“軌跡”的な世界   作:怪獣馬鹿

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前回の衝撃展開に色々と阿鼻叫喚ですねぇ。
まぁ分かっててやったのですが・・・

ここからどうなるかはお楽しみに!!


苦痛

シキはカタクリから離れてフワフワと近くの空に浮いてのんびりと横になっていた。

 

「ジハハハハ。トットムジカは残念だがリンリンのババアからシーザーも歌姫も奪うのはキツイからなぁ。シーザーは殺戮兵器もあるから色々と使えるが歌姫はトットムジカだけだ。最悪黒ひげのアホガキの能力者狩りをやれば良い。2年前に嫌というほど理解したよ・・・入念に計画を立てても潰される・・・ロジャーにあやかって行き当たりばったりも偶には良いかと思ってやってみたが意外に楽しいなぁ・・・ロジャー」

 

2年前にシキはルフィによって20年間も掛けた計画を潰された。故にシキは変わった。狡猾で計画的という本質は完全には変わってないがどこかロジャーやルフィのような行き当たりばったりな性質まで持ち合わせてきた。

シキもそれに対して元来のノリの良い部分と合致してしまっていた。

 

そして黒ひげと同盟を結んでるシキは黒ひげの能力者狩りを知っていた。すんなりとトットムジカを操る事は出来なくなりそうだが誰の手にも渡らなくなるのなら条件は変わらない。使えなくても脅しに使えればいい。世界を“破壊”したいのではなく、シキの目的は世界を“支配”すること、そして四皇としての実力が戻ったシキにはトットムジカでさえもあくまでもその最終的な目標の一部分にしか過ぎなかった。だから別にシキにとってウタはトットムジカを必ず出すのに必要な巫女ではなく、トットムジカを起動する鍵という認識しかしてなかった。

 

「それにあのクソガキが諦めるとは思わねぇ・・・あの航海士のベイビーちゃんを助けるために乗り込んできたアホだ・・・今回も同じ事をやる。だからまぁ、生き残りやすそうな薬にしたし作った本人もいるからなんとかなるだろ。あいつらに関わったらなんとかなると思うしな。死んだら死んだでシーザーだけ連れて帰って、もしも生き残ればボロボロのあいつらから奪えば良い・・・さてと次は何をしようかな?」

 

2年前の激戦でルフィにやられていたシキはルフィの本質をちゃんと見ていた。ロジャーと同じ絶対に支配されない“自由”な性質。忌々しいがそれにやられたのもあってウタがそんな事になってると知ったら絶対に助けに行くと確信があった。

そして徹底的に抗うことも分かっていた。

なら、潰し合って貰ってどちらが生き残ろうがボロボロになった所から奪う。

 

非常に確証なんて零に近いあやふやな計画・・・いや計画と言う言葉を付けてはいけないほどに杜撰極まりないやり方なのにシキはそれを思いつくと笑った。それほどまでにシキはルフィを忌々しいが認めていた。

 

「“麦わら”・・・今度はお前も俺の計画の為に使わせてもらうぞ・・・お前のその全てを何もかも利用してやる。ロジャーやお前がずっと起こした“奇跡”すらもな!!そして今度こそお前に絶望を味わわせてやる・・・ジハハハハ!!!」

 

シキはそうやって笑った。

認めていた同世代のロジャーではなく最悪の世代のルフィゆえにシキはロジャーと違って手を組むのではなく操る気満々だった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリはシキを逃してしまって内心打ちひしがれていたがウタが心配なのでウタの元に戻った。

 

「カタクリ様、大丈夫ですか?」

「すぐにシキを指名手配するためにペロス兄に連絡を取る。もう少しの間だけウタを見てくれ」

「畏まりました」

 

カタクリはすぐに家の電伝虫からペロスペローが今いるホールケーキ城に掛けた。

 

「もしもし、こちらはホールケーキ城です」

「将星のカタクリだ。ペロス兄を呼んでくれ。緊急事態だ」

「カタクリ様!?・・・畏まりました、すぐに繋げます!!」

 

少しして電伝虫はカタクリの要望通りペロスペローに繋がった。

 

『どうしたんだカタクリ?』

「ペロス兄、緊急事態だ。シキがウタに毒を盛った」

『・・・何の冗談だ?お前が居てなんで・・・』

「奴は・・・弟妹達を使ってウタに毒を盛った金平糖を渡したんだ。気づけなかった・・・すぐにシキを指名手配する為に動いてほしい」

『色々と聞きたいことがあるが・・・分かった。すぐに手配する・・・ウタは無事なのか?』

「まだ分からない・・・」

『ちょうどここにシーザーもいる。手配が終わり次第、このバカも連れて行く』

「ありがとう」

 

カタクリはペロスペローにそれだけ言うとすぐにウタの元に戻るとウタは魘されていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

なんで、なんでまたこの夢を?

