あと、惑星アシヨシが別銀河の惑星とはいえ宇宙怪獣ばっかりだったので、今回は地球怪獣も多少多めに出しました。
惑星アシヨシではレイオニクス達の手持ち怪獣によるレイオニクスバトルだけではなく、野良怪獣による激しい生存競争もまた日々繰り広げられている。
――とある山の麓――
木々がまばらに生えるその山には常に濃霧が立ち込めており、少し先も見えない。晴れることのない霧による視界の悪さから、レイオニクス達もそこに近づくのは避けている。
「グルルルル……」
凶暴竜 ロックイーター(小型種)
この惑星アシヨシに群れで生息している、赤と黒の混ざった体色をした小型肉食恐竜に似た小型怪獣。
人間大の大きさではあるが、ロックイーターは人間を食い殺す獰猛さと、防衛チームの小型スーパーガンの弾丸が通用しない岩のような硬い外皮を持つ。小さいとはいえ、地球人には極めて危険な生物である。
「キュー」
とはいえいくら凶暴でも、体躯の小さい彼等では巨大な怪獣達相手には逃げ回るしかない。そんな日々に疲れたこの10数頭ほどの群れは、危険な怪獣達のいない安住の地を求め、よその土地からここまで移動してきたのである。
そしてその途上でこの霧深い山に辿り着いたが、彼等の発達した嗅覚を用いてもこの霧の中を進むには難儀していた。
今も若い雄の1体が鼻を地面に向け臭いを嗅いでいるが、獲物の臭いや周囲の状況はちっとも入ってこない。
「ガルル」
年長の雌がこれ以上移動するのは益がないと考え、リーダーに引き返すよう提案した。
「ギュー」
リーダーもこれ以上進んでもかえって道に迷いそうだと考え、承諾した。
「ガウ」
リーダーは今まで来た道を引き返すことを決め、群れ全体に告げる。
「!」
だが、そう決断したところで、不意に地面が大きく揺れた。タイミング悪く起きた異変に、群れは即座に警戒態勢に入る。
「ギュア!?」
しかし、気づいた時にはもう遅かった。突如頭上から降ってきた何か長い物に先ほどの若い雄が挟まれ、そのまま為す術なく連れ去られていった。
「キャララララララ」
そのまま短い断末魔と共に何かを噛み砕く音が一瞬鳴り響いたかと思うと、満足したとでもいうかのように深い霧中を鳴き声が響き渡る。
「グルアア!!」
リーダーの号令をきっかけに群れは一目散に逃げ出す。さらには襲撃者の狙いを逸らすため、群れは各自がバラバラの方向に逃げる。
「ギャ!?」
「グア!?」
けれども、敵は霧中を俊敏な動きで逃げ回る獲物を正確に捕捉していた。伸ばされた両腕はそれぞれ年長の雌とまだ幼い雄の子供を掴み――哀れ、2体は為す術もなく鋭い牙の並んだ口に放り込まれてしまう。
「バリバリムシャムシャ」
岩のような硬い皮膚も何ら障害にはならず、小気味良い音を立てて咀嚼された。
「キャララララ」
岩石怪獣 サドラ
かつてウルトラマンジャック、ウルトラマンメビウスと戦った怪獣の別個体。生息地の霧吹山には人食い竜伝説があり、そこに大昔から生息していたと思われる。
茶色い蛇腹状の外皮に、生体電流感知器官のある硬い外耳が左右に水平に伸びた逆三角形の頭部。そして先端がハサミとなった伸縮自在の両腕【重層ベローズピンチ】が特徴の怪獣である。
この霧【電磁セクリションフォッグ】もサドラが体表から放出した揮発性物質によるもの。霧に紛れながら、時折そこに迷い込む獲物を捕食する。
「グアア!」
「ギャウ!」
