怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 今回は怪獣のオリジナル強化形態多数。それらのアイデアは不死身のケダモノ様よりいただきました。


もう1人のペルフェクト星人

 サードステージ突入と同時に始まったスフィアの侵攻。それらはこの惑星で行われるレイオニクスバトル、そしてレイブラッド星人後継者レースに大きな影響を及ぼしている。

 元々レイオニクスバトル自体が弱肉強食の極みのような行為であるが、今はスフィアからの襲撃までも常に警戒せねばならぬ以上、生き残ったレイオニクス達はますます攻撃的になっている。

 とはいえ、当然やられっぱなしでもない。スフィアは例え強豪と呼ばれるほどの実力者でも油断は出来ないが、一方でスフィア合成獣を自陣の戦力に組み込もうと目論む狡猾かつ大胆なレイオニクスもいる。しかし、大多数のレイオニクスにとってはやはりスフィアは邪魔者でしかなく、スフィア合成獣はともかく、スフィアそのものに対しては積極的な駆除に動く者がほとんどである。

 

 

 

 

 

 ――とある山脈――

 

 かつてテンペラー星人(RB)とルガノーガーがスペースビーストの群れと戦った山脈の麓。今もこの付近一帯はビーストの巣であり、治めるエリアボスこそいないものの、他の怪獣は凶悪なビーストの存在を嫌がって近づこうとしない。怪獣を操るレイオニクスですら命の保証はない、惑星アシヨシでも別格の危険地帯である。

 とはいえ、それはもう過去の話。他の怪獣が近づかないのは変わらないが、一方でレイオニクスバトルもサードステージに突入した今、戦力増強のため、あえてこの地に踏み入る強豪レイオニクスは珍しくなくなった。

 そして今日もまた、戦力獲得を狙う命知らずのレイオニクスが現れ、スペースビーストと戦っていた。

 

「キイイイイイイ!!」

 

 クラスティシアンタイプビースト グランテラ

 

 かつてウルトラマンネクサスと戦ったスペースビーストの別個体。

 暗い青色の硬い甲殻、頭に載せる形で折り畳まれた幅広で帯状の尻尾を生やしている。手は小さな鋏状で、肩の甲殻から上に鋭く長い棘が突き出し、頭は首がなく、甲冑のようなそのまま上半身に収まるような奇妙な姿をしている。

 強固な外骨格による防御力がまず1番の特徴だが、サソリのような尾を伸ばしての攻撃やその先端からの火球、両手を合わせて発射する光弾など、攻撃手段も多彩である。

 

「ゴオオウウ!!」

 

 対するは黒い体をしており、頭から両肩・背中は赤色のサンゴのような怪獣、いや超獣。しかもその中でも代表として知られ、かつ初めて確認された種でもある。

 

「ゴオオオオウウウウ~~!!」

 

 ミサイル超獣 ベロクロン

 

 かつてウルトラマンエース、ウルトラマンメビウスが戦った超獣の別個体にして、地球で初めて確認された超獣。異次元人ヤプールにより、宇宙怪獣とサンゴを合成して造られた。

 ゴツゴツとした黒い体表で、サンゴが合成されただけあり、頭部と肩から背中にかけて真っ赤なサンゴのような突起にびっしりと覆われている。鼻先に短い1対の角を持ち、腹部もまた赤く、真ん中を白いラインが走っている。

 全身が武器の塊であり、口からの火炎放射、手からの光弾や金縛り光線、長く伸びる舌からは強酸性の唾液を分泌してビルをも溶かす。そして別名通り口と全身の突起からはミサイルを撃ちまくり、超獣いや全怪獣でも随一の火力・破壊力を誇る。おまけに他の超獣と共通する空間を叩き割っての異次元への自由自在な移動能力まで備えている。

 

「キィィ!!」

「ゴオオオオウウウウ~~!!」

 

 グランテラの防御力はビーストの中でも上位であるが、ベロクロンのミサイル攻撃もまた全怪獣屈指の火力を誇る。グランテラは尻尾と両手を合わせての光弾を連射するが、それでもミサイルを全て撃ち落とすことは到底出来ず、撃ち漏らしたミサイルが甲殻に直撃、爆発する。

 鋏や尻尾での肉弾戦を仕掛けようにも、ベロクロンのミサイルは一向に尽きる気配を見せず、その暇を与えない。実際、グランテラは高い防御力だけでなく、多少のミサイルならば躱すぐらいの俊敏性も持つのだが、それでも全てのミサイルを躱すことは到底無理だった。

 

「フッフフフフ………また戦力が増えそうだな」

 

 ベロクロンを使役するのは、スーパーヒッポリト星人(RB)。この星でも数少ない、ネオバトルナイザーを持つレイオニクスにして、あの閻魔獣ザイゴーグを使役する優勝候補の1人である。

 しかしそんな彼も、かつてエンディール星人(RB)の操るレゾリウムとレイオニクスバトルで引き分けたという苦い経験を持つ。それ故に当時よりさらに戦力の充実した現在も慢心してはおらず、未だ戦力増強に勤しんでいる。

 その一環としてこの度、スペースビーストの巣であるこの山脈の存在を知り、わざわざやって来たのだった。

 

「キィィィィ」

 

 高い防御力を持つグランテラも、さすがにミサイルの嵐には耐えかねたのか。ベロクロンを倒すのは諦めて逃げ出そうとしたのか、蹲って足下の地面を両手の鋏で掘り始めた。

 

「逃すなよベロクロン!」

「ゴオオウウ」

 

 主からの催促を受けたベロクロンは全身からミサイルをさらに連射し続け、必死で足下を掘るグランテラを苛む。

 

「んお!?」

 

