いつもよりはちょい短めかな。チェーン星人の時よりは長いけど。あと、いつもとちょっとノリが違う。
かつてザッカルという名のL85星人がいた。彼は宇宙怪獣専門の捜査官・宇宙Gメンであり、それも今まで400体以上の凶悪な宇宙怪獣を逮捕したという凄腕であった。
しかし、同じL85星人にはそのザッカルと真逆の、まさに悪党の中の悪党と呼ぶべき男がいた。その
そして何の間違いか、なんとその男はレイオニクスとなり、この惑星アシヨシにやって来ていた。彼が望むのはレイブラッド星人の後継者となり、全宇宙に君臨することか。はたまた別の望みがあるのか――
――とある河原――
「~~♪」
澄んだ水の流れる渓流。その河原にある大きな岩の上に座り、機嫌良さげに2つのバトルナイザーを眺める1人の宇宙人がいた。
その顔は毛むくじゃらで、さらにその毛は返り血を浴びたかのような赤色である。上下は傷だらけの黒い装甲服を着ており、腰には分厚いベルトやそれに引っ掛けてあるバトルナイザー用のケース、さらには光線銃を収めたホルスターを2つと大振りのナイフがぶら下げてある。そして背中にも肩がけスリングでライフル型光線銃、それと柳葉刀のような大型の刀剣を背負っているというその姿は、レイオニクスというよりは歴戦の戦士を思わせる。
また、初見では鮮やかな毛色に目を奪われ気づかないだろうが、顔には大小複数の傷跡があり、この宇宙人が相当の修羅場をくぐり抜けてきたことを窺わせる。
「これでよし…と」
データの移動自体はすぐに終わった。岩から立ち上がった毛むくじゃらの方は伸びをしたところで右肩をグルグルと回すと、そのまま相手のバトルナイザーを渓流に放り投げる。召喚機は水底に沈むも、すぐに川下へと流されていった。
「今回大した収穫はなかったなぁ。まぁ何もねぇよりはマシか」
L85星人サングレ
宇宙Gメンの凄腕捜査官だったL85星人ザッカルの同種族にして、L85星のレイオニクス。しかし、今まで400体以上の宇宙怪獣を逮捕し宇宙の平和のために貢献してきたザッカルとは違い、彼は殺戮に無上の喜びを見出す極悪人であった。普段は
身体的特徴こそザッカルと同様だが、全身の毛の色は返り血を浴びたかのような鮮やかな赤色となっている。また同じく巨大化能力も持っているが、彼の場合は全身に帯びた多数の武器も巨大化するため、総合的な戦闘力はザッカルを大幅に凌駕する。これらの武器の扱いにも極めて長けているだけでなく格闘技術もかなり高く、近接戦闘のみで数多の怪獣・宇宙人を仕留めてきた。
性格は大胆不敵で、さらには血と殺戮を愛しているほどに凶暴・残虐にして、度を越した怖いもの知らず。それ故か、あらゆる凶悪種族・悪の組織や勢力に喧嘩を売ってきた。特にグア軍団には今まで何度も痛手を与えてきて非常な恨みを買っているが、それでも未だ生き残っているほどの凄腕の戦士でもある。
「次はもうちょい強そうな奴を狙うか~」
今回倒したのはセカンドステージという現段階には見合わぬ低レベルのレイオニクスだった。何故こんな輩が未だに生き残っているのかは分からないが、メンなんとかとかいう男の遣いとしてやって来たとか言っていたので、そいつに庇護されていたのかもしれない。
もっとも、そのレイオニクスは単なる使い走りだったのか、その男は最後まで現れることはなかったが。
「だったらオレ様が相手してやるぜ!!!!」
「ん!?」
今後の方針に頭を巡らせていたサングレだったが、そんな彼の隙を突いて何者かが真上からいきなり剣で斬りかかってきた。しかし声がした瞬間には、この野人は既に腰のナイフを抜いており、敵の剣を受け止めていた。
「フンッ!」
岩の上で鍔迫り合いをしていた両者だったが、埒が明かぬと見たサングレが蹴り飛ばし、敵は岩から転げ落ちる。
「テメェが誰かは知らねぇが、種族の方は見覚えがあるぜ」
サングレを襲ってきたのはヒューマノイド型の宇宙人であった。