 

『あんたは幸せになる資格がない!』

 

助けて・・・誰か助けて・・・

 

『幸せになっちゃいけない!!』

『死ぬべきだ!』

『しぬべきだ!』

『シヌべきだ!』

『しぬベキダ!』

『死ぬベキダ!』

『シヌベキダ!』

 

いや、誰か助けて・・・なんでこの夢をこの前まで・・・あれ?なんで見なくなってたんだっけ?・・・なんでまた・・・

 

 

 

 

〇〇〇

「アァァァァァァ!!!」

 

突然とウタは頭を抑えて苦しみ始めた。

 

「ウタ・・・ウタ!!」

「すぐに起こしましょう!!」

「ウタ、起きるんだ!!頼む、目を開けてくれ!!」

 

カタクリはウタを必死に揺らした。必死の表情で普段の冷静沈着さなんて欠片も無いほどに焦っていた。

 

「うっ・・・うぅ・・・・カタクリ?」

「良かった・・・良かった!」

 

カタクリは起きてくれたウタを抱きしめた。ウタは突然抱きしめられた事に驚いた。

 

(カタクリ・・・心配してくれてるんだ)

 

ウタが起きたのもあってカタクリはウタを離した。カタクリはウタがシキに毒を盛られた事を話そうか迷ったが医者に無理に思い出す要因を増やしてはいけないと言われて言えなかった。

カタクリは謝ることすら出来なかった。

 

「何があったのか話してくれ」

 

カタクリはウタにそう聞いた。ウタはそれには答えなかった。何故なら、自身のこの問題に巻き込む気なんてさらさらなかったからだ。

 

「ごめん・・・話したくない・・・」

「・・・そうか・・・なら、話したくなったら話してくれ・・・」

「カタクリ・・・ありがとう」

 

紳士的な対応をするカタクリ。ウタはそれに対して笑顔で答えた。カタクリはそれに対して内心グチャグチャになった。向けられて嬉しいはずなのにウタはルフィの記憶を失い、自分はそれを守れず受け取る資格がない。いっその事、悪意を持って向けられればまだ救いがあるのに純粋に善意のみの笑顔・・・カタクリは苦痛を感じていた。

 

「カタクリ入るぞ!!」

「てめぇ、離しやがれ!!」

「黙れ!!」

 

そんな時にペロスペローが海楼石を手につけたシーザーを連れて入ってきたので医者とシーザーにウタを診てもらってる間、カタクリとペロスペローは少し離れた所で話し始めた。

カタクリはありのままを全て話した。

コンポートとの話中にやられた事、企てたのがシキである事、ウタの状態、盛られた薬、何もかも全て話した。

ペロスペローは全て聞いた後で頭を抱えた。

最悪の展開にも程があった。ペロスペローもコンポートもウタを気に入っていたし、ブリュレも友達と思っている。幸せな状況だったのに台無しにされた。

 

「ウタは万国から出せんな。この状態で出すのは危険すぎる。記憶を取り戻させるまで置いておけ」

「お茶会はどうする?」

「出るしかねぇだろ。一先ずそれでやり過ごして後でどうにかしよう・・・大丈夫だカタクリ・・・なんとかなる」

 

ペロスペローはあくまでも弟のカタクリを安心させるように優しく言った。どのみちこの状態のウタを外に出すのは危険すぎた。カタクリは朝になればエレジアに送るつもりだったのに潰された事に頭を痛めた。

そんな風に兄弟がボロボロになってる所に診察が終わったシーザーがやってきた。

 

「シュロロロロ、確かにこれは俺様のワスレダケの薬だな。一体誰に盛られたんだ?」

「それはお前には関係ない。すぐに解毒剤を作れ。出来ないなら例えママの巨人化薬が出来ても殺す」

「ま、待て待て!!まずはあの薬について話させてくれ!!あの薬は記憶を消すって言われてるが実際は違う!!」

 

シーザーの言葉にカタクリもペロスペローもどういうことだと思って首を少し傾げた。

 

「記憶がそんな簡単に無くなるわけねぇだろ。あの薬は簡単に言うと記憶に蓋をする薬だ。俺はただ、その蓋を開ける時に激痛が走って肉体も精神もボロボロになるようにしただけだ。あの歌姫の記憶は消えていない!!」

「本当か・・・なら・・・プリンのメモメモの実で・・・」

「メモメモの実?そりゃ記憶を弄る能力かなんかか?なら今は止めとけ。体に毒素がある状態で弄ると壊れるぞ!!」

「どうすれば元に戻る・・・言葉は慎重に選べよペロリン」

「・・・やりたくねぇが・・・解毒剤はすぐに用意できる。毒素を中和するのと緊急時の痛み止めだ。それらを暫く飲んでから本人にとって1番消えてる記憶の中で強烈な体験を思い出して貰うしかねぇ・・・くそ!何たる屈辱!!」

「強烈な体験ってなんだ?」

「そこまでわかるか!個人差がある!!美味い飯かも知れねぇし、誰かが死んだ時の記憶かも知れねぇ・・・あのベガパンクですらこれに関して100%の答えを出し切れてねぇ!!」