 しかし、グランテラも一旦相手に反撃しようと考えたのか。奥の手である腹部の6門の気門を開放し、そこから光弾を連射する。

 だが、これもベロクロンが被弾直前に目の前で異次元ゲートを開いたことで呑み込まれてしまい、残念ながら当たらなかった。不意を突かれて一瞬驚いたヒッポリト星人だったが、ほっと胸を撫で下ろした。

 

「ギィィィィ!!??」

 

 そのままゲートからは光弾がグランテラの方に吐き出され、ビーストに直撃する。ミサイル攻撃に加え、これがとどめとなったのか、グランテラは悲鳴を上げてついに倒れたのだった。

 

「防御力については合格だ。奥の手の光弾の方も悪くない」

 

 バトルの結果を鑑み、ヒッポリト星人はグランテラの戦闘能力については合格とした。戦いとすら呼べない、あまりに一方的な展開であったが、それは彼のベロクロンがそもそも強すぎたから。ヒッポリトの目から見ればこれでも一応合格ラインには達しており、今後の戦力としては使えると見ていた。

 そして、倒れるグランテラにヒッポリト星人がネオバトルナイザーをかざすと、ビーストはデータ化されて霧散。そのまま黄金の粒子となってバトルナイザーの画面に吸収されていった。

 

「! 間一髪だったか…」

 

 一息ついたところで、ヒッポリト星人は異変が起きつつあるのに気づいて空を見上げた。

 すると空が虹色に光ると共に、歪な球体(スフィア)の群れが何処からともなく現れたのである。

 

「ゴオオウウ!」

「分かっているさ」

 

 ベロクロンは何かに気づき、周囲を警戒すると共に、主に注意を促す。ヒッポリト星人もまたすぐに気がついたようで、特に慌てなかった。

 

「どちらも特級の危険生物同士。その群れの激突は、まさにこの星でしか見られん光景だろう」

 

 鼻(?)の下に手を当てて撫でるヒッポリト星人は、むしろこの後起きるであろう事態を楽しみにすら思っている様子である。

 

「ギョオオオオオオオオ」

「ゴロロロロロロロロ」

「キャアアアアアアアア」

「ギチチチチチチチチ」

 

 そして彼等の予想通り、それらはすぐに大地を突き破り現れた。

 グランテラはあくまでよそ者であるスーパーヒッポリト星人一行に対する斥候だったのだろうか。そして今現れたのが恐らく本隊に違いない。

 地中からノスフェル、リザリアスグローラー、ラフレイア、バグバズングローラーといったスペースビーストが次々に出現。光弾を吐きつつ接近してきたスフィアソルジャーの群れを各々が光線や光弾、火球を吐いて迎え撃つ。

 

「ベロクロン、加勢してやれ」

「ゴオオウウ!!」

 

 主の命により、ベロクロンもまた空のスフィアソルジャーの群れに対しミサイルスコールをくらわせる。その攻撃の威力と規模はビースト達を単独にもかかわらず遥かに上回り、すぐにソルジャーの大半を駆逐したほどだった。

 そのあまりの威力にさしものビースト達も驚き、敵の敵は味方と感じたのか邪魔こそしなかったが、こちらの様子を呆然と眺めている。その様を、ヒッポリト星人は面白そうに、そしてどこか嬉しそうに眺めていたのだった。

 

「キィィィィィィィィ」

 

 スフィアソルジャー達の被害が半壊にまで及ぼうかというところで、スフィアソルジャー達の生き残りの一部が集合し、融合。巨大な前足を持つスフィア合成獣へと変化する。

 

「ギュウウウウリリリリリリ」

 

 現れた複数のスフィアザウルスは、そのままスペースビースト達と交戦する。それと同時に、ヒッポリト星人達のいる所の上空に1体のキングスフィアが来訪し、真下に緑色の光を照射した。

 

「!」

 

 ヒッポリト星人が空を見上げると、キングスフィアから吐き出された誰かが、緑色の光を通って地上に降り立ったのが目に入る。

 見た目は、紫色のロシア帽で特徴的な()()を纏めた、人間型種族(ヒューマノイド)の美女であった。しかし、両足と左手はスフィア結晶化しているその姿は、妖艶さと共に禍々しい雰囲気も醸し出している。

 

「何者だ?」

「全てを、一つに……」

 

 相手からの問いに答えず、女は左腕の甲殻にはめ込まれ、スフィア細胞の根に所々侵蝕されたバトルナイザーを見せつける。

 

「! 貴様が何者かは知らんが、レイオニクス(お仲間)なのは間違いなさそうだ」

 

 キングスフィアから出てきた謎の女は、なんとレイオニクスであった。とはいえ、何者かは定かではないが、その手足からして明らかにスフィアの影響が及んでいる。いくつか推測は出来るが、今現在の彼女の状況については、どれもろくでもない結論しか出ない。

 

「まぁいい。レイオニクスバトルをお望みなら、受けてやってもいいが?」

「ゴオオオオウウウウ~~!!!!」

 

 スーパーヒッポリト星人がネオバトルナイザーを見せつけると共に、ベロクロンが咆哮する。

 相手が如何なる者であろうとも、強豪レイオニクスである彼は戦いから逃げない。

 

「………………」

 

 威嚇する超獣を見て、女は目を細めて薄笑いを浮かべる。その様は人間型種族でありながら、どこか非人間的なものであった。

 

「宇宙のすべてを、一つに……」

『ジー……ザザー…バト…ルナイ…ザー、モンス……ロード……』

 

 スフィア細胞に取り込まれたせいで壊れているのか、途切れ途切れに音声を発しながら、異形のバトルナイザーから4つの光が放たれる。

 

「ブギャアアアアアアオオオオオオ」

 

 フィンディッシュタイプスフィアビースト スフィアクトゥーラ

 