金髪に銀色の仮面のような顔、全身を包む黒いウェットスーツのような服、何よりパタのような右腕のサーベル。彼の知る限り、その姿はあの凶悪宇宙人以外にはありえない。
「ほう! グア軍団に楯突いた無知蒙昧なゴミ野郎でも、さすがにオレ様の種族は知っているようだな!」
サーベル暴君 マグマ星人(RB)
宇宙の星々を荒らし回る凶悪な種族。かつてウルトラマンレオの故郷・獅子座L77星を滅ぼし、弟のアストラを捕虜としたという。さらには地球をも征服しようと双子怪獣ブラックギラスとレッドギラスを送り込み、迎撃に来たウルトラセブンを叩きのめして変身出来なくさせ、駆けつけたレオとも死闘を繰り広げた。
ヒューマノイドタイプの宇宙人であり、体型や頭髪などは比較的地球人に近い。やや長めの金髪、目の部分が青い銀色の仮面のような顔、頭頂部両端の耳、黒いウェットスーツのような服と各部の銀色の装飾、胸の紋章が特徴。しかし1番目立つのは別名にもある、パタのような籠手型の右腕のサーベルである。
「グア軍団? やっぱりな」
マグマ星人がグア軍団と口にしたことで、サングレは得心が行った。
「そりゃそうだろ。テメェらの評判は今も昔も最悪だからな。テメェらよりロクでもねぇクソ種族は宇宙広しといえど、そういねぇぐらいだ。
おまけにあの宇宙中のロクデナシの集まりのグア軍団所属ときたもんだ。その胸のマークは本来のテメェらの奴じゃなくて、グア軍団の紋章だろ?」
マグマ星人がそう口にする前から、その紋章を一目見た瞬間、サングレは種族だけでなく敵の所属組織まで見抜いていた。
そう、このマグマ星人はかつてアンドロ警備隊及びウルトラ戦士達に敗れ滅ぼされたグア軍団の生き残りなのだ。
「話が早くて助かるぜ。だがな、貴様が何も覚えていないのはムカつくんだよ!!」
サングレに何らかの因縁があるのか。怒りを見せたマグマ星人は右手のサーベルを煌めかせ、再び斬りかかってきた。一方のサングレは今度は手に持ったナイフを投げつける。マグマ星人はこともなげにそれを右手のサーベルで叩き落としたのだが――
「うぐっ!?」
ナイフは注意を逸らせるためと、そしてサーベルを
スーツは防弾仕様だったので光弾は貫通こそしなかったが、それでも内臓にダメージを受け、マグマ星人は吐血し腹を押さえて蹲る。
「テメェみてぇなクソ野郎の相手なんか、いちいちマジメにしてられるかい」
心底うんざりした様子で、サングレはそう吐き捨てるように言う。
今の彼はレイオニクスである。故に、レイオニクスバトル以外の殺し合いなぞ真平御免。真面目に付き合うつもりなどなかった。
「チィ~~! こうなっては仕方ない……!」
マグマ星人は接近戦に自信があったようだが、結局目論見が外れたようであった。
そのため不本意ながら、この星の流儀に則ることにした。
「なんだ、最初からそうすりゃ良かったじゃねぇか」
マグマ星人が左手で取り出したバトルナイザーを見て、サングレは獰猛な笑みを浮かべた。レイオニクス同士、本来なら最初からそうすべきだからだ。
「これで手持ちの怪獣がまた増やせるぜ」
そして、サングレは今まで勝ち続けてきた。かつての自分の戦いと同じく、レイオニクスバトルでもまた負け無しであったのだ。
「馬鹿みたいにそう笑ってられるのも今の内だ!! 殺してやるぞゴミ野郎がぁ!!!!」
『バトルナイザー、モンスロード!』
マグマ星人のバトルナイザーから5つの光が放たれ、怪獣の姿へと変わる。
かつてウルトラセブンを叩きのめして変身不能に追い込み、ウルトラマンレオとも死闘を繰り広げた。さらには津波で黒潮島を海に沈め、東京をも沈没させかけたレッドギラスとブラックギラス。
しかし、今回は黒と赤だけではない。さらに緑、青、黄まで加わった5体である。
「お前達の力を見せてやれ、ギラスレンジャー!」
「「「「「ギュウイイイイアアアア!!」」」」」
五つ子怪獣 ブラックギラス
五つ子怪獣 レッドギラス
五つ子怪獣 グリーンギラス
五つ子怪獣 ブルーギラス