また2体、ハサミで掴まれてすぐにサドラの口の中に放り込まれる。しかしお互い助けることなど出来もせず、各自が必死で逃げた。
「キャララ………キャウ!?」
霧の中を逃げ惑うロックイーター達だが、生体電流で居場所を察知出来るサドラにとっては悪あがきに過ぎない。3度目の捕獲を行おうと両手を伸ばそうとするが、そこで異変に気づき警戒態勢を取る。
「「!?」」
伸びてくるハサミが来なくなったことをこれ幸いと全力で走るロックイーター達。しかし、大地に不自然な振動が突如起きたことを警戒する間もなく、突如伸びてきた2本の鞭状の物体に2体が絡め取られた。
「ゴオオオオオオ」
唸り声が響くと共に地面が盛り上がり、広範囲が跳ね飛ばされる。
「ゴオオオオ」
地底怪獣 グドン
かつてウルトラマンジャックと闘ったという地底怪獣の別個体。古代怪獣ツインテールを常食することで知られる。
頭部の2本の角に全身に生えた鋭い棘、何より2本の棘の付いた鞭状の両腕が特徴の怪獣である。この鞭状の腕を振動させて地中の岩石を粉砕、出来た砂の中を泳いで移動する。
「サクサクバリバリモグモグ」
絡め取られたロックイーターは哀れグドンの口に即座に放り込まれ咀嚼された。
「キャララララララ!!!!」
サドラは獲物を横取りされ激昂、即座に両腕を伸ばし攻撃を仕掛ける。
「ゴオオオオオオ!!!!」
しかし素早く伸ばされた柔軟な両腕の先端のハサミを、グドンは器用に鞭状の両腕で絡め取って止めた。
「ゴオ!!」
「キャララ!!」
そのままお互い一歩も引かず譲らない。
「グルル!」
そして両者が膠着状態に陥った今のこの状況を逃亡の唯一の好機とし、群れの生き残り達は逃走することが出来たのだった。
この惑星アシヨシには無数の怪獣が棲息しているが、その中でも特に広大な縄張りを支配している者は『エリアボス』と呼ばれる。エリアボスは強い怪獣でなければ務まらず、その強さ故に同地域に住む他の怪獣からは恐れられている。とはいえ、縄張り争いを挑む者がいないというわけではなく、もし敗れれば挑戦者にその座と縄張りが移ることになる。
――とある荒野――
周囲を山に囲まれた盆地にある、草1本生えていない岩だらけの荒野。そこにある生命は、ある怪獣1体を除いて存在しない不毛の土地である。
この荒野の主、ザンボラーは目を瞑って寝そべりながらじっとしていた。
「………………」
灼熱怪獣 ザンボラー(パワード)
緑色の体表、鼻先のオレンジ色の一本角と、頭部から尻尾までを覆う鉱物の結晶を思わせる同じくオレンジ色の突起。そして何より他の怪獣や同種他個体を遥かに凌ぐ、文字通り山のような巨体が特徴の、四足歩行の恐竜に似た怪獣である。
自然破壊を繰り返す地球人達に怒った地球の怒りと報復の意思の化身と言われる――が、そもそもここは地球でなく遥か遠く離れた別銀河の星であるアシヨシ。そんな彼が何故ここに居るのかは定かではない。
「………………」
この惑星アシヨシに現れた経緯こそ不明であるが、ともかく彼はいつの間にかこの荒地一帯のエリアボスとして君臨していた。
とはいえ、そもそも彼は望んでこの地のエリアボスとなったわけではない。むしろ、このザンボラーは人類の環境破壊などが絡まなければ、かなり大人しい部類の怪獣と言ってもいいぐらいである。
では、何故そんな彼が周囲の怪獣を差し置いてエリアボスとなったのか?