 かつてデスレ星雲人デスルーグのグランゴンエヴォに敗れ倒されたペルフェクト星人のクトゥーラのビースト細胞にスフィアが寄生・同化し、復活させたもの。

 姿形自体は同化前と同じだが、全身からは新たにスフィアの結晶が鍾乳石の如く多数生え、体色も黒みがかった灰色に変化した。

 

「キュイイイイイイアアアア」

 

 ブロブタイプスフィアビースト スフィアペドレオン

 

 かつてウルトラマンネクサスに倒されたペドレオン(グロース)の別個体がスフィアに取り憑かれ、スフィア合成獣化したもの。

 触手のような腕を持ったウミウシのような外見こそそのままに、背中からは新たに結晶化したスフィアがヤマアラシの如く生え揃っている。体色も禍々しい不気味な緑色に変化した。

 

「ガウウウウルルルル!!!!」

 

 フィンディッシュタイプスフィアビースト スフィアガルベロス

 

 スフィアクトゥーラと同じくデスルーグのグランゴンエヴォに倒されたシャマー星人(RB)のガルベロスの残留細胞にスフィアが寄生・同化し復活させたもの。

 中央の目のない頭部及び両肩の犬のような頭部には柳葉刀のような形状のスフィア結晶が角の如く生えると共に、背中にも背鰭の如くスフィア結晶が連なる。体色も不気味な青色に変化した。

 

「キュキュキュキュ!!!!」

 

 ノーチラスタイプスフィアビースト スフィアメガフラシ

 

 チブル星人(RB)が使役していたメガフラシから剥離した殻の一部にスフィアが寄生・同化し、復活させたもの。棘や殻の一部がスフィア結晶化し、体色が禍々しい紫色に変化した。

 

「「「「!!??」」」」

 

 スフィアザウルスと交戦中のビースト集団だったが、スフィアに同化された同胞達の出現に大きな驚愕と動揺を見せた。そして今やスフィアの傀儡と化した同胞達は、かつての仲間達も引き込まんとばかりに躊躇なく襲いかかる。

 

「「「「ギャアアアアアアアア!!!!」」」」

 

 ノスフェルにスフィアガルベロスが噛みつき、スフィアクトゥーラの触手にリザリアスグローラーが絡め取られ、スフィアペドレオンはバグバズングローラーに抱きついて押さえ込み、スフィアメガフラシは空からラフレイアを押し潰して押さえつける。

 そうして動きを止められたスペースビーストに、空から残りのスフィアソルジャーが殺到。そのまま覆い尽くして同化してしまう。哀れ、断末魔を上げた後、スペースビースト達もまた残らずスフィア合成獣化してしまった。

 そうして、戦い――とすら呼べないものは一瞬で決着。ただスフィア合成獣が増えただけという最悪の結末に終わった。それを見届けたスフィアザウルス達はその巨大な前足で地面に根を張ると、エネルギーを吸収し始めたのである。

 

「……! これはオドロキだ。まさかスペースビーストにすら寄生出来るとはな」

 

 さしものスーパーヒッポリト星人もまた驚きを隠せない。

 彼の驚くように、スペースビーストもまた、スフィアに負けないほどの危険かつ特異な生態を秘めた凶悪な怪獣である。いくらその黒幕であったダークザギが敗れて種族全体が衰退・弱体化しつつあるとはいえ、そう簡単に御せる相手ではないはずだ。にもかかわらず、目の前の女はそんな怪獣達をスフィア化させ、こともなげに使役している。

 

「今日は実に興味深いことばかりだ。是非ともその秘密というものを明かしてもらいたい!」

「………………」

 

 目の前の女はレイオニクスの基準から見ても非常に危険な存在には違いない。だがそれでも、ヒッポリトは危機感を上回る興奮と好奇心を覚えた。これも強豪レイオニクスに共通する豪胆さから来るものだろう。

 しかし、女はそんな興奮したレイオニクスを前にしても、相変わらず無言のまま薄気味悪い笑みを浮かべるだけであった。

 

「さぁ、お互い心ゆくまで戦おう!」

「ゴオオオオウウウウ~~!!」

 

 そんな彼女にも怯まず、ヒッポリトの両目が妖しく輝くと共に、ベロクロンは咆哮。全身から凄まじい数のミサイルをスフィアビースト達に向けて放つ。

 

「「「「!!」」」」

 

 8体のスフィアビーストは力を合わせ、亜空間バリアを張ってミサイルの雨を防いだ。

 

「ほう! バリアを張れるのか!」

 

 使役超獣の攻撃を見事に防御されるも、感嘆の声を上げるヒッポリト。

 

「面白い。お前達も私の戦力に加えてやろう!」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 興が乗ったヒッポリトは、続けてバトルナイザーから怪獣を3体召喚する。

 

「キシャオオー!!」

「ガハハハハハハ!!!!」

 

 かつてエンディール星人のインペライザーと戦ったゴルドラス。 

 そしてかつてゾンバイユの憑依したメカゴモラ、さらにはレゾリウムと互角に戦った、スーパーヒッポリト星人配下の最強怪獣たる閻魔獣ザイゴーグ。野太い声での哄笑にも似た咆哮を上げ、それらがついにこの場に召喚された。

 

「ギィィィィィィ!!!!」

 

 えんま怪獣 エンマーゴ

 

 かつてウルトラマンタロウと戦った怪獣の別個体。江戸時代に町の大半を破壊するほど大暴れするも、町民達によって作られたお地蔵様の力により、東京都奥多摩の地底に封じられていた。しかしウルトラマンタロウの地球防衛時代、造成工事のゴタゴタで地主に持ち去られそうになったお地蔵様が人間を懲らしめようと自ら封印を解いたことで地上に復活してしまった。

