熾烈を極めるレイブラッド星人後継者レース・サードステージ。そんな中、他の参加者と異なり、フローレス星人プラティーナ・プラティナムは諸事情から大幅に出遅れてしまう。ようやくその舞台となる惑星アシヨシに辿り着いたのはセカンドステージ開始時という有り様であった。
それでも彼女は主戦力のレッドキングを駆使してどうにか怪獣の捕獲を続け、やがては初陣であったアトラー星人(RB)とのレイオニクスバトルにもなんとか勝利する。その後も怪獣達に支えられながら時に勝利し、時に敗走しながらもどうにか生き残り、今ではサードステージ進出者相応の実力を持つレイオニクスへと成長しつつあった。
――とある山脈の麓の森――
3000m級の高山の麓にある森。そこでの縄張りを巡り、野生怪獣同士が激突する。
「ギュイイイイイイイイ!!」
ムチ腕怪獣 ズラスイマー
かつてウルトラマン80と戦った怪獣の別個体。別名の通り、左腕は百足のような形状の鞭となっている。他は青みがかった灰色の体色、下顎から生えた一対の長い髭、鼻の横に生えた短い角、鰭にも似た被膜の生えた右腕、棘だらけの背中、頭頂部から生えた蛇が特徴。
鞭はある程度伸縮し80を絡め取ったりした他、体内には膨大な熱エネルギーが蓄えられているため高熱に強い。また、80に背後から馬乗りで殴られまくったが平然としていたぐらいにはタフである。
「ゴルルルルオオオオンン!!」
磁力怪獣 マグネドン
かつてウルトラマンジャックと戦った怪獣の別個体。黒い体色で、頭に水牛のような湾曲した双角と、背中から6本の巨大な棘の生えた四足歩行の草食恐竜のような姿をしている。
口から火炎を吐き、背中の棘から電撃を放つが、その最大の特徴は別名通り全身に帯びた凄まじい磁力。高空を飛ぶ飛行機すら引き寄せて墜落させるほどで、地球の磁力と連動して何度バラバラにされようが元通りに結合・復活することが可能。
「ギュイイイイイイ」
先制攻撃を仕掛けたのはズラスイマー。その鞭状の左腕を頭に叩きつけて怯ませ、さらには首に巻き付けると、そのまま引っ張って持ち上げ、ジャイアントスイング気味に振り回す。
「ゴルルルル!」
「ギュアア!?」
しかし、マグネドンもやられっぱなしではない。振り回されながらも高圧電撃を放出、それが左腕から伝わりズラスイマーを感電させる。80と戦った個体と同じく、このズラスイマーも電撃には弱かったようで、慌てて敵の首から鞭を解く。
そうして敵が怯んだ隙を突き、マグネドンは飛びかかってズラスイマーの右手に噛みついた。そのまま再び電撃を放ち、さらに苛む。
「ギュイイイイ!!」
耐えかねたズラスイマーは敵を振りほどこうと、空いた左腕で何度も磁力怪獣の頭を叩き、さらには下顎を何度も足で蹴る。だがそれでも、マグネドンはけして放そうとしない。
敵の攻撃が止まない焦燥感と苛立ちから、ここでズラスイマーは激怒。電撃を受けながらも渾身の馬鹿力をもって敵の首に再び左腕を巻き付けて引っ張る。
「!?」
ここまでやれば勝利は目前。無駄な抵抗だとマグネドンは思った。
しかし、ズラスイマーの狙いはそうではなかった。絞めて駄目なら引いてみろとばかりに、そのままマグネドンの首を引っ張る。マグマが固まって出来た磁力怪獣の体は熱に強いが、硬いだけその分脆くもあった。
その狙いは正しく、ズラスイマーが渾身の力で引っ張り続けた磁力怪獣の首にやがて亀裂が走ったかと思うと、次の瞬間もげてしまったのである。
「ギュイイイイイイイイイイ!!!!」
当たり前だが、体はそのまま動かなくなる。そして首だけとなったマグネドンの噛みつく右手を地面に何度も叩きつけ、最後の抵抗とばかりに噛みついていた顎もついに開いてしまう。
首と胴が泣き別れした敵の遺骸を踏みつけ、ズラスイマーは勝利の雄叫びを上げた。
「ゴルルルル!!」
怪獣とはいえ、首がもげれば普通は死ぬ。そうやりたくなるのも無理はないだろう。
ところが、ここでマグネドンのもげたはずの首が転がると、そのまま胴体にくっつき、元通りになる。その様を見たズラスイマーは仰天するが、復活した磁力怪獣は驚く敵にかまわず頭から突っ込んで前のめりに倒し、そのまま背中の棘で挟み込む形で体に乗せた。
「ギュオアアアアアア!!??」
