“軌跡”的な世界   作:怪獣馬鹿

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はい、今回からジャヤ編です!
と言っても多分、前後編か前中後編になるので長くはないです。

ちょっと2年間の空白の期間という側面が強い話になりますが主役はウタです。


※この話は2年間の間の話です。なのでルフィ達はそうそう出てきません。


Mont Blanc Cricket

かつて、この世の全てを手に入れた男。

海賊王ゴールド・ロジャー。

彼の死に際に放った一言が全ての人を海へと駆り立てた。『俺の財宝か?欲しければくれてやる。探せ、この世の全てをそこへ置いてきた』人々は浪漫を求めて海へと行った。世はまさに大海賊時代。

 

その大海賊時代は強き者は良いが弱き者には最悪の時代だった。食べ物は奪われ、大切な人は死に仕事場は燃やされる地獄でもあった。

 

そんな世界を変えようとする一人の女ウタ。彼女は自分の歌で世界を幸せにしようと旅をしていた。

 

旅に困難やトラブルは付き物でウタの乗った客船は嵐にあっていた。

 

「ウタ、大丈夫か!?」

「な、なんとか・・・ウプ・・・」

 

ゴードンと一緒に客室にいたがあまりの揺れにウタはグロッキー状態だった。更に言うと海水が色々と入ってきてゴードンもウタも命の危険がわかった。

外に出て海に飛び込もうとしたが、既に他の乗客達は逃げ始めていた。

 

「ウタ、私達も逃げるぞ!」

「他の人が・・・」

「私達よりも海には慣れてるようだ。海に飛び込んでから小舟にドンドン乗ってる。下手にやると君だけじゃなく乗客も死ぬ!」

 

ゴードンの言葉にウタは戸惑った。眼の前で人が混乱してる状況で見捨てるような行動は取れない。しかし、ウタがこういった状況に対して無力だった。それにウタの心配をよそに他の人は避難船の小舟に乗って助かっていた。

ウタはゴードンの言うとおりに動いて小舟に乗ろうとしたがもう既に客船の小舟は出た後だった。能力者ではないゴードンは兎も角、能力者のウタに海に飛び込むという選択肢はなかった。

2人は揺れてまともに歩くことも困難になりながらせめて何が捕まるものはないかと見つけたのは2つの樽だった。ゴードンの良い体格だと二人一緒に入るのは困難なのでバラバラに入ることにした。中身は匂いからしてお酒が入っていたようだが2人はそれを掻き出して近くにあったロープを持って樽に入った。

そして嵐が強くなり、海に投げ出された。

 

「ウタ、ウタ!!」

「ゴードン!!」

 

樽の中から外へ叫ぶが嵐でわからず、ロープも切れてしまった。更に最悪なのが酒樽だったせいなのか酒気が酷くて酔ってた上に酔ってしまい、あまりの気持ち悪さに樽の中で倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

とある海で1つの海賊団がのんびりと船を動かしていた。

彼らは猿山連合軍のマシラ海賊団。

1年前にルフィらを空島に行かせるのに協力した海賊団で浪漫を求める彼らは次に空島にある黄金郷ではなく幻の島夢幻卿を連合軍で探そうとしていたが時間はあるのでゆっくりと準備しつつ自分達のやり方を盛大に楽しんでいた。穏やかな海は心地よく、園長(ボス)のマシラは鼻歌を歌いながら舵を握っていた。

 

「ボス、酒樽を発見しました!」

「何!?」

 

マシラは子分からそう言われて付いていくと1つの酒樽が海の上をプカプカと浮かんでいた。海神御宝前の樽ではない普通の酒樽だった。

 

「よし、引き上げだ。宝が入ってるかも知れねぇ!」

 

浪漫最優先猿のマシラは子分にそう云って樽を引き上げさせた。子分の“重い”という一言でマシラはより宝の現実味を帯びてきたと思い、開けると中に入っていたのはウタだった。

 

「ウオ!?樽の中に女の子が!!?」

 

マシラのビックリした大声に眠っていたウタが目を覚まして最初に見たのは猿顔のマシラだった。

 

「・・・猿だ」

「おっ?今、俺のことを猿上がりって言ったな?」

「うん、見事なくらいに猿まがい」

 

猿が褒め言葉なマシラはほぼ無表情で言うウタの言葉に喜んでいた。ウタは樽の中から出ると周りを見て船に乗っているのに気づき、マシラに引きつった笑みを浮かべながらも尋ねた。

 

