“軌跡”的な世界   作:怪獣馬鹿

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それでは皆さん、バギー編のラストです!!

色々と普段とは敢えて変えてる場所もあるのでお楽しみください!!
というかバギー船長人気だな!!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ヒカリへ

ウタが叫んでから3日経ったが相変わらず迎えの船は来なかった。ビブルカードを持ってるのに来ないアイツラにバギーは少し悲しくなった。

しかし、それよりも不味いのがあった。ウタが生気を喪った目で果物や焼き魚を食べはしたが、1日中ボーッとしていてまともな雰囲気ではなかった。

 

(やべっ!!偉そうな事言ったら変な方向に派手に行っちまいやがった!!派遣業がぁ〜)

 

どこまでも自分本意の事を考えるバギー。あまりのウタの状態におろおろとしだす始末で非常にみっともなかった。泣かず喋らずのウタにバギーも段々とイライラが積もってきて海軍にでも何にでもすぐに引き渡したかったが生憎と遭難中で出来なかった。

バギーは暇潰しに浜辺を歩いてると手漕ぎボートが漂着していた。これで島の外に行けるとは思ってないが沖で魚を釣れる事にバギーは喜んでいた。

 

「よっしゃ、これで派手なデッカイ魚も釣れるぜ。ラッキー!!」

 

更に幸運な事に目の前の小舟にニュース・クーが止まった。一休みの休憩かも知れないがバギーはなんとか持っていたなけなしの一万ベリーを渡してお釣りと「世経」を買った。

最高の暇つぶしの道具が手に入ったと思ったバギーは新聞の一面を見るとすぐにウタの所に戻っていった。

 

呆然とただただ蹲ってるウタの前にバギーは新聞を投げた。

 

「読め、お前の事も書いてる」

 

しかし、ウタは何も動かないしバギーも新聞も無視していた。流石に我慢の限界が来たのかバギーがウタの胸ぐらを掴んだ。

 

「いつまでそうやってんだ!?そうやれば誰か助けてくれると思ってんのか!?」

「・・・もう、どうでもいい・・・死にたい・・・」

 

3日ぶりに出てきたウタの言葉にバギーは遂に堪忍袋の緒が切れた。

 

「そうかい、なら派手に死んでこい!!」

 

バギーはそのままウタを海へと投げ飛ばした。

大きな水しぶきと音を鳴らしてウタは沈んでいく。

 

「あぁ!!?派手にやってしまった!!俺様のバカ!!」

 

バギーは新聞を拾って全力で小舟の所まで行ってウタが沈んだ所まで漕いでいった。

 

 

 

 

〇〇〇

苦しい・・・息が・・・でも、もう良いや・・・

ルフィはいない・・・私の夢も・・・本当はわかってたよ・・・無理だって・・・でもそれぐらいしかもうやりたい事なかった・・・

 

このまま死ぬのかな

 

私の人生って・・・何だったのかな?

 

シャンクスに拾われて旅して・・・何で歌が好きに・・・・

 

『ウタは本当に歌が好きだな!』

『うん、だって赤髪海賊団の皆が笑ってくれるもん』

『そうか!!』

 

そうだ・・・最初はシャンクス達が喜んでくれて・・・

 

『どうだった?』

『うめぇな、お前・・・』

 

ルフィの前で初めて歌った時、嬉しかったんだ・・・私の歌で喜んでくれてる皆を見て・・・それで・・・

 

 

・・・嫌だ・・・

 

 

 

・・・死にたくない・・・死にたくない・・・生きたい!!

 

私にはまだ・・・やりたいことが・・・

 

必死にもがいてると縄みたいなのに捕まることが出来て私は引き上げられた。

 

 

 

 

〇〇〇

バギーは石を括った縄を海に沈めるとウタが掴んだのが分かったので引き上げた。バギーもウタも肩で息をしていた。

 

「なんで、上がってきた・・・派手に死にたがってただろうが!」

 

バギーの問いをウタは無視した。また無視されたバギーはウタの首を掴んで海の上に持ってきた。ウタは落ちないように必死でバギーの手を掴んでいた。

 

「なんで上がってきた!?」

「・・・うた・・・たい・・・」

「あぁ!?ハッキリ言え!!」

 

バギーがそう云うとウタはポロポロと涙を溢しながら叫んだ。

 

