「ダーッハッハッハ!おぅニューゲートォ!死に急ぐんじゃねェぞ!兄弟!」
白ひげが振り回した薙刀を、武装色で硬化させた腕で受け止めたヒューは笑い声をあげながら地面へと降り立った。
「オメェは引っ込んでろ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
ヒューを睨みつけるその目は闘志を灯していたが、身体は満身創痍の白ひげ。スクアードから受けた傷が体力を著しく奪い、世界最強の男とはいえ第一線で戦い続けた男の体は既に限界だった。
肩で息をしながらヒューを睨みつけ、薙刀を再び振り回して地面に柄を立てる白ひげ。そして崩れる瓦礫の中から出てくる海軍大将サカズキの方向へと視線を向けた。
「死に損ないが、一人増えたのォ・・・。そんなに死にたいなら貴様等まとめて処刑じゃァ!!!」
白ひげに吹き飛ばされ、額から血を流すサカズキはそう叫ぶと身体をマグマに変化させて白ひげとヒューに向かって馳けた。
「死ねェ!老いぼれ共が!」
白ひげが薙刀にグラグラの実の能力を纏わせ、サカズキを迎え撃とうとする中、ヒューは笑い声をあげた。
「ダーッハッハッハ!クソガキがなんか言ってやがる!ダハハハ!お前も笑ってやれェ!ニューゲート!ダハハハハハハ!」
「馬鹿野郎、笑いにもなりゃしねェよ。」
ガキィイイン!!!
白ひげの薙刀とサカズキのマグマと化した拳がぶつかり合う。間髪入れずサカズキの拳が再び白ひげへと襲い掛かった。
「おい、俺とも遊んでくれやァ!」
ヒューが高速でサカズキの真横へと移動し、蹴りを放つ。サカズキは焦ることなくヒューの蹴りが通過するであろう軌道を読み、身体をマグマに変化させて回避する。
そして変化したマグマが数倍にも膨れ上がり、白ひげとヒューを飲み込もうとしていた。
「死体も残らず、焼け死ねィ!」
ドゴォオオオオン!
爆炎と共にマリンフォードの広場に煙が立ち込める。白ひげととヒューはどうなったのかと固唾を飲んで見ていた海軍と白ひげ海賊団の両者にどよめきが起こっていた。
彼らの視線の先には仁王立ちのまま微動だにしない白ひげと、獰猛な笑みを浮かべたヒューの姿があった。
「ダハッ、久々の殺し合いは胸が躍るぜェ!インペルダウンじゃ骨のある奴ァ居なかったからなァ・・・」
再びサカズキへと襲いかかるヒュー。
「オラァ!まだくたばるなよ!クソガキ!俺ァ、お前に何も恨みはねェが、俺の兄弟がキレてんだ。一発殴らねェと気が済まねェってもんだろ!」
ヒューの腕に武装色の覇気が纏われる。そして、ヒューに向かって拳を振り上げていたサカズキの頭を掴み上げた。
「なっ!?」
ヒューの腕から逃れようとするも、それより速くヒューはサカズキの後頭部を地面へと叩きつけた。そして、ヒューの背後から白ひげの薙刀が出現する。
「俺達を処刑だァ?海軍のハナッタレが・・・」
ヒューの手が離れ、距離を取ろうとするサカズキだったが、白ひげの薙刀がサカズキに直撃する。
「舐めるなァ!」
攻撃を受け、口から血を吐くサカズキ。しかし、それを何事もなかったかのようにサカズキのマグマと化した腕が白ひげを襲う。白ひげはニヤリと白い歯を見せると、腕を振り上げ、グラグラの実の能力を腕に纏った。
サカズキと白ひげの拳がぶつかり合った瞬間、サカズキのマグマと化した腕が四方に弾け飛ぶ。一方の白ひげはサカズキを完全に捉えていた。
白ひげの拳がサカズキの頬を撃ち抜き、グラグラの実の能力によりサカズキの顔が変形するほどの衝撃を与える。その攻撃により、サカズキは成すすべなく地に沈む。
「グゥウウウ・・・クソッタレがァ!死にさらせ!白ひげェ!」