「………………」
その理由は2つあるが、まず1つ目は彼の体温にある。ザンボラー種の特徴として、その異常に高い体温があるのだが、その高さはザンボラーがただそこにいるだけで周囲の気温を400~600℃まで引き上げてしまう。当然大半の生物はそんな温度には耐えられず焼け死んでしまうだろう。
さらには、体から放つ熱波は生物に対する致死的作用だけではない。砲弾やミサイルといった実弾兵器は着弾前に蒸発、レーザー兵器も高熱による大気の歪みにより屈折してしまい当たらないという各種兵器に対する驚異的な防衛効果まである。
おまけに高熱によって発生した上昇気流は局所的なハリケーンを発生させる始末。しかもこれはただそこにいるだけで起こる現象なのである。この怪獣が生ける災害と呼ぶべき圧倒的な影響力を持っていることがお分かりいただけるだろう。
「………………」
並の怪獣では彼に近づくことさえ出来ず、高熱に耐性のある者のみでやっと同じ土俵に立てる。しかし怒らせれば自発的に熱波を放ってさらに強烈な高熱を浴びせてくる。
そして彼がエリアボスになった2つ目の理由は、その強烈な高熱を浴びせるほど彼を怒らせた不届き者が多すぎたことである。
この惑星アシヨシには文明を持った知的生命体の集団がいないので、そういった連中に対して鉄槌を下すことはなかった。だが、周囲の自然環境などお構いなしに暴れるレイオニクスや怪獣達は多数いたため、発見次第撃滅していった。そうして多数の不届き者を討ち滅ぼしていった結果、彼はいつの間にかこの荒野のエリアボスとなっていたのだ。
「………………」
とはいえ、彼自身にそのような自覚はなく、他のエリアボスのように周囲の怪獣を必要以上に威圧したり、縄張りの維持・拡大にも固執してはいない。彼はただ自然破壊を行う不届き者に罰を与え、周囲の環境を維持出来れば満足なのである。
……もっとも、彼の能力の影響は強大過ぎるため、本人の意図とは裏腹に肝心の守るべき自然環境に被害を与えることもしばしばではあったが。しかし、一応それでも効果はあり、不届き者達が彼の目の届く範囲に現れることは今ではほとんどなくなった。
「………………」
レイオニクス達も一時期は強大な怪獣である彼を欲しがったが、前述のように手持ちの怪獣諸共皆撃滅された。今でも彼を手に入れようと狙っている者は少なくないが、小細工が通用する相手ではないため、正面切って挑む者はもうほとんどいない。
「!」
――あくまで“ほとんど”であるが。
「………………」
ザンボラーは閉じていた両目を突如開き、周囲の様子を窺った。
「………!」
突如一帯の気温が急激に下がり始めたのである。灼熱怪獣の別名を持つだけあり、彼は周囲の気温の変化には敏感であった。
「キュララララララ!」
やがて、気温が摂氏100℃以下に下がったところで彼より少し離れた所の地面から白煙が噴き上がると、それが怪獣、いや超獣の形へと変わった。
氷超獣 アイスロン
かつて飯田峠で神とされていた超獣で、峠に近づく人間を襲って捕食していた。全身が雪のように白く、鋭く長い鼻や頭の角、背中のヒレは氷柱や霜柱を思わせる。
体表は周囲の熱を吸収して急激に冷え込ませ、口からは超低温の冷凍ガスを吐き、頭の角で天候を操り猛吹雪や雪崩を起こすなど、ザンボラーとは真逆に強烈な冷気を操る能力を持つ。
「………………」
アイスロンは怪獣より強いと言われる超獣なだけあり、並の怪獣では近づくことすら出来ないザンボラーへ恐れずに向かっていく。
そんな敵の戦意を感じ取った灼熱怪獣は、寝そべっていた体を起き上がらせた。
「キュララララララ」
アイスロンは敵の前100mほどで立ち止まると、口から猛烈な冷凍ガスを大地の怒りの化身目がけて吹きかけた。唸りを上げて舞い上がる冷凍ガスは周囲一帯の気温をさらに低下させていく。
「………………」
ザンボラーも直に浴びせられるそれの影響を受け、凄まじい体温も急速に低下。灼熱怪獣は抵抗もせず、その巨体はすぐさま氷の塊に変貌してしまった。
「キュララ!」
これで終わりではないとでも言うように氷超獣は灼熱怪獣に近づくと、両手の甲からそれぞれ伸びる長大な棘を何度も凍った顔面に叩きつけた。普段なら圧倒的な高い体温と並の怪獣を凌ぐ巨体故に近づくことすら不可能だが、今は氷の巨像と化し息すらしていない。
