その妖精が普通とは違うのは間違っているだろうか   作:新人作家

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少ないです。


サポーター

 

 あの【怪物祭】から後日。

 

 先に来すぎてしまったクーリアは一人バベル前でベルを待つ。相変わらず視線は凄いが慣れているので気にしない。

 

 最近は()()()()()()()()()()()()()()()が、周りにチラホラ確認出来るくらいだ。

 

 「お兄さんお兄さん、そこのエルフのお兄さん」

 

 やけにお兄さんを連呼するなと思いつつ、声のする方を見やるとバカでかいバッグが。

 

 「こちらです」

 

 「あっ、下か」

 

 腰くらいまでの高さしかない少女がそこに居た。小人族だろうか?全身ローブで深めのフードを被っている。

 

 少女に尋ねようとした瞬間、

 

 「あ、クーリアおはよう!」

 

 「ベルか、おはよう」

 

 タイミングが良いのか悪いのか。ベルのご登場である。一瞬、少女の顔が曇ったような気がするが気にしない事にした。

 

 「あ、この子」

 

 「知り合いか?」

 

 路地裏で襲われてるのを発見して助けたらしい。暴漢は逃げて背後に居た少女もいつの間にか居なくなったそうだ。

 

 特徴が似ているのだという。

 

 「君は小人族の子だよね?あれから大丈夫だった?」

 

 「リ、リリは貴方と初対面です!それに小人族ではなくて犬人族ですから!」

 

 ほらって言いながらフードを捲る。そこには可愛らしい犬耳がピコピコ動いていた。

 

 「ん?」

 

 「? どうしたのクーリア?」

 

 「……いや何でもない、気にするな」

 

 犬耳は偽物だ。自身のスキルである【魔力操作】を通して分かった事。ベルに知らせようと思ったがコイツは下手な勘繰りをしてしまうし、サポーターである彼女は冒険者から不当な扱いを受けていると想像出来る。一種の処世術と納得した。

 

 まあ、危害を加える気ならそれに相応しい対応をするが。

 

 「んっ、んぅ……あん」

 

 「往来で何やってんだお前ら」

 

 「うわぁ!?ご、ごめんリリ…!」

 

 クーリアが考え事をしているすぐ横で、ベルが犬耳を蹂躙していた。少女の喘ぐ声が聞こえたのか、同業者からロリコン野郎だとコチラを見られた。

 

 リリって言うのね。そう言えば一人称ではリリだったな。この二人で自己紹介はもう終わらせたようだ。

 

 「でもどうする?」

 

 「ん?何が……ああ、そっか」

 

 「?」

 

 普段通り中層に行くつもりではあるが、リリは恐らくLv.1。それもサポーターだから下位の。Lv.3が二人居るからって安全とは限らない。

 

 そんな憂いはすぐ晴れた。

 

 「リリはどこまでも着いていきますよ!なんせサポーターですから!」

 

 「おっ、言質取ったぜ」

 

 「じゃあ行こうか」

 

 ――――今日は十三階層まで行こうか。そうだねリリも居るし。え?十三階層って中層ですよね?嘘ですよね?

 

 リリは後悔した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 「十五万ヴァリス…!」

 

 「いつもと同等の金額だな」

 

 「だね。でも今日は十三階層までの金額だから。深い階層に行けば倍はいくんじゃないかな?」

 

 「やっぱサポーターの有無は大きな……ん?どうしたんだ?」

 

 クーリアがリリの方を見ると何故かぐったりしていた。確かに上層より強いモンスターだけど、前衛がしっかり守ってた。まあ、初めての中層はキツいとは思うが何も問題ないはずだ。

 

 「問題あり過ぎです!何でいきなり中層に行くんですか!」

 

 「え?何でって…」

 

 「俺たち上級冒険者だしな」

 

 「で、でもLv.2ですよね!?そんな装備で無謀です!!」

 

 「「Lv.3だ(よ)」」

 

 「!!」

 

 「固まったな」

 

 「どうしようか…」

 

 放心状態になるリリをクーリアとベルは見守る。クーリアは面白いなコイツと思いながらリリを見る。

 

 数秒、あるいは数分経過した時リリは復活した。ベルとクーリアは報酬を分けていた。

 

 「ほれ、お前の分だ」

 

 「あ、ありがとうございます……て、五万ヴァリス!?」

 

 「少なかった?なら、はい」

 

 「ふむ、俺からもやる」

 

 そう言って一万ヴァリスを手渡した。リリが七万ヴァリス、クーリアとベルが四万ヴァリスとなった。

 

 受け取れないと言うリリが返そうとするが二人は受け付けない。

 

 「なら明日からよろしくな」

 

 「うん、リリが居てくれたら助かるよ」

 

 「…分かりましたよ。ありがたく受け取ります……」

 

 こうしてサポーターのリリが仲間になった。明日から深い階層に潜るつもりのクーリアとベル。リリの苦労はここから始まる。

 

 

 

 おまけ

 

 「クーリア・サルトリア及びベル・クラネルの所属が判明致しました」

 

 「そうか良くやった。ヒュアキントスよ」

 

 「ありがとうございます」

 

 そう言って彼の頬を撫でる男神。その顔は酷く醜く歪んでいた。

 

 「念には念を、【ソーマ・ファミリア】と話が付いているか?」

 

 「はい。団長である【酒守】と契約を結び、何時でも動けるよう準備が整っております」

 

 「よろしい」

 

 男神の目的はクーリアとベル。【怪物祭】で見たクーリアの剣技に惚れ、さらにクーリアの近くに寄って来たベルの容姿に惚れた。

 

 つまり両方に惚れた。ならば両方頂く他あるまい。神の思考回路はイカれているが、この神の思考回路はもっとイカれていた。

 

 波乱が巻き起こる。

 




リリは中層行きます
→ゲドたち行けない。待ち伏せしようにもLv.3が二人なので返り討ちにあう。まあ、奴らにそんな事まで考える頭は無いが。

原作より金が貯まります。
→目標金額までの貯金が貯まりに貯まる。

二人の武器を盗む暇がありません。
→行きでは絶対盗めない。バレるから。中層でも盗めない。戦闘中だから。ならば帰りは?疲労でそんな元気ない。

金だけが貯まって行きます。
→良いことじゃん。

原作より展開が早まります。

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