それではどうぞ。
ウタは電伝虫から流れた声に驚いた。
「シャンクス・・・なんで?」
『良かった!!無事だったのか・・・良かった・・・良かった・・・バギー!!ウタは無事だぞ!!』
「おじさん!?おじさんもいるの!?」
『なんだよウタ。俺よりもバギーかよ〜』
「当然だよ!!」
シャンクスがいじけるとウタは問答無用でバギーを優先した。シャンクスはよりいじけた。
『まぁ、無事で良かった・・・何があったのか分からないが電伝虫でドレスローザの事は知ったよ・・・戦ったのか?』
「うん、おじさんに鍛えられたから。それにおじさんに預かってる物を奪われて凄く悔しかったから・・・」
『そうか・・・ウタ・・・ごめんな・・・』
「シャンクス?」
『あの時も今も・・・側に居てあげられなくてごめんな・・・お前の事を一瞬でも忘れちまってた・・・凄い辛くて情けなくなって、今はバギーと一緒にドレスローザに向かってる・・・ごめんな・・・いつもごめんな』
涙を堪えながら話しかけてくるシャンクス。ウタもそれを聞いて泣きそうになったが堪えた。本当はシャンクス達の事はもう許してるし、仲直りしたいがここで変に許すとまた居なくなりそうで嫌だったからウタは勇気を持って我儘を言った。
「なにそれ・・・電伝虫で謝ろうっての・・・アタシはそんなんじゃ許さないから・・・」
『ウタ・・・』
「今度、エレジアでライブをするから、ゴードンが必死に色々と準備をしてくれてるの・・・来てよ・・・3日間やるつもりだから・・・来てよ・・・聴きに来て・・・最後の日の最後の曲だけでも良いから絶対に来てよ!来なかったらもう本当に許さないから・・・絶対に絶対に絶対にシャンクスの娘を辞めるから・・・一生、バギーおじさんの娘だから、来てよ・・・
ウタは泣きながらそう言った。シャンクスにお父さんと呼んで我儘を言った。12年間も放ったらかしにされた色んな感情を込めて勇気を出して言った我儘だった。
それを聴いたシャンクスは優しく言い始めた。
『行く・・・必ず行く!・・・どんな事があっても絶対に行く・・・俺達は絶対に行くから・・・あと少しだけ・・・待っててくれ!!』
受話器からシャンクスの力強い言葉が返ってくるとウタは今度こそ涙が溢れて止まらなかった。
「ありがとう・・・待ってるから・・・」
グズグズと鼻を啜りながらウタはそう言った。
『ほ・・・バギーに代わるか?』
「うん・・・変わって・・・お願い」
シャンクスは仲間に代わろうかと一瞬言いかけたがバギーにした。ウタもバギー相手には気軽に話しかけてるからシャンクスはそっちの方が良いと思ったし、ウタもバギーを望んだ。
『変わったぜウタ』
「おじさん・・・ごめんなさい・・・一杯迷惑掛けちゃって・・」
『ったく、今度やったらただじゃおかないからな』
「ごめんなさい」
『無事で良かった・・・本当に・・・心配したんだぞ!?本当に凄え心配して・・・良かったよぉ!!』
受話器からバギーが号泣してるのが分かった。ウタは色んな人に心配かけさせた事に申し訳なくなった。
『グスっ・・・それでなんのようなんだ?・・』
「アタシ・・・本当におじさんの事も・・・お父さんだって思ってるから・・・助けてくれて一緒に居てくれて本当に嬉しかったから・・・だから・・・お父さんってこれからも呼んでいいかな?」
『・・・駄目だ』
ウタは心のままにそう言ったがバギーに拒否された。嘘偽りない事なのに拒否されて辛くなった。
『でないとシャンクス達にまた狙われるからな・・・俺よりもシャンクス達に言ってやれ・・・分かったな?』
「・・・うん、分かった・・・バギーおじさん・・・大好きだよ」
『ありがとよ』
おとぼけたバギーの言葉にウタは頷いて電伝虫を切った。漸くシャンクスとも会えるかもしれないと嬉しくなったが、バギーに拒否されたのは少し辛かった。
しかし、“バギーの娘”と名乗ることを拒否されてはいないからシャンクス達と本当に仲直りするまで“バギーの娘”でいようと思った。
(自由に生きるのが海賊ならアタシも自分の父親を自由に決めるんだから!)