こうなれば可愛いもの、思うがままにこの巨体を攻撃しすぐに破壊してとどめを刺すことが出来るだろう。
「キュララララララ!!」
高笑いでもしているかのように機嫌良さげに雄叫びを上げながら、アイスロンは灼熱怪獣の顔面を両手の棘で叩きまくる。その度辺りには金属を叩くような澄んだ高温が鳴り、まるで氷の彫刻を作るが如しであった。
「キュララララララ!!!!」
だが、第三者がこの光景を見ていれば段々と違和感を覚えるに違いない。アイスロンがどんなに殴ろうが、ザンボラーの体は一向に砕ける気配がないのである。氷超獣は初めこそ昂揚した気分で敵の顔面を叩いていたが、傷一つ付かない敵に段々焦燥を覚え始めた。
「キュララ!!」
殴る蹴るの暴行を加え続けるも、氷の巨像は全く変わらない。何故勝ったも同然、圧倒的優位の自分が逆にこんなに慌てているのか――そんな疑問さえ抱いた。
「………………」
ひとしきり攻撃しまくったが、何も変わらない。さすがの超獣アイスロンも疲れて息が乱れ初めた頃、凍っていたはずの敵の閉じられていた両目が開いた。
「キュラ!?」
それを見た氷超獣は仰天し、跳び上がって後ろにひっくり返ってしまう。
「………………」
しかしその様を見ても、ザンボラーは無反応であった。まるで眼中にない、と言わんばかりに。
「ギュララララ!!」
そんな敵の見下した態度が伝わったのか、超獣に湧いたのは今度は怒りの感情であった。
「………………フッ」
しかし、灼熱怪獣は体が凍りついた絶体絶命の窮地の中、鼻で笑う。
「ギュララアアアアアア」
この仕草でアイスロンはさらに激昂した。絶叫を上げながら大上段に両手の棘を振り上げ、跳躍して飛びかかってきた。
「ガァッ」
ここで初めて、ザンボラーは『攻撃』をした。
「!?」
凍っていた体は一瞬で解凍、元に戻る。さらには全方位に放たれた熱波はそのまま氷点下まで下がっていた周囲の気温を上昇させてあっという間に戻してしまう。冷凍ガスのせいで銀世界になりかけていた荒野も再び灼熱の大地へと変わった。
「ギッ」
飛びかかったアイスロンは熱波を浴びて逆に吹っ飛ばされ地面に叩きつけられ、さらにはその瞬間粉々に砕け散ってしまった。そして散らばったその破片もまた凄まじい高熱に晒され融解してしまい血の混じった水となったが、それもまたあっという間に水蒸気へと変わって霧散していった。
本来アイスロンは熱を吸収する性質を持つ体表により周囲を極寒の環境に変えるなど、ザンボラーにとって最悪の相性の存在であるにもかかわらずである。
「フンッ」
灼熱怪獣は鼻を鳴らし、再び大地に寝そべった。氷点下から超高熱を体は行き来したにもかかわらず、アイスロンとは逆に大したダメージにはなっていない。
そしてアイスロンは気づいていなかったのだが、ザンボラーはこの戦い――と呼んでよいのかも疑問だが――で一歩も動いてはいなかったのである。
無謀な挑戦者に対し、エリアボスはその格の違いを見せつけたのだった。
惑星アシヨシには多数の怪獣がいるが、その中にはレイオニクスどころかウルトラマン達ですら手に負えないような強大な化け物も存在する。
「ゴアアアアアア」
ある時アシヨシに開いたワームホール。そこから現れたのは、一際巨大な怪獣だった。
超進化怪獣 ギラ・ナーガ
度重なる進化の果てに、かつて宇宙の全てを破壊したとされるほどの力を得たという強大な怪獣。一度吠えれば宇宙全体が震えると言われる。
進化の果てに出した答えなのか、デスレ星雲人と酷似した骨肉の逆転した体を持った翼竜のような姿をしている。爬虫類に似た頭部もまた骨で出来た仮面で全体が覆われている。
怪獣でありながら竜巻や石柱を召喚する能力を持ち、口から吐く極太の破壊光線は凄まじい威力を誇る。
「ゴアアアアアアアアアア」
響き渡る重低音の吠え声は数百km先まで轟き、怪獣を始めとする他の生物達にその存在を知らしめる。それでも、宇宙全体を震わせると言われる本来のそれと比べれば相当抑えた音量なのだろう。
彼が何故この惑星に現れたのかは不明であるが、少なくとも今分かるのは元の居場所に帰る気はないということだ。彼は気ままに飛び回り、レイオニクスも怪獣もそれ以外も、出会った生物全てを殺戮していた。