挟み込まれて動けなくさせられたところで、最大出力の電撃を浴びせられる。これにはズラスイマーもたまらず絶叫を上げる。
そうして逃げ場のない電撃拷問に耐えかね、逃げようと必死でもがく中発揮されたさらなる火事場の馬鹿力でズラスイマーは拘束から脱出。辛うじて命を拾うも、特殊な攻撃手段どころか飛び道具すら持たない打撃一辺倒のズラスイマーには首がもげて復活するような敵には最早手の打ちようがなく、戦意を喪失。すごすごとその場から逃げ出した。
「ゴルルルルルル!!」
マグネドンも縄張り争いに勝ったという事実に満足したのかこれを追わず、ただ勝利の雄叫びを上げて見送ったのだった。
「キュイーキュイー」
這々の体で退散したズラスイマー。しかし、これもまたこの怪獣超無法惑星では日常茶飯事の光景にすぎない。いや、激しい縄張り争いを行いながら命が助かっただけ、むしろまだ幸運であろう。
『バトルナイザー、モンスロード!』
「!」
もう敵の姿も見えなくなるほど離れたところで、突如足元の木々辺りから何か聞こえた。不思議に思ったズラスイマーが足を止めると、突如目の前に光の玉が浮かび上がる。
「ピギャアアアアオオオオオオ!!!!」
「ッ!?」
そうして、光の玉はなんとレッドキングの姿へと変わった。
ズラスイマーが驚くのも束の間、変化と同時にどくろ怪獣は跳躍。そのままジャンピングネックブリーカードロップを叩き込み、ムチ腕怪獣を地面に薙ぎ倒す。
「ギュイイイイイイイイ!!!!」
「ピギュアッ!?」
全身を叩きつけられて少なくないダメージかと思われたが、ここでムチ腕怪獣は凄まじい怒りを見せる。マグネドンへの戦意を喪失したのは、先述のように打撃一辺倒の自分には手の打ちようがないから。しかし、同じ打撃専門のレッドキング相手にまで劣っているつもりはない。
すぐさま戦意を取り戻したズラスイマーは、上から覆いかぶさるどくろ怪獣の後頭部を右足で蹴り怯ませたところで、拘束から脱出。慌てて立ち上がって一旦間合いを開けようとするレッドキングの左足首にムチ腕を絡ませ、転ばせる。
遅れて自分が立ち上がると、倒れている怪獣をおもいきり蹴り飛ばす。レッドキングは木々を薙ぎ倒しながらバウンドし、さらに転がっていった。
「ギュイイイイイイイイ!!!!」
「……ピギャアアオオオオオオ!!!!」
殺気立った様子で追撃をかけるズラスイマー。しかし、連撃を受けたことでレッドキングもまた激しい闘争心が燃え上がる。地面に叩きつけられながらも即座に起き上がり、背を向けながら尻尾を敵の胴体に叩きつけたことで、ズラスイマーは吹っ飛ぶ。
とはいえ、これぐらいで致命傷になるはずもない。こちらもすぐさま起き上がると、追撃しようと駆け寄ってきたレッドキングへ反撃のムチ腕を繰り出す。何度も叩かれたために防ごうと慌ててかまえたどくろ怪獣の右腕に鞭を絡ませ、コマを回すかの如くこちらに引き寄せると、右肘でエルボーブローをどくろ怪獣の左側頭部に叩き込む。
高威力の打撃を頭にくらい小さな脳が揺れ、思わずレッドキングもよろける。そんな彼の顔をムチ腕怪獣はさらに右肘で執拗に叩きつけまくった。そして駄目押しの追撃とばかりに鞭の絡んだ右腕を軸に、先ほどのマグネドン同様巨体を平然と振り回した挙げ句、さらには地面に何度も叩きつける。
「ピギャアアオオ!!」
「グエェ……!?」
そのような目にあいながらも、レッドキングは自分の右腕に絡む鞭を掴む。そして今度はそこを支点に引っ張ることで、体勢を崩してつんのめってしまったズラスイマーの喉に反撃として左腕でラリアットを叩き込んだ。
ウルトラマン80の殴打に平然としていたとはいっても、さすがに喉は他の生物同様に弱点であったらしい。ムチ腕怪獣は即座に拘束を解くと、喉を右手で押さえながら悶絶してむせていた。
レッドキングはその隙を見逃さなかった。背後から肉迫し、容赦なく後頭部を殴った後、後ろからチョークスリーパーで絞め上げたのである。
「グエェェェェ」
惑星ボリスでは(やったのは別個体だが)ヘッドロックでサドラを絞め殺したほどのレッドキングの怪力である。さしものズラスイマーも弱った今では抵抗しきれず口から泡を吹き、すぐに
「もうおよし! このままでは相手が死にますわ! 何故いつも貴方はこうなんですの!!」
