一匹狼の大海賊   作:篤志

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ついにエース奪還!激突、大将vs怒りの虎狼!

処刑台の上には海楼石の手錠を付けて座る処刑人であるエースとその横に立つ海軍元帥センゴク、そして2人から距離を取るようにこの場に一番似つかわしくない男、海賊ウォルフ・D・ヒューがいた。処刑執行人はエースの横でルフィの覇気により意識を失って倒れている。

 

ルフィを止めるべく飛び出して行った海軍中将であるガープが倒れた今、ルフィが処刑台に到達するのは秒読みだった。

 

「ダハハハハッ!ガープはあんなに弱ェ奴だったか?」

 

ルフィに吹き飛ばされたガープを見ながら笑うヒュー。センゴクは無表情のままだった。

 

「気楽にしているのも今のうちだぞ虎狼。エースの処刑が終わり次第貴様を再びインペルダウンに送ってやる。」

「悪いなセンゴク、俺ァ海賊だからなァ......」

 

ヒューの纏う雰囲気が変わる。

 

二人の鋭い視線が交差した。今はこう着状態であるがヒューは再びいつでも暴れる準備はできており、センゴクもまたヒューを制圧することはいつでもできる状態である。昔からガープ同様海で争ってきた仲であるため互いの思惑は分かっていた。

 

「さァて、天はどっちの味方だろうなァ。」

 

そう言って立ち上がるヒュー。次の瞬間、

 

「エーーーーーースーーーーーーーーッ!!!」

 

ルフィの声が響いた。エースがふと顔を上げるとルフィが処刑台に間も無く到着するところだった。

 

「ルフィ!!!」

「助けに来たぞエース!ちょっと待ってろ!」

 

ルフィはおもむろに懐から一つの鍵を出した。センゴクはそれを見てすかさず能力を開放する。

 

 見る見るうちに巨大化するセンゴク。その姿はまるで大仏である。これこそが海軍トップの悪魔の実の能力、世界でも稀に見る動物系幻獣種ヒトヒトの実“モデル大仏”の能力だった。体全体が黄金に光り、その巨体は巨人族をも圧倒するほどである。

 

「エースの処刑は邪魔させんぞ麦わらのルフィ!貴様もここでエースもろとも処刑してやる.......!」

 

ルフィは急いでエースの手枷に鍵を差し込もうとするが次の瞬間、何者かの光線により鍵が木っ端みじんに砕かれた。

 

「簡単には逃がさないよォ~。砲撃用意。」

 

処刑台に向けて指を向ける海軍大将黄猿。その周りには大砲を設置した海兵達が並んでいた。

 

「狙うは処刑台にいる麦わら、火拳、そして虎狼だ!撃て!!!」

 

中将の号令により大砲が一斉に火を噴いた。処刑台の上ではセンゴクがルフィに襲い掛かる。

 

「くそッ!『ゴムゴムの......ギガント風船!!!』」

 

ルフィはエースを守るようにその体を膨らませた。センゴクの衝撃波を伴った拳と四方からの大砲の弾が風船のように膨らんだルフィを襲う。センゴクの拳には覇気も纏われており、ルフィは血反吐を吐いた。

 

「死ね!麦わら....!」

 

ルフィは耐え切れず膨らませた体を元に戻してしまう。エースを守るものはなくなった。そして、爆音とともに処刑台が火の海になりルフィ達は処刑台から落ちた。

 

ガラガラと音を立てて崩れる処刑台。センゴクは弾に当たらないように回避する。

 

「追撃だァ!まだまだ撃てェ!!!」

 

処刑台が跡形もなく無くなるほどの攻撃が行われる。黄猿の光線もそこに加わり、パシフィスタも追撃する。視界を奪われるほどの強烈な光と耳をふさぎたくなるような爆音が広場を襲った。その光景を見た誰もが生き残れないと思うほどのものだった。

 

どす黒い煙が処刑台があったところから上がる。その爆炎は消えることはない。それもそのはず、海軍は大砲の弾を全て使い切ってしまっていたのだ。センゴクは爆炎を睨みつけるように見ており、その横でボロボロのガープが背を向けて胡坐をかいて座っていた。

 

「油断はできんぞガープ。」

「......分かっとるわい。」

 

 

 

 

 

