怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 今回の章後編、そしてセカンドステージ最終章。
 さらには惑星アシヨシを()()()()が襲う。
 惑星アシヨシでのレイオニクスバトル、レイブラッド星人後継者レースの先に待ち受けるのは一体何か? 乞うご期待。


ダダ・ダダ・ダダ!! 後編

「おのれぇ! よくも私のアストロモンスを!!」

 

 アストロモンスを倒され、地団駄を踏んで悔しがるワイアール星人。

 大怪獣の溶解液攻撃に巻き込まれないため、付近の林の中に避難していたのだが、アストロモンスは逆にダークロプスに倒されてしまった。

 このままでは座して死を待つばかり。よって、今すぐ次の怪獣を出す必要がある。

 

「調子に乗っていられるのも今の内だ! 今すぐ殺してやるぞ!!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 林の中で植物宇宙人に新たに召喚されたのは、自分と同じ植物らしきもの。けれども、その大きさは言うほど大きいものではなく、少なくとも先ほどのチグリスフラワーの花畑に比べればそこまで目立つものではない。

 

「………………」

「出番だ。あの白黒野郎どもを皆殺しにし、アストロモンスの(かたき)を討て!」

 

 ワイアール星人に命令された植物は根を伸ばして即座にその場に根付くと、チグリスフラワー以上の恐ろしい速度で繁茂。あっという間に巨大化していく。

 

 

 

 

 

「何ダダ!?」

 

 アストロモンスを倒したダダとダークロプスは、レギオノイドの残骸から胸部のメインコンピューターを始めとする再利用出来そうな部品を回収していた。幸い、メインコンピューターやジェネレーターはそれほど損傷はなく、多少の修理をすれば復活させられる。その事実に喜んでいた両者だったが、付近の森がやたらざわめき出したのに気づき、警戒態勢を取った。

 

「まーた雑草か!」

 

 ダークロプスがうんざりした様子で言う通り、アストロモンスとはまた違うものの、木々を薙ぎ倒しながら別の草が急速に生い茂ってきている。やがて林の外にまではみ出してきたそれらは複数の蔦を主従に向けて伸ばしてきた。

 

「ダダァー!?」

「やめろ!」

 

 ダダに向けて伸ばされた蔦を、ダークロプスは手に持ったダークロプススラッガーで先端を切断。それに怯んだか、蔦はやや後退する。

 

「た、助かった! あとは任せた!」

 

 またわけの分からぬ植物が現れたことに驚いたダダは、猛ダッシュで宇宙船の中に逃げ込んだ。先ほどのアストロモンスのように自分がいれば彼の負担が増えかねないため、ここは安全な場所まで逃げるのが最善だろう。

 

「おう。任せとけ!」

 

 主が安全な船内にまで逃げ込んだのを確認し、ダークロプスは謎の植物と対峙する。

 

(ヤツも引っ込んだままか)

 

 ダークロプスは林の中をゴーグルアイのセンサーで探査し、ワイアール星人の位置を発見・確認する。どうやら敵は安全圏からレイオニクスバトルを見守るつもりらしい。

 いざという時はとっ捕まえてこの謎の草に対する草質にしようとダークロプスは考えていたのだが、あの場所ではそれも出来そうにない。

 

「地道に除草するしかねーか」

 

 面倒だがそれしかないようだ。敵レイオニクスを殺すかどうかは主の判断に任せるが、いずれにせよこの謎の草は除草しなければならないだろう。

 

「ッ!」

 

 ダークロプスがそう考えを巡らせていたところで、多数の蔦が再び伸び、ダークロプスの全身に纏わりつく。

 

「――ッらぁっ!」

 

 しかし気合一閃、ダークロプスはロボットの持つ怪力で絡んだ蔦をあっさり引き千切り、拘束から脱出する。彼より戦闘能力の劣るレギオノイドでもチグリスフラワー相手に出来たのだから、ダークロプスに出来ないはずがない。

 

「………………」

「……何!? オイ、放しやがれ!!」

 

 しかし、実はこの拘束はダークロプスの捕縛を目的としたものではなかった。

 これ自体はあくまでオマケにすぎず、その間に慎重に伸ばされた別の蔦がレギオノイドのメインコンピューターやまだ使える部品を回収。そのまま素早く林の中に引っ込んだ。

 敵の予想外の行動に慌てたダークロプスは取り戻そうと自分と同じぐらいの高さのある林の巨大な木々を掻き分け、中に走っていく。

 