「ピギャアア…」
ところが、ヒートアップしたレッドキングは尚も腕を解こうとしない。このままではズラスイマーを殺しかねないと判断した飼い主は、慌てて強い口調で制止する。
そうしてレッドキングもようやく敵を解放したのだが、ここまで暴れてもまだ燃焼不良らしい。命令には従ったものの、不満そうに唸り声を上げたのであった。
「ギュウウ~~」
絞め殺されかけたところでようやく解放されはしたが、最早動く元気もなく仰向けでぐったりしているズラスイマー。そんな彼を申し訳なさそうな顔で見つめる
「ズラスイマー、ゲットですわ…」
想定より多少やりすぎはしたが、無事ズラスイマーを捕獲したプラティーナ。画面に映ったズラスイマーの姿を眺めながら、ここでようやく笑みを浮かべ、右掌の上でバトルナイザーをクルクルと回している。
「姫様、おめでとうございます」
傍らに控える執事ロボット・セバスティアンが頭を下げる。
「成果はこれで十分だとは思われますが……それでも、もう片方の怪獣も捕まえるおつもりで?」
「当然ですわ」
胸を張って答える主人。ズラスイマーとマグネドンの縄張り争いを、実は2人は近くで見物していた。元々は単に付近を通りがかっただけなのだが、運良く(執事の方は運悪く)出くわし、様子を窺っていたのだ。
普通のレイオニクスならば勝者の方を狙うのだが、プラティーナは巨大生物学者。戦闘能力の大小だけでなく、怪獣であること自体にも価値を見出す。よって、まず縄張り争いに敗れて弱っているズラスイマーの捕獲からかかったのだった。
「しかし…星の磁力のバックアップを受けるマグネドンはほとんど不死身です。一体どうやって攻略するおつもりで?」
マグネドンは磁力による無尽蔵の再生能力がある分、ズラスイマーより手強い。心配そうにそう問いかける執事だったが、プラティーナの表情は変わらない。
「オーホホホホ。愚問ですわね。何も策無しに
「失礼ながら、今までの姫様の行いがそうでありましたので…」
そう調子良く高笑いするが、実は主人はやることなすこと結構行き当たりばったり。その思いつきのせいで主人共々死にかけたことも結構あるセバスティアンからすれば、当然の懸念だった。
「安心なさい。今回は対策がありますわ」
「ピキュウウウウ」
プラティーナがバトルナイザーをセバスティアンに見せる。すると、その1番上の画面にはマグネドンと同じ磁力怪獣であるアントラーが映り、咆哮したのだった。
それからすぐ、プラティーナとセバスティアンはエアバイクに乗り、バトルナイザーでマグネドンの反応を拾いながら現地に向かった。時間を空ければ空けるほど、怪獣は疲労から回復する。故に時間を与えてはならない、というのが王女の考えだった。
「……どうやら先客がいたようですね」
しかし、プラティーナは目的地に到達する前にエアバイクを止めてしまう。
そこから見える光景を見て執事が警戒しながらそう呟く通り、マグネドンが既に他の怪獣と交戦中だったからである。
「……そして、あれはこの辺にいる怪獣ではありませんわね」
そう苦々しげにプラティーナが呟く。マグネドンともう1体の怪獣は球状のバリアフィールドによって覆われた中で戦っていたのだが、その怪獣は明らかにこの一帯の住人ではなさそうだった。
その姿はまさに蒼い巨龍。臀部から8本の尻尾が伸び、その先端にもまた龍の頭が付いている。彼女が知る限り、その特徴に当てはまる怪獣は1体しかいない。
「ミズノエノリュウ。まさかこんな所でお目にかかれるとは思いませんでしたわ……」
既に種族の見当はついていたが、改めてバトルナイザーで確認し、プラティーナは神妙な顔で怪獣を見上げた。
あれはミズノエノリュウだ。大地を司る守護神であり、単なる怪獣とは一線を画す存在。それをこんな所でお目にかかれるとは。感動もあるが、それ以上に戸惑いがある。
「ゴルルルル……!」
狭いバリアフィールドの中で戦うマグネドンだが、ズラスイマーと戦っていた先ほどと比べ、何処か動きに精細がない。怪獣としての格の差を認識しているからだろうか? いや、残念ながらそんな殊勝な精神をこの怪獣は持っていないだろう。ならば、このバリアの方に何か秘密があるのだろうか。
「ゴ!?」
(! 電撃が出ない?)
