は首の力だけで植物怪獣を持ち上げてしまい、そのまま地面に叩きつけた。

 

「今だやれぇ!!」

「ギギギギィ!!」

 

 このように一見優勢であるが、だからこそ打撃だけで押し切れると考えたのか、合体恐竜は過飛び道具を使う気配はなかった。そしてその驕りに気づいたバーミン星人の命令で、ケンドロスは剣輪草を回転させ、花びらを次々と飛ばす。

 

「ウィィ!?」

 

 花びらはブーメランの如く飛び、合体恐竜の体のあちこちに突き刺さり、キングダイナスⅡは悲鳴を上げた。しかも刺さった箇所は硬いアンキロサウルスの背中だけは避け、関節や首など、比較的皮膚が薄いかつ今後の行動に支障をきたすであろう部分だったのだ。

 

「これで死なないとはな。確かに自信作ではあるらしい」

 

 バーミン星人も感心する通り、所々に刃が突き立てられておきながらも、複数の恐竜の合体である故に生命力の強いキングダイナスⅡは絶命には至らなかった。とはいえ、さすがにダメージは少なくなく息も絶え絶えではある。

 

「まだやれるだろう?」

 

 醜態を晒したのを見たせいか、帝王の声には苛立ちが籠もっていた。自身の怪獣であるが労るつもりは微塵もなく、ただ死ぬまで戦わせるだけである。それを感じ取り、キングダイナスⅡは恐怖していた。

 強豪レイオニクスは大抵自身の怪獣と強い絆を育んでおり、信頼関係を築いている者も多いのだが、帝王はその例に当てはまらなかった。

 

「やれるのか? じゃあ、とどめを刺してやらないとな!」

 

 バーミン星人の方も慈悲をかけるつもりはない。彼はそのような感情はレイオニクスバトルで不要だと考えていた。

 よろよろと起き上がったキングダイナスⅡだが、ケンドロスは後ろに飛び退き、両手からロケット弾の連射を浴びせて苛む。

 

「ウィィィィィィ!!!!」

 

 負ければ例え生き残ろうが、主に粛清される。それを理解する合体恐竜は敵の攻撃を強引に突破し肉迫、右手に頭で噛みつき、左手に尻尾を絡ませ高く持ち上げると、何度も地面に叩きつけた。

 

「芸のない奴だ!」

 

 しかし、バーミン星人がせせら笑う通り、ケンドロスの最大の武器は剣輪草である。手からのロケット弾発射能力は所詮オマケの方でしかない。

 

「ケンドロス! 剣輪草を使え!」

 

 ケンドロスは主の命令を受け、再び剣輪草を回転させ始めるが――

 

「ウィィィィィィ!!!!」

「ギギギギャー!!??」

「なにっ!!??」

 

 その瞬間、キングダイナスⅡはなんと顎と尻尾でケンドロスのそれぞれの腕を無理矢理引き千切ってしまう。切断面から火花を噴かせながら激痛のあまりケンドロスは絶叫、そのせいで剣輪草もまた回転を止めてしまう。

 

「ペッ!」

 

 キングダイナスⅡは咥えていたケンドロスの右手を放り捨て、今度は火炎弾を吐き出す。

 

「ケンドロス何をやっている! 防がねば死ぬぞ!」

「ギギギギィー!」

 

 悶絶していたケンドロスだが、飼い主の言葉で我に返り、体を前に倒す。そのまま剣輪草を前に突き出すと高速回転させ、突風を発生させ火炎弾の軌道を逸らせて躱した。

 

「ふむ。やはりその草が厄介だな」

 

 状況は五分五分と見て、メンシュハイトは再び冷静となった。もっとも、敵も両腕を失う重傷とはいえ、こちらも全身に刃が刺さりまくっている状態で、重傷なのは同じである。

 

「………………」

 

 一方、バーミン星人の方は同じ重傷でも、両腕を失ったこちらの方が不利だと考えていた。そのため、彼は自分の腕からある植物の種をガス状にして慎重に噴霧し、周囲一帯に滞留させつつあった。たちの悪いことにこのガスは無色透明にして無臭であり、また体に直接の害を及ぼすものでもないため、メンシュハイトもこの小細工には気づいていなかった。

 

