やったー!!
それでは皆さん、最終章の始まりです!
月と太陽/The Nights
●●●
27年前、エッド・ウォー。
海が荒れはじめようとうねりを出している中、2つの海賊団が対峙していた。
1つは後の海賊王、ゴール・D・ロジャー率いるロジャー海賊団。
もう1つは金獅子のシキ率いる金獅子海賊団。
方や1隻、方や何十隻の大艦隊。力の差は歴然と言える程戦力が違っていた。
「ロジャー船長!!命が1番だって!!ここはさぁ一時的に金獅子の言う事を聞いてさぁ!!」
「お前、いくら斬られても死なねぇ体になったんだから良いじゃねぇか」
「弱点はいっぱいあんだよ馬鹿!!」
当時まだ10代前半のバギーは金獅子の大艦隊を見てビビっていた。今でも見たら絶対に反応は変らない。シャンクスが持ち前の前向きさをバギーに向かって言ってるもバギーとしては打撃に弱いとか色々と弱点がないわけではなかった。バギーはロジャーの不治の病を唯一和らげる腕前を持った船医のクロッカスを見つけるとそっちへ走って言った。
「あ、そうだクロッカスさん!船長の容態はどうだ!?戦わねぇ方が良いよな?ドクターストップかけてくれ」
「生憎だが絶好調だ!!」
バギーは最後の手段としてバレットと話してるレイリーの方へ向かおうとしたが斧使いのギャバンに首根っこを掴まれて止められた。
「諦めろ。長え付き合いだが俺達がロジャーを止められた事はねぇ」
「そんなぁ〜!!」
ギャバンからの容赦のない言葉にバギーはショックを隠せなかった。
「トムの船オーロ・ジャクソンを信じろ。それにロジャーにはもう時間がない」
「・・・良い加減腹を括りやがれ」
レイリーとバレットはそうバギーに追加で言った。
一方、船首の方ではロジャーとシキが話あっていた。
「この話、何十回目だロジャー!?若え時は色々とあったが水に流そう。お前がありかを知る古代兵器と俺の兵力!そして俺が長い年月を掛けて費やした完璧な計画があれば今すぐにでもこの世界を“支配”できる!!・・・俺の右腕になれロジャー!!」
「俺はな“支配”には興味がねぇんだよシキ!!やりてぇようにやらねぇと“海賊”やってる意味がねぇだろ?・・・“金獅子”!!どんな圧力を掛けてこようともお前の申し出は断る!!」
シキの誘いにロジャーは断った。ロジャーの自由とシキの支配は相容れない上にロジャーにはもう時間が無かった。余命はもって後2年。夢を叶える為にもシキと組む時間すら無かった。
そんなロジャーにバギーが泣きながら縋りついた。
「止めて船長!!これ何十隻居ると思ってんだよ!?」
「どけ」
そんなバギーの首根っこをレイリーは掴んで離させた。
シキは散々首を縦に振らなかったロジャーに対して覇王色の覇気を放ち、ロジャーも覇王色の覇気で応戦した。
「つまり、その答えは“今ここで殺してくれ”という意味だよな!?」
「てめぇら全員、“叩き潰す”って意味だよ!!」
最初はロジャー達の砲撃から始まった。そして天が味方したのかすぐに嵐になった。そのせいでシキの能力はあまり上手く使えず最初はシキが勝つかに思われていたこの海戦は長い戦いになっていた。
「俺と戦えシキ!!」
「黙れ小僧!!」
バレットが果敢に向かってきたがシキはそれを払い除けてロジャーを探していた。ロジャーはロジャーでシキの艦隊の他の船長と戦っていて大混戦に陥っていた。
そんな中、バギーはというとコソコソと隠れながらシキの船に潜り込んでいた。
(宝部屋はどこだ??くそ、こうなったら宝かなんか取ってこっからトンズラだ!!)