ウタは気持ちを新たにしたのでもう寝ようと思って戻っていった。
そしてそんな部屋の様子に聞き耳を立てていた男がいた。
「歌姫UTAは赤髪の娘・・・あの人に報告だな」
兵士の格好をしていたクロコダイルの部下であるMr.1ことダズだ。クロコダイルからウタの事を調べるように言われていたダズは本当に誰にも知られることなく密やかかつ必要な情報のみ手に入れたのですぐにこの国から出た。
〇〇〇
それから次の日、ウタは東にあるカルタのキュロスの自宅の場所を教えて貰ったので漸くルフィに会えると思って走っていた。
(ルフィ・・・漸く会えるね・・・会ったらなんて言おうかな?久しぶり!元気にしてた!?・・・これじゃ、シャンクスと同じじゃん!!・・・こっちは元気にしてたよ、ルフィは!?・・・って中身は一緒か・・・色々聞きたいなぁ・・・えっとあの女帝・・・は後で絶対に聞くとして・・・目の下の傷とか・・・あと・・・えっと・・・色々と考えておこ!)
ウタはそこまで考えた後で不意に瓦礫の中の壊れた鏡から自分の姿を見るとウタは青髪のままだった事を思い出して戻った。
「戻してから行った方が良いよね・・・」
ウタは一先ずお風呂を借りに王宮に戻った。
それから数分後、本来なら後2日ぐらいは寝てそうなルフィだったがまだウタがこの国にいると分かったので根性で起き上がってウタを探していた。
「ウタぁ〜!!!どこだ〜!?」
ルフィはそう叫びなら走って周りにいないか探していたが運悪く見つからなかった。
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それから少し時間が経って無事に青髪から元の紅白髪に戻ったウタはルフィに会いに行こうと同じ場所を走っていた。
一方、その頃ルフィはというと・・・
「レベッカ!!ここにウタは居ないのか!?」
「ウタならさっきまで居たけど・・・どうしたの?」
「いや、居ないんなら良いんだ。邪魔したな!」
ウタと入れ違いに王宮に来てしまっていた。服を剣闘士の鎧から露出の低い普段着に変えていたレベッカはルフィにウタは居ないことを言ってあげた。
そして自分は父親であるキュロスから昨晩貰った手紙を読み始めた。
ウタは町中を走ってルフィの元へ向かっていたが途中で町の人の声を聴いた。
「おい、ルーシーが王宮の方に居るって本当か?」
「あぁ、確かにこの目で見たぜ!」
「よし、行ってお礼を言わないと!!」
「行こうぜ、俺達を助けてくれた英雄だ!!」
ルフィが王宮に居たことを話していた。ウタは家に行くべきか迷ったがすぐにルフィに会いに行きたいので王宮に戻った。復興作業を手伝ってる海兵達がいる場所のど真ん中を通って向かった。
ルフィはレベッカからもう居ないことを言われたので元来た道を戻ればそのままウタに出会うのだが、海兵達を見てルフィはそこから離れた。
「今は海軍に追われる暇はねぇ」
リク王の演説をそもそも寝ていて聞いておらず、更に言うと普段から基本的に海兵の相手はあまり積極的にしないルフィは何時も通り海兵から離れた場所を進んでいた。
こうしてお互いにまたすれ違った。
ウタは全力で王宮に戻ってきたのは良いがルフィがまた王宮を出た事を知って頭を抱えたくなった。
「えぇ~!?ルフィもう帰ったの!?」
「う、うん・・・ウタを探してたけど・・・」
「そう・・・分かった。レベッカごめんね邪魔して!」
ウタはレベッカにそう言うとキュロスの家のあるカルタまでまた走っていった。今度こそ会えるかと思ったが2人の思い通りにはならなかった。
「ウタが王宮にいたぞ!」
「ルーシーがアカシアにいたぞ!」
「ウタがセビオにいたぞ!」
「ルーシーがカルタに!」
「ウタがプリムラに!」
お互いに早く会いたくて会いたくてしょうがなくてただ待つ事なんて出来ない2人は必死に相手を探してドレスローザ中を駆け回っていた。こうしていると普通ならいつかは会いそうなものだが出来なかった。何故なら、復興支援の為に国のあちらこちらに海兵たちがウヨウヨといてウタは一般人なので堂々と問題なく突っ走っていくがルフィは自分が海賊である事を知ってるので海兵達と戦闘にならないように避けて進んでいた。
「ルフィ、何処〜!?」
「何処だ、ウタ〜!?」
こうして2人とも昼から会おうと頑張って走っていたのに会えないすれ違いを延々と繰り返して気づけばもうすぐ夜になろうと日が落ち始めていた。
