怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 今回は会話・交渉シーンのみなので短め。とはいえ、このSSでの根幹に関わってくる内容なので重要ではありますが。
 ウルトラ戦士最大の宿敵にして、レイブラッド星人と並ぶ最強の敵が復活しようとしている……!

 それと、2人が喋ってる場面はBGMは覇邪降臨(暗黒四天王達が喋ってる時の曲)で想像してください。


幕間:皇帝復活計画

 ――とある荒野に停泊中の宇宙船――

 

 レイオニクスといえど、四六時中レイオニクスバトルを行なっているわけではない。この惑星アシヨシでのレイオニクスバトルもサードステージに突入し、強豪だけが生き残っている今、むしろその回数は減っているぐらいだ。無論、その分1回のバトルでの内容の熾烈さは増し、毎度命懸けのものとなってはいるが。

 当然、戦う度に使役怪獣は傷つき、その疲労が深いほど回復には時間がかかる。いくら怪獣を複数ストックし、ある程度ローテーションを組んだとしても不測の事態は起こり得るもの。それは実力者である彼もそうであった。

 

『お休み中のところ、失礼いたします』

 

 雨が降り注ぐある日の午後。激しいレイオニクスバトルの後のため、テンペラー星人(RB)は怪獣達のために自分の宇宙船に籠って休息を取っていた。

 猛々しい彼には珍しく、操縦席(コックピット)に座ってボーっとしていた。そんな風に忙しない日常から離れ心安らかでいたところへ、突如けたたましく通信機からの通知が鳴る。再び現実に引き戻された彼は不機嫌そうに船内のモニターを起動すると、赤い三つ編みの美女の姿が映る。

 

「……何の用だ」

 

 異次元エージェント・ファムが恭しく挨拶するが、テンペラー星人の態度はぶっきらぼうなものだった。無理もない話だ。昔は同じ主君に仕えていたためお互い面識があるが、今は敵同士である。そして面識があるからこそ、この女がどういう存在かも知っている。

 

『単刀直入に申し上げます。私と手を組みませんか?』

「何だと?」

 

 しかしこの唐突な申し入れは予想していなかったのか、テンペラー星人は困惑した。何故このタイミングで、それに何故自分なのか?

 

『貴方と私には共通点があります。それは共にレイブラッド星人の後継者の座には興味がないということです』

「だから手を組めると?」

『貴方もレイブラッド星人の魂胆を知っているから、その座に興味がないのではありませんか?』

 

 確かに、このテンペラー星人はエンペラ軍残党のリーダーとしての情報網から、レイブラッド星人の真の目的も既に知っている。彼が惑星アシヨシでレイオニクスバトルを行うのは、単にそれを口実にしたエンペラ軍復活のための戦力集めにすぎない。

 一方、ファムもヤプールの手先。恐らく主人経由で、同じくレイブラッドの魂胆を知っているのだろう。

 

「単刀直入と言うのなら、くだらん前置きは不要だ。

 ワシと同盟を結びたいのなら、貴様の真の目的と、貴様と組むことでワシが得られるメリットを言え」

 

 しかし当然ながら、共通点があるからお互い利害がぶつからず手を組めるというはずもない。ましてや、相手はヤプールのエージェントである狡猾な女。どんな悪巧みをしているかは分からない。

 

『これは失礼いたしました。では、腹を割って真意を話すことにいたしましょう。

 私の真の目的……我が主ヤプールからの指令は全レイオニクスの抹殺。そして出来るならばですが、ペルフェクト星人を始めとするレイブラッド星人直属の戦力もまた滅ぼしたいのです』

 

 下手に隠すと逆効果だと悟ったか。テンペラー星人にそう問い詰められたファムは、あっさりと自分の真の目的を白状した。それもいつも通りの笑みを浮かべたまま、一切表情を変えずにだ。とんだ女狐だ、と内心テンペラー星人は呆れていた。

 

「ずいぶんと大それた目標だが、それは一旦置いておこう。

 全レイオニクスと言うならば、それならワシも頭数に入っているだろう?」

 

 ところが、テンペラー星人は冷ややかにそう指摘する。つまり同盟を結んだところで、体の良い戦力として散々利用された挙句、最後に用済みとして背後から撃たれるということだ。

 