バギーは何時でもバギーのままだった。命と宝なら命を選ぶのがバギーであり、トンズラする気満々だった。
樽に隠れながら宝部屋を探すバギーだったが突然と被っていた樽が真っ二つに自分ごと斬れた。
「うぉっ!?」
「人の船で何をやろうとしてんだ赤っ鼻!!」
「誰が赤っ鼻じゃ・・・ってシキィ〜!!??」
斬った相手はシキだった。コソコソと動いているのを見聞色で確認したシキは試しに樽を斬ると中から真っ二つになったバギーが出てきて目の前でくっついた。
シキはまさかと思ってバギーを細切れにするがバギーは瞬時にくっついて逃げた。
「ちっ、なんでロジャーはあんなのを・・・」
シキは舌打ちしながらも詰め寄ってバギーを蹴り飛ばした。
「ブボバ!?」
蹴り飛ばされたバギーはゴロゴロと転がった。咄嗟にナイフを両手に構えるが手は震えていた。シキはロジャーを認めているがそのロジャーの仲間がコレなので苛立ちが止まらなかった。
「よくその程度でロジャーの仲間を名乗れるな・・・弱い・・・てめぇみたいな奴が海賊を名乗るな」
シキは武装色の硬化を当時はまだ足に付けてなかった自分の剣に纏わせてバギーを剣の腹で海まで殴り飛ばそうとして振るった。
「バギー!!」
しかし、間一髪でシャンクスがバギーに飛びついてその剣から避けた。
「シャンクス?」
「危なかったな!!立てるか?」
「立てるに決まってらい!!」
先に立ち上がったシャンクスに言われてバギーも負けじと立ち上がった。シキは首をコキコキと鳴らしながら2人を殺そうと構えていた。
「よし、バギー。2人でやるぞ」
「はぁ~?逃げの一択だ!!」
「なら俺だけでも!!」
シャンクスはそう言うとシキに飛び込んで行った。そしてシキに向かって突きを放つがシキはアッサリと止めてもう一本の刀でシャンクスの首を跳ね飛ばそうとした。
「シャンクス!!」
だが、その寸前にバギーがシャンクスに飛びついてその剣から避けさせた。口ではあれこれ言いつつもやはり大事な仲間だった。
「バギー、ありがとう!!よし、今度こそ2人でやるぞ」
「だから逃げるって言ってんだろ!?」
グダグタと言い争ってるバギーとシャンクスにシキは斬撃を飛ばしてふっ飛ばした。2人はゴロゴロと転がっていき、シキはさっさと終わらせようと武装色の硬化を纏わせて2人の顔面を貫こうとしたが、突然とロジャーが2人の前に来てシキの刀を止めた。
「「船長!!」」
「シャンクス、バギー。後は俺に任せろ」
「「は、はい!」」
ロジャーに言われたバギーとシャンクスはそのままそこを離れていった。
「まぁいい。あんなガキ共殺す価値もない」
「シキ、そんな事を言って良いのか?ひょっとしたらお前の首を取るかも知れねぇぞ?」
「あんな雑魚に取られる首じゃねぇよ・・・ロジャーあんな奴らは捨てて俺の仲間になれ。あんな海賊に向いてなさそうなカス共よりは・・・」
シキの言葉は最後まで言われなかった。ロジャーに顔面を殴り飛ばされたからだ。しかも武装色+覇王色という拳で・・・。シキはすぐに立ち上がって睨むとロジャーも同じようにシキを睨んでいた。
「ロジャー・・・てめぇ・・・」
「シキ、だからてめぇとは組まねぇんだよ・・・俺の仲間はカスじゃねぇよ!!」
「相変わらず甘え男だなロジャー!!」
ロジャーは愛刀のエースに武装色で硬化するとシキに向かって突っ込んでいってシキも同じように剣を硬化させて突っ込み、2人は武装色を流してぶつかりあった。武器同士はぶつかってないが凄まじい衝撃が辺りを走った。
戦いは暫く続いたが嵐とシキに起こった舵輪が頭にめり込むという不慮の事故により、このエッド・ウォーの海戦は痛み分けに終わった。