「ここ、どこ?」

「ここはマシラ海賊団だ。そして俺は園長(ボス)のマシラ!」

 

海賊と聞いてウタはファンから聴いた事を思い出してとっさに自分の体を抱き締めて引いた。鼻息の高い大柄の男に見た目に自信があったので身の危険を感じた。

 

「オメェら、ビビらしてんじゃねぇぞ!!」

 

猿と呼ばれたことに嬉しいマシラは怖がる原因が自分の子分にあると思って叱ったがウタ的にマシラの方が怖かった。

 

「てか、お前。なんでそんな樽に入ってんだ?」

 

マシラは怖がらせないようにしゃがんで話しかけにきた。ウタも完璧に挙動が猿なマシラを見て緊張が解けたのか話し始めた。

 

「ちょっと嵐にあっちゃって・・・」

「あぁ、昨日の・・・そりゃ、災難だったな」

「本当に色々と大変だったよ。育ての親とは逸れたし・・・猿まがいには出くわすし」

「そんなに褒めんなよ!」

「いや、褒めてない」

 

猿と言われるたびに照れるマシラにウタはツッコミを入れていた。マシラは敵なら女子供情け容赦なくぶん殴って飛ばしていたが、猿と呼ばれて嬉しかったのか上機嫌でいつもよりも穏やかだった。

 

「よし、近くの島まで連れてってやる!」

「・・・・私、お金無いよ」

「いらんいらん、猿上がりと褒めてくれた礼だ!!」

 

実に良い笑顔だったが、いくらシャンクスに実は助けられていたとしても長い間の海賊嫌いは治らない。何か裏があるんじゃないかとウタは疑いの目を向けた。不快に感じるか気の強そうな娘と感じて加虐心でも出るかと思うがマシラの場合は・・・

 

(さらに見惚れよ、この渾身の猿上がりっぷりを!)

 

キランッというような音が鳴りそうな程にカッコつけてポーズを取れるほど余裕かつ調子にノっていた。

 

(えぇ・・・何これ?)

 

そんなマシラにウタは引いていた。割と本気で引いていた。

ただ、ウタは能力者で海に捨てられると死ぬ。かといって武力で何かを解決は出来ない。ウタワールドに送ろうかと考えたが船が大きすぎて1人で操舵は無理と尽く取れる選択肢がなかったので不安の中でお世話になることになった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

2日後、思いの外ウタは快適な生活をしていた。客船ではないので勿論、手伝ってるがここの海賊団は楽しい。それに何よりもサルベージなんて面白い物も見れてウタは新鮮さを感じていた。

 

サルページで引き上げの縄を回すのを手伝ってみて凄い重かったがその分、引き揚げた時に感動した。

昔の船を大掛かりでサルべージして何もなくてガッカリしてもサルベージが無駄な事とはウタは思わなかった。

 

そして、マシラ海賊団はジャヤの北東の外れにある海岸まで行く。そこにはマシラ海賊団と同じくらい大きな船が豪邸(・・)の前に止まっていた。

 

「う〜ん、凄い見栄っ張りなのは分かった」

「おっ、分かったか・・・前に引っ掛かった奴は居るんだがな」

「・・・あれで引っかかるってどんな人なの?」

 

船が止まるとその豪邸(・・)のハリボテ感が強くなって良くこれで騙せる人間が居るものとウタは呆れていた。その人間はルフィだと言う事を知るよしはなかった。

船から降りてジャヤに降りると1人オラウータンみたいな男が座ってウタを見ていた。ザ・オラウータンなショウジョウを見てウタは凄い見た目と思った。

 

「思い切った見た目してるね・・・何類?」

「人類だよお嬢ちゃん。んでそんな事を言うバカはお前で2人目だ」

「いや、他にももっと居ると思うよ」

 

マシラが想像以上に人が良かったのとウタも混乱から冷静になっていたのもあっていつもの感じで話していた。

すると栗を頭に乗せた男が1人、ハリボテで隠された半分の家から出てきた。

 

「おいおい、客人か・・・それとも泥棒猫の類か?」

「私の名前はウタ。おじさんは誰?」

「・・・・何、しがないただの海賊さ」

 

彼の名前はモンブラン・クリケット。ルフィ達が空島に行った事で黄金郷の実在の夢を叶えてくれた海賊だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ジャヤの西にある街モックタウン。ただでさえ、常日頃から殺人に強盗など犯罪のオンパレードで海軍にすら見捨てられた街だが、今はより激しくなっていた。

 

