アニオリのシリーズで1番コンパクトかつ纏まりが良いので大好きなので書きました。
※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出会いません。
バギーに助けられたウタは海楼石をずっと持ってるので力が抜けそうになりながらも自分を鍛えるという意志と根性とそして自分の歌をもう一度好きになるために頑張っていた。
軍艦の当てられた船室でウタは鼻歌をずっと歌って貰った紙に新しい歌詞を書いては書き直してを繰り返していた。本来、海楼石は持つと能力者は力が弱くなる。これは紛れもない事実であるが優れた能力者であれば効果は少しずつ弱くなる。ウタはそこまで超人的な肉体はしていない。しかし、ウタウタの実は個人の歌の技術に大きく作用される能力。天使の歌声を扱って、事あるごとにウタワールドに入っていたウタ。悪魔の実は実の力に心身が追いついて初めて覚醒する。それは何も戦闘力だけではないと云う事。
11年間、歌声を鍛えていたウタはそういう意味では覚醒してないとはいえ“優れた”能力者である。
ウタはそんな事も露知らずにウタワールドという世界に行かなくなった事や鼻歌を堂々と歌ったり、お礼として夜に海兵達の前で歌って喜んで貰って凄く嬉しかった。
「自由に歌えるって最高!!」
ウタはトレジャーマークを腕に付けて喜びに満ち溢れていた。海楼石を付けて喜ぶ能力者はいないがウタウタの実で長年色々と苦しんでいたウタにとって今はかつてないほど絶好調だった。
〇〇〇
ナバロンの軍港ではゴードンが忙しなくウロウロしていて司令官のジョナサン中将はしょうがないかと思っていた。隣りにいるアロハ姿のガープは煎餅をバリバリと食べていて呑気そうだった。
そんな風に待ってると軍艦がやってきた。
「あ、あれにウタが?」
「えぇ、そうです。ちゃんと乗っていますよ。安心してください」
ゴードンは漸くウタの無事な姿を見ることが出来る事に号泣していた。ガープやジョナサンはそこまで泣かなくてもと思いながらも良いことをしたと気分が良かった。
しかも軍艦から楽しそうな歌声まで聴こえてきて更に心地よかった。
「ほら、元気な歌声まで聴こえてきますよ」
「え?」
「おお、綺麗な歌じゃな・・・グガー」
ガープはその歌を聴くと寝てしまった。ジョナサンはまたいつものかと呆れていたがゴードンは顔を抑えて言葉が出ないほど吃驚していた。
(ウ、ウタが歌ってる!?ウタワールドをこんなにあっさり開くなんて!?あぁ、どういう事だ!?アラバスタの時はなんとかなったがこの遭難で一体ウタに何があったんだ!?海軍や政府にバレてしまった。シャンクスになんと詫びれば・・・)
ウタが暴走してると思い、ゴードンは固まっていた。すると鼻提灯が出来ていたガープが突然起きた。
「おぉ、あまりにも心地よくて寝てしまったわい」
「はぁ〜」
いつも通りなガープにジョナサンは呆れていた。ゴードンは眠っていたガープが起きた事とジョナサンや自分がウタワールドに行ってないことに混乱していると軍艦が遂についた。
「ゴードン、私は大丈夫だよ!!」
育ての親であるゴードンに向かって軍艦から手を振るウタ。今までよりも素敵な笑顔でゴードンは本気でウタが天使に見えた。
下船の為の階段が降りてくるとウタはスキップをして鼻歌をやりながらゴードンの所まで来ると抱きついた。
「ただいま」
「あ、あぁ・・・すまない、1人にしてしまって」
「ううん、1人じゃなかった。それにもう本当に大丈夫なの。漸くやりたいことも頑張りたい事も出来たの。だから今までありがとう!」
ウタからの言葉は本当に幸せそうでゴードンはなにがあったのかわからないがその姿を見て涙が溢れていた。
ガープやジョナサンはその2人に微笑ましさを感じていると軍艦から黒服の男が1名降りてくるのが見えて目つきを変えた。