翌日、ロジャー達は宴をしていたがロジャーは昨日のエッド・ウォーの戦いで船に戻ってくるのがまた最後の最後だったロジャーに対してレイリーが小言を言っていた。
「・・・いい加減、引き際を覚えるんだわかったな?」
「分かってるってレイリー。お前は俺のおかんか?」
「そんなのこっちから願い下げだ!」
「酷えなおい!」
レイリーの小言にロジャーは茶化してるとそこにバギーがやってきた。
「船長・・・」
「おぉ、どうしたバギー?」
「船長は怖くて逃げてぇって時ねぇのか?」
バギーはロジャーに対してそう聴いてきた。
するとロジャーはバギーの頭を撫でて笑った。
「どうしてそんな事を聞くんだ?」
「だって昨日だって凄え危なかったじゃねぇか、それに船長は最後まで残ってて・・・」
「バギー・・・お前にも何時か分かる時が来る」
ロジャーはそう言ってバギーに笑った。バギーはそれが何か分からなかったし理解出来なかった。
〇〇〇
バギーはエレジアで目が覚めた。
1ヶ月前にここに着くと元国王のゴードンを主軸に建物は再建されて会場は出来始めてライブの準備が着々と進められていた。バギー達はハンコック達と一緒に来賓として招かれた。既に王国として滅んでいて大っぴらにこんな所に居るとバレるし、案の定翌日の新聞にすぐにニュースになったがゴードンや会場を作ってるウォーター7から来てくれた大工達がいた事で政府や海軍は来にくかった。
バギーはゴードンと初めて会ってウタを送るとビックトップ号で寝ようとしたがウタから城に来てと言われて招待された。他のバギー海賊団のメンバーや九蛇海賊団のメンバーにレイリー、シャッキーも集まって楽しみつつも1ヶ月間、純粋に警備の仕事を真面目にやっていた。
そして待ちに待った今日は3日間のライブの初まりだった。
「今日からライブか・・・しかし、また懐かしい夢を見たなぁ〜・・・ロジャー船長・・・会いてぇな・・・ってこんな湿っぽいのは性に合わねぇわ!!さっさと準備しねぇとな」
ウタと出会ってから色々と運が落ちてきたバギー。
本来はさっぱりとした気質だがウタのがうつったのか少しだけ湿っぽくなるとすぐに頭を切り替えた。
●●●
12年前、平和と音楽の国エレジア。
当時、まだ9歳だったウタは赤髪海賊団と一緒にこの国に来た。煉瓦造りの美しい町並みに音楽を愛する人々。音楽が好きなウタにとっては夢のような国だった。ウタはゴードンに謁見しその歌声を披露した。大きな劇場だったが緊張しなかった。大切な家族である赤髪海賊団が近くにいたからウタは勇気を貰った。
ゴードンからは絶賛されてエレジアに留まって欲しいとまで言われたがウタは赤髪海賊団の船を降りる気はなかった。
その夜、城のテラスでシャンクスとウタは話していた。
「随分と楽しそうだったな。ここで歌っていた時」
「ん?うん・・・」
「俺達の前で歌うよりも大勢の前で歌う方が楽しかったりしないのか?」
「そんな事ないって・・・」
背伸びして答えるウタの語尾には力がなかった。
「なぁ、ウタ。この世界に平和や平等なんてものは存在しない。けどお前の歌声は世界中の人を幸せに出来る」
「何言ってるの?」
「良いんだぞ。ここに残ってもお前が世界一の歌手になったら迎えにーーー」
シャンクスはウタにそこまで言うとウタは言葉が終わる前にシャンクスに向かって怒った。
「バカ!アタシは赤髪海賊団の音楽家だよ!!音楽の勉強の為でも皆から離れるのはーーー」
ウタはそこまで言うとシャンクスの膝にくっついて泣き始めた。どれだけ魅力的な国でもシャンクス達、大切な家族から離れたくなかった。
「分かった。明日にはここを出よう」
シャンクスは困ったように笑いながら優しくウタにそう言った。ウタはこれでシャンクス達から離れないと思った。
