怪獣超無法惑星   作:フルメタル・ミサイル

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 オリキャラレイオニクスのデルピューニですが、名前及び姿の元ネタはギリシャ神話のデルピュネー。上半身が人間の女、下半身が蛇または竜だという怪物です。
 その姉のパイトンの元ネタは同じくギリシャ神話のピュトンです。巨大な大蛇の怪物で、デルピュネーと同一の存在という説もあります。その説の場合、雌として扱われます。
 見た目(上半身)のイメージとしては、デルピューニは喜多川海夢かブルーアーカイブの一ノ瀬アスナ、パイトンは神羅万象チョコのアスタロットをイメージしてもらえればほぼ合ってます。


帝王死すべし その2

 川原にて始まったファンタス星人とズール星人のレイオニクスバトル。それはスフィアの乱入によるなしくずし的な共闘へと変わり、そして今ここに来て試験官による試練へと変わっていた。

 

「キャハハハハッ!!」

 

 獰猛な本性を隠さず愉しげに哄笑するは、()()()のレイオニクスであるラミアネロ星人デルピューニ。かつて宇宙の各所で悪名を馳せた『パイトン・ファミリー』の元No.2である。

 まさか生きていたとは2人共思わなかった。かつて縄張り争いで対立したエンペラ軍との死闘の果てに、姉のパイトン共々殺されたと聞いていたから、当然ではあるが。

 

「ゥゥーオオー」

 

 そして使役するはシビルジャッジメンター・ギャラクトロン。こちらもギルバリスの尖兵として宇宙のあちこち、さらには別次元の宇宙にまでその魔手を伸ばすという、悪名高きロボット怪獣である。

 最強のロボット兵器として有名なキングジョーやインペライザー以上の強さと厄介さを誇るという。

 

「これは2対1と考えていいのだろうな?」

「そうだろうな。1対1(タイマン)よりは楽に済む」

 

 ファンタス星人の疑問を、ズール星人が肯定する。

 そんな兵器を目の当たりにしながら、2人に怯えは見えない。

 

「どうせやるなら、ギャラクトロンもいただくか」

「いいや。それなら奴の持っているネオバトルナイザーの中身も全ていただこうではないか」

「当然山分けだろ?」

「よかろう。異存はない」

 

 挑む前から分捕り品の分け前について話し合う2人。とはいえ、こういうものは事前にしっかり決めておかないと後で揉める例は枚挙にいとまがないため、この時点で話をつけておくのはまだ賢明な行いではある。

 

「ヨユーだね~?」

 

 先ほどとうって変わって緊張感のないやり取りに見えたのか。ややご機嫌斜めな様子でデルピューニは呟く。

 

「幸い2対1。負担は半分ずつだ」

「お互い、単独でも殺れただろうがな!」

「キィィィィシュ!!」

「ギュオオオオー!」

 

 まず攻撃を仕掛けたのは受験者側。ディノゾールは流体焼夷弾の連射、ミズノエノリュウは頭部と尻尾からの電撃をギャラクトロンに向けて放つ。

 

「ゥゥーオオー」

 

 雨霰と降り注ぐ攻撃だが、ロボットだけありギャラクトロンに全く動揺はない。火炎弾も電撃も命中直前に魔法陣状のバリアを張って完全に遮断。

 

「キィィ!?」

「ギュオオ!?」

 

 さらには同時に右手を射出。ロケットパンチとしてディノゾールの反応するより早く頭部をおもいきり殴ってなぎ倒す。

 同じタイミングで目から破壊光線を放っており、ミズノエノリュウの水バリアを張るのがあと少し遅れていれば、大爆発に巻き込まれて大ダメージを受けていたであろう。それでも余波だけでミズノエノリュウの巨体が大分後退させられてしまった。

 

「んふ~~☆ ギャラクトロンちゃん、カンペキだね~~♪」

 

 見事な迎撃に満足したのか。嬉しそうな笑みを浮かべてデルピューニはロボット怪獣を褒めた。

 

「さすがギャラクトロン。そう容易く倒せる相手ではないか…」

「いや、こちらの怪獣のレベルがそう劣っているわけではない。それに2対1だ。付け入る隙は必ずある」

 

 ズール星人は残念そうに唸るが、そんな彼をファンタス星人が励ます。

 

「幸い、ここは川原。ミズノエノリュウの得意とする地だ」

「フン。ホームグラウンドというわけか。

 しかし、真の一流というものは場所など選ばぬものよ」

「フフ。それはレイオニクスバトルだけでなく、何事にも通ずることではあるな」

 

 こう会話している内に、ファンタス星人の頭の中では戦いをどう行うか、ある程度決まってきていたらしい。

 

「おしゃべりはそこまでにしてほしいカナ~☆ やっちゃえギャラクトロン!」

 

 会話にうつつを抜かす両者を見咎め、デルピューニは再びギャラクトロンをけしかける。

 

「ズール星人! ディノゾールを空に避難させろ!」

「…! 承知! 飛べディノゾール!」

 

 ズール星人はいきなりそうファンタス星人にそう求められたが、何か策があるのだと即座に気づき、素直に従った。主に命令され、ディノゾールは一旦空高くへと飛び上がる。

 

「ギュオオオオー!」

 

 ギャラクトロンの注意が空のディノゾールに向く中、ミズノエノリュウは両前足で何度も地面を叩く。何をしたいのかは分からないが、11万tの巨体の足踏みだけあり、辺り一帯が揺れ動いた。

 

「………?」

 

 デルピューニも敵の狙いが分からず、怪訝そうに見ている。そんな主をよそに、ギャラクトロンは再び右手を射出。空のディノゾールの流体焼夷弾と右手の砲塔との撃ち合いになる。

 

「それで、この後どうするつもりだ?」

「言わなくても敵を引きつけてくれたな。感謝する。

 ギャラクトロンは()()には滅法強い。今もディノゾールの攻撃を完璧に捌いているだろ?」

 

 2人が空を見上げると、ディノゾールは防戦一方であった。流体焼夷弾は右手の射撃で発射自体を潰されるか、あるいは成功してもバリアに阻まれる。奥の手の【断層スクープティザー】ですら、右手とバリアの併用で寄せ付けないのである。

 見えない舌での斬撃は不安定な体勢からは真価を発揮出来ず、ディノゾール自身でも制御しきれていない。そして、それをすぐに見抜いたからこそ、ギャラクトロンに出足を尽く潰されている。

 

「だが、今回は2対1。ミズノエノリュウの方は奴にかまわず動ける。

 そして、怪獣もロボットも、自然現象そのものには敵わん」

 