「野郎、一体何を目的に――――何だこりゃ!?」

 

 機械でありながら、それを見た途端ダークロプスは驚きの声を発する。

 レギオノイドのメインコンピューターと部品を素早く回収した蔦の塊は、それらを体の内に取り込み、融合を開始していたのだ。

 やがて蔦の塊は植物にはありえないような信じ難い速度で変形を開始すると、植物と機械が入り混じった奇妙で不気味な姿へと変形・合体し、ダークロプスの前に立ちはだかる。

 

「ギュォォォォ」

 

 電脳植物(プラント) バイオスⅡ

 

 かつてウルトラマングレートと戦った植物怪獣の別個体。隕石に乗って地球にやって来た、知的生命体並の知性を誇る宇宙植物が超高性能コンピューターと融合、誕生したサイボーグ怪獣である。

 ただし本個体はレギオノイドの残骸、さらにはメインコンピューター及びジェネレーターと融合・誕生したことから、姿はグレートと戦った個体とは全く異なる。頭部はレギオノイドの面影のある異形のものとなり、胸部中央にメインコンピューター他の部品が収まっている。

 右腕と左脚は蔦が束ねられて形成された野太い形状だが、左腕と右脚はレギオノイドのものとなった。各部が白黒のダズル迷彩調なのも相まり、以前の個体以上に統一感のない不気味な見た目となっている。

 

「テメェ………そんなマネしてタダで済むと思ってんじゃねぇだろうな」

 

 見る者は大抵怯え竦むであろう不気味な見た目となった植物。けれども、戦闘ロボであるダークロプスにそんな感情はなく、それどころか彼の内にあるのは仲間(ダチ)を最悪の形で利用した敵への果てしない怒りであった。

 

「君にそんな感情があるとは驚きだよ」

「!? 喋れるのか!?」

 

 そんな敵のロボットの感情が理解出来ないのか、流暢な言葉でそれをダークロプスに伝えるバイオス。怒りに震えていたダークロプスだったが、それにはさすがに仰天した。

 

「君のお友達のコンピューターは素晴らしい出来だ。難しい計算やシミュレーションでも簡単にこなせそうだよ」

 

 その事実が嬉しかったのか。ゼロにそれを誇示するかの如く、胸に収められたコンピューターを右手で撫でるバイオス。

 

「さっさとそいつを放しやがれぇーっ!!」

 

 そんな敵の態度に怒りが燃え上がり、殴りかかるダークロプス。しかし、バイオスはレギオノイドのコンピューターを利用し、その挙動を事前予測していた。

 彼の動きに合わせる形で僅かに屈み、ダークロプスの右拳が胸に命中するように誘導した。

 

「うぐっ!?」

 

 拳が胸に触れた途端、ダークロプスの右拳から全身に強烈な電撃が伝い、戦闘ロボは跳ね飛ばされてしまう。大木に叩きつけられたダークロプスは、そのままズルズルと下に落ちて尻餅をついた。

 

「しかし、理解出来ないね。何故君はロボットなのにそんなに()()()()()というものを見せるんだい?

 君はこの胸のコンピューターよりもさらに高性能な人工知能を搭載しているはずなのにな」

 

 バイオスは自分の胸をコンコンと左手で軽く叩く。植物とコンピューターの融合体故か、生物さながらの熱い感情と行動を見せるダークロプスのことをバイオスは理解出来ないらしい。

 

「こういう感情を無駄だとお前は思うのか?」

「ああ、その通りだ。現に、君は怒りのせいで動作に余計な隙が生まれ、効率を落としている。

 それは戦闘ロボにとってはマイナスでしかないと思うのだが、どうかね?」

 

 バイオスはそう素直な疑問をぶつけたが、ダークロプスはそうは思わなかった。

 

「テメェにはオレが怒りや悲しみに振り回されがちに見えるようだがな。感情があるってのぁ素晴らしいことなんだぜ。

 少なくとも、昔みたいに誰かにこき使われても何も感じねぇってのよりは大分マシだ。そしてそれが理解出来ない限り、テメェはオレには一生勝てねぇ」

「……理解不能」

 

