惑星アシヨシにて多大な被害を齎すスフィア。そして彼等と共に現れ、スフィア合成獣を操る謎のレイオニクス、ペルフェクト星人ナドキエ。
彼等の目的・本質は、『宇宙全ての存在と同化する』というもの。かつてネオフロンティアスペースでウルトラマンダイナと戦っていた頃から何も変わっていないそのあり様は、数多の侵略者やレイオニクスにとっても脅威である。
スフィアを排除しようとする者、逆に戦力として取り込もうとする者など、その対応は様々である。とはいえ思惑が何にせよ、それを実現出来るほどの実力者が生き残っているのがこのサードステージなのだ。
――とある海域の上空――
キングスフィアの群れは現在この一帯の上空を飛行していた。ところが、その内の1体が急に動きが鈍ったかと思うと全身が凍結し始め、やがて生命活動を停止して飛べなくなって墜落してしまう。さらには他の個体にもそれが波及してしまい、次々に海上へと落下していく。
「………………!」
ナドキエも同化していた1体が凍結したため、分離して脱出。海面スレスレの位置まで浮遊して移動する。
「!」
突然何事かと思って空を見上げると、なんと周囲一帯が丸ごと凍結していく。ついには海面まで凍り始め、一帯の海水が丸ごと流氷と化してしまった。これにはさしものナドキエも驚愕の表情を浮かべた。
「貴様がスフィアの手先か。噂は聞いているぞ」
異常な速度で周囲一帯の気温が低下していく中、ナドキエに語りかける声。そして、金髪を生やし、漆黒の衣装に身を包んだレイオニクスが彼女の前に現れる。
「どんな噂かしら?」
「スフィアの走狗と化した哀れな女、ってな!」
暗黒星人 ババルウ星人(RB)
かつてウルトラマンレオの弟アストラに化け、光の国から星の軌道制御を司るウルトラキーを盗み出して暴走させ、地球とウルトラの星の衝突を企んだ宇宙人の同種族。『暗黒宇宙の支配者』という別名を持つ巨悪にして、ウルトラ戦士にも完璧に化けられるほどの高い変身能力の持ち主として知られる。
金色のプロテクターらしきものを各所に配したボディスーツのような格好の宇宙人。他に目立つ金髪、側頭部から生えた1対の長い角、赤い目、胸部中央のウルトラマンのカラータイマーのような部位が特徴。鎖分銅や刺股のような武器を扱う他、口から吐く猛烈な冷気はウルトラ戦士を一瞬で氷漬けにするほど強力である。
「それは心外ね」
「ほう、そうかい?」
「貴方にも教えてあげる。その素晴らしさを!」
『ザザ……バト…ル……ナイザー…ジー……モン…スロ…ード……』
ババルウ星人の挑発にも気分を害すどころか、目を見開いた不気味な微笑みを浮かべたナドキエ。スフィアとの同化することの素晴らしさを彼に理解してもらうべく、左手の白い甲殻に埋め込まれたバトルナイザーより、スフィア合成獣を召喚する。
「ゴウオオオオオオ!!」
溶岩合成獣 グラレーン
かつてウルトラマンダイナの戦ったスフィア合成獣の別個体。溶岩とスフィアが融合して生まれたスフィア合成獣であり、全身から凄まじい熱を放っている。
溶岩が二足歩行の怪獣体型へと変化したような姿をしており、体表は岩が盛り上がったようになっている。手は鋏状となっている他、口からは爆炎を吐く。前述の全身の高熱はガッツイーグルγの冷却ミサイルを撃たれて全身が凍りついても瞬時に復活するほどのレベルである。
「なるほど。今凍りついたこの一帯を温めるには最善の選択だな」
バトルナイザーでデータを調べ、ババルウ星人は敵の怪獣の選出に納得する。
「……だが、俺の怪獣を相手するには、そいつじゃ相性は最悪だがな」
ところが、ババルウ星人の顔には歪んだ笑みが浮かんでいた。
「カモーン!」
彼がそう皮肉る通り、この凍結現象の原因はレイオニクス本人ではなく、上空に待機させていた怪獣によるもの。主に呼ばれ上空から降りてきたそれは、白く輝く巨獣であった。