「ダハハハハハハァ!さっさと寝とけェクソガキ!」
武装色の覇気を纏った拳を振り上げサカズキに狙いを定めるヒュー。白ひげは薙刀から手を離し、両腕にグラグラの能力を纏った。
「勘違いしちょりゃあせんか・・・ジジィ共が。貴様等の・・・海賊共の時代は終わるんじゃア!」
再びボコボコと身体を煮え滾らせるサカズキ。
「死体も残らず焼け死ねェ!『流星火山!」
マグマの拳と共に巨大なマグマの塊が白ひげとヒューの視界を覆う。
その状況の中でもヒューは白い歯を見せて笑っていた。
「ダハハハハッ、ニューゲート!やっぱり悪魔の実って奴ァとんでもねェな!」
白ひげはニヤリと笑いながら答える。
「悪魔の実は最強じゃあねェ。どっかのバカタレが言ってたなァ。」
「ダッハッハ!そうさ!そうだぜ兄弟!実を食ったから最強じゃあねェ・・・」
笑みを深くしながらヒューは腕を振り上げる。
「覇気を使えるから最強ってわけでもねェ・・・」
襲いかかるマグマの塊が視界を覆い尽くしているが、逃げる素振りさえ見せない2人は余裕の表情で今の状況を作り出した人物を見据えた。
「この世界で最強なのはなァ!ダハハハハッ!ダハッ!ダハハハハハハハ!」
この日一番の笑い声を上げながら拳を力の限り振り絞る。
「この
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〜62年前
島の船着場で二人の少年が言い争っていた。
「お前も来いよ!いいだろ!なァ!」
「いや、俺は行かねェ。」
黒髪で目つきの鋭い少年が目の前の海に浮かぶ船を指差して叫ぶ。
「俺と海に出るんだよ!この船で!」
頑なに誘いを拒む背の高い少年は溜息を吐く。
「ハァ・・・・お前、どうやってこの船に乗るんだよ。これ、天竜人の船だぞ。」
そう、目の前には世界政府のマークが描かれている巨大な船が浮かんでいた。
見上げるほど巨大な船に乗って目の前の少年は自分と二人だけで航海しようとしている。その上、自分達みたいなただの餓鬼が乗れる船ではないことをよく知っていた。・・・溜息しかでなかった。
「うるせェ、俺はこの船がいいんだよ!惚れたんだ!お前とこの船で自由に海を旅すんだ!」
「だからお前はバカなんだ。行くなら一人で行け。航海するのはいいが、海に出る前に死にたくねェよ。」
黒髪の少年が唾を撒き散らしながらさらに吠える。
「よっしゃ!決闘だ!俺が勝ったらこの天なんちゃらとかいう奴の船で海へ出るぞ!」
「お前一人で行けよ。そして海に出る前に死んどけ。」
黒髪の少年は拳を握りしめ、構える。しかし、やれやれと首を振りながら踵を返して船から遠ざかる背の高い少年。暫くポカンとその場に立ち尽くした。そして思い出したかのように叫ぶ。
「そんなに船が嫌なら泳いで海に出ようぜ!ニューゲート!」
ニューゲートと呼ばれた少年は立ち止まり、今日何度目かの溜息を吐きながら呟く。
「そんなこと考える奴なんざお前しかいねェよ。お前一人で行って海王類の餌にでもなればバカも治るだろ。」
再び歩き出す彼は、後に世界最強の海賊と名を馳せるようになるエドワード・ニューゲート。
そしてその後ろを何やらわめき散らしながら歩く少年が、後に一匹狼の大海賊と呼ばれることになるウォルフ・D・ヒューである。
「海王類のステーキ美味ェだろうなァ〜。・・・想像したらハラ減ってきた。よし!ちょっくら
ヒューはそう宣言すると着の身着のままその場から海へ飛び込んだ。
ニューゲートは振り向きも、返事もせずただ無言で歩き続けるのだった。
海王類のステーキを求めて、それから1年ヒューは帰らなかった。
久しぶりに書きました。
読んでくれた人ありがとうございます。