色々と何時もよりもブレーキは存在してないので気ままに書きます。
UTA
もしも、ウタがトットムジカの真実を知ったあの日、何か変われば結果は違ったのか?
例えば、歌声を世界中に届けさせたかったウタが真実を知り、自分の歌声にうんざりしたら?
塞ぎ込み更に最悪な状況になったのか・・・それとも、違う状況になったのか・・・
〇〇〇
ウタの様子がおかしい。
私、元エレジア国王のゴードンがシャンクスからウタを預かって早11年、世界政府や海軍や海賊にウタの存在をバラさせない為に私はウタを世界から離れさせて歌手に育ててウタは天使の歌声を見事に開花させた。
だが、流れ着いた映像電伝虫を使ってウタは配信していた。私が気づいたときには既にファンがいて、1人だったウタは彼らを大切にしていた。
シャンクスから預かった時に誓った事は死んでも話すつもりはない。エレジアを愛してくれたウタには荷が重い。だが、それでシャンクスとの仲がボロボロになってしまって私は辛い。なぜ、こんな残酷な事が起こってるのか・・・それもこの懐にずっと入れてる忌々しいトットムジカの楽譜がいけないんだ。これがあるから全て・・・
本当ならすぐに燃やすべきなのに出来ない・・・音楽を愛した国の王だった私には出来ない・・・出来ることなら、ウタとシャンクスには仲直りして欲しい・・・そしたら、私は地獄に落ちれるのに約束を守る為にそれも出来ない・・・
いや、今はウタの事だ。1年ほど配信をして数日前から何かおかしい。シャンクスと離れてから気丈に振る舞っていたが心がボロボロだ。境遇が境遇ゆえにどうすれば良いのかわからずにできる限りやってきた。
あの子の事はわかった筈だが、明らかに今回のはおかしい。
配信も止めてファンの人達から心配されてるほどだ。
これは何か不味いことになった。
私はそう思うと彼女の創作場に向かった。彼女の創作現場はエレジアがまだ無事だった時、彼女が大勢の前で歌った劇場跡地。彼女はそこの崩れた壁に楽譜と歌詞を書いてる。
今日もそうだと思っていたが違った。
「こ、これは!?」
ウタの楽譜や歌詞に斜線が滅茶苦茶に引かれていた。まるで見るのも嫌になったかのように・・・しかもそれは作りかけの曲ではない。過去に作った曲にも同じ事をしていた。酷いものは壁すらも壊していた。
「ウタ・・・ウタ!!」
何かあったのだ!ウタが自分の音楽を否定するような行動を何もなくやる子ではない。
私はウタを探した。
廃墟になった街を探しまくり、私はウタを見つけられなかった。何処に行ったんだ!
君に何かあったら私はシャンクスにも国民達にも顔向け出来ない!!
必死に探しまくってウタを見つけた。彼女は港にいた。あの日、シャンクスが出港したこの港で海を見ながら蹲っていた。私は音楽以外は全くの無能だ。けど、何年も育ててきた分かる。彼女は泣いている。
「あれ?ゴードン、どうしたの?」
後ろから近づいた私に気づいて彼女は笑顔を向けた。頬に涙が流れた跡があるのにまた気丈に振る舞って・・・
「君が居なくて探したんだ・・・なにかあったのか?」
「ううん、何もない。ごめんね心配かけて」
ウタはそう言って映像電伝虫を持って立ち上がり、転んだ。映像電伝虫はその際に手から離れて地面を這って起動した。
「止めて!!」
映像電伝虫に叫ぶウタ。私は呆然としながら映像電伝虫に記録されていた映像を観た。
『これを見てる人は聞いてほしい、ウタは悪魔の娘だ!』
そんな声と共に映っていたのはあのトットムジカの悪夢だった。こ、こんな映像が残っていたなんて・・・
「止めて止めて止めて・・・違う・・・違う!!」
蹲って泣き始め頭を抑えるウタ。
私は何も言えずにただ彼女を抱き締めた。
「兎に角、晩御飯を食べて休もう・・・明日、あの日の真実を君に言わなければならない。もう1人で悩まないでくれ」
私がそう云うと彼女は大声で泣いた。
あの日、シャンクスが去ってるのを見ながら泣いた時と同じくらい泣いていた。
○○○
一晩経って、彼女の部屋に行くとベットの上で蹲っている彼女がいた。
「眠れなかったのかい?」
「うん・・・ねぇ、教えて・・・あの日、エレジアを滅茶苦茶にしたのは『私』なの?」
違う、そうじゃない。あればトットムジカのせいで君ではない。私はそれを君に教えないといけない。
「違う!あの日・・・シャンクスと一緒に海に行くと決めた君に私達はウタワールドで沢山の歌を教えた・・・その時にウタウタの実の力で蘇るトットムジカが蘇ろうと君に近づき、歌ってしまったんだ」