「パァオオオオ」
冷凍怪獣 マーゴドン
かつてUGMが撃破した最後の怪獣にして、怪獣頻出期の最後に出現した怪獣として知られる宇宙怪獣。熱そのものを活動エネルギーとしており、降り立った星の熱を全て吸収して氷漬けにして死の星に変えてきたという。
長い鼻と2本の牙を生やした、白く長い体毛に全身を覆われたマンモスに似た四足歩行怪獣。ただし円柱状の足を持つゾウとは違い、前足は鋭い4本の爪が生えた肉食獣に似たものとなっている。熱吸収・冷凍能力自体は怪獣の中でも破格であり、文字通り星を滅ぼしてきた。また飛行に適した体型ではないが、惑星と宇宙を自由自在に移動出来る飛行能力も持っている。
「ゴウオオオオオオ!!」
顔色を変えた主とは真逆に、降り立った白い巨獣にグラレーンは勇敢に立ち向かった。だがそれは、実際には勇気と無謀を履き違えた愚行でしかなかったと言えるだろう。
冷凍ミサイルですら一瞬の足止めにしかならないグラレーンの体温は確かに凄まじいが、それでも惑星の持つ熱を全て吸収し氷漬けにするマーゴドンの圧倒的な力の前では、ただの餌でしかない。
「駄目……!」
ナドキエの制止も虚しく、吐きかけた爆炎はマーゴドンに触れた瞬間霧散し取り込まれた。同時にグラレーンの持つ熱もマーゴドンに喰われてあっという間に奪われていく。溶岩合成獣は、急速にただの岩の塊へと変わりつつあった。
「この愚か者どもに、力の差というものを教えてやれ!」
ババルウ星人が右手親指で首を掻っ切る仕草で命令を下すと、マーゴドンは冷え切りつつあったグラレーン目がけ鼻から猛烈な冷凍ガスを噴射。動きの鈍りつつあった溶岩合成獣は防ぐことも出来ず凍りついてしまう。
ナドキエも自分の方にまで向かってきた冷気を防ぐバリアを全身に張り巡らせて防ぐのが精一杯。とてもグラレーンを助ける余裕はなかった。
「パァオオオオオオ!!」
敵が動かなくなったのを確認したマーゴドンは咆哮し、そのまま滑空しての体当たりをくらわせる。グラレーンはまともに受けて凍った海上に転がされ、所々が折れ砕けながら倒れる。
そしてマーゴドンは空高く飛翔すると、そのまま全体重をかけた踏み潰しをグラレーンに敢行。哀れ、登場早々溶岩合成獣は白いマンモスにより粉々に砕かれ、断末魔すら上げられずに無数の氷の塊へと変えられてしまったのだった。
「ハッ、この程度か。他のレイオニクスどもが少なくない数殺されたり取り込まれたりしたと聞いたが、思っていたほどではないな」
いくら相性が最悪だったとはいえ、仮にもスフィア合成獣の端くれであるグラレーンがあっさり始末されたことに驚くナドキエ。そんな彼女を見て、ババルウ星人は嘲笑った。
「レイブラッド星人の後継者となり、この宇宙に覇を唱えるのは俺だ!
我が覇道を貴様等如き下等生物に邪魔されてたまるか! とっとと皆殺しにして、細胞一片残らずこの宇宙から消し去ってくれるわ!!」
スフィアによってレイオニクスバトルに支障をきたすことを、このババルウ星人は望んでいなかった。レイオニクスバトルは自らが全宇宙の支配者に至るための崇高にして神聖な儀式なのだ。
スフィアだろうがなんだろうが、自らの覇道を邪魔する者は全員殺す。ババルウ星人は勇猛なるその決意を高らかに宣言する。
「愚かね」
「なにィ!!」
しかし、ナドキエは動じない。むしろ、目の前の敵を憐れむような悲しげな表情を見せた。
「貴方が支配する世界では何も変わらない。憎しみ、争い、惨い死……人々を苦しめるものが消えない世界だわ」
それは自分、いや全宇宙の人々の望む世界ではない。そう主張するかのようなナドキエの表情が、ババルウ星人の癇に障った。
「くだらん戯言はあの世で言うんだな。そこならば何を抜かそうが、咎める者はいないだろう」
「ふふ、面白いことを言うのね。でも、安心して?