「とはいえ、それでもまだこちらが有利だと思うがね。

 で、どうかね? まだ降伏は受け付けているよ」

「くだらん冗談を言うな。貴様に降伏すれば、レイブラッド星人の後継者となり全宇宙を支配するという私の夢が文字通り夢物語になってしまう」

 

 同じ野望を抱く両者。だからこそ相容れない。

 

「そんな心配をせずとも、その夢は私が代行しよう。共に理想の宇宙を運営するために力を尽くさないかね」

 

 しかしそれでも尚、メンシュハイトはこの昆虫を勧誘した。

 今まで配下にしてきた無能な弱小レイオニクス達と違い、少なくとも自分の怪獣と渡り合えるだけの怪獣と実力を持っていたからだ。仲間にすれば、相応の戦力になると見ていた。

 

「くどい奴よ! ケンドロス!」

「ギギギギィー!!」

 

 口頭でなくバトルナイザーを介して、バーミン星人はケンドロスに命じた。

 それは成長促進光線の乱射。ケンドロスは命じられた通り、地上にも空中にも光線をバラ撒く。

 

「…?」

 

 敵怪獣の意図が掴めず、困惑する恐竜。時折自分にも光線が当たったがなんともなく、敵の行動が何を意味しているのか分からなかったのだ。

 

「何の真似だ」

 

 メンシュハイトも敵の意図が分からず、怪訝そうに尋ねたが、当然敵が答えるはずもない。

 

「自ずと分かるさ」

 

 昆虫型故表情に乏しい種族であるが、それだけ答えたバーミン星人は何処か笑ったように見えた。

 

「「!」」

 

 そして言葉通り、変化が起こった。辺り一帯の地面、あるいは空中で急激に成長・巨大化する植物達。見覚えのあるその形は、ケンドロスの体の真上に鎮座する剣輪草と同じ形である。

 そう、バーミン星人がガス状にして播いていたのは剣輪草の種であった。ケンドロスの戦闘力の肝は剣輪草であり、大量発生すればそれだけ戦闘力は増す。

 

「ギギギギィ!!」

 

 ケンドロスは特殊な音波を放ち、周囲の剣輪草を刺激。すると、剣輪草達はプロペラの如く回転して飛び上がり――

 

「……!!!!」

 

 キングダイナスⅡ目がけて、一斉に花びらを飛ばす。恐竜は慌てて破壊光線で迎撃するも、花びらの数はあまりにも多く、そして速く、何より硬くて鋭かった。

 

「ガッ」

 

 短い断末魔を上げ、恐竜は倒れた。全身が花びらの刃に覆い尽くされ、ハリネズミのようになったその凄絶な最期と姿は、例え歴戦のレイオニクスであろうと震え上がるだろう。

 

「………………」

 

 しかし、そんな怪獣の姿も、帝王の冷酷で傲慢な心には届かなかった。

 その最期を見たことで彼の心に湧いたのは、ただ落胆と失望だった。大量の暗黒物質を使って作られたのに、この怪獣は創造主の期待に応えるどころか、無様な敗北を喫したのである。

 

「このレイオニクスバトルはこちらの勝利だなァ。どうだ? 遺言はあるか?」

 

 ケンドロスは両腕こそ失ったが、今は剣輪草がそこら中に生えている状態。さらには敵も怪獣を失った故、圧倒的優位を確信したバーミン星人はメンシュハイトを処刑しようとする。

 

「もう勝ったつもりか? 私を失望させないでくれ」

 

 なかなか実力があるレイオニクスだと思って期待していたのだが、たかが怪獣1体を倒した程度で勝ったつもりなのはいただけない。そう言いたげなメンシュハイトの態度に、バーミン星人は著しく気分を害した。

 

「2戦目は面倒だ。だからもう死ね!」

 

 バーミン星人の怒りに反応した剣輪草の花びらがいくつもメンシュハイト目がけて飛んできたが、帝王はサイコキネシスを発動し、難なく弾き返す。

 

「そう言うな。私は君達の実力がもっと見てみたくなった!」

 

 ニヤリと笑い、メンシュハイトは2体目の怪獣をバトルナイザーより召喚する。

 

「ブオーッ」

 

 暗殺怪獣 グラール

 

「鬱陶しい! こいつも蹴散らせ!」

「ギギギギィ!」

 

 ケンドロスの指令を受け、高速回転を始めた剣輪草の刃がグラールに迫る。

 

「ブオーッ」

「なっ!?」

「ギギ!?」

 