 『王』と書かれた法冠と装束を纏った、憤怒の形相を浮かべた赤ら顔の閻魔大王そのものという、およそ怪獣とは思えぬ姿をしている。右手に持った柳葉刀はウルトラマンタロウの首をも切断するほどの切れ味で、左手の円盾はストリウム光線を完璧に防ぎ切る防御力を誇る。口から吐く黒煙は植物を枯らし、タロウも動けなくさせてしまった。

 本個体は四次元怪獣ブルトンにより、ヒッポリト星に現れたのをスーパーヒッポリト星人(RB)が捕獲したもの。

 

「ベロクロン! ゴルドラス! エンマーゴ! ザイゴーグ! お前達の力を見せてやれ!!」

「ゴオオウウ!!」

「キシャオオー!!」

「ギィィィィ!!」

「ガハハハハハハ!!」

 

 スフィア合成獣8体とヒッポリトの使役怪獣4体は激突。熾烈な死闘が繰り広げられる。

 スフィアバグバズングローラーとエンマーゴは激しい肉弾戦を展開し、両手の大鎌と柳葉刀により熾烈に切り合う。右の大鎌を盾で受け止め、柳葉刀もまた左の大鎌で受け止めるなど、鍔迫り合いが続いた。しかし、その最中スフィアノスフェルに背中を噛まれて流血してしまうが、咄嗟に振り返って黒煙を顔面に浴びせて怯ませる。

 スフィアメガフラシはベロクロンのミサイルの雨を躱しまくり、逆に空中から電撃を放って一方的に攻撃する。さらにこちらが防御に手一杯な隙を突き、スフィアクトゥーラが『異形の海』から触手で絞め上げてきた。

 ゴルドラスはスフィアラフレイアの放つ毒花粉に苦戦し、バリアを張って防いでいたが、そこへ背後からスフィアペドレオンが急襲。火球をモロにくらい倒れたところで押し倒されるも、逆に巴投げで投げ飛ばし、花粉を防ぐ盾代わりも兼ねてラフレイアにぶつけた。

 

「ガハハハハハハ……!!」

 

 そのように3体は一進一退という互角の状態であったが、さすがに最強怪獣の1体と知られるザイゴーグだけは格が違った。スフィアガルベロスとスフィアリザリアスグローラーの火球攻撃にさらされるも全く効いておらず、逆に背中の超音速棘ミサイルを飛ばしてハリネズミのような無惨な姿へと変えてしまう。

 

「ガウウウウルルルル!!」

「ゴロロロロロロロロ」

「!」

「何!?」

 

 しかし、あちらもたたでさえ強力な上級ビーストにスフィアが取り憑き、変化したもの。全身から衝撃波を放ち、刺さった棘を全て弾き飛ばす応用法を見せた。

 

「そう上手くはいかないか」

 

 ため息をつくヒッポリトを、女は相変わらず笑みを浮かべたまま見つめるばかりである。

 

「ザイゴーグ! 本気を出してかまわん! 死んだら死んだでしょうがない!」

「…!」

 

 今までは小手調べと戦力捕獲のため、それなりの戦力を投入しつつも手加減はしていた。しかし、それで負けては元も子もないため、本気を出させることにした。

 そんなヒッポリトの命令に、ここで初めて女は表情を変えた。

 

「何だ、そういう顔も出来るんじゃないか」

 

 相手にナメられていると内心思っていたのか。地獄星人は女の表情の変化を小気味よく感じた。

 

「……全てを、一つに……」

「くだらん。貴様らスフィアと融合するなど願い下げだ。

 なす術なく取り憑かれたあちらの哀れな獣どもと私達は違うぞ」

 

 相変わらずその言葉しか言わない女にそう吐き捨てたヒッポリトは、全身からレイオニクスパワーを放出、怪獣達に注ぎ込む。

 

「ゴオオオオウウウウ~~!!」

「キシャオオオオ!!」

「ギィィィィィィ」

「ガハハハハハハ!!」

 

 4体はレイオニックバースト発動により、体色に赤みを帯びる。それと共に、戦闘能力がさらに跳ね上がった。

 

「宇宙の全てを、一つに……」

「たかがスフィア如きにこの宇宙は、いや例えどこの宇宙だろうと渡さん!!

 全ての宇宙、全ての次元はこの私の物だ!! 貴様ら如き下等生物が得る物は何も無いと知れ!!」

 

 レイブラッド星人の後継者となり、全てのマルチバースを支配する。その野望を今高らかに宣言したスーパーヒッポリト星人の使役怪獣達と、スフィア合成獣が再び激突する。

 

「ブギョ!?」

 

 スフィアクトゥーラが異形の海より触手を伸ばすも、それはエンマーゴの振り下ろした柳葉刀の一閃により断ち切られてしまう。

 そしてそれに怯んで気を取られたせいで、異次元ゲートを介して異空間に侵入したベロクロンのミサイル攻撃に反応する暇もなく、そのままなす術なく爆殺されてしまった。

 

「キャアア!!??」

 

 慌ててパワーアップした毒花粉を放つスフィアラフレイアだったが、ゴルドラスの展開した時空界に呑み込まれ、そのまま花粉ごと異次元に追放されてしまった。

 

「……!」

 

 ここで女が驚きの表情を浮かべるも、既に手を打つには遅すぎた。

 

「ギギャア!!??」

 

 先ほどは渡り合えていたはずのスフィアバグバズングローラーだったが、今はもう埋め難い大きな差が開いていた。大上段に振りかぶったエンマーゴの刀の一撃により、十字受けで防いだ左右の大鎌ごと頭から股まで唐竹割りにされてしまう。スフィアによって大きなエネルギーを帯びていたのが災いしたのか、真っ二つになった死体はそのまま大爆発して粉々になってしまった。