「ガタガタうるさい女だ!! マーゴドン!! この女を殺せ!!」
「パァオオオオオオオオ」
これ以上の問答は不愉快なだけだと考えたババルウ星人は、マーゴドンにナドキエを殺すよう命じる。
『……バト、ル……ナイ、ザー、ザーザザー、モン…スロ、ード……』
応戦すべく、相変わらず途切れ途切れの音声を響かせながら、ナドキエのバトルナイザーから放たれた光が人型へと変化。悍ましい異形の姿を氷上に現す。
「ジョワァッ!」
超合成獣人 ゼルガノイドⅡ
かつて火星でスフィア殲滅に投入されるも敗北した人造ウルトラマン“テラノイド”が、そのままスフィアに取り憑かれスフィア合成獣化したもの。ただし、本個体は正確にはそれらのデータをスフィアが再現した再生怪獣であり、最初からゼルガノイドとして生まれている。
顔や胸部のカラータイマーは憑依前ほぼそのままとなっているが、体全体はスフィア細胞に覆われ岩のような質感となった不気味なものとなっている。背中には蜘蛛の足のような3対6本の曲がった触角が生えており、ここからは亜空間バリアを展開する。さらには、ウルトラマンダイナの技と能力までをも再現・強化されているだけでなく、スフィアのエネルギーによりウルトラマンの弱点である活動時間の限界も事実上ない。
「馬鹿な!! ウルトラマンだと!?」
これまで余裕だったババルウ星人が一転、仰天し叫ぶのも無理はない。
ゼルガノイドはスフィアの力で強化されたウルトラマンに等しい。いくら強豪レイオニクスとはいえ、どんな強敵、闇の勢力にも打ち勝ってきたウルトラマン達の底力を知らないはずがない。
「ふざけやがって…! いいだろう。こいつらも軽く始末し、俺の怪獣が最早ウルトラマンさえ及ばない最強の存在だと証明してやる!!」
「パァオオオオオオオオ!!!!」
初めこそ恐れたが、全宇宙の支配者となる過程で宇宙の平和を守るウルトラマンと激突するのはどのみち避けられない。故に、ただ順番が早まっただけだとババルウ星人は思い直し奮起する。
そんな猛る主の意思に反応し、マーゴドンは咆哮しながら滑空突進を繰り出した。
「ジョワァッ!」
ゼルガノイドは冷気を防ぐバリアを全身に張り巡らせると、冷静にマーゴドンの突進を受け止める。そしてそのままマーゴドンを持ち上げると、ブレーンバスターで背中から叩き落とす。
単なるプロレス技であるが、四足歩行怪獣であるマーゴドンは四肢の構造が災いして返すことも出来ず、おまけに極低温な分衝撃に弱い冷凍怪獣の体には普通以上に効いたようで悶絶した。
そのままゼルガノイドは冷凍怪獣から離れると、冷凍怪獣が悶絶しているところへ容赦なく顔面への右回し蹴りを叩き込む。
「パァオオオオオオオオオオオオ!!!!」
攻撃を受け止められた上、小癪な反撃に激昂したマーゴドン。元々星をいくつも滅ぼしてきた恐怖の怪獣故、周囲への被害も顧みず冷凍ガスを怒りのままに鼻から放ちまくる。
「………ゼルガノイド、早く決着を!」
冷凍ガスによる周囲環境の激変はさすがのナドキエも危機感を抱いたらしく、ゼルガノイドへ速攻で勝負を決めるよう催促する。
……しかしその一方、奇妙なことではあるが、この一面銀世界に覆われつつある光景に見覚えがないはずなのに、ナドキエは妙な懐かしさを覚えていた。彼女の今まで生きてきた環境とはまるで違うはずなのだが……
「ジョワァッ!」
主からの求めに応じ、ゼルガノイドはソルジェント光線をとどめとして放とうとする。
「させるか!! マーゴドン、【ダイヤモンドウォール】だ!!!!」
ババルウ星人がマーゴドンに命じると、マーゴドンは全力で冷凍ガスを噴射。なんと眼前の大気と水分そのものを凍結させることで強固な氷壁を形成。一瞬遅れて放たれたソルジェント光線を防いでしまう。