五つ子怪獣 イエローギラス
かつてウルトラセブン、ウルトラマンレオと戦った双子怪獣の別個体+3体。レオ達と戦った個体は双子だったが、今回の個体達はなんと五つ子である。
見た目はオーソドックスな肉食恐竜型怪獣で、他は頭頂部の反り返った長い角、蛇腹状の皮膚、背中に生えた頭部の物よりかなり巨大な一本角及び大量のイボ状の突起、長い尻尾が特徴。五つ子だけあって全員見た目はそっくりだが、それぞれが名前通りの体色をしている。
かつてレッドギラスとブラックギラスは互いに組み合いながら回転、発生させた【ギラススピン】で竜巻を巻き起こしたが、今回は5体で組み合うことでさらに威力を倍増させた【ギラスレンジャースピン】が必殺技。さらに、今回は個体ごとにそれぞれ違う能力まで持ち合わせている。
「なるほど、数だけは用意してあるらしいな。自分はザコだから手下頼みというのも実にマグマ星人らしいよなぁ」
「ッ! 貴様ァ!!」
怪獣を複数召喚し優越感を感じたのも束の間、恐怖に慄くかと思われた敵が予想に反し、逆に嘲笑してきたことにマグマ星人は激昂する。
「とはいえ、今のままじゃ俺は殺されちまうのも事実だ。つーわけで、俺も喚ばせてもらうとするか」
しかし、今のままでは殺されてしまうことをサングレは素直に認めた。そのため、この脅威を排除すべく、サングレもまた腰にぶら下げたケースからバトルナイザーを取り出す。
『バトルナイザー、モンスロード!』
そうして電子音声と共にバトルナイザーから光が放たれるも、こちらはすぐに消えてしまう。それを見てマグマ星人もギラス達も拍子抜けしてしまった。
「なんだぁ? 消えてしまったな」
サングレが怪獣を召喚しようとするも失敗したと思ったのか、マグマ星人はせせら笑う。
「散々偉そうに抜かしておきながらこのザマか。レイオニクスなのに怪獣を出さないっていうのは、そのまま殺していいって意味だよなぁ!!」
残虐な笑みを浮かべ、処刑を宣言するが――
「ギュイイ!!」
「ゲガ!?」
そう余裕ぶっていられたのも、グリーンギラスがレッドギラスに殴りかかるまでのことだった。
「な、何だ!? おいグリーンギラス!! 何をやってる!!??」
突如仲間割れを始めたグリーンギラスに、マグマ星人は困惑する。兄弟達も同じであり、状況が未だ理解出来ず呆然としていた。
「ギュアッ!!」
何度も殴られて怒ったレッドギラスがグリーンギラスに反撃し殴り飛ばす。グリーンギラスは吹っ飛んで木々を薙ぎ倒しながら倒れ、そこに追撃をかけようとするレッドギラスを、ここでようやく我に返ったブラックギラスとブルーギラスが慌てて押さえ込む。一方、倒れたグリーンギラスをイエローギラスが抱き起こしてやった。
「ギュ~~」
痛みで呻くグリーンギラス。自業自得であるが、痛々しい光景であった。
「兄弟にしちゃ、えらく仲が悪いな。それとも主人が手綱を握れていないのか?」
「貴様ァ!!」
この醜態を眺め、サングレはニヤニヤと笑っている。その態度にマグマ星人は再び激昂した。
「ギュイイ!!」
「ゲアッ」
さらに、今度は恩知らずにも介抱してやったイエローギラスを殴り倒すグリーンギラス。
「ギュイイアアアア!!!!」
グリーンギラスの暴挙に激怒したレッドギラスが兄弟達の束縛を振り切り、殴りかかった。グリーンギラスも恐れず迎え撃ち、両者は激しい殴り合いとなる。
「ウゴー!」
「ギュア!」
やがてブラックギラスがレッドギラスを、ブルーギラスがグリーンギラスを羽交い締めにして引き剥がす。極短時間ながらも激しく殴り合ったせいで両者共顔が無惨に腫れてしまい、血だらけであった。
「グリーンギラス!! 貴様どういうつもりだ!!!!」
召喚されて早々突如仲間割れを起こしたグリーンギラスにマグマ星人は怒り心頭だったが、無理もない話である。
「まぁ、そう怒ってやるな。
「何…?」
まさかのサングレに宥められ、困惑するマグマ星人。しかし、この獣人の言う言葉の真意は何だろうか?