 しかし、迫る刃の群れに対し、グラールは頭頂部の角からの拡散型の破壊光線を発射。無敵を誇るはずの剣輪草の刃が全て弾き返され地面に突き刺さる。それだけでなく裸になった剣輪草の群れに対し、口からの火炎弾を連射し、焼き尽くしてしまう。

 

「こ、この野郎!」

 

 グラールの早業に驚愕するも、バーミン星人は再び手の棘からガス状にした剣輪草の種を播こうとする。しかし、その前にグラールは素早く接近し、ケンドロスを持ち上げてぶん投げる。真ん丸な体型の上に今は両手もない故に受け身も取れず、まともに叩きつけられグロッキー状態になったところで今度は蹴り飛ばされて転がる。

 その衝撃で体の上部にあった剣輪草も外れ、さらには真ん中からポッキリと折れてしまった。

 

「ギギギギ――」

 

 呻き声を上げてよろよろと立ち上がったところで、グラールは口から火炎弾を発射。今度は剣輪草もないので突風を起こして躱すことも出来ず、直撃。

 哀れ、植物であるが故に燃えやすかったその体はあっという間に炎上。さらにはすぐさま全身から火花を噴きながら大爆発してしまった。

 

「ケンドロスー!!」

 

 連戦の消耗があったとはいえ、あっという間に剣輪草の群れごとケンドロスが殺され、バーミン星人は驚愕する。

 

「セカンドステージに到達しているレイオニクスだ。他にも戦力はあるんだろう?」

「調子に乗るな!!!! 当然ケンドロス以外にも怪獣はいるわ!!!!」

 

 激昂したバーミン星人はバトルナイザーを構える。

 

「いけぃ!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 バーミン星人は新たに怪獣を召喚する。

 

「ピギギィー!」

 

 さそり怪獣 アンタレス

 

 かつてウルトラマンレオと戦った宇宙怪獣の別個体。変身能力を持ち、人間の少年に化けてレオへと勝負を挑んだ。

 別名の通りサソリを思わせる身体的特徴を持つ。手だけでなく足や尻尾もまた先端が鋏状になっており、特に他の怪獣と比べても長大な尻尾先端の鋏は凄まじい切れ味を誇る。手足の鋏で敵を拘束し目からのショック光線で怯ませたところで、尻尾で敵を倒す戦法を得意とする。

 

「植物の次は同じ虫けらの仲間か」

「なにィ!!!!」

 

 メンシュハイトは新たな怪獣を見て、素直な感想を吐露する。しかし虫けら呼ばわりされれば、バーミン星人の怒りは当然増すばかりだった。

 

「ピギギィー!」

 

 先ほどのケンドロス同様、アンタレスもまた突進。グラールへ挑みかかる。

 

「芸のない奴だ」

 

 愚かな生命体らしい原始的な戦法を見て、メンシュハイトはせせら笑う。

 

「ブオ!?」

 

 取っ組み合った両怪獣。しかし、アンタレスは手だけでなく足先までもまた鋏状となっている。両手はグラールの手首を掴むと共に、足先もまた敵の足を挟んで拘束する。

 

「かかった! やれっ!」

 

 喜びに満ちた声で主人がそう命ずるこれこそが、アンタレスの必勝戦法である。

 両手両足の鋏で敵の四肢を挟んで封じるのだ。

 

「ブオ…!」

 

 そうしたところでアンタレスはグラールに目からのショック光線を浴びせる。さすがに密着状態ともなれば、最強のダークマター怪獣であるグラールにもそれなりに通用するらしく、グラールも若干怯んでいた。

 

「その首を刎ね飛ばしてやれー!」

 

 そうして敵を拘束したところで、その長大な尻尾の先端にある切れ味抜群の鋏を背後から敵の首に叩きつけ、そのまま切り飛ばす。この戦法により今まで何体もの怪獣の首を刎ね飛ばしてきた。今まで敗れたことのない()()の技である。

 

「――ハ?」

 

 しかし、尻尾の鋏が首に迫る寸前、拘束していたはずのグラールの姿が消える。そして当然そのタイミングで消えるなどと思っていないアンタレスの尻尾は自分の首に叩きつけられてしまい、なんとそのまま自分の首を切断してしまった。

 目の前で起きたこの出来事が理解出来ず、バーミン星人は間抜けな声を上げて呆然としていた。

 