 そう自信ありげに呟くファンタス星人。そして、その根拠となる事象はすぐに起きた。

 ギャラクトロンの足元から突如水柱が噴き出し、足元が崩壊する。機械竜は反重力によって浮遊・退避しようとするも、ミズノエノリュウの念動力によって押さえ込まれた。

 

「ゥゥーオオー」

「キィィィィシュ!!」

 

 念動力で崩落した地盤に押し込まれ、体勢を崩してもがく機械竜。悪いことに関節の間に川原の砂利と泥水が入り込み、そのせいで四肢の駆動が制限されてしまう。強固な装甲のおかげで内部機器にダメージは及ばずとも、動きには精彩を欠いていた。

 その隙を突き、射出された右手との戦いをついに制したディノゾールが右手に激しく見えない舌を叩きつけ、地面に叩き落とす。傷だらけとなった右手はクローの先端が川原に突き刺さると、ダメージと故障を示すように電気系統を激しくショートさせた。

 

「ありゃりゃ。これはマズイかな~~……?」

 

 この状況を見たデルピューニは表情を曇らせる。そんな主の懸念を振り払うかの如く、ギャラクトロンは高等部のギャラクトロンシャフトを地面に突き刺して無理矢理体を起き上がらせると共に、目から破壊光線を発してミズノエノリュウに防御させた隙を突いて、ついに拘束から脱出する。

 

「ん~~………今の状況だと格闘戦はムリぽ………じゃあアレでいくかな~☆」

 

 何かを思いついたデルピューニ。それを実行すべく、ギャラクトロンは目と胸から光線を乱射、辺りを爆撃しまくる。空のディノゾールもこれにはどうしようもなく必死で躱しまくり、ミズノエノリュウも主達ごとバリアで包み、防戦一方であった。

 しかし、ギャラクトロンのターンはこれで終わりではなく、敵が手出し出来ぬのをいいことについに空へと飛翔。ギャラクトロンシャフトを上に向けながら全身にエネルギーを漲らせ、最強必殺技の【ギャラクトロンスパーク】の発射態勢となる。

 

「させん!」

 

 ミズノエノリュウはなんと突き刺さっていたギャラクトロンの右手を念動力で浮遊させ、そのまま機械竜に投げつける。

 

「………………」

 

 しかし投擲速度はそこまで早くなく、機械竜はギャラクトロンシャフトの一撃であっさり払い除けてしまった。さらに悪いことに、これで機械竜は右手の制御を取り戻し、本体の元に収まってしまう。

 だが、ギャラクトロンは高い計算能力を持ちながら、ここで2つ見落としていたことがあった。1つは右手の制御を取り返すことを優先したことによる機体の明確な硬直――僅かだが明確な隙。そしてもう1つは、払い除けた際に曲げたシャフトの位置――大きく曲げられたことで剥き出しになった多数の関節部であった。

 

「!!??」

「嘘でしょ!?」

 

 その瞬間を背後に回ったディノゾールは見逃さなかった。見えない舌を何度も高速で振るって関節部に叩きつけ、ギャラクトロンシャフトを膾切りにしたのである。

 さしものデルピューニもこれには驚愕し、一瞬だが呆然としていたせいで対応が遅れた。ディノゾールはこの隙もまた逃さず素早く機械竜に背後に組み付き、そのまま全力で下に飛んで地面に叩きつける。

 

「ゥゥーオオー」

 

 呻き声にも聞こえる駆動音を上げながら立ち上がろうとするも、ディノゾールには密着状態から損傷部に見えない舌を叩きつけられまくる。ギャラクトロンもこれにはたまらず黒いオイルを漏らして全身を黒く汚しながら必死でもがく。

 けれども必死の努力も実らず、ここでギャラクトロンはついに首がもげてしまう。それでも極めて高性能なロボット怪獣故、これでも機能停止には至らない。左腕のギャラクトロンブレードを振り回しながら、胸からの収束破壊光線を発射しようとする。

 

「ギュオオオオー!!」

 

 ミズノエノリュウの咆哮と共に再び激しい水柱、さらには川の水が溢れ出したかと思うと、鉄砲水となってギャラクトロンに襲いかかる。万全の状態なら簡単に躱せたかもしれないが、悪意や敵意などそもそもない自然現象にはギャラクトロンの反応も遅れてしまい、そのまま呑み込まれてしまった。

 そうして損傷部から多量の水が流れ込んでしまったことで、精密機械であるギャラクトロンもようやく機能停止を起こして沈黙したのだった。

 

「結局ここまでやってしまったか……こうなっては仕方ない。念には念を入れておこう」

「某も同意見だ」

 

 両者共、一応捕獲するつもりもないわけではなかったが、流れでここまで壊してしまった。しかし、ギャラクトロンは生物でないロボットなので、ここまで壊されてもまだ動く危険があった。ここでレイオニックバーストでもされて復活し、最後の最後で激しく抵抗されてはたまらない。

 よってミズノエノリュウの電撃光線とディノゾールの流体焼夷弾が同時にギャラクトロンの残骸に叩き込まれ、頑丈なシビルジャッジメンターも大爆発。ついに木っ端微塵となったのだった。

 

「あら~~………」

 

 ギャラクトロンが負けるとは思っていなかったようで、デルピューニも唖然とし、開いた口が塞がらない。

 

「試練は合格かな?」

「フン、阿呆面さらしよって。随分甘く見られていたものだな!」

 

 ギャラクトロンを相手にしながらも、勝って当然の勝負と言わんばかりの態度の両者。とはいえ、これぐらいの自信と豪胆さがなければ勝ち抜けないのがレイオニクスバトルと言うべきか。

 

「ん~~………合格……って素直に言うのも面白くないんだよねショージキ~~……」

 

 しかし、2人のそんな態度が癪に障ったのか。差し向けたロボット怪獣が撃破されたにもかかわらず、デルピューニは指を突き合わせ、下半身の蛇体をくねらせながら渋っていた。

 

「甘く見すぎたのはさすがにコッチのミスだけどね~~。じゃあ追加でいってみよーかぁ~~☆」

「ハァ!?」

「ふざけるな!」

 

 ここで出した結論はなんと試練の追加。さすがに2人もこの理不尽な結論には憤慨し、抗議した。だが、それを聞くような女ではなく、笑顔でネオバトルナイザーから2つの光を放つ。

 

『バトルナイザー、モンスロード!』

「ピロロロピロロロ」

 

 巨大機械人形(メカロイド) ゴブニュ(オグマ)

 

 かつてウルトラマンティガと戦ったロボット怪獣。理由は不明だが、マキシマオーバードライブの技術を得た文明を攻撃、開発を妨害しようとする何者かによって造られたロボット兵器にして、その最強の機体。宇宙空間を漂う機械島の番人のような存在でもある。