「そもそも、俺は召喚に失敗したんじゃない。召喚してすぐ、俺の怪獣があの緑のに乗り移ったんだよ。そして操られた緑のが暴走したってわけさ」
「何だと!!?? 貴様ふざけやがって!!!!」
道理で違和感しかないわけである。グリーンギラスが仲の良い兄弟達にいきなり襲いかかるはずがない。そしてその事実を知ったギラス達もサングレに強い殺意を向けた。
「うん、そろそろいいか。戻っていいぞ!」
サングレの合図ですぐさまグリーンギラスの体から何らかのエネルギーが抜け出る。そしてすぐ、正統派な怪獣の容姿のギラス達とは真逆の、まさに悪魔のような姿へと実体化する。
「ヒュララララララ」
テレパシィ怪獣 デビロン
かつてウルトラマン80と戦った宇宙怪獣の別個体。ガモスなどと同じく高い知性と単なる怪獣の枠を超えた凶悪な能力・習性を併せ持つ悪魔の如き存在で、数々の星々を滅ぼしてきたという。その危険性から友好宇宙人ルリヤ星人によって『スノーアート』と呼ばれるオブジェに封印され、宇宙の彼方に追放されていたが、地球で解放・復活してしまった。
緑色の体色、側頭部から生える一対の垂れ下がったカミキリムシのような触角、不気味に点滅する目、腕から胴体にかけて生える翼膜、先端が鏃のようになった長い尻尾などが特徴。まさに悪魔の如き不気味でおぞましい容姿をしている。
別名にもある通り、強大なテレパシー能力を持つ。これは封印状態ですら人々を催眠状態に陥らせるほどであり、この能力を利用して封印から復活した。憑依能力までもあり、操った人々の善の意識を悪に書き換え、同士討ちを引き起こさせて自滅へと導いていた。
「何だこいつは!? これが貴様の怪獣だというのか!?」
現れた悪魔の如き怪獣に面食らい、慄くマグマ星人。
「ギュウイイイイアアアア!!!!」
しかし主人と違い、操られて同士討ちさせられた怪獣達はそうではない。特にグリーンギラスは怒り心頭であり、躊躇なく襲いかかったのである。
「ヒュラ!」
「!?」
しかし、デビロンは単なる超能力頼りの怪獣ではない。かつて現れた個体はウルトラマン80と格闘戦でも引けを取らなかった。
グリーンギラスの顔目がけての右拳をあっさり躱し、反撃の足払いをして転ばせた挙げ句、そのまま蹴り飛ばして兄弟達の元へとぶつけたのである。
「どうやらデビロンだけでカタをつけられそうだな」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、赤き獣人はそう言い放つ。所詮敵は数がいるだけと言わんばかりの態度であった。
「「「「「ギュウイイイイアアアア!!!!」」」」」
そんな敵の侮りを察し、怪獣達は激昂。5体同時にデビロンに襲いかかった。
「デビロン! 遊んでやれ!」
「ヒュラ」
主の指示にデビロンは頷き、敵に向かってテレパシーを放つ。それからは一方的な展開が始まった。
主に忠実であり、またウルトラセブンを変身不能に追い込んだほどの強さの怪獣達ではあるが、それは抜群のコンビネーションとマグマ星人からの指示があったからこそである。そして、それがなければどうなるかという見本が今回であった。
「「「「「ギュウイイイイアアアア」」」」」
デビロンの放ったテレパシーによって五つ子怪獣達は錯乱、今度は全員が同士討ちを始める。
グリーンギラスは口から猛毒液を吐いてブラックギラスの目を潰してしまうも、視界が封じられ
レッドギラスはブルーギラスと取っ組み合う。さらに密着状態からレッドは角からの破壊光線、ブルーは口からの冷凍ガスを放つが、光熱と冷気が衝突したせいで水蒸気爆発が起きてしまい両者に直撃。吹っ飛んだ挙げ句、両者重傷のため起き上がれなくなってしまった。
「ええい! やめろ!!」
4体が倒れた今ここで、ようやくマグマ星人は動き出す。自身も巨大化し、錯乱するイエローギラスを左手で張り倒して正気に戻させる。
「おいおい。自分も巨大化してレイオニクスバトルに加わるのはルール違反だぜ」
自分もあんな真似をしでかしておきながら、呑気にもルール違反を指摘するサングレ。
「やかましい!! よくもふざけた真似をしてくれたな!!!!