 

「ピギギィー!!」

 

 ようやく慌てて亜空間バリアを張るスフィアペドレオンだったが、四方からゴルドラスの電撃、エンマーゴの刀での斬撃、ベロクロンの爆炎、ザイゴーグの光線を浴びせられてしまう。性質の違う4種類の強烈な攻撃を受けて亜空間バリアも持ちこたえられず、ついには霧散。剥き出しになった生身にベロクロンのミサイルが直撃し爆散、ビースト細胞もスフィア細胞も丸ごと消滅してしまった。

 

「………!」

 

 ここで敵の息の合ったコンビネーションに各個撃破されることにようやく気づいたのか。女は残りのスフィア合成獣達に命令を出す。

 

「! 何をする気だ?」

 

 スフィアガルベロス、スフィアメガフラシ、スフィアノスフェル、スフィアリザリアスグローラーは円陣を組むかのように互いに組み合う。

 

「……貴方達の全てを、一つに…!」

 

 女が両手を掲げると、倒されたスフィア合成獣達の残骸が浮遊し、残りのスフィア合成獣達に引き寄せられる。そして、スフィア合成獣達と残骸は互いに融合し、最強にして最悪のスフィア合成獣が合体・誕生する。

 

「ギョオオオオアアアアアア!!!!」

 

 フィンディッシュタイプスフィアビースト スフィアイズマエル

 

 あらゆるスペースビーストが合体して誕生した最強のスペースビーストを、スフィアが再現したもの。全てのスペースビーストの能力を兼ね備えている上、それらがさらにスフィアの力で強化されている。その変貌を示すかの如く、ただでさえ奇怪な合体怪獣としての肉体に、所々スフィア細胞で出来た鋭い結晶体が突き出て、尚更異様な姿となっている。

 各部位にスペースビースト達の頭を持ち、そこから様々な攻撃を繰り出す。さらにはスフィア由来の能力まで追加・強化されており、かつてウルトラマンネクサスが戦ったイズマエル以上の強さを誇る。

 

「今日はなんという日だ……まさかこんな化け物まで見られるとはな!」

 

 確かに恐ろしい。だが、それ以上に興奮が勝る。

 この怪獣を捕らえて戦力と出来れば、彼はレイオニクスで最もレイブラッド星人の後継者に近づくことが出来るだろう。それを思えば、退くという選択肢はない。

 

「全力でお相手仕ろう! だがその前に……」

「…?」

「君の名を聞いておこう。それが“真のレイオニクスバトル”を行う者同士の礼儀というもの」

「………………」

 

 これほどの怪獣を操るレイオニクスである。例えスフィアの傀儡であろうと、彼女の名をあえて知りたくなった。

 

「……ナドキエ。()()()()()()()()ナドキエよ」

 

 今まであえて名乗らなかったが、かと言ってあえて隠すつもりもなかったのか。スーパーヒッポリト星人に名を尋ねられ、女は素直にそう名乗った。

 しかし、明かした彼女の素性は不可解なもの。レイブラッド星人が定めた『惑星アシヨシでのレイオニクスバトルにおいて、1種族につきレイオニクスは1人だけ選出した』という事実。それに則れば、本来彼女は存在しないはずのレイオニクスなのだ。

 その証拠として、既にそのレイブラッド星人の腹心、直属のエージェントにはまさにそのペルフェクト星人が存在するからだ。にもかかわらず、何故ペルフェクト星人の彼女がレイオニクスになれたのか?

 もっとも、ヒッポリトにとってはそんなことは知らないし、知っていたとしてもどうでもいい話だろう。自分と彼女のどちらがこのレイオニクスバトルで勝つか。大切なのはそれだけだ。

 

「私はスーパーヒッポリト星人だ! いざ尋常に勝負!」

 

 ペルフェクト星人という種族自体をヒッポリトは知らなかったが、相手が名乗っただけで十分。これ以上は考える必要はない。

 

「ギョオオオオ!!」

 

 全身のビーストの頭からそれぞれ奇怪な鳴き声を上げ、スフィアイズマエルは一斉攻撃を繰り出す。毒花粉や電撃などをゴルドラスがバリアで防ぎつつ、光弾や光線などはベロクロンがミサイルで相殺し、伸びてきた触手はエンマーゴが刀で切り落としつつ口から黒煙を吐き、ミサイルの爆炎と併用して視界を封じる。

 

「やれザイゴーグ!!!!」

「ガハハハハハハハハ!!!!」

 

 3体が攻撃を防いで作った隙と煙幕を活かし、背後に回り込んでいたザイゴーグがスフィアイズマエルに口からの破壊光線をお見舞いする。

 

「ギョオオオオアアアアアア!!!!」

 

 しかし、そこは最強クラスのスフィア合成獣。ザイゴーグの光線が背中にまともに直撃していながらも目立ったダメージはない。さらには振り返らずとも全身から凄まじい衝撃波を発生させ、四方を囲む怪獣達を薙ぎ倒す。

 彼等が起き上がろうとしたところで、全身のスペースビーストの顔からの各攻撃をお返しとばかりに叩き込んだ。

 

「ギィィィィ」

「ゴオオ…」

「キシャオオ…」

「ガァァ」

 

 いくらレイオニクスパワーで強化された怪獣達であっても大ダメージを負い、皆倒れたまま呻き声を上げた。

 

「全てを、一つに……」

 

 女が冷笑を浮かべると、空から再びスフィアソルジャーが殺到、怪獣達と同化しようとする。しかし、ザイゴーグの胸部の甲殻が開き、触手の束が展開。やって来たスフィアを全て刺し貫き、爆散させた。

 

