vtuberさんただいま炎上中   作:なべたべたい

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24話 御旅屋ノマド

時間になってもライブの当選通知が来ず、いくら探しても結局のところ無い物が見つかるはずもなく、無意味に時間だけが過ぎた。

 

そうして大変ショックを受けた俺は慰めてもらおうと、ハジメの所へ『今度うちでやるライブの現地のチケット落ちた』と連絡を入れたのだが、何とも薄情なやつなのかそれに対して『草』とひと言だけ返してきた。

 

まさかハジメがこんなにも薄情なやつだとは思っておらず落胆した。

 

え?もしハジメが同じ事を送ってきたらって?

そんなの俺はハジメとは違うからな。

 

もちろん草だけではなく、チャット欄を大草原にすべく大量の草を生やしてやるつもりだよ!

 

他にも慰めてほしくて、いつの間にグループの名前がホムラガールズに変わっていたグループに入り、今回のことを話すと梅さんとオンプさんは心優しく天使のような心を持っているのか、俺を優しく慰めてくれたのだが、そんな天国の様な空間に1人紛れ込んでいたクソガキが、現地に当選したライブのチケットの画像をいきなり、チャット欄に載せて来た。

 

『プププ、ホムラさん所属ライバーの癖に外れてヤーンのwそれに引き換え姫はこの通り無事当選しましたけどねぇ♡』

『は?マジお前、ほんとお前くぁwせdrftgyふじこlp』

『草ぁwww』

 

そんな感じに全力で煽られたおかげで、結局梅さんとオンプさんに慰めてもらった分と、姫花さんに煽られた分でトントンになり、結局俺はグループに入って来た時と同じで落ち込んだ状態のままだった。

 

そこで俺は一応vtuberなんだし、ホムラビトの皆んなに慰めてもらおうと、ツイッターで今回の事をツイートしそうになったとギリギリで、俺は正気に戻りあと数センチでツイートしそうになったところで、中断することに成功した。

 

「あっぶねぇ……もしこれをツイートしてたら絶対煽られてたわ」

 

そう普通のvtuberなら優しいリスナー達が慰めてくれるだろうが、うちのリスナーにそんな優しいやつなんている訳がない!

 

何故かって?

 

日頃の俺の配信を見ていたらわかるだろ?

 

という訳でそのツイートは削除して、これ以上この事を考えてるとどんどん気分が盛り下がっていくと思い、俺は気晴らしの為に家事でもしようと立ち上がったところで、家のチャイムが鳴り響いた。

 

誰だ?宅配か?

 

そう考えながら俺は、ゆっくりとした足取りで玄関に向かい、「はーい」と声をかけて扉を開いた。

 

そしてその扉の先にいたのが、

 

「どうもっス!」

 

御旅屋ノマドその人だった。

 

 

どうしてと言うか、どうやってうちの住所を知ったのかはわからないが、ぱっと見の感じでどこか元気がないように見えたので、少し心配しながらも一応家の中に通してお茶を出してあげた。

 

「それで今日はどうしたんだこんなところまで来て、と言うかどうやってうちの住所を知ったんだ?」

「えーっとスね、先輩の住所はアレっスね。キラメ先輩に教えてもらったっス!」

「キラメに?」

「はいっス!」

「なるほどな……」

 

っていや何かってに人の家の住所教えてんだよキラメ!

 

いやまぁ、一期生は全員知ってると言うか何回も遊びにきたことあるし、別にユメノミライのメンバーならいいんだけど……

 

「それで?」

「それで?とはどう言うことってスか?」

「いや、だから俺の住所がどうやってわかったかは聞いたけど、何で今日うちに来たかは聞いてないだろ。それもライブの練習で忙しいこの時期に?」

「それは……」

 

そう言ってノマドは黙って俯いてしまった。

 

あの馴れ馴れしいサボり魔のノマドがこんなにも目に見えて、落ち込んでいる姿は初めて見たので少し驚きながら、俺はこの状況をどうすればいいかを思案した。

 

「!そうだ、ノマド今から俺の部屋来いよ」

「えっ!ちょ、ちょっと待つっス!」

 

そう言うノマドの言葉を無視して俺は、ノマドの腕を掴むと無理やり俺の部屋へと連れ込んだ。

 

「ほ、本当に待つっス先輩!ボクはもちろん先輩の事は好きっスけど、こう言うのじゃないって言うか……と言うか先輩ってこう言うことする人じゃないっスよね?それとももしかして、本当はずっとボク達が食べ頃になるまで待ってただけのオオカミっスか?きゃーやめて!食べないでっス!」