貴様はオレ様がこのサーベルでぶった斬ってくれるわ!!!!」
巨大化したマグマ星人は最早レイオニクスバトルをするつもりもないようで、右手のサーベルをサングレ達に向ける。
「デビロン! 最後の黄色いのはお前に任せる! あのウスラバカの方は俺の手で殺る!」
先ほどはレイオニクスバトルでない無益な直接戦闘を避けていたサングレだったが、今回マグマ星人のしでかしたルール違反については腹に据えかねたのか、己の手で直接始末することを決めた。
マグマ星人同様、サングレも巨大化し、鋭い牙を持った屈強な猿人のような姿へと変身したのだった。
「ギュウイイアア!!」
「ヒュラ!」
兄弟達を同士討ちで壊滅させられ果てしない怒りに燃えるイエローギラスは角から破壊光線を放つも、デビロンは目からの破壊光線で迎撃、相殺する。しかしその爆発に紛れ正面切って突っ込んできたイエローギラスはデビロンに抱きつき、そのまま全身から強烈な電撃を放出して苛んだ。
「ヒュララララ!!」
悪魔のような怪獣もこれには耐えかね、絶叫を上げる。
「ギュウイイイイアアアア!!!!」
兄弟の仇だとばかりに両腕で全力でしがみつき、電撃を流し続けるイエローギラス。さすがの宇宙の悪魔もこれで終わりかと思われた。
「ギュ!?」
しかし、ここで兄弟達が起き上がり、電撃を浴びるのもかまわずイエローギラスをデビロンから引き剥がした。そんな困惑するイエローギラスを、兄弟達は全力で押さえつける。
「ヒュララララ」
そう、ここでも悪辣なことにデビロンは死にかけのギラス達をテレパシーで操り、電撃を放つイエローギラスをデビロンから離れさせたのだった。
「ギュア!!」
そこをどけともがくイエローギラスだったが、兄弟達は文字通り最後の力で押さえ込んだのだった。こうして身動きが取れなくなった五つ子怪獣達に、デビロンは非情にも全力の破壊光線を撃ち込む。
「ギュアアアアアアアア」
極太の破壊光線が直撃し、イエローギラスの悲嘆の絶叫と共に、五つ子怪獣はまとめて爆死したのだった。
「ああ!!??」
自身の戦力が全滅し、マグマ星人は驚愕の叫びを上げる。
「喚くな。人生なんざ所詮こんな不条理なことばっかりだ」
そう無慈悲に言い捨て、サングレは背中の柳葉刀を抜く。
「クソオオオオ!! 貴様さえいなければオレ様は――!!!!」
己の破滅を悟って破れかぶれとなり、右手のサーベルを振り上げ、突進するマグマ星人。
しかし、そのサーベルが触れる前に、サングレの柳葉刀が先ほど負傷した腹を横一文字に切り裂いた。
「ただの逆恨みってもんだぜ、それは」
「あ……」
マグマ星人の腹から血が吹き出し、サングレの装甲服を血に染める。そのままマグマ星人は前のめりに倒れ、動かなくなった。
「やっぱりこいつらだけか」
戦いが終わり、サングレはマグマ星人のバトルナイザーを拾い上げ、中のデータを確認する。しかし、やはり手持ちはこのギラス達だけであったようで、サングレは落胆した。
「デビロンよぉ、別に全員殺ることはなかったんじゃねぇか?」
「ヒュラ」
サングレから愚痴られるも、「もう遅い」と言わんばかりにデビロンは頭を振った。
「まあ殺っちまったもんは仕方ねぇ。次の獲物を探しに行くか」
「ヒュララララ」
まだ日は沈んでいないため、サングレはまた次の獲物を狩りに行くことにした。同意したデビロンはサングレを右手に乗せると、そのまま空へと飛び立ったのだった。
用語解説
L85星人サングレ