 同じロボット同士だが、両者の思想信条は平行線だった。いや、この平行線はダークロプスが機械らしからぬ、まさに元となったウルトラマンゼロ同様の熱い感情の持ち主故か。

 かつてベリアル銀河帝国の兵士として戦っていた頃の彼ならば、むしろ通じ合えたかもしれない。

 

「論より証拠と言うじゃねぇか。だから今からそれを見せてやるっ」

 

 ダークロプスは頭部から2枚のスラッガーをバイオスに飛ばす。しかし、バイオスはその軌道を正確に予想しており、奪ったレギオノイドの頭部からの光線で弾き落としてしまう。

 

「速い!」

 

 ダークロプスはまた驚いた。レギオノイドから奪った部品頼りではあるが、敵はそれをよく使いこなしている。

 

「ギュォォォォ」

「うぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 驚くのも束の間、バイオスの左手が伸びてダークロプスの首を掴むと強烈な電撃が放たれ、ダークロプスを苛む。元々機械故、効果は生物相手よりもさらに絶大だった。

 

「くっ!……この野郎ォ!!」

「君は哀れな存在だ。戦闘ロボながら感情という不要なものを持ち、わざわざ戦闘能力を落としている」

「テメェ…が言えた…セリフか……バカヤロー!!」

 

 バイオスは感情というものを理解出来ないと語りながらも、肝心の自分はダークロプスを侮蔑し優越感を抱いていた。

 

 

 

 

 

「や、ヤバい!! このままじゃダークロプスが破壊されてしまう!!」

 

 モニターに映る相棒の危機に、宇宙船に引っ込んでいたダダは凄まじく慌てていた。しかし、パニックになりながらもバトルナイザーを操作しながら敵の情報を調べ、弱点を探す。

 

「!!!! これダ!!」

 

 やがてバトルナイザーに表示されたバイオスのデータから『音楽を好み、聞いている間は大人しくなる』という有益な情報をダダは見つけ出す。

 

「よ~し!! オレ様のベスト・セレクションを聞かせてやる!!」

 

 ダダはリモコンを操作し船体後部のハッチを開くと共に、大音量で音楽を流し出した。

 

 

 

 

 

「…?」

 

 近くから何か聞こえるため、電撃放出は続けながらもバイオスは聞き耳を立てる。しかしそれにより集中力が削がれてしまったのか、先ほどのダークロプス同様に隙があった。

 

「オラァ!!」

「!!」

 

 好機と見たダークロプスは気合一閃、首を掴んでいた機械の左手を両手で掴み、そのままへし折って脱出する。さらには追撃とばかりに、額のビームランプからダークロプススラッシュを放つが、これはバイオスの目からの光線で相殺された。

 

「………ギュォォォォォォォォ!!!!」

 

 ここで突如、先ほどの己の言葉を全否定するかの如く、バイオスは怒り狂った。けれども、それは左手がへし折られたせいではなく、林外から聞こえてくる謎の騒音によるものに思えた。

 

『ダダ! ダダッダダーダダ・ダダダダ!! ダダッダダ・ダダッッダダァァー!!』

 

 モールス信号の亜種か何かであろうか? ダークロプスにはそう思えた。

 これを聞いて以後、バイオスの怒りのボルテージは最高潮に近い。

 

「ぐおっ!?」

 

 その苛立ちを解消すべく、鈍重そうな巨体には似つかわしくない俊敏な動きで目の前のダークロプスに襲いかかる。その速さにはダークロプスすら反応が遅れて顔をぶん殴られて倒され、さらには追撃の蹴りにも反応出来なかったほどである。

 ダークロプスは蹴られた勢いで林の木々を薙ぎ倒しながら吹っ飛び、やがて林外に飛び出してしまう。

 

『ダダ・ダ・ダッ! ダダ! ダ・ダッ! ダダァァー!!』

「!?」

 

 そこで気づいたのは、その耳障りなサウンドはよりによって自分の主の船から流れていたことだ。何らかのリズムに乗っ取ってはいるが、全部『ダダ』のみで構成された謎の音声が大音量で流されているのである。

 

「オイ! これは一体何だ!」

「バイオスの弱点は音楽ダダ! だから我がダダ星で大ヒットした曲を集めたベスト・セレクションを流しているのダ!」

「これ音楽なの!? こんな雑音が!?」

 

