お楽しみに
※今作は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。
バギーはウタに体を小さくされて逆らえなくなったが割とポジティブに次の事を考えていた。
(クソッ、何かの能力で捕まって逆らえなくなっちまったが相手はあの人気中らしい歌手のウタだ。こいつを無事に保護して傷つけずに帰らしてやれば海賊はわからねぇが派遣の方は儲かるかもしれねぇ!)
バギーは下卑た事を考えながら、ウタの後ろを付いて行くが鼻歌を歌いながら前を歩くウタに対してバギーは違和感を感じた。別にバギーは見聞色の覇気を使えるわけではないし、人の都合なんてどうでも良いと思ってる海賊だ。だが本人の宴好きの勘が働いたのか今のウタは無理やり楽しそうにしてて歪に見えた。ウタの周りで動いてる音符もバギーは不気味に見えた。
「おい、ここはどこなんだ?」
「ここはウタワールド。私のウタウタの実で作った夢、だから私の意のままだから気をつけてよね?」
バギーは笑顔で聴いてくるウタが怖くて首を縦に振った。どうも自由にさせる気はないようでバギーは色々と不安に駆られた。早く自分の海賊団と合流したいのにインペルダウンよりもマシとはいえ、監禁されてるに等しい所は勘弁してほしかった。しかもたしかに楽しそうな雰囲気を出してるがバギーとしては金銀財宝の雨が降ってほしいのに降るのはファンシーなお菓子とこれまた好みと違っていた。
「おいおい、派手にファンシーすぎるだろうが」
「良いじゃない。“幸せ”な夢だもの」
あまりにも色々と情報が多すぎてバギーは疲れて辺りをキョロキョロと試しに見てみると黒髪の小さい男児を見つけた。男児はバギーに見られると逃げ出したので少なくともこの状況よりマシかと思って追いかけた。
追いかけていって見えてきたのは風車小屋だらけのフーシャ村の風景だった。
「こりゃ東の海のゴア王国か?」
バギーは東の海で長年海賊をしていた経験から場所が分かった。急に現れた景色に驚いてると投げられたボールがバギーの頭を直撃した。
「投げたのは誰だ!?」
バギーは投げられてきた方向を見るとそこには幼少期のルフィがいた。ウタと出会ったばかりの頃で目の下の傷もなかった。
「む、麦わら!?お前、なんでここに!!?」
驚くバギーにルフィは何処から出したのかまたボールを投げてバギーの頭に当てる。2回もやられたのでバギーは思いっきり投げ返すが簡単に受け止められる。
「うっそ〜」
ルフィはまたボールを投げてバギーは3回も頭に当てられた。バギーは笑ってるルフィを忌々しい目つきで見てると急にルフィの顔が曇った。目線の先が気になって見るとそこにはウタがいた。しかし、目は輝きを失って顔は焦燥しきっていた。
「違う・・・違う・・・違う・・・」
ウタはルフィに詰め寄って頬を引っ張って笑顔にさせようとしていた。
「あの時のルフィは笑ってた・・・もっと笑ってた・・・笑ってたんだ!!」
叫びながらルフィを無理矢理笑顔にさせようとするウタ。バギーは明らかにおかしいと思ったがあまりの衝撃に何も出来なかった。ルフィはやり続けるウタにウンザリしたのかウタの手から脱出して逃げた。
「待って・・・待って・・・」
ウタは追いかけようとしたが転んでしまい、走り去っていくルフィに手を伸ばした。
「置いてかないでーー!!!」
バギーはここまで見た後で急に目の前の景色が暗転した。
〇〇〇
バギーが目を覚ましたのは森の中で既に夜になっていた。その事は特に問題はなかったが近くにウタの姿はなかった。
「おいおい、まさかどっかに行ったって事はないだろうなぁ。もしもなんかあって俺の派遣業に少しでも影響があったら・・・」
思い浮かべるのは人気があるウタに対しての扱いがバレて七武海脱退は多分無いだろうが必死で軌道に乗せた海賊派遣に影響が出るのでは?と相変わらず自分本意な考えをしてバギーはウタを探し始めたが見つからなかった。途中途中で果物を見つけてバラバラの実で直に毟り取りながら森から出ると、浜辺で蹲ってるウタを見つけた。