「ジョナサン、後は頼めるか?」
「2人を中に・・・」
ガープは短く言うとウタとゴードンに近づいた。
「よし、では明後日には目的地に出発するから泊まる部屋まで案内してやる!」
「お爺さんは誰?」
「ワシか?ワシはモンキー・D・ガープじゃ」
その名前をウタは知っていた。ルフィの死亡説が出ていた記事でガープの事も載っていた。そしてルフィがずっと愚痴っていた毎回殴って酷いことするお爺ちゃんだと・・・
「おぉ、何じゃ?ワシの顔になんか付いておるのか?」
自分の顔を撫でてるガープにウタはルフィの影を見たが既にウタはルフィに依存はしてないので純粋に応えた。
「ううん、なんでもないです。ごめんなさい」
「ほほ、良い娘じゃのう。ワシの孫の嫁にこんか?」
「ふぇ!?」
孫である幼馴染のルフィを知っているウタはその一言に顔を真っ赤にさせた。
(ル、ルフィのお、お嫁さん!?い、いや確かにそれはなりたいけど、好きだけど、え、でも早すぎるし、何よりもルフィの気持ちは、わ、私はルフィが求めてくれるならいつでも・・・)
ウタは顔を真っ赤にしたまま髪の毛の先を突きあったりしていた。ガープとして冗談で聞いたのに凄く色々と聴きたいことが出来たなと思いながらも2人を部屋まで案内していった。
そして3人を追いかけるように黒服の男が追いかけていくがジョナサンはそんな男の前に手を出して止めた。
「なんの真似だジョナサン中将」
「
「五老星からの命でトットムジカについてあの娘と元国王ゴードンが関わっている疑いがある。既にアラバスタでウタワールドが発生した事は確認済みだ」
「という事はつまり、後は彼女がウタウタの実の能力者だという実証だけかな?」
「そうだ。本来なら軍艦の中で判断するつもりだったが歌っているのにウタワールドに行った者がいないので降りてより調べる事になった。邪魔をするな」
ジョナサンはCPにそう言われると手を退けた。そのまま追いかけようとしてるCPにジョナサンは警告した。
「ここは私の管轄だ。そして2人はあくまでも助けるべき一般人。幾ら世界政府とはいえ、下手な事をしたらわかってるよね?」
CPはジョナサンが発する殺気に冷や汗を欠きながらも何も言わずに追いかけていった。
〇〇〇
ガープは2人を案内してると後ろからCPが追ってきてるのが分かった。
「なぁ、ウタちゃんや。1つ聴かせて欲しい事があるんじゃがいいかの?」
「なんですか?」
「ウタちゃんは海賊が好きか?」
ガープからの言葉にウタは嫌いとは言えなくなった。クリケット達やバギー達を見て優しくて自由を愛してる人達もいるのを知ったからだ。
けど、ファンの海賊被害の声もちゃんとウタには届いてる。ウタは暫く悩んだ末にハキハキとした声で答えた。
「分かんなくなりました」
「ウ、ウタ!?」
あまりにも斜め上な答えにガープは面白い答えを出す娘と思った。
「最初は嫌いだった。けど、遭難して海賊に助けられて2回目の遭難も七武海に助けられて色んな物が崩れていったけどファンの皆の悲しみや苦しみ、友達もそれに苦しんだことは死んでも忘れないし、忘れられない。エレジアにずっと居たから世間知らずだし。だから、もっと世界を見てみたい。色んな世界の色んな人とあって答えを出したいです」
海軍の英雄の前にあまりにも堂々と自分の感じた事を言うウタにガープはルフィの面影を感じた。その事に自覚すると大笑いをした。
「ブワッハっハッハッハッハッ!!このワシを前にそんな事を言うとは気に入った。絶対にワシの孫の嫁にしてやる」
「えぇ!?」
ガープからのまた言われてウタは顔を林檎のように真っ赤にして下を向きながら歩く。ゴードンは乙女チックな反応をするウタに珍しさを感じてると泊まる部屋まで来た。
「ここが、お前さんらの泊まる部屋じゃ。と言ってもゴードンの方は既に泊まっていたがの。ここは食事に煩くてな朝昼晩と食事の時間は決まってるので悪いが守ってもらうぞ」