『私はレイオニクスを抹殺しろとは命じられましたが、エンペラ軍の残党も滅ぼせとは命じられてはおりません。

 何より、貴方がたとはレイブラッド星人を滅ぼしたいという目的の一致があります。そんな貴方がたまで消すのは我々にとっても不利益ですし、何より諜報員1人の判断でレイオニクス達に加えエンペラ軍まで敵に回すのはさすがに出来ませんよ』

 

 これは事実であり、こう言いながらもテンペラー星人も内心では「そうだろうな」とは思っていた。エンペラ星人亡き後もヤプールはエンペラ軍残党には干渉しなかったが、これはエンペラ星人が死んだ途端に急に活動を活発化させた他の悪の勢力への抑えを期待してのことであったのだ。無論、ヤプールは復活後も光の国とは何度も刃を交えているので、単にエンペラ軍残党まで敵に回す余裕がなかったというのもあるのだが。

 そして、いくら主君が死亡して不在の状況とはいえ、今までお互い不干渉だったのを1諜報員の現場判断で覆すのは、さすがのファムにも恐ろしくて出来なかった。もしやっていれば、後で彼女の首が物理的に飛ばされても償いきれない大失態である。

 

「なるほど。では、ワシが貴様と手を組むメリットの方を聞かせてもらおうか」

『手を貸していただくのです。貴方がたにとって有益な情報を提供いたします』

「ほう?」

『エンペラ軍の裏切り者、エンディール星人。その居場所は既に特定しております』

「!!」

 

 それを聞き、テンペラー星人の目の色が変わった。

 

「奴の居場所が分かっただと!!??」

『彼はこの星でレイオニクスとして活動しております』

「! 奴もレイオニクスとして選ばれていたのか……」

 

 エンペラ軍を裏切り資金やその他諸々を奪い取ったエンディール星人。奴がこの星で同じくレイオニクスとして活動しているのをテンペラー星人は知らなかったが、不思議と驚きはなかった。しかし、この女の言うことが本当なら、これでようやく奴を処刑出来るというものだ。

 

『レイオニクス抹殺に手を貸していただく代わりに、裏切り者のエンディール星人の居場所の情報の提供と……そして貴方がたの()()を叶えるお手伝いをいたしましょう』

「悲願だと?」

 

 ファムの言葉の意図が分からず、テンペラーは怪訝そうな様子だった。

 

『ふふっ……()()()()()()()()()ですよ……!

 レイブラッド星人の野望を打ち砕ける御方は、皇帝陛下以外には存在しません』

「!」

 

 楽しげながらも凶々しい笑みを浮かべたファムにそう言われ、テンペラーは思わず椅子から身を乗り出す。

 

『皇帝陛下の復活には、皇帝復活装置“ゴーストリバース”と()()()()()()()()()が必要なのはご存知ですよね?

 そして何の偶然か、ゴーストリバースの代わりとなりうるロボット怪獣をエンディール星人は所持しているのです』

 

 そこまで説明するとモニター画面からファムの顔が消え、代わりにスーパーヒッポリト星人(RB)のザイゴーグと戦うレゾリウムが映し出された。それを食い入るようにテンペラー星人は見つめていた。

 極悪宇宙人を納得させるであろう長さの時間の映像を流したところで、再び画面にファムの顔が映し出される。

 

『暴走の果てに、何の因果かこのロボットは十分ゴーストリバースの代役となりうる存在へと変化したようです』

「……ギガバトルナイザーの方は?」

『そちらは現在ペルフェクト星人が所持しております』

 

 何の偶然か、皇帝復活のためのもう1つの鍵となるギガバトルナイザーの方も、レイブラッドの使者が所持していた。無論、こちらを奪い取る方が遥かに難易度は高いだろう。

 ギガバトルナイザーは怪獣100体の同時召喚を可能とする恐るべきアイテムである。ファムと自分が組んで襲いかかったところで、出せる怪獣はせいぜい怪獣は10体かそこら。向こうはその10倍を投入してくるだろう。

 とはいえ、それは真正面からバカ正直にレイオニクスバトルを挑んだ時の話である。こちらは2人共正統派なレイオニクスではない、不意打ち・騙し討ち・暗殺上等の軍人と諜報員だ。レイオニクスバトルに持ち込ませず、レイブラッドの使者を殺して奪い取る手段などいくらでも採れる。

 

「……いいだろう。貴様に手を貸してやろう」

『ありがとうございます』

 