「【アイスバーグクラッシャー】!!」
「パァオオオオ!!」
光線を防いで崩壊寸前となった氷壁にマーゴドンは体当たりをぶちかまし、そのまま破壊。砕けて出来た無数の氷礫がゼルガノイドに飛ばされ、ダメージを与えた。
「【スローターアイシクル】だ!! 合わせろ!」
ババルウ星人が氷礫を念動力で上空に放り投げると、マーゴドンはそこに冷凍ガスを噴射。解けかけていた無数の氷の欠片は大きく鋭い氷柱状へと変化し、ナドキエとゼルガノイドに落下する。大ダメージは必至と見た両者は共に亜空間バリアを生成、落下する大量の氷柱を防ぐ。
「なかなかやるわね…」
短期決戦に持ち込もうとしたが、上手くいかず苛立つナドキエ。普通の怪獣ならばさすがに疲労するであろう連続コンボ。しかし、ゼルガノイドはウルトラマンと違い、スフィアのエネルギーにより短い活動時間という弱点を克服している。これらの攻撃を受けても多少ダメージを負い、光線を防がれたところで多少エネルギーを消耗したにすぎない。ようするに、まだまだ戦闘続行が可能なのだ。
「まだ消耗せんか」
「これもあくまでスフィアの偉大な力の一端にすぎないわ…」
「偉大だと? これは夜郎自大というやつだな。
いくら粘ろうがゴミはゴミ! さっさと処分してやるわ!」
未だ疲労の色を見せぬゼルガノイドだが、それはマーゴドンも同じ。直撃しなかったとはいえ、先ほどのソルジェント光線の熱を吸収し、体力を回復していた。
光線技が使えないのなら、格闘戦しかない。ゼルガノイドはそう判断し、冷凍怪獣に挑みかかろうとする。
「フッ…」
しかし、そこで何故か鼻で笑うババルウ星人。その態度を不審に思ったナドキエだが、すぐにその理由は判明する。
「「!?」」
「パァオオオオオオオオ!!」
突如、地面から手が飛び出し、ゼルガノイドの両足首を掴んで動きを止める。驚くのも束の間、再び突っ込んできたマーゴドンへの対応がそのせいで遅れてしまい、亜空間バリアを張る暇もなく体当たりをモロにくらって仰向けに倒される。
「…他にも何かいるわね」
「戦う時、そして相手を罠に嵌める時。その仕込みは何重にもしておくものだ」
金髪を掻き上げながらそう自慢気に語る通り、この出来事も当然ババルウ星人の予めの仕込みによるものである。そして、ゼルガノイドの足首を掴んだまま持ち上げつつ、新たなる刺客が現れる。
「ホッホッホォーウ!」
凍結怪獣 ガンダー
かつて地球に氷河期を招いたというミニ宇宙人ポール星人が、ウルトラセブン打倒のために送り込んできた怪獣の別個体。凄まじい冷凍能力を誇り、地球防衛軍極東基地周辺を氷点下90℃以下という凄まじい極寒地獄に変えてしまったほどである。
長く伸びた眼柄に歯の並んだ大きな口のあるカタツムリの化け物のような顔、逆三角形の翼のような突起がついた独特な体躯から四肢が生えているという印象深い姿が特徴。別名の通り口からは氷点下140℃の凄まじい冷気を吐き出す他、高い飛行能力も持っている。
本個体は四次元怪獣ブルトンによって惑星アシヨシの氷雪地帯に召喚されたものを、ババルウ星人(RB)が捕らえて戦力とした。
「相手はあのスフィアだ。どれだけ対策をしようがやり過ぎということはないからな」
こちらからスフィアの群れを捕捉し襲撃しただけあり、ババルウ星人は万全の準備を整えていた。実は空からマーゴドンに襲撃させた際、地下にも別働隊としてこの怪獣を潜行させていたのである。
そしてスフィアの群れが海上上空に移動した際もそのまま海を泳いでついてきており、マーゴドンが海上を凍らせた際も、そのまま氷塊に穿孔して侵入し、主の合図を待っていたのだった。
「