「ええい!うっさい!誤解を招きそうな事を言うのはやめなさい!」

 

ありもしない事をペラペラと話す後輩を止める為に俺は、軽く頭をチョップするとノマドはいつもの様に、一切反省する様子を見せずにヘラヘラと笑って誤魔化していた。

 

そうしてノマドを部屋に連れてくると、俺はノマドを俺がいつも使っている椅子に座らせて、俺はベッドに腰掛けそのままノマドにコントローラを投げつけた。

 

「ちょっ、急に投げないでくださいっスよ〜先輩!もしボクがキャッチできずに落としたらどうすんスか!」

「あー悪い悪い」

「全然悪いと思ってないっスよね?と言うかこれゲームのコントローラーっスよね?どうするんスか?」

「どうするってお前、コントローラー持ったならやる事なんて一つだろ。ゲームだよゲーム!お前この前俺の配信に乱入して来た時言ってたじゃねぇか、遊びたいって」

 

俺がそう言うとノマドはポカーンと口を開けて、少し間抜けな顔になった。

 

「どうしたんだ?そんな呆けてお前らしくもない。それで?何のゲームやるんだ?確かどっかにパーティーゲームがあった様な……」

 

俺がゲームのカセットを探しながら、その片手間にノマドにそう言うと、ノマドはいきなりクスクスと笑い始めた。

 

「ん?俺なんか変なこと言ったか?あ!もしかしてあれか?俺なんかがパーティーゲームを持ってるのを笑ったのか?」

「ふふっ、全然違うっスよ!単に先輩がそんな事いちいち覚えてた事に驚いてただけっスよ!」

「そんな事?」

「何でもないっスよー!それとボク今スラブラやりたい気分なんで、先輩一緒にスラブラやりましょうよ!」

 

何だかはぐらされた感じだが、今はそんな事よりも今コイツスラブラをやりたいと言ったか?

 

「ほう…向かってくるか……逃げずにこのホムラに近づい……」

「そんな事どうでもいいから早くやるっスよ!」

「あ、はい……わかりました」

 

という訳で俺とノマドは2人で肩を並べてスラブラを始めたのだが、基本ノマドは配信をしない為ゲームのうまさがわからなかったのだが、実際やってみた所普通に上手く、思っていたよりも白熱した勝負をする事が出来た。

 

 

ゲームを初めてどれくらいがたった頃か、部屋の中に差し込む光はオレンジがかっており、窓から外を見渡すといつの間にか夕暮れになっていた。

 

外の景色を見ながら今日の夕食をどうするかを考えていたら、ノマドが意を決したように俺の前へと移動して来た。

 

「ん?どうしたんだ?」

「先輩実は……」

 

そう言ってノマドが話し始めた内容を要約すると

 

「つまりは喧嘩したと……」

「うっ……まぁなんて言うかそうっスね」

「まぁ、お前いつもヘラヘラしてて真面目さが全くたりねぇからな。どうせ喧嘩した相手ってアレだろ?ミリーだろ?」

「え!?どうしてわかったんスか?魔法っスか?」

「んな訳ねぇだろ、消去法だよ消去法!」

 

今話に出たミリーとは、俺の同期つまりはユメノミライ一期生で軍神ミリーと言って、名前の通り軍人キャラなんだが、ミリーはすごい真面目なやつでミリーになる前は軍関係の話なんて一切知らなかったのに、自分が軍人キャラをやるってわかったら、軍人について調べまくった結果、今では日常生活でも軍人のような話し方や、軍とは規律を重んじる為、それと元の真面目な性格が合わさった結果、自分にも他人にも厳しい人間になってしまったのだ。

 

っと、ここまでの説明だけだとお堅いやつに見えるのだが、好物の甘いものを食べているときは年相応の女の子に戻ると言う、ギャップを持ち揃えたキラメに続くうちの人気vtuberの1人だ。

 

「にしても喧嘩って、ノマドお前何したんだよ……」

「え!どうしてボクが何かやった前提で話すんスか?」

「嫌だってなぁ……人との約束を当然のようにブッチするお前と、約束の集合時間の30分前には必ず居るミリーとの、人としての信頼度を考えるとだな……」

「うっ……」

 

そうしてやはり何か心当たりがあるのか、ノマドはまたしてもその場で黙って俯いてしまった。

 