 地味で無骨な見た目をしていた他の機械人形と異なり、体全体が機械島の一部で出来ているせいか左右非対称の歪で奇怪な姿をしている。特に頭部の右側は複雑な紋様が刻まれた非常に歪な石碑のような形状である。右腕・左足もまた同様の紋様が刻まれている。

 動きは鈍いが、体表に帯びた高圧電流及び装甲材質が機械島と同じ特殊金属で出来ているため、防御力が非常に高い。さらには800万馬力という桁外れのパワーを誇り、尖った頭部で繰り出す頭突きも強力である。そして格闘一辺倒ではなく、頭部から電撃を放って遠距離攻撃も出来る。

 

「ウォォォォ……」

 

 侵略変形メカ ヘルズキング

 

 かつてウルトラマンコスモスと戦ったロボット怪獣の別機体。元々は地球征服を企むベリル星人が送り込んだ侵略兵器であり、金属で出来たテトラポッドに似た飛行用の第1形態から、直接戦闘用の人型ロボットタイプの第2形態へと変形する能力を持つ。

 暗い青の体色、いくつもの角が水平に生えた笠型の頭部、金色のモノアイ、肩・胴体・大腿部の甲殻類型の装甲、赤い四本指、収納式の両手のビームキャノン【ヘルズガン】が特徴。

 戦闘能力は数あるロボット怪獣の中でもかなり高い方で、コスモスにも劣らぬ素早い身のこなしを見せる。防御力も非常に高く、コロナモードのコスモスに一方的に殴打されまくろうが光弾を何発受けようが身じろぎせず、殴り返して反撃した際は逆に一撃でコスモスを吹っ飛ばしている。ヘルズガンの連射速度も凄まじく、コスモスを圧倒した。

 ただし喉の辺りは弱点となっており、ここを攻撃されると機体制御に支障をきたす…のだが本機は新たに追加されたコルセット状の装甲板でそこを囲って塞いでおり、弱点を克服した。

 

「次から次へと…」

 

 予期せぬ連戦に苛立った様子でズール星人は吐き捨てる。

 

「仕方ない」

 

 一方、ファンタス星人は諦めていたのか、逆に冷静であった。

 

「よかろう! ディノゾール、このガラクタどもを再利用も出来ぬスクラップにしてやれ!」

「キィィィィシュ!!」

「ミズノエノリュウ、悪いがもう1戦といこう!」

「ギュオオオオー!!」

 

 うんざりしていたのは怪獣達も同じ。故に戦意は鈍らない。

 一気に畳み掛けようと、ディノゾールは流体焼夷弾を発射するもヘルズキングはヘルズガンの連射で相殺し、ミズノエノリュウは電撃光線を発射するも直撃したオグマは平然としていた。

 

「キヒヒヒヒ」

 

 可憐な顔のくせに、蛇女は目を細めて不気味に笑う。

 先ほどギャラクトロンは不覚を取ったが、今回は油断しないから負けることはない。そう言いたげな腹立たしい顔であった。

 

「ウォォォォ……」

「キィィィィシュ!!」

 

 ヘルズガンの連射速度・威力共に、ディノゾールの流体焼夷弾を遥かに上回っており、撃ち合いではこちらが負けてしまった。相殺しきれなかった光弾がディノゾールの各所に命中し、宇宙斬鉄怪獣は悲鳴を上げる。

 ならばと次は飛行し、死角を突く作戦へと移行するが、ヘルズキングはウルトラマンコスモスと格闘戦においても圧倒したほどの身のこなしを見せたロボット。飛行しながら自由自在に撃つ焼夷弾に対しても、こちらは身軽な動きで躱しながら光弾を連射し、全く隙を見せなかった。

 

「ぬ! なんて奴だ…」

 

 けれども、ディノゾールはサードステージに進出したほどの歴戦の怪獣。そんな撃ち合いの中でも命中時の爆炎に紛れ込ませ、見えない舌での斬撃を繰り出していた。しかし鉄筋コンクリート造のビルさえ簡単に切り裂くディノゾールの舌も、ダイヤモンドを遥かに上回る異常な硬度の装甲には傷をつけることも叶わず、逆にさらなる連射の餌食となる。このように相棒の最大の武器が通じなかったことは、ズール星人は信じ難かった。

 

「ピロロロピロロロ」

「ギュオオ……!!」

 

 ミズノエノリュウの電撃光線の連射を体中に浴びながらも、オグマが構わず進んでくることにファンタス星人も地の龍も驚いていた。どうやら機体を構成する特殊な金属が電撃を吸収しているらしく、ダメージどころかエネルギー源にされているらしかった。

 ならばと今度は念動力に切り替えオグマの体勢を崩そうとするが、なんと持ち上げられながらも先ほど吸収した電気でパワーアップした電撃を撃ち返す。自分の吐くものを上回る大電流をまともに浴びたミズノエノリュウも思わず怯んでしまい念動力を中断、その隙を突いて機械人形は大地の龍に組み付く。

 

「やるな…」

 

 800万馬力の絶大な腕力は自身の倍近い重さ、11万tもの巨体を軽々とリフトアップし、そのまま投げ飛ばす。ミズノエノリュウが受け身を取れず転がされたありえない光景には、ファンタス星人も逆に称賛してしまったほどだった。

 

「うんうん。イイカンジ~☆」

 

 2体のロボットが敵怪獣を圧倒するのを見て、デルピューニもようやく溜飲を下げたらしく、顔をほころばせる。

 

「お楽しみのところ申し訳ないが、またスクラップにさせてもらおう」

「は?」

 

 しかし、そこでファンタス星人が挑発してきたため、再びデルピューニが真顔に戻る。

 

「…ゴブニュ! ヘルズキング! あーしはお腹ペコペコなの! さっさと殺っちゃってよ!」

 

 空腹で苛立つデルピューニはこの試練にさっさとけりをつけるべく、ネオバトルナイザーでロボット達に指示を出す。

 

「ピロロロピロロロ」

「ウォォォォ……」

 

 ロボット故、主の幼稚な命令にも疑問を抱かず、2体はすぐに実行しようとする。

 

「私達の怪獣は君の餌にはならない」

「化け物め。川原の石でも食っていろ!」

「アァ!?」

 

 しかし敵は怯まず、また挑発してきた。今まではギャルっぽく振る舞っておどけていたが、本来の性根はラミアネロ星人らしい獰猛凶悪なデルピューニは我慢ならず、ついにブチキレてしまった。

 

「それが君の正体か……可愛い顔をしていたのにな」

「醜いな」

 

 激怒したデルピューニの目は逆転した白黒目に変わる。さらには頬が裂け、現れた牙の生え揃った口からダラリと蛇らしい長い舌が伸びる。

 普段の人懐っこい笑みに隠されていた、ラミアネロ星人の本性であった。その変わり様には宇宙人2人も思わず嫌悪感を見せた。

 