「おい!」
バギーが声をかけるとウタは気づいたのか立ち上がって歌おうとしていた。バギーは能力の発動条件かなんかだと思い、手を飛ばしてウタの口に噛ませて押し倒した。
「いっでぇ!!!噛むのを止めろ!後、歌うのも駄目だ!!」
バギーがそう云うとウタは首を縦にコクコクと振り、バギーは口から手を離したがウタはまた歌おうとしたので同じように手を口に噛ませた。
「だから止めろって言ってるだろうが派手バカ娘!あんな世界に入るな!!」
幾ら、実力が弱くても先程の世界がウタに良いとは思えなかった。無事に返して市民から人気を取って派遣業を更に上げたいバギーはそう云うとウタはバギーを睨んだあとで砂を掴んでバギーの目に当てた。やられたバギーはウタの上からどいて涙を流したり、擦ったりして落とした後でウタを睨むと彼女は泣いていた。
「バカ娘!泣きたいのは俺の方だ!!」
「・・・い・・・」
「あんな世界に行くな、より心が派手に悪くなるぞ!」
「・・・るさい・・・」
「何が幸せな夢だ、ただの妄執だろうが!」
「・・うるさい・・・」
言いたい放題言ってくるバギーにウタは叫んだ。
「うるさいうるさいうるさい!!アンタに分かって溜まるか!!」
子供の駄々のように大声でキレた。急に来られてバギーはビックリし、ウタは泣きながら叫んだ。
「妄想だって知ってるよ!良くならないのもわかってる!!けど、私にはもうアレしかないの!!11年間一人ぼっちの私にはもうルフィとの記憶しか縋れないの!!楽しい記憶に縋って一体何が悪いんだよ!!!」
大声で泣き始めるウタ。
正直言ってバギーはウタが何を言ってるのかさっぱり分からなかった。
パァン!!
ただ、子供の駄々に付き合う気は全く無いのでバギーはウタの頬を思いっきり叩いた。叩かれたウタは大声で泣くのを一回止めて頬を抑えた。
「派手にギャアギャアうるせぇんだよ!!縋ってんの分かってんならとっとと新しい物を見つけりゃいいだろうが!!!」
無茶苦茶な事を言ってくるバギーにウタは怒りながら返す。
「そんなの見つけられない!!大好きな歌にも縋れなくなって・・・私にはもうルフィしかいないの!!」
「まだ言うか!!」
パァンとまたウタの頬を叩くバギー。
ウタはもう一回歌おうとするがバギーがまた手を噛ませた。
「何が見つけられないだ!?何が麦わらしかいないだ!?派手に本気で探してないだけだろうが!!見つけるしかねぇんだよ!!見つけて辛い記憶を薄くさせるしか方法はねぇんだよ!!まだケツの青い小娘が思い出に甘えてんじゃねぇ!!」
無茶苦茶な事を叫んで本気で言ってくるバギーにウタは頭が冷えたのか少し止まった。しかし、また蹲って泣き始めた。バギーはもう何も言わずに自分の持っていた果物をナイフで半分に切ってウタにあげた。
「ほら、食わねぇと派手に死ぬぞ」
ウタはバギーから貰って食べる。みずみずしくて甘さを感じるはずの果物が塩っぱいと感じるほどに泣いていた。バギーはウタの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。昔、ロジャー海賊団に居た頃にやってもらった事をやってあげた。だが酷く乱暴でウタには不快だった。バギーの手を弾いて止めさせて文句の1つでも言おうかと見るとだらしない顔つきで全く似てる要素は無いバギーにシャンクス姿が一瞬だけ重なったように見えた。その事にウタはありえないと思いながらも泣きつかれて眠った。
バギーは寝落ちしたウタを見ながら愚痴を言っていた。
「ったく、何なんだこの紅白娘は・・・てか、麦わらの知り合いなら人質に・・・いやいや、確か非加盟国とかにも人気があるって新聞に載ってたから下手に手を出すと海賊派遣に影響が派手に出るかも・・・こんな娘1人で潰したくねぇ・・・」
バギーはウタを見捨てようか見捨てまいか割と真剣に悩んで、稼ぎである海賊派遣の影響を与えない為に我慢して堪えることにした。