 この女と手を組む利はあると判断し、テンペラー星人は同盟の申し出を承諾した。ファムは再びにっこりと微笑み、そのまま頭を垂れる。

 

「ただし…」

『?』

「裏切ったら、その時はどうなるか分かるな?」

『無論ですとも』

 

 両者の戦闘能力の差は比べるべくもない。例えファムがどのような兵器を使おうが、テンペラーは少なくとも相打ちには持ち込めるだろう。当然、その事実はファムも十分理解している。

 

「エンディール星人とペルフェクト星人、両者の現在の居所は把握しているか?」

『エンディール星人は先ほど申し上げた通り、既に場所を把握しております。そちらの座標を転送しておきます』

「ペルフェクト星人の方の居場所は分からんのだろう?」

『どうもお恥ずかしい話で』

 

 見透かされていたことを恥ずかしく思ったのか、再びファムが頭を下げる。

 ペルフェクト星人が拠点とする異空間“空間の歪み”の座標自体は把握しているが、そこには“最終兵器”が鎮座しており、ファムとしても下手に襲撃して逆に潰される事態は避けたかった。かと言ってそこ以外の場所で襲うとなると、ペルフェクト星人は任務上神出鬼没であり、それこそアシヨシの何処にでも現れると言えるため、現時点での位置の特定は難しい。

 

「フン。とはいえ、誘き出すのは難しくないだろう。

 今はスフィアがそこかしこに現れては暴れており、奴がその駆除に当たっているという噂を聞いているからな。つまり、スフィアが出た場所に現れる確率が高いということだ」

『仰る通りです』

 

 この惑星を呑み込まんとするスフィアを退治するため、現在ペルフェクト星人は惑星全土を忙しく駆け回っている。逆を言えば、スフィアの現れた箇所に彼女が遅れて現れることに気づいているレイオニクスも、テンペラー星人を含めそれなりにいた。

 

「しかし、そちらは後回しだ。まずはエンディール星人の方を殺す!!」

『怪獣達の傷は癒えておりますか?』

「休息はもう十分だ! 奴が他のレイオニクスに殺される前に、このワシ手ずから奴の首を引き千切ってくれるわ!!」

 

 思い立ったが吉日とばかりに、テンペラー星人は早速宇宙船を飛び立たせ、ファムの送った座標の位置に出立した。

 

 

 

 

 

「ふふふふ。思ったより簡単に手を組んでくれましたね。

 これで任務の遅れは取り戻せそうです」

 

 自分の宇宙船の中で桃紫色の瞳を輝かせながら、陰惨な笑みを浮かべるファム。テンペラー星人が思ったよりはスムーズに手を組んでくれたため、大変ご満悦の様子であった。

 ファムは虚空怪獣グリーザを召喚してまでペルフェクト星人の抹殺を図ったが、あえなく失敗してしまった。それからも忙しなく惑星全土を駆け回り、レイオニクス暗殺に従事したが、いくらファム1人ではさすがに並程度のレベルならともかく、強豪レイオニクス全てを暗殺するのは不可能に近かった。

 しかしある時、エンペラ軍の裏切り者であるエンディール星人(RB)を発見し、その動向を探っていたが、ここで彼がレゾリウムという第二のゴーストリバースを所持しているのに気づく。そうして彼女はすぐに恐ろしい計画――エンペラ星人の復活を思いついた。

 ペルフェクト星人のギガバトルナイザーと、レゾリウムを組み合わせれば、エンペラ星人を復活させられる。エンペラ星人の性格上、レイブラッド星人の復活と全宇宙支配の野望は阻止しようとするだろうし、その配下であるレイオニクスも生かしてはおかないだろう。

 また、この惑星アシヨシにはグア軍団残党やスフィア、メンシュハイトといった、他の悪の勢力も複数集まっていた。それらの排除も視野に入れた場合、エンペラ星人の復活はファムにとって都合が良かったのである。

 ようするに、ファムはヤプールにとって都合の悪い存在全てをエンペラ星人に押しつけ、その圧倒的な力で始末させ、遅滞しつつあった己の任務の尻拭いをさせるつもりだったのだ。

 このように、皇帝すら恐れぬファムの凶行が、果たしてこの星でのレイブラッド星人の後継者レースにおいて一体どんな結果を生むのか。それはまだ誰にも分からない――

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