それを見た俺はしょうがないなと思い、自分の頭をかきながら、ため息混じりにつぶやいた。

 

「しょうがねぇから、明日俺も一緒に行ってやるから、ミリーに頭下げに行くぞ」

 

俺がそう言うとノマドは目を宝石のように輝かせて、猫撫で声で「せんば〜い♡」と叫んで飛びついて来た。

 

「ええい!鬱陶しい!やめろっ!はーなーせ!と言うかもういい時間なんだからさっさと自分の家に帰れ!」

「えー何でっするか!先輩もっと遊びましょうっすよ〜」

「いーやーだ!それにそろそろ妹が帰ってくる時間なんだからお前は帰れ!」

「どうしてっスか?先輩の後輩として妹さんに挨拶させて下さいっスよ!」

「絶対に嫌だね!もし俺のかわいい妹にお前のバカが映ったらどう責任を取るんだよ!」

「あーひどいっス先輩!ボクのどこがバカなんですか?」

「全体的にだよ!全 体 的 !」

 

そうして、俺はどうにかノマドを引き剥がそうと、その場で少し体を動かしていると、その時神様のいたずらなのか、俺が体を動かした際にベッドから掛け布団がずり落ちて来て、俺はそれに足を取られそのままバランスを崩してしまい、ノマドを下敷きに床へと倒れ込んでしまった。

 

「痛っつつつ。って怪我はないかノマド?」

「あ、はいボクは大丈夫っスよ?それより先輩は大丈夫っスか?」

「ああ、俺もちょっと腕を強くぶつけたぐらいだから大丈夫だ」

 

ノマドを下敷きにしてしまい、頭でも打っていたらと考えると額から汗が滲み出るが、幸いノマドにはぱっと見怪我がないようで、本人も大丈夫と言っていることからひとまずは大丈夫だなと思うのと同時に、今の格好をもし家族の誰かにでも見られたら、またしても家族会議を開かれて面倒だと思い、すぐにノマドの上から退こうとしたその瞬間、俺の部屋の扉が驚く程の勢いで開かれた。

 

いきなりの事に驚き扉の方を見てみるとそこには、走って帰って来たのか少し髪や制服が乱れている真冬が、肩で息をしながら驚いた表情でこちらを見ていた。

 

「へ?真冬……っ!ちょ、ちょっと待てこれは誤解だ!」

「どうも、お邪魔してるっス!」

 

一瞬扉が勢いよく開けられた衝撃で忘れかけていたが、今の俺の格好をよくよく考えて見ると、誰がどう見たって俺が年下の女の子を無理やり襲っているように見えるだろう。

 

その考えが頭によぎった瞬間俺は急いで真冬に手を伸ばし、この状況の説明をしようとしたのだが、真冬は顔を青くし扉から半歩下がり大声で叫び声を上げると、その場でふらりと気を失ってしまった。

 

俺は急いで真冬の方へと走り出し、真冬と地面の間に勢いよく滑り込み、真冬が怪我をしないように倒れてくる真冬を優しく受け止めた。

 

その際勢あまりすぎて、真冬を受け止めた後に思いっきり体を壁にぶつけてしまった。

 

「ふぅ……何とかギリギリセーフだな」

「ちょちょ!せ、先輩大丈夫っスか?今バーンっておっきな音なったっスけど!」

「ああ、今ぐらい大丈夫大丈夫。それよりノマドには悪いんだが、流石に今日の所は帰ってくれねぇか?」

 

と真冬を抱き抱えながら、ノマドの方を向いて言うとノマドは真冬のことを気遣ってくれたのか、小さな声で俺の耳元で

 

「わかったっスけど、ちゃんと明日一緒に来てくださいっスね!」

 

と呟くと、うちに来た時とは違い笑顔で、こちらに向かって大きく手を振りながら玄関の方へと小走りに歩いていった。

 

「おう」

 

それに答えるように俺もノマドに軽く手を振りかえした。

 

 

その後目を覚ました真冬に色々詳しくあの状況の説明をしてと詰め寄られ、軽くどう言う経緯であんな事になったのか説明してもあまり信じてもらえず、そんな事をしていると母さんが帰って来て、ちょうど俺がノマドを部屋で押し倒していた事を聞かれ、すぐさまそれを父さんに報告されて、またしても家族会議が開かれる事になった。

 

「だから!アレはバランスを崩しただけなんだってぇ!」

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