「てめぇ、誰の許可を得て出してんだ?ここは七武海の“千両道化のバギー”のナワバリだぞ!?」

「ふざけんな、ここは“天夜叉”のナワバリだ!!」

 

ベラミーを粛清した時に王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴが自らの腕っぷしでナワバリにした後で黄金郷伝説に興味を持った宝大好きのバギーがジャヤごと横取りしようとした結果、街に来る海賊はドフラミンゴ派とバギー派の2つに分かれてより混沌になっていた。

ドフラミンゴもバギーも表立っての戦争は面倒くさい上に金の無駄なのでやらないがその睨み合いみたいな状況がより悪化を招いていた。

 

そんな中でバルトロメオは仲間の宣教師ガンビアと共に買い出しに来ていた。

 

「クソ、ルフィ先輩がここに来たのはわかったがそっからの足取りがいまいち分からねぇべ」

「結構、難しいな。でも俺達も俺達の冒険をやろうぜ」

「当たり前だべ、だども聖地巡礼もその1つなのに分からねぇとは悔しいだべ」

 

バルトロメオ達はいつジャヤで“七武海同士”の戦争が始まるのか分からない状況なのに平然と買い物をしていた。ルフィ達が空島に行った事は誰も知らない。そこで何があったのかバルトロメオ達は知らなかった。記録指針(ログポース)が上の空島を向いてもちゃんとした航海士が存在しないバルトクラブは単なる故障としか判断せず、ジャヤに暫くいた事で記録が見事に書き換えられた。

1年前のルフィとベラミーの騒動も今の派閥争いが激しすぎるのとその騒動の2つの海賊団が居ないこと、そして“死亡説”の出た海賊団を一々覚えているつもりは住民には更々なくその詳しい経緯は誰も覚えてなかった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

北東の猿山連合軍でウタはどうにかしてゴードンと連絡を取る方法を探して電伝虫でもあればと思ったがなかった。

 

「え!?この島って電伝虫ないの?」

「あるにはあるんだが彼処(モックタウン)に今行くのは止めたほうが良い。七武海の若造共のせいで1年前よりも酷い状況だ」

 

クリケットからウタはモックタウンの状況を聴いたが海賊に疎いウタは王下七武海と言われてもピンと来なかった。

 

「・・・七武海って何?」

「今どき、そんな事を言うなんて珍しい嬢ちゃんだな。まぁいい・・・世界政府によって収益の何割かを出して海賊行為が公認されてる7つの海賊団でロマンもクソもねぇ、お利口さんどもだ」

 

ウタは海賊は全て世界の敵と言う印象しかなかったがそんな政府に認められた海賊もいた事に愕然した。

 

「そんな・・・政府がそんなの認めるなんて・・・」

「嬢ちゃんは大分世間を知らなそうだな・・・ま、目には目をってやつだ。兎に角、電伝虫での連絡はモックタウンじゃなくて別の島の方が安全だ。俺達もそろそろこの島から出て荷造りしていた所だからそこまで送ってやるよ」

 

クリケットの言葉をウタは簡単には信じられなかった。目の前に居るのは海賊で略奪者という印象しかないからだ。優しく話してくれてるがウタは騙そうとしてるんじゃと思った。

 

「待って、あの猿もそうだけどどうしてそんな事をやるの?海賊なのに・・・」

「好きで海賊をやってるわけじゃねぇ。自由に生きる道がこれしかなかっただけだ。国とか政府とか柵だらけの人生ってやつに俺の先祖は殺されて故郷の海で今も“笑い者”よ。そこから逃げるにはこれしかなかっただけだ」

 

クリケットは煙草を吸いながら言うとバキバキっと体を伸ばしていた。ウタはそれを聞いてこういう海賊も居るのかと狭かった私見が拡がっていく。

 

「それでどうする?荷造りを手伝って物を盗らないなら俺の自慢のお宝も見せてやるが?」

「・・・見てみたいから手伝う!」

「よし、それで明日の朝、出港だ!!」

 

クリケットがそう云うとウタはお宝に興味もあったが自分の目でこの猿山連合軍という海賊をもっと知りたくなった。長くは居られないがそれまでに知れる限り知りたくなった。








はい、ロマン優先の冒険者達の側面が強い猿山連合軍の登場です。ウタの海賊に対する認識を変えて、おまけにルフィ達以外ならこの面々ほど相応しいキャラ達は居ないので出しました。

後は七武海関係ですがこれは完全に趣味です。まぁバギーも絡ませたいと言うのが本音でやりました。
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