やがて、プラティーナが違和感に気付いた。マグネドンが電撃を発しようとしたが、何故か出ないのである。
これには磁力怪獣も驚くのも束の間、今度は本体の龍の額に付いた蒼い玉の念動力をくらって跳ね飛ばされ、バリアに叩きつけられてしまう。ならばと口から火炎を吐きかけるが、今度は8本の尻尾から発せられた水流を浴びてすぐさま消火されてしまう。
最早打つ手のなくなった磁力怪獣に向け、ミズノエノリュウはもう1度念動力を放つ。先ほどの一撃で全身にダメージが及んでいたところへの連撃にマグネドンの体はついに限界を迎え、バラバラに砕けてしまう。
「!? なんで再生しないんですの!?」
プラティーナが驚いてそう叫ぶ通り、何故かマグネドンの体は再生しなかった。地球と同じくこの惑星アシヨシの大地からマグネドンは強力な磁力を受け取っているはずだが、それが絶たれたかのようだ。
「! そうか…」
しかし、バリアを見てすぐに合点がいく。このバリアは大地からの磁力をシャットダウンしていたのだ。マグネドンを特異な怪獣たらしめていたのは、星の大地から受ける強大な磁力のバックアップのおかげ。ところが、それがないのならば、単なる平凡なイチ怪獣にすぎないのだ。
恐らく、このバリアはミズノエノリュウの張ったものだろう。大地の守護神である彼が、マグネドンに磁力という大地からの恵みを受けることを許さなかったのだ。
「!」
粉々に砕けたマグネドンだが、バリアの解除と同時に破片が光り輝くと共に浮かび上がり、何処かへと吸い込まれていくのが見えた。そして同じく、ミズノエノリュウもまた光球へと変化し、遅れて吸い込まれていく。
「やはり…レイオニクス!」
今の現象を見て、プラティーナはそう確信する。
「ウフフッ。マグネドンに加えてミズノエノリュウもくっついてくるとは。これは僥倖ですわ~!」
「まさかレイオニクスバトルをなさるおつもりで!?」
捕獲予定のマグネドンを横取りされはしたが、血湧き肉躍る様子のプラティーナは嬉しそうに笑っていた。この様を見て明らかなように、お転婆な部分はそのままに、主人はこの星の野蛮な流儀に今ではもう大分染まりつつあることをセバスティアンは嘆いたのだった。
「レイブラッド星人に会うためには、この星のレイオニクス全てを打倒する必要がありますわ!」
今ではもう、そう強気で言うようになった王女。レイオニクスとしての実力と貫禄が付いたと見るか、それとも図に乗り出したと見るべきか。
もっとも、大抵のレイオニクスと異なり、プラティーナにはレイブラッド星人の後継者となって全宇宙を制覇するなどという大それた野心などはない。代わりに、彼女はただレイブラッド星人という謎の存在について知りたい・調べたいという学者としての好奇心・探究心と、この星と同じく怪獣無法惑星と化した故郷を救いたいという想いがあるだけだ。もっとも、そのために危険なレイオニクスバトルに挑んでいるわけだが。
「簡単に仰らないでくださいませ!」
セバスティアンが主人にそう怒りたくなるのも無理はない。レイオニクスバトルもサードステージへと突入し、今ではもう大分レイオニクスの数も減ったが、言い換えればこの星に残っているのは精鋭中の精鋭。一戦一戦で常に命の危機が前以上に付き纏っている。
執事の身としては、こんな危険な場所で主人が戦い続けるのは未だ反対なのだ。一刻も早く主人にはフローレス星へと帰り、退屈であろうとも平穏な日々を過ごしてもらいたかった。
そもそも彼、そしてほぼ全てのフローレス星人にとって、レイブラッド星人の後継者の話云々が眉唾、非常に疑わしいものであった。レイオニクスバトルを制した果てにあるものが、本当に彼女の望むものであるとはセバスティアンには到底思えないのだ。
その裏にはレイブラッドの何か企みがあるのではないか。この星での戦い続ける主人を見ながら、執事には日に日にその疑念が増していた。