「歌いたい!!シャンクスやルフィの前でもう一度歌いたい!!2人や2人の仲間に笑ってほしい!!私は赤髪海賊団の音楽家でシャンクスの娘のウタだー!!」

「なに、シャンクス・・・いや、それは今はどうでもいい。残念だが麦わらは死亡説が出てるぞ!!無駄足だったな!!」

「無駄足なんかじゃない!!」

「なんでだ!!?」

「だって・・・だって・・・2人なら喜んでくれる!!墓に入っても絶対に笑ってくれるって信じてる!!」

「お前・・・」

「他の人とか関係ない私のしたいことだ!!」

 

ウタがそこまで叫ぶとバギーは小舟に戻した。吐き出してスッキリしたウタの前に新聞をもう一回投げた。

 

「それを読め、アラバスタでの事が書いてる」

 

バギーに言われてウタは始めて新聞に目を通した。内容は『歌姫UTA、行方不明』と書かれていた記事だ。自分の遭難の記事でアラバスタでのライブの事とファンからの心配の声が書かれていた。

 

『早く無事だと判明してほしい』

『彼女の歌声を聞きたい』

『あの歌声を聴いて元気になった』

『どこに居るのかさえ、わかったら絶対に飛んでいく』

『海賊に拐われたなら絶対に助ける』

 

純粋に自分の事を心配してくれてる皆の声を載せていてウタはそれを読んでポロポロと涙を流し、新聞を濡らしていく。

 

「それに麦わらやシャンクスの事が載ってんのか?」

 

ウタは首を横に振った。2人には関係ない自分だけの物だった。

 

「派手な思い出が大事なのは分かる。俺もロジャー船長が死んで同じくらい苦しんだ。けどな、無いものは無い!立ち上がって前見て探していくしかねぇんだ!自分(てめぇ)の“幸せ”を自分(てめぇ)で狭めるな!!」

 

バギーからの言葉にウタは涙が止まらなくなった。ルフィにしか縋れなくて夢だけは大きかったがやりたいことと新しく見つけた幸せは凄く優しくて暖かかった。

バギーは浜辺には戻らずにまだ海の上でボートを止めて横になった。

 

「ほら、大声でアラバスタから出来た思い出(幸せ)を言ってけ。ジャヤで金塊を奪い返したのもこっちは知ってんだ。それをやるって事は大事なもんがあったんだろ?スッキリするからド派手にやれ」

 

バギーに言われてウタは泣きながらそれを叫ぼうとしたがまず何があったのか指を折りながら数えた。

 

・アラバスタの食堂でご飯を沢山食べたこと。

・ビビやカルーと友達になったこと。

・ユバの街でトトおじさんに喜んで貰ったこと。

・温泉に入ったこと。

・ステージを海賊のバルトロメオから守ったこと。

・ライブで皆に喜んで貰ったこと。

・トトおじさん達の師団にまた歌うと約束したこと。

・ジャヤでクリケットのおじさん達にあったこと。

・サルベージを手伝ったこと。

・サウスバードを探したこと。

・金塊を取り戻したこと。

・ノックアップストリームを見たこと。

・クリケットおじさん達に歌を届けると約束したこと。

 

たった13しかない少ない思い出。けど大事なルフィやシャンクスに関係のない自分だけの思い出。

 

「アラバスタに着いて最初にご飯をたくさん食べた・・・友達も出来た・・・歌う事を喜んで貰った・・・温泉にも入った・・・ステージを海賊から守った・・・約束もした・・・ジャヤで海賊のおじさん達に会った・・・サルベージを手伝った・・・サウスバードを探した・・・金塊を取り戻しておじさんに喜んで貰った・・・ノックアップストリームを見て凄く興奮した・・・おじさん達とも約束した!!」

 

泣きながら、少ない大事な思い出をウタは叫んで一息ついてからもう一回叫んだ。

 

「ルフィやシャンクスも関係ない私だけの思い出だ!!大事な大事な私の旅の思い出だ!!まだ全然少ないけどもっと増やしたい!!もっともっと増やして“世界”をもっと知って楽しみたい!!」

 

そこまで叫んでウタは座り込んで号泣していた。

自分だけしかない物をちゃんと数えて吐き出して色々と感情が溢れてきたのだ。

バギーは手を飛ばしてそんなウタの頭を撫でてあげた。

 

「もっとド派手に泣いて叫べ。でないと泣きたくて叫びたくなった時に出来なくなるぞ」

 

バギーの言葉にウタはこの際徹底的に吐き出そうと立ち上がった。

 

