年末年始、模試などで色々忙しかったと言い訳をしておきます。
おそらく高校三年生になると今よりも忙しくなるため、更新頻度はさらに落ちると思われます。今から土下座しておきます。
東京も、郊外はほとんど地方と変わらない。畑も林も当たり前に存在している。灰色のビル群から車で30分ほどの場所にある東京都立呪術高等専門学校の前に立った結月は肩にかけた学生鞄の持ち手を強く握りしめた。
(……流石に、アポイントメントくらい取れば良かったかなぁ。連絡の取り方もわからないから、仕方がないのだけれど。)
今更後悔しても遅い。結月は覚悟を決めて高専の門に手をかけようとした。
「先輩⁉︎どうしてここに⁉︎」
結月が門に手を伸ばした瞬間、後ろから大きな声が聞こえてきた。振り返った先に理子がいることがわかると、結月はいつも眠たそうに半開きなっている垂れ目を大きく見開いた。
「天内さん?」
「そうですよ!」
「奇遇だねぇ。……もしかしてさ、天内さんは呪術師なのかな?」
「いえ、そういうわけではないんですけど……。」
理子が口ごもったところで、理子の隣にいた白髪の青年が口を開いた。
「なー、天内に羽根渡したのってお前?」
「……え、あ、はい。」
「アレ、どこで拾った?」
「えーと、天内さんに渡したものは学校の図書館で拾った分だと思います。羽根自体は広くて人目につかない場所ならどこでも落ちていますね。」
男は結月を頭の上からつま先までまじまじと見つめた。
「こら、悟、不躾だろ?」
特徴的な前髪をした黒い長髪の男——傑が悟を軽く諌めたが、悟は無視して結月に声をかけた。
「なー、お前指と目と背中に違和感があるんだけど。なんか付けてる?」
結月はただ微笑んで体を悟たちの方に向けた。
「えーと、貴方はさとるさん?ですよね?」
(五条悟、か。残念ながら、六眼は誤魔化せないみたいだな。指は間違いなく
結月は悟たちに一歩近づいた。
「んー、えーと、悟さんは私のことを上の人に報告しますか?」
「あー、ああ、……あの羽根ってお前の背中のやつなのか。」
背中の違和感と羽根という組み合わせでそこまで分かるとは、面倒な相手だ。同時に、
「ええ、……できれば秘密にして欲しいなぁと思うのですけれどねぇ。」
結月は薄く微笑んだままこてり、と首を傾げた。
「……じゃ、天内を逃すのに協力してくれ。成功したら、お前のことは誰にも言わない。どうだ?」
悟の言葉に、結月は少し考えた。そうして、深呼吸をすると、傾けていた首を元の位置に戻した。
「……かまいませんよ。私の望みは“枷場結月の能力について枷場結月の許可がない限り他言しない”ことです。これを貴方に対して要求します。」
「OK。こっちの要求は、“天内理子の保護及び逃亡の補助”だ。」
「ちょっと待ってくれないか?」
傑が悟の肩に手を置いた。
「悟、まさか君、他者との縛りを結ぶ気かい?」
「そーだけど?」
「……少しは私たちに対する説明をしてくれないかな?」
「そーじゃ!それに、妾を逃がすなど聞いておらんぞ!」
「あー……。」
悟が面倒臭そうな顔をした。
「えーと、皆さん、一度どこかでお茶にしませんか?」
*
「……つまり、君は霊力を使えて、霊力で作った道具を使って呪術師のフリをしていたということかな?そして、それを秘密にする代わりに私たちに協力する、と。……あってる?」
「ええ、あっていますよ。」
結月は傑の問いにあっさりと答えると、自分の前に置かれた紅茶に口をつけた。ここは呪術高専から一番近い喫茶店だ。中々雰囲気の良い店だが、客が少ない。店員が悟の注文したパンケーキとフラペチーノを作っている音をぼんやりと聞きながら結月は目を細めた。
「どうして、霊力持ちであることを隠すんだ?そんなに悪い扱いは受けないと思うけど……。」
「まぁな。爺婆どもは諸手を挙げて歓迎するだろーぜ。」
傑の言葉に悟がそう言って皮肉っぽい笑みを口元に浮かべた。
「……悟、どういう意味かな?」
「一生籠の鳥っつーことだよ。それどころか、繁殖用にされる可能性もある。」
傑は悟の言葉を聞いて言葉を失ったようだった。
「……んー、まぁ、そこまで深く考えていたわけではありませんが、両親と今まで通りに暮らすのが難しくなるかもしれないとは思っていました。」
「お前が霊力を持ってることがバレれば100%そうなるだろーな。お前の両親、多分
悟の言葉を聞いて、結月は伏せていた目を開けて悟の目をじっと見つめた。死人のようにどんよりと濁った結月の目を見て、傑と悟はぞっと鳥肌が立つのを感じた。
「……殺させやしませんよ。身内を傷つける可能性があるものは全て潰します。」
「先輩、目だけ笑ってないのじゃ……。」
「“のじゃ”?」
「あ、いえ、先輩、ただの言い間違えです!」
「なぁ。」
理子と話したことで目に生気が戻った結月に悟が声をかけた。
「とりあえず、自己紹介しねぇ?ここまで話しておいてなんだけど。」
「……それもそうですね。」
結月は悟の目を見て頷いた。
「私は枷場結月と申します。廉直女学院の中等部の三年生です。」
そう言って、結月は全員に向かって頭を下げた。
「俺は五条悟。よろしく。」
「えっと、前にも言ったと思うけど、呪術高専の二年の夏油です。結月ちゃん、と呼んでもいいかな?」
「んー、えと、名前で呼ばれることに慣れていないのです。できれば名字で呼んでくださると助かります。」
「そっか。わかったよ。」
傑はそう言うと優しそうに笑った。
「私は理子様のメイドの黒井美里と申します。……枷場様のことは理子様からよく伺っております。」
「ちょ、黒井!」
「はい、よろしくお願いします黒井さん。……天内さん、私のことをどんな風に伝えたの?」
「せ、先輩、誓って変なことは言ってませんよ!」
「そーお?」
結月は小首を傾げて疑わしそうに理子の顔を見た。
「まぁ、それは置いておいて……情報のすり合わせがしたいのです。よろしいですか?」
傾けていた首を元の位置に戻して、真面目な顔になった結月がそう言った。
主人公は、呪術高等専門学校に……
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