エリアボス、あるいはそれに匹敵するか凌駕する怪獣達もいたが、戦いを挑んだ者は全て返り討ちにあった。次元が違いすぎるのだ。
そもそもあのウルトラ兄弟でさえ、ギラ・ナーガと1人で戦うことは土台無理な話だろう。
地球産怪獣最強と言われた火山怪鳥バードンでさえ多少善戦したと言える程度で、最期は口からの破壊光線をくらって爆散してしまった。彼は広大な空を治めるエリアボスだったのだが、さすがにこのレベルの化け物相手にはどうしようもなかった。
レイオニクス達もバードンが倒されたと聞くやいなや、この怪獣を捕まえるなどということは諦めた。もちろん捕まえるなどということは端から期待してはいなかったが、火山怪鳥が倒されたことでいよいよそう確信したというわけだ。
そうして、彼はこの惑星アシヨシをその手に収めた――
「………!」
――わけでもなかった。
「………………」
咆哮していたギラ・ナーガだが突如それをやめ、そして何かを感じ取ったように空中に留まり続けている。
「!」
異変はすぐに起きた。飛翔するギラ・ナーガの直下の地面が急速に赤熱、やがてマグマ化し、ドロドロになっていく。
「ガオオオオオオオオ!!!!」
そして咆哮と共にマグマから光線が放たれた。
「ゴアアアアアア!!!!」
周囲数百kmの全生物が思わずすくみ上がるほどの咆哮を上げると、ギラ・ナーガは口からバードンを抹殺した破壊光線を発射。光線同士は射線上で激突しスパーク、ついには爆発する。
「ガオオオオオオオオ!!!!」
そんな中マグマを突き破り、地底から現れたそれは要塞にも似た威容を備えていた。ギラ・ナーガにも劣らぬ、まさしくこの惑星アシヨシ最強怪獣候補の一角である。
「ガオオオオオオオオ!!!!」
超怪獣 スーパーグランドキング
かつて宇宙に漂う怪獣の悪霊が集結して誕生したと言われるグランドキングのさらなる強化種。
右手は巨大なペンチ、左手は三本爪のクロー。水牛を思わせる双角や背びれを備えるが、これら含めた全身は金属で出来ており、生物的な要素は見られない。強化前と比べ頭部は大分細くなり、全身もややスマートになった。
口や胸部から強力な破壊光線を発射し、ウルトラ兄弟級の攻撃でもびくともしない恐るべき防御力を誇る強力な怪獣である。
「ゴアアアアアアアアアア!!!!」
「ガオオオオオオオオ!!!!」
光線の撃ち合いは互角と見るや、ギラ・ナーガは咆哮を上げながら小隕石群を上空に召喚、超怪獣目がけて落とす。さらには足元から石柱を生やさせる。
しかしギラ・ナーガにとっては小手調べとはいえ並の怪獣なら大ダメージを受けるそれを、スーパーグランドキングは同じく咆哮を上げながら胴体からの光線を発射、小隕石群を片っ端から破壊した。石柱の方も超怪獣の非常に強固な金属製のボディには何らダメージにはならず、当たった石柱の方から壊れていく始末である。
「ゴアアアアアア!!」
遠距離攻撃が効かぬと見るや、ギラ・ナーガは今度は肉弾戦を仕掛けた。空中からまっすぐ超怪獣目がけて降下したのである。ギラ・ナーガは肉弾戦にも自信があったのだ。
「ガオオ!!」
しかし、結果は50mほど押されはしたがスーパーグランドキングは敵の体当たりを受け止めてしまった。超怪獣の方も強固な金属製ボディのせいか体重は21万5000tと怪獣の中でもぶっちぎりに重く、さらにはウルトラ兄弟をも圧倒する凄まじい怪力を兼ね備えており、超進化怪獣にも劣らなかったのだ。
「ゴア!!」
「ガオオ!!」
埒が明かないと見たギラ・ナーガは超怪獣の顔面に右手でビンタをくらわせる。殴られた超怪獣は負けじと左手のクローをギラ・ナーガの顔面に叩きつけた。
「ゴアアアアアアアアアア!!!!」
どうやらこの一撃で完全に怒ったらしく、ギラ・ナーガの仮面が開いて蛇にも似た頭部が露わになる。そのまま至近距離から光線が放たれ、超怪獣に直撃する。
「ガオオオオオオオオ!!!!」
なんとスーパーグランドキングは己の防御力に任せて光線の中を掻き分けながら強引に距離を詰め、今度は胸と口からのダブル光線をギラ・ナーガに向けて叩き込む。