「遭難ばっかりでもううんざりだー!!」

「おお、そうだ。もっと言え!」

「しかもデカっ鼻も一緒で最悪の気分だった!!」

「んだと、この贅沢娘!!?」

「乱暴でヘタレで情けなくてシャンクスの方が見た目は百倍カッコイイ!!」

「このクソアマ!!」

「けど、優しくて凄く自由だ!!」

 

ウタはそう叫ぶとバギーを見て笑った。バギーはその顔を見ると怒る気も失せてきたので再びボートを漕ぎ出した。

 

「ねぇ、シャンクスやルフィの事知ってるの?」

「あぁ、知ってる。同じ海賊見習いだったし戦ったからな。まさかシャンクスの娘も居るとはもう驚きすぎて驚けねぇよ」

「ねぇねぇ、その時のシャンクスってどんなだったの?ルフィには勝ったの?」

「あぁ、タダで教えるかよ」

「教えてよ()()()()()()()

「急に猫なで声をするな!!」

 

2人はそう言い合いながら浜辺に戻っていって、ウタはバギーからシャンクスの見習い時代の話を饒舌に聞き出した。そんな風に2人の島での遭難は楽しくなった。

 

 

 

 

 

 

翌日の朝にビックトップ号がやってきてバギーもウタも乗船した。

 

「野郎共、さっさとこの娘を海軍に渡すぞ!!」

「「「「「了解しました!!」」」」

 

バギーの号令に船員達は慌ただしく動き始める。ウタは何故にバギーがこんな事をやるのか気になって近づいた。

 

「ねぇ、どうして私を海軍に渡すの?欲しがってたじゃない」

 

そう言うとバギーは昨日見ていた新聞を渡してとある記事に指を指した。

 

『UTAの行方不明に“千両道化”の影あり』

『バギーズデリバリーに非難殺到、七武海除名運動待ったなし』

 

「さっさとお前を無事に渡さねぇと俺の立場が無くなるからだ!!」

「え?ひょっとして最初からこの為に?」

「当たり前だろうが」

「酷い、バギーおじさん。そんなにセコいなんて」

「セコいって言うな!!」

 

すっかり距離が縮まった2人の会話が聴こえて止まる船員も出ているが皆、バギー=命のようなノリで生きてるのですぐに作業を再開した。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは客人としてビックトップ号に乗っていた。グランドラインを大勢で渡っているだけあって下手に手伝っても役に立たなかったのでウタは曲を書いていた。まだ不安だらけだけど自分の為に、助けてくれたバギーの為に曲を書いた。

 

そして、海軍に引き渡す前にビックトップ号で披露する事になった。格好はいつものままだが緊張してしまい、落ち着こうとしていた。

 

「おい、派手に入るぞ!」

 

バギーがデリカシーなく入ってくる。まぁ着替えをする必要は無いので別に良かった。

 

「今日は新曲の披露だから派手に頼むぜ!!」

「うん・・・」

「なんだ、暗いじゃねえか!」

「私・・・ウタウタの実は関係なく上手いけど、歌うと皆をウタワールドに連れていっちゃうから・・・私、悪魔の実とか関係なく魅了したいんだけどなぁ」

 

ウタはそう言って作り笑いをするとバギーは部屋から出ていった。そして暫くすると木箱を持って戻ってきた。

バギーは木箱を開けると中には鎖の一部分のような壊れた金属の輪っかが入ってた。

 

「これ何?」

「戦争の時にシャンクスとカイドウが小競り合いをした現場に行って手に入れた海楼石だ。これを持ってれば力が入らなくなるが能力も使えなくなる。悪魔の実を封じて歌いたいならこれ持ってド派手に気合い入れて歌え!!」

 

これまた無茶苦茶な解決案を出してきたバギー。能力者は海楼石を持つと脱力して力が入らなくなるのにそれを持てなど無茶苦茶も良いところだった。

しかし、そんな無茶をウタはやってみたかった。色んな事に挑戦したくなった。

ウタは海楼石に手を触れると座り込むほどに力が出なくなったが負けじ魂で無理矢理力を入れて、麦わらマークの手袋に入れた。

 

「やっぱり、止めとくか?」

「ううん、絶対に止めない・・・私が自分の()に向き合う為にも!!」

 

ウタはそう言ってバギーと共にビックトップの広い甲板に作られたステージの上に乗って気合いで新曲の『ヒカリへ』を歌い始めた。

 

「僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪」

 

まだまだ臆病な自分の為にも

 

「夏色太陽がココロの帆をゆらせば♪あたらしい世界への扉を開く合図♪」

 

まだ全然、世界を知らない自分の為に

 

「波間にゆれてる絶望を抜けて♪水平線の向こう側 目指して♪」

 

そして、これから頑張っていく自分の為にも

 

「僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪」

 

海楼石を持って倒れそうになっても止めない。ウタウタの実なんか関係ない。自分の歌を取り戻すためにもウタは全力で歌っていき、ラストのサビに入った。

 

「僕はなぜさがしてるんだろう♪なにがほしいんだろう♪まだ見ぬタカラはどこに〜♪」

 

宝を探し続けてるバギーへの感謝も込めて

 

「あふれ出す情熱を胸にどこまでいける?」

 

全力で行ける所まで行きたい。

 

「わからないけれど 僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸にどこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリを求め〜その向こうへ♪」

 

全力で歌い終わってバギー海賊団の船員やバギーはその歌に対して大熱狂で応えてくれた。ウタもいつもよりも伝わってくる生の熱狂に興奮していた。

こうしてウタの船上ライブは大成功だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

その数日後、ウタは海軍の船に乗る前にバギーの船室に来ていた。

 

「これが今の麦わらの手配書で4億ベリー」

「4億!?」

「で、これがシャンクスの40億ベリー」

「高っ!!」

「こんなんは見せかけだ。実際に会えば派手にいい加減なのがわかるぞ」

 

ウタはバギーの言葉に頷くと2人の手配書をバギーに返した。返されたバギーはそれを乱暴に引き出しに戻した。

 

「良いのかよ。写真持ってなくて」

「私にはこれがあるもの♪」

 

ウタは麦わらマークに指を指して嬉しそうに言ったがまた暗い顔をし始めた。

 

「おい、今度は何だ?」

「ううん、ちょっと不安になっただけ。海賊嫌いで通してるのに海賊の世話になってファンの皆が離れないか」

「派手バカ娘、それで離れたってそいつ等が全員じゃねぇだろうが!」 

「うん、そうだけど・・・」

 

バギーは折角ウタが笑ってくれたことでバギーズデリバリーの非難が収まるかも知れないのに暗い顔で帰られたらより非難が増えてマジで七武海クビかもと思った。

それでバギーはあるものをウタの腕に着けた。

それは長年探してるキャプテン・ジョンの財宝の在り処が記されてるというトレジャーマークのバンドだった。

 

「これ・・・」

「俺が死ぬほど欲しい男の財宝が記されたトレジャーマークだ。これなら女が着けても違和感はねぇだろ」

「ちょっと待って、そんな大切な物は貰えないよ!!」

「うるさい派手バカ娘!あげるんじゃねぇ貸すんだ!それは俺の夢への切符だ。だから暗い顔するな。いつか自分で“幸せ”になったら返せ。それまで俺の夢を預ける!これで下手な事をやってみろ引っ叩いてやるからな!!」

 

バギーなりの激励をやるとウタはまた泣きそうになったがグッと堪えて笑った。バギーはその姿にシャンクスを重ねたが嫌な気分になったのですぐに顔を背けた。

 

「バギーおじさん、ありがとう!!」

 

ウタはそう言って海軍の船へと向かった。

バギーは色々と振り回されたウタや原因のシャンクスに

愚痴愚痴と文句を言っていた。

 

「ったく、父娘の問題に俺を巻き込みやがって派手バカシャンクスが・・・似てるから・・・調子が狂っちまっただろうが・・・またな、()()

 

その呟きはウタに届いたのか、彼女は離れていくビックトップ号に向かって満面の笑みを浮かべた。






というわけでバギー編が終わって作者から一言・・・・・・これなんて最終回?

いや、まだまだ終わりませんよ!!

これで漸くREDコースは回避されたので次からある意味で本当のウタの物語の始まりです!!というかバギー船長がただのいい男になって物凄いファインプレーの連発をしましたw

初めてウタの一人称をやったり、歌詞を載せたりと色々とやってみたので好評なら次のナバロン編でもやりたいです。曲はもう海軍と来たらの曲になりますが(分からない方はZを観ましょう!)

それでは次回もお楽しみに


ただ、次は割とマジな方向でどんな話か考えてないので間が空くかも知れません。
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