二つ名は“悪党狩りの悪党”。かつて凄腕の宇宙Gメンとして知られたL85星人ザッカルの同種族で、L85星のレイオニクス。400体もの宇宙怪獣を逮捕し宇宙の平和に貢献したザッカルと違い、彼は真逆の悪党として知られており、普段は他の悪党を襲撃・殺害し金品を強奪することを生業としている。その他に傭兵・賞金稼ぎとして働くこともあるが、依頼料に関してはそれなりに高額であるようだ。
L85星人らしく柔らかく長めの体毛を持つ毛むくじゃらの猿人のような姿をしている。しかし毛が紫がかっていたザッカルと違い、彼は毛の色は血のような赤である。また初見では体毛の色に目を奪われがちであるが、顔にも複数の傷があり、彼のくぐり抜けてきた修羅場の数々を窺わせる。
性格は凶暴・好戦的・残虐で怖いもの知らずであり、殺戮を何よりも愛している。とはいえ、誰彼構わず暴力を振るうわけではなく、殺す対象には独自かつ厳密な基準があるらしい。特に弱者と悪人でない者は基準を満たさないらしく、そういった者にとっては無害な存在ではある。また常識・良識自体は弁えており、友人はそれなりに存在するらしい。ちなみに本人は「俺は悪党しか殺さねぇ」と語っている様子。
その性格から悪党殺しを繰り返してきたため、宇宙中の悪人や侵略者から恨みを買っており、特にグア軍団とは熾烈な争いを繰り広げてきた。怪獣戦艦を爆破し大損害を与えさせたことすらあり、グア三軍神からも目の敵にされていたほど。しかし、グア軍団はある時ついにアンドロ警備隊とウルトラ戦士達によって滅ぼされたため、最後までサングレを殺すことは出来なかった。
ある時なんの間違いかレイオニクスになってしまい、この惑星アシヨシにやって来た。しかし、本人はレイブラッド星人の後継者の座など興味がなく、ただ悪党が大量にいて殺しが愉しめるということでレイオニクスバトルをやっている。だが、それも間違いではないが建前でしかなく、本当の狙いは優勝した時に現れるであろう宇宙最悪の悪党であるレイブラッド星人を始末することである。
長年悪党殺しを続けてきただけあり戦闘能力は非常に高く、マグマ星人(RB)を終始圧倒し続けたほど。怪獣もデビロンを始め自力で捕らえた凶悪な猛者ばかりとなっている。
サーベル暴君 マグマ星人(RB)
二つ名は“ギラスレンジャー”。宇宙の星々を荒らし回る凶悪な侵略者で、ウルトラマンレオの故郷獅子座L77星を滅ぼし、弟のアストラも一時期捕虜としていたという。またウルトラマンレグロスの滞在していたりゅう座
地球にもその魔手を伸ばし、当時ウルトラセブンが防衛に当たっていたが、送り込んだギラス兄弟により重傷を負ったセブンをしばらく変身不能に追い込む。しかし、突如現れたレオに驚き撤退するも、次戦ではギラス兄弟が圧倒する。しかし三度目の戦いでは猛特訓の末にレオが習得したきりもみキックで双子怪獣の首が跳ね飛ばされたのを見て撤退した。その後宇宙鶴ローランにしつこく求婚する個体(前回の個体と同一人物かは不明)が現れたが、最終的にレオに倒されている。
ヒューマノイドタイプの宇宙人であり、地球人とも近い体型で、髪は金髪の者が多いが、中には銀髪の者もいた。目が青く縁取られた(赤の者もいる)仮面のような顔、胸部にマグマ紋章がある黒いウェットスーツのような服装が特徴。しかし1番の特徴は別名にもある通り、右腕に装着するパタのようなサーベルである。個体によっては切っ先から光線を発射することもある。
邪悪かつ狡猾な性格であり、双子怪獣と共にやって来た個体は敵が体力を消耗して優勢になったところで助太刀のような形で攻撃してくるなど、卑怯な行動も多い。しかし見た目や悪評に反し戦闘能力は割と低く、二代目に至ってはMACの戦闘機の攻撃で怯む有り様である。