しかし、それはトットムジカという災厄のせいで全てが台無しになった。エレジアの奥で封印されていたトットムジカはウタのウタウタの実の力に引きずり出され、ウタはそれを歌ってしまった。
ウタはこの時、トットムジカを起動したという事は知らなかった。トットムジカを起動し、ウタ自身が体力切れで気絶するまで暴れたトットムジカ。
音楽の国は一晩で完全に滅びさった。シャンクス達はウタを守る為にその汚名を全て被り、船を出した。
ウタはエレジアが滅んでるのを見てシャンクスと口裏を合わせたゴードンからシャンクスのせいだと言われたが当時のウタはそんなのは聞きたく無かった。
急いで港に行くと既にレッドフォース号は沖に出てウタの目には皆が乾杯していて誰一人後ろを振り向いていない姿だった。
「シャンクス!!置いてかないで!!」
ウタは必死にそう叫んだ。しかし、シャンクス達は誰も振り向かなかった。ウタを守る為にもウタの歌声を守る為にも全員、辛い思いをしながらエレジアを離れていった。
「なんでだよ・・・なんでだよ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
残ったのはウタの悲痛の叫びと赤髪海賊団にゴードンの苦痛だけだった。
こうしてウタは大切な家族と離れる事になった。
〇〇〇
「いや・・・いや!!」
ウタは昔の夢を見て飛び起きた。寝汗はビッショリとかいていて少し肌寒さを感じる程でウタは急いで服を脱いで汗を拭き始めた。
「シャンクスは来る・・・皆、来る・・・」
ウタはそう呟きながら来ると信じているが体の震えは止まらなかった。置いていかれた時の辛い記憶が蘇ってきて不安で押し潰されそうだった。ここ数日は特に情緒不安定になりやすかった。
そんな時、机からバギーに貸してもらっているトレジャーマークが落ちた。
ウタはそれを拾い上げて腕に付けて、ルフィと共に誓いあった新時代のマークの手袋も付けると震えは徐々に収まってきた。
ウタには両方とも自分を助けてくれた大切な人達のマークだった。エレジアから出れなかった自分を後押ししてくれたルフィ。ウタワールドに縋るしか出来なかった自分にちゃんと向き合って怒ってくれたバギー。それを思い出すとウタは勇気が出て、不安だった物が和らいでいった。
そして自分の部屋の壁に飾ってる物を見た。
『頑張れウタ!!』
それはバギーが持ってきた赤髪海賊団によるウタの応援幕で大切な宝物であり、自分の事を大切に思ってくれてるという証でもあった。
「皆、ド派手なライブにするからね」
バギーと出会った事でバギーが変わったようにウタも変わった。口調だけじゃなくバギーの持ってる神経の図太さもほんの少しだけ貰った。
ウタは気持ちを前に向かせるとライブの衣装に着替えて部屋を出た。
今日は待ちに待ったライブの日だ。
本来、出会う筈の無かったバギーとウタ。
無人島で出会ってから何回もぶつかり合って喧嘩してお互いに自分の素を気軽に出せる。そこには海賊とか歌姫とかという感覚は2人には無かった。
これは2人の物語。
誰よりも弱く、そして誰よりも強くなった2人の“父娘”が歩んできた最後の軌跡的な物語。
というわけで最終章はエッドウォーとエレジアから始めました。これは初期から決めてたのでやれて良かったです。主役はバギーとウタですのでもうここまで来たらやれる限りやりまくりますのでお楽しみに。
また最終章のタイトルは『ワンピースの曲/自分で選んだこの話にピッタシな曲』の順でやります。
最後の最後なので徹底的に趣味に走らせていただきます。
因みに曲はAviciiの『The Nights』です。