「ブオーッ」

 

 遅れて、消えていたはずのグラールが再び現れる。

 

「グラールは瞬間移動が使えるのだ。それで拘束から抜け出ただけのこと」

 

 バーミン星人の態度があまりに面白かったのか。笑いをこらえながら、メンシュハイトは説明してやる。

 

「とはいえ、恐ろしい生命力だな。そこは褒めておこう」

 

 自分で自分の首を刎ね飛ばしてしまい、自滅したアンタレス。だがなんと、切られた首を脇に抱え、尚もグラールに迫ろうとする。

 しかし既に限界なのか歩みがおぼつかず、グラールまで肉迫するも、そこで暗殺怪獣に手で軽く押され、倒れてしまう。そうしてすぐ首が爆発し、次いで体の方も爆発して木っ端微塵となった。

 

「遺言はあるか?」

「――――!!」

「無いようだな? では、やれっ」

 

 2体目の怪獣があっさり敗れ、恐慌状態(パニック)となっていたバーミン星人は返答も出来ず、そのままグラールの火炎弾が直撃し、爆死した。

 

「惜しかったが、仕方ない」

 

 メンシュハイトが炎上する骸にそう語りかけると共に、グラールはまだ冷たくなっていないアンタレスの骸に邪魔だとばかりに火炎弾を発射し、焼き尽くした。

 

「上手くはいかないものだなァ、グラール」

「ブオーッ」

 

 主にそう語りかけられ、グラールは頷いたのであった。




用語解説

 植物怪獣 ケンドロス

 かつてウルトラマンレオと戦ったケンドロス星出身の宇宙怪獣の別個体。植物怪獣でありながら地球侵略を目論み、周到に下準備を進めるなど、高い知能と邪悪さを持つ。
 緑色の体色に花の萼を思わせる大きな鱗に覆われた球体の体は芽キャベツを思わせる。その球体下部にトカゲのような顔があり、さらには球体側面から短い四肢が生えているというなんとも珍妙な姿をしている。しかし、1番の特徴は球体上部に鎮座する『剣輪草』である。
 これは幼体時には可憐な花なのだが、成体時には花びらが金属のように硬化し鋭くなり、プロペラのように回転することで花びらの1枚1枚がブーメランのように飛んでくるという代物。この花を利用することでケンドロスは戦闘力を高めているが、一方で戦法の大部分がこの花頼りでもあり、自身の戦力は両腕からのロケット弾発射能力程度。単体ではそこまで強い怪獣ではない。
 地球にまず剣輪草を送り込んで成長させ、一度はレオを破るほどの強さを見せるも、剣輪草対策のための特訓を積んだ後は敵ではなく倒された。
 本個体はバーミン星人(RB)に使役されている。剣輪草の種をガス状に変換して噴霧出来る主人との相性は抜群であり、追い詰められても剣輪草を補充してもらうことで逆転が可能であった。両腕を切断されながらもこの戦法でキングダイナスⅡを倒すが、続けて現れたグラールには根本的な戦闘力の差で押し切られてしまい、植物怪獣故に炎が弱点だということで最期は火炎弾で焼き殺されてしまった。

 昆虫星人 バーミン星人(RB)

 二つ名は“妖蟲”。かつてウルトラマンレオと戦った宇宙人の同種族で、宇宙で最も植物の種類が多いというバーミン星出身のレイオニクス。昆虫型種族であるが、卑劣かつ狡猾な宇宙人で、母星原産の睡眠作用のある植物を子供達に撒いて眠らせていき、残った大人を皆殺しにして地球侵略しようとした。
 緑色の体色、赤い複眼、頭部の一対の長い触角、鋭い爪と棘の付いた4本の手、棘だらけの足という姿は二足歩行となった巨大昆虫を思わせる。
 触角から緑色の破壊光線を放つが、最大の武器は植物を利用した能力。手の棘の先端からは毒ガスやガス状に変換した植物の種を播くことが出来、これを敵に浴びせた後成長促進光線で敵を植物塗れにして動きを封じる。しかし、レオにはレオマントで手を覆われたことで封じられ倒された。
 本個体はレイブラッド星人の後継者となって全宇宙を支配すべく、惑星アシヨシでのレイオニクスバトルに参加している。その過程でメンシュハイトの配下となったグリーンベルト星人(RB)の接触・勧誘を受けるが一蹴し、レイオニクスバトルで怪獣を撃破後、彼女を拷問して主の居場所を聞き出した後殺害した。
 メンシュハイトも恐れず襲撃するなど非常に好戦的であり、それを可能とするだけの怪獣も持っていた。事実、ケンドロスは彼自身の巧妙な支援もあってキングダイナスⅡを抹殺するも、ダークマター怪獣最強を誇るグラールには全く及ばず死亡し、続けて繰り出したアンタレスもまたすぐさま自滅してしまう。それらにショックを受け呆然としていたところ、グラールの攻撃を受けて爆死した。
 このような結末こそ辿ったが、メンシュハイトが再三勧誘を繰り返していた通り、セカンドステージ進出者相応の実力を持っていた。帝王自身も殺すかどうかは最後まで悩んでいたようである。