「あー、もうムカつくッッ!! さっさと殺してやるっ!!!!」

 

 もう遠慮はしない。試験官の役目など知るものか。

 そう言わんばかりに、デルピューニの全身から大量のレイオニクスパワーが迸る。

 

「ピロロロピロロロ」

 

 巨大機械人形(メカロイド) ゴブニュ(オグマ)(レイオニックバースト)

 

「ウォォォォ……」

 

 侵略変形メカ ヘルズキング(レイオニックバースト)

 

 ロボット達の装甲が若干赤みを帯びると共に、その戦闘能力を大幅にパワーアップさせる。

 

「上等だ!!」

「面白くなってきたではないか!!」

 

 敵のパワーアップにレイオニクスとしての矜持が触発されたか。ファンタス星人とズール星人もまた全身からレイオニクスパワーを迸らせ、怪獣達に注ぎ込む。

 

「ギュオオオオー!!」

 

 地帝大怪獣 ミズノエノリュウ(レイオニックバースト)

 

「キィィィィシュ!!」

 

 宇宙斬鉄怪獣 ディノゾール(レイオニックバースト)

 

「面白いじゃん! わざわざ苦しんで死ぬつもりなんてさァ!!」

 

 同じレイオニクスでも実力差があることを皮肉り、蛇女はそう嘲笑ったが、2人の戦意は変わらない。

 

「言ったはずだ。2対1だと」

「つまり、そちらの苦痛は2倍だということだ!」

 

 例え向こうの方がレイオニクスとして実力が上だとしても、それでもこちらが押し切れる。2人はそう確信していた。

 

「それは単なる勘違いじゃんね! いきな、お前達ィ!!」

「ピロロロピロロロ」

「ウォォォォ……」

「ギュオオオオー!!」

「キィィィィシュ!!」

 

 互いにレイオニックバーストが発動した以上、下手な小細工は無用である。4体は真正面から激突した。

 ゴブニュの右フックにミズノエノリュウが顔面をぶん殴られてよろけるも、今度は向こうが衝撃波を放ち、機械人形はモロに浴びてよろけるも踏みとどまる。だが、すかさずここでミズノエノリュウの尻尾の何本かが伸びて頭部の4つのランプに執拗に噛みつくと、やがて破壊してしまう。それで機械人形が一瞬怯んだ隙を突き、手足に尻尾が噛みつき、引き千切ろうとおもいきり引っ張る。

 ヘルズキングはヘルズガン、ディノゾールは流体焼夷弾を互いに連射、相殺の結果大爆発を起こす。そして爆炎の中を掻き分け両者はぶつかり合う。ヘルズキングが左前蹴りで叩きつけて蹴飛ばすも、今度はディノゾールが2本の細長い尻尾を左足に絡みつかせて持ち上げてから地面に叩き伏せ、そのまま胸部の装甲目がけての踏みつけを敢行。装甲越しとはいえ弱点を狙い、執拗に繰り返した。

 

「鬱陶しいんだよ!!」

 

 激昂したデルピューニの叫びと共に、ゴブニュとヘルズキングは馬鹿力を発揮して拘束を突破。両者共敵の顎に右アッパーを叩き込んで殴り飛ばす。

 さらには追撃として両者は電撃とヘルズガンを放ち、怪獣達を苛む。

 

「うぐぐっ……」

「ぐおおっ……」

 

 宇宙人2人もレイオニックバースト発動の代償として受けたダメージが跳ね返り、地面に倒れて苦しんでいた。今はまだ持ちこたえているが、これ以上ダメージを怪獣が受け続ければ、リンクしている2人もまたそのまま死ぬだろう。

 

「キャハハハハッ!! このまま苦しみ抜いて死んでいきな!!」

 

 ハイになって哄笑しながら、レイオニクス達の最期を堪能しようとする蛇女。

 

「……ミズノエノリュウ!」

「……ディノゾール!」

 

 しかし、当然黙って殺されるような連中ではない。

 2人がそれぞれバトルナイザーで指示を下すと、倒れるディノゾールは見えない舌を、ミズノエノリュウは念動力をそれぞれ発動する。

 

「ピロロロピロロロ……!!??」

「ウォォォォ!!??」

 

 見えない舌がヘルズキングに絡みついて無理矢理体の向きを変える。そして同じくミズノエノリュウの念動力もまたゴブニュの向きを変えてしまう。

 そうして、ロボット2体は互いを向いた状態で攻撃をしてしまい、ヘルズキングに電撃が、ゴブニュにはヘルズガンの連射がそれぞれモロに直撃してしまう。さらに最悪なのは、追加装甲も金属なのでそのまま感電して弱点に届いてしまい、ヘルズガンも所々壊れて内部構造が露出した状態で直撃したので、互いにとどめとなってしまったのである。

 そうしてヘルズキングもゴブニュも全身から激しく火花を吹き出しながら仰向けに倒れ、そのまま呆気なく大爆発を起こして粉々になったのだった。

 

「ガッ………!!?? ウ…ウソでしょォォ~~~~~~!!??」

 

 勝利を目前にしながら、敵の決死の反撃により、手駒のロボット怪獣が敗れたデルピューニは愕然とした表情で倒れる。歴戦のレイオニクスとしての判断力で、直前でリンクを切ったが、それでも死を免れただけにすぎず、肉体は大ダメージを受けていた。

 

「……言ったはずだ! こちらの負担は半分」

「…そして貴様の苦痛は2倍だとな!」

 

 勝利と共に攻撃から解放され、レイオニクス2人はよろよろと立ち上がる。こちらもダメージはかなり残っているが、それでもああ豪語するだけあり、なんとか動ける程度で済んでいた。

 

「ふ…ふざけんじゃないよ下等生物どもォォォォ!! このあーしがみっともなく地面に這いつくばるなんてあっていいはずがないんだァァァァ!!!!」

 

 元はエンペラ軍やグア軍団にも並ぶ大組織のNo.2。2度の敗北を信じられない彼女はギャルのような軽薄さの裏に隠されていたプライドの高さを垣間見せ、口汚く叫んだ。

 

「あーしに恥かかせやがって………生きて帰れると思うなよォォォォ」

 

 煮え滾る怒りのまま、倒れたデルピューニは白黒目を見開き、震える手でネオバトルナイザーを空に向ける。

 

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるッッ」

『バトルナイザー、モンスロード!』

 

 現れたのは先ほどまでと異なり生身、正真正銘の生物である2体の怪獣であった。

 1体はやや細く赤い体をした、やたら長い首の翼竜のような怪獣。そしてもう1体は逆に非常にずんぐりとした水色の体をした、アザラシとカメが合わさったかのような怪獣だった。