「パァオオオオオオオオ!!」
「ホッホッホォーウ!」
レイオニクスバトルに卑怯という言葉はない。不意打ち・乱入全て上等で、規制するルールは一切ない。
それを体現するかの如く、ガンダーはゼルガノイドを軽々持ち上げ、そのまま氷上に叩きつける。受け身が取れず後頭部と背中を強打し、超合成獣人が悶絶したところで、追撃の踏みつけを上空からマーゴドンがくらわせる。
「ジョワァッ…!」
ダメ押しにガンダーに頭をサッカーボールキックで蹴られて転がされ、苦しみ呻くゼルガノイド。光線技が封じられてただでさえ不利な上、敵は共に極寒の気候をむしろホームグラウンドとする怪獣。むしろこの環境こそ最高のパフォーマンスを発揮出来る。
「ウルトラマンがスフィアの力でさらに強化されたからなんだというのだ? それだけでレイオニクスバトルに勝てるなら苦労はない!!」
その証拠を示すかの如く、かつてウルトラマンダイナを圧倒したゼルガノイドが、今はたかが怪獣にいいようにやられている。
「俺の覇道を邪魔する者は、例え誰であれ苦しみながら死んでもらう!!」
ババルウ星人はスフィア合成獣を捕まえる気はない。故に、最初から殺す気であった。
その事実を示すかの如く、まだ立ち上がれぬゼルガノイドに、マーゴドンは鼻から、ガンダーは口からの猛烈な冷気を噴射。かつてはウルトラマンダイナを圧倒した超合成獣人だが最早弱っていた今では抗すことも出来ず、ついに氷漬けになってしまったのだった。
「なんて邪悪な……」
ひたすら覇道を邁進し、邪魔する者は全て殺すという殺意の高さを見せつけるババルウ星人に、ナドキエは眉をひそめた。
恐ろしいことに、ナドキエはナドキエでスフィアの本能を宇宙と人々に平和と幸福を齎すための正しき道であると信じて疑っていない。それ故に、ババルウ星人の覇道はただ宇宙に混乱と破壊を齎すだけだと嫌悪感が湧いたのだった。
「なんて可哀想な人なの。これは是非救ってあげねばならないわ…」
「パァオオオオオオオオ!!」
「ホッホッホォーウ!」
心からそう感じたナドキエだが、守る怪獣もなくなった彼女にマーゴドンとガンダーが襲いかかろうとする。
『……ジー…バ、トル……ナ…ザザ……イ……ザー、モ、ンスロ……ード……』
覇道に取り憑かれたこの哀れなババルウ星人を
「キシャアアアアオオオオオオ」
古代合成獣 スフィアゴモラ
「ピギャアアアアオオオオオオ」
どくろ合成獣 スフィアレッドキング
ナドキエのバトルナイザーより召喚されたのは、スフィア合成獣と化したゴモラとレッドキング。そうしてスフィアゴモラはガンダーを、スフィアレッドキングはマーゴドンを跳ね飛ばす。
「それがどうしたァ!!!!」
ゼルガノイドを既に見た後である。今更驚きはしない。
そして何より、彼はかつてエンペラ軍を始めとする他の悪の勢力を敵に回し、今は他の凶暴なレイオニクス達と戦い続けてきた剛の者。この程度の危機は慣れっこである。
「面白いじゃねえか!!!! マーゴドン! ガンダー! 派手におもてなしといこう!!」
戦うなら全力のみ。手と気を抜けば負けるだろう。
それを熟知するからこそ、ババルウ星人はここで出し惜しみはしなかった。
「パァオオオオオオオオ!!」
冷凍怪獣 マーゴドン(レイオニックバースト)
「ホッホッホォーウ!!」
凍結怪獣 ガンダー(レイオニックバースト)
ババルウ星人は大量のレイオニクスパワーを注入し、2体の怪獣をパワーアップさせた。無論、ここからは“真のレイオニクスバトル”が強制発動するため、ダメージを受ければ自分にリンクし、配下の怪獣が死亡すれば自分も死ぬことになる。
「さぁ、