「レイオニクスか?」
そのように意見の合わない2人は、やがて言い争いになる。
そんな状況などと露知らず、怪獣の捕獲が終われば帰ろうと当初考えていたファンタス星人だったが、少し前に騒々しいエアバイクの飛行音が聞こえたため、その地点を電子双眼鏡で覗いていた。
「…バトルナイザーにデータは出ない。凶悪種族ではないな」
ロボットと言い争う、大砲の砲身をいくつもぶら下げたようなふざけた髪型の銀髪女の姿はいわゆる地球人型種族。しかし、ペダン星人やキール星人のようにバトルナイザーへデータ登録されていないことから、危険な種族ではないらしい。
「しかし、嫌な話だ。あんな若い少女までレイオニクスとなって戦っているとはな…」
だが、それでもファンタス星人は顔をしかめた。全宇宙の支配か、あるいはそれ以外か。彼女の目的は分からないが、何にせよ自分と同じくレイブラッド星人の後継者となるまで戦い続けねばならぬのだろう。
「………………」
意を決し、ファンタス星人は彼女の元へと向かった。
「お話し中のところ失礼する」
ファンタス星人の移動手段は徒歩ではあったが、2人の言い合いは長引いてその場から移動はしていなかったため、接触することが出来た。一方、こちらから戦いを挑むつもりであったはずが、向こうからやって来たことに、プラティーナとセバスティアンは驚いていた。
「ファンタス星のアンドロイド…!?」
「まさかロボットまでレイオニクスになって戦っているんですの!?」
「…!? 違う。私は…」
けれども、ファンタス星人にとってもまた、2人の反応は予想外のもので面食らった。
今まで戦ってきた凶悪なレイオニクスにとっては相手が誰であろうとかまわなかったから気にされていなかったのかもしれない。しかし、そうでない穏やかな種族には
「貴方に宇宙の支配なんてさせない!!」
目の前の男を悪名高き危険なアンドロイドだと誤解した以上、対話の余地などなく、プラティーナはレイオニクスバトルの開始を即断。バトルナイザーをかまえた。
「………っ!」
祖先の残した負の遺産が、今自分に牙を剥いている。その事実にはファンタス星人も嘆きと憤りを感じたが、今長々色々と考える時間はなさそうだった。
「やるしかないのか…!」
『『バトルナイザー、モンスロード!』』
最早戦う以外に道はない両者は怪獣を召喚。レイオニクスバトルが始まる。
「ギュアアアアアア」
地底怪獣 テレスドン
かつて初代ウルトラマンやレイが戦った地底怪獣の別個体。初代は地上征服を目論む地底人に操られていたが、本来はごく普通の野生の地球怪獣である。
茶色い体色、歯がびっしり生え揃った丸みを帯びた長い吻、蛇腹状の体表、背中から下向きに生えた1本の長い棘、長い尾が特徴。体表はナパーム弾の投下にもびくともしないほど強靭であり、口からは溶岩熱線を吐く。またドリルのように高速できりもみ回転しながら突撃する奥の手も持つ。
本個体はプラティーナによって捕獲され、戦力として活躍している。
「デェヤァァァァンン!!」
地底怪獣 パゴス
学名は『パゴトータス』。ウランやプルトニウムといった放射性物質を餌とする地底怪獣。
四足歩行の怪獣であるが、興奮時には二足歩行での戦闘も行う。黒灰色の体色、頭部に2本の角の生えた肉食恐竜のような顔、鋭い爪の生えた三本指の足、蛇腹状の背甲、長い尾が特徴。
口から吐く金色の分子構造破壊光線、そして額から放つ【ドリルビーム】が武器。また、背甲はウルトラ戦士の必殺技をくらっても傷つかないほどの硬度を誇る。
本個体はファンタス星人(RB)によって捕獲され、戦力として活躍している。
「パゴスとは奇遇ですこと。ですが、勝つのは私のテレスドンですわ!」
同じ地底怪獣同士の対決を奇遇と感じたプラティーナ。しかし、レイオニクスバトルに勝つのは自分のテレスドンであると断言する。
「色々気乗りしないが、勝負となった以上は勝つつもりだ!」