 

「ギュルルルル」

「グロロロロ」

 

 伝説宇宙怪獣 シラリー

 伝説深海怪獣 コダラー

 

 かつてウルトラマングレートが最後に戦った2体の怪獣にして、四次元怪獣ブルトンが召喚した並行同位体。人間の環境破壊に怒った地球そのものが人類を滅ぼすために宇宙と深海からそれぞれ呼び寄せたという破滅の使者である…が、2体共レイブラッド星人、さらにはその部下のデルピューニの走狗へと成り果ててしまった。

 シラリーは赤い体色をした、異様に長い首と大きな翼、2連装の砲塔状の両手が特徴の細身の翼竜のような姿。コダラーは水色の体色をした、非常にずんぐりとした体躯の二足歩行のアザラシのような姿である。

 2体共その強さは凄まじく、かつてグレートを敗北寸前まで追い詰めている。デルピューニも切り札としており、本気でレイオニクスバトルを行う時しか召喚しない。

 

「くっ…」

「チッ…」

 

 3連戦の後で最強怪獣を召喚してくるなど、試練としてもきつすぎる。しかし、向こうは完全にこちらを殺す気なのだから、戦うしかない。

 

「「!」」

 

 しかし、デルピューニが安易に最強怪獣を召喚したことは、逆にこの2人にとっては最後の幸運となった。

 その強すぎるエネルギーに惹かれ、またも空が虹色に輝き出したのである。そしてワームホールから湧き出た大量の歪な球体が、最強怪獣へと殺到した。

 

「こんなタイミングで現れやがってぇぇ……あーしの邪魔をする奴は全員殺してやるッッ」

 

 最悪のタイミングで邪魔しに来たスフィアにデルピューニは激怒するが、元々スフィアを殺すのが今の任務でこの2人への試練云々は余興でしかない。スフィア抹殺があくまで本命であり、あの2人を無視してもシラリーとコダラーにスフィアの抹殺を行わせる他なかった。

 

「「戻れ!」」

 

 シラリーとコダラーをスフィアが足止めしている間、2人は相棒をバトルナイザーに回収。これ以上理不尽な試練に付き合ってられぬと逃げ支度を始める。

 

「送ってやろうか?」

「いいや、そこまで世話にはなれん」

 

 ファンタス星人は逃走手段がないなら共に逃げるかズール星人に尋ねるも、宇宙参謀は頭を振る。

 

「今日はここまでのようだ。貴様には借りが出来た。

 だが、覚えておけ。レイブラッド星人の後継者となり、全宇宙を制するのはこのズール星人! そして貴様を倒すのもまた某よ!」

「フッ、いいだろう。だが、この次もまた私が勝ってみせる」

 

 そうして2人は再戦を誓い合うと、ズール星人は左手首のテレポート装置で、ファンタス星人はUFO内で待機していたベロンに連絡。最強怪獣とスフィア達の戦いに巻き込まれない内に、共にテレポートでこの地を去ってしまう。

 

「あっ!!?? チクショォォォォ逃げやがった!!??」

「ギュルルルル」

「グロロロロ」

 

 デルピューニが目を見開いて驚くも、後の祭りである。こうして獲物に逃げられたデルピューニは、結局やって来たスフィアを皆殺しにすることしか出来なかったのだった。




用語解説

 喰獣蛇鬼(しょくじゅうじゃき) ラミアネロ星人デルピューニ

 二つ名は“毒蛇姫(どくじゃひめ)”。ラミアネロ星のレイオニクスにして、かつてパイトン・ファミリーを率いた“毒蛇女帝”ラミアネロ星人パイトンの妹にして組織のNo.2。エンペラ星人との戦争で姉は敗死し、ファミリーも瓦解するも、彼女はエンペラ軍の魔の手から逃げ延びることが出来た。失意の中宇宙を彷徨う中で、レイブラッド星人に出会い、レイオニクスとなって仕えることとなった。
 ラミアネロ星人らしく鱗に覆われた下半身の蛇体と肩甲骨から伸びる巨大な副腕は共通だが、上半身は他の個体と違い、鱗などない人間型種族(ヒューマノイド)じみたものとなっている。また面立ちはかなりの美少女(地球人でいう高校生ぐらい)であり、他の人間型種族と比べても美貌は際立っている。他に上半身と下半身の境まで伸びるストレートロングの金髪、橙色の瞳、やや白い肌、大きな胸とくびれた腰というスタイル抜群の見た目が特徴である。また蛇体の鱗はクリーム色の混ざった薄い黄色であり、これもラミアネロ星人としては珍しい色合い。
 (上半身は)可憐な見た目をしているが、戦闘能力はラミアネロ星人全体で見ても突出している。口から吐き出す強酸はあの無双鉄神インペライザーの装甲すら一撃で溶かして再生不能に追い込むほど。口から吐く電撃光線の威力は巨体から繰り出されるだけあってさらに凄まじく、ウルトラ兄弟の必殺光線すら上回るほどで、マガタノオロチのマガタノ迅雷やルーゴサイトのゲネシスレクイエムをも凌ぐ。
 エンペラ軍との戦争時には全長400m、今では死んだ姉に匹敵する700m以上と並の雌の数倍であり、そこから生み出される膂力も桁外れで、姉と共にヤプールの超獣軍団を苦も無く殲滅・捕食したほど。現時点での戦闘能力は最強怪獣クラスにも匹敵するほどであるが、残念ながらそれでもエンペラ星人やレイブラッド星人にはまだまだ及ばないレベルのようで、今の主人には大人しく従っている。
 またレイブラッドの遺伝子による後天的なものか、ラミアネロ星人にしては珍しく縮小能力を始めとする、ある程度の超能力を扱える。通常のラミアネロ星人は尻尾の先端のみの限定的な変身能力なのだが、彼女は全身を化けさせることが可能で、やろうと思えば二足歩行の宇宙人に化けられるらしい。
 性格は一見ギャルっぽい剽軽・軽薄に見えるが、それは相手を油断させる表面的なもので、実態は気まぐれで短気かつ残忍、そして猟奇的で極めて食欲旺盛。ラミアネロ星人らしく目の前の生物をまず食べれるか否かで判断し、食べれない生物には素っ気ないが、食べられる生物には興味を持つ。本人は会ったことはないが、地球人ですらその捕食対象に入るだろう。
 とはいえ、長年巨大組織のNo.2を務めただけあって他のラミアネロ星人よりはまだ話が通じる面もあり、出会った生物は全て食べるわけではない“理性”もまた備えている。本人も長年生きたことで他の知的生命体の振る舞いや文化なども学んでおり、そこに対しての理解も見せる。
 意外にも運営側のレイオニクスの試験官として職務には忠実だが、実態は相手のレイオニクスを打ち負かし、怪獣を食べるための大義名分のようなもの。ファンタス星人(RB)とズール星人(RB)にギャラクトロンが負けても負けを認めなかったのは、彼等の所持する怪獣を食べたかったからという単純な理由であった。
 また、レイオニクスバトルに敗れた自分の怪獣も罰として捕食していたようであり、それもあってか使役怪獣からは恐怖されている。ただし所持している怪獣は食用にはならないロボット怪獣が多く、罰を与える機会自体はかなり少なかったようである。
 戦闘能力だけでなくレイオニクスとしても優れていたらしく、所持するバトルナイザーはネオに進化している。一方で試練中はほぼギャラクトロンに任せていたように、自らの強大さ故か敵を侮る悪癖があるようで、ギャラクトロンが2対1とはいえあっさり敗れたことについては驚いていた。しかし、同僚のペルフェクト星人と違い負けを認めず、往生際悪く次の怪獣を投入している。
 そのペルフェクト星人とは折り合いが悪く、互いに嫌味を言い合い、見下し合っている。しかしレイオニクスとしての実力は向こうが上で、かつギガバトルナイザーを主人から与えられたことを嫉妬している。
 とはいえ元々自身の姉と宇宙の覇権を賭けて争いあった宿敵であるレイブラッド星人に対しての忠誠心はゼロで、単に利害の一致で手を組んでいるにすぎない。職務に忠実なのも単に怪獣を食べるための大義名分で、かつ主人を蔑ろにすれば粛清されることを理解しているからである。
 レイブラッド星人に従っているのも、向こうからの『手下になって働き続ければ、姉を蘇らせてやる』という申し出を受けたため。主人の本心はともかく、ペルフェクト星人ほどではないが強大な怪獣を与えられるなど、相応の厚遇を受けている。
 尚、彼女自身は知らないが、レイオニクスバトルの参加者でなく運営側にされたのは、その性格故参加者になればまともなバトルなどせず、まず相手の暗殺にかかるという面をレイブラッド星人に問題視されたため。そしてその特別扱いを受けるほどにはレイオニクスとして才能があり、また肉体の強力さもあってレイブラッド星人の器候補とされている。ただし、そんなことを知れば本人は絶対裏切るであろうから当然知らされていない。
 姉との仲は非常に良く、仲良く餌を喰らい、共に星を滅ぼしてきた。そんな姉を殺したエンペラ星人を非常に憎んでおり、エンペラ軍残党もまたその憎しみの対象である。
 一方で、そのエンペラ星人を撃破したというウルトラマン達、そして前述の通り自分の捕食対象になるであろう脆弱な種族のはずなのに、ウルトラマンと共に皇帝を倒した地球人達には複雑な思いを抱いている。