有名どころではエンペラ軍、グア軍団、ベリアル銀河帝国。そしてその他の宇宙征服を企む有象無象の馬鹿ども。奴等と戦い、幾度も死線を越えてきた。
全宇宙を支配する種族は、このババルウ星人である。たかがスフィア如き、自分より上には立たせない――
「ウフフ……盛り上がってるところ悪いんだけど、その気はないのよね…」
「アァ!?」
しかしナドキエとしては、命を懸けたレイオニクスバトルなどというものを馬鹿正直にやる気などなかった。
「キシャアアアアオオオオオオ!!」
「ピギャアアアアオオオオオオ!!」
ゴモラとレッドキングは全身からの衝撃波を敵に――ではなく、なんとゼルガノイドに照射。
「ジョワァッッ!!」
やがて衝撃と熱でゼルガノイドは解凍され、脆くなった氷を破壊して復活する。
「これで3対2ね…」
「ナメるなァァァァ!!!!」
勝ち誇った薄ら笑いを浮かべたところでババルウ星人は激昂。同時にマーゴドンとガンダーを敵グループの左右に散開させる。
「【アイスウォール・プレッサー】だ!!!!」
「パァオオオオオオオオ!!」
「ホッホッホォーウ!!」
マーゴドンとガンダーは眼前に冷気で棘だらけの巨大な海氷壁を形成。そのまま押して走りながらスフィア合成獣達を挟み潰そうとする。
「キシャアアアアオオオオオオ!!」
「ピギャアアアアオオオオオオ!!」
あわや押し潰されるかと思わせるところまで氷壁が迫るが、ゴモラとレッドキングは実はわざとそこまで待っていた。その怪力で左右から迫る氷壁を受け止めたところで、ここで両者はスフィア振動波を発動。強固な氷壁もこれには耐えられず粉々に砕け散ってしまう。
「ジョワァッ!!」
「ホッホッホォーウ!!??」
砕けた氷礫で両者が埋もれかけたところで、まず脱出に難儀していたガンダーにゼルガノイドがソルジェント光線を発射。直撃したガンダーは防ぐことも出来ず爆散する。
「なァ!?」
「パァオオオオオオオオ!!」
そのせいで真のレイオニクスバトルのダメージが跳ね返り、ババルウ星人は倒れかけた。ここで氷礫を跳ね飛ばしながらマーゴドンが迫るも、ゴモラとレッドキングのダブルスフィア振動波を叩き込まれて足止めされる。
「パゴアー!!!!」
そして脆くなった体にゼルガノイドはレボリウムウェーブ・アタックバージョンを放つ。時空エネルギーの衝撃波で動きを止められたところで、背後にマイクロブラックホールが出現。そのまま吸い込まれたマーゴドンは一瞬で圧縮・破裂し、そのままマイクロブラックホールごと消え去ってしまった。
「ガ……俺が…敗れるだとぉ……!?」
自分の敗北が信じられず、ババルウ星人は膝をついた。2体の怪獣の死により、自らの死も間近。そんな彼にナドキエは笑みを浮かべて手を差し伸べる。
「助けてあげる」
どこからともなく、空には彼女のいた群れとは別のスフィアソルジャーが集結し始める。無論、このババルウ星人を取り込むためである。
「っ!」
それを悟り、ババルウ星人は彼女の手を払い除ける。
「ケッ……スフィアを始末するつもりが返り討ちとは情けねえ………先に地獄で待ってるぜ……」
最期にそう吐き捨てババルウ星人は前のめりに倒れると、そのまま全身が光の粒子となって霧散していった。
「悲しい人……」
そう寂しそうにポツリと呟くと、ナドキエは宙を舞う光の粒子を見送ったのだった。
用語解説
暗黒星人 ババルウ星人(RB)
二つ名は“不屈なる凶戦士”。かつてウルトラマンレオ及びウルトラ兄弟と戦った宇宙人の同種族。レオの双子の弟アストラに化けウルトラの星に侵入、星の軌道の制御を司るウルトラキーを盗み出し、地球とぶつけて諸共破壊しようとした狡猾かつ悪辣な種族である。
