そして、復讐の時だ。
アリの命にどれほどの価値があるのか・・・。
いやはや、またか。
深く息を吸って、吐いて、吸って、吐いて...。
数分目を離した隙に、置いてあるジュースに蟻が寄ってきている。
まったくもってどうしたらいいのかわからない。
生き物が餌を求めて練り歩くのはありふれた光景だが、これでは蟻増えた、だけだ。
くだらない冗談も程々にしていると、ほら。
滑ったアリが、欲に溺れて、愚かにも溺死してしまったのだ。
そして、増えていく黒い点々。
あっという間に、20匹ものアリが命を落としてしまったのだ。
これでは、このジュースはもう飲めるわけがない。
地域によっては、蟻の入ったお茶を飲む習慣があるようだが、残念ながら、私は遠慮したいものだね。
私は外に出て、中身を排水溝に捨てて、よく洗った。
だが部屋に戻ると、また奴らがウロウロしている。
蟻があっちへ行ったりこっちへ来たりしてテーブルの上は大惨事だ。
それなら、もうやることは一つしかない!
お前たち全員、人間に対する正確な虐待の罪で死刑に処する!
命って、けっこう軽いものなんですね。
この中には魂があると聞いたが、ほら、こんなに呆気ない。
指先でつぶすと、クッション材をつぶしたような感じです。
これが命の重さってやつですか?
人間様の言葉の重みの方が価値があるように思えるのですが、いかがでしょう?
その時点からもう蟻地獄というのが相応しい状態だった。
命の灯火を一気に消し去る姿は、ハルマゲドンかと思うほど。ばかばかしい。
あなたの命はもうこの世に別れを告げているのです。
そう言いながら、最後の一匹を潰し終わると、元の部屋が戻ってきた。
ああ綺麗な部屋だ。
すると、まあ、なんと、同居中の女の子に声をかけられたのです。
「なんて残酷なことを......?
蟻の一生って考えたことあるの?!」
愚問だ。
「うーん、アリの命かぁ...単三電池一本分の価値もなさそうだなぁ。」
と答えたが、彼女はちょっと信じられないような顔をしていた。
「いやあ...別に...何も殺さなくてもいいんじゃない?」
「じゃあ、なんなんだい?ゴキブリやゲジゲジと仲良くするのかい?
ああ、ウイルスだって生き残るのに必死なんだよ?
それを消毒液で台無しにするのはやりすぎだと思わないか?」
そう言うと、彼女は黙り込んでしまう。
それはそれで仕方がない。
どこかで区切りをつけないといけないだろう?
人は殺したらダメだろう。
当たり前のことだ。
犬も殺したらまずいだろう。
まあ感覚的に分かる事だ。
じゃあ昆虫はどうだろう。
蝶はかわいいからいいのか?蜘蛛は気持ち悪いからダメなのか?
詰まるところ、自分にとって有益かどうかということに違いない、
むしろ、助けようと思うほうが傲慢なのだ。
本当に命が平等だと思っているのなら。
まあ、私個人はこの蟻に何の感情も持っていなかったし、蟻も殺せないような人間が犯罪を犯すことは案外多いのだ。
それ以来、アリの巣を駆除するための薬剤を置くようになったが、それについて論争が起きないことに私は不思議でならなかった。
私、ちょっと頭がおかしいんですよ。
でもね、そんなに急がないで。
私はこういう空間が好きなんだ。
だって、まあ、ここには誰もいないんだもの。
お客さんが来てくれるのは、いつでも嬉しいんだ。
ほら、座ってくださいよ。
というわけで、銀髪の少女を招いた。
いや、でも、同い年くらいかなあ。それとも違うかな。
まあ、そんなことはどうでもいいんだ。
おやおや、どうしたんですか?
あ、もしかして......あ、そっか。
そんなに緊張しないで。
ちょっとだけリラックスして。
楽しもうよ。
え、料理してくれるんですか?
私、障害があってカップラーメン作れないから...あったかいよ。
えっ、一緒に?
そうですか...。
食事のところがもう大変でしたね。
あ、その鍋、火にかけてる!?
「あ、お鍋が燃えてますね!」って言われたんですよ。
それは本当にありがたいですね。
一緒にゲームやろうよ。
こんなくだらないなこと言えるのもいいもんです。
しばらくはこの空間を大切にしたいと思います。