 喰獣蛇鬼 ラミアネロ星人(種族)

 怪獣を常食するほどの凶暴性と狡猾さ、そして並の怪獣を凌駕する巨躯と戦闘能力を誇ることで知られる超巨大種族。M78スペースでも屈指の生物の生息数と生存競争の激しさで知られる熱帯気候の巨大惑星ラミアネロ星の頂点捕食者で、宇宙怪獣ですら本種に捕食されるのを恐れてラミアネロ星には近づかないほどである。
 地球の蛇に似た爬虫類から進化した種族。そのため下半身は鱗に覆われた蛇体そのもので、上半身は爬虫人類(レプティリアン)じみたもの…なのだが個体差及び進化が激しく、最近はそれに当てはまらない個体も現れ始めている。現にパイトンとデルピューニは上半身は完全に人間型種族(ヒューマノイド)で、顔立ちを含めて既存の個体と全く異なる。彼女等は上半身に鱗はなく、顔立ちや皮膚の質感、髪の毛や体毛の生え方、体型も地球人そっくりであり、表情も他の個体に比べ豊かである。
 ちなみに肌・鱗・体毛の色も個体差が激しく、パイトンは暗めの青髪に水色の肌、黒みがかった紫色の鱗だが、デルピューニは白人種にも似たやや白めの肌色に金髪、そして黄色の鱗となっている。これらの特徴の差から、各個体の識別は容易である。
 とはいえ、肩甲骨から伸びた(灰色の甲殻に覆われ、巨大だが細長い)副腕と、その先についた巨大な掌、長大で鋭い爪の生えた5本指は全ての個体に共通する特徴となっている。この副腕を地面につきながら蛇体をくねらせ、地面を這うことで高速移動が可能。また、巨体を誇りながら間近まで接近しても気配を感じさせない隠密性も持っており、餌となる怪獣の不意をつくことが可能である。一方、本来の腕は腕力のいらない繊細な作業(筆記具で文字を書く・機械の操作など)に用いられる。
 巨体だけあって並大抵の怪獣を圧倒する膂力・戦闘能力があり、巨大かつ怪力を誇る副腕の爪での薙ぎ払いで大抵の怪獣は一撃でバラバラに引き裂かれる。長い蛇体を巻きつけての締めつけ攻撃も強力で、相手はすぐに全身の骨が粉々に砕け、あるいは絞め殺されてしまう。
 犬歯からは出血毒と神経毒を混合した強烈な猛毒を注入することも可能で、また口から直接強酸性の毒液を吐きかけることも出来る。それだけでなく、口から強力な電撃光線を吐く者もいるが、これが出来る個体は成体かつ雌雄でも特に巨体かつ戦闘能力の高い個体に限られるようだ。
 ちなみに尻尾の先端は“疑似餌”となっており、部分的な変身能力を持つ。これを餌となる怪獣を誘き寄せる最適な形、例えばその種の餌となる動物や雌個体の上半身などに変身させ、本体は茂みや地下に隠れながら餌を誘き寄せる。ただし知的生命体相手には初見ぐらいでしか通用せず、その場合でも違和感を見抜かれて警戒されることが多いという。
 蛇に似た種族であるが、口の構造の問題もあってか餌の丸呑みは出来ないようで、副腕での一撃で獲物を引き裂き、肉片にして食らう。ただし、怪獣ならば全て餌というわけではなく、岩や金属などの無機物主体の怪獣などは好まない。また、等身大の状態ならば地球人を始めとする知的生命体すら餌にする危険があるが、餌の選り好みや大きさが小さすぎることもあってか、これらも余程空腹などでない限りはまず食べないようである。
 食性が怪獣を主な餌とする完全肉食性だけあってか、性格は凶暴残忍かつ狡猾。一方で思考は原始的であり、目の前の生物をまず食べれるか否かで判断する。ただし前述の通り頂点捕食者なので(餌とする生物の種類こそ多いが)餌には選り好みの気があり、好みでない生物はそこまで関心は抱かない…が、前述の残忍さから()()()()、あるいは敵意を抱いてしまった生物に関してはその限りではない。ちなみにこのような性格ではあるが同種間では割と協調性自体はあるらしく、気の合う同性の個体同士で集まって群れることもあるという。
 地球の爬虫類同様、雄より雌の方が巨大になる種族であり、平均的な雄の成体が100mほどの大きさなのに対し、雌の成体は200mほどになる。ただしデルピューニやパイトンのように数倍の大きさとなる例もあり、大きさの上限は不明。寿命は少なくとも1万年以上に及ぶようであり、ある星の生物学者の見解によれば、一生成長を続けると思しき生物なので歳を重ねれば重ねるほど巨大になるという。
 ただし、このように生物として極めて強大であるが、言い換えればその強力さ故に文明や道具なども生きる上で一切必要としないということ。そのため、異星人からその存在を発見された当初は、文明や科学技術どころか道具すら持たない極めて原始的で野蛮な種族で、知的生命体でなく高い知能を持った怪獣として分類されており、当時の名は『ラミアネロ星()』であった。そして皮肉にも、生物としては最強クラスでありながら、高い科学力を持った異星人に対しては抗しきれず捕らえられてしまうこともあった。
 彼等が宇宙に進出したのは、ある無節操な異星人の怪獣捕獲業者の一味の仕業によるもの。ある時ラミアネロ星にやって来た彼等はラミアネロ星人の数個体を捕獲し、大型宇宙船で他の星へと連れ去ってしまったのである。それから顧客に強力な生物兵器として高値で売り飛ばしたのだが、元々強力かつ極めて凶暴で調教するには全く不向きな生物。制御しきれず飼い主側にも被害を出したり、あるいは逆襲して殺害したりした。
 そうして異星人達による幾度かの拉致を経て、ラミアネロ星人は星間戦争で投入されて敵(あるいは味方)に大損害を出したり、あるいは移送先で飼い主を殺害、その星に野生化して外来種として居着いたりするようになった。そして年月が経つにつれ彼等は宇宙の各所に流れて居着き、誰にも制御出来ずに暴れながらも、その傍ら言語(宇宙共通語)や文字、他の文化を学習し、異種族とコミュニケーションを取れる知性を持った個体が現れ始めたのだった。