「まだいけるか?」

「ガハハハハ」

「ギィィィィ」

「ゴオオオオウウウウ」

「キシャオオオオ」

 

 なんとか起き上がった怪獣達。すぐさま右方よりゴルドラス、左方よりエンマーゴ、後方よりベロクロンがスフィアイズマエルに攻撃を開始する。

 刀で斬りかかってきたエンマーゴを左手のゴルゴレムの頭で受け止め弾き返すも、ゴルドラスの角からの光線が直撃。右肩のメガフラシの頭からの電撃で迎撃する。

 ベロクロンのミサイルの雨が頭上と背後より迫るが、これは全身の部位からの光弾・光線・火球を総動員し迎撃。さらには尻尾を伸ばして敵を拘束しようとするも、向こうも強酸性の唾液を帯びた長い舌を伸ばし、これに巻き付けて防ぐ。

 

「ギョオオオオアアアア!!!!」

「ギィィ!?」

「ゴオオ!!??」

「キシャオオー!!??」

 

 しかし、鬱陶しいとばかりにスフィアイズマエルは再び全身からの衝撃波を再び発動。またもまともに浴びた左右背後の怪獣は悲鳴を上げてダウンしてしまう。異常な防御力を誇るザイゴーグもまたダメージはそれなりに深かったらしく、右膝を突いてしまった。

 

「チィッ! 戻れ!」

 

 ザイゴーグほどの防御力を持たない3体は、今の衝撃波で深傷を負ってしまった。これ以上のレイオニックバーストは残り体力的には難しいこともあるのと同時に、戦力が一気に損耗するのを恐れたヒッポリトは3体をネオバトルナイザーに素早く回収する。

 

「ウフフフフ……」

 

 これで残りはザイゴーグ1体だけ。勝利は目前と見たナドキエは笑った。

 

「ちょうどいいハンデだ」

「……!」

 

 しかし、まだそう嘯くだけの気力がヒッポリトにはあった。敵がまだ諦めないことに気分を害したのか、ナドキエは顔をしかめる。

 

「ザイゴーグ! 1対1(タイマン)だが、問題はないな?」

「……ガアアアアアア!!!!」

 

 主からそう尋ねられると、ザイゴーグは望むところだと言わんばかりの咆哮を上げる。

 

「………………」

 

 そんな彼等に呆れてか、ナドキエはそんな主従を不快そうな目で凝視している。

 何故私達(スフィア)を拒むのか。それが心底理解出来ない、とでも言うように。

 

「イズマエル」

「ギョオオオオアアアアアア!!!!」

 

 そんな愚かな彼等に引導を渡し、さっさと同化させようと、女はスフィアイズマエルに攻撃を命ずる。

 

「ギョオオオオアアアアアア!!!!」

「ガァァァァァァ!!!!」

 

 女が全身を亜空間バリアで覆うと共に、スフィアイズマエルは口からの破壊光線、全身のビーストの顔からの攻撃、さらにはダメ押しの衝撃波までを同時発動する。

 対するザイゴーグは口からの【ブラディフラッディング】、胸からの【ヘルズレリーブ】、さらには背中のありったけの超音速棘ミサイルを同時発射し、それらの攻撃への迎撃とする。

 そうして衝突した攻撃の数々が連鎖反応を起こし、付近の山脈一帯が吹き飛びかねないような大爆発が起きる。だがそれでも両怪獣・両レイオニクスは死んではいない。

 

「ギョオ!!」

「ガァァ!!」

 

 凄まじい煙と熱に包まれた中を無理矢理進み、両者はさらに殴り合う。棘棍棒状の右腕で殴られたスフィアイズマエルはよろけるも、今度は左腕のゴルゴレムの鋭い頭で殴り返し、さらには右手のノスフェルの腕で掴んだまま、ラフレイアの毒花粉を浴びせて苛む。

 しかしザイゴーグはその密着状態を逆用。相手の頭が目の前にあるのをいいことに、光線での零距離射撃を頭に叩き込む。

 

「ギョッ」

 

 ガルベロスとザ・ワンを足したような頭部もさすがにそれには耐えきれなかったらしく粉々に吹き飛ぶ。そうして凄まじい死闘の末、スフィア合成獣は倒れた。

 

「ガ!?」

 

 けれども、勝負はそこで終わらなかった。頭部が吹き飛び痙攣を起こしていたスフィアイズマエルが突如起き上がったかと思うと、空から3体のスフィアソルジャーが首の断面に纏わりつき、そのまま新しい頭へと変化したのである。

 敵が蘇って驚くザイゴーグ。その隙を突き、全身のビースト頭部の咆哮と共に攻撃が叩き込まれ、今度はザイゴーグの方が倒れてしまう。

 

「がぁぁ…!」

 

 レイオニックバースト中は“真のレイオニクスバトル”が強制発動する。即ち、ザイゴーグの受けたダメージは全てスーパーヒッポリト星人にリンクしてしまう。いくらザイゴーグの異常な防御力があるとはいっても、相手は同格の最強怪獣。ダメージの蓄積は確実にヒッポリトの体を苛んでいた。

 

「……痛い、苦しい? それから解放してあげましょうか」

 

 両膝を突き苦しむヒッポリトに、勝ち誇ったようにそう告げるナドキエ。そして、そんな彼女の面が地獄星人は気に入らなかった。

 

「ふん!」

 

 苦しんでいたヒッポリトは両腿を叩き、無理矢理起き上がる。

 

「意地を張ることはないの。私達と同化すれば、苦しむことなんてなくなるのよ」

「結構だ」

 

 そう諭すような優しい声でナドキエは告げるが、ヒッポリトには余計嫌悪感が湧くだけだ。

 

「ガァァ!!」

 