 ダークロプスは自信満々の主にそう説明されるも、当然困惑する。

 確かにこの曲はかつてダダ星で大ヒットを飛ばした名曲なのである。しかしながら、ダダ語を理解出来ない者には、ただただダダダダ言っているだけの謎の騒音でしかない。

 

「ギュォォォォォォォォ!!!!」

 

 そして最悪なことに、それはバイオスにとってもそうであるどころか、むしろ彼が一番嫌う類の不快音らしい。木々を薙ぎ倒しながらこちらを追いかけてきた彼は、先ほどの冷笑的な態度をかなぐり捨て、怒髪天を衝くほどの怒りを見せている。

 

「その音を止めろォォォォォォォォ!!!!」

 

 不快音を止めるため、宇宙船を破壊しようとそう叫ぶバイオスが迫る。

 

「その音を止めろォォォォォォォォ!!!!」

 

 同じ台詞を吐きながら、ダークロプスは迫るバイオスを押さえ込むが、全身から放った高圧電流に跳ね飛ばされてしまう。

 

「わ、分かったダダ」

 

 船内に戻ったダダはリモコンを操作し、別の曲へ変える。

 

『ダダッーダダッーダダダ・ダダダーダダ・ダダダダダダー』

「バカヤロー!! そういう意味じゃねぇぇぇぇ!!!!」

 

 電撃に苛まれながらダークロプスが口汚く叫ぶ。てっきりあの曲が気に入らないのかと勘違いしたダダはベスト・セレクションの2曲目を再生するが、もちろんこれもダダ語の曲。バイオスが激怒するのは変わらず、ダークロプスは余計なダメージを負い続けたのである。

 

「ダダ語の曲はダメだ!!!!」

「え!? ば、バカなこの曲は全部我がダダ星で大ヒットを飛ばした――」

「ダダ語はやめろォォォォ!!!!」

 

 電撃に耐えかねたダークロプスの必死の懇願を受けるも、ダダのベスト・セレクションにはダダ語の曲しかないのである。

 

「万事休す、かな?」

「!?」

 

 打つ手はない中、突如声をかけられたダダが開いたハッチの方を見やると、いつの間にかワイアール星人がそこにいた。

 

「まさかダダ語の曲がバイオスの怒りをあれほど煽るとはな。

 音楽を好むという弱点を発見したのは天晴だが、災い転じて福となすとはこの事か。どうやら私の勝ちは揺るがないようだ」

 

 慎重なワイアール星人はその後ダダの宇宙船の元へ移動してきていた。それはダダの宇宙船から突如謎の音声が流れ出したため、バイオスの弱点がバレたことに気づき、念には念を入れて敵の宇宙船を破壊しようとしたからである。

 ところが、流れた騒音はむしろバイオスの怒りを煽って戦闘能力を引き出してしまい、むしろこちらの有利になった。よって一旦破壊工作をやめたのである。

 

「それになかなか良い船じゃないか。貴様を始末した後、ついでにいただくとするか」

 

 ワイアール星人はこの船はもう自分の物だと言わんばかりに、その場に座り込んだ。

 

「や、野郎! 見てろダダ!」

「! 何かする気だな!」

 

 しかし、ダダは他に何か策があるのか。ワイアール星人を撃退しようとはせず、宇宙船のコクピットに向かう。座ったばかりのワイアール星人もそれには嫌な予感を覚えたのかすぐ立ち上がり、彼を追いかけた。

 

「あったダダ!」

 

 コクピットの中にあった収納箱の中にあったのはリコーダーのような縦笛。白黒の縞模様というダダらしいデザインセンスだが、それ以外の構造は地球の木管楽器とほぼ同じである。

 

「何だ? その笛で何をする気だ」

「邪魔ダダ!」

「ぐおっ!?」

 

 遅れてコクピットに不法侵入してきたワイアール星人。しかし振り向いたダダが繰り出したシャイニング・ウィザードを頭部に叩き込まれて倒される。

 

「痛いだろうが貴様ァ!」

 

 とはいえ、レイブラッド星人の遺伝子があろうと、ダダの攻撃力が低いことには変わりない。飛び膝蹴りはワイアール星人を転ばせる程度の威力しかなく、ただ彼を怒らせただけであった。

 