「じゃ、やっぱり私じゃない・・・私が全部ブチ壊したんだ・・・」
「違う!」
「違わない!!私がウタウタの実の力で全部何もかもブチ壊したんだ・・・シャンクス達は守って・・・けど、置き去りにして・・・もうわかんないよ!!」
頭を抑えて泣き始めたウタ。
どうすれば良いのか・・・シャンクスと約束してたのに私は破って、この子を苦しめて・・・
「すまないウタ・・・すまない・・・」
私は泣いてる彼女の頭を撫で続けた。泣き止むまで優しい歌を歌えば良かったかも知れないが今だけは歌から離れさせる時だと思った。
シャンクスと離れた時からずっと寂しさを感じていた彼女は良くも悪くも我慢強い。海賊の娘だからか、元来のタフさゆえかそれが真実を知った今、崩れた。
まだ20歳、しかも11年もの間に自分の中で渦巻いていた物がこんがらかっている。彼女は恐らく立ち上がる。だがこのこんがらかっている物を丁寧に解かなければ彼女はきっと間違った方向に行ってしまう。もう彼女が苦しむのは見たくなかった。
暫く、撫でて涙を出すのに疲れたのか少し落ち着いてきてるように見える。後はゆっくり彼女とご飯でも食べながら話して・・・
『ぐぅぅ〜!』
空気を全く読んでない大きなお腹の音を鳴らした私にウタが顔を向けた。
なんで、私が鳴らすんだ!?いや、お腹が空いたのは確かなんだが・・・
「プッ・・・フフ・・・」
ウタが笑ってくれた。
気が抜けたのか・・・
「すぐにご飯にしよう。仕度してくる!美味しい物を作ってくるよ!」
私はそう言って朝食の準備を始めようとするとウタも付いてきた。
「私も作るよ」
「わかった・・・一緒に作ろう!」
私達は一緒に朝食を作った。久しぶりだった。ウタが配信を始めてからは彼女は朝昼晩と音楽作りで忙しくて私がやっていたから・・・朝食を作り終えて、食堂で食べてる時、私は決心した。
もう真実を知った彼女をこの島で抑えるのは彼女の為にはならない。世界に羽ばたこうとしてるウタの歌声を私は止めたくない。
シャンクスには要らぬ心配を掛けさせる事になるが、それでもやるべきだと思った。
「ウタ・・・私は今まで君に世界の事を教えてこなかった。世界政府や海軍から守るためにシャンクスと約束した」
「うん、わかってるよ・・・納得はまだ出来ないけど・・・」
「すまない・・・ウタ、世界に挑戦してみたくはないか?」
「え?」
「1年の配信で君の歌は人気になっていってる。それで実はライブの依頼があちこちから来てる」
「・・・無理だよ・・・私の歌・・・悪魔の歌だし・・・」
「違う、天使の歌だ。君の歌は人を幸せに出来る!」
そう言うとウタは立ち上がった。
「・・・ちょっと考えさせて・・・」
ウタはそう言って部屋に戻っていった。
〇〇〇
ウタは自分の部屋で音貝で自分の作った歌を聴いていた。自分の歌に自信があったし、歌で皆を幸せにしたくて頑張ってきた。
『ウタは悪魔の娘だ』
しかし、頭に流れるのはトットムジカで火の海になったエレジアと憎んでいたシャンクス達が守ってくれた事。
この11年間、死ぬほど嫌いになった。勝手に消えて会いにも来ない。もっと冒険したかったのに残された辛さ、悲しみ、恨み。自分の歌声だけが残されていた物だったのにそれが原因でこうなるとは皮肉でしかなかった。
『ウタ・・・私、ウタの歌声が大好き』
『いつも歌ってくれてありがとう!』
『お陰で明日からも頑張れるよ』
『ありがとう』
『ありがとう』
『アリがとう』
『あリがトう』
『ありがトウ』
『アリガトウ』
アリガトウアリガトウとファンの声で奮い立とうとしたが、自分の歌が悪魔の歌声だと知った今のウタには何も効果はない。むしろ、その声援すらも呪いになりかけていた。
「無理だ無理だ・・・私には無理だ」
ウタはそう言って自分の歌を聞くのを止めて、思いっきり音貝をぶん投げた。気分が晴れるかもと思ったが何一つ晴れなかった。壁にぶつかった音貝は自分の机の上に置いていた作詞や楽譜も床にばらまいた。
綺麗好きなのと音楽好きゆえなのかウタは気持ちが沈んだまま、散らばった物を集めて机の上に戻していた。
そんな中でウタは1枚の紙を見つけた。
瓢箪みたいな形でウタはそれが何か覚えていた。それは幼馴染のルフィが昔、書いた下手くそなシャンクスの麦わら帽子。ルフィがくれると言ったこの絵は大事な思い出だった。
「ルフィ・・・ルフィ・・・会いたいよ・・・」