さすがにこれは予想外だったらしく、まともにくらったギラ・ナーガは吹っ飛び、やがて射線上にあった山に叩きつけられる。あまりの威力にギラ・ナーガの形そのままにめりこんだほどであった。
「……ゴアアアアアアアアアア!!!!」
とはいえ、ギラ・ナーガの防御力もまた並外れており、外骨格にも目立つ傷は見られない。そのまま山を崩しながら抜け出たギラ・ナーガは、怒りのままに光線を撃つ。
「ガオオオオオオオオ!!!!」
スーパーグランドキングも再び光線で迎撃、相殺する。最強怪獣同士の光線の相殺は凄まじいエネルギーを放ち、周囲を強烈な閃光でもって明るくする。
「ゴアアアアアアアアアア」
「ガオオオオオオオオ」
未だ決着がつかないが、それ以上に周囲の環境への影響が甚大であった。恐るべきレベルの縄張り争いが起きたのを感じ取った他の怪獣達やレイオニクスは影響の及ばないと思われる地点まで避難し、一刻も早い終結を祈るばかりであった。
結局争いに決着はつかず、両者は渋々相互不可侵条約を結んだようである。とはいえ、これがいつまで有効かは分からない。
このように、時には最強クラスの怪獣同士の争いが起きるのもまた惑星アシヨシでの日常の一幕である。そしてレイブラッド星人は惑星そのものを滅ぼしかねないこれらの怪獣を律することなく、好きにさせていた。そう、最強にして最後の一頭になるまで争わせ、勝者となった者の体を乗っ取るために……
用語解説
凶暴竜 ロックイーター
ダークマターの影響で生態系の激変してしまった荒神島に生息していた怪獣。単独行動の大型種と群れで行動する小型種が存在しているが、全ての小型個体が成長の結果大型になりうるのかは不明。
肉食恐竜そのものの外見をしており、見た目に違わず凶暴。また表皮はHEARTダイヴァーズガンの銃撃も効かないほど強靭。ただし同じく島に棲息していた変貌怪獣キングバモスより強さ及び生態的地位は劣り、ある時怒りを買ってしまい大型種も小型種も殺されてしまった。
この惑星アシヨシにも小型種の群れが生息していたが、他の巨大怪獣達にはとても対抗出来ず、安住の地を求めて移動していたが、運悪くサドラの縄張りに入り込んでしまい捕食されてしまった。ただし全滅はせず、生き残り達は逃走に成功した。
岩石怪獣 サドラ
かつてウルトラマンジャック、ウルトラマンメビウスと闘った岩石怪獣。自身の体表から発せられる揮発性物質による霧【電磁セリクションフォッグ】に隠れ、逆三角形の特徴的な頭部にある生体電流感知器官で獲物を探し出し、両腕のハサミ【重層ベローズピンチ】で捕食する。
全身が蛇腹状の表皮で覆われているが、全身の関節もまた同様の構造となっており、これにより非常に柔軟な動きを可能とし、両腕はこの特徴を活かし伸縮自在となっている。
地球に出現した個体は山を根城とし、登山客を襲い捕食していた。またウルトラマンメビウスの時代には複数の個体が確認されており、都市部にも出現して住民を捕食するなど特に人的被害の報告の多い怪獣である。
惑星ボリスにも出現したが、確認された怪獣の中でもかなりの個体数の多さを誇った。ただし他の怪獣に不覚を取ることが多く、スペースペンドラゴンのワイバーンミサイルで群れがあっさり殲滅されたこともある。
惑星アシヨシに出現した個体はある山を根城とし、かつての個体同様に霧を発生させ、迷い込んだロックイーターの群れを捕食した。しかし、横取りを狙ってグドンが出現、そのまま交戦する。
地底怪獣 グドン
かつてジュラ紀に生息していたという地底怪獣。古代怪獣ツインテールを餌として常食していたことで有名。また奇しくもサドラと同じくウルトラマンジャック、ウルトラマンメビウスと闘った。
2本の角に棘だらけの体、そして何より目立つのは棘の付いた鞭状の両腕である。この両腕【振動触腕エクスカベーター】により地中の岩を破壊しながら高速で掘り進むことが可能。また両目はX線を放つことが出来、これによりサドラの撒く霧の中でも視界を確保することが可能。
本来はツインテールを常食している怪獣なのだが、この惑星アシヨシでは地球と違って本来の餌の確保が非常に困難なため、比較的捕獲しやすい野生動物にターゲットを変えていた。
サドラがロックイーターの群れを襲撃し捕食していたのを聞きつけ地上へ出現、サドラと交戦する。サドラのハサミ攻撃を掴み取る器用さと、綱引きが出来る互角のパワーを見せつけた。