「・・・毒素が抜ける時間は?」

「薬ありなら1週間、無しなら1ヶ月だ」

「・・・仮にだが毒素が抜けずに思い出そうとした場合はどうなる?」

「そりゃ激痛が走って普通は死ぬ。その時に記憶を戻せば途端に痛みは収まって無事になんとかなるがそんな都合のいい展開あるわけねぇだろ」

 

カタクリとペロスペローは一先ずウタが死ぬ可能性が下がり、さらに言うと記憶を取り戻せる可能性もあることに安心した。すぐにペロスペローはシーザーを連れて戻って行った。カタクリも暫くウタと話そうと思ったがウタは疲れていたのか眠っていた。

 

「大丈夫なのか?」

「はい、ただ魘された場合は起こして上げて下さい。ひょっとしたら夢の中で記憶を失った者に関わるものを見てる可能性があります」

「分かった」

「それから、彼女の荷物からその者に関する物を全て取り除いて下さい。ふと見て思い出す可能性がありますので」

「・・・分かった・・・」

 

医者はそこまで言うと帰った。カタクリはこの事は他言無用で頼むと言って医者も了承した。カタクリはすぐにウタの手荷物を手を掛けて調べた。バレットの戦闘時で大半は無くなっていたのを知っていたので本当に手荷物だけだった。

武器のロープに麦わらマークの手袋など簡単な物しか入ってなく特にルフィと関わる物は見当たらなかったが1つだけ見つけた。

それは【モンキー・D・ルフィ様】と書かれていたエレジアでのライブのチケットだった。

 

「ウタ、すまない・・・必ずこれは返す」

 

カタクリはそう言ってそのチケットを取った。本当は握り潰したいと思っていたがカタクリにそんな事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うぅ・・・ここは?・・・」

 

翌朝、まだ朝日も出てない時間にウタは目を覚ました。側にはカタクリが座っていたが目を閉じていた。ウタはそれが寝てると思った。どういうわけか倒れた自分をカタクリは賢明に介護してくれた事に優しさを感じた。

 

「側に居てくれたんだ・・・カタクリ・・・ありがとう」

 

ウタはそう呟いた。そしてまだ朝が早いのでもう一度寝ようと布団に入って寝始めた。

 

「止めてくれウタ・・・俺にそんな事を言ってもらう資格はない・・・」

 

ウタが眠り始めた頃、カタクリは目を開けた。本当は眠ってなかった。ただ、自分のミスを恥じて目を合わせたく無く、目を閉じていたらそう言われた。

苦痛だった。

カタクリにはこの上ない位に苦痛だった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ペロスペローは母親であるリンリンに女王の間でシキのやったことをありのまま話して指名手配をして討伐隊を編成する許可貰うつもりだったが予想外の答えが出てきた。

 

「ウタが生きてるなら別に良いだろ?」

「なっ、本気で言ってんのかママ!」

「あいつがここで大人しくしてるわけねぇからな。まぁ次に会った時は殺すがそんなにすぐに殺しに行っても面白くねぇし、今はジェルマが優先だ」

「あいつは・・・弟の婚約者に手を出したんだぞ!?」

「だからどうしたんだい?お前も海賊の子供なら分かるだろ?守れないカタクリが悪い・・・それに麦わらの記憶がねぇなら好都合だ。婚約がすんなりと行く・・・おい、明日で良いからここに連れてきな。翌日には結婚式だ。ここに泊めさせろ」

「なっ!?」

「マーママママママ!!!確実に殺さねぇとは実力は戻っても腕は落ちたなシキ!!」

 

リンリンはシキがわざと生き残りやすい毒を使ってる事に気づかなかった。何故ならシキのやり方は本人は計画として組み立ててはいるが実態は計画というにはあまりにも奇跡的な物に頼っている物だった。

ロックス時代からシキを知ってるリンリンは腕が落ちたと思った。

そしてルフィにその奇跡的な物に負けたシキはそれ込みで作っていた。

ルフィと戦ったか戦っていないかの差が出てきた。

 

「ふざけんな、あのババア!!俺の弟を苦しめた奴を見過ごせだと!?」

 

女王の間から出てきたペロスペローは物に当たりながらキレた。大切な弟が傷つけられたのに何も出来ない事に悔しさを感じていた。

ペロスペローは苦痛を感じつつもカタクリにウタを連れてくるように行った。

事態は悪い方に進んでいった。






それでは次回、ウタとリンリンが出会います!!
さてどうなるかはご想像にお任せします!!

そしてウタがカタクリに感謝すればするほど苦痛を感じてしまうようになったカタクリ・・・こういう意識のズレって大好きなんですよねぇ。

さてと次回はどこまで進めようかな?
ルフィと再会してどうなるかはお楽しみに!!

しかし、あれだな・・・トットランド編なのにサンジの話を欠片もやってねぇな・・・
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