〇〇〇
朝になり、波の音でウタは起きた。隣ではバギーがグウグウと寝ていて上着をウタに被せてくれていた。ウタはその上着をバギーの上に返してあげると逃げるようにバギーから離れて森の中に入って、昨日バギーに言われた事を思い出していた。
「何が新しい物を見つけろだよ、何が本気で探してないだけよ。何も知らないくせに・・・」
ぶつくさと歩いてるウタは愚痴るとお腹が空いたのか腹音がなったので周りを見るが何もなかった。キノコすらなかった。
「お腹すいた〜・・・そう言えば昔、ルフィと果物取り勝負とかしたっけ・・・」
『ウタ〜、どうだ俺の方が多いぞ』
『あたしも負けてないわよ!』
『んじゃ、数えようぜ。1つ、2つ、3つ、4つ』
『ルフィ・・・シャンクス達が釣りしてる!』
『えぇ〜、どこだ!?』
(よそ見してるうちにウタはルフィの果物を少し奪った)
『ごめ~ん、あたしの見間違いだった〜』
『も〜なんだよ〜、5つ6つ7つ8つ・・・あれ!?』
『9つ10!あたしの勝ち。75連勝達成!』
『ウタズルいぞ。俺の奪ったな!!?』
『海賊が物を取って何が悪いのよ』
楽しい思い出を思いだしてウタはまた泣きそうになった。ルフィに会って色々と話したいことが出来ていたのにこれでは辛いだけだった。しかもお腹の音も鳴るのを止めなかった。
ウタは果物を探してあちこち歩いてみたが見つからずどうしようか悩んでいた。
「ほい」
だが、急に果物が目の前に現れたのでウタは何も考えずにそれを取って食べる。
「よぉ、俺が取ってきたモンは旨いか?」
後から声がしたのでウタは振り向くとバギーが立っていた。先程の果物はバギーがバラバラにした手で目の前に持ってきたのだ。ウタはまた逃げようと立ち上がると首根っこを掴まれた。
「だから派手に逃げるんじゃねぇよ。別に取って食いはしねぇよ」
「うるさい、デカッ鼻!あんたみたいな奴大っ嫌い!!」
「喧しい!!てめぇの能力はもう分かった。このまま、俺の船に乗って貰うぜ」
バギー的には乗って海軍とかに引き渡してそれを新聞記事にさせて市民から人気を得て派遣業の実績を上げようと云う意味で言ったのだがウタからすればまだ自分を手下にしようと諦めてないようにしか聴こえなかった。
「誰が乗るもんか!私は世界一の歌姫になって私の歌で皆を“幸せ”にするんだ!!」
ウタはもがきながら自分の夢を叫んだ。
「痛っ!」
「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
するとバギーはウタを落として腹を抱えて笑い始めた。あまりにも不快な大笑いにウタは噛みつく。
「そこまで笑わなくてもいいじゃない!!」
「馬鹿野郎、これほど派手に笑えるのはないぞ、贅沢娘!!何かに縋ってないといけないお前が“幸せ”だと!?ちゃんちゃらおかしいな!!」
バギーの言葉は図星だった。自分はルフィとの記憶に縋らないと頑張れない。それしか楽しい記憶がない。新しい物を見つけられない。バギーの言葉はそんなウタの心に嫌でも響いた。
「うるさい!それでも私は・・・」
「黙れ贅沢娘!俺はな宝が欲しい!この世の全ての金銀財宝を手に入れたい!それが俺の“幸せ”だ。俺だけが持って俺が決めた俺の幸せだ!
ドンドンとウタの心に響いてくるバギーの言葉。一蹴したくても図星を刺されて、おまけに自分とは違って常に何処か“自由”に動いてるバギーの言葉は想像以上に重かった。
「“幸せ”を舐めるんじゃねぇ!!」
バギーのその言葉にウタはその場に崩れて頭を抑えた。髪がグシャグシャになるほど掻きむしってバギーの言った事を否定しようとしたが何処か自分でもその事を理解していたウタは何も言えずにただ、その場で叫んだ。
「アァァァァァァー!!!」
小さな島にウタの叫びが響いた。
というわけでウタがバギーによってボロボロになってしまいました。因みに私は後で上げずに曇らせるだけの展開は苦手なので上げます。
というかもうこっからは上がる以外無いので上げます。