奇遇と感じたのはファンタス星人も同じだが、戦う理由はともかくモチベーションは今回上がらなかった。しかし、勝負となったからには勝つつもりである。
「テレスドン! 私に相応しい勝利を!」
「パゴス! お前の力を見せてやれ!」
「ギュアアアアアア!!」
「デェヤァァァァンン!!」
そうして、両レイオニクスの怪獣は激突した。
用語解説
ムチ腕怪獣 ズラスイマー
かつてウルトラマン80と戦った怪獣の別個体。栃木県宇都宮市大谷町の平和観音像の下に封印されていた怪獣で、その間地底深くに閉じ込められていた影響で熱エネルギーが蓄えられていたため、熱に強い。ただし、落ちてきた大谷石の硬さには敵わず逆に頭や足を痛めるなど、戦闘能力はともかく、性格は凶暴ながらドジな面もある。
別名の通り、棘がびっしり生え揃った鞭のような左腕が最大の特徴。他には灰色の体色、頭頂部から生えた蛇(単なる擬態の類なのか、本体と別個の存在かは不明)、鼻から横向きに生えた短い1対の角と顎から垂れ下がった1対の触角、被膜の生えた右腕、棘だらけの背中などが特徴である。
飛び道具や特殊能力は持たない肉弾戦一辺倒の怪獣であるが、それのみに特化しているからか80とも互角以上に戦っている。ムチ腕は殴打に使うだけでなく、ある程度伸縮し、巻き付けて敵を引き寄せたり出来る。また体はUGMの近代兵器も通じないほど強靭で、水が即座に蒸発するほどの高温を帯びている。
平和観音の下に大泥棒マサゴエモンが隠したという千両箱の伝説を聞きつけた泥棒2人組が宝を掘り出そうと罰当たりにも像の下をダイナマイトで爆破、倒壊したことでその下から出現した。そして現れた80と互角以上に戦うも、住民達の声援をヒントに観音像の力を借りて放った80のウルトラ観音光線で花畑へと変えられて再度封印された。
本個体は四次元怪獣ブルトンにより、この惑星アシヨシに呼び寄せられた。ある山脈の麓の縄張りを巡ってマグネドンと激突するも、能力の相性の悪さから戦意を失い、逃げ出す。そして戦いの顛末を見守っていたプラティーナにレッドキングを送り込まれるも今度は戦意を奮い立たせて互角に戦うが、喉へのラリアットをきっかけに形勢逆転、敗れて捕獲された。
以前の個体同様凶暴であるが、引き際を弁えた性格。レッドキングとも互角に戦える高い戦闘能力は、プラティーナからも仲間にする価値があると認められている。
磁力怪獣 マグネドン
かつてウルトラマンジャックと戦った怪獣の別個体。北極のマグマが固まり、そこに生命が宿って生まれた怪獣だという。
頭・背中・尻尾にかけて2列の真紅の角と、頭に水牛のような真紅の双角の生えた草食恐竜のような見た目の四足歩行の怪獣。口からは火炎と、全身からは電撃を放つ。ただしマグマが固まって出来たという由来から肉体の硬度自体は高いものの、その分脆くもなっている。
しかし最大の武器は地球から受け取る無限の磁力であり、これを利用して何度バラバラにされようがその度くっついて蘇る。ただし、この能力はあくまで地球が磁力の豊富な場所だから使えるのであって、宇宙空間のような場所に連れ出された場合は使えなくなる。
弱った地殻を通って熊沢ダムに突如出現、付近を通る飛行機をその高磁力で墜落させまくる。MATがアンチマグネット装置を使用するも磁力が強力すぎて効果がなく、その後郷秀樹=ウルトラマンジャックの提案で体が硬い分脆さもあるのを鑑み普通の爆弾で爆破、粉々にする。しかし落雷が落ちた電力で怪獣は復活し、その後MATは組織解散のかかった背水の陣で挑む。
ダムの全電力を投入して体内の鉄を溶かす作戦が決行されたが、これも最終的に失敗。ついにジャックに変身した郷は死闘の末ウルトラブレスレットの力でマグネドンを宇宙まで運び、惑星の磁力の及ばない宇宙空間で戦って撃破することで再生能力を封じ勝利。粉々になった怪獣は流れ星となって地球に降り注いだのだった。