ウタはヘロヘロに疲れてしまってカルタのキュロスの家の近くまで来たがあまりにも頑張って会えなかった事に心も疲弊していた。
(今日は会えなくても明日がある・・・大丈夫・・・)
もしかしたら家にももう居ないかも知れないと思ったウタはハイルディンに心配をかけさせない為にも王宮に帰ろうと振り向いたら見つけた。
意気消沈した様子で顔をうつ伏せて歩いてくる麦わら帽子を被った想い人がこっちに向かって歩いていた。
「ルフィ・・・」
それに気づいたウタはヘロヘロに疲れてる筈なのに走れた。早く会って色々と話したい事がたくさんあったからウタは走れた。
「ウタ?・・・ウタぁ!!」
走ってる音に気づいたのかルフィは顔を見上げてウタに気づいて自分もまだ傷が癒えてなくて倒れそうなのに早く会いたくて走り始めた。
2人とも目から涙がポロポロと溢れていた。
ウタは久しぶりに会えたことにルフィはウタが無事だった事に泣いていた。
「ルフィ!」
「ウタ!」
2人は相手に向かって同じくらいの距離を走ってそして互いに抱きついたがルフィが思った以上にボロボロだったのもあってウタが抱きついた瞬間、ルフィは倒れて2人は地面に横になったが泥がつこうが痛かろうがお構いなしに相手を抱きしめていた。
「ルフィ・・・ルフィ!!」
「ウタ・・・良かった・・・無事で良かった・・・」
下敷きになってるルフィにそう言われてウタは涙を流しながら少し離れてルフィの顔に触れた。両手で頬を触って本当にいるのを確認するともっと涙が溢れてきて止まらなくなっていた。記憶の中にいた頃よりもウタワールドで縋っていた幼い頃よりもずっとリアルでそして暖かい温もりがあって嬉しさのあまり、ウタは先程まで色々と会ったら話そうと思っていた事を全て忘れてしまった。
凄く号泣してるウタを見てルフィも両手でウタの頬を触って涙を拭おうとしたが全然止まらなかった。
「なに泣いてんだよ・・・」
「ルフィこそ・・・」
「俺は泣いてねぇよ・・・」
「・・・そう言う事にしといてあげるね・・・」
「なんだよ、無茶苦茶泣いてる癖に・・・」
「だって・・・だって・・・
「ウタ・・・俺・・・言いたいこと一杯あって・・・冒険の話とか色々とさっきまで考えてたけど・・・上手く言えねぇや・・・嬉しくて・・・すげぇ嬉しくて・・・」
「アタシも・・・一杯あるの・・・けど嬉しくて・・・全部飛んじゃったよぉ・・・」
2人はお互いに似たような事を考えていたのもあって自然と笑みが溢れた。ニコッと2人は笑ってルフィはそれで涙が引っ込んだがウタは寧ろより涙が出てきた。
昔と色々と変わってもこの笑顔だけは決して変わっておらずウタの心には色んな感情が溢れた。
そして堪えきれなくなったウタは仰向けになって下に倒れていたルフィの胸に頭をうずめた。
「うぅうぅ、うわぁぁぁ〜〜〜!!ル”ブィ〜〜〜!!会いだがっだよぉ!!ずっどずっどアダジざびじぐでざびじぐで、ル”ブィ〜!!あぁぁ〜〜〜〜!!も”う”会えないんじゃないがっで不安だっだ〜〜!!アダジ一人ぼっちのま”ま”終るんじゃないがっで怖ぐで怖ぐでおじざん”に助げられで・・・どにがぐ会いだがっだよぉ〜!!」
ウタは思いっきり自分のありのままの感情を言葉にして叫びながらルフィに抱きついた。ルフィはそんなウタを落ち着かせようと背中を擦って上げたが軈てその手がどんどんとゆっくりになっていった。
ルフィもまた会いたかった。
新時代を共に誓い、約束もした相手で再集結して新世界に向かったあの時からずっと会いたかった。
「ヴダ・・・俺も会いだがっだ!!」
そしてルフィは擦る手を止めて、そのまま力の限りウタを抱きしめた。ホビホビの実のせいで忘れてしまった事もあってルフィは会うまで内心不安を感じていた。だからルフィはウタを決して離さないように強く強く両手で包んだ。
日もすっかり落ちて夜空の一番星だけがルフィとウタを見ていると心地よい風がお互いの存在を確かめあってる2人の元に流れた。
ここは“愛と情熱と妖精”の国ドレスローザ。
2人の物語はここから始まる。
それは新時代を目指す2人の愛と情熱と“奇跡”的な世界の物語。
やっと再会しました!!ここまで約25万字以上!!下手な文庫本2.5冊分!!長かった!!本当に長かった!!過去最速でここまで書けたのは皆様の熱いご声援あってのことです!!
そして現状私は、酔ってるとか自惚れてるとかどのように言われても構いませんがこの2人の再会を書き終わって大号泣しております!!それでは皆さん、次回をお楽しみに!!