このような形で処刑が行われるとは誰もが予想だにしていなかった。そのあまりの出来事に世界中が沈黙した。

 

 

 

「エ...エース......。」

 

誰の呟きだっただろうか。それがきっかけとなり海賊達の声が聞こえてくる。落胆の色が隠せないでいた。海賊達の中には涙を流す者、拳を地面に打ち付けて許しを請う者、ただその黒煙を見つめているだけの者が続出する。全員の目的が果たせなかった事に白ひげはただ沈黙していた。

 

「嘘だろ...おい。」

 

白ひげ海賊団が半ば諦めかけていたその時、濛々と上がる黒煙の中に突如として真っ赤な炎が出現する。

 

「な、何だあれは?!」

 

海兵達が驚く。センゴクは能力を発動し、ガープは立ち上がって真っ赤な炎を見つめた。海兵達は再び戦闘態勢に入る。燃え盛る炎を見てカープの表情は何故か安心したようなものだった。

 

「狼狽えるな....!仮に奴らが生きていたとしても返り討ちにしてしまえ!」

 

センゴクの声に答えるように海兵達の雄叫びが響いた。

 

まるで生き物のような炎が蛇のように蜷局を巻き、立ち上っていた黒煙を瞬く間に飲み込んでいく。そして竜巻のように天に向かって伸びて空に一つの模様を浮かび上がらせた。

 

誰もが知るその模様。それが分かった海賊達に思わず歓喜の笑みが浮かぶ。

突如として空に浮かびあがったのは、世界最強の海賊団白ひげ海賊団のシンボルマーク。

 

 

 

白ひげの髑髏がそこにはあった。

 

 

 

 

 炎の柱が一瞬にして消え去る。そこから現れた3人の男。その姿を認識した海賊達は思わず叫んだ。

 

『オォォォオオオーーーーーーーーーーッ!!!!』

 

 

 

 

 

 

「すまねえなウォルフさん。助けてもらっちまって。」

「ありがとおっさん!!エース助けてくれて!!!」

 

満面の笑顔でお礼を言うルフィ。そしてエースはヒューに向かって頭を下げた。ヒューは笑いながら答える。

 

「てめェが生気のない目してたら俺ァその場で殺してたぜ!ダハハハハッ!」

 

エースの海楼石の手錠を外したのは他でもないヒューだった。インペルダウンで自分に付けられていた手枷を木っ端微塵にした要領でエースの手錠も破壊したのだ。攻撃されていた最中だったため時間はかかったがエースの能力を無事解放させた。エースはそのおかげで攻撃から逃げ延び、今に至る。

 

 元々、ヒューにとってエースなどどうでもよかった。マリンフォードで好き放題に暴れ、時を見計らってこの場から脱出しようと考えていたのだ。しかし、エースを見て予定を変更したのだ。

 

・・・ここで助けたら面白ェモンが見れるかもなァ・・・

 

ヒューの気紛れによってエースは助けられたのだった。

 

自由に動けるようになったエースは海兵達に向かって拳を放つ。

 

「『火拳!!!』」

 

燃え盛る海兵達を横目に、ヒューは広場に降り立つと拳を握りしめて地面に突き刺した。

 

「『覇震』」

 

巨大なクレーターが広場に広がる。海賊達をも巻き込みながら広場を揺らす。そしてクレータができた場所の鋭い破片となった石畳が宙に浮かんで四方八方に弾丸のように飛び、周りの人間をを襲った。

 

「ダハハハハハハッ!!!予想外の出来事ってかァ?!海軍!!!これが戦争だぜェ!!!」

 

向かってくる海兵達を拳一発で吹き飛ばすヒュー。目の前に立つ者すべて攻撃対象に入った今ヒューを止める者はいない。

 

「よくもやってくれたのォ......虎狼。」

 

ヒューは笑みを浮かべたまま声を発した海兵を見る。そこにはサカズキが体をマグマに変えて立っていた。

 

「ダハハハハッ!!!かかってこい!返り討ちだァ!!!」

 

両腕を黒く変色させ、サカズキに殴り掛かっていくヒュー。サカズキも同様にマグマの拳をヒューに放った。

 

「問答無用じゃァ!!死ねウォルフ・D・ヒュー!!!」

 