細身の体躯、金髪を生やし、何処となくウルトラマンに似た顔に加え胸にはカラータイマーのようなものがあるなど、地球人とウルトラマンの双方に似た特徴を持つ。他に黒い体、赤い目、側頭部から斜めに伸びた角、全身の各所に配置された棘付きの金色のプロテクターなどが特徴。
武器の扱いに長けており、刺股【ババルウスティック】や鎖分銅を扱う他、口からはウルトラ戦士をも一瞬で氷漬けにするほどの冷気を吐く。
かつてウルトラ戦士と交戦した侵略者の中でも非常に質の悪い種族で、“暗黒宇宙の支配者”という二つ名を付けられている。前述の変身能力でウルトラ兄弟とレオを仲違いさせて殺し合いさせた他、アストラに化けたことでその罪を擦り付けようとした。またアストラに変身していたとはいえ、容易にウルトラキーを盗み出すなど隠密能力も高いようである。ただしウルトラマンキングの介入という想定外の事態にはさすがに対処出来ず、正体が露見した後はレオに叩きのめされ最期はレオキックで爆死した。
のちにウルトラマンメビウスの地球防衛時代に、エンペラ星人に差し向けられた別個体がウルトラマンヒカリに化けて街を破壊したが、後から本物が現れて叩きのめされ、最期はナイトシュートで爆散した。また、ウルトラ大戦争の時代にもナックル星人、ゴドラ星人、ダダと共にウルトラの父とウルトラマンベリアルと戦ったが敗れ命乞いをしたが、ウルトラマンベリアルのデスシウム光線でナックル星人と共に殺された。また、レイオニクスバトルに関わった個体も複数存在している。
本個体はレイオニクスとなってこの惑星アシヨシで戦っているが、レイオニクスとなる遥か以前から宇宙の各地で他の悪の勢力と戦い続けてきた凶暴な宇宙戦士である。
他のレイオニクスと同じく宇宙の支配者となるべく戦い続けているが、実はレイブラッド星人の後継者の座などあてにしておらず、レイオニクスバトルで優勝しようとするのもレイブラッド星人に近づき抹殺するため。彼はババルウ星人という種族の上に立とうとする全ての存在を許せず、それを叩き潰すために戦ってきた。
彼の心に深い影を落としていたのは、“暗黒宇宙の支配者”と呼ばれながらも、実際には種族そのものがエンペラ星人に隷属していたという事実である。彼はそれを恥とし、それに同調する同族達と反乱軍を組織し、エンペラ軍に反抗した。しかし業を煮やした皇帝に送り込まれた暗黒四天王のグローザムとデスレムによってやがて反乱軍は壊滅、彼のみが逃げ延びることになる。
その後も単独でエンペラ軍に反抗を続け、エンペラ軍壊滅後もグア軍団やベリアル銀河帝国といったババルウ星を支配しようとする悪の勢力にも攻撃を続けた。その後レイブラッド星人の手でレイオニクスとなるが、その情報網でレイブラッド星人の魂胆も既に知っており、どうにか殺そうと付け狙っている。
また、アシヨシではその首に懸けられた賞金を狙ってやって来たL85星人サングレやミステラー星人(RB)、さらにはエンペラ軍残党のテンペラー星人(RB)ともレイオニクスバトルを行うも全て撃退したほどの実力者である。
ただしババルウ星人らしからぬ猪突猛進・好戦的な面があり、このせいで格上の相手にもかまわず噛みつく悪癖がある。スフィアによって滅ぼされることになったのもこれが原因と言え、本人も最期は悔しく思っていたようであるが、一方で長い戦いの人生から解放される安堵感もあったようだ。
スフィアをわざわざ自分から襲撃するなど、怖いもの知らずぶりはナドキエも呆れたほど。とはいえゼルガノイドを出されても別行動させていたガンダーに不意打ちさせてこちらを有利にするなど、ただ凶暴なだけの男ではない。実際、怪獣達には懐かれており、レイオニックバーストを可能とするなど、相応の絆があった。
冷凍怪獣 マーゴドン