だが、D60星を侵略したマグマ侵略軍提督のヴォルカンや部隊長のユラブなどは卑劣な手段を用いたとはいえ幻獣闘士達を殺害しており、個体によって高い戦闘能力の持ち主もいる。
本個体はマグマ星人侵略軍ではなく、グア軍団に所属していた個体である。グア軍団に所属しているのは侵略軍で下っ端のまま出世出来なかったため、新天地を求めたから。しかしグア軍団にも忠誠心はなく、その力を利用して甘い汁を吸おうと考えるなど、徹頭徹尾自分の利益のことしか考えていない。
戦闘能力ははっきり言って低く、また知恵もそこまで回る方ではないなど、野心だけ肥大化した俗物である。しかも失態続きで軍団内での評価は低く、特にヒステリックなギナからは次に失敗すれば粛清すると宣告されており、内心では怯えていた。
そして最後の任務として怪獣戦艦の防衛を任されたが、そこに突如乗り込んできたサングレによって防衛部隊が襲撃され同僚達は皆殺しにされてしまう。挙げ句戦艦の動力炉を爆弾で破壊され誘爆、戦艦は大破する。彼は運良く助かるも、任務失敗のせいで最早軍団に居場所がなくなったどころか帰っても処刑されるのは明白だったため、その場で逃亡する羽目になった。
その後は逃亡生活を続けるも、しばらくしてグア軍団はアンドロ警備隊とウルトラ戦士達に敗れて組織は崩壊する。しかし、自身をこんな目にあわせたサングレに対して恨みを忘れることはなかった。
それからなんの間違いか、彼はレイオニクスとなってこの惑星アシヨシにやって来た。種族のツテで五つ子怪獣を入手し、数の暴力によってレイオニクスバトル・セカンドステージまで勝ち進むが、ある時なんと恨みを抱くサングレを発見し殺そうとする。だが半端者の彼が歴戦の強者であるサングレに敵うはずもなく、不意打ちは失敗し逆襲された挙げ句、レイオニクスバトルでもいいようにやられあっという間に戦力を失ってしまう。それで破れかぶれになって襲いかかるが、一刀のもとに斬り捨てられた。
ちなみにグア軍団所属という経歴故に、エンディール星人(RB)とは面識がある。ただし、同じような性格の彼からは能力の差故か内心見下されていた。また、その身に見合わぬ野心から近い内に破滅すると予見していたが、今回それが当たってしまうことになる。
尚、サングレとは奇しくもお互いレイオニクスとなって、この惑星アシヨシにいることは両者共に知らないようである。そして悲しいことに、サングレには怪獣戦艦襲撃時には存在を認識すらされておらず、見覚えがないと言われてしまった。
五つ子怪獣 ブラックギラス
五つ子怪獣 レッドギラス
五つ子怪獣 グリーンギラス
五つ子怪獣 ブルーギラス
五つ子怪獣 イエローギラス
地球侵略を企むマグマ星人に操られ、かつてウルトラセブン及びウルトラマンレオと戦った宇宙怪獣の別個体+3体。双子怪獣に関してはウルトラセブン=モロボシ・ダンの足を折り、ウルトラマンレオが地球防衛の任に着いていた時代は変身出来なくしたほどの強さである。齎した被害自体も数ある侵略者の中でも間違いなく最上位に入るほど凄まじく、黒潮島を海に沈め、東京も危うく水没に追い込みかけたほど。
見た目はオーソドックスな二足歩行の恐竜型怪獣であり、他に目立つのは頭頂部の反り返った大きな刃状の一本角及びそれよりもさらに大きい背中の一本角、背中のイボ状の無数の突起、長い尻尾など。違いは色のみに見えるが、実は各自がそれぞれ固有の能力を有している。
腕力も強くセブンの足をへし折ったほどで、他に角からの破壊光線や津波発生光線、さらには双子が組み合いアイスラッガーを跳ね返すほどの竜巻を巻き起こす【ギラススピン】が必殺技。