サカズキとヒューの拳が交わる毎に爆音が響く。とても殴り合いをしているような音ではなかった。

 

ヒューの拳がサカズキの頬を掠め、その隙にサカズキがヒューの腹に蹴りを放つ。後方へ吹き飛ばされたヒューだが、体勢を立て直して再びサカズキに拳を放った。

 

サカズキの胸辺りにヒューの拳が突き刺さるが、サカズキはロギア系マグマグの能力であるためにそこだけを空洞にさせてヒューの拳を回避する。

 

「ワシには効かんわい虎狼!!!」

 

勝ち誇ったようなサカズキに対しヒューは構わずサカズキの側頭部を蹴り飛ばした。地面を転がるように吹き飛んだサカズキは頭から血が出ているのを手で触って確認し、ヒューを睨みつける。

 

「海に嫌われた海兵がこの俺に敵うってェのか?悪魔の実が最強ってわけじゃあねェんだぜ......。」

 

ヒューは武装色の覇気を腕一本に纏わせる。そしてその腕を振り上げて笑みを浮かべた。

 

「久しぶりだなァこの感覚ゥ...。」

 

禍々しいほどの覇気を体中から発するヒュー。サカズキはヒューに攻撃を仕掛けようとするが隙が見つからなかった。何をしても一瞬で倒される未来しか見えないのだ。

 

「舐めるなァ......虎狼!!!」

 

ヒューは動けないサカズキを冷酷ともいえる眼差しで見つめながら口を開く。

 

「俺は海賊、てめェ等は海軍......答えは一つしかねェよなァ!!!!」

 

挙げていた腕を思い切り振り下ろそうとするヒュー。しかし、その腕を撃ち抜く光線がどこからか飛んできた。腕から鮮血が舞い、笑みを浮かべていたヒューの表情が無くなる。

 

「簡単にここは壊させないよォ、ウォルフ・D・ヒュー。」

 

無表情のヒューは攻撃を妨害した人物を睨みつける。そこには海軍大将黄猿ことボルサリーノが立っていた。

 

「サカズキ大将ォここはあっしに任せて火拳を頼んだよォ〜。」

「フン!」

 

サカズキは答えることなく体をマグマに変えてエースの方へ飛んで行った。ヒューと次に対峙するのはボルサリーノ。

 

「厄介だよねェ〜覇気使いは。骨が折れるよォ。」

 

ヒューはボルサリーノへと駆け出す。ボルサリーノの体は光となってその実体を無くしヒューの目の前に現れた。そして実体化すると同時にヒューを蹴り飛ばす。

 

ボルサリーノの速さは光速。到底目では追えない速さだが、ヒューはその蹴りを間一髪で避けた。ボルサリーノは予想していたかのように連続で光速の蹴りを放つ。一度は避けることができたものの連撃となるとヒューの体はまともにくらってしまう。

 

「遅いねェ~。」

 

涼しい顔でヒューを蹴り続けるボルサリーノ。ヒューは何もせずただ蹴りを受けるだけとなっていた。

 

「どうした、そんなもんかい?伝説の大海賊さんよォ~?」

 

抵抗さえしないヒューにとどめの蹴りを放って吹き飛ばし、光線で追撃する。指から放たれた光線はヒューの体を貫いた

 

 

かに見えた。

 

 

何事もなかったかのようにゆっくりと立ち上がるヒュー。

 

「足りねェ......足りねェぞ。どいつもこいつもつまらねェ事ばかりしやがって。殺す気で来いよ...海賊だぞ俺ァ!!!!」

 

ヒューが今までにないほどの怒声を上げる。ボルサリーノの光線でヒューの身体は傷は無数にあるものの致命的なダメージは全く無いようだった。

 

「遊ぶのもやめだァ!!!」

 

声を張り上げてヒューは吠える。目は血走り、いつも笑みを浮かべているその表情は怒りに染まっていた。

 

「怖いねェ~。」

 

ボルサリーノがそう言うが焦りなどは微塵もなかった。再び光線を放つべくヒューに指を向ける。しかし次の瞬間、ボルサリーノが後方に吹き飛んで行った。そしてマリンフォードの建物に突き刺さり、半壊させながらようやく止まった。

 

ヒューは吐き捨てるように呟く。

 

「チッ...面白くねェ。」




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