かつてUGMが最後に戦った怪獣の別個体。怪獣頻出期最後の怪獣として知られ、本個体の出現から25年後、宇宙斬鉄怪獣ディノゾールが現れるまでは地球には怪獣が出現しなかった。
全身を白い体毛に包まれた四足歩行の怪獣であり、長い鼻と2本の象牙、長い耳を持つ姿は奇しくもマンモスそっくりである。ただし、前足は象と違い円柱状の足でなく、鋭い爪の付いた肉食獣のようなものとなっている。口からは凄まじい冷たさの冷凍ガスを吐く他、宇宙怪獣なので高い飛行能力も持っている。
熱をエネルギー源としており全身で吸収するが、その吸収量は桁外れで、惑星1つから丸ごと熱を奪い去ってしまうほど。宇宙を彷徨い、その能力で星をいくつも文字通り滅ぼしてきたらしい。その性質上ミサイルなども全く効かないが、その一方で極低温の体は衝撃には弱く、また冷凍液などの攻撃を受けると自分が凍りついてしまうという致命的な弱点も持っている。
九州の南原市に来襲し、片っ端から熱を奪い去ってあらゆるものを氷漬けにし、退治に赴いたUGMの戦闘機のミサイル攻撃も効かなかった。しかし地球人達の不屈の精神により決行されたジャイアントボール作戦により冷凍液をかけられ逆に氷漬けにされ、そこへ巨大鉄球の一撃を受け、ついに粉々となった。
本個体はババルウ星人(RB)に使役されている。彼の切り札とされているだけあり、この惑星アシヨシでのレイオニクスバトル・サードステージに進出するほどの強さを誇り、大抵の怪獣はこの怪獣の冷気に勝てず物言わぬ氷像へと変えられた。
ババルウ星人のスフィア襲撃時も主力として戦い、グラレーンを瞬殺。その後ゼルガノイドもガンダーとコンビで一時氷漬けにするほど圧倒する。しかしスフィアゴモラ&スフィアレッドキングにはダブルスフィア衝撃波を叩き込まれて足止めされたところで、冷凍能力ではどうにもならぬマイクロブラックホール攻撃をゼルガノイドから受けて消滅した。
凍結怪獣 ガンダー
かつてウルトラセブンと戦った怪獣の別個体。ミニ宇宙人ポール星人に操られ、地球防衛軍基地周辺を極寒地獄に変え、さらには寒さに弱いセブンに戦いの後遺症で活動時間の制限という重大なハンデを与えることに成功している。
長く伸びた眼柄に歯の並んだ大きな口のあるカタツムリの化け物のような顔、逆三角形の翼のような突起がついた独特な体躯から鋭い爪の付いた四肢が生えているという平均的な怪獣から逸脱した姿が特徴。別名通り口からは氷点下140℃という凄まじい冷気を吐くだけでなく、高い飛行能力も持つ。また個体によっては体を回転させて降り積もった雪の中に身を隠す能力まで見せている。
地球に氷河期を招こうとするポール星人の企みの下地球に送り込まれ、地球防衛軍基地周辺を極寒地獄に変える。さらには動力炉を破壊して基地を停止させ、ウルトラセブン=モロボシ・ダンまで瀕死に追いやり、代わりに繰り出したミクラスも撃退する。その後ウルトラ警備隊が逆襲に転じ、セブンも一旦空の彼方にまで太陽エネルギーを補給・帰還し、戦いとなる。その後苦戦の末アイスラッガーで首と手足を切断して勝利するも、前述の後遺症は残ってしまい、その結果にポール星人も満足して撤退していった。
本個体は惑星アシヨシの氷原地帯に四次元怪獣ブルトンによって召喚されたものをババルウ星人が捕獲した。マーゴドンの作った流氷内に後から追いかけてきて潜んでおり、合流後はゼルガノイドを数の有利で1度は氷漬けするのに成功している。しかし、スフィアゴモラとスフィアレッドキング合流後は劣勢となり、最期はソルジェント光線を受けて爆散した。
飛行能力を持つ種族だが、ほとんど飛行しなかったことから本個体はどちらかと言えば地上戦を好んでいる様子。