『ピーピピピロピロペロポロンポピンポポン♪』

 

 そんな敵を完全無視し、縦笛を口に咥えてダダは演奏を始める。先ほどの雑音と違い、とりあえず音楽としての態はなしていた。

 

「ギュォォォォ……」

 

 船外に音楽が鳴り響き、それに反応したバイオスの怒りが和らいでいく。

 それに伴い、絶えず浴びせていた電撃も止まり、ダークロプスもそれから解放。よろよろと起き上がりながらも間合いを離す。

 

「へっ。ヘタクソだが音楽にはなってるな。褒めてやるぜ…」

 

 学生時代の曲を思い出しながらダダは演奏を続ける。木管楽器の曲は好みであるのか、上手いというほどではないものの、バイオスは聞き入っているように見えた。

 

「貴様やめろ!!」

「ダダァー!!」

 

 しかし起き上がったワイアール星人がダダの両足を掴んで転ばせ、両者は揉み合いながら船内を転がる。

 

「!」

 

 そうして演奏が途切れてしまい、バイオスはそこで正気に戻った。

 さらには目の前のダークロプスがいないことに気づくも、後の祭りである。

 

「ウッ!?」

 

 慌てて振り返ると、そこにはダークロプスの顔があった。

 

「とどめだ!」

 

 敵が後ろに回っていた時点で、バイオスの負けであった。

 こちらの光線が発射されるよりも早く、ダークロプスの右手の剣で斬られ、バイオスは体が上下真っ二つになる。

 

「これしきのことでぇぇぇぇ……」

 

 それでもこの恐るべき怪獣は死なない。上半身のみでダークロプスへとにじり寄る執念を見せたのである。

 

仲間(ダチ)を返してもらうぜ!!」

 

 上半身のみでにじり寄るバイオスだが、ダークロプスは右手の剣で敵の首を切断。植物と機械の融合した恐るべき怪獣はこれにてやっと絶命したのだった。

 

「おかえり」

 

 ダークロプスは切断した首から蔦を引っ剥がし、レギオノイドのメインコンピューターを取り出す。そして敵の腹を掻っ捌くと、ジェネレーターの方も取り出した。

 

「な! バイオスまで!」

「くらえ!」

「ぐお!」

 

 ワイアール星人が驚いてそちらを見やったところで、ダダに縦笛で頭頂部を殴られてしまう。

 

「お、おのれ! 今日のところはこれで引き上げてやる!」

 

 それが決め手となったのか。捨て台詞を吐きながら、ワイアール星人はテレポートで逃げ出したのだった。

 

「ダダ……今回もオレ達の勝ちだったというわけダダ」

 

 船内の壁に寄りかかりながら、そうハードボイルドに呟くダダ。

 ただし、こちらもレギオノイドは破壊されているので、痛手もかなりあったが。

 

「メインコンピューターとジェネレーターは無事だ」

 

 そこへ現れたダークロプスが、船内に回収してきたレギオノイドのメインコンピューターとジェネレーターを置く。

 

「おう、ご苦労ダダ」

 

 朝に始まった戦いだったが、気づけばもう既に昼となっていた。

 

「ダダ……飯の前に一服するか」

 

 昼食を取る前に一服しようと考えたダダは、机の引き出しから地球・フィリピン産の葉巻煙草を取り出し口に咥え、ガスライターで着火する――

 

「ダダァー!!??」

 

 ――も、何故か今回ガスライターが爆炎を噴き、ダダは全身火達磨となった。

 

「な、何やってるんだお前は!!!!」

 

 火達磨となったダダは熱さのあまり走り回るが、ダークロプスに捕まえられ、全身を両手で包みこまれる。それで空気を遮断されて消火されて助かったのだが、全身に大火傷を負い、しばらく治療に専念する羽目となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――惑星アシヨシの衛星軌道――

 

 セカンドステージも終わりに近づきつつある。それが終わった後は強豪同士が戦い合い、さらなる強者を選別するサードステージが始まるであろう。

 しかし、そうなる前に惑星を襲う災厄が現れる。かつてウルトラマンダイナに敗れ、滅んだはずの勢力。

 だが彼等は実際には生き延びており、勢力を再編。さらなる進化までも遂げており、各次元の宇宙に侵攻を開始していた。

 それはこのM78ワールドも例外ではない。ギャラクシークライシスの影響か、彼等はこの次元の宇宙の存在を知っていた。光の国のウルトラマン、そして自らを阻む他の悪の勢力が多数いながらも、彼等は恐れずやって来たのである。