本個体はブルトンによって惑星アシヨシに召喚され、山脈の麓にある縄張りを巡ってズラスイマーと縄張り争いを行うも、能力の相性差から戦意喪失に追い込み、勝負を制する。しかし、逃げたズラスイマーをプラティーナが捕獲するのと同じタイミングで、たまたまこの地にやって来たファンタス星人(RB)に勝負を挑まれる。
そして出されたのがよりによって大地の守護神たるミズノエノリュウであった。彼に大地からの恵みを遮るバリアを張られ磁力を封じられ、そのままなす術なく倒され捕獲されたのだった。
地底怪獣 テレスドン
かつて初代ウルトラマンやレイと戦った怪獣の別個体。初代は地上征服を企む地底人に操られ、夜の街で大暴れした。普段は地底4万mに生息しており、マグマを常食している。
茶色い体色、歯のびっしり生え揃った丸みを帯びた長い吻、蛇腹状の体表、背中から下向きに生えた長い1本の棘、長い尾が特徴。
体表はナパーム弾の連続投下及び自衛隊&科学特捜隊の数時間にも渡る総攻撃にも耐えるほど強靭で、口から吐く溶岩熱線も直撃すればネロンガを一撃で仕留めるほどの威力を誇る。また個体によっては、奥の手としてドリルのように高速できりもみ回転しながら突撃する技を持つ。
実は20万tのスカイドンや16万tのギラドラスに匹敵する12万tという体重を誇る重量級怪獣であるが、自分より遥かに軽い体重の他の怪獣達同様の素早い身のこなしを誇る。
初代は地底人に操られ、初代ウルトラマン=ハヤタ・シンの拘束と入れ替わりに出現。遅れて拘束から脱出したウルトラマンと戦闘になる。しかし、人類からの凄まじい攻撃にさらされながら耐えきったにもかかわらず、ウルトラマンには終始劣勢で光線すら使われずに投げ技だけで最期は仕留められてしまった。その後、ジェロニモンにドラコと共に再生されて復活し、科特隊の隊員達を襲撃したが、スーパーガンのトリプルショットで絶命した。
惑星ボリスでも四次元怪獣ブルトンの召喚によるものか複数個体が確認されている。しかし、いずれも他の怪獣との縄張り争いに負けたり、ZAPに駆除されるなどの末路を辿った。惑星ハマーではゼットン星人(RB)の使役する個体がフック星人(RB)の使役する再生ドラコと戦っていたが、突如現れたキングジョーブラックにドラコ諸共仕留められてしまった。
尚、初代は地底人に操られていたが、彼等と特に縁深い怪獣というわけでもなく、野生個体もその後多く確認されている。良くも悪くも侵略者とは関わりのない、単なる野生の地球怪獣と言えよう。
本個体はプラティーナに捕獲され戦力となった。かつてウルトラマンと戦った個体よりも遥かに強いというのが主人の評価である。
地底怪獣 パゴス
『パゴトータス』の学名を持つ地底怪獣で、放射性物質を常食する。行動範囲は非常に広く、北京のウラン貯蔵施設を襲撃した数年後に、今度は日本で輸送中の濃縮ウランの存在を嗅ぎつけ襲撃している。
四足歩行の怪獣だが、興奮時は二足歩行でも行動する。黒灰色の体色、頭部に2本の角と2本の牙の生えた肉食恐竜のような顔、鋭い爪の生えた三本指の足、蛇腹状の背甲、長い尾が特徴。
口からは金色の分子構造破壊光線、額からは光線を螺旋状に捻じ曲げて生成した【ドリルビーム】を放つ。また背甲はウルトラ戦士の必殺技を簡単に弾くほど硬く、膂力もパワーファイター型のウルトラマンと互角に渡り合うほど高い。一方で腹面は柔らかく、弱点となっている。
以前確認された個体は北京のウラン貯蔵施設を襲撃した数年後、日本の濃縮ウランを狙って出現した。ウランカプセルを拾った少女を襲撃するも見失い、今度は新産業都市で暴れるも、自衛隊の発射したネオニュートロンミサイルをくらって絶命した。
本個体はファンタス星人(RB)に捕獲され戦力となった。凶暴な性格ではあるが、地球怪獣の割には高い戦闘能力を誇り、頼りにされている。