 イズマエルの体から生えるスフィア結晶が触手状に変化し、ザイゴーグの体のあちこちに巻き付き、そのまま持ち上げる。

 

「まずい!!」

 

 先ほどからの敵のパターンからして、敵が動けなくなった後に何をするのかヒッポリトは分かっていた。

 そして、そんな彼の懸念通り、吊るされて動けなくなったザイゴーグに空から生き残りのスフィアソルジャーが殺到。ザイゴーグを同化して取り込み、スフィアの手駒へと変えようとする。

 

「何だ!?」

「うぅ…!?」

 

 万事休すかと思われた。だが、それも予期せぬ闖入者によって状況はさらに混沌と化す。

 死闘をよそにアシヨシからエネルギーを吸い続けていたスフィアザウルス達だったが、突如空からの強烈な破壊光線によって一掃されてしまう。

 

「ギョ!?」

「キャイイイイオオオオオオ!!!!」

 

 突如スフィアイズマエルの足下がひび割れたかと思うと、大地を突き破って異形の怪獣が真上のスフィア合成獣に襲いかかる。スフィア細胞とビースト細胞の混成体とでも言うべき超危険物質の体にも平然と噛みつき、そのまま振り回した。

 

「な……こいつは!! 馬鹿な!!!! 何故こいつがこの惑星にいる!!!!」

 

 ヒッポリトは信じられないといった様子で、ザイゴーグに代わってスフィア合成獣に襲いかかった怪獣を見る。

 

「キャイイイイオオオオオオ!!!!」

 

 超大魔王獣 マガタノオロチ

 

 モンスター銀河からやって来た、魔王獣達の親玉にして、大魔王獣マガオロチの成体である怪獣。その生態上星を蝕み滅ぼすことで知られる、全宇宙でも屈指のレベルの超危険生物であり、光の国のウルトラマン達にもその存在を危険視されていた。

 丸っこい体の中央にワニに似た巨大な頭部がつき、腕がないという異形な肉体構造をしている。さらには龍の頭にも似た棘の付いた触手が体のあちこちに巻き付いており、その姿をさらに不気味かつ異様なものにしている。

 誇張抜きでありとあらゆる物質やエネルギーを捕食し、様々な怪現象を周囲で引き起こす。

 

「………ッ!」

 

 ナドキエもこの事態は予想しておらず、驚愕の表情を浮かべている。そんな彼女をよそに、マガタノオロチはスフィアイズマエルの下半身に噛みつきながら振り回し、さらにはそのまま呑み込もうとする。

 

「ギョオオオオアアアアアア!!!!」

 

 スフィアイズマエルも呑み込まれまいと全身のビースト頭部からあらゆる攻撃を叩き込むも、先ほどのザイゴーグ戦で消耗していたせいか、さっきより明らかに威力が落ちつつあった。

 

「戻りなさい……!」

 

 さすがに形勢不利と見たか。ナドキエはバトルナイザーにスフィアイズマエルを回収する。

 

「また今度」

 

 そうヒッポリトに告げ、ナドキエはくるりと背を向け、いつものようにキングスフィアに自分を回収させようとする。

 

「!!」

 

 しかし、迎えに来たキングスフィアが緑色の光を照射する前に、空からの光線でこれも爆散してしまう。

 

「コゥオオオオー」

 

 翼を広げ滞空する姿は神々しくも禍々しい。マガタノオロチと同じく最強怪獣として知られるコスモイーターの姿がそこにあった。

 

「! 君は…」

 

 膝を突くヒッポリトのすぐ近くに燃え盛るエネルギー体が現れ、それがすぐ女の姿に変わる。

 レイブラッド星人直属の部下にして、ロシア帽を被った女と同じくペルフェクト星人を名乗る女だった。

 

「……!」

 

 ペルフェクト星人はヒッポリトは眼中にないらしく、ただロシア帽の女を見つめていたが――

 

「何か用?」

 

 ぶっきらぼうにそう尋ねる女の姿を見る顔は、やがて驚きを含んだものへと変わっていた。

 

「……まさかこの星で同胞に会うとはな」

「!」

 

 ここでナドキエも目の前の女が同種族であることに気づいたようだった。

 

「なら……()()()()()()()()()()()んじゃない?」

「!!」

 

 陰惨な笑みを浮かべた女は、同胞にも躊躇いなくスフィアソルジャーに襲わせた。

 

「コゥオオオオー」

「キャイイイイオオオオオオ!!!!」

 

 主を守るため、ルーゴサイトは空から尻尾の棘ミサイルで襲い来るスフィアソルジャーを掃討し、マガタノオロチは口からの吸引で残骸・生体問わずスフィアソルジャーを呑み込んでいった。

 

「! いない…」

 

 ペルフェクト星人が気づいた時には、既に女の姿は何処にもいなかった。スフィアソルジャー達は彼女が逃げるまでの囮だったのだろう。

 

「………」

 

 へたり込んだスーパーヒッポリト星人は一部始終を見ていたが、疲労困憊の今は声をかける気力もなかった。そして、それは倒れているザイゴーグもまた同じであった。

 

「今日は見逃してやる。私は今忙しい」

「それはどうも…」

 

 白いギガバトルナイザーを肩に担ぎながら、ペルフェクト星人はルーゴサイトとマガタノオロチを連れて去っていった。地獄星人とザイゴーグは、ただその光景を見つめているしか出来なかった。