灼熱怪獣 ザンボラー(パワード)
かつてウルトラマンパワードと戦った、緑色の体表に鉱物の結晶のような背びれを生やした四足歩行の恐竜のような怪獣。その正体は自然破壊を繰り返す人間達に怒った地球の報復の意思の化身とも言われている。ただし、登場した個体はアシヨシにてエリアボスとなっていたが、地球の報復の意思の化身たる彼が何故この惑星アシヨシにいるのかは不明。
文字通り小山の如き巨体を持つ怪獣だが、しかも彼は他の個体よりも体格が1.5倍近く大きいなど並の怪獣を圧倒する巨大さを誇る。だが、一番の脅威は体格でなくその凄まじく高い体温にあり、ただそこにいるだけで周囲の気温を600℃近くにまで上昇させて自然発火を起こし炎上させてしまう。
おまけに体温のせいで上昇気流が発生し砲弾やミサイル、挙げ句レーザー兵器まで歪曲させてしまい無効化、最終的には局所的なハリケーンまで巻き起こすなど、まさしく生ける災害と呼ぶべき影響力を持つ。そして彼が攻撃する際にはそれ以上の温度の熱波を全方位に放つ。
とはいえ、自然破壊が絡まなければ暴れることはないなど、本人はかなり大人しい性格。だが、このアシヨシには邪悪なレイオニクスや凶暴な怪獣が多数いるため、結局怒りのままに暴れることは多かった模様。その結果いつの間にかエリアボスとなっていたが、本人に地域のボスとしての自覚はない。
しかし、そんな本人の思惑など知らずに時折ボスの地位を狙う野良怪獣か、飼い主の指示で本人の身柄を狙ってくる手持ち怪獣に襲われるが、全て返り討ちにしている。今回のアイスロンの襲撃も結局彼には退屈凌ぎ程度にしかならなかった。
氷超獣 アイスロン
日本の飯田峠で神として崇められていた超獣で、峠に来た人間を襲って捕食していた。全身が雪や氷のように真っ白で頭部には赤い目を3つ持ち、鋭い鼻や角や背びれ、尻尾の棘などは雪の結晶や氷柱を思わせる。その見た目に違わず天候を操り猛吹雪を起こすという恐るべき能力を持ち、口からも凄まじい強さの冷凍ガスを吐く。
超獣だが異次元人ヤプールが誕生に関わったかどうかは不明。地球では伝説怪獣ウー(2代目)や、ウルトラマンエースと戦っている。
アシヨシに現れた個体も凄まじい冷凍ガスを武器にザンボラー(パワード)を襲ったが、凍らせた灼熱怪獣は自身の高熱で即座に復活し、逆に熱波を浴びせられて返り討ちにされてしまった。尚、この個体が縄張りを狙う野良超獣なのか、身柄を狙ったRBの手持ちなのかは不明。
超進化怪獣 ギラ・ナーガ
度重なる進化の果てに、宇宙全てを破壊する強大な力を得たとされる翼竜のような怪獣。デスレ星雲人に酷似した骨肉の逆転した体を持ち、腰から生えた翼で宇宙空間を飛ぶ。尚、顔も骨で出来ているように見えるがそれは仮面で、その下に蛇や蜥蜴にも似た顔があり、破壊光線の発射時や咆哮する際に露わになる。
口からの破壊光線、さらには小隕石群や竜巻を召喚するなど多彩な能力を持つ。また極めて凶暴であり、惑星アシヨシに現れてからは怪獣・レイオニクス問わず出会った生き物は全て殺害している。
ある時スーパーグランドキングに縄張り争いを挑まれるも勝負はつかなかった。両者は渋々相互不可侵条約を結んだ模様。
超怪獣 スーパーグランドキング
宇宙の帝王ジュダが創り上げた超合体怪獣グランドキングの強化種。ウルトラ兄弟をまとめて相手に出来たほど強大な怪獣グランドキングがさらに強くなっている。尚、惑星アシヨシに棲息している本個体が何処からやって来たのかは不明。
見た目は生物感のない金属質で、全体的には強化前と共通するがややスマートな体型となり、右手はペンチ状、左手は3本爪のクローへと変化している。また頭部は強化前と比べかなり細く精悍な顔立ちとなり、角も水牛の如くかなり大型化している。
地下を移動する能力を見せた他、地下から放てば地上付近が融解してマグマ化するほどの温度の破壊光線を放つ。また金属製のボディはギラ・ナーガの攻撃を受けて傷一つ付かないほどの圧倒的な防御力を誇る。
ギラ・ナーガを倒して縄張りを奪うつもりで戦いを挑んだが、結局勝負は引き分けとなった。両者は渋々ながら相互不可侵条約を結んだようである。