 パイトン・ファミリー

 ラミアネロ星人パイトンが立ち上げた悪の組織。その規模はヤプールやマグマ星侵略軍、ガルタン軍を遥かに凌ぎ、エンペラ軍やグア軍団に並ぶ。そしてそれらすら超える残虐にして野蛮な組織として宇宙に遍くその悪名を轟かせた。
 その起源は外宇宙に進出し、それらの異星に居着いたラミアネロ星人の子孫の中で、際立って巨体で凶暴でありながら知性も高く、さらには人間型種族に似た姿へと突然変異で進化したパイトンとデルピューニという姉妹が現れたことによるもの。成体となった彼女等は飼い主達を殺し、生まれた惑星の生態系も捕食行為で滅ぼした後、なんと飼い主達を真似て悪の組織を立ち上げたのである。
 しかし、実情は『姉妹の食欲が凄すぎて故郷での食える餌を全部食い尽くして餓死しそうになったため、とりあえず宇宙船を奪って他の星に移動して、そこでも同じことを繰り返していたら、段々それを利用しようとする悪い奴が他の星からたくさん集まってきて、その内組織の首領として勝手に祭り上げられた』というものだった。
 知的生命体に進化したての怪獣もどきが悪の組織を立ち上げる(厳密に言えば本人達も訳も分からぬ内に勝手に出来た)というのも前代未聞の話であるが、それでも彼女等の組織『パイトン・ファミリー』は破竹の快進撃を見せて勢力を拡大した。
 星々へ強大な武力による侵略を繰り返したのは他の悪の組織と同じだが、獣性丸出しの姉妹達が首領故あくまで殺戮・破壊・略奪に終始し、支配に関しては興味がなかったのが最大の特徴にして他の勢力との決定的な違い。襲われた星では住民を丸ごと滅ぼし、惑星の環境も(パイトンの食欲と凶暴性が主な原因で)文字通り荒廃させてしまうため、復興もほとんど不可能な状況に追い込んでしまう。
 また悪の組織の中でも非常に凶暴・好戦的な質で、他の組織との抗争を日常的に繰り返していた。それによって壊滅あるいは吸収された他勢力も数多く、それだけ恨みを買っていたが、頭目のパイトンの圧倒的戦闘能力に抗える者は存在しなかったため、悲劇が止まることはなかった。
 そんな勢力拡大の途上、異次元人ヤプールの支配星域を巡って戦争となるが、パイトンは先手を打って支配下の惑星に攻め込む。とはいえヤプールも敵の動きを察知し超獣軍団で迎え撃たせたのだが、パイトンとデルピューニによって丸ごと捕食・殲滅され、その星の住民諸共滅ぼされてしまう。この大敗に加え、支配下の他の星々までも攻め込まれ同様に壊滅状態にさせられたことで、ヤプールはついにこれらの星系の支配を諦め、撤退せざるをえなかった。
 ヤプールを追い出して程なく、次いでその凶暴性を危険視したギルバリスとも小競り合いになるが、送り込まれたギャラクトロン軍団を粉砕し、これも撃退。一部の残存したギャラクトロンを修理し自軍の戦力として加えている。
 そのように宇宙の悪の勢力達に喧嘩を売りながらも勝ち続け、瞬く間にパイトン・ファミリーはエンペラ・レイブラッド・グア軍団と並ぶ、宇宙の暗黒街の四大勢力の一角として数えられる組織に成り上がった。だが、エンペラ軍との小競り合いから端を発した、エンペラ星人との全面戦争の末、パイトンはついに討ち取られ、デルピューニも逃走を余儀なくされる。
 しかし結果は敗死したとはいえ、襲いかかったメフィラス星人・デスレム・グローザムら暗黒四天王をパイトンは正面から蹴散らし、エンペラ星人も(性能を試せる機会・相手として絶好なのもあるが)最後にはアーマードダークネスを装着して戦ったほどの暴れぶりを見せたという。
 こうして組織の頭目であるパイトンを失った組織は即座に瓦解するも、デルピューニは生き延び、しばらくのちレイブラッド星人に拾われてレイオニクスとなって仕えることとなる。
 …尚、余談ではあるが、パイトン・ファミリーは早すぎる勢力拡大の弊害で他の三軍団以上のブラックな組織体質であったらしい。任務に失敗した者は罰としてパイトンに貪り食われたという有様であり、パイトン自身はエンペラ星人のようなカリスマが無かったのもあってか、部下には心から忠誠を抱く者はいなかったようである。
 そして部下達もパイトンに恐怖しながらも、その圧倒的戦闘能力を利用し甘い汁を吸おうと集まった寄生虫のような輩ばかり。姉妹にとって心から信頼出来る者は1人もおらず、大多数の構成員を抱えながら、彼女達は皮肉にも孤独であった。しかしながら、姉妹がその事実に気づくことは最後までなかった。
 それともう1つ余談ではあるが、ラミアネロ星人達は意外にもウルトラマン達と遭遇・交戦する機会はなかったようではあるが、その齎した被害の大きさと悪評自体は知られていた。宇宙Gメンやギャラクシーレスキューフォースなどからも要注意種族として警戒されていたようである。
 一方でパイトン・デルピューニはウルトラマン達を自分達にも並ぶ強大な種族として認識していたらしく、好戦的な彼女達には珍しく遭遇・交戦するのは出来るだけ避けたがっていた。事実、エンペラ星人・グア軍団はウルトラマン達に滅ぼされ、ウルトラマンベリアルの反乱の失敗もあってかレイブラッド星人も長い雌伏を余儀なくされたため、その見立ては正しかったと言える。