用語解説

 ミサイル超獣 ベロクロン

 かつてウルトラ戦士達と戦った超獣の別個体。地球で発見された超獣の第1号にして、その代表格として知られる。異次元人ヤプールによってサンゴと宇宙怪獣を合成して作られた。
 広島県福山市に現れ大暴れするも、北斗星司の乗ったタンクローリーの特攻により怯んで異次元に撤退。その後今度は東京に現れ東京タワーをへし折るなど破壊の限りを尽くすも、北斗と南の変身したウルトラマンエースと戦闘になる。能力を駆使してエースを追い詰めるも、最後はメタリウム光線を撃ち込まれて倒された。その後、別個体がタロウやメビウスとも戦った他、惑星ボリスにはブルトンの召喚した思わしき野生個体が現れ、レイのゴモラと戦っている。
 ゴツゴツとした黒い体表をしているが、頭部と背中のサンゴ状の突起、胸の甲殻は逆に真っ赤である。他には鼻先に2本の角、頭部と背中を覆う突起が特徴。これらの突起からはミサイルを発射する他、口の中にも2連装ミサイルランチャーがあり、手からは光弾や金縛り光線を発射し、口からは爆炎と強酸性の唾液を帯びた舌を伸ばす。このように、超獣の中でも能力や武器を豊富に搭載しており、特にミサイル攻撃の制圧力は凄まじく、全怪獣の中でも屈指の火力を誇る。ヤプールもそれを理解しているのか、超獣の中でも投入された回数が特に多い。
 本個体はスーパーヒッポリト星人(RB)に使役されている。ただでさえこの惑星でも優勝候補に数えられるレイオニクスに使役されているためか、かなりパワーアップしており、対峙したグランテラの強固な甲殻をものともせずに一方的に倒してしまった。その後はスフィアクトゥーラをも爆殺、仲間達と組んでスフィアイズマエルを追い詰めたが反撃されてダウンし、主人に回収された。
 尚、この個体もエンマーゴ同様ヒッポリト星に現れたのを捕まえたらしく、そのミサイル攻撃には主人も苦戦し捕まえるのにかなり難儀したという。

 えんま怪獣 エンマーゴ

 かつてウルトラマンタロウと戦った怪獣の別個体。江戸時代に奥多摩地方に現れ町を滅ぼしかけたが、町人達の作ったお地蔵様の神通力によって地底に封印されていた。
 しかしウルトラマンタロウの地球防衛時代、土地開発のゴタゴタで地主に持ち去られそうになったお地蔵様が怒り、人間を懲らしめるために解放されてしまう。その後、タロウと戦いになり、一度は首を切断したが、直後タロウの首が戻ると自分の首が切断され、そのまま胴体は爆発、首も炎に包まれた。
 『王』の字の入った法冠と装束を纏い、憤怒の形相をした赤ら顔(口からは牙がのぞき、長い顎髭が生えている)の閻魔大王そのものとでも言うような、良くも悪くも怪獣らしからぬ姿をしている。右手には岩やタロウの首をも簡単に断ち切る柳葉刀、左手にはストリウム光線すら無効化する円盾を持つ。他に口から吐く黒煙は植物を枯らし、タロウの動きも封じてしまった。
 前述の通り閻魔大王のような見た目をしているが、閻魔大王本人ではない。見た目や武器を扱う点からして、怪獣というよりは妖怪変化の類(元人間の可能性もある)かもしれないが、詳細は不明。出現時もただ唸り声を上げて破壊活動を行うばかりで、人間に似た見た目ながら、あまり知性は感じられない。
 本個体は四次元怪獣ブルトンによりヒッポリト星に召喚され暴れていたものを、スーパーヒッポリト星人(RB)が捕獲したもの。その剣捌きはザムシャーにすら負けないと主人が豪語する通り、タロウと戦った個体同様凄まじい切れ味を誇り、スフィアバグバズングローラーを唐竹割りにしてしまった。しかし、遠距離攻撃手段には乏しいのが玉にキズとのことで、そういう手段を得意とする怪獣は苦手とする。

 超大魔王獣 マガタノオロチ

 モンスター銀河からやって来た、魔王獣達の親玉にして、大魔王獣マガオロチの成体である怪獣。星を食い尽くすという伝説を持つが、それは自身の卵を惑星の奥深くに産み落とし、生まれた幼体が惑星そのものを喰らって成長。成体まで大きくなると今度は惑星のあらゆる生命や物を喰らい尽くし死の星に変えてしまうという恐るべき生態を持つことが由来。
 王道な怪獣の姿をしたマガオロチと違い、赤い丸っこい体にワニのような顔のついた、腕のない異形の体型が特徴。いくつもの龍のような触手が体のあちこちに巻き付いている。
 不気味な見た目の怪獣であるが、能力自体も星を蝕むほど凄まじい。誕生時には地底怪獣が生命力を吸い尽くされて死んだという例もあり、また魔王獣達の持つ全ての能力を持ち合わせているという。全身から放つ【マガタノ迅雷】は凄まじい威力を誇り、ウルトラ戦士ですらまともにくらえば一撃で大ダメージを負う。
 一応は一般怪獣の範囲に収まる大きさでありながら、食欲は地球程度の大きさの星であれば文字通り死の星に変えるほどのレベルで、あらゆる物質や生命、さらには光線などのエネルギーまで喰ってしまう。防御力も凄まじく、大抵の攻撃を意に介さず食に集中しているほどである。
 本個体はブルトンによって召喚された並行同位体を、レイブラッド星人が捕らえてペルフェクト星人に与えたもの。ゼヴォスやルーゴサイトなどと同じく彼女の切り札的存在であり、大抵の怪獣を苦も無く圧倒する凄まじい強さと凶暴性を誇る。
 ザイゴーグとのレイオニクスバトルで消耗していたとはいえ、スフィアイズマエルの足下から襲いかかった際は反撃も意に介さないほどで、噛みつきだけで圧倒し、危うく捕食しかけたほどである。尚、非常に凶暴な性質の超危険生物であるが、ペルフェクト星人には素直に従っている様子。
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