「は、はい!」
ウタは顔が赤いままはっきり答えるとゴードンと部屋の中に入った。ガープはそのまま歩いて部屋から離れて追ってきたCPの前に行く。
「なんのつもりだガープ」
「嗅ぎ回るのは止めろ。あの嬢ちゃんは悪人じゃない」
「それを決めるのはお前の仕事ではない。止めるならそれは越権行為だ。幾らお前でもただではすまんぞ」
「今の嬢ちゃんは見事に中立。善となるか悪となるか決めかねてる大事な状況じゃ。下手に横槍を入れれば悪に落ちかねん。もう一度いう・・・“
ガープは全力でCPを威圧した。英雄ガープの気迫に冷や汗が止まらなくなるがCPは先程のガープの発言を思い出してかみついてくる。
「さっき、孫の嫁にするとか言っていたな?麦わらのルフィは今や世界的な犯罪者。そんな奴の嫁にするという発言がどれほど重いのかわかってるのか?」
「あぁ、あんなに確りした娘ならルフィを真人間に出来そうじゃからな!ブワッハッハッハッ!!」
大笑いをするガープにCPは付き合っていられなくなり、その場を去った。どうせウタウタの実の能力者か調べるだけで四六時中見張ってろと言われたわけではないし、ガープの相手はしたくなかった。
CPが去ってガープは見聞色の覇気で部屋の中を探ってみるとウタはゴードンと話をしていた。
「これ、バギーおじさんから貰ったの」
「お、おじさん?」
「うん、後でちゃんと説明するから!小さいけど海楼石で私の能力を封じてくれてるの」
「体は大丈夫なのかい?」
「ちょっと気を抜きすぎると力が抜けて倒れそうになるけどウタワールドに大勢入れてるよりは全然楽!!」
ウタの陽気な声が見聞色の覇気を通じてガープに聴こえてくる。ガープはそれを聴いて笑った。
「自分で危険な能力を抑えようとしてる良い娘が悪人なんぞになるかい・・・爪の垢を煎じてルフィに飲ませたいわ。全くあの大馬鹿者め、誰に似たんじゃか・・・そう言えばルフィといつ知り合ったか・・・は、まぁいいか!」
ルフィがあそこまでの自由人になったのはガープの影響があると誰もツッコむ者はいなかった。
〇〇〇
司令室ではジョナサンが自分の趣味である釣り道具の整備をしているとそこに妻で料理長のジェシカがカレーを持ってきていた。ただし、苦手な人参とピーマンとブロッコリーを具に入れていた。
「人参はともかく、カレーにピーマンとブロッコリーはないだろ」
「アタシの献立にケチをつける気かい?」
「いや、そういうわけじゃ・・・」
睨むジェシカにジョナサンは苦笑いをして泣きそうになりながらも嫌いな野菜の入ったカレーを食べ始めた。するとガープがノシノシと入ってきた。
「おぉ、今日はカレーか!ワシの分もあるか!?」
「勿論あるよ!」
ジェシカからよそってもらいガープはガツガツとカレーを食べていた。よくもまぁ、歳なのにそれだけ食べれると人間離れしたガープにジョナサンは呆れているとガープが一杯をペロリと平らげておかわりを貰っていた。
ジョナサンは苦手な野菜を頑張って食べていた。
「そう言えばジョナサン」
「なんですか?」
「なんで嬢ちゃんを庇おうと?サカズキがうるさいじゃろうて」
「・・・あんな綺麗なお嬢さんを守れない海兵にはなりたくなくてと言えばいいですかな?」
腹の中が読めないジョナサンの言葉にガープは不機嫌そうにバリバリと煎餅を食べ始めてジョナサンもカレーをさっさと食べようと視線を戻すと大量のブロッコリーとピーマンが乗せられていた。
「キザな言葉はこれを食べてから言うんだね」
ジェシカの言葉にジョナサンは頑張ってブロッコリーを食べるが色々と複雑な味を感じた。
ナバロン編は前後編のつもりですので次回で終わらせるつもりです。
というかウタが海楼石を持ってるのに全くそれを苦にしてないのが強すぎる。