マグマ星人に操られセブンに重傷を与え、突如現れたレオとも死闘を繰り広げた。しかし三度目の再戦時には特訓を積んだレオのきりもみキックで兄弟は首を跳ね飛ばされついに死亡し、マグマ星人も撤退している。
本個体達は双子でなく五つ子怪獣であり、戦隊ヒーローになぞらえてか、主人のマグマ星人(RB)からも“ギラスレンジャー”と呼ばれている。またグリーンギラスは口からの猛毒液、ブルーギラスは口からの冷凍ガス、イエローギラスは全身からの電撃といったようにそれぞれ個性を見せる。
それなりに強力な能力と技、そして数の暴力でこの惑星アシヨシでのレイオニクスバトル・セカンドステージまで到達した。しかし、ある時相性最悪のサングレ&デビロンに出くわしてしまったのが運の尽き。同士討ちをさせられた挙げ句、最後に生き残ったイエローギラスも兄弟達が原因で身動きを封じられたところでとどめを刺されてしまった。
尚、兄弟には最強必殺技の【ギラスレンジャースピン】があったが、出すことも出来ず敗れた。もっとも、一応サングレはギラススピンの存在を知っていたらしい。その脅威を認識し、デビロンには出す前に潰すよう命じていた。
テレパシィ怪獣 デビロン
かつてウルトラマン80と戦った宇宙怪獣の別個体。テレパシーで生物の善の意識を悪に変換し、同士討ちを起こさせて自滅させ、それにより数々の星を滅ぼしてきたという悪魔のような存在。しかもどうやらそれは悪意に基づく行動ではなく単なる本能・習性のようで、グリーザなどと同じく知性を持ちながらも本能のままに行動し、宇宙規模での害を齎してきた凶悪な怪獣である。
灰色がかった緑色の体色、側頭部から伸びるカミキリムシのような太く長い触角、点滅する目、腕から胴体にかけて生える翼膜、鏃のような先端をした尻尾などが特徴。およそ自然の生物とは思えない不気味でおぞましい悪魔のような容姿をしている。
最大の能力は強大なテレパシー能力であり、封印中ですらそれらを行使可能であった。これにより人々の精神を悪に変えて争わせるだけでなく、UGMの隊員達を争って80を攻撃させ自身を援護させるなどの芸当が可能。また憑依能力を持ち、エミ隊員を実質的な人質にもしている。しかし、真空状態でのエアポケット現象が起きると呼吸出来なくなるという弱点があり、80によりそこを突いて倒された。
また、封印からの解放後、行動する際は次々と人間達に乗り移っていったため、本来は肉体を持たない幽霊のような怪獣なのかもしれない。
80と戦った個体はルリヤ星人によってスノーアートと呼ばれるオブジェに封印・宇宙の彼方に追放されていた。しかし地球の探査船に冥王星付近で回収されたのをきっかけにUGMのエミ隊員をテレパシーで操り、スノーアートの弱点の赤外線を放射させ封印から解放される。その後は次々と人々に乗り移り破壊の限りを尽くし、80との戦闘でも当初は互角の様相を呈するも、内部のエミの意識からの懇願を受け呼吸を封じて脱出させたところを今度は自分の乗り移らさせる。しかし80を乗っ取ることは出来ず宇宙空間に逃げたところをサクシウム光線でついに倒された。
本個体は件の個体と違って封印されておらず、同じく宇宙の人々を苦しめていたが、ある時サングレと出会って戦いとなり、憑依する。しかしサングレの元より悪かつ強靭な精神には通用せず体から追い出されたが、そこで彼に何か感ずるところがあり、以後忠実な下僕となった。
サングレが彼を相棒とするのはその強力な能力もあるが、自分の下に留めておくことで宇宙に無用な害を齎さぬためでもある。