 合体恐竜 キングダイナスⅡ

 かつてウルトラマンネオスと戦った合体恐竜の別個体。しかし、暗黒物質によって恐竜の化石が混ざり合い合体恐竜として誕生したという成り立ちこそ同じだが、その時の個体より多くの種の恐竜が混ざっているため、事実上別種であると言える。
 頭部はトリケラトプス、顔はティラノサウルス、背中はアンキロサウルス、首と胴体・四肢はブラキオサウルス、尻尾はステゴサウルスという風に、複数の恐竜の特徴が混ざり合っている。ただし、ネオスと戦った個体と違い、ブラキオサウルスの要素が特に強く、そのせいでさらなる巨体となっている。また、火炎弾だけでなく破壊光線も吐くことが可能となっているが、一方で恐竜という種故かそこまで知能は高くない。
 ドレンゲランと同じくメンシュハイトが暗黒物質によって恐竜の化石を合体させて生み出した。ただし、主人の性格上単なる戦力扱いで愛情などは一切なく、キングダイナスⅡの方も負ければ粛清されると理解し恐怖と絶望を感じていた様子。
 バーミン星人(RB)のケンドロスとのレイオニクスバトルでは当初はパワーで上回り圧倒するも、剣輪草を用いた戦法には終始劣勢となる。そして最期は剣輪草の花びらという数の暴力によって全身がハリネズミのようになり死亡。圧倒される場面が多かったせいで、メンシュハイトは内心苛立たせており、死んでも顧みられることすらなかった。

 さそり怪獣 アンタレス

 かつてウルトラマンレオと戦った宇宙怪獣の別個体。変身能力で人間に化けるだけでなく、レオ=おゝとりゲンが自分への対抗策を得る前に抹殺しようと人間態での時に抹殺を図るなど、知的生命体並に高い知能を持つ。
 別名の通り、身体的特徴はサソリを連想させるものが多い。茶色い体色に赤い目、手足の先端は鋏となっており、かなり長大な尻尾の先端もまた刺股のような棘の付いた鋏となっている(サソリだが毒針ではない)。ちなみに背中から尻尾にかけては体節ごとに棘が生えており、こちらはムカデのように見える。
 手足の鋏で敵の四肢を挟み、目から放つショック光線で怯ませたところで、尻尾の鋏を叩きつけて倒すのが必勝パターン。また口からの火炎放射で遠距離攻撃も可能と隙がない。
 ちなみに人間に化けていた時もこの尻尾が使える他、人間の動体視力では見えないほどの速度で叩きつけることが出来る。さらには拳法の達人という面もあり、格闘技術も極めて高いようである。しかし、それらに対抗するための特訓を積んだレオには通じず叩きのめされ、最後は切断した尻尾の鋏を投げつけられ首を切断。それでも首を脇に抱えレオに迫る執念を見せるも、寸前で事切れ、首と胴体の両方が爆発した。
 本個体はバーミン星人(RB)にケンドロスと共に使役されている。レオと戦った個体同様の必勝戦法を得意とするが、よりによって瞬間移動能力のあるグラールにそれをやってしまう。当然、寸前で逃げられたところで、鋏を自分に叩きつけて自分で自分の首を切断し自滅してしまった。それでも以前の個体同様首を脇に抱え迫る恐ろしい生命力を見せるが、グラールに軽く突き飛ばされたところで限界が来てしまい爆死した。
 以前の個体同様知性は高いはずだが、必勝パターンで負けなかったことで主人共々完全に慢心してしまっており、それを活かすことが出来なかった。
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