ウタはそう言いながら、片付ける。ウタウタの実もシャンクスも関係ない。本当に楽しくて笑いあった幼い記憶。そして自分の歌を褒めてくれた事を思い出していた。
(ルフィ・・・ルフィは海賊になったのかな?それとも愚痴愚痴言ってたお爺ちゃんの所で海兵になったのかな?・・・また、チキンレースとかやりたいよ)
楽しい記憶を思い出し続けてウタは涙が止まらなくなっていた。ポロポロと落ちて片付けが終わっても止まらなかった。シャンクスに置いていかれてウタには自分の歌しか頼れなくなったが、その歌にも頼れない今はその思い出だけしか残ってなかった。
ウタはそのまま泣き続けてまた疲れて眠った。
〇〇〇
ゴードンは自室で作業をしていた。
いつもの音楽関係ではなく、ウタに外の世界を知ってほしいが為にゴードンは書庫から本や新聞を取り出してきた。国が崩壊したとはいえ、ニュース・クーや物資はそれなりに来ていた。ゴードンは新聞は捨てようとしていたが国王の時の癖で世界情勢関係を読んでいたので捨てられなかった。というよりもいつかウタが11年間のシャンクスの動向を知りたがると思って取っていた。
そんな新聞だらけの中からゴードンはライブの依頼を受けると言う前提で会場の1つになってるアラバスタ関係のここ数年の物を手当たり次第集めていた。
そして1つの新聞を取ると2枚の手配書が落ちた。
それには「麦わらのルフィ 懸賞金1億ベリー」と「海賊狩りのゾロ 懸賞金6000万ベリー」と記載されていた。今では4億の賞金首であるがクロコダイル陥落とアラバスタの事件の記事と一緒に保管というよりも新聞に挟んでいた。ゴードンはその手配書をゴミ箱に捨てた。海賊が嫌いになったウタには嫌な物だと思ったからだ。ゴードンは捨てた後でまだまだあるアラバスタ関係の物を集める。
〇〇〇
翌朝、ウタは朝早くに目を覚ました。
気分は暗かった。ただでさえ落ち込んでいたのに加えて幸せな記憶も思い出してより落ち込んだ。
「ゴードン・・・お早う・・・」
ゴードンの部屋に行くと彼はぐーすかと寝て更には部屋も恐ろしく新聞やら書物やらで散らかっていた。ウタは書物の1つを取ってみると『激動のアラバスタ』という題名だった。作者表記はイガラムと書いてあった。他の国の事を急に集めるなんて何時もならやってないのにやってしかも疲れて寝落ちしてる事実からウタはライブ関係だというのがわかった。
だが、大切なゴードンの国を滅ぼしておいてそこまでやってくれてる事に申し訳なさを感じていた。
ウタはますます落ち込みつつも取り敢えず、片付けようと地面に落ちてる物をゴミ箱の方に持っていくと昨日ゴードンが捨てた手配書が目に入った。
「手配書?」
ウタは何気なしに手配書を取った。そうルフィの手配書を取って見た。
「ル、ルフィ!?嘘!!?一億べリーって・・・えぇ!?」
「うおっ!?な、なんだ??」
びっくりして大声を上げるウタ。その声に目が覚めるゴードン。ウタは目を白黒にさせながらもゴードンに詰め寄った。
「ね、ねぇ!これって」
「あ、あぁ、『麦わらのルフィ』。大物の海賊だがどうかしたのかい?」
ゴードンは詰め寄ってきてルフィの手配書を押し付けてくるウタに少しビビりながらも答えるとウタは部屋から出た。
ウタはそのまま、自室に戻ってルフィがくれた麦わらマークのイラストを持って港まで走った。あの日から分からなくなった幼馴染は今、自分の夢に向かって頑張っているのが分かったからだ。それを見てウタの中に芽生えたのは負けじ魂だった。
「ルフィ・・・頑張ってるんだね。私も頑張ってみるよもう一回・・・私の歌で皆を幸せにして、いつかルフィ達海賊も海軍も関係ない私のステージで聴かせるからね!!」
ウタはそう言うとルフィの手配書と彼がくれた麦わらマークをしまってゴードンの所に戻った。
(ルフィが外で色んな冒険をしてる!私も負けられない、ルフィにいっぱい私の冒険譚を聴かせてやるんだから!)
ウタは気持ちを新たにしてゴードンが持ってきたライブの話を了承した。折角、ゴードンが頑張ってくれたのと自分も外に出たくなったからだ。
こうして2人は最初のライブ会場がある“アラバスタ”へと向かった。
これはウタがルフィと冒険する話ではない。
ルフィが何をやってきたのかウタが知る“軌跡”的な話。
というわけで主役は勿論、ウタですがルフィはまだあの頂上戦争から1年しか経ってないので出ません。出してもウタと会うのはかなり後だと思います。
あくまでもウタがルフィの軌跡を追う話なので、悪しからず。
ハッピーエンド信者なので頑張ります。