 

「全てを、一つに………」

 

 この惑星アシヨシはあのレイブラッド星人の支配下にある星である。その他にもレイオニクスを含む多数の悪の勢力、さらには最強級の怪獣が多数生息しているマルチバース屈指の魔境である。にもかかわらず、彼等は躊躇なくこの星にやって来た。

 

「全宇宙の全ての命を、一つに……」

 

 そう呟きながら、この青く輝く美しい星を衛星軌道から眺める1人の女性。()()()()を棚引かせるその姿は、奇しくも彼女と似ていた。

 

「………………」

 

 彼女が右手を振ると、背後に巨大なワームホールが開く。そこからエメラルド色に光り輝く、歪な球体の形状をした無数の物体が飛び出し、惑星アシヨシへと降り立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギュウウウウリリリリリリ」

 

 精強融合獣 スフィアザウルス 

 

 その日から現れた物体(それら)は、惑星アシヨシに大混乱を巻き起こした。

 宇宙浮遊物体スフィア――――彼等はこう呼ばれている。




用語解説

 電脳植物(プラント) バイオスⅡ

 かつてウルトラマングレートと戦った植物怪獣の別個体。知的生命体並の知性を持った宇宙植物であり、隕石に付着した種の状態で地球のオーストラリアにやって来た。その個体はサザン大学の女性科学者のバイオ空間研究を乗っ取り、学生達を自身の作る特殊な酸素でしか生きられないように作り変えて洗脳して手駒として下準備をする。その理由も地球の汚染された大気の浄化のために地球人を皆殺しにし、地球を自分達宇宙植物で支配するためである。
 巨大化時は大学内の超高性能コンピューターと融合し、植物と機械の混ざった奇怪な姿となる。胸には高圧電流を帯びており、感電させたグレートをしばらく行動不能にするほどだったが、早撃ち勝負で敗れ消滅する。ちなみに、地球の植物を遥かに超える光合成能力を持つため、自分の周囲には大量の酸素が充満しており、発火性のある攻撃は引火・大爆発するため危険である。
 本個体はワイアール星人(RB)に使役されており、アストロモンスの仇討ちをするために投入された。その際にレギオノイド ダダ・カスタマイズの残骸を乗っ取ることで体を形成したため、以前の個体とは見た目が全く異なる。植物体の手足こそ前と同じだが、左手と右脚、胸部の一部と頭部はレギオノイドのものを取り込んでいる。
 元々レギオノイド自体の性能が高いため、以前の個体を上回る強さでダークロプスを苦戦させた。しかし音楽を好むという以前の個体と同じ弱点はそのままであったため、そこを突かれるが、ダダ語での歌は彼にとっては我慢ならぬ騒音であったらしく、逆に凶暴化してしまう。しかしダダが縦笛で吹いた曲は一応及第点であったようで、反応し沈静化したところで、ダークロプスの右手の剣で斬り倒された。だがそれでも絶命には至っておらず、上半身のみで尚も迫る凄まじい生命力を見せている。
 尚、この個体も凄まじい光合成能力を発揮し、レイオニクスバトルの最中も酸素を合成し続けていた。ダダが葉巻にライターで火を点けようとして火達磨になったのは、付近に充満した大量の純酸素に引火したからであった。

 縦笛

 ダダ(RB)の子供時代の思い出の品で、ダダらしくデザインはダズル迷彩調だが、構造はほぼ地球のリコーダーと同じ。レイブラッド星人の後継者レースにも持ち込むほどに思い入れのある品だが、その正体は学生時代片思いをしていた女の子(当然向こうもダダ星人である)から盗んできた品。自分の縦笛と入れ替えたため向こうには盗難がバレていないのをいいことに、思う存分舐めしゃぶり、彼女との間接キスを味わっていた。
 肝心の腕前は学生時代に音楽の授業をやらされた曲を今も辛うじて演奏出来る程度だが、それが彼等の命を救うことになる。尚、好きな女の子から盗んできた笛だというのはダークロプス達にはバレていないが、知った時にはドン引きされるだろうとは本人も自覚している。
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