 巨大機械人形(メカロイド) ゴブニュ(オグマ)

 かつてウルトラマンティガと戦ったロボット怪獣。マキシマオーバードライブを禁じられた力として敵視し、その開発を妨害しようとする何者かによってヴァハ、ギガと共に造られた模様。宇宙空間を漂う機械島の番人でもあり、ティガと熾烈な戦いを繰り広げた。
 西洋甲冑のような無骨で地味な姿をしていたヴァハ、ギガと違い、紋様が刻まれた石板の如き左右非対称の歪な姿をしている。右側が大きく突き出した頭部と4つのランプ(ハーモニカのような音と共に点滅する)、所々刻まれた紋様が大きな特徴。
 その体は機械島の一部で出来ており非常に防御力が高い上、パワーも800万馬力とギガ以上のものを誇る。さらには頭頂部から電撃を発することが出来、飛行中のティガを撃墜している。またギガ同様自爆機能があり、ティガを道連れにしようとした。
 本機体は四次元怪獣ブルトンによって召喚された並行同位体であり、デルピューニに使役されている。ティガを苦しめた戦闘能力は健在であり、あのミズノエノリュウを軽々と持ち上げ放り投げるパワーと電撃を吸収し撃ち返す能力で相手を苦しめた。しかし最後はミズノエノリュウとディノゾールの連携により、互いに位置を向かい合わせられて同士討ちさせられてしまい大ダメージを負い、爆散してしまった。

 侵略変形メカ ヘルズキング

 かつてウルトラマンコスモスと戦ったロボット怪獣の別機体。ベリル星人が送り込んだ地球侵略用の兵器であり、金属製のテトラポッドのような姿をした第1形態と、人型となった戦闘用の第2形態を持つ。
 第1形態でSRC関連施設地下の高純度エネルギーや発電所から電気を奪ってエネルギーチャージをした後、無数の細かいパーツに分離・再構成して第2形態へと変形後、コスモスと対決。その脅威的な戦闘能力で苦戦させたものの、裏切ったベリル星人により喉が弱点だと知らされ、そこに集中攻撃を受けて撃破された。尚、その時の個体はのちに統合防衛軍によって回収され、ヘルズキング改へと改造されている。
 第2形態は青い体色、笠のような頭部とモノアイ、甲殻類のような装甲、赤い四本指、開閉・収納式の両手のビーム砲【ヘルズガン】が特徴。
 ロボット怪獣の中でも非常に運動性能が高く、コスモスにも引けを取らない身軽な動きが出来る。またその装甲はダイヤモンドを遥かに上回る異常な硬さを誇り、コスモスからの一方的な殴打を受けても平然としていた。ヘルズガンは凄まじい連射力・速度を誇り、最早砲撃でなく爆撃のレベルでコスモスを圧倒した。さらにはコスモスを上回るパワーを誇るなど、非常に高い戦闘能力を持った脅威のロボットである。しかし、喉の部分が大きな弱点となっており、そこを攻撃される明確に弱体化し、そのまま倒されている。
 本機体はラミアネロ星人デルピューニに使役されている。その戦闘能力の高さは健在であり、喉の部分の弱点を新たに増設した装甲板で覆っているため、事実上弱点がなくなった…が、電撃のようなエネルギー攻撃は貫通する問題がある。
 ズール星人(RB)のディノゾールと激突し、異常な装甲強度とヘルズガンの性能をもって追い詰める。しかしディノゾールの舌を巻きつけられて位置を向かい合わせられたことでゴブニュ(オグマ)と同士討ちとなり、電撃を喉にまともに浴びてしまい大破、そのまま大爆発してしまった。

 伝説宇宙怪獣 シラリー
 伝説深海怪獣 コダラー

 かつてウルトラマングレートの戦った最後の怪獣。地球の環境破壊に怒った地球の意思により、宇宙と深海から人類を滅ぼすためにそれぞれ呼び寄せられた破滅の使者である。
 シラリーは赤い体色、体の半分以上を占める長い首、2連装の砲塔のような手、大きな翼が特徴の翼竜のような怪獣。コダラーは水色の体色、ダルマのように極端にずんぐりとした体躯、鋭い爪の生えた手、スッポンのように皮膜に包まれた薄い背甲が特徴。
 シラリーは天文学的距離を休み無しで移動出来る飛行能力と、口からの火炎放射、両手・目からのレーザー、手からの大陸間弾道ミサイルによる核爆発をも吸収する能力を持つ。
 コダラーは怪力、水中での高速遊泳能力と、両手・目から放つ電撃球、鰓で共生する赤い藻(海中に無酸素状態を作り出し、水生生物を異形に変異させて殺す)で海の広い範囲にばら撒く能力、そして受けた光線を2倍に強化して跳ね返す能力を持つ。
 集結した両者は駆けつけたグレートを圧倒、1度は倒すも、2度目の戦いでコダラーは激戦の末UMAに倒され、シラリーもグレートに倒された。しかし核爆発のエネルギーを吸収していたことからそのままエネルギーを地球上で開放しかねなかったため、ジャック・シンドーと分離したグレートに宇宙まで運ばれている。
 デルピューニの使役する2体はブルトンによって召喚されたこれらの並行同位体であり、レイブラッド星人及びデルピューニの走狗と化している。デルピューニの切り札でもあり、本気でレイオニクスバトルをする時にのみ投入される。
 今回ミズノエノリュウ及びディノゾールの抹殺のため召喚されるが、その強すぎるエネルギーが折悪しくスフィアを再び呼び出す羽目になってしまう。よってそのままスフィア抹殺に従事している。
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